JP3156491B2 - ランドリモニタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、核燃料再処理施設等
の放射性物質取施設において、作業者が着衣し、洗濯し
たのちの作業衣等に残存する放射能の有無を検査するラ
ンドリモニタに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のランドリモニタでは、主としてβ
線またはγ線を捉えて放射能を検出している。β線およ
びγ線は、大気中でも相当な距離を透過するので、従来
のランドリモニタは、コンベアで測定個所に移送された
検査対象の洗濯物に対し空間距離を置いてβ線あるいは
γ線の検出器を配置した構成となっている。

【０００３】γ線に比べ飛程の短いβ線を捉えて放射能
を検出するときには、β線の検出器を洗濯物に極力近づ
けることが感度向上に有効なので、上下にせまい間隔を
置いて配置されたコンベアの間に洗濯物を挟み込んで移
送することによって洗濯物の形状を平坦に整え、測定位
置では金網からなるコンベアベルトの上に検出器を配置
する構成を採ることがあるが、この場合でも、洗濯物は
金網からなるコンベアベルトの運動域として必要な空間
を介して検出器と対向している。そして洗濯物の上下両
面の放射能を同等な感度で検出しようとする場合には洗
濯物を移送するコンベアの上下両側に検出器が配置され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】放射する主な放射線が
α線である ²³²Ｔｈや ²⁴⁰Ｐｕのような放射能による汚
染は、はα線を捉えて検出することとなるが、α線は空
気中を極く短い距離しか透過しないので、α線検出器は
測定対象物である洗濯物に密着する位置に配置する必要
がある。それゆえβ線またはγ線を捉えて放射能を検出
する従来方式のランドリモニタの検出器のみをα線検出
器に置替えた構成の装置では、α線を捉える必要がある
放射能の検出はできない。

【０００５】本発明は、飛程の短いα線を感度よくとら
えることが可能なランドリモニタを提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】α線を放射する放射能の
有無を検査することを目的とする本願第１の発明による
ランドリモニタでは、検査対象の洗濯物を測定位置に移
送する第１のコンベアの測定位置の直上に上下移動可能
にα線を検出する第１の放射線検出器を設け、第１の放
射線検出器による検査を終了して移送される洗濯物が第
１のコンベアの端末から垂下するとき、これを下方向か
ら捕受して移送する正転逆転可能な第２のコンベアと、
第２のコンベアの測定位置の直上に上下移動可能に設け
られた、α線を検出する第２の放射線検出器と、前記第
１のコンベアと放射線検出器の動作と、前記第２のコン
ベアの移送方向の順序と第２の検出器の移動動作とを制
御する制御部とを設ける。

【０００７】また、本願第２の発明によるランドリモニ
タでは、第１のコンベアに隣接して第１のコンベアが送
出する洗濯物を挟持して移送するコンベア対を反転可能
に搭載した反転移送機と、反転移送機が送出する洗濯物
を測定位置に移送する第２のコンベアとを設け、第１と
第２のコンベアそれぞれの測定位置の直上に上下移動可
能にα線を検出する放射線検出器を設け、前記第１，第
２のコンベアと反転移送機および前記α線の検出器の動
作を制御する制御部とを設ける。

【０００８】

【作用】第１の発明によるランドリモニタでは、検査対
象の洗濯物が第１のコンベアの測定位置に移送される
と、制御部は第１のコンベアを一旦停止させて第１の放
射線検出器を洗濯物に密着する位置にまで下降させて飛
程の短いα線の検出を可能にする。第１の検出器による
測定が終了して制御部が洗濯物の移送を再開するとき、
第２のコンベアの移送方向は第１のコンベアの移送方向
と逆方向となるように駆動されるので、第１のコンベア
の端末から洗濯物が垂下して第２のコンベアに移行する
とき、洗濯物の上下が反転する。洗濯物の第２のコンベ
アへの移行が終了したとき、制御部は第２のコンベアの
移送方向を逆転させて、洗濯物を第２のコンベアの測定
位置に移送して停止させ、第２の放射線検出器を洗濯物
に密着する位置にまで下降させて飛程の短いα線の検出
を可能にする。

【０００９】一方、第２の発明にもとづくランドリモニ
タでは、第１の検出器による測定が終了して第１のコン
ベアが洗濯物を反転移送機に送出すると、反転移送機の
対向して配置されたコンベア対が洗濯物を挟持し、この
状態で反転移送機が反転して洗濯物を第２のコンベアへ
送出するので、第１のコンベア上で測定された面の反対
側の洗濯物の面の残留放射能の有無が、第２のコンベア
の測定位置に設けられた検出器によって検査される。

【００１０】

【実施例】本願第１の発明によるランドリモニタの一実
施例の主要部構成を図１に示し、このランドリモニタの
移送コンベアで洗濯物が上下反転されるときの動作を図
２に示し、以下これらの図によって本発明を説明する。
図１において、１と２とはα線を検出する放射線検出器
であり、測定対象物の洗濯物15，16の全表面を被う程度
の大面積の有感部をもつように作られている。そして、
この検出器１と２とは、それぞれの上下駆動機構３，４
によって上下に移動する。

【００１１】５は、検査対象の洗濯物15を載せて検出器
１の直下の測定個所へ移送するコンベアであり、駆動ロ
ーラ８によって駆動されている。一方、６は第１のコン
ベア５の終端部と移送部が一部重なるように第１のコン
ベア５の下方に設けられた正転逆転可能な洗濯物を移送
する駆動ローラ10によって駆動される第２のコンベアで
あり、図示されているように第１のコンベア５と重なる
部分が斜行するように配置され、中間ローラ11ａと11ｂ
とによって水平方向に屈曲するように設けられると好都
合である。また、この第２コンベアは中間ローラ部で第
３のコンベアに分割された構成としてもよい。

【００１２】上記の構成のランドリモニタにおいて検査
対象の洗濯物15を第１のコンベア５の上に平坦に展開
し、図示されていない制御部から起動を指令すると、コ
ンベア５は洗濯物15が光スイッチなどからなる測定物検
知スイッチ13によって検知される測定位置まで移送して
一旦停止する。洗濯物が測定位置に移送されると、図示
されていない制御部は上下駆動機構３に指令して検出器
１を洗濯物15の表面に接する位置まで下降させ、その位
置で測定を開始させる。

【００１３】第１の検出器１による測定が終了すると検
出器１は上昇し、コンベア５は移送動作を再開して洗濯
物を第２の検出器の方向に移送するが、このとき第２の
コンベア６はコンベアに載せられる物を第１の検出器１
の方向に移送するように駆動される。洗濯物15が第１の
コンベア５の終端に達して垂下し、第２のコンベアの移
送面に接触すると第２のコンベア６の移送方向が上記の
ように逆方向なので、図２に示されているように洗濯物
15は第１のコンベアにあるときの上面が下面となるよう
に反転されて第２のコンベア上に転送される。

【００１４】第１のコンベア５から第２のコンベア６へ
の洗濯物の転送が終わり第２のコンベアの測定物検知ス
イッチ17が作動する位置まで洗濯物が移送されると、今
度はコンベア６の移送方向が反転駆動されて、測定物検
知スイッチ14が作動する測定位置まで洗濯物を移送して
一旦停止する。洗濯物が測定位置に配置されると、検出
器２が駆動機構４によって洗濯物表面に接するまで下降
させられ、この位置で測定が開始される。測定が終了す
ると再びコンベア６が作動して洗濯物をランドリモニタ
から送出する。

【００１５】図３は、本願第２の発明によるランドリモ
ニタの洗濯物搬送部の主要構成を示す図である。図３に
おいて、18は第１のコンベア５に隣接して設けられた上
下に対向して配置されたコンベア19ａと19ｂとを、一体
の構造体として回転反転させる測定物反転機構である。
そして、この測定物反転機構の第１のコンベア５の反対
側に第２のコンベア６が隣接して設けられている。

【００１６】第１のコンベア５の上での放射能の検知測
定が終了すると、洗濯物15は測定物反転機構18の２つの
コンベア19ａと19ｂの間隙に転送されて一旦停止する。
測定物反転機構18は洗濯物を収納すると反転し、続いて
保持している洗濯物15を第２のコンベア６に向けて送出
する。上記の反転転送によって第１のコンベア５の上で
は下面であった洗濯物15の面は、第２のコンベア６にお
いては上面となり、第２のコンベアの測定位置まで移送
され、この面の放射能の有無が第２の検出器によって検
査される。

【００１７】

【発明の効果】本願の発明によるランドリモニタでは、
放射線検出器が検査対象である洗濯物の表面の直近にま
で移動して測定が行われるので、飛程の短いα線の検出
が可能となり、α線のみを放出する放射能の有無を検査
することができるという効果が得られる。また、洗濯物
の移送コンベアに反転機構が設けられているので、洗濯
物の上下両側に残存するα線放出放射能が洗濯物自身に
よって遮弊されることなく検出されるという効果も得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願第１の発明によるランドリモニタの一実施
例の主要部構成図

【図２】図１の実施例におけるコンベアの作用の説明図

【図３】本願第２の発明による測定物反転機構の要部説
明図

【符号の説明】

１，２ 放射線検出器 ３，４ 上下駆動機構 ５ コンベア１ ６ コンベア２ ７ コンベア３ ８ コンベア１用駆動ローラ ９ コンベア２用駆動ローラ 10 コンベア３用駆動ローラ 11ａ，11ｂ 中間ローラ 12 支え台 13，14，17 被測定物検知スイッチ 15，16 検査対象の洗濯物 18 被測定物反転機構 19ａ，19ｂ コンベア

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】放射能によって汚染された洗濯物に残留す
   る放射能を検出して警報するランドリモニタであって、 検査対象の洗濯物を測定位置に移送する第１のコンベア
   と、 前記第１のコンベアの測定位置の直上に上下移動可能に
   設けられα線を検出する第１の放射線検出器と、 前記第１のコンベアの端末から垂下する洗濯物を下方向
   から捕受して移送する正転逆転可能な第２のコンベア
   と、 前記第２のコンベアの測定位置の直上に上下移動可能に
   設けられα線を検出する第２の放射線検出器と、 前記第１のコンベアと放射線検出器の移動動作と、前記
   第２のコンベアの移送方向の順序と第２の検出器の移動
   動作とを制御する制御部と、 を備えたことを特徴とするランドリモニタ。
2. 【請求項２】検査対象の洗濯物を測定位置に移送する第
   １のコンベアと、 前記第１のコンベアの送出端に接して設けられ、上下に
   対向して配置され、前記第１のコンベアが送出する洗濯
   物を挟持して移送するコンベア対を反転可能に搭載した
   反転移送機と、 前記反転移送機の送出端に接して設けられ、反転移送機
   が送出する洗濯物を測定位置に移送する第２のコンベア
   と、 前記第１と第２のコンベアそれぞれの測定位置の直上に
   上下移動可能に設けられたα線を検出する放射線検出器
   と、 前記第１，第２のコンベアと反転移送機および前記α線
   の検出器の移動動作を制御する制御部と、 を備えたことを特徴とするランドリモニタ。