以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。なお以下の説明で、前後、左右および上下は、自動二輪車に乗車した乗員から見た方向を言うものとする。
本発明の第1の実施の形態について図1〜図8を参照しながら説明すると、先ず図1において、この鞍乗り型車両は、スクータ型の自動二輪車であり、その車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク11ならびに該フロントフォーク11に連結される操向ハンドル12を操向可能に支承するヘッドパイプ13を前端に備えるものであり、後輪WRを駆動する動力を発揮するパワーユニットPが車体フレームFの前後方向中間部で上下揺動可能に支持される。
前記パワーユニットPは、後輪WRの前方に配置されるエンジンEと、該エンジンEの出力を前記後輪WRに伝達する伝動装置Mとから成り、伝動装置MはエンジンEのエンジン本体14に連設されて後輪WRの左側方に延びる伝動ケース15内に収納され、この伝動ケース15の後部と、前記車体フレームFの後部との間にはリヤクッションユニット16が設けられる。
前記車体フレームFと、前記パワーユニットPの一部とは、乗員の足を乗せる左右一対の足置き部18と、両足置き部18間で上方に隆起するフロアトンネル部19とを有する車体カバー17で覆われ、この車体カバー17は車体フレームFに取付けられる。また前記フロアトンネル部19の後方に配置される乗員用シート20と、該乗員用シート20の後方に配置されるパッセンジャーシート21とが前記車体カバー17上に配設される。
図2および図3を併せて参照して、前記エンジンEのエンジン本体14は、車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト24を回転自在に支承するクランクケース25と、ピストン29を摺動自在に嵌合させるシリンダボア30を有して前記クランクケース25に結合されるシリンダブロック26と、該シリンダブロック26に結合されるシリンダヘッド27と、該シリンダヘッド27に結合されるヘッドカバー28とを備える。前記エンジン本体14のシリンダ軸線Cすなわち前記シリンダボア30の軸線はわずかに前上がりに傾斜しており、前記ピストン29は前記クランクシャフト24に連接される。
前記ピストン29の頂部を臨ませてシリンダブロック26およびシリンダヘッド27間に形成される燃焼室31に空気を供給するための吸気装置32は、前記後輪WRの左側方で前記伝動ケース15の上方に配置されるとともに該伝動ケース15で支持されるエアクリーナ33と、該エアクリーナ33および前記シリンダヘッド27間に配置されるスロットルボディ34とを備え、燃料噴射弁35が前記シリンダヘッド27の上部側壁に取付けられる。
図1で示すように、前記シリンダヘッド27の下部側壁には、前記燃焼室31から排ガスを排出するための排気装置36が接続されており、この排気装置36は、前記シリンダヘッド27の下部側壁からエンジン本体14の下方を後方に延出される排気管37と、該排気管37の下流端に接続されるようにして前記後輪WRの右側方に配置される排気マフラー(図示せず)とを備える。
前記クランクケース25は、右側の第1ケース半体38ならびに左側の第2ケース半体39が結合されて成り、第1ケース半体38を回転自在に貫通するクランクシャフト24の右側端部にはアウターロータ40が固定され、該アウターロータ40とともに発電機42を構成するようにしてアウターロータ40で囲繞されるインナーステータ41が、第1ケース半体38に締結される支持板43に固定される。
第1ケース半体38には、前記発電機42を囲む筒状の発電機カバー44が結合されており、この発電機カバー44の右側にラジエータ45が配設される。前記クランクシャフト24には、前記ラジエータ45に冷却風を流通させるための冷却ファン46が、前記発電機42および前記ラジエータ45間に配置されるようにして固定される。
前記クランクシャフト24の回転動力を後輪WR側に伝達するようにして前記伝動ケース15に収容される前記伝動装置Mは、前記クランクシャフト24から伝達される回転動力を無段階に変速するVベルト式無段変速機48と、Vベルト式無段変速機48の回転動力を減速して後輪WRの車軸50に伝達する減速ギヤ機構49とを備える。前記後輪WRは、前記伝動ケース15と、前記クランクケース25の第1ケース半体38に連設されて前記後輪WRの右側方まで延びる支持アーム51とで挟まれるように配置されており、前記車軸50の両端部は、前記伝動ケース15および前記支持アーム51の後端部で軸支される。
前記伝動ケース15は、分割可能な複数のケース部材が締結されて成るものであり、この実施の形態では、第2ケース半体39を一体に有して前記クランクケース25の左側壁から後輪WRの側方まで後方に延出される第1のケース部材としてのケース主体52と、前記Vベルト式無段変速機48を収容する変速機室55を前記ケース主体52との間に形成して該ケース主体52に締結される第2のケース部材としてのケースカバー53と、前記減速ギヤ機構49を収容するギヤ室56を前記ケース主体52との間に形成するようにして該ケース主体52の後部に締結される第3のケース部材としてのギヤカバー54とで構成される。
Vベルト式無段変速機48は、駆動軸としての前記クランクシャフト24にベルト巻き掛け径を可変として設けられる駆動プーリ57と、前記クランクシャフト24よりも後方に配置されて前記伝動ケース15に収容される従動軸60に設けられる従動プーリ58と、駆動プーリ57および従動プーリ58に巻き掛けられる無端状のVベルト59とを備える。
図4において、前記駆動プーリ57は、前記クランクシャフト24に固定された固定シーブ61と、前記クランクシャフト24の軸線に沿う方向で前記固定シーブ61に対する近接、離反を可能として前記クランクシャフト24に支持される可動シーブ62とから成り、前記可動シーブ62は前記固定シーブ61よりもクランクケース25側に配置される。
前記クランクシャフト24において前記伝動ケース15における前記ケースカバー53側の左端部には、前記固定シーブ61の内周部に当接するワッシャ63を該固定シーブ61との間に挟むナット64が螺合される。一方、前記変速機室55内で前記クランクシャフト24の軸方向中間部外周には、前記固定シーブ61側に臨む環状段部24aが形成されており、この環状段部24aに内周部を当接させるウエイト保持プレート74と、前記固定シーブ61との間に前記クランクシャフト24を囲繞する円筒状のスリーブ65が介装され、前記ナット64を締めつけることで、前記クランクシャフト24に前記固定シーブ61および前記ウエイト保持プレート74が固定される。
前記固定シーブ61には前記変速機室55内に冷却空気を流通させるためのファン66が一体に設けられており、前記固定シーブ61に対応する位置で前記伝動ケース15の前記ケースカバー53には、開口部67が設けられるとともに、該開口部67を囲んで外方に突出する吸入筒部53aが一体に設けられる。前記吸入筒部53aには、該吸入筒部53aの外端を閉じる蓋部材68が複数の第1ボルト70で締結され、前記蓋部材68および前記ケースカバー53間には、前記開口部67を囲むようにして無端状に連なる円筒状のクリーナエレメント69が前記吸入筒部53a内に配置されるようにして挟持される。また前記吸入筒部53aの後側壁には吸入口71が設けられる。
前記可動シーブ62は、アルミニウム等の軽合金から成るものであり、軸方向の移動を可能として前記クランクシャフト24に前記スリーブ65を介して支持されるようにしつつ前記クランクシャフト24と同軸に配置される円筒状のボス部62aと、前記固定シーブ61との間に前記Vベルト59を保持するようにして前記ボス部62aの一端部から半径方向外方に張り出して前記固定シーブ61とは反対側に開放した椀状に形成されるフランジ部62bとを一体に有し、前記ボス部62aおよび前記スリーブ65間には円筒状の含油ブッシュ73が介装される。
前記可動シーブ62は、遠心式シフト機構72の働きによって前記クランクシャフト24の回転数が増大するのに応じて前記固定シーブ61に近接する側に駆動されるものであり、前記遠心式シフト機構72は、前記可動シーブ62におけるフランジ部62bの前記固定シーブ61とは反対側の形成されるカム面76と、前記クランクシャフト24に固定されて前記可動シーブ62とは反対側から前記カム面76に対向するウエイト保持プレート74と、前記カム面76および前記ウエイト保持プレート74間に保持されるウエイト75とを備える。
前記可動シーブ62における前記フランジ部62bの前記固定シーブ61とは反対側の内周の周方向複数箇所には、半径方向内方に突出する突部77が一体に形成される。また前記ウエイト保持プレート74の外周の周方向複数箇所には、前記突部77を挟持する挟持部材78が取付けられており、前記ウエイト保持プレート74および前記可動シーブ62は前記クランクシャフト24とともに回転する。
このような遠心式シフト機構72では、前記カム面76に転がり接触する前記ウエイト75が、前記クランクシャフト24の回転に伴って作用する遠心力の増大によってクランクシャフト24の半径方向外方に移動し、それによって前記可動シーブ62が前記固定シーブ61側に移動することになる。
前記可動シーブ62は、前記遠心式シフト機構72に加えて、アクチュエータである電動モータ80の動力によっても前記クランクシャフト24の軸方向に駆動されるものであり、前記電動モータ80からの動力で出力部材である出力ロッド81を前記クランクシャフト24の軸線と平行な方向に移動させるようにしたアクチュエータユニット82が、前記伝動ケース15における前記ケースカバー53の外面に取付けられる。
前記可動シーブ62には、転がり軸受であるボールベアリング86を介して連結アームアーム91が支持されており、この連結アーム91には前記出力ロッド81を係合することが可能であり、連結アーム91に前記出力ロッド81が係合、連結された状態で、前記出力ロッド81の軸方向移動が前記可動シーブ62に伝達される。
前記連結アーム91は、前記ボールベアリング86に取付けられる第1部材93と、前記出力部材81に係合することを可能として第1部材93に取付け部材である第2ボルト95で取付けられる第2部材94とで構成される。
前記ボールベアリング86の内輪86aは、前記可動シーブ62における前記フランジ部62の外周に複数の第3ボルト96で取付けられるベアリングホルダ90に支持される。このベアリングホルダ90は、前記内輪86aの内周に嵌合して該内輪86aを支持する円筒状の筒部90aと、前記フランジ部62bに設けられた環状段部62cとの間に前記内輪86aを軸方向両端から挟むようにして前記筒部90aの前記環状段部62cとは反対側の端部から半径方向外方に張り出す鍔部90bとが一体に形成される。
図5を併せて参照して、第1部材93は、たとえばアルミニウム合金によって形成されるものであり、前記ボールベアリング86を囲む環状部93aと、該環状部93aの後部から後方に延びる延出部93bとを一体に有する。
前記ボールベアリング86の外輪86bは、第1部材93の前記環状部93aに嵌合されるものであり、前記環状部93aの内周に形成される環状段部93cと、前記環状部93aの内周の周方向2箇所に設けられる係合溝97に外周の一部を係合させた環状の押え板98の内周部との間に挟持される。
第2部材94は、たとえば鉄系の材料によって形成されるものであり、前記押え板98の一部を第1部材93の延出部93bとの間に挟むようにして第2ボルト95で前記延出部93bに締結される。
第1部材93の前記延出部93bの第2部材94側への合わせ面93dと、第2部材94の前記延出部93bへの合わせ面94aとは、前記クランクシャフト24の軸線に直交する平面に沿うものであり、両合わせ面93d,94a間に前記押え板98の一部を挟んだ状態で、第2部材94が、前記クランクシャフト24の軸線と平行な軸線を有する第2ボルト95の車幅方向外方からの取付け操作で第1部材93に取付けられる。
しかも第2ボルト95は、図4で明示するように、前記クランクシャフト24の軸線と直交する方向で前記出力ロッド81および前記クランクシャフト24間に在るとともに前記クランクシャフト24の半径方向で前記出力ロッド81の少なくとも一部(この実施の形態では出力ロッド81の先端側の一部)と重なる位置に配置される。
また第2ボルト95は、図2で示すように、前記クランクシャフト24の軸線と、該クランクシャフト24の後方に配置される前記従動軸60の軸線とを結ぶ直線L上に配置される。
また第1部材93の前記延出部93bには、第2ボルト95を取り付けるためのボス部93eが形成されており、前記出力ロッド81が前記アクチュエータユニット82から押し出される方向に移動する際の移動端は、図4で示すように、前記ボス部93eが前記伝動ケース15の前記ケース主体52に当接することで規制されるものであり、前記ケース主体52には、前記ボス部93eを当接させ得る規制突部52aが一体に突設される。
ところで、第2部材94は単一の第2ボルト95で第1部材93に取付けられるものであり、第2ボルト95の軸線まわりに第2部材94が回動することを阻止するために、第2部材94および第1部材93間には、第2ボルト95の軸線からオフセットした位置に配置されて前記押圧板98を貫通するノックピン132が設けられる。また第1部材93および押圧板98は、前記直線Lに関して対称に形成されており、180度反転させても利用可能であるので、第1部材93および押圧板98には、前記ノックピン132を嵌合させるための孔133が、第2ボルト95の両側に配置されるようにして形成される。
図6を併せて参照して、前記連結アーム91における第2部材94には、第2ボルト95よりも車両前後方向の後方側に位置するようにして被係合部92が一体に設けられており、この被係合部92は、略U字状に形成されて前記出力ロッド81を上下から挟むように第2部材94の後端部から上下に分岐されて略U字状に配置される上下一対の腕部99,100に、後方側に開いた係止凹部101,102が設けられて成る。
一方、前記出力ロッド81には、前記被係合部92の前記係止凹部101,102に車両前後方向に沿う後方から係合可能な係合部103が、前記出力ロッド81から上下に棒状に突出するようにして設けられる。
前記腕部99,100のうち上方の腕部99の先端部下面には、前記クランクシャフト24から離反するにつれて上方位置となるように傾斜したガイド部99aが形成され、下方の腕部100の先端部上面には、前記クランクシャフト24から離反するにつれて下方位置となるように傾斜したガイド部100aが形成される。すなわち両腕部99,110の先端部(車両前後方向に沿う後端部)には相互に対向しつつ後方に向かうにつれて相互に離反するように傾斜したガイド部99a,100aが、前記出力ロッド81の係合部103を係止凹部101,102に係合する側にガイドすべく、車両前後方向に沿う後方から前記出力ロッド81を両腕部99,100間に挿入するのをガイドするようにして形成される。
前記伝動ケース15のケース主体52には、前記被係合部92から前記係合部103を離脱させた状態で前記連結アーム91における第1部材93の前記延出部93bに下方から当接して該連結アーム91を支持するアーム支持部104が、クランクシャフト24の軸線方向に延出するようにして設けられる。
しかも前記アーム支持部104は、前記係合部103が前記被係合部92に係合された状態では前記連結アーム91から離間するように配置されるものであり、前記被係合部92が備える上下一対の腕部99,100のうち上方の腕部99の下面のうち前記ガイド部99aが、前記係合部103を前記被係合部92に係合させる過程で前記出力ロッド81に上方から当接することで、前記連結アーム91が前記アーム支持部104から離間する。すなわち前記係合部103の前記被係合部92への係合過程で前記出力ロッド81に上方の前記腕部99が上方から当接することによって前記連結アーム91が前記被係合部92を上昇させるように回動し、それによって前記連結アーム91が前記アーム支持部104から離間するものであり、前記腕部99が、該腕部99の前記出力ロッド81への当接によって前記連結アーム91が前記アーム支持部104から離間するようにして、前記連結アーム91に設けられる。
ところで前記伝動ケース15のケース主体52には、前記連結アーム91に上方から当接し得るアーム支持部105が、前記アーム支持部104と上下で対をなすようにして設けられており、このアーム支持部105は、生産工場でクランクシャフト24の軸線を上下方向に沿わせた姿勢で前記伝動ケース15に前記アクチュエータユニット82を組み付ける際に、前記連結アーム91がクランクシャフト24の軸線まわりに回転してしまうことを、前記連結アーム91の下方の前記アーム支持部104と協働して防止する機能を果たす。
なお前記アーム支持部104,105は、前記ケース主体52に一体に設けられていてもよく、また棒状部材を前記ケース主体52に植設して前記アーム支持部104,105を構成するようにしてもよい。
図7を併せて参照して、前記アクチュエータユニット82は、前記伝動ケース15におけるケースカバー53の外面に取付けられるユニットケース106を有しており、前記電動モータ80は、前記ユニットケース106に取付けられて前記ケースカバー53内に突入される。また前記出力ロッド81は、前記クランクシャフト24と平行な方向への軸方向移動を可能として前記ユニットケース106に支持されつつ前記ケースカバー53内に突入されており、前記ユニットケース106内に、前記電動モータ80の回転運動を前記出力ロッド81の軸方向移動に変換する伝動機構107が収容される。
前記連結アーム91における第2部材94には、前記出力ロッド81が前記アクチュエータユニット82内に引き戻される方向に移動する際の移動端を、前記ケースカバー53に取付けられた状態の前記アクチュエータユニット82の外面に当接することで規制するストッパ99b,100bが形成される。この実施の形態では、第2部材94に一体に設けられる上下一対の腕部99,100に前記ストッパ99b,100bが一体に突設され、前記アクチュエータユニット82のユニットケース106に前記出力ロッド81を囲繞する環状規制面106bが、前記ストッパ99b,100bを当接させ得るように形成される。
ところで前記出力ロッド81が前記アクチュエータユニット82から押し出される方向に移動する際の移動端は、前記ボス部93eが前記ケース主体52の規制突部52aに当接することで規制され、前記出力ロッド81が前記アクチュエータユニット82内に引き戻される方向に移動する際の移動端は、前記ストッパ99b,100bが前記環状規制面106bに当接することで規制されるのであるが、このような出力ロッド81の両方向への規制端までの移動は、エンジンEの始動時に初期位置の確認を行うために行われるものであり、通常の変速範囲では、出力ロッド81が両方向の規制端まで移動することはない。
前記アクチュエータユニット82は、前記出力ロッド81の前記係合部103を前記連結アーム91の前記被係合部92に第2ボルト95よりも後方側から係合させて前記伝動ケース15の前記ケースカバー53に外部から取り付けられる係合位置(図7の鎖線で示す位置)と、前記ケースカバー53への非取付け状態で前記被係合部92から前記係合部103を離脱させた係合解除位置(図7の実線で示す位置)との間で、前記クランクシャフト24の軸線に直交する方向にスライドすることを可能として前記ケースカバー53に支持されるものであり、前記ケースカバー53の外面に、前記アクチュエータユニット82を取り付けるための平坦な取付け面108が形成される。
このアクチュエータユニット82の組付けに当たっては、図7の実線矢印119で示すように、前記電動モータ80および前記出力ロッド81を前記ケースカバー53内に突入させるようにして前記ユニットケース106を前記取付け面108に当接させて前記アクチュエータユニット82を係合解除位置とした後に、図7の鎖線矢印120で示すように、前記アクチュエータユニット82を前記係合位置まで前方にスライドさせて前記係合部103を前記被係合部92に係合した状態で、前記ユニットケース106を複数個たとえば4個の第4ボルト109で前記取付け面108に締結すればよい。
ところで、前記伝動ケース15は、前記ケース主体52、前記ケースカバー53および前記ギヤカバー54が複数の締結部材で締結されて成るものであり、この実施の形態では、前記ケース主体52に、前記ケースカバー53の外周に間隔をあけて配置される複数個の締結部材としての第5ボルト110と、前記クランクシャフト24および前記従動軸60間で前記ケースカバー53の前後方向中間部に挿通される締結部材としての第6ボルト111と、前記従動軸60よりも後方で前記ケースカバー53の後部寄りに挿通される締結部材としての第6ボルト112とで前記ケースカバー53が締結される。また前記ケース主体52および前記ギヤカバー54は、複数の締結部材である第7ボルト113で相互に締結される。
第5〜第8ボルト110,111,112,113のうち前記取付け面108に対応する部分に配置される特定のボルトである第6ボルト111は、その一部が側面視で前記取付け面108の後部に重なる位置に配置されており、前記ケースカバー53には、前記取付け面108よりも前記ケースカバー53の内方側に凹んだ凹部114が、第6ボルト111の締結座面115を内端に有するようにして形成され、第6ボルト111の全てが前記取付け面108よりも前記ケースカバー53の内方側に配置される。
前記ケースカバー53には、前記凹部114に連なるボルト挿通孔140を有して前記ケース主体52側に突出する円筒状のボス141が一体に突設されており、このボス141の先端部を当接させる締結ボス142が前記ケース主体52に一体に突設される。第6ボルト111は、その拡径頭部111aを前記凹部114内で前記締結座面115に係合、当接させるようにして前記ボルト挿通孔140に挿通され、前記締結ボス142に螺合される。この際、前記第6ボルト111の前記拡径頭部111aの全てが前記凹部114内に収容される。
また前記アクチュエータユニット82のユニットケース106には、前記係合位置に在る前記アクチュエータユニット82が前記取付け面108に取付けられた状態で前記凹部114の少なくとも一部を外方から覆う遮蔽部であるカプラ106aが設けられる。なおこの遮蔽部は、前記カプラ106aに限られるものではなく、ユニットケース106に鍔状の遮蔽壁を形成し、その遮蔽壁を遮蔽部としてもよい。
図8を併せて参照して、前記取付け面108には、前記電動モータ80を貫通させる第1貫通孔116と、前記出力ロッド81を貫通させる第2貫通孔117とが相互に離間して形成され、第1および第2貫通孔116,117は、前記アクチュエータユニット82のスライドを許容するように車両前後方向に長い長孔状に形成される。
また前記ケースカバー53の内面には、第1および第2貫通孔116,117間に配置されるリブ118が突設される。また第1および第2貫通孔116,117を囲むように配置されるリブ138が前記ケースカバー53の内面に突設されており、前記リブ118の両端が前記リブ138に一体に連設される。
再び図3において、前記従動プーリ58は、前記従動軸60を同軸に囲繞しつつ該従動軸60に相対回転可能に支承される円筒状の内筒123に固定される固定シーブ121と、前記内筒123に対する軸方向相対移動および相対回動を可能として前記内筒123を同軸に囲繞する外筒124に固定されることで前記固定シーブ121に対する近接・離反を可能とした可動シーブ122とで構成され、固定シーブ121および可動シーブ122間にVベルト59が巻き掛けられる。また固定シーブ121および可動シーブ122間の相対回転位相差に応じて両シーブ121、122間に軸方向の分力を作用せしめるトルクカム機構125が、前記内筒123および前記外筒124間に設けられ、可動シーブ122はコイルスプリング126によって固定シーブ121側に向けて弾発付勢され、固定シーブ121および従動軸60間には、エンジン回転数が設定回転数を超えるのに伴って動力伝達状態となる遠心クラッチ127が設けられる。
前記従動プーリ58における固定シーブ121および可動シーブ122間の軸方向間隔は、前記トルクカム機構125によって生じる軸方向の力と、コイルスプリング126によって生じる軸方向の弾性力と、固定シーブ121および可動シーブ122間の間隔をあける方向に作用するVベルト59からの力とのバランスにより決定され、Vベルト59の駆動プーリ57への巻き掛け半径が大きくなると、Vベルト59の従動プーリ58への巻き掛け半径が小さくなる。
前記ケース主体52を液密にかつ回転自在に貫通する前記従動軸60の一端部は、前記ケースカバー53に回転自在に支承され、この従動軸60の他端部は前記ギヤカバー54に回転自在に支承される。前記後輪WRの車軸50の一端部は、前記ギヤカバー54を気密に貫通してギヤ室56内に突入されており、この車軸50の一端側はケース主体52およびギヤカバー54で回転自在に支承され、該車軸50の他端部が前記支持アーム51で回転自在に支承される。
前記減速ギヤ機構49は、前記従動軸60および前記車軸50間に設けられるようにして前記ギヤ室56に収納されるものであり、前記クランクシャフト24からの回転動力が前記Vベルト式無段変速機48および前記遠心クラッチ127を介して伝達される従動軸60に一体に設けられるドライブギヤ128と、前記後輪WRの車軸50に設けられるファイナルギヤ129と、該ファイナルギヤ129および前記ドライブギヤ128間に配設される第1および第2アイドルギヤ130、131とを有する。
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、可動シーブ62にボールベアリング68を介して支持される連結アーム91を構成するために、出力ロッド81に係合することを可能とした第2部材94を第1部材93に取り付ける第2ボルト95が、クランクシャフト24の軸線と直交する方向で出力ロッド81およびクランクシャフト24間に在るので、第2ボルト95をクランクシャフト24に近づけて配置することができ、第2ボルト95が配置される部位で連結アーム91に加わる荷重を小さくして連結アーム91の小型化を図ることができる。しかも第2ボルト95はクランクシャフト24の半径方向で出力ロッド81の少なくとも一部と重なる位置に配置されるので、連結アーム91をクランクシャフト24の軸線方向でも小型化することができる。
また第1部材93に、第2ボルト95を取り付けるためのボス部93eが形成され、前記出力ロッド81がアクチュエータユニット82から押し出される方向に移動する際の移動端が前記ボス部93eの前記伝動ケース15の規制突部52aへの当接で規制されるので、ボス部93eをストッパとしても機能させることで、部品点数の削減を図ることができる。しかもボス部93eは、出力ロッド81よりもクランクシャフト24に近い位置に配置されるので、仮に必要以上の力で出力ロッド81から連結アーム91に押圧力が加わったとしても可動シーブ62を傾ける方向への力を小さくすることができる。
また第2部材94に、前記出力ロッド81がアクチュエータユニット82内に引き戻される方向に移動する際の移動端を、アクチュエータユニット82のユニットケース106が外面に有する環状規制面106bに当接することで規制するストッパ99b,100bが形成されるので、アクチュエータユニット82のユニットケース106の外面を利用することで部品点数の削減を図ることができる。しかもストッパ99b,100bが、出力ロッド81よりもクランクシャフト24に近い位置に配置されるので、仮に必要以上の力で出力ロッド81から連結アーム91に押圧力が加わったとしても可動シーブ62を傾ける方向への力を小さくすることができる。
また車体フレームFにエンジン本体14とともに揺動自在に支承されて前後方向に延びる伝動ケース15に、クランクシャフト24が車幅方向に延びる軸線を有して支承され、その駆動軸24の軸線に直交する平面に沿う合わせ面94aで第1部材93に合わせられる第2部材94が、前記クランクシャフト24の軸線と平行な軸線を有する第2ボルト95の車幅方向外方からの取付け操作で第1部材93に取付けられるので、外部からの第2ボルト95へのアクセスが容易であり、第2ボルト95の取付け作業性が向上する。
またVベルト59から伝達される動力で回転駆動される従動軸60が、前記クランクシャフト24の後方に配置されて前記伝動ケース15に収容され、前記クランクシャフト24および前記従動軸60の軸線を結ぶ直線L上に第2ボルト95が配置されるので、上下に振れるVベルト59が、第2ボルト95と干渉するのを効果的に防止することができる。
また前記出力ロッド81が前記連結アーム91との係合、連結を解除した状態の前記アクチュエータユニット82を、第2ボルト95よりも後方側から前進するように前記クランクシャフト24の軸線に直交する方向にスライドすることを可能として前記アクチュエータユニット82が前記伝動ケース15のケースカバー53に支持され、該アクチュエータユニット82の前進位置で前記出力ロッド81が前記連結アーム91に係合、連結されるので、アクチュエータユニット82のスライド移動時にそのスライド移動方向で第2ボルト95が邪魔になることはない。
アクチュエータユニット82は、出力部材81の係合部103を連結アーム91の前記被係合部92に係合させて前記出力ロッド81の移動を前記可動シーブ62に伝達することを可能として伝動ケース15のケースカバー53に外部から取り付けられる前方側の係合位置と、前記ケースカバー53への非取付け状態で前記被係合部92から前記係合部103を離脱させた後方側の係合解除位置との間で、前記クランクシャフト24の軸線に直交する方向にスライドすることを可能として前記伝動ケース15の前記ケースカバー53に支持されており、前記ケースカバー53の外面に、前記アクチュエータユニット82を取り付けるための平坦な取付け面108が形成されるとともに、その取付け面108よりも前記ケースカバー53の内方側に凹んだ凹部114が、伝動ケース15を構成するケース主体52、前記ケースカバー53およびギヤカバー54を締結する第5〜第8ボルト110〜113のうち前記取付け面108に対応する部分に配置される第6ボルト111の締結座面115を内端に有するようにして形成され、第6ボルト111の全てが前記取付け面108よりも前記ケースカバー53の内方側に配置されるので、アクチュエータユニット82の周辺に配置される第65ボルト111が取付け面108から外方に突出することはない。したがって凹部114が配置される部分を含んで取付け面108全体にアクチュエータユニット82を摺接させることができ、アクチュエータユニット82のスライド移動させる空間を充分に確保することができ、アクチュエータユニット82の取付けおよび取り外し作業の作業性を高めることができる。
また前記係合位置に在る前記アクチュエータユニット82が前記取付け面108に取付けられた状態で前記凹部114の少なくとも一部を外方から覆う遮蔽部であるカプラ106aが、前記アクチュエータユニット82に設けられるので、アクチュエータユニット82を伝動ケース15から取り外した状態でないと、第6ボルト111の締結を解除し難くすることができ、アクチュエータユニット82側の係合部103および可動シーブ62側の被係合部92が係合した状態のままで伝動ケース15を無理に分解することを防止することができる。
また前記取付け面108に、伝動モータ80を貫通させる第1貫通孔116と、前記出力ロッド81を貫通させる第2貫通孔117とが、相互に離間して形成されるので、第1および第2貫通孔116,117間にケースカバー53の側壁の一部が介在するようにしてケースカバー53の剛性を高めることができる。したがって可動シーブ62をクランクシャフト24の軸方向に移動させる際のアクチュエータユニット82からの荷重に充分に耐えるようにしてアクチュエータユニット82を支持することができ、出力ロッド81で可動シーブ62を精度よく移動させることができる。
しかも前記ケースカバー53の内面に、第1および第2貫通孔116,117間に配置されるリブ118が突設されるので、ケースカバー53の剛性をより一層高めることができる。
また前記出力ロッド81に設けられる係合部103を係合させる被係合部92が連結アーム91の第2部材94に設けられ、前記被係合部92に、前記クランクシャフト24から離反するにつれて上方位置となるように傾斜したガイド部99aが、前記係合部103をガイドするようにして形成されるので、被係合部92への係合部103の係合を容易とすることができる。しかもこの実施の形態では、前記被係合部92に、前記ガイド部99aに加えて、前記クランクシャフト24から離反するにつれて下方位置となるように傾斜したガイド部100aが、前記係合部103をガイドするようにして形成されるので、被係合部92への係合部103の係合をより容易とすることができる。
また前記被係合部92から前記係合部103を離脱させた状態で前記連結アーム91に下方から当接して該連結アーム91を支持するアーム支持部99が前記伝動ケース15のケース主体52に設けられるので、被係合部92から係合部103を離脱させた状態で連結アーム91をアーム支持部99で下方から支持して連結アーム91を所定位置に支持しておくことができ、アクチュエータユニット82を係合解除位置から係合位置にスライドさせた時に係合部103を被係合部92に係合させ易くなり、アクチュエータユニット82の取付け性が向上する。
また前記アーム支持部99は、前記係合部103が前記被係合部92に係合された状態では前記連結アーム91から離間するように配置されるので、出力ロッド81の移動によって可動シーブ62を軸方向に駆動する際に、連結アーム91がアーム支持部99に摺接して摩耗や異音が生じることを防止することができる。
さらに前記係合部103の前記被係合部92への係合過程で前記出力ロッド81に上方から当接する腕部99が、該腕部99の前記出力ロッド81への当接によって前記連結アーム91が前記アーム支持部99から離間するようにして、前記連結アーム91に設けられるので、係合部103を被係合部92に係合して出力ロッド81を連結アーム91に連結したときには連結アーム91を持ち上げて出力ロッド81から離間させるようにして、連結アーム91がアーム支持部99に摺接して摩耗や異音が生じることを防止することができる。
本発明の第2の実施の形態について図9〜図12を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
先ず図9において、前記伝動ケース15における前記ケースカバー53の外面に形成される取付け面108には、クランクシャフト24の軸線と平行な方向に移動させるようにした出力ロッド145を第2貫通孔117から前記伝動ケース15内に突入させる出力ロッド145を有するアクチュエータユニット146のユニットケース106が取付けられる。このアクチュエータユニット146は、前記出力ロッド145の形状が第1の実施の形態の前記アクチュエータユニット82の前記出力ロッド81の形状と異なるだけであり、他の部分は前記アクチュエータユニット82と同様に構成される。
一方、Vベルト式無段変速機48の駆動プーリ57における可動シーブ62には、前記出力ロッド145を係合させることを可能とした連結アーム147がボールベアリング86を介して支持される。
前記連結アーム147は、たとえば鉄系の材料によって形成されるものであり、前記ボールベアリング86を囲む環状部147aと、該環状部147aの後部から後方に延びる延出部147bとを一体に有する。
前記ボールベアリング86の外輪86bは、前記連結アーム147の前記環状部147aに嵌合されるものであり、前記環状部147aの内周に形成される環状段部147cと、前記環状部147aの内周に嵌着される止め輪148との間に挟持される。
前記ボールベアリング86の内輪86aは、上述の第1の実施の形態と同様にして前記可動シーブ62における前記フランジ部62の外周に締結されるベアリングホルダ90に支持される。
前記連結アーム147の前記延出部147bには、前記伝動ケース15の前記ケース主体15側に向けて突出する第1ストッパ147dが突設されており、前記アクチュエータユニット146の前記出力ロッド145に前記連結アーム147が係合された状態で、前記出力ロッド145が前記アクチュエータユニット146から押し出される方向に移動する際の移動端は、前記ケース主体52に一体に設けられた規制突部52bに第1ストッパ147dが当接することで規制される。また前記延出部147bには、前記第1規制突部147dとは反対側に突出する第2ストッパ147eが突設されており、前記出力ロッド145が前記アクチュエータユニット146内に引き戻される方向に移動する際の移動端は、前記アクチュエータユニット146のユニットケース106に形成される環状規制面106bに第2ストッパ147eが当接することで規制される。
前記連結アーム147における前記延出部147bと、前記出力ロッド145とは、前記出力ロッド145の移動に伴って前記可動シーブ62を倒す方向で前記出力ロッド145および前記連結アーム147間に生じる力を吸収するボールジョイント149を介して係合される。
また前記伝動ケース15のケース主体52には、前記連結アーム147および前記出力ロッド145の係合が解除された状態で前記連結アーム147の前記延出部147bに下方から当接して該連結アーム147を支持するアーム支持部104が、クランクシャフト24の軸線方向に延出するようにして設けられる。
前記ボールジョイント149は、前記出力ロッド145に同軸に締結される保持部材150で保持されており、このボールジョイント149に係脱可能に係合する係合ピン151が前記連結アーム147の前記延出部147bに圧入、固定される。
図10および図11を併せて参照して、前記保持部材150は、前記出力ロッド145の先端部に開口するようにした該出力ロッド145に同軸に設けられる有底のねじ孔152に螺合する雄ねじ153が外周に刻設される軸部150aと、該軸部150aの前記出力ロッド145とは反対側の端部に一体に連なる環状保持部150bとを有するように形成される。
前記ボールジョイント149は、前記保持部材150の前記環状保持部150bに嵌合されるシート154と、該シート154で回動可能に保持されるボール155とで構成されるものであり、前記ボール155には係合孔156が設けられる。前記シート154は、前記環状保持部150bの前記連結アーム147とは反対側の端部に一体に設けられる内向き鍔部150cと、前記環状保持部150bの内周に嵌着される止め輪157とで挟持される。
前記保持部材150における前記軸部150aの雄ねじ153には、前記出力ロッド145の先端に当接、係合するロックナット158が螺合されており、前記軸部150aを前記ねじ孔152に螺合した後に前記ロックナット158を締め付けることで、前記保持部材150が前記出力ロッド145に固定される。この際、前記保持部材150は、その環状保持部150bで保持された前記ボールジョイント149の係合孔156の軸線が前後方向を指向する姿勢で前記出力ロッド145に固定される。
図12を併せて参照して、前記出力ロッド145の先端部外周には、該出力ロッド145の一直径線に直交する平面に沿う一対の相互に平行な係合面159,159が形成されており、前記保持部材150の前記出力ロッド145への螺合作業時に、前記係合面159,159に図示しない工具を係合して前記出力ロッド145を把持することにより、組付け性を高めることができる。
前記係合ピン151は、たとえば鉄系金属から成るものであり、前記連結アーム147の前記延出部147bに設けられた有底の圧入孔160に圧入される圧入軸部151aと、前記ボールジョイント149の前記係合孔156に挿脱可能に嵌入するようにして前記圧入軸部151aよりも小径に形成される係合軸部151bと、前記圧入軸部151aおよび前記係合軸部151bの連設部から半径方向外方に張り出して前記延出部147bの先端部に当接、係合する鍔部151cとを同軸にかつ一体に有するように形成される。
前記係合軸部151bの先端部には、該係合軸部151bの前記係合孔156への嵌入を容易とするためにテーパ面161が形成されており、先端側に向かうにつれてより細くなるようにテーパ角度を定めることによって、係合軸部151bの前記係合孔156への嵌入が容易となる。なお上記テーパ面161に代えて前記係合軸部151bの先端を球状に形成してもよく、また係合軸部151bをその全長にわたって外径を同一とした単純な柱状としてもよい。
この第2の実施の形態によれば、前記出力ロッド145および前記連結アーム147が、前記出力ロッド145の移動に伴って前記可動シーブ62を倒す方向で前記出力ロッド145および前記連結アーム147間に生じる力を吸収するボールジョイント149を介して係合されるので、前記出力ロッド145および前記連結アーム147の係合部位に高負荷がかかるのを防止することができ、耐久性の向上に寄与することができる。
また前記出力ロッド145側に係合孔156が設けられたボール155を有するボールジョイント149が設けられ、前記連結アーム147側に係合ピン151が設けられており、前記伝動ケース15における前記ケースカバー53の外面への前記アクチュエータユニット146の着脱にあたって該アクチュエータユニット146を前後にスライドさせることで前記係合ピン151の前記係合孔156への挿脱が可能であり、組立性が向上する。しかも連結アーム147および出力ロッド145の係脱構造および負荷吸収構造を簡素化して構成することができ、小型化も可能となる。
本発明の第3の実施の形態として図13で示すように、前記出力ロッド145に固定される前記保持部材150で保持されるボールジョイント162が、前記保持部材150の前記環状保持部150bに嵌合されるシート154と、該シート154で回動可能に保持されるボール163とで構成されており、このボール163に、前記連結アーム147の前記延出部147bに設けられる有底の係合孔165に挿脱可能に嵌合する係合ピン164が一体に設けられるようにしてもよく、この第3の実施の形態によっても第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図14は本発明の第4の実施の形態の形態を示すものであり、前記出力ロッド145に螺合されるピン保持部材167に係合ピン168が設けられるのに対して、前記連結アーム147の前記延出部147bに嵌合保持されるボールジョイント170のボール171に、前記係合ピン168を挿脱可能に嵌合し得る係合孔172が設けられる。この第4の実施の形態によっても第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。