以下、本考案の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本考案の第1実施形態による変速機構が搭載された自動二輪車(車両)の全体構造を示した側面図である。図2〜図7は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車のトランスミッションおよびその内部の構造を詳細に説明するための図である。なお、第1実施形態では、本考案の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。まず、図1〜図7を参照して、第1実施形態による自動二輪車1の構造について説明する。
本考案の第1実施形態による自動二輪車1の構造としては、図1に示すように、ヘッドパイプ2に、メインフレーム3の前端部が接続されている。このメインフレーム3は、後ろ側の下方向に延びるように形成されている。また、メインフレーム3には、後ろ側の上方向に延びるシートレール4が接続されている。また、ヘッドパイプ2の上方には、ハンドル5が取り付けられている。また、ハンドル5には、ホルダ6が取り付けられている。ホルダ6には、クラッチレバー7が回動可能に取り付けられている。クラッチレバー7は、ハンドル5の矢印X2方向側(図2参照)に配置されているとともに、クラッチレバー7には、マスタシリンダ8を介してオイルホース9(図3参照)の一方側が接続されている。つまり、クラッチレバー7は、運転者がクラッチレバー7を握って回動させることにより、マスタシリンダ8が作動されるとともに、オイルホース9の内部に充満されたオイルがオイルホース9の他方側に移動するように構成されている。
また、ハンドル5の下方側には、フロントフォーク10が取り付けられている。フロントフォーク10の下端部には、前輪11が回転可能に取り付けられている。前輪11には、前輪11と共に回転するように、フロントディスクロータ12が取り付けられている。また、フロントフォーク10には、フロントディスクロータ12を挟み込むように、フロントキャリパー13が取り付けられている。
また、メインフレーム3の後端部には、ピボット軸14を介して、スイングアーム15の前端部が取り付けられている。スイングアーム15の後端部には、後輪16が回転可能に取り付けられている。後輪16には、後輪16と共に回転するように、リアディスクロータ17が取り付けられている。また、スイングアーム15には、リアディスクロータ17を挟み込むように、リアキャリパー18が取り付けられている。また、メインフレーム3の上方側には、燃料タンク19が配置されている。また、メインフレーム3の下方側には、エンジン20が搭載されている。エンジン20には、チャンバー21aを介してマフラー21bが接続されている。また、シートレール4の上方側には、シート22が配置されている。
エンジン20は、図2に示すように、クランクケース部23と、ピストン24が内部に配置されるシリンダ部25と、シリンダ部25の上側に配置されるシリンダヘッド部26と、シリンダヘッドカバー部27とによって構成されている。このエンジン20のシリンダ部25およびピストン24は、それぞれ、自動二輪車1の車幅方向(図2のX方向)に沿って4つずつ設けられている。すなわち、このエンジン20は、4気筒エンジンである。また、シリンダヘッド部26の下部には、燃焼室26aが設けられており、燃焼室26aの上部には、点火プラグ28が配置されている。また、燃焼室26aの上部には、吸気バルブ29および排気バルブ(図示せず)が配置されている。これら吸気バルブ29および排気バルブ(図示せず)は、それぞれ、吸気バルブ29および排気バルブ(図示せず)の上方に配置されているカム30および図示しないカムが回転することにより燃焼室26aに対して開閉可能に構成されている。また、カム30および図示しないカムは、それぞれ、カム軸31と図示しないカム軸に設けられている。カム軸31の一方側には、スプロケット31aが設けられているとともに、スプロケット31aには、チェーン32が噛合されている。また、チェーン32は、クランク軸33の一方側に設けられたスプロケット33aに噛合されている。
また、クランク軸33は、クランクケース部23の内部に配置されているとともに、ピストン24がコンロッド34を介して接続されている。すなわち、クランク軸33は、ピストン24がシリンダ部25の内周面を繰り返し摺動することにより、所定の方向に回転するように構成されている。また、クランク軸33の他方側には、発電機35が設けられている。また、クランク軸33の中央よりも一方側(矢印X1方向側)寄りの部分には、上流側一次減速ギア36がクランク軸33と共に回転するように取り付けられている。
また、上流側一次減速ギア36には、図3に示すように、クラッチ機構部37の下流側一次減速ギア38が噛合されている。この下流側一次減速ギア38には、ハウジングクラッチ39がリベット止めされており、ハウジングクラッチ39は、下流側一次減速ギア38と共に回転するように構成されている。また、ハウジングクラッチ39には、複数のフリクションプレート40がハウジングクラッチ39と共に回転するように配置されている。また、複数のフリクションプレート40の間には、それぞれ、複数のクラッチプレート41が配置されている。これら複数のクラッチプレート41は、ハウジングクラッチ39の内部に配置されているボスクラッチ42と共に回転するようにハウジングクラッチ39に配置されている。また、ハウジングクラッチ39の車幅方向の外側(矢印X1方向側)には、プレッシャープレート43が配置されている。このプレッシャープレート43は、複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41を車幅方向の中心方向(矢印X2方向側)に押圧するために設けられている。つまり、プレッシャープレート43は、交互に配置されている複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41同士を押し付けることにより、複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41の間に摩擦力を発生させる機能を有する。
また、ボスクラッチ42には、車幅方向の外側に突出する突起部42aが一体的に形成されている。この突起部42aには、ワッシャ44およびボルト45が螺合されており、ワッシャ44の外周部分の径は、突起部42aのワッシャ44が取り付けられている部分の外周部分の径よりも大きくなるように構成されている。そして、ワッシャ44の車幅方向の中心側(矢印X2方向側)の面と、プレッシャープレート43の車幅方向の外側(矢印X1方向側)の面との間には、板バネ46が配置されている。この板バネ46は、ワッシャ44に支持されることにより、プレッシャープレート43を車幅方向の中心側(矢印X2方向側)に付勢するように構成されている。なお、下流側一次減速ギア38、ハウジングクラッチ39、フリクションプレート40、クラッチプレート41、ボスクラッチ42、プレッシャープレート43などにより、クラッチ機構部37が主に構成されている。すなわち、第1実施形態によるクラッチ機構部37は、湿式多板クラッチである。
また、ボスクラッチ42には、メイン軸47の一方側が取り付けられている。また、メイン軸47は、クランクケース部23に取り付けられた軸受48と軸受49とにより回転可能に支持されている。そして、メイン軸47とボスクラッチ42とは、一体的に回転するように構成されている。これにより、プレッシャープレート43が複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41を車幅方向の中心方向(矢印X2方向側)に押圧している場合には、上流側一次減速ギア36の駆動力は、下流側一次減速ギア38、ハウジングクラッチ39、フリクションプレート40、クラッチプレート41およびボスクラッチ42を介してメイン軸47に伝達される。一方、プレッシャープレート43が複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41を車幅方向の中心方向(矢印X2方向側)に押圧していない場合には、フリクションプレート40とクラッチプレート41との摩擦力が低下するので、上流側一次減速ギア36の駆動力は、メイン軸47に伝達され難い。
また、メイン軸47には、軸中心の軸方向に沿うように貫通孔47aが形成されている。なお、貫通孔47aは、本考案の「孔部」の一例である。また、メイン軸47には、貫通孔47aからメイン軸47の外周面に貫通するように複数のオイル孔47bが形成されている。これにより、メイン軸47の他方側から貫通孔47aに流入するオイルを、複数のオイル孔47bを介して後述するトランスミッション77などに供給することが可能となる。また、メイン軸47の貫通孔47aには、アルミニウム製のロッド部材50が貫通孔47aの内周面と所定の間隔を隔てた状態で挿入されている。なお、ロッド部材50は、本考案の「ロッド部」および「第2ロッド部」の一例である。また、ロッド部材50のプレッシャープレート43側(矢印X1方向側)には、複数の中間部材51と、押圧部材52とが配置されている。この押圧部材52は、車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動可能に構成されている。これにより、押圧部材52は、押圧部材52が車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動された際には、板バネ46の付勢力に抗してプレッシャープレート43を車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動させるように構成されている。具体的には、押圧部材52は、軸挿入部52aと、軸受支持部52bとにより構成されている。軸挿入部52aは、メイン軸47の貫通孔47aの一方側を塞ぐように貫通孔47aに挿入されている。また、軸受支持部52bは、プレッシャープレート43に挿入された軸受53により回転可能に支持されている。そして、プレッシャープレート43は、押圧部材52が中間部材51を介してロッド部材50に車幅方向の外側(矢印X1方向側)に押圧されることにより、車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動されるように構成されている。
ここで、第1実施形態では、ロッド部材50のプレッシャープレート43側の反対側(矢印X2方向側)には、アルミニウム製のロッド部材50よりも高い硬度を有する鉄製のプッシュロッド54が取り付けられている。なお、プッシュロッド54は、本考案の「ロッド部」および「第1ロッド部」の一例である。また、ロッド部材50およびプッシュロッド54によって、本考案の「ロッド部」が構成されている。プッシュロッド54は、図3および図4に示すように、後述するピストン61(図3参照)に挿入されるピストン挿入部54aと、車幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びる本体部54bと、ロッド部材50のプッシュロッド挿入孔50a(図3参照)に嵌合される嵌合凸部54c(図3参照)と、本体部54bに一体的に設けられ、本体部54bから軸方向に交差する方向に突出するフランジ部54dとを含んでいる。なお、フランジ部54dは、本考案の「押圧部」の一例である。また、プッシュロッド54は、図3に示すように、後述するピストン61によりプレッシャープレート43側(矢印X1方向側)に移動可能に構成されているとともに、メイン軸47の一方端面47cを押圧可能に構成されている。また、プッシュロッド54は、ロッド部材50をプレッシャープレート43側(矢印X1方向側)に移動させるとともに、中間部材51および押圧部材52を介してプレッシャープレート43を車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動させる機能を有する。
また、第1実施形態では、図4に示すように、プッシュロッド54のフランジ部54dのメイン軸47を押圧する部分には、メイン軸47の一方端面47c側(矢印X1方向側)に突出する半円形状の断面を有する凸部54eが設けられている。具体的には、凸部54eは、フランジ部54dの外周に沿って形成されているとともに、メイン軸47の一方端面47cに対して環状に線接触した状態で押圧するように構成されている。また、フランジ部54dの表面には、図4および図5に示すように、複数のオイル流入用孔部54fが形成されている。これら複数のオイル流入用孔部54fは、フランジ部54dがメイン軸47(図4参照)の一方端面47cを押圧することにより、メイン軸47の貫通孔47a(図4参照)が塞がれている状態でも、貫通孔47a(図4参照)にオイルが流入可能となるように構成されている。
また、プッシュロッド54の本体部54bは、図6に示すように、ロッドホルダ55の開口部55aに挿入されている。このロッドホルダ55は、クランクケース部23のホルダ取付穴23aに挿入されている。また、ロッドホルダ55の外周面とホルダ取付穴23aとの間には、Oリング56が配置されている。このOリング56は、クランクケース部23のホルダ取付穴23aよりも矢印X1方向側のオイルが、ロッドホルダ55の外周面とホルダ取付穴23aとの間からロッドホルダ55よりも矢印X2方向側に流入されるのを抑制する機能を有する。また、ロッドホルダ55の開口部55aの矢印X2方向側には、オイルシール57が配置されている。このオイルシール57は、ロッドホルダ55よりも矢印X1方向側のオイルが、プッシュロッド54の本体部54bの外周面とロッドホルダ55の開口部55aとの間から流出されて、ロッドホルダ55よりも矢印X2方向側に流入されるのを抑制する機能を有する。
また、ロッドホルダ55の矢印X2方向側には、シリンダ部材58が設けられている。このシリンダ部材58は、クランクケース部23のメイン軸47が配置されている部分の矢印X2方向側部分を覆うように取り付けられている。つまり、シリンダ部材58は、プッシュロッド54のロッド部材50側とは反対方向側(矢印X2方向側)に配置されている。このシリンダ部材58は、クランクケース部23に対してねじ部材59により、強固に取り付けられている。また、シリンダ部材58の矢印X1方向端部には、板バネ60が配置されており、この板バネ60は、ロッドホルダ55の矢印X2方向側部分を支持している。これにより、ロッドホルダ55がクランクケース部23の内部のオイルにより矢印X2方向側に押圧された場合でも、ロッドホルダ55が矢印X2方向に抜け落ちるのを抑制することが可能である。
また、シリンダ部材58の内部には、ピストン61がシリンダ部材58の内周面に対して摺動可能に配置されており、ピストン61には、プッシュロッド54のピストン挿入部54aが取り付けられている。また、ピストン61のプッシュロッド54側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、リターンスプリング62が配置されているとともに、リターンスプリング62は、ピストン61を常時プッシュロッド54側に付勢している。
また、図3に示すように、シリンダ部材58のリターンスプリング62が配置されている側(矢印X2方向側)には、オイルホース9の他方側が接続されている。つまり、シリンダ部材58のピストン61よりもリターンスプリング62が配置されている側(矢印X2方向側)には、マスタシリンダ8と流通可能なオイルが充満されている。これにより、運転者によってクラッチレバー7が握られた際には、マスタシリンダ8のオイルは、マスタシリンダ8からオイルホース9を介してシリンダ部材58の内部に流入されるとともに、ピストン61は、プッシュロッド54側(矢印X1方向側)に移動される。その結果、プッシュロッド54は、プレッシャープレート43側(矢印X1方向側)に移動されるので、プレッシャープレート43は、ロッド部材50、中間部材51および押圧部材52を介して車幅方向の外側(矢印X1方向側)に移動される。
また、第1実施形態では、図7に示すように、運転者によりクラッチレバー7が実質的にフルストロークの状態である第1の握り量Aで握られた場合に、フランジ部54dは、メイン軸47の一方端面47cを押圧するように構成されている。また、図3に示すように、運転者によりクラッチレバー7が第1の握り量Aよりも少ないストロークの状態である第2の握り量Bで握られた場合に、フランジ部54dは、メイン軸47の一方端面47cを押圧しないように構成されている。つまり、運転者がクラッチレバー7を握ることにより、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力を切断するようにクラッチ機構部37が作動された場合にも、クラッチレバー7を第1の握り量Aまたは第2の握り量Bのいずれかに握り分けることが可能である。これにより、慣性力により回転するメイン軸47の回転数が小さくなるようにしたい場合には、クラッチレバー7は、第1の握り量Aまで握られる。また、慣性力により回転するメイン軸47の回転数が小さくならなくてもよい場合には、クラッチレバー7は、第2の握り量Bにより握られる。
ここで、一般的に、運転者は、停車時にクラッチレバー7を第1の握り量Aにまで深く握ることが多い。また、運転者は、走行時にクラッチレバー7を第1の握り量Aよりも少ない第2の握り量Bに握ることが多い。つまり、第1実施形態による自動二輪車1は、運転者がクラッチレバー7を第1の握り量Aにまで深く握る停車時に、メイン軸47がメイン軸47の慣性力により回転するのを抑制するように構成されている。また、第1実施形態による自動二輪車1は、運転者がクラッチレバー7を第2の握り量Bで握る走行時に、メイン軸47がメイン軸47の慣性力により回転している状態を保つように構成されている。
また、メイン軸47には、上流側1速ギア63、上流側2速ギア64、上流側3速ギア65、上流側4速ギア66および上流側5速ギア67が設けられている。具体的には、上流側1速ギア63は、メイン軸47のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)に一体的に形成されており、メイン軸47と共に回転可能に形成されている。なお、上流側1速ギア63は、本考案の「第1ギア」の一例である。また、上流側1速ギア63のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、上流側4速ギア66がメイン軸47に対して空転可能に配置されている。この上流側4速ギア66のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、複数の凹部66aが形成されている。また、上流側4速ギア66のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、上流側3速ギア65がメイン軸47の軸方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に沿って移動可能に配置されている。この上流側3速ギア65のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、複数の凸部65aが形成されている。これら複数の凸部65aは、上流側4速ギア66の複数の凹部66aと係合可能に構成されており、上流側3速ギア65がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)にスライド移動した際に、凸部65aと凹部66aとは、互いに係合される。この場合、上流側4速ギア66は、上流側3速ギア65により空転するのが抑制される。
また、上流側3速ギア65のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、複数の凹部65bが形成されている。また、上流側3速ギア65のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、上流側5速ギア67がメイン軸47に対して空転可能に配置されている。この上流側5速ギア67のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、複数の凸部67aが形成されている。これら複数の凸部67aは、上流側3速ギア65の複数の凹部65bに係合可能に構成されており、上流側3速ギア65がクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)にスライド移動した際に、凸部67aと凹部65bとは、互いに係合される。この場合、上流側5速ギア67は、上流側3速ギア65により空転するのが抑制される。
また、上流側2速ギア64は、メイン軸47のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)に設けられている。この上流側2速ギア64は、上記上流側3速ギア65、上流側4速ギア66および上流側5速ギア67とは異なり、メイン軸47に固定されている。
また、上流側1速ギア63、上流側2速ギア64、上流側3速ギア65、上流側4速ギア66および上流側5速ギア67には、それぞれ、下流側1速ギア68、下流側2速ギア69、下流側3速ギア70、下流側4速ギア71および下流側5速ギア72が噛合されている。これら下流側1速ギア68、下流側2速ギア69、下流側3速ギア70、下流側4速ギア71および下流側5速ギア72は、それぞれ、ドライブ軸73に設けられている。また、ドライブ軸73のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、後輪16(図1参照)にドライブ軸73の駆動力を伝達するための中間ギア74が固定されている。なお、中間ギア74に伝達された駆動力は、図示しない歯車機構を介して後輪16に伝達される。また、ドライブ軸73は、クランクケース部23に配置されている軸受75および76により回転可能に支持されている。
下流側1速ギア68は、ドライブ軸73の中間ギア74のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)に設けられている。なお、下流側1速ギア68は、本考案の「第2ギア」の一例である。この下流側1速ギア68は、ドライブ軸73に対して空転可能に配置されているとともに、下流側1速ギア68のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、複数の凹部68aが形成されている。また、下流側1速ギア68のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、下流側4速ギア71がドライブ軸73の軸方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に移動可能に配置されている。この下流側4速ギア71のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、複数の凸部71aが形成されている。これら複数の凸部71aは、下流側1速ギア68の複数の凹部68aに係合可能に構成されており、下流側4速ギア71がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)にスライド移動した際に、凸部71aと凹部68aとは、互いに係合される。この場合、下流側1速ギア68は、下流側4速ギア71により空転するのが抑制される。
また、下流側4速ギア71のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、下流側3速ギア70がドライブ軸73に対して空転可能に配置されている。この下流側3速ギア70のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、複数の凹部70aが形成されている。また、下流側3速ギア70のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、下流側5速ギア72がドライブ軸73の軸方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に移動可能に配置されている。この下流側5速ギア72のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、複数の凸部72aが形成されているとともに、下流側5速ギア72のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)には、複数の凸部72bが形成されている。これら複数の凸部72aは、下流側3速ギア70の複数の凹部70aに係合可能に構成されており、下流側5速ギア72がクラッチ機構部37側にスライド移動した際に、凸部72aと凹部70aとは、互いに係合される。この場合、下流側3速ギア70は、下流側5速ギア72により空転するのが抑制される。
また、下流側5速ギア72のクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)の隣には、下流側2速ギア69がドライブ軸73に対して空転可能に配置されている。この下流側2速ギア69のクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)には、複数の凹部69aが形成されている。これら複数の凹部69aは、下流側5速ギア72の複数の凸部72bに係合可能に構成されており、下流側5速ギア72がクラッチ機構部37側とは反対方向側(矢印X2方向側)にスライド移動した際に、凹部69aと凸部72bとは、互いに係合される。この場合、下流側2速ギア69は、下流側5速ギア72により空転するのが抑制される。なお、クラッチ機構部37、メイン軸47、上流側1速ギア63、上流側2速ギア64、上流側3速ギア65、上流側4速ギア66、上流側5速ギア67、下流側1速ギア68、下流側2速ギア69、下流側3速ギア70、下流側4速ギア71、下流側5速ギア72およびドライブ軸73によって、トランスミッション77が構成されている。なお、トランスミッション77は、本考案の「変速機構」の一例である。
図8は、第1実施形態による自動二輪車を停止状態から発進させる際に、プッシュロッドのフランジ部がメイン軸の一方端面を押圧する際の動作を説明するための図である。次に、図3、図7および図8を参照して、第1実施形態による自動二輪車を停止状態から発進させる際に、プッシュロッドのフランジ部がメイン軸の一方端面を押圧する際の動作について説明する。
まず、図3に示したニュートラルの状態で、かつ、クラッチ機構部37が接続されている状態から、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力を切断するようにクラッチ機構部37を作動させる。具体的には、運転者によりクラッチレバー7が第1の握り量Aまで回動されることによって、マスタシリンダ8の内部のオイルがオイルホース9を介してシリンダ部材58の内部に流入される。これにより、図8に示すように、シリンダ部材58に流入されたオイルの圧力により、ピストン61がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)に移動される。そして、ピストン61がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)に移動されるのに伴って、プッシュロッド54がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)に移動される。これにより、ロッド部材50、中間部材51および押圧部材52を介してクラッチ機構部37のプレッシャープレート43が矢印X1方向側に移動されるので、互いに押し付けられていた複数のフリクションプレート40および複数のクラッチプレート41間の荷重が低減される。その結果、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力が切断される。
ここで、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力が切断された直後では、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力が切断されているにも係わらず、メイン軸47は、慣性力により回転し続けている。一方、メイン軸47に対して空転する上流側4速ギア66に噛合されている下流側4速ギア71は、実質的に回転していない。この時、メイン軸47と共に回転するようにメイン軸47に設けられている上流側1速ギア63は、メイン軸47と共に回転し続けている。また、上流側1速ギア63に噛合されているとともに、ドライブ軸73に対して空転可能に設けられている下流側1速ギア68は、ニュートラルの状態なので、ドライブ軸73に対して空転している。
この際、運転者によりクラッチレバー7が第1の握り量Aまで回動されることによって、プッシュロッド54のフランジ部54dは、メイン軸47の一方端面47cに押圧される。この時、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力は切断されているので、フランジ部54dがメイン軸47の一方端面47cに押圧されていない場合と比べて、メイン軸47の回転数が小さくなる。これにより、下流側1速ギア68の回転数も小さくなるので、下流側1速ギア68の回転数は、実質的に回転していない下流側4速ギア71の回転数に近づく。
そして、運転者が図示しないシフトレバーを操作することにより、下流側4速ギア71は、矢印X1方向に移動される。そして、下流側4速ギア71の凸部71aが下流側1速ギア68の凹部68aに係合される。この際、下流側1速ギア68の回転数は、実質的に回転していない下流側4速ギア71の回転数に近づいているので、下流側4速ギア71の凸部71aと、下流側1速ギア68の凹部68aとは、スムーズに係合される。これにより、ドライブ軸73に対して空転する下流側1速ギア68は、ドライブ軸73と共に回転する下流側4速ギア71と共に回転される。すなわち、下流側1速ギア68は、ドライブ軸73と共に回転可能に接続されるとともに、メイン軸47の駆動力がドライブ軸73に伝達される。
その後、運転者がクラッチレバー7の握りを浅くすることにより、板バネ46が矢印X2方向に付勢しているプレッシャープレート43が、矢印X2方向に移動される。これにより、クランク軸33の駆動力がメイン軸47に伝達されるため、停止している自動二輪車1を、スムーズに発進させることが可能となる。
第1実施形態では、上記のように、プッシュロッド54に、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力を切断するようにクラッチ機構部37が作動される際に、メイン軸47を押圧するように構成されたフランジ部54dを設けている。これにより、通常、シフト操作を行う際に作動させるクラッチ機構部37が作動される時のみに、フランジ部54dがメイン軸47を押圧するので、フランジ部54dが常時メイン軸47に対して押圧する場合と比べて、メイン軸47の回転損失が大きくなるのを抑制することができる。また、クランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力が切断された後にメイン軸47が押圧されるので、フランジ部54dが常時メイン軸47を押圧する場合と比べて、フランジ部54dのメイン軸47に押圧している部分(凸部54e)が磨耗するのを抑制することができる。その結果、メイン軸47に対して駆動力が切断された後にメイン軸47の回転数を小さくする機能が衰えるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、クラッチレバー7がフルストロークの状態である第1の握り量Aで握られた場合に、フランジ部54dを、メイン軸47を押圧するように構成している。これにより、通常、運転者がクラッチレバー7を第1の握り量Aにまで深く握る停車時に、フランジ部54dをメイン軸47に押圧させることによりメイン軸47がメイン軸47の慣性力によって回転するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、クラッチレバー7が第1の握り量Aよりも少ない第2の握り量Bで握られた場合に、フランジ部54dを、メイン軸47を押圧しないように構成している。これにより、通常、運転者がクラッチレバー7を第2の握り量Bにまで浅く握る走行時に、フランジ部54dがメイン軸47を押圧するのを抑制することができる。その結果、走行時に、メイン軸47の回転数が低下するのを抑制することができる。また、走行時に、フランジ部54dがメイン軸47を押圧することがないので、メイン軸47の回転損失が大きくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、自動二輪車1の停止時に、メイン軸47が回転している一方で、ドライブ軸73に対して下流側1速ギア68が空転することによりドライブ軸73が回転していないニュートラル状態から1速に変速する場合に、プッシュロッド54のフランジ部54dを、クラッチレバー7が第1の握り量Aで握られることによりメイン軸47を押圧するように構成している。また、メイン軸47の回転数を小さくすることによって下流側1速ギア68の回転数を小さくするように構成している。これにより、停車時にドライブ軸73と共に回転していない下流側4速ギア71の凸部71aが下流側1速ギア68の凹部68aに対して係合する際に、下流側1速ギア68の回転数を小さくすることができる。その結果、凸部71aが下流側1速ギア68と共に回転する凹部68aに弾かれることなくスムーズに凸部71aと凹部68aとを係合させることができる。これにより、停止時にニュートラルから1速に変速する操作をスムーズに行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、フランジ部54dのメイン軸47を押圧する部分に、メイン軸47の一方端面47c側に突出する半円形状の断面を有する凸部54eを形成している。これにより、メイン軸47の一方端面47cに対して、凸部54eを押圧させることができるので、フランジ部54dをメイン軸47の一方端面47cに安定した状態で押圧させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、プッシュロッド54のフランジ部54dに、メイン軸47の一方端面47cが押圧されることによりメイン軸47の貫通孔47aの一方側がフランジ部54dにより覆われた場合にも、メイン軸47の貫通孔47aにオイルを流通可能にするオイル流入用孔部54fを設けている。これにより、容易に、メイン軸47の貫通孔47aにオイルを流通させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、プッシュロッド54を、アルミニウムからなるロッド部材50よりも高い硬度を有する鉄により構成している。これにより、メイン軸47の一方端面47cに当接するプッシュロッド54に設けられたフランジ部54dが磨耗するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、フランジ部54dを、プッシュロッド54がクラッチ機構部37側(矢印X1方向側)に移動されるのに伴って、メイン軸47の一方端面47cを押圧するように構成している。これにより、クラッチ機構部37においてクランク軸33からメイン軸47に伝達される駆動力が切断されるのに伴って、メイン軸47がメイン軸47の慣性力により回転するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、プッシュロッド54のフランジ部54dを、メイン軸47の一方端面47cを環状に押圧するように構成している。これにより、容易に、メイン軸47の一方端面47cを安定した状態で、押圧することができる。
(第2実施形態)
図9〜図13は、本考案の第2実施形態による変速機構およびその内部の構造を詳細に説明するための図である。以下、図9〜図13を参照して、本考案の第2実施形態によるトランスミッションの構造について詳細に説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、プッシュロッド81がメイン軸47の回転方向に回転するのが規制された例について説明する。
この第2実施形態では、図9に示すように、プッシュロッド81の本体部81bは、ロッドホルダ82の開口部82aに挿入されている。また、プッシュロッド81は、ロッドホルダ82に対して回転するのが規制された状態で開口部82aに挿入されている。具体的には、プッシュロッド81の本体部81bには、図10および図11に示すように、鉄製のピン83が圧入されている。このピン83は、プッシュロッド81の本体部81bの軸方向の中心を貫通するように配置されている。なお、ピン83は、本考案の「係止部材」および「第1ピン」の一例である。また、ロッドホルダ82の開口部82aの内周面には、図9および図12に示すように、ピン83の両端部がそれぞれ係合可能な一対の溝部82bが形成されている。そして、プッシュロッド81に圧入されたピン83は、ロッドホルダ82の溝部82bに係合されている。つまり、ピン83は、溝部82bに係合されることによって、プッシュロッド81がロッドホルダ82に対して回転するのを規制する機能を有する。なお、溝部82bは、本考案の「第1溝部」の一例である。
また、第2実施形態では、ロッドホルダ82は、クランクケース部84のホルダ取付穴84aに挿入されている。また、ロッドホルダ82は、クランクケース部84に対して回転するのが規制された状態でホルダ取付穴84aに挿入されている。具体的には、ロッドホルダ82の外周面には、図9および図12に示すように、2つの鉄製のピン85が圧入されている。これら2つのピン85は、図13に示すように、それぞれ、ロッドホルダ82の外周面に対して実質的に垂直に、かつ、180度間隔で圧入されている。なお、ピン85は、本考案の「係止部材」および「第2ピン」の一例である。また、クランクケース部84のホルダ取付穴84aの内周面には、2つの鉄製のピン85がそれぞれ係合可能な溝部84bが形成されている。そして、ロッドホルダ82に圧入されたピン85は、クランクケース部84の溝部84bに係合されている。つまり、ピン85は、溝部84bに係合されることによって、ロッドホルダ82がクランクケース部84に対して回転するのを規制する機能を有する。なお、溝部84bは、本考案の「第2溝部」の一例である。
このように第2実施形態では、ピン83および85により、プッシュロッド81がメイン軸47を押圧した際に、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを規制することが可能である。すなわち、プッシュロッド81がロッドホルダ82に対して回転するのが規制されているとともに、ロッドホルダ82がクランクケース部84に対して回転するのが規制されていることによって、プッシュロッド81がメイン軸47を押圧した際に、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを規制することが可能である。
なお、この第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態の構造と同様であるのでその説明を省略する。
また、この第2実施形態の動作は、上記第1実施形態の動作と同様であるのでその説明を省略する。
第2実施形態では、上記のように、プッシュロッド81を、メイン軸47の回転方向に回転するのを規制された状態でメイン軸47の軸方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に移動可能に構成している。これにより、メイン軸47が回転している際にプッシュロッド81がメイン軸47の一方端面47cを押圧した場合でも、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを規制することができる。
第2実施形態では、上記のように、プッシュロッド81を、ロッドホルダ82に対して回転するのを規制しており、ロッドホルダ82を、クランクケース部84に対して回転するのを規制している。これにより、容易に、プッシュロッド81がクランクケース部84に対して回転するのを規制することができるので、容易に、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを規制することができる。
第2実施形態では、上記のように、プッシュロッド81がメイン軸47を押圧した際に、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを規制するピン83および85を設けることによって、ピン83および85により、プッシュロッド81がメイン軸47と共に回転するのを抑制することができる。
第2実施形態では、上記のように、ロッドホルダ82に、ピン83が係合可能な溝部82bを形成しており、クランクケース部84には、ピン85が係合可能な溝部84bを形成している。これにより、溝部82bおよび84bにより、ピン83および85が安定した状態で係合されるので、プッシュロッド81およびロッドホルダ82を安定した状態でメイン軸47の回転方向に回転するのを抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、車両の一例として自動二輪車を示したが、本考案はこれに限らず、車両であれば、自動車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
また、上記実施形態では、プッシュロッドのフランジ部がメイン軸の一方端面を押圧することにより、回転するメイン軸の回転数を小さくする例を示したが、本考案はこれに限らず、たとえば、メイン軸のプッシュロッド側に設けられた貫通穴の内径の面取部など、メイン軸の一方端面以外の部分を押圧する押圧部を設けることにより、メイン軸の回転数を小さくするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プッシュロッドとロッド部材とを異なる硬度を有する材料により別々に形成した例を示したが、本考案はこれに限らず、プッシュロッドとロッド部材とを硬度の高い材料により一体的に形成してもよい。
また、上記実施形態では、自動二輪車の発進時に下流側1速ギアの凹部に対して下流側4速ギアの凸部が係合することにより、下流側1速ギアがドライブ軸に対して空転するのを抑制するように構成した例を示したが、本考案はこれに限らず、下流側1速ギアが下流側4速ギア以外のギアによりドライブ軸に対して空転するのを抑制するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、下流側1速ギアがドライブ軸に対して空転するとともに、上流側1速ギアがメイン軸と共に回転するように構成した例を示したが、本考案はこれに限らず、下流側1速ギアがドライブ軸と共に回転するように構成するとともに、上流側1速ギアがメイン軸に対して空転するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、プッシュロッドを鉄により構成した例を示したが、本考案はこれに限らず、プッシュロッドをロッド部材よりも硬度が高い材料であれば、セラミックスなど鉄以外の材料により構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、2本のピンを180度間隔でロッドホルダに圧入するとともに、クランクケース部のホルダ取付穴に2本のピンと係合可能な2つの溝部を形成した例について示したが、本考案はこれに限らず、3本のピンを120度間隔でロッドホルダに圧入するとともに、クランクケース部のホルダ取付穴に3本のピンと係合可能な3つの溝部を形成してもよいし、4本のピンを90度間隔でロッドホルダに圧入するとともに、クランクケース部のホルダ取付穴に4本のピンと係合可能な4つの溝部を形成してもよい。