JP3158816B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

高周波加熱装置

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  • Control Of High-Frequency Heating Circuits (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波加熱装置に関す
るものであり、特に共振型インバータ電源を用いた高周
波加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来では、高周波加熱装置の電源装置
は、いわゆる鉄共振型トランスを用いたものが長い間用
いられていた。しかし近年、半導体技術の進歩により大
電力を扱う電力変換器が比較的低価格で実用に供され得
るようになり、20kHz程度の共振型高周波インバータ
(電力変換器)を用いたものが実用化されている。
【0003】図3に従来の共振型インバータを用いた高
周波加熱装置の回路図を示す。図3において、電源装置
1は商用電源2から電力を供給され、高周波加熱装置の
制御装置3より起動停止や電波出力の大きさ等に関する
指令を受けて動作する構成である。また、4、5はノイ
ズフィルターである。
【0004】共振型インバータ6は、ダイオードブリッ
ジ7、インダクタ8、平滑コンデンサ9、共振コンデン
サ10、半導体スイッチング素子である半導体スイッチ
ング素子11、ダイオード12、昇圧トランス13、高
圧コンデンサ14、高圧ダイオード15、16などより
なり、制御部19により半導体スイッチング素子11の
スイッチング周波数を制御して加熱手段としてのマグネ
トロン17に所望の電力を供給する構成である。
【0005】制御部19は制御手段20を有し、制御手
段20は、抵抗器21、22により検出される半導体ス
イッチング素子11のコレクタ電圧Vceに同期して半
導体スイッチング素子11の導通時間Tonを調節す
る。また、その導通時間Tonは、制御装置3からの設
定信号に基づき、入力電流検知手段23あるいはアノー
ド電流検知手段24からの信号が設定値になるよう負帰
還制御するものである。
【0006】図4(a)、(b)および(c)は、それ
ぞれ半導体スイッチング素子11のコレクタ電圧Vc
e、半導体スイッチング素子11のコレクタ電流とダイ
オード12の電流Icd、半導体スイッチング素子11
のゲート駆動電圧Vgである。図3のインバータ電源6
は、いわゆる電圧共振型インバータと呼ばれるものであ
り、平滑コンデンサ9の端子電圧Vccに対して3〜5
倍程度のコレクタ電圧Vceとなる。たとえば商用電源
2の電圧が100Vである時、図4のコレクタ電圧Vc
eの値は、Vcc=140Vに対してV1=600Vに
も達する。また、半導体スイッチング素子11のコレク
タ電流Icは、I1=60A程度となる。制御手段20
は、図4(a)における点Pのタイミングを検出し、T
d時間後に所望の電波出力が得られるよう調節された導
通時間Tonの駆動電圧Vgを出力するよう制御するも
のである。
【0007】このように共振型インバータは、半導体ス
イッチング素子11のターンオン時は、コレクタ電圧V
ceが零で、かつ、コレクタ電流Icが零から立ち上が
り、一方、ターンオフ時は、コレクタ電圧Vceが共振
電圧波形となっている。このため半導体スイッチング素
子11のスイッチング損失の著しい低減が可能となり、
1〜2KWという大電力でありながら1個の半導体スイ
ッチング素子11のみで変換することが可能であった。
【0008】しかしながら、図4における時刻t1で、
たとえばマグネトロン17のアノードカソード間放電が
何等かの原因で生じた場合や雷サージ等による過電圧が
共振コンデンサ9の両端に生じるとIcの傾きが増大
し、かつTonは一定であるので、Icは同図(b)の
I2のようにきわめて大きな値となる。そしてこの結
果、Vceもきわめて高い値V2に達し、上記の具体例
の場合には1000Vを越えてしまう場合も発生する。
このため、図3に示すように、バリスタ18が共振コン
デンサ10に並列に設けられ、V2が900V程度に制
限されるよう構成されて実用に供されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような電源装置を
用いた高周波加熱装置に対して、高周波加熱装置全体を
よりコンパクト化し一層使い勝手が良く、かつ、安価で
高信頼性を得るために、電源装置のさらなる小型高密度
化、低コスト化の実現が強く望まれるようになってき
た。また、200V商用電源用の電源装置も家庭におけ
る電力機器利用の増大と共に強く望まれるようになって
きた。
【0010】しかしながら、このような電源装置の小型
高密度化や高耐圧化を進めていくためには、スイッチン
グ周波数の高周波化とスイッチング素子の高耐圧化が必
要不可欠であったが、とりわけ高耐圧性能を維持しつつ
高周波化を進めて行くことは半導体技術上困難度が高い
ものであり、しかも、高価格化せざるを得ないという欠
点があった。また、スイッチング周波数を高周波化する
とバリスタなどの過電圧保護手段の高周波損失が過大と
なり、実用上使用することが困難となり、電源装置の信
頼性の低下を引き起こすというものであった。
【0011】本発明は、かかる従来の問題点を解消する
もので、電源装置を小型高密度化しても、耐圧性能に優
れた信頼性の高い高周波加熱装置を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために以下の構成より成るものである。すなわち、
商用電源または蓄電池よりの電力を高周波電力に変換す
る半導体スイッチング素子を有するインバータ電源と、
前記インバータ電源の出力を受けて被加熱物を加熱する
加熱手段と、前記半導体スイッチング素子の動作を制御
する制御手段とを有すると共に、前記半導体スイッチン
グ素子の端子間に過電圧が発生した場合に、強制転流さ
せ、前記半導体スイッチング素子を保護する回路構成を
前記インバータ電源に設けた構成のものである。
【0013】また、半導体スイッチング素子の駆動電圧
を検知する駆動電圧検知手段と、前記駆動電圧検知手段
の検知信号と、前記半導体スイッチング素子の動作を制
御する制御手段の前記半導体スイッチング素子制御信号
とを比較し論理異常の有無を判定する論理異常制御部と
を設け、論理異常が発生した場合に、前記論理異常制御
部がインバータ電源の動作を完全停止、または一時停止
するよう構成したものである。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【作用】半導体スイッチング素子の駆動電圧検知手段の
検知信号と制御手段の前記半導体スイッチング素子制御
信号とを比較し論理異常を判定する論理異常制御部を設
け、前記半導体スイッチング素子の非導通信号発生時
に、前記半導体スイッチング素子の端子間に過電圧が発
生し、強制転流回路構成によって転流されることによっ
て前記駆動電圧検知信号が入力された場合、前記論理異
常制御部がインバータ電源の動作を完全停止、または一
時停止する構成により、半導体スイッチング素子の耐圧
破壊や信頼性低下が生じる前にインバータ電源の動作を
停止せしめるものである。そしてこれにより、必要最小
限度の電圧耐量の半導体スイッチ素子の利用を可能と
し、しかも電圧破壊等の不都合を確実に防止するもので
あり、半導体スイッチング素子の大幅な損失低減を可能
とするものである。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。
【0022】図1は本発明の一実施例を示す高周波加熱
装置の回路図であり、図3と同符号のものは相当する構
成要素であり詳しい説明は省略する。
【0023】図1において、制御部19は、制御手段2
0と駆動電圧検知手段27と基準電圧発生手段28、端
子電圧検知手段29、及び論理異常制御部30等より構
成されている。この論理異常制御部30は、制御手段2
0が半導体スイッチング素子11を駆動する駆動信号
(Vg)と、駆動電圧検知手段27により検知される半
導体スイッチング素子11の駆動信号(Vg’)との論
理判定、もしくは基準電圧発生手段28のある基準電圧
(Vc)と端子電圧検知手段29により検知される電圧
信号(Vcc)との論理判定を行なう論理異常判定部3
1と、この論理異常判定部31の出力を受け、制御手段
20を制御して半導体スイッチング素子11への駆動信
号を停止させる異常停止部32と、異常停止部32によ
る制御手段20への停止制御信号の発生回数を計数し所
定の計数後再起動禁止信号を異常停止部32に与える計
数手段33と、所定の回数計数した後の再起動禁止信号
等を受けて再起動禁止の状態であることを出力する論理
異常出力部34とにより構成されている。
【0024】この論理異常出力部34の出力信号は、ノ
イズフィルタ35を介して制御装置3に送られ、制御装
置3は、論理異常表示部36により、論理異常のために
インバータ電源6の動作が停止していることを表示、あ
るいは記憶し使用者やサービスマンにその内容を容易に
伝達することができる構成となっている。
【0025】図2(a)、(b)、(c)、(d)、
(e)はそれぞれ、Vce、Icd、制御手段20から
半導体スイッチング素子に与えられる制御信号Vg、駆
動電圧検知回路27により検知される検知信号Vg’、
基準電圧発生手段28の基準電圧Vc、及び端子電圧検
知手段29により検知される検知信号Vccである。同
図2における時刻t1において、図1の商用電源2に雷
等の印加電圧が加わった場合や、加熱手段としてのマグ
ネトロン17の高圧端子間放電などの事故が発生したと
すると、Icの増加速度は図2(b)のようにそれまで
より急激に大きくなり、時刻t2で通常の電流値I1よ
り大きいI2に達する。そして、図2(a)のVceも
時刻t3で通常の電圧値V1より大きいV2に達する。
しかし、時刻t4において半導体スイッチング素子11
の電圧耐量より低く設定した電圧耐量V2の強制転流回
路25が導通し、導通している時刻t4〜t5の間、半
導体スイッチング素子11の電圧がクリップされ、抵抗
26に電流が流れ、半導体スイッチング素子11が転流
(オン)される。この電圧は半導体スイッチング素子1
1が能動状態で動作する程度のものなので、同図(b)
のように半導体スイッチング素子11にIcが流れ、ま
た同図(a)のような電圧Vceが印加する。この電圧
Vceと電流Icとの積は電力(エネルギー)となり、
半導体スイッチング素子11自体で消費されることにな
る。このエネルギーはサージが原因となって発生するも
のである。半導体スイッチング素子11の駆動電圧を検
知する駆動電圧検知手段27は同図(d)に示される検
知信号Vg’を出力する。検知信号Vg’は、同図
(c)で示される制御手段20から半導体スイッチング
素子に与えられる制御信号Vgとは異なるものである。
すなわち、検知信号Vg’は制御信号Vgがゼロの時に
発生している論理異常の部分がある。そこで、駆動電圧
検知手段27で半導体スイッチング素子11の駆動電圧
を検知して、これと制御回路20からの制御信号とを比
較しておけばサージの発生を検知することができる。
【0026】したがって、前述したように論理異常判定
部31がこの論理異常を受け論理判定を行い、異常停止
部32に信号を出力し、制御手段20がこの異常停止部
32よりの信号を受けて半導体スイッチング素子11の
動作を停止し、次のサイクルの駆動電圧Vgは発生させ
ない。このため、半導体スイッチング素子11が過大な
電流および電圧下で動作しなければならない条件の発生
が防止される。I2の値は、定常動作では発生しない程
度の大きさで、かつ、十分小さい値となっている。
【0027】したがって、Vceの値V2も、定常値V
1に比べてさほど大きな値とはならない。このため半導
体スイッチング素子11の電圧および電流耐量を従来に
比べて著しく小さいものにすることが可能となり、半導
体スイッチング素子11の大幅な低損失化が可能となる
ので、従来、困難であった高周波動作化や200V商用
電源適用化が半導体性能の飛躍的改善を必要とせずに実
現することができる。
【0028】たとえば、従来100V商用電源用に20
KHz程度の周波数で動作していたインバータ電源に用い
ていた半導体スイッチング素子を、若干の半導体性能の
改善により、200KHz程度まで高周波動作化すること
が可能となる。また、200V商用電源用20KHz動作
のインバータ電源についても同様に実現することが可能
である。これは、先に述べたように、本発明の適用によ
って高周波加熱装置用電力変換器として、安全で高信頼
性な動作を保証したので、半導体スイッチング素子11
の電圧電流耐量を必要最小限度の値とすることができ、
このため半導体スイッチング素子11のスイッチングス
ピードと飽和電圧の低減を比較的容易に実現し大幅なス
イッチング性能の向上を実現することが可能となったか
らである。
【0029】なお、以上説明は半導体スイッチング素子
の端子間に過電圧が発生した場合、強制転流させる機能
を有する半導体スイッチング素子について述べたが、こ
れに限定されるものではなく、過電圧が発生した場合に
強制転流させ、前記半導体素子を保護する回路構成を前
記インバータ電源に設けた構成としてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明の高周波加熱装置に
よれば、以下に挙げる効果を有するものである。すなわ
ち、強制転流させ、前記半導体スイッチング素子を保護
する回路構成をインバータ電源に設けることによりスイ
ッチング周波数の高周波化による高周波損失が過小とな
り、また強制転流デバイスと半導体スイッチング素子と
の1チップ化が可能となり20KHzあるいはそれ以上
の高周波動作に対しても配線の浮遊インピーダンスの影
響などを受けることなく転流性能を高精度に実現でき
る。
【0031】また、半導体スイッチング素子の駆動電圧
検知手段と論理異常制御部とを設け、論理異常発生時に
論理異常制御部がインバータ電源の動作を完全停止、及
び一時停止する構成とすることにより、半導体スイッチ
ング素子の駆動電圧異常状態が容易に検知でき、半導体
スイッチング素子の破壊や信頼性低下が生じる前にイン
バータ電源の動作を停止せしめる事が可能となりきわめ
て高い信頼性と安全性を有する高周波加熱装置を実現す
ることができる。
【0032】特に、上記の構成により、必要最小限度の
電圧耐量の半導体スイッチング素子の利用を可能とし、
しかも電圧破壊等の不都合を確実に防止するものであ
り、半導体スイッチング素子の大幅な損失低減を可能と
した高周波加熱装置を実現し、従来困難であった高周波
動作化による小型高密度化および低価格化を高い信頼性
と安全性を保証しつつ容易に実現することができる。ま
た、耐圧面の余裕度が拡大するので、高入力電圧(商用
電源など)用の高周波加熱装置をきわめて容易に実現
し、大電力高周波加熱機器の実現要望を満たすことがで
きる。
【0033】
【0034】
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の高周波加熱装置の回路図
【図2】図1に示される回路の動作を示す波形図
【図3】従来の高周波加熱装置の回路図
【図4】図3に示される回路の動作を示す波形図
【符号の説明】
2 電源 6 インバータ電源 11 半導体スイッチング素子 17 加熱手段(マグネトロン) 19 制御部 20 制御手段 27 駆動電圧検知手段 28 基準電圧発生手段 29 端子電圧検知手段 30 論理異常制御部 33 計数手段 34 論理異常出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 別荘 大介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 末永 治雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 松倉 豊継 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 中林 裕治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 渋谷 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−225089(JP,A) 特開 平2−214499(JP,A) 実開 昭64−46995(JP,U) 実開 平4−105493(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/66 - 6/68

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電源電力を高周波電力に変換する半導体ス
    ッチング素子を有するインバータ電源と、前記インバー
    タ電源の出力を受けて被加熱物を加熱する加熱手段と、
    前記半導体スイッチング素子の動作を制御する制御手段
    、前記半導体スイッチング素子の駆動電圧を検知する
    駆動電圧検知手段と、前記駆動電圧検知手段の検知信号
    と、前記半導体スイッチング素子の動作を制御する制御
    手段の前記半導体スイッチング素子制御信号とを比較し
    論理異常の有無を判定する論理異常制御部とを有すると
    共に、前記半導体スイッチング素子の端子間に過電圧が
    発生した場合に、強制転流させ、前記半導体スイッチン
    グ素子を保護する回路構成を前記インバータ電源に設
    、また論理異常発生時に、前記論理異常制御部がイン
    バータ電源の動作を完全停止、及び一時停止するよう構
    成した高周波加熱装置。
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