JP3162264U - 支持杭の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイズの異なる形鋼を安価なコストで連結して、曲げモーメントに対する効率的で経済的な支持杭を提供する。【解決手段】地中に掘削した削孔5内に杭本体を挿入し、その周囲にモルタル6やコンクリートなどの硬化材を注入して硬化させる支持杭の構造であって、杭本体1は、ウェブとフランジの幅方向のサイズが異なる二種以上の形鋼2、3を繋いで構成する。サイズの異なる形鋼2、3の間には連結板4を介在させ、その連結板の上面と下面に形鋼の端面を突合せ溶接によって連結する。大きな曲げモーメントが作用する部分のみを厚みの厚い強度の大きな形鋼として、効率的で経済的な支持杭Aとする。添接板などを使用するよりも、部材点数を少なくし、安価な施工を可能とし、そして鉛直方向の荷重伝達も良好とする。【選択図】図1
Description
本考案は、形鋼を使用した支持杭の構造に関するものである。
地中に埋設して、桟橋などの構造物を支持する支持杭としては、様々な構造のものが採用されている。
これら支持杭にあっては、図7のグラフに示すように、曲げモーメントは杭の全長に一様に作用するのではなく、その一部に大きな曲げモーメントが作用し、他の部分では大きなモーメントは作用しない。
通例では、杭の地表近くからある程度の深さまでに集中的に作用して最大値に達し、それより深い部分には曲げモーメントはほとんど作用しない。
図7のグラフに示すように、地表から2mまでに曲げモーメントが最大値に達し、15mほどになると、曲げモーメントは全く作用していない。
つまりは、杭の一部はその曲げモーメントに耐え得る強度を備えておれば、他の部分はそれ以下の強度であればよいことになる。
これら支持杭にあっては、図7のグラフに示すように、曲げモーメントは杭の全長に一様に作用するのではなく、その一部に大きな曲げモーメントが作用し、他の部分では大きなモーメントは作用しない。
通例では、杭の地表近くからある程度の深さまでに集中的に作用して最大値に達し、それより深い部分には曲げモーメントはほとんど作用しない。
図7のグラフに示すように、地表から2mまでに曲げモーメントが最大値に達し、15mほどになると、曲げモーメントは全く作用していない。
つまりは、杭の一部はその曲げモーメントに耐え得る強度を備えておれば、他の部分はそれ以下の強度であればよいことになる。
鋼管杭などであると、径は同じであるが、大きな曲げモーメントが作用する部分を肉厚の厚い鋼管として、作用する曲げモーメントが小さい部分は肉厚の薄い鋼管を採用して、根入れの途中から厚さの薄い鋼管に変えて、これを杭本体として削孔に挿入することが採用されている。
しかしながら、H形鋼やI形鋼などの形鋼を杭本体として採用する場合は、強度を変えるために形鋼の厚みを変えるためには、形鋼が規格化されたものであるだけに、厚みと同時にフランジやウェブの幅も変化することになる。
このサイズが異なる形鋼を上下に繋ぐには、そのサイズの違いによって隙間が生じるフランジとウェブを接続しなければならないという課題が生じる。
しかしながら、形鋼の場合、通常の溶接継手のように、母材同士の突合せ溶接や添接板と母材の隅肉溶接が不可能であるため、通常仕様に準じた溶接継手は無理である。
しかしながら、H形鋼やI形鋼などの形鋼を杭本体として採用する場合は、強度を変えるために形鋼の厚みを変えるためには、形鋼が規格化されたものであるだけに、厚みと同時にフランジやウェブの幅も変化することになる。
このサイズが異なる形鋼を上下に繋ぐには、そのサイズの違いによって隙間が生じるフランジとウェブを接続しなければならないという課題が生じる。
しかしながら、形鋼の場合、通常の溶接継手のように、母材同士の突合せ溶接や添接板と母材の隅肉溶接が不可能であるため、通常仕様に準じた溶接継手は無理である。
上記したようなサイズの異なる形鋼を繋ぐためには、例えば図8に示すようなボルトを使用した継手とすることが考えられる。
母材であるサイズの大きい上部形鋼aと、サイズの小さい下部形鋼bのフランジとウェブに添接板cを添わし、ボルトdを貫通してナットeによって固定するという手段である。
この場合、形鋼が1サイズ異なると、フランジに25mmの隙間が生じるので、支圧接合とすると隙間調整材fをフランジ同士の間に挟む必要が生じる。
これを単にボルトの耐力によって曲げモーメントに耐える支圧接合とすると、隙間調整材fを挟んだ部分のボルトに曲げモーメントが生じ、ボルト強度が極端に低下するため、これは現実的でなく、摩擦接合とする必要がある。
しかし、摩擦接合とするには、母材a・b、添接板c、隙間調整材fに対して、フランジとウェブ両者に摩擦接合面の処理(鋼材の黒皮撤去や良質な錆発生など)が必要になり、通常のボルト接合よりかなりコストアップする。
また、ウェブ部分では、板厚の差が1mm程度しかないため、隙間調整材fでの調整に無理が生じる。
母材であるサイズの大きい上部形鋼aと、サイズの小さい下部形鋼bのフランジとウェブに添接板cを添わし、ボルトdを貫通してナットeによって固定するという手段である。
この場合、形鋼が1サイズ異なると、フランジに25mmの隙間が生じるので、支圧接合とすると隙間調整材fをフランジ同士の間に挟む必要が生じる。
これを単にボルトの耐力によって曲げモーメントに耐える支圧接合とすると、隙間調整材fを挟んだ部分のボルトに曲げモーメントが生じ、ボルト強度が極端に低下するため、これは現実的でなく、摩擦接合とする必要がある。
しかし、摩擦接合とするには、母材a・b、添接板c、隙間調整材fに対して、フランジとウェブ両者に摩擦接合面の処理(鋼材の黒皮撤去や良質な錆発生など)が必要になり、通常のボルト接合よりかなりコストアップする。
また、ウェブ部分では、板厚の差が1mm程度しかないため、隙間調整材fでの調整に無理が生じる。
解決しようとする課題は、複数本のサイズの異なる形鋼からなる杭本体が、大きな曲げモーメントに耐え得るよう安価に製造可能とすることである。
本考案にかかる支持杭の構造は、地中に掘削した削孔内に杭本体を挿入し、その周囲にモルタルやコンクリートなどの硬化材を注入して硬化させる支持杭の構造であって、杭本体は、ウェブとフランジの幅方向のサイズが異なる二種以上の形鋼を繋いで構成し、サイズの異なる形鋼の間には連結板を介在させ、その連結板の上面と下面に形鋼の端面を溶接によって固定して連結するものである。
また、本考案にかかる他の支持杭の構造は、二種以上のサイズの異なる形鋼は、上方に位置させる形鋼を、下方に位置する形鋼よりサイズが大きいものとすることを特徴とするものである。
また、本考案にかかる他の支持杭の構造は、二種以上のサイズの異なる形鋼は、上方に位置させる形鋼を、下方に位置する形鋼よりサイズが大きいものとすることを特徴とするものである。
本考案にかかる支持杭の構造は、以上のような構成よりなり、以下の効果を得ることができる。
<a>大きな曲げモーメントが作用する部分の強度を確保するために、サイズ、つまりは厚みの厚い形鋼を使用して、他の部分は厚みの比較的薄い形鋼を使用するため、必要な部分にのみ必要な強度を確保し、他の部分を安価にすることで経済的な設計と施工を可能とする。
<b>上方の形鋼と下方の形鋼の間に連結板を介在させ、この連結板に形鋼の端部を溶接するため、サイズの異なる形鋼であっても、添接板や隙間調整板の必要なく連結することができ、大きな曲げモーメントがボルトに集中して、ボルトが破断するようなこともない。
<c>サイズの異なる形鋼の間に連結板を介在させ、この連結板に形鋼を溶接するため、通常の溶接継手と比較すると、突合せ溶接が下方の形鋼分だけ多くなる一方、隅肉溶接がなくなるため、隅肉溶接と突合せ溶接の差分だけ溶接量が削減され、通常の溶接継手と変わらない安価なコストで支持杭が製造できる。
<d>連結板を上下の形鋼の間に介在させて連結するため、添接板などを使用するよりも鉛直方向の荷重が効率よく伝達し、連結板に発生するモーメントは最小限となる。
<e>添接板や隙間調整板を使用しないため、部材点数を少なくして、摩擦接合とする必要もなく、製造コストが極端に高くなることはない。
<f>上方の形鋼としてサイズの大きな形鋼を配し、下方の形鋼としてサイズの小さな形鋼を配し、杭本体の地表近くの部分の強度を大きくすることで、通常の地表近くの曲げモーメントが大きく作用する支持杭として効率的な構造とすることができる。
<a>大きな曲げモーメントが作用する部分の強度を確保するために、サイズ、つまりは厚みの厚い形鋼を使用して、他の部分は厚みの比較的薄い形鋼を使用するため、必要な部分にのみ必要な強度を確保し、他の部分を安価にすることで経済的な設計と施工を可能とする。
<b>上方の形鋼と下方の形鋼の間に連結板を介在させ、この連結板に形鋼の端部を溶接するため、サイズの異なる形鋼であっても、添接板や隙間調整板の必要なく連結することができ、大きな曲げモーメントがボルトに集中して、ボルトが破断するようなこともない。
<c>サイズの異なる形鋼の間に連結板を介在させ、この連結板に形鋼を溶接するため、通常の溶接継手と比較すると、突合せ溶接が下方の形鋼分だけ多くなる一方、隅肉溶接がなくなるため、隅肉溶接と突合せ溶接の差分だけ溶接量が削減され、通常の溶接継手と変わらない安価なコストで支持杭が製造できる。
<d>連結板を上下の形鋼の間に介在させて連結するため、添接板などを使用するよりも鉛直方向の荷重が効率よく伝達し、連結板に発生するモーメントは最小限となる。
<e>添接板や隙間調整板を使用しないため、部材点数を少なくして、摩擦接合とする必要もなく、製造コストが極端に高くなることはない。
<f>上方の形鋼としてサイズの大きな形鋼を配し、下方の形鋼としてサイズの小さな形鋼を配し、杭本体の地表近くの部分の強度を大きくすることで、通常の地表近くの曲げモーメントが大きく作用する支持杭として効率的な構造とすることができる。
本考案の支持杭の構造では、サイズの異なる形鋼の間に連結板を介在させ、その連結板に、上下の形鋼の端面をそれぞれ突き合わせ溶接するものである。
図6に示すのは、本考案にかかる支持杭の構造を実施した桟橋の説明図である。
<a>杭本体
杭本体1は、異なるサイズの形鋼複数本を上下に連結したものである。
図1〜4に示すのは、上方のH形鋼2が、下方のH形鋼3よりも、そのウェブの幅のサイズW1・W2とフランジのサイズが共に大きくなっている。
またそれら厚みも、大きいサイズの形鋼2の方が、小さいサイズの形鋼3よりも数ミリ程度厚い。
上方のH形鋼2と下方のH形鋼3との間に連結板4を介在させ、この上下面に、それぞれ上方のH形鋼の下端面と、下方のH形鋼の上端面を突き合わせ、溶接によって固定する。
実際は、工場において、上方か下方のいずれかのH形鋼2・3のいずれかに連結板4を溶接固定しておき、現場において、他方のH型鋼を溶接固定するのが、運搬上、施工上のメリットがある。
以上のような上方のH形鋼2、連結板4、下方のH形鋼3によって杭本体1を構成するが、更に杭本体1の長さを長くする場合は、更に連結板4を介在させて、形鋼を溶接固定すればよい。
杭本体1は、異なるサイズの形鋼複数本を上下に連結したものである。
図1〜4に示すのは、上方のH形鋼2が、下方のH形鋼3よりも、そのウェブの幅のサイズW1・W2とフランジのサイズが共に大きくなっている。
またそれら厚みも、大きいサイズの形鋼2の方が、小さいサイズの形鋼3よりも数ミリ程度厚い。
上方のH形鋼2と下方のH形鋼3との間に連結板4を介在させ、この上下面に、それぞれ上方のH形鋼の下端面と、下方のH形鋼の上端面を突き合わせ、溶接によって固定する。
実際は、工場において、上方か下方のいずれかのH形鋼2・3のいずれかに連結板4を溶接固定しておき、現場において、他方のH型鋼を溶接固定するのが、運搬上、施工上のメリットがある。
以上のような上方のH形鋼2、連結板4、下方のH形鋼3によって杭本体1を構成するが、更に杭本体1の長さを長くする場合は、更に連結板4を介在させて、形鋼を溶接固定すればよい。
<b>削孔への挿入
地盤に削孔5を掘削し、この中に杭本体1を挿入する。
まず連結板4を上端に固定した下方のH形鋼3を吊りおろして挿入し、ある程度挿入し終わった時点で、上方のH形鋼2を連結板4上に起立させ、下端面を連結板4の上面に溶接固定して、連結する。
その後、杭本体1を所定の深さまで吊り降ろし、削孔5内にモルタル6やコンクリートを注入して支持杭Aを完成する。
地盤に削孔5を掘削し、この中に杭本体1を挿入する。
まず連結板4を上端に固定した下方のH形鋼3を吊りおろして挿入し、ある程度挿入し終わった時点で、上方のH形鋼2を連結板4上に起立させ、下端面を連結板4の上面に溶接固定して、連結する。
その後、杭本体1を所定の深さまで吊り降ろし、削孔5内にモルタル6やコンクリートを注入して支持杭Aを完成する。
<c>桟橋の構築
以上のように構築した複数本の支持杭Aの上に桟橋を構築する。
以上のように構築した複数本の支持杭Aの上に桟橋を構築する。
<e>他の構成
通常の支持杭Aにおいては、地表近くの部分に最も大きな曲げモーメントが作用し、通常数メートル深くなると、曲げモーメントはほとんどゼロとなるため、上方の形鋼2のサイズを大きくし、下方の形鋼3のサイズを小さくすることが通常である。
しかしながら、本考案では、作用する曲げモーメントが大きいと予想される部分にサイズの大きな形鋼を使用すればよく、図5に示すように、場合によっては、下方の形鋼3のサイズを上方よりも大きくすることもある。
通常の支持杭Aにおいては、地表近くの部分に最も大きな曲げモーメントが作用し、通常数メートル深くなると、曲げモーメントはほとんどゼロとなるため、上方の形鋼2のサイズを大きくし、下方の形鋼3のサイズを小さくすることが通常である。
しかしながら、本考案では、作用する曲げモーメントが大きいと予想される部分にサイズの大きな形鋼を使用すればよく、図5に示すように、場合によっては、下方の形鋼3のサイズを上方よりも大きくすることもある。
A:支持杭
1:杭本体
2:形鋼
3:形鋼
4:連結板
5:削孔
6:モルタル
1:杭本体
2:形鋼
3:形鋼
4:連結板
5:削孔
6:モルタル
Claims (2)
- 地中に掘削した削孔内に杭本体を挿入し、その周囲にモルタルやコンクリートなどの硬化材を注入して硬化させる支持杭の構造であって、
杭本体は、ウェブとフランジの幅方向のサイズが異なる二種以上の形鋼を繋いで構成し、
サイズの異なる形鋼の間には連結板を介在させ、その連結板の上面と下面に形鋼の端面を溶接によって固定して連結してなる
支持杭の構造。 - 二種以上のサイズの異なる形鋼は、上方に位置させる形鋼を、下方に位置する形鋼よりサイズが大きいものとすることを特徴とする
請求項1記載の支持杭の構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010004031U JP3162264U (ja) | 2010-06-14 | 2010-06-14 | 支持杭の構造 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010004031U JP3162264U (ja) | 2010-06-14 | 2010-06-14 | 支持杭の構造 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3162264U true JP3162264U (ja) | 2010-08-26 |
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ID=54865100
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010004031U Expired - Lifetime JP3162264U (ja) | 2010-06-14 | 2010-06-14 | 支持杭の構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3162264U (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109537909A (zh) * | 2018-11-06 | 2019-03-29 | 金川集团股份有限公司 | 一种型钢拼接的调整工具 |
CN112283449A (zh) * | 2020-11-12 | 2021-01-29 | 北京市热力工程设计有限责任公司 | 一种端部连接预埋孔板结构的热力管道固定支架 |
CN114941320A (zh) * | 2022-05-07 | 2022-08-26 | 浙江大学 | 基于工字形钢后插法的预制混凝土方桩连接方法 |
-
2010
- 2010-06-14 JP JP2010004031U patent/JP3162264U/ja not_active Expired - Lifetime
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