JP2021031926A - 鉄骨構造物地中梁無しの杭・柱接合部一体化柱脚構造 - Google Patents

鉄骨構造物地中梁無しの杭・柱接合部一体化柱脚構造 Download PDF

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智▲徳▼ 大谷
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Abstract

【課題】従来、地中梁を有する建築構造体の建設は、鉄筋・型枠・コンクリートを多量に使い、その為に工期とコストが多大になるという問題がある。【解決手段】本発明は、鋼管又はコンクリート杭の上部の先に1つ又は複数枚の中実鋼材を取り付けてから、角形の接続鋼管をその上に溶接で取付け、且つ、杭頭・中実鋼板・柱下部を鉄筋コンクリートで囲い固めた基礎体・コンクリートブロック・コンクリート床スラブを併用して地震時の水平力を負担して地中梁を省略すれば、工程・工期・コスト・人手・鉄骨建て方の縮減が可能になる。【選択図】図11

Description

本発明は、鉄骨建築の上部構造物で特に角形又は鋼管と土木基礎構造物で特にコンクリート杭又は鋼管杭との接点を高強度で精度良く溶接で接合し、地中梁の一部又は全てを省略して製作する柱脚構造に関するものである。
鉄骨建築は、図1に示すように、通常は角形鋼管・丸形鋼管・H形鋼による柱1とH形鋼による梁2からなっており、該柱と梁の接合部は仕口3であり、柱下端部は柱脚部で通常は露出柱脚・フーチング・地中梁から構成されている。図2に示すように、角形鋼管を使った柱1の場合、仕口部3はダイアフラム5と柱短管(パネルとも言う)6の部品から構成され溶接7により製作され、該仕口部と柱1と梁2が溶接7で接合されている。
鉄骨建築構造を支えているのが、図3で示す基礎10である。この基礎10は、独立基礎、一つの基礎で柱を支える1本又は2本以上の複合基礎、フーチングを連続して形成する布基礎がある。これらの基礎を作ってから柱1を基礎に接続して、建築物と基礎とが一体になるのである。
図3に、従来の独立基礎の上に構築した鉄骨建築模式図を示す。建築は、大略柱1,梁2、接合部即ち仕口部3からなっており、柱1を支持する基礎柱8又は杭18を設置する地盤9を所定深さまで掘削して所定形状の穴を形成させ、穴の所に所定形状の型枠を製作して、コンクリート10を打設して、1週間ほどの養生期間を得て、固まらせる。また、水平材の基礎梁11で基礎間を連結し、建物全体の荷重を支え且つ剛性を上げて不同沈下を押さえているのである。
特願平9−348841の例を示す。図4に、従来型の基礎を改良した杭柱一体型工法の模式図を示す。該工法では、従来のような基礎は使わず、先端につけたスクリュー19で地盤9に鋼管杭18をねじ込んで、該鋼管杭18の地表部分で適当な寸法に上部を切断して一定の高さを確保して杭フランジ16を溶接して、該杭フランジ16と柱ベースプレート12とをスペーサ12Sを挟んでボルト15とナット14で固定する。この場合は地中梁を用いない。
特願2002−052860の例を示す。図3に、柱梁接合部を圧延鋼板等から採取した中実のサイコロ17に柱1及び梁2を溶接接合させるもので、図2に示すような複雑な構造をしていない。また、杭と柱との一体化接合溶接は,これ迄鋼管杭を対象にしている。
特願平9−348841 特願2002−052860 特願2006−326871 特願2014−199149
特許文献1では、次の問題がある。
(1) 杭柱接合部の構造は従来の柱梁接合部に比べて構造が複雑である。高さ調整用のスペーサなど調整に手間が掛かる。
(2) 柱の水平位置の調整が難しい
(3) 杭フランジ部16の大きな剛性と強度を確保するのが難しい。
(4) 表層地盤が弱いと単独鋼管杭では柱の曲げ耐力に対し弱い。
(5) 地震や風荷重による水平荷重に対し、地中梁又は基礎梁がないと柱の曲げに対する均一な加力が難しい上に耐力及び柱の変形角を確保することが難しくなる。
特許文献2では、次の問題がある。
(1) 仕口部の構造が単純で、製作工数も少なく強度も高いが、土木基礎精度に対応した部材間の位置調整ができない。
(2) 工場製作には良いが、固定した鋼板等中実鋼材の現場溶接性が悪い。
特許文献3及び4では、次の問題がある。
(1) 円形の鋼管杭の上部即ち杭天の上に矩形断面の角形鋼管を取り付けには矩形は辺に比べて約1.5倍の寸法が必要であるために、矩形で且つ杭径より大きな中実鋼材を溶接接合で取り付ける必要があり、そのため上向姿勢で溶接施工をする必要があり,これでは作業性に困難を伴う。
(2) 鋼管杭の内外に中実鋼材を溶接接合する場合は内外の中実鋼材が分断されているので柱に大きな軸力が発生する場合は中実鋼材に強度が不足する場合がある。
(3) 杭施工の精度が良くないために、厚板の中実鋼材を用いてその厚みで杭天位置の調節を行うと大きな費用が掛かるので中実鋼材の代わりに円形の接続鋼管を用いるが、外径が円形の接続鋼管を用いると該接続鋼管の入手納期が長く掛かる場合が多い。
(4) この円形の接続鋼管を用いるとこの接続鋼管の上に矩形断面の角形鋼管柱を取り付けには矩形は辺に比べて約1.5倍の寸法が必要であるため、この接続鋼管と中実鋼材は工場で溶接接合出来るので溶接が容易である反面コストが高くなる。
(5) コンクリート杭でも上記鋼管杭と同様な問題がある。コンクリート杭では一般に鋼管杭よりも外径が大きく、その分問題はより深刻である。
その他に、鉄骨梁や鉄骨柱脚を地中に埋設した場合は水分等のよる鋼材の腐食が問題になることがある。また、中実鋼材や端板との重ね合わせ部に隙間が出来て柱軸力が十分伝わらないことがあり得る。
特許文献1〜4及び一般的に、地中梁又は基礎梁を用いる事により柱の曲げに対する耐力及び柱の変形が容易に確保される。しかし、地震や風荷重による水平荷重に対し、地中梁又は基礎梁がないと剛床仮定が成り立たなくなり、柱の曲げに対する均一な加力が難しい上に柱の一様な耐力・剛性及び柱の層間変形を確保することが難しくなる。
このようなコンクリート杭における諸課題は種々研究した結果、杭天の端板に載せる円形鋼管又は中実鋼材の杭と接する中実鋼材下部の外径が杭外径と同等にすることで建設現場における困難を伴う上向き溶接姿勢の施工が不要になり、且つ接続鋼管の取付け位置を杭天端板に直接取り付けていた従来方法と異なり、杭天端板上の中実鋼材の上に接続鋼管を載せて、その載せる接続鋼管形状を通常用いる柱と同じ形状の矩形又は角形鋼管にする事が出来て、該接続鋼管の納期を短縮することが出来る。
また、地中梁の省略は、前述のように、地震や風荷重による水平荷重に対し、地中梁又は基礎梁がないと剛床仮定が成り立たなくなり、柱の曲げに対する均一な加力が難しい上に柱の一様な耐力・剛性及び柱の層間変形を確保することが難しくなる。そこで、地中梁がなくても、剛床仮定が成り立つように、地盤の水平反力を利用して各柱の基礎を大きくするか、又は一階床をスラブ構造とするか、又は表層地盤改良を行い、地盤強度を高めるか、又はこれらの二つ以上の組合せを行う事で達成される。
請求項1の発明の構成は次の通りである。
(1) コンクリート・鉄骨柱・梁とからなる建築構造物の柱脚部を対象とする。
(2) 杭天と柱下端の間に鋼製の単数又は複数の中実鋼材を介在させる。
(3) 杭をコンクリート杭例えばPHC杭、CPRC杭、SC杭等とする。
(4) 該柱下端と該中実材及び該中実材が複数時の中実材同士及び該中実材と該柱下端とを溶接で接合させる。
(5) 杭天・中実材・柱下端からなる柱脚部を鉄筋コンクリートの基礎体18Bで囲い固める。
本発明の新規性は、溶接で一体化された杭頭部・中実鋼材・柱下部を包含して鉄筋コンクリートブロックで囲い固めた基礎体で、地震時の水平力を地盤に広く分散し柱の傾きを抑えるつまり柱層間変形角を低く抑えることにある。併せて、
請求項1に次の特徴がある。
(1) コンクリート杭端板の上に重ねて、中実鋼材最下部の外径が杭外径とほぼ同等な平面視円形断面の圧延・鍛造又は鋳造による部材からなる中実鋼材又は鋼管を該端板と溶接接合させること。
(2) 杭が建設地の現場施工である為に、中実鋼材最下部の外径が杭外径とほぼ同等にしているのは互いに溶接が建設現場で横向き溶接出来るようにするためである。平面視において矩形でなく円形の中実鋼板又は鋼管を用いて溶接性を向上できるのが新規性である。
(3) また、通常用いる端板(通常板厚20mm程度)よりも大きい板厚凡そ40mm以上の端板で該中実鋼材の代わりとすることも出来る。
(4) 該中実鋼材の上に円形鋼管、角形鋼管又はH形鋼の柱を溶接で取り付けることである。この柱の取付けは、工場溶接でも現場溶接でも良い。
(5) この中実鋼材の上面で、杭芯ズレを杭芯と接続鋼管との水平位置の調整を行う。
杭天の高さレベルは予め長めに用意しておいた接続鋼管を切断して調整する。
(6) 従来との柱脚部の違いは、杭の施工時の芯ズレを中実鋼材の上面積の広さを利用することであり、杭の施工時の杭天の高さ(レベル)誤差は、接続鋼管を用いて行うことであり、杭と柱の形状の相違を中実鋼材の上面積の広さを利用することであり、更に、この接続鋼管の位置を中実鋼材の上に取り付けることである。
(7) 従来との基礎部の違いは、柱脚部に対して杭と柱とを中実鋼材を介して全溶接で接合する事に加えて、該柱脚部を鉄筋コンクリートで囲い固めた基礎体、地盤改良、コンクリート等の床スラブと一体化することである。
(8) 本請求項は、地盤耐力が比較的高いか又は上部構造の荷重が低い場合に有効である。上部構造の荷重が高くなるにつれて、基礎体を大きくするか又は地盤改良による地盤耐力を増加させるか、又は鉄筋コンクリート床スラブの耐力を向上させることに特徴がある。
請求項2に係る発明の構成は請求項1に改良を加えて次の通りの構造体とすることである。
(1) 杭径及び柱径より大きい径の複数の中実材同士の接合を溶接接合ではなく、メタルタッチ又はボルト接合させることである。
(2) 柱の引張又は圧縮に見合った軸力及び水平力に対する耐力の一部又は全てを鉄筋コンクリートで確保する。
本発明の新規性は、複数の中実材同士のメタルタッチ又はボルト接合強度を基礎体11Bと称する鉄筋コンクリートブロックで確保することにある。
請求項3に係る発明の構成は請求項1及び2に対して次の通りである。
(1) 基礎体の上部及び地盤の上に床荷重を負担する構造体として、鉄筋コンクリートにより作られている床スラブを設けたことを特徴とする柱脚構造体
(2) 地盤の上に床構造として、床面に垂直な荷重を負担させ、且つ、柱脚部に対し地震時の水平力を支える基礎体を設置したことを特徴とする柱脚構造体
本発明の新規性は、杭頭・中実材・柱下部に掛かる地震時の水平力や剛床仮定を可能にする床剛性を、鉄筋コンクリート床スラブで確保し且つ柱の層間変形角を抑えることである。
請求項4に係る発明の構成は、請求項1から請求項3の何れか一つに係る発明に加えて、次の通りである。
(1) 建築物を軟弱地盤上に構築するにあたり、人工的な地盤改良を加えることを特徴とする建築構造体
(2) 地盤の強度を向上させて安定性を保つため、弱い地盤に対し、置換、浅層混合、深層混合、載荷、脱水、締固めなどの処理を行うことを特徴とする建築構造体
本発明の新規性は、溶接一体化された柱脚部、該柱脚部を囲い補強する基礎体に加えて弱い地盤の補強を行い、該基礎体の水平力を確保することである。
請求項5に係る発明の構成は、請求項3の構成に加えて、
鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体を中空とするか又は下方に開いた形状とし鉄筋コンクリート量を低減させることを特徴とする構造体
請求項6に係る発明の構成は、請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明に加えて、
柱下部、中実厚鋼板及び杭と、鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体、鉄筋コンクリート床スラブとの間にエラストマーなどの弾性ゴムを挟み込み、柱及び柱脚部の傾き即ち層間変形の制御を可能にすることを特徴とする柱脚部構造である。
本発明の新規性は、基礎体やコンクリートスラブに掛かる地震水平力によって発生する杭や柱に掛かる過大なモーメントをピン継手又は半剛性継手として緩和することである。これにより杭や柱の強度を低減させこれらの部材の軽減に役立たせることが出来る。
請求項7に係る発明の構成は、請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、柱脚部及び地中梁の水分等に対する防食塗膜の一様伸び率性能(延性)が1%以上の塗料を塗布する構成を特徴とする柱脚構造である。
本発明に係る効果は次の通りである。
請求項1では、次の効果が得られる。
(1) (イ)ボルトや鉄筋やコンクリートを使わず、柱肉厚より大きい厚板40〜100mmの中実鋼材を用いているので大きな柱軸力や曲げモーメントに耐えられる。
(ロ)鉄筋コンクリート基礎体で柱脚部を囲い固めることで、地震による水平力を基礎体で受けて杭及び柱の変形を抑え、柱の層間変形角を抑えて、上部構造の柱梁接合部のモーメント及び変形を抑えて建物を安定させる。
(ハ)従来の鉄筋コンクリート地中梁を使わないので、地盤の掘削・土留め・鉄筋・型枠・コンクリートとその養生が不要で大幅な建設工程・工期の短縮とコストの低減と人手不足対策に役立つ。また、地中梁設置のための地盤の掘削が不要になるので、鉄骨建て方中の建設機械の移動が容易となり、この点に於いても建設工期の短縮とコストの低減と人手不足対策に役立つ。
(ニ)鉄筋コンクリート基礎体で柱脚部を囲い固めることで、杭頭及び柱脚部の防食に役立つ。
(2) 請求項2では、鉄筋コンクリート基礎体の囲い固めで複数の中実鋼材間の溶接接合が不要で、複数の中実鋼材間のメタルタッチ又はボルト接合で中実鋼材の端板間の接合が可能になり、杭芯ズレ調整が容易になると共に該接合作業が容易になる。杭の芯ズレが大きい場合は、ボルト接合では、ボルト接合後中実鋼材と柱下端を現場溶接する。また、該基礎体で地震による水平力を受け止めることが出来て安定な建築構造体が得られる効果がある。
(3) 請求項3では、請求項1及び2に加えて鉄筋コンクリート床スラブを用いれば、請求項1及び2よりも軟弱地盤に対して、より大きな床荷重に耐えて、より大きな地震時水平力荷重に対して床の剛性の高い剛床仮定が成り立ち建物構造計算を容易にさせて建物の層間変形角を安定させてより安全な建物を得ることが出来る。さらに、鉄筋コンクリートスラブ床構造で軟弱地盤の不同沈下の軽減に役立つ。
(4) 請求項4では、請求項1又は2又は3の場合よりもさらに軟弱地盤に対して、より大きな床荷重に耐えて、より大きな地震時水平荷重に対して床の剛性の高い剛床仮定が成り立ち建物構造計算を容易にさせて建物の層間変形角を安定させてより安全な建物を得ることが出来る。地盤の不同沈下の軽減に役立つ。
(5) 請求項5では、請求項3に対して基礎体を中空又は下方に開いた形状とすることで基礎体のコンクリート量を軽減しコスト低減に役立つ。
(6) 請求項6では、請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明において、柱下部、中実厚鋼板及び杭と、鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体、鉄筋コンクリート床スラブとの間にエラストマーなどの弾性ゴムを挟み込み、柱及び柱脚部に働く曲げモーメントを制御し適正化し、柱の傾き即ち層間変形の適正化を可能にする。ひいては建物を安定化させる。
従来の建築鉄骨構造図の一例 従来の角形鋼管柱を使った建築鉄骨柱梁接合部即ち仕口部 従来型の基礎の上に構築した鉄骨建築模式図 従来型の基礎を改良した杭柱一体型の模式図 コンクリート杭端板に杭外径と同等径の中実鋼材を溶接接合した場合の柱脚部 中実鋼材に側面をテーパにした場合の柱脚部 中実鋼材を上下2段にした場合柱脚部で下部中実鋼材を杭外径と同等かまたはより小径にする。上部中実鋼材形状を柱外形状に合わせて柱及び杭よりも大径にする。 コンクリート杭端板に杭外径と同等径の中実鋼材を溶接接合した場合の柱脚部 コンクリート杭端板に杭外径と同等径の中実鋼材を溶接接合した場合の柱脚部で地中梁を省略し土間コンクリートを地盤上に敷設した場合のモデル図 鋼管杭に杭外径と同等径の中実鋼材を溶接接合した場合の柱脚部で地中梁を省略し土間コンクリートを地盤上に敷設した場合のモデル図 コンクリート杭に杭外径と同等径の中実鋼材を溶接接合した場合の柱脚部で地中梁を省略し柱脚部に囲い固めた基礎体を設置しさらに土間コンクリートを地盤上に敷設した場合のモデル図。(A)は単一の中実鋼材を用いた場合で、中実鋼材の上部高さHの箇所に溶接継手を設けゼロ節6Aを設置したもの。中実鋼材はくい外径よりも大きくすることも出来る。(B)は杭天と中実鋼材との間に鋼管を挿入した場合である。この場合、中実鋼材は通常4角でその径は杭外径よりも大きくとる。 中実鋼材を上下2枚にして、互いにボルト接合されて、2枚の中実鋼材はそれぞれ杭及び柱下端と溶接される。 鋼管杭を用い、中実鋼材を上下2枚にして、互いにボルト接合及び溶接接合無しでメタルタッチにして、2枚の中実鋼材はそれぞれ杭及び柱下端と溶接される。必要に応じてメタルタッチを確実にするために軟質の金属をスペーサとして挿入することも可能である。また、2枚の中実鋼材の間に高強度セメントモルタルを挿入することも必要に応じて行う。 図13の2枚の中実鋼板の 取付け方の詳細を示す図である。 柱脚部の周囲を鉄筋コンクリートで囲い固め基礎体を造り更に基礎体及び地盤の上に鉄筋コンクリートスラブを敷設した構造体のモデル図 地盤改良を行った上、柱脚部の周囲を鉄筋コンクリートで囲い固め基礎体を造り更に基礎体及び地盤の上に鉄筋コンクリートスラブを敷設した構造体のモデル図 図16で基礎体の内部を空洞にするか下方を解放した場合のモデル図 柱脚部の周囲を鉄筋コンクリートで囲い固め基礎体を造り更に基礎体及び地盤の上に鉄筋コンクリートスラブを敷設した構造体のモデル図で、柱脚部と基礎体・コンクリートスラブとの間に弾性ゴム又はエラストマーを介在させた構造体を示す。 鋼管杭を使った柱脚部の周囲を鉄筋コンクリートで囲い固め基礎体を造り更に基礎体及び地盤の上に鉄筋コンクリートスラブを敷設した構造体のモデル図
図5〜図8に示す中実鋼材を使った杭を含めた柱脚部構造体については、既知である。また、図9に示すこれらを使った地中梁なしの柱脚部直方体中実鋼板、及び図10に示す地中梁無しのKKリング方式のリング状の中実鋼材を使った杭を含めた柱脚部については容易に想定出来る構造体である。これらの図9及び図10の場合は、上部構造物の大きさと荷重によるが、標準貫入試験(JIS A 1219)により求められる地盤の硬さを表す指標N値が大凡10以上で50以下の場合に適用する。
請求項1に係る実施の形態の説明図の一例を図11に示す。
図11(A)及び(B)において、コンクリート杭天(端板)の上に重ねて外径が杭外径とほぼ同等か又は大きい円形断面の圧延・鍛造又は鋳造による部材からなる中実鋼材を該端板と溶接接合させて、該中実鋼材の上に円形鋼管、角形鋼管又はH形鋼の柱を取り付けることを特徴とする柱脚構造に対して次の構成を加える。
図11(A)では、図5の柱脚モデルから地中梁を省略して柱脚・中実鋼板・杭頭部分を包含した鉄筋コンクリート基礎体11Bを構築して、さらに地盤5Gの上に土間コンクリート10Dを設けて該基礎体と一体化させたものである。該基礎体11Bの大きさは大凡深さ(厚さ)300mm〜1000mm、平面視の4角又は円形の300〜6000mmであり、この土間コンクリート10Dには通常鉄筋径10mm〜16mmをメッシュ状にピッチ150mm〜200mmで一層設ける。この基礎体11Bの側面である受圧面は柱脚部側面より大きくすることが出来て、主に地盤からの水平力を広く確実に受けて柱脚部に伝達し柱を経て上部躯体の安定に役立てるものである。
この基礎体18Bがないと地盤が弱い場合に地震による水平力で地盤が変形して該水平力を柱脚部に伝達できず柱が大きく傾いて柱の層間変形角を大きくし上部構造体が不安定になる。尚、地盤掘削のために該基礎体側面に勾配を付けることが出来る。
図11(A)では、中実鋼材17の上面と上部柱間に角形鋼管6A等の接続鋼管(これを長めにするとゼロ節とも言う)が溶接されている。この接続鋼管6Aは円形鋼管だけでなく矩形断面鋼管(角形鋼管等)やH形鋼も用いることもできる。また、接続鋼管6Aの上部と本柱との間につまり7Cの位置に中実鋼材を用いればこれらの上下部材のサイズを変えることが出来る。
一般に、杭は打設時に杭天の高さ(レベル)及び杭芯のズレδが発生する。この杭天の高さ(レベル)を予め用意しておいた接続鋼管の長さHの調節(例えば精度プラスマイナス50mm)で梁11のレベルを図面通りのレベルを確保する。杭芯ズレは中実鋼材17の上面積の範囲内で接続鋼管6Aの位置をδだけずらせて調節する。この図の場合は大きな芯ズレを調整できないが、中実鋼材17の外径が接続鋼管6Aの外径よりも十分大きい場合(例えば100mm程度)はこの芯ズレの調節が容易に出来る。
尚、図11(B)に、中実鋼材17とコンクリート杭18との間に鋼管又は接続鋼管18SPを設けて杭頭に掛かる局部的な曲げモーメント等の応力に対する補強や溶接施工性の向上や杭天レベル位置の調整を行うことが出来る。該接続鋼管18DSPを用いることでより強度の低い安価なコンクリートの使用を可能にする。
尚、杭として鋼管杭、コンクリート杭、鋼管・コンクリート杭の既製杭又は場所打ちコンクリート杭を用いる。
請求項1に係る実施の形態の説明図のもう一つの図12に示す。
図11において互いに溶接が接合された杭天と柱下端の間に直方体又は円盤状の中実鋼材の代わりに、2枚の中実鋼材を上下にボルト接合させる場合である。
請求項2に係る実施の形態説明図を図13に示す。
図13では、杭径及び柱径より大きい径の複数の中実材の接合を溶接接合ではなく、メタルタッチ接合させていることである。
鋼管杭打設後に高止まりさせた杭頭部を建設現場で切断して、杭天を所定のレベルに調節する。その後、図14(A)に示すように、鋼管杭天と下側中実材は図に示すように建設現場でスロット溶接する。その方法は、2枚の中実鋼材は、手順として下側中実材と杭天を先に現場溶接し、その後図14(B)に示すようにその上に上側の中実鋼材を置いて杭芯ズレを調節した後、該上側中実材と柱下端を現場溶接する。
尚、中実鋼材や端板との重ね合わせ部に隙間が出来て柱軸力が十分伝わらないことがあり得る。この隙間を埋めて部材をなじませるために部材の降伏点よりも小さい降伏点を持つ純鉄や極軟鋼材料を上下中実鋼材の重ね合わせ部に挟み込み溶接収縮応力と軸荷重でこの隙間を埋めて部材をなじませる。この純鉄や極軟鋼材料の厚みは0.1〜3mm程度である。
また、2枚の上下中実鋼材の間に高強度モルタルを挿入し互いに密着性を良くして応力伝達を均一且つ向上させることを特徴とした柱脚構造とすることができる。また、2枚の上下中実鋼材の間に金属粉を介在させることも可能である。
これは、杭端板及び/又は中実鋼材の面間で表面状況が均一でない場合に、鋼材表面の凹凸をなじませると面間の応力伝達を均一にして伝達効率を上げることが出来る。
コンクリート杭端板の上に重ねて載せる中実鋼材の形状を上方広がりのテーパを取り付けるか又は下部を杭外径と同等の外径として上部を該杭の外径より大きい円形断面又は矩形断面を保有する上下段付きの形状とする柱脚構造体も必要に応じて実施する。
請求項3に係る実施の形態の説明図を図15に示す。
請求項1及び請求項2において、N値2〜10の弱い地盤に於いて、コンクリート杭天に外径が四角又は円形の中実鋼材を溶接接合させてさらに該中実鋼材の上に柱下端を現場溶接接合させて製作した柱脚部を囲い固定した基礎体18B及び該基礎体と一体化させた鉄筋コンクリート床スラブを設ける。鉄筋コンクリート床スラブには2段以上の複数の鉄筋層を敷設する。床スラブには地盤との間で一定の摩擦係数により地震による水平力の負担も可能になる。
そのことにより、地盤の上に床スラブ構造として、床面に垂直な荷重及び地震による水平力63を負担させ、且つ、柱脚部に対し地震時の水平力を支える基礎体18Bを設置したことを特徴とする柱脚構造体を構築する。
請求項4に係る実施の形態の説明をする。
本発明に係る説明図を図16に示す。本発明は地盤が弱くN値が0〜10程度で且つ地盤支持層の深さが20m以上あるような場合に適用する。本発明では、請求項1、2又は3に加えて地盤改良を行う。
地盤改良は、地盤の強度を向上させて安定性を保つため、特にこのように弱い地盤に対し、置換、浅層混合、深層混合、載荷、脱水、締固めなどの処理を行う。
請求項5に係る実施の形態の説明をする。
本発明に係る説明図をコンクリート杭を使った図17及び鋼管杭を使った図19に示す。
本発明では、請求項3の構成に加えて、鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体11Bを中空とするか又は下方に開いた形状と士鉄筋コンクリート量を低減させることを特徴とする構造体とする。たとえば、該基礎体を下方に開いた形状とする場合、平面視4角の基礎体を外径4000〜6000mm角とし、その厚さを300〜1000mm程度し、内径を1500〜4500mmとし、空洞部の深さを200〜4000mmとする。但し、これらの寸法は建築構造物の大きさ・荷重・地震力、地盤の硬さ・土質などにより設計上変わりうるものである。
請求項7に係る発明実施の形態の説明をする。
鉄骨梁や鉄骨柱脚を地中に埋設した場合は水分等による鋼材の腐食が問題になることがある。このような場合地中部材を現在鉄筋コンクリートで被覆するかメッキ塗装をする。何れにしても高価で施工日数が掛かる。鉄筋コンクリートで被覆しても構造荷重や変形で鉄筋コンクリートにひび割れして中性化し鋼材が腐食する恐れがある。また、鉄筋コンクリートでは掘削・鉄筋・型枠・コンクリート施工費が大きく掛かるという問題がある。コンクリート被覆は慣習的に用いられている状況である。メッキにしても高価で工期が掛かるという問題がある。
これに対して、塗装ではこれらの問題が解決できるが、地震等で建物に大きな荷重や変形が部材に掛かった場合に塗膜の変形(伸び率等)に耐える必要がある。この塗膜の変形はゴム系、タールエポキシ系等の塗料が有効である。
請求項1乃至3において、請求項1,2又は3に加えて、柱脚部及び地中梁の水分等に対する防食に塗膜の一様伸び率が1%以上の塗料を塗布することを特徴とする柱脚構造とする。塗膜の一様伸び率が1%以上としたのは、鉄骨の保有耐力の構造設計で部材に一様な降伏変形0.2%が発生した場合にも問題ないように部材に局部応力集中が5倍掛かることを想定している。
1 鉄骨柱
1 鉄骨1階上部柱
1B 鉄骨1階下部柱
1C 鉄骨基礎埋込柱脚部
2 建築鉄骨梁
3 建築鉄骨梁仕口部
4 鉄骨建築基礎
4G 鉄骨建築基礎梁
5 ダイアフラム
6 柱短管(パネル)
6A 接続鋼管(角形)
7 溶接又は溶接部
7B 突合せ溶接部
7F すみ肉溶接部
7S スロット溶接
7C 1階柱同士の溶接継手(現場溶接継手)
8 基礎柱又は基礎杭
8C コンクリート杭
9 地盤又は改良地盤
9A 支持力のある地盤
9B 掘削部
10 コンクリート基礎又は定盤
10A 捨てコンクリート
10C 杭コンクリート
10D 土間コンクリート
11 基礎梁、地中梁
11B基礎体(柱脚・中実材・杭頭を囲い固める鉄筋コンクリートブロック)
11F 梁フランジ
11W 梁ウエブ
12 ベースプレート
12S スペーサ
13 アンカーボルト
14 ナット
15 ボルト
16 杭フランジ
17 サイコロ又は中実鋼材
17A リング状中実鋼材又はアウターリング(外ダイアフラム)
17C 中実鋼材下部カット部
17B 鋼管又は鋼管杭
17D 中実鋼材下部
17H 貫通孔
17J 別の貫通孔
17T 中実鋼材外周部テーパ
17U 上部中実鋼材
18 鋼管杭又はPHC杭、PRC杭、SC杭に代表されるコンクリート杭を接合させたもの等
18E コンクリート杭端板
18P コンクリート杭の外殻鋼管
19 スクリュー羽根
20 ルーズ裏当金又はルーズ短管又は水平ディスク
21 仮止めピース(ウマ)
22 テーパ
23 パネル(仕口部)
24 プレビード(肉盛)
25 開先
26 柱1の中心線
27 杭18の中心線
28 H形鋼又は角形鋼管又は鋼板による梁
29 剛接合柱又はピン接合の間柱
30 中実鋼材の上面に溶接接合させたフランジ
31 柱の下面に溶接接合させたフランジ
32 鋼板製垂直翼
33 鋼板又はH形鋼又は角形鋼管製水平翼
34 垂直翼及び水平翼を取り付ける鋼管
35 鋼管杭に掛かる鉛直力(又は軸力)
35C 柱軸力
36 鋼管杭に掛かる曲げモーメント
37 ブレース
38 ルーズ裏当金又はルーズ短管又は水平ディスク
39 裏当金
40 仮付溶接
41 上下の高さ調整
42 左右の位置調整
43 インナーリング
44 鋼管杭側面に取り付けた鋼板又はらせん板
45 円板
46 スティフナー
47 組立用ストッパー
48 セメント又はコンクリート又は鉄筋コンクリート
49 ラップルコンクリート
50 円筒形又は多角形容器
51 仮設リング
52 下盛り溶接
53 カットティーハンチ
54 底版
55 支持層
56 地盤改良又は捨てコンクリート
57 アンカー
58 軟弱地盤
58A 改良地盤
58G 地盤(通常のいわゆる地盤)
59 埋め戻し土又は改良土又は鉄筋コンクリート
60 RC(鉄筋コンクリート)基礎梁
61 鉄筋
62 セメントモルタル
63 地震による水平力
64 鉄筋コンクリート床スラブ(略してスラブという)
65 弾性ゴム又はエラストマー

Claims (7)

  1. コンクリート杭・鉄骨柱・梁とからなる建築構造物の柱脚部において、
    杭天と柱下端の間に鋼製の単数又は複数の直方体又はリング状の中実材を介在させて、該柱下端と該中実材及び該中実材が複数時の中実材同士及び該中実材と該柱下端とを溶接で接合させたうえで、杭天・中実材・柱下端からなる柱脚部を鉄筋コンクリートの基礎体で囲い固めることを特徴とする構造体
  2. 請求項1に係る発明において、
    コンクリート杭と、鉄骨柱・梁とからなる建築構造物の柱脚部において、
    杭天と柱下端の間に鋼製の単数又は複数の中実材を介在させて、該柱下端と該中実材及び該中実材と該柱下端とを溶接で接合させ、上下に重ねた複数の該中実材同士をメタルタッチさせるか又はボルト接合した上で、杭天・中実材・柱下端からなる柱脚部全体を鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体を構成することを特徴とする構造体
  3. 請求項1又は2に係る発明において、基礎体の上部又は側面に対し、地盤の上に床構造として、床面に垂直な荷重を支える鉄筋コンクリートにより作られている床スラブを設け柱脚部に対し地震の水平力を支えたことを特徴とする柱脚構造体
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明において、
    建築物を軟弱地盤上に構築するにあたり、地盤の強度を向上させて安定性を保つため、置換、浅層混合、深層混合、載荷、脱水、締固めなどの処理により、人工的な地盤改良を加えることを特徴とする建築構造体
  5. 請求項3に係る発明において、
    鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体を中空とするか又は下方に開いた形状とすることを特徴とする構造体
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明において、
    柱下部、中実厚鋼板及び杭と、鉄筋コンクリートで囲い固める基礎体、鉄筋コンクリート床スラブとの間にエラストマーなどの弾性ゴムを挟み込み、柱及び柱脚部の傾き即ち層間変形の適正化を可能にすることを特徴とする柱脚部構造
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに係る発明おいて,柱脚部及び地中梁の水分等に対する防食に塗膜の伸び率が1%以上の塗料を塗布することを特徴とする柱脚構造
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