JP3158422B2 - 水系光硬化型接着剤組成物 - Google Patents

水系光硬化型接着剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、生体歯牙組織と該組織を修復する材料(金
属材料、有機高分子材料、セラミック材料等)との間を
接着するために用いられる接着性の優れた水系光硬化型
接着剤組成物に関する。
〔従来の技術〕
従来より、歯科材料分野では、う蝕歯(いわゆる虫
歯)、欠損歯修復などの歯牙修復を行なうために、金、
銀、白金、合金、アマルガム等の金属材料、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート、多官能ビニル硬化
物、コンポジットレジン等の有機高分子材料、ポーセレ
ン、インブラント材料等のセラミックス材料等が使用さ
れている。
しかしながらこれらの材料は、本質的に生体歯牙組織
に接着しない。そこで、修復材と生体歯牙組織との接着
を目的として、歯牙組織を形成するアパタイト(リン酸
カルシウム)などの無機主成分あるいはコラーゲン(タ
ンパク質)などの有機主成分との相互作用の向上を意図
して、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸又はそ
の無水物(特公昭58−17513号公報)、炭素原子数7以
上の比較的大きな親油性部分と親水性の強いPO(OH)
基とを分子内に兼ね備えたビニル化合物(特公昭58−21
607号公報)、2つのカルボキシル基が同一の炭素原子
に統合したアクリレート化合物(特公昭63−8407号公
報)等の接着性モノマーを、トリエチレングリコールジ
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
などの粘性の低いモノマーや、エタノールなどの希釈剤
に添加したものが歯科用光硬化型接着剤組成物として提
案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来技術は、生体歯牙組織中、エ
ナメル質に対してはある程度の接着力を有するものの、
象牙質との接着性能が全く認められない。これは生体象
牙質の物理、化学構造的要因による。すなわち象牙質
は、象牙細管が無数に走り、その中を体液が充満してい
る構造を有し、なおかつ、コラーゲンなどのタンパク質
比率が、エナメル質に比較して、かなり高いため、接着
に対して極めて厳しい環境にあると言える。したがっ
て、前記従来技術による接着剤は、無機主成分であるア
パタイトを、リン酸、クエン酸等の酸の水溶液や、EDTA
(エチレンジアミン四酢酸)のようなキレート剤の水溶
液でエッチングという前処理を実施し、所謂アンカー効
果により生体象牙質に対する接着性をある程度発現させ
ようとするものであるが、それでも接着強度が不充分な
ため、長期間経過すると修復材と象牙質との間に隙間が
生じ、場合によっては修復材が脱落してしまうことすら
あるなど、実用上、充分に高い接着性が得られていると
は言えない。そこで、実際には、象牙質をエッチング処
理したのち、更にHEMA(ヒドロキシエチルメタアクリレ
ート)やGM(グリセリンメタクリレート)等を主成分と
する水溶液からなるデンチンプライマーを使用して、象
牙質表面のスメアー層を除去する操作を加えるという複
雑な処理をしないと、従来技術の接着剤組成物では、修
復材と象牙質との間に実用上、充分に高い接着性を得る
ことが出来ないという課題があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、この様な状況に鑑みて鋭意研究した結
果、第4級アンモニウム塩基を有するチオキサントン誘
導体からなる水溶性光重合開始剤を水および親水性基含
有ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体と共に
用いると、エナメル質に対し大きな接着力を示し、かつ
象牙質と修復材との接着において従来技術の接着剤では
必須であったデンチンプライマー処理が不要で、しかも
実用上十分な接着力を有する新規な水系光硬化型接着剤
組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
すなわち、本発明は、親水性基含有ラジカル重合性
(メタ)アクリレート系単量体(A)と水溶性光重合開
始剤(B)と水(C)とを必須成分として含有する水系
光硬化型接着剤組成物において、水溶性光重合開始剤
(B)が、第4級アンモニウム塩基を有するチオキサン
トン誘導体であることを特徴とする水系光硬化型接着剤
組成物を提供するものである。
本発明の接着剤組成物に使用する親水性基含有ラジカ
ル重合性(メタ)アクリレート系単量体(A)として
は、例えば分子中にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ
アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキ
レン基、アミド基、及び酸性基からなる群から選ばれる
1種以上の親水性基を有するラジカル重合性(メタ)ア
クリレート単量体が挙げられる。
該ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(A)のうちでヒドロキシアルキル基を有する単量体と
しては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどを挙げ
ることができる。これらのうちでは2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートが好ましい。
該ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(A)のうちでヒドロキシアルキレン基を有する単量体
としては、例えば一般式〔I〕 〔式中、R1は水素原子またはメチル基、R2などの芳香族残基、 −COCH3、−COC7F15などのアシル残基、−C8H18、−C12
H26などの炭化水素残基、 (R3は水素原子またはメチル基、R4はアルキル基、nは
1〜50の整数である)であらわされる残基からなる〕で
表わされる単官能(メタ)アクリレート系単量体、 一般式〔II〕 〔式中、R1は水素原子またはメチル基、R2 などの炭化水素残基、 (R3は水素原子またはメチル基、n1は0〜50の整数であ
る)などのポリオキシアルキレン残基、 (R4は炭化水素基、n2は0〜50の整数である)などのエ
ステル結合を有する基、nは0または正の整数からな
る)で表わされる2官能エポキシ(メタ)アクリレート
系単量体、 1個以上の水酸基と2個以上のグリシジル基とを有す
る化合物及び/又は3個以上のグリシジル基を有する化
合物に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロラ
イド等の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物
を反応させて得られる1官能以上の(メタ)アクリロイ
ルオキシ基を有する多官能エポキシ(メタ)アクリレー
ト系単量体等が挙げられる。
なお、上記1個以上の水酸基と2個以上のグリシジル
基とを有する化合物及び3個以上のグリシジル基を有す
る化合物としては、例えばグリセロールポリグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグ
リセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリ
グリシジルエーテル、還元化マルトースポリグリシジル
エーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテ
ルなどが挙げられる。
一般式〔I〕で表わされる単官能(メタ)アクリレー
ト系単量体のうちでは、 が好ましい。
一般式〔II〕で表わされる2官能(メタ)アクリレー
ト系単量体のうちでは、 が好ましい。
多官能エポキシ(メタ)アクリレート系単量体のうち
では、 が好ましい。
該ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(A)のうちでオキシアルキレン基またはポリオキシア
ルキレン基を有する単量体としては、例えば、一般式
〔III〕 (式中、R1およびR2は水素原子またはメチル基であり、
R3はメチル基、エチル基、フェニル基などの炭化水素残
基である)で表わされる単官能(メタ)アクリレート系
単量体が挙げられ、具体的には などを例示することができる。
更に、一般式〔IV〕 〔式中R1およびR2は水素原子又はメチル基であり、R3 (n3は0及び1以上の整数)、 (n3は0及び1以上の整数)、 (n3は0及び1以上の整数)、 ソルビトール構造などである。n2は2以上の整数であ
る。)で表わされる多官能(メタ)アクリレート系単量
体が挙げられ、具体的には、 (nは1〜30の整数)、 などを例示することができる。
これらの(メタ)アクリレート系単量体のうちでは、 が好ましい。
該ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(A)のうちでアミド基を含有する単量体として、例え
ば一般式(V) (式中R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子、メ
チル基、エチル基、フェニル基などの炭化水素基からな
る。)で表わされる単官能(メタ)アクリルアミド系単
量体などが挙げられ、具体的には、 などを例示することができる。これらの(メタ)アクリ
レート系単量体のうちでは、 が好ましい。
その他のアミド基含有ラジカル重合性(メタ)アクリ
ルート系単量体としては、例えば などを例示することができる。これらのうちでは、 及び が好ましい。
該特定のラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量
体(A)のうちで酸性基を有する単量体としては、例え
ば1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオ
キシル基を含有する芳香族ポリカルボン酸もしくはその
酸無水物、または1分子中に少なくとも1個の(メタ)
アクリロイルオキシル基を含有するリン酸またはスルホ
ン酸の部分エステル(リン酸のモノエステル、ジエステ
ルまたはその混合物、スルホン酸のモノエステル)など
を挙げることができる。1分子中に少なくとも1個の
(メタ)アクリロイルオキシル基を含有する芳香族ポリ
カルボン酸としてさらに具体的には、1分子中に少なく
とも2個のヒドロキシル基を有し、かつ酸素原子を含有
していてもよいアルカンポリオールのうち少なくとも1
個のヒドロキシル基が(メタ)アクリル酸のエステルを
形成し、かつ少なくとも1個ヒドロキシル基が少なくと
も3個のカルボキシル基を含有する芳香族ポリカルボン
酸の1個のカルボキシル基とエステルを形成した構造を
有する(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリ
カルボン酸もしくはその無水物を挙げることができる。
該少なくとも3個のカルボキシル基を有する芳香族ポリ
カルボン酸のうちでは、さらに少なくとも3個以上のカ
ルボキシル基のうちで少なくとも2個のカルボキシル基
が芳香族核上の隣接する炭素原子に結合した芳香族ポリ
カルボン酸であることが好適であり、具体的にはヘミメ
リット酸、トリメリット酸、プレニト酸、メロファン
酸、ピロメリット酸などを例示することができる。
該(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカ
ルボン酸もしくはその酸無水物としては、例えば4−
(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル
酸もしくはその酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオ
キシエトキシカルボニルフタル酸もしくはその酸無水
物、4−(メタ)アクリロイルオキシブトキシカルボニ
ルフタル酸もしくはその酸無水物、 (式中、nは6〜12の整数、Rは水素原子またはメチル
基である。)、 (式中、nは2〜50の整数、Rは水素原子またはメチル
基である。)、 (式中、nは1〜50の整数、RはHまたはCH3であ
る。)、4−〔2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロ
イルオキシプロボキシカルボニル〕フタル酸もしくはそ
の酸無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル
オキシ)プロピル(メタ)アクリレートもしくはその酸
無水物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)
1,3−ジメタクリロイルオキシプロパンもしくはその酸
無水物などを例示することができる。
また、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロ
イルオキシル基を含有するリン酸またはスルホン酸の部
分エステル(リン酸のモノエステル、ジエステルまたは
その混合物、スルホン酸のモノエステル)として具体的
には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル
アシドホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕アシドホスフェート、ビス〔3−(メ
タ)アクリロキシプロピル〕アシドホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネー
ト、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)などを例示す
ることができる。
これらの酸性基含有(メタ)アクリレート系単量体の
うちでは、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリ
ロイルオキシル基を含有する芳香族ポリカルボン酸もし
くはその酸無水物が好ましく、さらにこれらの中では4
−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタ
ル酸もしくはその酸無水物が好ましく、特に4−メタク
リロイルオキシエトキシカルボニル無水フタル酸を用い
ると象牙質に対する適合性が向上するので好ましい。
本発明の接着剤組成物において使用する水溶性光重合
開始剤(B)としては、20℃において、水100gに対し、
0.5g以上の溶解性を示すものが好ましい。例えば、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキ
シ−2−プロピル)ケトン、(4−ベンゾイルベンジ
ル)トリメチルアンモニウムクロライド、4−(3−ジ
メチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−ベンゾフ
ェノンメドクロライドモノヒドレート、第4級アンモニ
ウム塩基を有するチオキサントン誘導体等が挙げられ、
なかでも歯科用接着剤の光源としては可視光が主に用い
られているため、吸収波長が可視光域にある第4級アン
モニウム塩基を有するチオキサントン誘導体が好まし
い。
上記チオキサントン誘導体としては、例えば2−ヒド
ロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−
イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアルミニ
ウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−
9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−
N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライ
ド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサ
ンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−
プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−
(4−メチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−
イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミ
ニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4ジメチ
ル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキ
シ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムク
ロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル
−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)
−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロラ
イド等が挙げられ、特に2−ヒドロキシ−3−(3,4−
ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル
オキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウ
ムクロライドが好ましい。
本発明では、必要に応じて、水溶性光重合開始剤
(B)に、還元剤を併用することができる。還元剤とし
ては、例えばN,N′−ジメチルアミノ−p−安息香酸エ
チル、N,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N′−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メ
チルジフェニルアミン、N−ジメチルパラトルイジン、
n−ブチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチル
アミノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミ
ン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s
−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネ
ート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベ
ンゾエート、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、
p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の第3級アミ
ン又は第4級アンモニウム塩が挙げられるが、これらの
うちN,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノエタノールアミン、N−メチルジエタ
ノールアミンなどの水溶性3級アミンが好ましい。
還元剤は水溶性光重合開始剤(B)に対して、0.1〜1
0重量倍加えれば効果があり、特に0.5〜2重量倍が好ま
しい。
なお、水に対して不溶であるカンファーキノン、フル
オレノン、ジベンジルなどの光重合開始剤もアルコール
等の溶剤を用いて可溶化すれば本発明の接着剤組成物に
併用してもかまわない。
本発明の接着剤組成物は、親水性基含有ラジカル重合
性(メタ)アクリレート系単量体(A)と水溶性光重合
開始剤(B)と水(C)とを必須成分としてなるが、更
に必要に応じて該ラジカル重合性(メタ)アクリレート
系単量体(A)以外の一般のラジカル重合性(メタ)ア
クリレート系単量体(D)を、粘度調節あるいは物性調
節のため、加えることもできる。
一般のラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(D)のうち、単官能(メタ)アクリレート系単量体と
しては、例えば、具体的にはメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アク
リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの炭化水
素基含有(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メ
タ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アク
リレートなどのフッ素置換基含有(メタ)アクリレー
ト、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリ(トリメチルシロキシ)シランなどのシラン系(メ
タ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)ア
クリレートなどを例示することができ、単独または2種
以上を混合して使用することができる。これらのうちで
はメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ
レート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メ
タ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート
が好ましく、特にメチルメタクリレート、n−ヘキシル
メタクリレート単独またはこれらの混合物を使用するこ
とが好ましい。
一般のラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(D)のうち、多官能(メタ)アクリレート系単量体と
しては、例えば1分子中に少なくとも2個の(メタ)ア
クロイルオキシル基を有する多官能(メタ)アクリレー
ト系単量体が挙げられ、具体的には、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
などのアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレー
ト、一般式〔V〕 〔式中、R1は水素原子またはメチル基、R2 である。〕で表わされる脂環族あるいは芳香族系のジ
(メタ)アクリレート系化合物、一般式〔VI〕 〔式中、R1は水素原子またはメチル基であり、 R2 である。〕で表わされる脂環式系ジ(メタ)アクリレー
ト系化合物、分子中にウレタン結合を有する (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。)、 (Rは水素原子またはメチル基である。) などを例示することができる。
本発明の接着剤組成物において、水(C)は、体液が
充満している構造を有する象牙質との密着を高める上で
重要な役割を示し、接着剤組成物100重量中に5〜90重
量%、なかでも接着性が良好で作業適性の良好な粘度と
なる点で特に10〜50重量%含むことが好ましい。
また、本発明の接着剤組成物において、親水性基含有
ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体(A)
は、象牙質との適合性を向上させるために加えるもので
あり、接着剤組成物100重量%中に5〜90重量%、なか
でも象牙質との接着性と耐水性に優れる点で特に10〜50
重量%含むことが好ましい。
なお、ラジカル重合性(メタ)アクリレート系単量体
(D)は、粘度調節あるいは物性調節のために適宜加え
ればよい。
また、水溶性光開始剤(B)は、上記(A)および
(D)からなる樹脂分100重量部に対して通常0.1から15
重量部の範囲で用いるが、なかでも重合開始能および耐
水性に優れる点で特に0.5〜10重量部が好ましい。
本発明の接着剤組成物においては、前記の(A)、
(B)、(C)および(D)成分の他に、更に必要に応
じて他の成分、例えばエタノール、プロパノール、ブタ
ノールなどのアルコール系やアセトンなどのケトン系な
どの溶媒や、ハイドロキノン、カテコールなどの重合禁
止剤、サンテート、ホフフェートなどの酸化防止剤、ベ
ンソフェノン、サリチレートなどの紫外線吸収剤なども
適宜使用することができる。又、粉末状無機充填材、有
機質重合体、顔料なども配合することができる。
粉末状無機充填材として具体的には、カオリン、タル
ク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリカ・アルミ
ナ、アルミナ、酸化チタン、リン酸カルシウム、ガラス
粉末、石英粉末などを例示することができる。有機質重
合体としてはワックス、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルお
よびこれらの共重合体などを例示することができる。こ
れらの成分の配合割合は適宜である。
本発明の接着剤組成物は、光を照射することによって
重合が起こり、硬化する。光線としては自然光線であっ
ても人工光線であってもよく、紫外領域から可視領域ま
での光線を採用することが可能である。人工光線として
は、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンラ
ンプ、タングステンランプなどを使用することができ
る。光硬化の際の温度は通常0〜80℃、好ましくは5〜
50℃の範囲であり、光照射の時間は通常1秒〜5分であ
る。
なお、本発明の接着剤組成物と歯牙象牙質との接着に
おいては象牙質表面を適宜研削した後、従来のようにリ
ン酸やクエン酸などで前処理することもできるが、エチ
レンジアミンテトラ酢酸溶液(以下、EDTAと略称す
る)、好ましくは水酸化ナトリウム等で中和した溶液に
より前処理することにより歯髄に対して為害性がなく、
かつ著しく接着強度を高めることができる。この際用い
られる好ましいEDTA濃度としては、通常0.1〜0.5モル程
度であり、例えば1分間前処理した後、30秒間水洗する
ことによって処理される。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説
明する。なお、本発明の硬化性組成物の評価方法を以下
に示した。また以下の実施例及び比較例で使用した略記
号はそれぞれ次の化合物を示す。
MMA・・・エチルメタクリレート HMA・・・n−ヘキシルメタクリレート HPMA…2−ヒドロキシプロピルメタクリレート GM…グリセリルメタクリレート QTX・・・2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−
オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,
N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド QTA・・・2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チ
オキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル
−プロパンアミニウムクロライド CQ・・・カンファーキノン (1) 接着力の評価方法 牛の前歯唇面のエナメル質面または象牙質面を#600
までエメリーペーパーで良く研磨し、表面を平滑にした
後エナメル質は65重量%リン酸水溶液で30秒間、象牙質
は0.3モルEDTA・2Na−0.2モルEDTA・Fe・Na水溶液(pH
7.4)で60秒間エッチング処理をした。十分に水洗を行
った後エッチング面をエアーブローして乾燥し、この上
に両面接着テープで直径5.5mmの穴のあいた厚さ1mmのシ
リコンゴム板を貼り、そのスペースに実施例又は比較例
に記載の接着剤組成物を塗布した後、可視光照射器
〔(株)クラレ製クイックライト〕で可視光を1分間照
射し、その上に光重合型コンポジットレジン〔(株)ク
ラレ製フォトクリアシルA〕を充填し、セロファン紙を
表面にかぶせた後、その上から可視光照射器(同上)を
用いて可視先を1分間照射し、コンポジットレジンを硬
化させた。
その後コンポジットレジンの硬化表面とアクリル棒と
をスーパーボンドC&B(サンメディカル社製)で接着
し、接着試験片を作成した。室温で30分放置後、接着試
験片を37℃の水中に24時間浸漬し、23℃の温度で空気中
10分間放置した後、23℃の温度で速度2mm/minの条件で
引張り試験を行い、接着力を測定した。試験は10個につ
いて行い、結果を平均値で示した。接着試験後の破断面
はいずれも牛歯破壊、コンポジットレジンの凝集破壊又
はコンポジットレジンと象牙質間の界面破壊のいずれか
であった。
(2) 象牙質窩洞に対する適合性の評価方法 牛の前歯唇面の象牙質面をエメリーペーパーで良く研
磨し(#600まで)、その面に注水下直径3mm、深さ1.5m
mの円筒形窩洞を形成した。この窩洞を0.3モルEDTA・2N
a−0.2モルEDTA・Fe・Na水溶液(pH7.4)で60秒間エッ
チング後、十分に水洗し、エアーブローを行い、実施例
又は比較例記載の接着剤組成物を塗布した後、可視光照
射器で可視光を1分間照射し、その後、光重合型コンポ
ジットレジン〔(株)クラレ製フォトクリアシルA〕を
充填し、セロファン紙を表面にかぶせた後、その上から
可視光照射器を用いて可視先を1分間照射し、コンポジ
ットレジンを硬化させた。
サンプルを10分間水中に浸漬後、注水下で表面をエメ
リー紙#1500で十分研磨し、光学顕微鏡下で表面の象牙
質窩壁と硬化物との間のギャップを読みとり(1000
倍)、そのうちの最大値を直径に対する百分率で表し
た。試験は10個について行い、結果を平均値で示した。
実施例1 GM35gと30E20gと水溶性光開始剤としてQTX1gと還元剤
としてDM2gとを水20g及びエタノール25gからなる混合溶
媒で希釈し、接着剤組成物を作成した。
接着力の評価方法または象牙質窩洞に対する適合性の
評価方法に記載した方法で前記接着剤組成物を象牙質に
塗布し、接着試験片あるいは象牙質窩洞に対する適合性
評価用の試験片を作成した。結果を表1に示した。
実施例2〜6及び比較例1〜2 表1に記載の成分を表1に記載した量使用して作成し
た接着剤組成物を用いた以外は実施例1に記載の方法で
接着試験片、象牙質窩洞に対する適合性評価用の試験片
を作製した。結果を表1に示した。
〔発明の効果〕 本発明の水系光硬化型接着剤組成物は、耐水接着性能
に優れ、しかもエナメル質や象牙質などの歯質特に象牙
質に対して優れた接着性能及び適合性を有しているの
で、歯科用のコンポジットレジン、硬質レジンなどのボ
ンディング剤として使用できる他、歯牙用以外の精密工
作性の種々のコンポジットレジンなどの用途にも使用で
きる。これらの中では歯科用コンポジットレジン用のボ
ンディング剤特に象牙質用のボンディング剤として使用
するのが最も好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00 A61K 6/08 - 6/083 C09J 4/02 - 4/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】親水性基含有ラジカル重合性(メタ)アク
    リレート系単量体(A)と水溶性光重合開始剤(B)と
    水(C)とを必須成分として含有する水系光硬化型接着
    剤組成物において、 水溶性光重合開始剤(B)が、第4級アンモニウム塩基
    を有するチオキサントン誘導体であることを特徴とする
    水系光硬化型接着剤組成物。
  2. 【請求項2】さらに、水溶性3級アミンからなる還元剤
    を含有する請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】親水性基含有ラジカル重合性(メタ)アク
    リレート系単量体(A)が、ヒドロキシアルキル基、ヒ
    ドロキシアルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキ
    シアルキレン基、アミド基及び酸性基からなる群から選
    ばれる1種以上の親水性基を有するラジカル重合性(メ
    タ)アクリレート系単量体である請求項1又は2記載の
    接着剤組成物。
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