JP3160293B2 - 積層成形品の製造方法 - Google Patents

積層成形品の製造方法

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JP3160293B2
JP3160293B2 JP51731895A JP51731895A JP3160293B2 JP 3160293 B2 JP3160293 B2 JP 3160293B2 JP 51731895 A JP51731895 A JP 51731895A JP 51731895 A JP51731895 A JP 51731895A JP 3160293 B2 JP3160293 B2 JP 3160293B2
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悟士 松本
敏文 嶋崎
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/14Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor incorporating preformed parts or layers, e.g. injection moulding around inserts or for coating articles
    • B29C45/14778Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor incorporating preformed parts or layers, e.g. injection moulding around inserts or for coating articles the article consisting of a material with particular properties, e.g. porous, brittle

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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、自動車の内装品等に利用できる積層成形品
の製造方法に関し、詳しくは、表面に表皮面材が一体化
され、一体化した表皮面材により、感触の改善、外観の
高級化、および、安全性の向上等を図ることができる積
層成形品の製造方法に関する。
背景技術 従来より、自動車の内装品(例えば、屋根やドアの内
側、座席シート)等として、表面が表皮面材で被覆され
た積層成形品が利用されている。この積層成形品によれ
ば、表面の表皮面材により、成形品の品質を改善でき
る。
例えば、起毛のある布地や、厚みのある布地等を成形
品の表面に貼り付けることにより、良好な感触を得るこ
とができるうえ、外観の高級感を向上できる。
また、クッション性を有する厚手のシート材を貼り付
ければ、搭乗者に対する安全性を向上できる。
このような積層成形品の一部は、予め表皮面材を配置
しておいた金型内に、溶融状態の樹脂を充填する射出成
形で一体成形される。一体成形により、表皮面材を貼り
付ける手間が省けるので、その製造効率を向上すること
ができる。
このような積層製品の成形方法としては、射出圧縮成
形法および射出プレス成形法等の射出成形法、ならび
に、フロースタンピング成形法などが採用できる。
しかしながら、これらの成形方法には、次のような問
題がある。
すなわち、射出成形法では、第16図に示されるよう
に、金型に溶融状態の樹脂を充満させるために、時刻t1
において金型の型締めが開始される。この型締めにより
金型に加わる圧縮力は、射出成形が完了する時刻t5まで
の間、所定の圧力値SPに維持されるので、樹脂の充満が
完了すると、表皮面材は、樹脂と金型とに挟まれた状態
で金型内の樹脂の内圧により圧縮され、押し潰される。
このため、表皮面材が布等の起毛したシート材である
場合には、シート材の起毛が寝てしまううえ、厚みのあ
るものは押し潰されて薄くなる等、シート材が本来有す
る良好な感触や高級感等の特質が損なわれるという問題
がある。
表皮面材がクッション性のあるシート材である場合に
は、表皮面材が高温・高圧の樹脂に押し潰されて溶けて
しまい、金型から取り出した時には、当該表皮面材の特
質であるクッション性が損なわれるという問題がある。
これに対し、成形品の肉厚を厚くして成形時の樹脂の
流動性を向上させることにより圧縮力を低減し、表皮面
材が押し潰されないようにすることが考えられるが、肉
厚を厚くすると成形品の材料費や重量が増大するという
問題が生じる。
一方、フロースタンピング法では、樹脂を金型内に帯
状にして供給することから、圧縮時に金型の内部におけ
る樹脂の最大流動長が短くなるため、圧縮時の樹脂の内
圧を小さくできる。しかし、樹脂を帯状にして金型内に
供給するので、樹脂の供給に時間がかかり、樹脂の表面
が冷却されて固化し易く、一部でも固化すると、固化し
た部分が表皮面材を押し潰したまま全体が固化するた
め、成形品の外観を損なうおそれがあるという問題があ
る。
また、フロースタンピング法では、帯状の樹脂を吐出
するノズルを金型に向かって出し入れする機構を必要と
するが、このような機構は、ノズルの出し入れに時間が
かかって成形サイクルを長くするうえ、制御が複雑とな
り、大掛かりな構造の成形機を必要とするので、製造コ
ストが嵩むという問題もある。
以上のような問題は、自動車の内装品等として用いら
れる積層成形品についてだけではなく、広く一般に表皮
面材で樹脂の表面を被覆する成形品を製造しようとする
場合についても生じる。
本発明の目的は、表皮面材の特質を損なわなずに、当
該表皮面材を一体化する成形が行える積層成形品の製造
方法を提供することにある。
発明の開示 〔発明の構成〕 本発明は、予め表皮面材が配置された金型の内部に溶
融状態の樹脂を充填することにより、前記表皮面材の層
と前記樹脂の層とを積層させた成形品を成形する積層成
形品の製造方法であって、前記表皮面材として、繊維に
より構成された繊維素材シートおよびクッション性を有
するシート材のいずれか一方が採用され、かつ、型締め
する余裕を残して閉鎖された前記金型内に前記樹脂を射
出し、前記金型に前記樹脂が充満するまでは流動に必要
な圧縮力を加えて前記金型の型締めを行い、前記樹脂が
前記金型内の隅々まで充満した後に、前記金型を閉じた
まま前記金型に加えている圧縮力を低下させ、前記樹脂
を冷却することを特徴とする。
以上のような製造方法では、次のような材料、成形装
置、および、成形手順を採用することができる。
(材料) 積層成形品の基部になる樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS(アクリロニ
トリル・ブタジエン・スチレン)、ポリカーボネート、
ポリアミド等の熱可塑性樹脂等を採用できる。これらの
樹脂は、それぞれ単独重合体でも共重合体であってもよ
い。特に、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重
合体(タルク、マイカなどのフィラーや、ガラス繊維、
炭素繊維、有機繊維等の充填材を含有したものを含
む。)を採用するのが好ましい。
さらに、前記表皮表面材としては、繊維により構成さ
れた繊維素材シート、または、クッション性を有するシ
ート材が採用できる。
ここで、繊維素材シートとは、織布、不織布、編布等
の布および紙等、繊維により形成されたシート状のもの
全てをいう。
そして、繊維としては、植物繊維(綿、麻等)、動物
繊維(羊毛、絹等)、鉱物繊維(石綿等)などの天然繊
維、無機繊維(金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等)、
再生繊維、半合成繊維、合成繊維(ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等)などの化
学繊維、および、これらの繊維を混合したもの等が採用
できる。
さらに、繊維素材シートとしては、起毛のあるもの、
あるいは厚みにあるものが高級感の創出性や手触りの良
好性に優れている点で好ましく、特に、織布、不織布、
および、編布等の起毛のある布材が好ましい。
この際、前記繊維素材シートには、成形前に、予め前
記樹脂が前記繊維素材シートに染み込むことを防止する
含浸防止層を形成しておくことが望ましい。
例えば、ポリエステルおよびポリプロピレン等の不織
布には、含浸防止層としてアクリルおよびポリエステル
等のフィルムを積層すればよい。
織布の場合には、布の表裏で目の粗さを変え、溶融樹
脂と接する裏側の目を表側よりも細かくすることによ
り、溶融樹脂が布の表側に染み込むことを防止するよう
にしてもよく、あるいは、繊維素材シートの裏面に合成
樹脂等をコーティングしてもよい。
一方、前記クッション性を有するシート材としては、
薄手の表皮層およびクッション性を有する厚手のクッシ
ョン層を含んで構成される多層シート材を採用するのが
望ましい。
ここで、前記薄手の表皮層としては、ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(以
下「PVC」と略す)等の熱可塑性エラストマ(以下「TP
O」と略す)フィルムが採用できる。
また、前記クッション層としては、ポリプロピレン等
の合成樹脂を発泡させた発泡体が採用できる。
さらに、表皮面材としては、ポリオレフィン、ポリウ
レタン、ポリ塩化ビニルなどのエラストマシート等であ
ってもよい。
(成形装置) 成形装置としては、圧縮時における金型の圧縮力を二
段階以上制御可能な射出圧縮成形機、あるいは、射出プ
レス成形機が採用できる。
金型としては、射出圧縮成形機、あるいは、射出プレ
ス成形機に用いられ、かつ、表皮面材を装着して固定す
るための構造を有するものが望ましい。
(成形手順) 成形手順としては、次の手順が採用できる。
金型を開いた状態で金型内に表皮面材を装着する。
金型を閉じるにあたり、完全に閉鎖する位置よりも所
定寸法だけ手前の位置に移動側の金型を停止させ、この
位置から移動側の金型が後退して型開きしないように、
同金型の後方をブロックしておく。
射出装置で溶融した樹脂を金型内に充填する。
充填の完了の直前もしくは直後に金型に圧縮力を加え
て型締めを開始し、型締めにより内部の樹脂を展延して
金型内に充満させる。
樹脂が金型内に充満した直後に金型に加えている圧縮
力を下げる。
樹脂が冷却固化した後、金型を開いて成形品を取り出
す。
射出が完了したら次の射出成形(次ショット)のため
の予備可塑化を開始する。
(圧縮力の制御) また、金型の圧縮力の制御方式としては、射出開始か
ら成形が完了するまでの各工程に応じて設定値を変える
多段制御方式を採用するのが好ましい。
例えば、金型の圧縮力の各設定値は、第1図に示され
るように、二段階に設定することができる。
すなわち、時刻T1において最初に開始される型締め
は、金型の型締めを行う型締装置の圧縮力の設定値を第
1の測定値SP1に設定した状態で行う。
そして、時刻T3において金型内への樹脂の充満が完了
した後は、型締装置の設定値を第2の設定値SP2に低下
させる。
ここで、時刻T1は、第1図においては、樹脂の充填が
完了する時刻T2の直前の時刻が採用されているが、時刻
T2と同時、あるいは時刻T2の直後の時刻も採用でき、各
設定値SP1,SP2は、その大きさがSP1>SP2となるように
設定される。
なお、表皮面外がクッション性を有する場合には、第
2図に示されるように、型締装置の圧縮力を三段階に設
定することが望ましい。
すなわち、時刻t1において最初に開始される型締め
は、金型の型締めを行う型締装置の圧縮力の設定値を第
1の設定値SP1に設定した状態で行う。
そして、時刻t3において金型内への樹脂の充満が完了
した後は、型締装置の設定値を第2の設定値SP2に低下
させる。
次いで、時刻t4において樹脂のクッション面材側の表
面温度が低下した後は、型締装置の設定値を第3の設定
値SP3に上昇させる。
ここで、時刻t1は、図においては、樹脂の充填が完了
する時刻t2の直前の時刻が採用されているが、時刻t2と
同時、あるいは時刻t2の直後の時刻も採用できる。
また、各設定値SP1,SP2,SP3は、その大きさがSP1>SP
3>SP2となるように設定されている。
〔発明の作用〕
このような本発明では、金型内への樹脂の充満が完了
する以前においては、金型を圧縮する圧縮力は樹脂を流
動させて金型内全体に展延させる力として作用し、表皮
面材を圧縮する力としては作用しないので、樹脂が表皮
面材を押し潰すことはなく、表皮面材が損傷することは
殆どない。
一方、金型内への樹脂の充満が完了した後は、表皮面
材が樹脂と金型とに挟まれた状態となるため、金型を圧
縮する圧縮力は、そのまま表皮面材を圧縮する力となる
が、この時には金型の圧縮力が低下されるので、表皮面
材を圧縮する力が弱められ、表皮面材の損傷が抑制され
る。
ここで、圧縮力を低下させた状態で、樹脂の表面をあ
る程度冷却・固化するので、表皮面材への溶融樹脂の侵
入や表皮面材の溶融が抑制される。
このため、表皮面材が起毛のある繊維素材シートであ
る場合には、起毛が寝てしまうという不都合が防止さ
れ、あるいは厚みのある繊維素材シートやクッション性
のあるシート材の場合には押し潰されて薄くなってしま
うという不都合が防止されるため、表皮面材の特質がそ
のまま維持され、これにより、前記目的が達成される。
この際、金型内に樹脂を充満させる充満工程における
圧縮力の設定値を、樹脂の展延を可能とする充分大きな
圧力値に設定するとともに、その後の冷却工程における
圧縮力の設定値を、溶融樹脂を金型の成形面に押圧して
所定の形状に維持させることが可能な程度に大きく、か
つ、表皮面材が著しく押し潰されない程度に小さく設定
することで、成形品には良好な成形性が確保される。
なお、表皮面材として繊維素材シートを採用する場合
には、成形前に予め繊維素材シートの裏側に当該繊維素
材シートに溶融樹脂が染み込むことを防止する含浸防止
層を形成しておけば、繊維素材シートの特質が確実に維
持される。
また、表皮面材としてクッション性を有するシート材
を採用する場合には、当該溶融樹脂が完全に固化する前
に、一旦低下させた圧縮力を再度高めることにより、金
型内部の溶融樹脂に与えられる保圧力が、シート材のク
ッション性により弱められることがなくなり、前記シー
ト材のクッション性を損なうことなく、成形品に良好な
成形性を付与することが可能となる。
図面の簡単な説明 第1図および第2図は、本発明に基づく型締動作の説
明図であり、第3図は、本発明の第1実施例の射出圧縮
成形機の要部を示す断面図であり、第4図は、前記第1
実施例の成形手順の説明図であり、第5図は、前記第1
実施例の積層成形品の断面図であり、第6図は、本発明
に基づく実験例1の型締動作の説明図であり、第7図
は、従来技術に基づく比較例1の型締動作の説明図であ
り、第8図は、本発明の第2実施例の射出圧縮成形機の
要部を示す断面図であり、第9図は、前記第2実施例の
成形手順の説明図であり、第10図は、本発明に基づく実
験例2の型締動作の説明図であり、第11図は、従来技術
に基づく比較例2の型締動作の説明図であり、第12図
は、前記実験例2の積層成形品の断面図であり、第13図
は、前記比較例2の積層成形品の断面図であり、第14図
は、本発明に基づく実験例3の型締動作の説明図であ
り、第15図は、従来技術に基づく比較例3の型締動作の
説明図であり、第16図は、従来技術における型締動作の
説明図である。
発明を実施するための最良の形態 〔第1実施例〕 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第3図には、本実施例の射出圧縮成形機1の要部が示
されており、この射出圧縮成形機1は、合成樹脂を射出
する射出装置10と、成形用の金型20と、図示されない型
締装置とを備えている。
射出装置10は、筒状のバレル11の内部に溶融状態の合
成樹脂30を混練するスクリュウ12を設けた構成となって
いる。バレル11の先端にはノズル13が設けられている。
そして、射出装置10は、ノズル13を金型20のブッシュ
21に接続してノズル13から溶融樹脂30を射出することに
より、金型20の内部に溶融樹脂30を充填するようになっ
ている。
金型20は、第3図中右側の固定金型部20Aと、左側の
可動金型部20Bとに分割されている。
固定金型部20Aは、溶融樹脂30を成形する成形面22を
突出させた雄型であるとともに、射出圧縮成形機1に移
動不可能に固定された金型である。この固定金型部20A
には、前記のブッシュ21が設けられている他、金型20内
に溶融樹脂30を導入するスプルー23が中央部分を貫通し
て設けられている。
可動金型部20Bは、表皮面材を介して溶融樹脂30を成
形する成形面24を凹状に窪ませてキャビティ25を形成し
た雌型であるとともに、射出圧縮成形機1に移動可能に
設けられた金型である。なお、キャビティ25の深さ寸法
Dは、金型20で成形される成形品の厚さ寸法に応じて設
定されている。
金型20の可動金型部20Bの第3図中左側には、図示さ
れない型締装置が配置されている。
この型締装置は、可動金型部20Bを固定金型部20Aに向
かって移動させて金型20の型締を行う装置であり、その
移動時に作用する圧縮力は、最大圧縮力の0〜100%の
範囲で連続的に調節できるようになっている。この型締
装置を駆動することにより、キャビティ25の内部に充填
した溶融樹脂30を展延させるとともに、展延完了後には
溶融樹脂30に内圧が与えられるようになっている。
また、この際に溶融樹脂30に与えられる内圧は、溶融
樹脂30を成形面22,24に押圧して所定の形状に維持する
ものであり、良好な成形性を得るためには欠かせない力
となっている。
可動金型部20Bの第3図中右側の側面には、後述する
積層成形品の表面を覆う表皮面材41の装着・固定を行う
取付部27が設けられている。
表皮面材41は、織布、不織布および編布等の起毛のあ
る布等からなる繊維素材シート41Aと、この繊維素材シ
ート41Aの樹脂充填側(第3図中右側)にラミネートさ
れた不織布やフィルム等からなる含浸防止層41Bとを備
えている。この含浸防止層41Bは、成形時に溶融樹脂30
が繊維素材シート41Aの層に含浸することを防止するた
めに形成されている。
取付部27は、キャビティ25の周縁に所定間隔毎に立設
されたピンであり、表皮面材41を貫通することにより、
表皮面材41を可動金型部20Bに装着・固定するものであ
る。
このような本実施例においては、以下のような手順に
より射出圧縮成形を行って積層成形品40を成形する。
先ず、金型20を開き、第4図(A)に示されるよう
に、可動金型部20Bに表皮面材41を装着した後、金型20
を閉じる。
この際、完全閉鎖位置よりも所定寸法(例えば、5〜
15mm程度)手前の位置で可動金型部20Bを停止させ、こ
の位置から可動金型部20Bが後方に移動して型開きしな
いように、可動金型部20Bをブロックしておく。
次いで、射出装置10を駆動し、第4図(B)に示され
るように、溶融樹脂30を金型20のキャビティ25の内部
に、表皮面材を介して充填する充填工程を開始する。
そして、この充填工程の完了の直前若しくは完了直後
に、型締装置を駆動して金型20に圧縮力を加えて型締
し、この型締めにより溶融樹脂30をキャビティ25内に展
延して充満させる充満工程を開始する。
その後、第4図(C)に示されるように、溶融樹脂30
が金型20のキャビティ25の隅々まで充満したら充満工程
を完了させる。この充満工程の完了後速やかに、表皮面
材41が押し潰されないように金型20に加わっている圧縮
力を下げ、冷却工程を開始する。この冷却工程において
は、溶融樹脂30を所定の形状に維持させるために必要な
圧縮力下で溶融樹脂30の冷却・固化が行われる。
冷却工程において溶融樹脂30の冷却固化が完了した
ら、金型20を開いて積層成形品40を取り出す。
第5図には、このようにして得られた積層成形品40の
断面が示されている。
積層成形品40は、繊維素材シート41Aの層および含浸
防止層41Bからなる表皮面材41の層と、溶融樹脂30が冷
却固化されて形成された基部42の層とが積層された構造
となっている。
なお、射出が完了したら次の射出成形(次ショット)
のために溶融樹脂30を可塑化する可塑化工程を開始す
る。
以上において、型締装置の充満工程および冷却工程に
おける圧縮力は、射出圧縮成形を行う前に予め設定され
るものである。これらの各工程における設定値をそれぞ
れ設定値SP1,SP2とすると、設定値SP1,SP2は次のように
設定することができる。
すなわち、充満工程の設定値SP1は、溶融樹脂30の展
延を可能とする充分大きな圧力値に設定する。
冷却工程の設定値SP2は、表皮面材41が著しく押し潰
されない程度に小さくかつ溶融樹脂30を成形面22,24に
押圧して所定の形状に維持させることが可能な程度に大
きな圧力値に設定する。
このような本実施例によれば、次のような効果があ
る。
すなわち、溶融樹脂30を金型20内に充満させる充満工
程の完了直後に、型締装置により金型20に加えられる圧
縮力を低下させるので、繊維素材シート41Aの損傷(機
能喪失または機能低下)を抑制できる。つまり、繊維素
材シート41Aの起毛が押し潰されて寝てしまうという不
都合を未然に防止できる。
このため、繊維素材シート41Aの持つ高級感の創出性
や手触りの良好性等の特質がそのまま維持され、所望の
表面状態の積層成形品40を得ることができる。
また、充満工程における圧縮力の設定値SP1を、溶融
樹脂30の展延を可能とする充分大きな圧力値に設定する
とともに、冷却工程における圧縮力の設定値SP2を、表
皮面材41が著しく押し潰されない程度に小さくかつ溶融
樹脂30を成形面22,24に押圧して所定の形状に維持させ
ることが可能な程度のレベルの圧力値に設定するので、
良好な成形性を確保することができる。
さらに、溶融樹脂30の展延を可能とする充分大きな圧
力値SP1に設定した状態で、型締めを行ったので、基部4
2の肉厚が薄くなり、積層成形品20の重量を軽くできる
うえ、その材料コストを低く抑えることができる。しか
も、成形時の溶融樹脂30の流動バランスを損なわないの
で、成形条件の設定を容易に行うことができる。
そして、積層成形品41を一体成形できるので、成形後
に繊維素材シート41Aを貼り付ける必要がなく、貼着作
業等が省略され、積層成形品41の生産性を向上すること
ができる。
さらに、含浸防止層41Bを表皮面材41に設けたので、
溶融樹脂30を含浸しやすい目の粗い織布であっても、含
浸防止層41Bが成形時の溶融樹脂30の繊維素材シート41A
への含浸を確実に防止するため、繊維素材シート41Aの
種類によらず、その特質を確実に維持することができ
る。
続いて、本発明の効果を具体的な実験例に基づいて説
明する。
〔実験例1〕 本実験例1は、本発明に基づく積層成形品の製造方法
により積層成形品を得る実験である。本実験例1では、
第6図に示されるように、充填工程A、充満工程B、冷
却工程Cを順次行う。
各工程A〜Cの開始並びに完了のタイミング、およ
び、工程B,Cの各々における圧縮力の設定値は以下のよ
うになっている。
ここで、各工程A〜Cのタイミングは、充填工程Aの
開始からの時間(秒)で表わされ、圧縮力の設定値は、
型締装置の出力(ton)で表わされている。
充満工程Bの開始時刻T1 :2.8秒 充填工程Aの完了時刻T2 :3.0秒 充満工程Bの完了時刻T3 :4.2秒 冷却工程Cの完了時刻T4 :52.8秒 充満工程Bにおける圧縮力の設定値SP1:80ton 冷却工程Cにおける圧縮力の設定値SP2:20ton 〔比較例1〕 本比較例1は、本発明の効果を確認するために、従来
技術に基づき前記実験例1と同一の積層成形品40を得よ
うとする実験である。
本比較例1では、第7図に示されるように、溶融樹脂
30の充填開始から2.8秒以後に、前記実験例1の充満工
程Bと同じ80tonの圧縮力で金型20の圧縮を行い、この
圧縮力を成形完了まで維持する。つまり、充満工程Bの
完了時刻T3以降においても80tonの圧縮力を低下させる
ことなく維持する。
〔共通射出条件〕
実験例1および比較例1では、互いに共通した材料、
装置、および成形条件が採用される。これらの材料等は
以下のようなものとなっている。
(1)材料 積層成形品40の基部42となる溶融樹脂30としては、ポ
リプロピレン(出光石油化学(株)製 商品名:出光ポ
リプロJ−5050H,MI55g/10分:230℃,2.16kgf)を用い
た。
また、表皮面材41としては、ポリエステル製の不織布
からなる厚さ2.0mmの繊維素材シート41Aと、この繊維素
材シート41Aに裏打ちされたポリエステル製の不織布か
らなる厚さ0.1mmの含浸防止層41Bとが積層されたシート
材を採用した。
(2)成形装置 成形装置としては、汎用の横型射出成形機に射出圧縮
成形機構を組み合わせた射出圧縮成形機(スクリュウ径
70mm、型締力450ton三菱重工製)を用いた。この射出圧
縮成形機は、圧縮力を最大圧縮力の0〜100%の間で連
続的に調節できる。
(3)金型 金型20としては、自動車のシートバック(500×600m
m、肉厚3mm)を成形するためのキャビティと、このキャ
ビティのセンター部分に一点設けられたダイレクトゲー
トとを備えたものを用いた。また、バリの発生を防止す
るために、パーティング形状はインロー構造となってい
る。なお、キャビティの深さ寸法D(第3図参照)は、
60mmとなっている。
(4)成形条件 成形温度 200℃ 金型温度 40℃ 樹脂の射出圧力 90kg/cm2(ゲージ圧) 金型の圧縮量(型開き量) 10mm 金型の圧縮速度 4mm/秒 〔実験結果〕 実験例1により得られた積層成形品については、ゲー
トから50mm、250mmの位置において表皮面材41の厚さを
実際に測定したところ、それぞれ1.7mm、1.8mmとなって
いた。
一方、比較例1により得られた積層成形品について
は、ゲートから50mm、250mmの位置における表皮面材41
の厚さは、それぞれ0.5mm、0.6mmとなっていた。
このような比較実験の結果によれば、実験例1では、
繊維素材シート41Aの潰れはほとんどなく、その起毛は
立ったままの状態で保持され、繊維素材シート41Aの持
つ高級感の創出性や手触りの良好性等の性質は十分に維
持されているのに対し、比較例1では、繊維素材シート
41Aの潰れが大きく、その起毛は倒れた状態となって繊
維素材シート41Aの各機能は損なわれており、これらに
より本発明の効果が顕著に示された。
なお、本発明の前記実施例に限定されるものではな
く、本発明の目的を達成できる他の構成も含み、例えば
以下に示すような変形等も本発明に含まれるものであ
る。
すなわち、積層成形品40の基部42になる溶融樹脂30と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン)、ポリカーボネート、ポリアミド等の単独重合体あ
るいは共重合体から構成される熱可塑性樹脂等、金型を
用いた成形に適した樹脂材料であれば任意のものを用い
てもよい。特に、ポリプロピレン、プロピレン−エチレ
ン共重合体(タルク、マイカなどのフィラーや、ガラス
繊維、炭素繊維、有機繊維等の充填材を含有したものを
含む。)が好適である。
また、前記実施例では、繊維素材シート41Aは、織
布、不織および編布等の起毛のある布となっていたが、
織布、不織布および編布等の厚みのある布であってもよ
く、あるいはこのような布材に限定されず、紙等であっ
てもよく、要するに繊維により形成されたシート状のも
のであればよい。
そして、繊維としては、植物繊維(綿、麻等)、動物
繊維(羊毛、絹等)、鉱物繊維(石綿等)などの天然繊
維、無機繊維(金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等)、
再生繊維、半合成繊維、合成繊維(ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等)などの化
学繊維、および、これらの繊維を混合したもの等が採用
できる。
さらに、前記実施例では、表皮面材41に含浸防止層41
Bが設けられていたが、成形時において溶融樹脂30が含
浸するおそれがない場合、あるいは含浸の影響が少ない
場合には、含浸防止層41Bの形成を省略してもよい。
また、前記実施例では、溶融樹脂30の充填および圧縮
にあたって、射出圧縮成形機1が用いられていたが、射
出圧縮成形機1に限定されるものではなく、射出プレス
成形機などを用いてもよく、要する金型を型締めして溶
融樹脂を展延することができる成形機であればよい。
また、積層成形品40としては、自動品の内装品に限ら
ず、電気製品のケーシング、あるいは家具等の外装部品
などであってもよい。
さらに、圧縮力の設定値および各工程の開始時刻等の
成形条件は、前記実験例1で示したものに限らず、積層
成形品40の大きさや樹脂の種類等に応じて実施にあたり
適宜設定、選択すればよい。
また、金型としては、ゲートを1個のみ有するものに
限らず、複数のゲートを有する多点ゲート式の金型を採
用してもよい。
〔第2実施例〕 第8図には、本発明の第2実施例に係る射出圧縮成形
機1の要部が示されている。この第2実施例は、前記第
1実施例における表皮面材41を、クッション性を有する
表皮面材であるクッション面材26としたものである。
なお、第2実施例で用いられる射出圧縮成形機1およ
び金型20は、前記第1実施例と同様のものなので、説明
を省略する。
図において、クッション面材26は、PVCやTPOからなる
シート状の表面層26Aと、ポリプロピレンの発泡体等か
らなるクッション層26Bとを一体化したシート材であ
る。
このような本実施例では、次のような手順により射出
圧縮成形を行う。
まず、金型20を開き、この状態で可動金型部20Bにク
ッション面材26を、第9図(A)に示されるように装着
した後、金型20を閉じる。
この際、完全閉鎖位置よりも所定寸法(例えば、5〜
100mm程度)手前の位置に可動金型部20Bを停止させ、こ
の位置から可動金型部20Bが後方に移動して型開きしな
いように、可動金型部20Bをブロックしておく。
次いで、射出装置10を駆動し、第9図(B)に示され
るように、溶融樹脂30を金型20のキャビティ25の内部に
充填する充填工程を開始する。
そして、この充填工程の完了直前もしくは完了直後
に、型締装置を駆動して金型20に圧縮力を加えて型締
し、この型締めにより樹脂30をキャビティ25内に展延し
て充満させる充満工程を開始する。
次に、第9図(C)に示されるように、樹脂30が金型
20のキャビティ25の隅々まで充満したら充満工程を完了
させる。この充満工程の完了後速やかに、冷却工程に移
る。
この冷却工程は、金型20に所定の圧縮力を加えた保圧
状態で、金型20の溶融樹脂30を冷却・固化する工程であ
って、その初期工程として、クッション面材26が高圧、
高温の溶融樹脂30に押し潰されないように保護すべく、
金型20に加わえる圧縮力を低下させて行われる保護工程
を含む工程となっている。
この保護工程では、金型20の圧縮力を比較的低くした
状態で、溶融樹脂30の冷却・固化を行う。また、保護工
程は、クッション面材26が著しく溶融しない程度に樹脂
30の表面が冷えるまで継続される。
保護工程を行うことにより、クッション面材26は損傷
から保護される。すなわち、金型20の圧縮力が低いの
で、高温の溶融樹脂30によりクッション面材26が著しく
損傷することが防止される。しかも、引き続いて行われ
る本来の冷却工程において金型20の圧縮力を高めても、
樹脂30の表面が充分冷えていることから、クッション面
材26は損傷しない。
溶融樹脂30の表面が充分冷えたら、保護工程を完了さ
せるとともに、圧縮力を昇圧し、引き続き冷却工程を継
続する。この冷却工程では、樹脂30を所定の形状に維持
させるに充分な圧縮力下で樹脂30の冷却・固化が行われ
る。
冷却工程において樹脂30の冷却固化が完了したら、金
型20を開いて成形品を取り出す。なお、射出が完了した
ら次の射出成形のために樹脂30を可塑化する可塑化工程
を開始する。
以上において、型締装置の充満工程、冷却工程(保護
工程を含む)における圧縮力は、射出圧縮成形を行う前
に予め設定されるものである。これらの各工程における
設定値をそれぞれ設定値SP〜SP3とすると、設定値SP1〜
SP3は次のように設定することができる。
すなわち、充満工程の設定値SP1は、樹脂30の展延を
可能とする充分大きな圧力値に設定する。
冷却工程における保護工程の設定値SP2は、クッショ
ン面材26が著しく押し潰されない程度の小さい圧力値に
設定する。
冷却工程における保護工程終了後の設定値SP3は、樹
脂30を成形面22,24に押圧して所定の形状を維持させる
ことが可能な比較的大きなレベルの圧力値に設定する。
なお、各設定値SP1,SP2,SP3は、それぞれ大きさを比
較すると、SP1>SP3>SP2となっている。
前述のような本実施例によれば、次のような効果があ
る。
すなわち、クッション面材が著しく損傷されることの
ない充満工程においては、樹脂30を流動させるために、
金型20に大きな圧縮力を加え、充満工程の完了後、冷却
工程の初期に前記圧縮力を低下させる保護工程を設け、
クッション面材26の損傷を抑制したので、成形品からク
ッション性が喪失されるのを未然に防止できる。
また、保護工程において、クッション面材26が著しく
溶融しない程度に樹脂30の表面を冷却させた後、引き続
き行われる冷却工程において金型20の圧縮力を高め、金
型20に充填した樹脂30に所定の形状を維持させるように
したので、成形品の成形性を良好とできる。
従って、クッション性および成形性が良好な状態に維
持されるので、得られる成形品の品質を優れたものとで
きる。
続いて、本発明の効果を具体的な実験例に基づいて説
明する。
〔実験例2〕 本実験例2は、本発明に基づく積層成形品の製造方法
により成形品を得る実験である。本実験例2では、第10
図に示されるように、充填工程a、充満工程b、保護工
程cおよび冷却工程dが順次行われる。なお、ここでい
う冷却工程dとは、溶融樹脂の冷却・固化を行う冷却工
程全体をいうのではなく、初期の保護工程を含まない冷
却工程の末期工程をいう。
各工程a〜dの開始並びに完了のタイミング、およ
び、工程b〜dの各々における圧縮力の設定値は以下の
ようになっている。
だたし、各工程a〜dのタイミングは、充填工程の開
始からの時間(秒)で表わされ、圧縮力の設定値は、型
締装置の出力(ton)で表わされている。
充満工程bの開始時刻t1 :2.8秒 充填工程aの完了時刻t2 :3.0秒 保護工程cの開始(充満工程bの完了)時刻t3:4.0秒 冷却工程dの開始(保護工程cの完了)時刻t4:7.0秒 冷却工程dの完了時刻t5 :54.0秒 充満工程bにおける圧縮力の設定値SP1 :255ton (30%) 保護工程cにおける圧縮力の設定値SP2 : 85ton (10%) 冷却工程dにおける圧縮力の設定値SP3 :170ton (20%) 〔比較例2〕 本比較例2は、本発明の効果を確認するために、従来
技術に基づき前記実験例2と同一の成形品を得ようとす
る実験である。
本比較例2では、第11図に示されるように、樹脂の充
填開始から2.8秒以後に、前記実験例2の充満工程bと
同様に255tonの圧縮力で金型の圧縮を行う。そして、こ
の大きさの圧縮力は成形の完了まで維持される。
〔共通射出条件〕
実験例2および比較例2では、互いに共通した材料、
装置、および成形条件が採用される。これらの材料等は
以下のようなものとなっている。
(1)材料 成形品の基部となる樹脂としては、ポリプロピレン
(出光石油化学(株)製 商品名:出光ポリプロJ−50
50H,MI55g/10分:230℃,2.16kgf)を用いる。
また、クッション面材としては、PVCからなる厚さ0.6
mmの表皮層と、ポリプロピレンを15倍の体積に発泡させ
た厚さ3.0mmのクッション層とを一体化した厚さ3.6mmの
シート材を採用する。
(2)成形装置 成形装置としては、汎用の横型射出成形機に射出圧縮
成形機構を組み合わせた射出圧縮成形機(スクリュウ径
105mm、型締力850ton三菱重工製)を用いる。この射出
圧縮成形機は、圧縮力を最大圧縮力の0〜100%の間で
連続的に調節できる。
(3)金型 金型としては、直径800mmの円盤状のキャビティと、
このキャビティのセンター部分に一点設けられたダイレ
クトゲートとを備えたものを用いる。また、バリの発生
を防止するために、パーティング形状はインロー構造と
なっている。なお、キャビティの深さ寸法D(第8図参
照)は、40mmとなっている。
(4)成形条件 成形温度 180℃ 金型温度 40℃ 樹脂の射出圧力 90kg/cm2(ゲージ圧) 金型の圧縮量 30mm 金型の圧縮速度 10mm/秒 〔実験結果〕 実験例2により得られた成形品は、第12図に示される
ように、クッション面材26の厚さT1と、ポリプロピレン
による基部27の厚さT2とがほぼ同一となっている。ゲー
トから300mmの位置において厚さT1,T2を実際に測定した
ところ、厚さT1が2.2mm、基部27の厚さT2が2.1mmとなっ
ていた。
クッション面材26の当初の厚さを考慮すると、クッシ
ョン面材26には多少の潰れが認められるものの、充分な
クッション性を維持しているうえ、表面にはアバタ等の
欠陥部分が皆無であった。従って、実験例2によれば良
好な成形品が得られるといえる。
一方、比較例2により得られた成形品は、第13図に示
されるように、クッション面材26の厚さT1と、ポリプロ
ピレンによる基部27の厚さT2よりもかなり薄くなってい
る。前記実験例2と同様に厚さT1,T2を測定してみる
と、厚さT1が1.7mm、基部27の厚さT2が2.1mmとなってい
た。
クッション面材26の当初の厚さを考えると、クッショ
ン面材26にはかなりの潰れがあることがわかる。この潰
れによりクッション性が失われていた。従って、比較例
2では、良好な成形品を得ることができないといえる。
〔実験例3〕 本実験例3は、本発明に基づく積層成形品の製造方法
により自動車の内装品であるドアパネルを得る実験であ
る。本実験例3では、第14図に示されるように、前記実
験例2と同様な工程a〜dが順次行われる。
各工程a〜dの開始並びに完了のタイミング、およ
び、工程b〜dにおける圧縮力の設定値は以下のように
なっている。
だたし、前記実験例2と同様に、各工程a〜dのタイ
ミングは、充填工程の開始時刻からの時間(秒)で表し
たものでり、圧縮力の設定値は、型締装置の出力(to
n)で表わされている。
充満工程bの開始時刻t1 :3.8秒 充填工程aの完了時刻t2 :4.0秒 保護工程cの開始(充満工程bの完了)時刻t3:5.0秒 冷却工程dの開始(保護工程cの完了)時刻t4:8.0秒 冷却工程dの完了時刻t5 :54.0秒 充満工程bにおける圧縮力の設定値SP1 :340ton (40%) 保護工程cにおける圧縮力の設定値SP2 :42.5Ton (5%) 冷却工程dにおける圧縮力の設定値SP3 :204〜22
9.5ton (24〜27%) 〔比較例3〕 本比較例3は、従来技術に基づき前記実験例3と同一
のドアパネルを得ようとする実験である。
本比較例3では、第15図に示されるように、樹脂の充
填開始から3.8秒以後に、前記実験例3の充満工程bと
同様に型締装置で340tonの圧縮力を加えて金型の圧縮を
行う。そして、この大きさの圧縮力は成形の完了まで維
持される。
〔共通射出条件〕
実験例3および比較例3では、互いに共通した材料、
装置、および成形条件を採用し、これらの材料等は以下
のようなものとなっている。
(1)材料 成形品の基部となる樹脂としては、ポリプロピレン
(出光石油化学(株)製 商品名:出光ポリプロJ−50
50H,MI55g/10分:230℃,2.16kgf)を用いる。。
また、クッション面材としては、PVCからなる厚さ0.6
mmの表皮層と、ポリプロピレンを20倍の体積に発泡させ
た厚さ3.0mmのクッション層とを一体化した厚さ3.6mmの
シート材を採用する。
(2)成形装置 成形装置としては、実験例2等と同様に、汎用の横型
射出成形機に射出圧縮成形機構を組み合わせた射出圧縮
成形機(スクリュウ径105mm、型締力850ton三菱重工
製)を用いる。
(3)金型 金型としては、縦1200mm、横700mmのドアパネルを成
形するためのキャビティと、このキャビティのセンター
寄りに三点設けられたゲートとを備えたものを用いる。
また、バリの発生を防止するために、パーティング形状
はインロー構造となっている。なお、キャビティの深さ
寸法D(第8図参照)は、10mmとなっている。
(4)成形条件 成形温度 180℃ 金型温度 40℃ 樹脂の射出圧力 100kg/cm2(ゲージ圧) 金型の圧縮量 30mm 金型の圧縮速度 10mm/秒 〔実験結果〕 実験例3により得られた成形品は、表面にクッション
面材の破れや、クッション面材の溶解によるアバタがな
く、良好な品質のドアパネルが得られた。
一方、比較例3により得られた成形品は、クッション
材がないうえ、成形品の凸部(アームレスト部)のクッ
ション面材が溶けてアバタが発生し、外観上問題のある
ドアパネルしか得られなかった。
なお、比較例3において、クッション面材が溶けない
ように、充満工程bにおいて圧縮力の設定値SP1を255to
nに低下してみたところ、キャビティ全体に樹脂を充満
することができず、やはり、良好な成形品は得らなかっ
た。
以上、本発明について好適な実施例を挙げて説明した
が、本発明は、この実施例に限られるものてなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設
計の変更が可能である。
例えば、成形品の基部になる樹脂としては、補強繊維
等を含まないポリプロピレンに限らず、フィラーやガラ
ス繊維等の充填材を含有したポリプロピレンでもよく、
また、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS等の他の汎用
樹脂、ポリカーボネート等のエンジニアリング・プラス
チック、および、これらの繊維補強樹脂も採用できる。
さらに、成形装置としては、射出圧縮成形機に限ら
ず、射出プレス成形機でもよい。
また、成形品としては、自動車の内装品に限らず、電
気製品のケーシングや、家具等の外装部品などでもよ
い。
さらに、圧縮力の設定値および各工程の開始時刻等の
成形条件は、前記実験例2,3で示したものに限らず、成
形品の大きさや樹脂の種類等に応じて様々な値が選択で
き、具体的数値については実施にあたり適宜設定すれば
よい。
産業上の利用可能性 以上に述べたように本発明によれば、金型内への樹脂
の充満が完了した直後に金型の圧縮力を低下させるの
で、表皮面材の潰れた防止をすることができ、表皮面材
の持つ高級感、感触の良さ、クッション性等の特質を維
持できるうえ、充満工程および冷却工程においてもそれ
ぞれにふさわしい必要十分な圧縮力が金型に加えられる
ので、良好な成形性を得ることができ、自動車の内装品
や家庭電気製品等、量産性と品質の両方について高度な
水準を求められる成形品の成形に適している。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−295712(JP,A) 特開 平5−31774(JP,A) 特開 平3−19818(JP,A) 特開 平4−338517(JP,A) 特開 平5−162169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め表皮面材が配置された金型の内部に溶
    融状態の樹脂を充填することにより、前記表皮面材の層
    と前記樹脂の層とを積層させた成形品を成形する積層成
    形品の製造方法であって、 前記表皮面材として、繊維により構成された繊維素材シ
    ートが採用され、 かつ、型締めする余裕を残して閉鎖された前記金型内に
    前記樹脂を射出し、前記金型に前記樹脂が充満するまで
    は流動に必要な圧縮力を加えて前記金型の型締めを行
    い、前記樹脂が前記金型内の隅々まで充満した後に、前
    記金型を閉じたまま前記金型に加えている圧縮力を低下
    させ、前記樹脂を冷却することを特徴とする積層成形品
    の製造方法。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記繊維素材シートは、起毛のある
    布であることを特徴とする積層成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】請求の範囲第2項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記布は、織布、不織布、および、
    編布のいずれかの布であることを特徴とする積層成形品
    の製造方法。
  4. 【請求項4】請求の範囲第2項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記布は、植物繊維、動物繊維、天
    然無機繊維、化学合成繊維、および、これらの繊維を混
    合したもののいずれかから構成された布であることを特
    徴とする積層成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】請求の範囲第1項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記樹脂を充填する前に、前記金型
    の内部であって前記繊維素材シートの樹脂充填側に、前
    記樹脂の前記繊維素材シートの層への含浸を防止する含
    浸防止層を形成しておくことを特徴とする積層成形品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】予め表皮面材が配置された金型の内部に溶
    融状態の樹脂を充填することにより、前記表皮面材の層
    と前記樹脂の層とを積層させた成形品を成形する積層成
    形品の製造方法であって、 前記表皮面材として、クッション性を有するシート材が
    採用され、 かつ、型締めする余裕を残して閉鎖された前記金型内に
    前記樹脂を射出し、前記金型に前記樹脂が充満するまで
    は流動に必要な圧縮力を加えて前記金型の型締めを行
    い、前記樹脂が前記金型内の隅々まで充満した後に、前
    記金型を閉じたまま前記金型に加えている圧縮力を低下
    させ、前記樹脂を冷却することを特徴とする積層成形品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】請求の範囲第6項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記シート材は、薄手の表皮層およ
    びクッション性を有する厚手のクッション層を含んで構
    成される多層シート材であることを特徴とする積層成形
    品の製造方法。
  8. 【請求項8】請求の範囲第7項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記薄手の表皮層は、熱可塑性エラ
    ストマフィルムであることを特徴とする積層成形品の製
    造方法。
  9. 【請求項9】請求の範囲第8項に記載した積層成形品の
    製造方法において、前記熱可塑性エラストマフィルムの
    材質は、ポリオレフィン、ポリウレタンおよびポリ塩化
    ビニルのいずれかであることを特徴とする積層成形品の
    製造方法。
  10. 【請求項10】請求の範囲第8項に記載した積層成形品
    の製造方法において、前記クッション層は、合成樹脂を
    発泡させた発泡体であることを特徴とする積層成形品の
    製造方法。
  11. 【請求項11】請求の範囲第10項に記載した積層成形品
    の製造方法において、発泡体は、ポリプロピレンの発泡
    体であることを特徴とする積層成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】請求の範囲第6項に記載した積層成形品
    の製造方法において、前記樹脂が充満した後に低下させ
    た圧縮力を、当該樹脂が完全に固化する前に再度高める
    ことを特徴とする積層成形品の製造方法。
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