JP3155983B2 - シクロヘキシルメタクリレートの蒸留方法 - Google Patents

シクロヘキシルメタクリレートの蒸留方法

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JP3155983B2 JP30695097A JP30695097A JP3155983B2 JP 3155983 B2 JP3155983 B2 JP 3155983B2 JP 30695097 A JP30695097 A JP 30695097A JP 30695097 A JP30695097 A JP 30695097A JP 3155983 B2 JP3155983 B2 JP 3155983B2
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nitrosophenylhydroxylamine
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ammonium salt
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクロヘキシルメ
タクリレートの新規な蒸留方法、詳細には、シクロヘキ
シルメタクリレート蒸留時の重合を効果的に防止して蒸
留する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキシルメタクリレート(以下
「CHMA」と略称することがある)は、耐候性塗料製
造原料等として有用なモノマーであり、種々の方法で製
造されている。CHMAは、不純物を多量に含有する場
合には、重合しても高分子とはなり得ず、所望の特性を
発揮しないので、通常製造後に蒸留等の手段により精製
し、得られた高純度のモノマーを重合させている。
【0003】しかしながら、CHMAは、極めて重合し
やすいので、製造、精製、貯蔵、輸送等のあらゆる段階
において、熱、光等の要因によりしばしば重合する。
【0004】特に、CHMA製造後に行う未反応原料や
低沸点溶媒(メチルメタクリレート、シクロヘキサン、
シクロヘキサノール等)の除去を主目的とする濃縮工
程、濃縮生成物を精製して高純度CHMAを得ることを
主目的とする蒸留工程等の加熱条件下では、三次元架橋
構造を有する不溶性ポリマーが急激に生成する。この様
なポリマーは、蒸留系内の液相部から気相部特に気相部
において生成しやすく、蒸留塔、配管等を閉塞して運転
継続を不可能とすることもあり、又CHMAの収率を大
幅に低下させる。
【0005】上記のようなCHMAの重合禁止剤として
は、従来から一般的なモノマーの重合禁止剤として知ら
れているハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ
ーテル、パラフェニレンジアミン、フェノチアジン、金
属銅塩等を使用することが考えられるが、特に気相部に
おける重合抑制効果は、極めて低いことが判明した。更
に、一酸化窒素ガスをCHMA含有液中に吹き込みつつ
蒸留する方法も考えられるが、この方法には、留出物が
着色したり、廃ガス中の窒素酸化物により装置が腐食し
たり、公害問題を引き起こすことがある等の問題点があ
り、CHMAの工業的規模での製造の実用化には、適し
ているとはいい難い。
【0006】一方、特開昭63−126853号には、
モノN−置換(メタ)アクリルアミドを蒸留する際に、
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を被蒸留物
に溶解した溶液状態で蒸留装置の気相部に供給して、蒸
留時におけるモノN−置換(メタ)アクリルアミドの重
合を防止する方法が開示されている。しかしながら、こ
の方法をCHMAの蒸留にそのまま適用しても、被蒸留
物の特性が大きく相違するため、蒸留時におけるCHM
Aの重合を防止することは実質的にできないことが判明
した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CHMAを
蒸留精製するに際し、その重合を効果的に抑制でき、蒸
留中の不溶性ポリマーの発生を防止し得る新たな技術を
提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
従来技術の問題点に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、
CHMAを蒸留精製するに際し、蒸留装置の気相部にN
−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を存在させる
場合には、CHMAの重合が極めて効果的に抑制でき、
蒸留中の不溶性ポリマーの発生を防止できることを見出
し、これに基づき本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、シクロヘキシルメタクリ
レートを蒸留精製する方法において、蒸留装置の気相部
にN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を存在さ
せることを特徴とするシクロヘキシルメタクリレートの
蒸留方法に係る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で採用するCHMAの蒸留
装置、蒸留条件等は、特に限定されないが、公知の蒸留
による精製方法において採用されているものと同様であ
って良い。
【0011】本発明において蒸留するCHMAとして
は、CHMAを製造するための公知のエステル化反応、
エステル交換反応等により得られる反応生成物であって
良く、又これに前記濃縮工程を施した粗CHMAであっ
ても良い。
【0012】一般に、上記反応生成物中のCHMAの含
有量は50〜95重量%程度であり、又上記粗CHMA
の純度は、80〜95重量%程度である。これらのいず
れを被蒸留物としても、蒸留後の純度は、通常98重量
%以上、更には99重量%以上となる。
【0013】蒸留装置の気相部に存在させるN−ニトロ
ソフェニルヒドロキシルアミン塩としては、N−ニトロ
ソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩、アル
ミニウム塩、エタノールアミン塩等が挙げられる。価格
及び入手の容易さを考慮すれば、N−ニトロソフェニル
ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩が好ましい。
【0014】本発明方法においては、N−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミン塩は、蒸留装置の気相部に固体
状態で存在させることが特に好ましい。これを液体状態
で存在させるときには、CHMAの重合を十分に抑制す
ることは困難である。
【0015】上記蒸留装置の気相部としては、例えば、
蒸留塔のラシヒリング等のセラミック製充填物、ステン
レス製充填物等の充填物が配置されている充填塔部、棚
段が配置されている棚段塔部等が好ましい。
【0016】気相部におけるN−ニトロソフェニルヒド
ロキシルアミン塩の量は、気相中のCHMAに対し、通
常0.5〜5,000ppm程度、好ましくは1〜1,0
00ppm程度、より好ましくは10〜100ppm程度とな
る様にすればよい。この範囲よりも、N−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミン塩の量が少なすぎる場合には、
CHMAの重合抑制効果が十分に発揮されず不溶性ポリ
マーが発生することがあり、他方過剰量となる場合に
は、経済的に不利となるばかりでなく、蒸留物への着色
の原因となることがある。
【0017】蒸留装置の気相部へのN−ニトロソフェニ
ルヒドロキシルアミン塩の固体状態での存在方法として
は、特に限定されないが、例えば、N−ニトロソフェニ
ルヒドロキシルアミン塩のスラリー形態、樹脂成形体へ
の固定化形態、充填塔内の充填物への塗膜成分の形態等
が挙げられる。
【0018】特に、固体状態での存在が、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩をCHMA
に分散させたスラリー状態で供給することが、該アンモ
ニウム塩がCHMAへの溶解度が極めて小さいため固体
状態で気相部に供給することが容易であり、好ましい。
この場合の供給方法としては、例えば、該スラリーの形
態で、蒸留塔の充填塔部又は棚段塔部に連続的に或いは
不連続的に、単一又は複数箇所から供給して、所定の濃
度を維持するようにすればよい。
【0019】また、固体状態での存在が、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミン塩を樹脂成形体の内部に固
定化した状態で供給することも、気相部に供給すること
が容易であり、好ましい。この場合の供給方法として
は、例えば、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
のアンモニウム塩、アルミニウム塩、エタノールアミン
塩等をフェノール樹脂等の樹脂成形体(形状は任意)の
内部に固定化して、この樹脂成形体を蒸留装置の充填塔
部又は棚段塔部に配置して、所定の濃度を維持するよう
にすれば良い。樹脂成形体は、N−ニトロソフェニルヒ
ドロキシルアミン塩の消耗に応じて、適宜入替えを行っ
ても良い。例えば、金網製等の液体やガスが流通できる
多孔質の容器にこの樹脂成形体を入れ、蒸留塔の充填塔
部又は棚段塔部に着脱可能な装置にして入替えを行うこ
ともできる。
【0020】更に、固体状態での存在が、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミン塩を含有する樹脂液を蒸留
装置中の充填物に塗布、乾燥した状態で供給すること
も、気相部に供給することが容易であり、好ましい。こ
の場合の供給方法としては、例えば、N−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩、アルミニウ
ム塩、エタノールアミン塩等をフェノール樹脂・樹脂硬
化剤等に、必要に応じて溶媒等と共に、混合し、得られ
た組成物を充填塔内のラシヒリング等のセラミックス製
等の充填物に塗布し、乾燥乃至硬化して、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミン塩を含有する塗膜を、充填
物の表面及び内部の微細なポア表面に形成させれば良
い。
【0021】本発明方法においては、N−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミン塩とともに、従来から重合禁止
剤として知られているハイドロキノン、ハイドロキノン
モノメチルエーテル、パラフェニレンジアミン、フェノ
チアジン等の少なくとも一種を併用しても差し支えな
い。
【0022】尚、蒸留装置のCHMA液相部にN−ニト
ロソフェニルヒドロキシルアミン塩を加えておく場合に
は、同時に、液相におけるCHMAの重合を抑制できる
ことはいうまでもない。但し、CHMA液相部のみにN
−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を加えても、
本発明所期の効果が得られないことは、勿論である。
【0023】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明をよ
り一層具体的に説明する。
【0024】実施例1 還流冷却器付ラシヒリング充填塔を取り付けた1リット
ルのガラス製フラスコに重合禁止剤としてハイドロキノ
ンモノメチルエーテル500ppm相当を含むCHMA4
00gを仕込み、浴温120℃、塔頂温度60〜70
℃、系内圧力7〜9mmHgの条件下で還流操作を行なっ
た。この際、充填塔内のCHMAに対しN−ニトロソフ
ェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩が20ppm
相当量を維持する様に、該アンモニウム塩を1,000
ppm相当の濃度で含有するCHMAスラリーを充填塔の
中段から添加しつつ、重合発生の有無をチェックした。
【0025】その結果、上記の条件で24時間操作を継
続しても、CHMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶
液も、淡黄色透明の状態のままであった。また、還流液
の一部をサンプリングして液体クロマトグラフにより重
合禁止剤混入の有無をチェックしたが、混入は、全く認
められなかった。
【0026】実施例2 充填塔内のCHMAに対しN−ニトロソフェニルヒドロ
キシルアミンのアンモニウム塩が80ppm相当量を維持
する様に、該アンモニウム塩を1,000ppm相当の濃
度で含有するCHMAスラリーを充填塔の中段から添加
する以外は、実施例1と同様にしてCHMAの還流操作
を行った。
【0027】その結果、上記の条件で24時間操作を継
続しても、CHMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶
液も、淡黄色透明の状態のままであった。また、還流液
の一部をサンプリングして液体クロマトグラフにより重
合禁止剤混入の有無をチェックしたが、混入は、全く認
められなかった。
【0028】実施例3 還流冷却器付ラシヒリング充填塔を取り付けた1リット
ルのガラス製フラスコに重合禁止剤としてフェノチアジ
ン500ppm相当を含むCHMA400gを仕込み、浴
温120℃、塔頂温度60〜70℃、系内圧力7〜9mm
Hgの条件下で還流操作を行なった。この際、充填塔内の
CHMAに対しN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミ
ンのアンモニウム塩が20ppm相当量を維持する様に、
該アンモニウム塩を1,000ppm相当の濃度で含有す
るCHMAスラリーを充填塔の中段から添加しつつ、重
合発生の有無をチェックした。
【0029】その結果、上記の条件で24時間操作を継
続しても、CHMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶
液も、淡黄色透明の状態のままであった。また、還流液
の一部をサンプリングして液体クロマトグラフにより重
合禁止剤混入の有無をチェックしたが、混入は、全く認
められなかった。
【0030】比較例1 N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウ
ム塩を1,000ppm相当の濃度で含有するCHMAス
ラリーに代えて、ハイドロキノンモノメチルエーテルを
1,000ppm相当の濃度で含有するCHMA溶液を使
用する以外は実施例1と同様にして、CHMAの還流操
作を行った。その結果、還流開始から3時間後には充填
塔内の重合物の堆積が顕著となり、その5分後には充填
塔が閉塞された。
【0031】比較例2 N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウ
ム塩を1,000ppm相当の濃度で含有するCHMAス
ラリーに代えて、フェノチアジンを1,000ppm相当
の濃度で含有するCHMA溶液を使用する以外は実施例
3と同様にして、CHMAの還流操作を行った。その結
果、還流開始から1時間後には充填塔内の重合物の堆積
が顕著となり、その5分後には充填塔が閉塞された。
【0032】実施例4 フェノールノボラック60g、ヘキサメチレンテトラミ
ン15g及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
のアンモニウム塩5gを均一に混合し、粉砕し、80℃
で1時間加熱した後、オーブン中120℃で1時間硬化
させた。その結果、発泡倍率9倍のフェノール樹脂発泡
体を得た。
【0033】実施例1と同様の条件下において、N−ニ
トロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩を
含むCHMAスラリーを使用することなく、上記で得た
フェノール樹脂発泡体(約0.5mm程度に分割したも
の)4gを充填塔内のラシヒリング間に均一に保持した
状態で、CHMAの還流を行った。
【0034】その結果、24時間操作を継続しても、C
HMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶液も、淡黄色
透明の状態のままであった。
【0035】実施例5 N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウ
ム塩に代えてアルミニウム塩を使用する以外は実施例4
と同様にしてフェノール樹脂発泡体を得た。
【0036】この樹脂発泡体を使用して、実施例4と同
様にしてCHMAの還流操作を行ったところ、24時間
操作を継続しても、CHMAの重合は発生せず、フラス
コ内の溶液も、淡黄色透明の状態のままであった。
【0037】実施例6 フェノールノボラック10g、ヘキサメチレンテトラミ
ン3g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのア
ンモニウム塩1gをアセトン10g及びメタノール15
gに加え、溶解させた。この樹脂溶液を、ラシヒリング
305gに浸漬法により塗布・含浸した。次いで、ロー
タリーエバポレーターにより、アセトン及びメタノール
を除去し、塗膜被覆ラシヒリングを得たのち、これをオ
ーブン中120℃で1時間加熱した。
【0038】実施例1と同様の条件下において、N−ニ
トロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩を
含むCHMAスラリーを使用することなく、上記で得た
塗膜被覆ラシヒリングを充填塔に充填した状態で、CH
MAの還流を行った。
【0039】その結果、24時間操作を継続しても、C
HMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶液も、淡黄色
透明の状態のままであった。
【0040】実施例7 還流冷却器付ラシヒリング充填塔を取り付けた1リット
ルのガラス製フラスコに代えて、還流冷却器付棚段塔式
の蒸留塔を取り付けた1リットルのガラス製フラスコを
使用する以外は、実施例1と同様にしてCHMAの還流
操作を行った。その結果、24時間操作を継続しても、
CHMAの重合は発生せず、フラスコ内の溶液も、淡黄
色透明の状態のままであった。
【0041】比較例3 還流冷却器付ラシヒリング充填塔を取り付けた1リット
ルのガラス製フラスコに代えて、還流冷却器付棚段塔式
の蒸留塔を取り付けた1リットルのガラス製フラスコを
使用する以外は、比較例1と同様にしてCHMAの還流
操作を行った。その結果、還流開始から6時間後には充
填塔内に重合物の発生が生じ、その15分後には重合物
の量的増大が観察された。
【0042】実施例8 攪拌機及びステンレス製充填物で充填された蒸留塔を取
り付けた100リットルのステンレス製反応器に、シク
ロヘキサノール22Kg、メチルメタクリレート42K
g、乾燥させた水酸化リチウム150g及びN−ニトロ
ソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩20g
を入れ、温度90〜100℃、蒸留塔塔頂部の減圧度2
00〜500mmHgでメタノール及びメチルメタクリレー
トを系外に除去しつつ、6時間エステル交換反応を行っ
た。反応終了後、固形物を濾過により除去して、CHM
Aを66重量%含有する反応終了液53Kgを得た。
【0043】次に、図1に示した、ステンレス製充填物
が充填された蒸留塔と100リットルの蒸留釜とを備え
たステンレス製蒸留装置の蒸留釜に、上記反応終了液を
入れた。温度90〜110℃、蒸留塔塔頂部の減圧度2
00〜2mmHgの条件下で還流比をコントロールしながら
15時間蒸留を行なった。蒸留中、蒸留塔のフィード口
1からハイドロキノンモノメチルエーテルの0.1重量
%CHMA溶液5Kgを15時間で連続的に添加した。
フィード口2からは、N−ニトロソフェニルヒドロキシ
ルアミンのアンモニウム塩1.1gをCHMA1100
gでスラリー化したスラリー液を15時間で連続的に添
加した。蒸留中、攪拌機3で攪拌し、蒸留物はコンデン
サー4を通じてストックタンク5に収容した。
【0044】その結果、メチルメタクリレートを主成分
とした初留16Kg、CHMAを主成分とした中留2K
gに次いで、本留として純度99.8重量%のCHMA
37Kgを得た。蒸留釜には、残渣2Kgが残った。こ
の残渣は、低粘度で流動性があり、室温まで冷却後、容
易に取り出すことができた。
【0045】上記蒸留時のN−ニトロソフェニルヒドロ
キシルアミンのアンモニウム塩の気相中のCHMAに対
する量は、中留及び本留に対して18〜20ppm相当量
となる。
【0046】同様の蒸留操作を20バッチ行った後、蒸
留塔を解体して内部を観察した結果、ポリマーの生成・
付着は全く無かった。
【0047】実施例9 攪拌機及びラシヒリングで充填された蒸留塔を取り付け
た100リットルのガラス製反応器に、シクロヘキサノ
ール44Kg、メタクリル酸36Kg、p−トルエンス
ルホン酸3Kg及びハイドロキノン70gを入れ、温度
110〜125℃、蒸留塔塔頂部の減圧度200〜22
0mmHgで生成水を系外に除去しつつ、6時間エステル化
反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を
添加して中和処理して、CHMAを90重量%含有する
処理液65Kgを得た。
【0048】次に、図1に示した、ステンレス製充填物
が充填された蒸留塔と100リットルの蒸留釜とを備え
たステンレス製蒸留装置の蒸留釜に、上記処理液をN−
ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩
5gと共に入れ、実施例8と同様の条件下で17時間蒸
留を行なった。蒸留中、蒸留塔のフィード口1からのハ
イドロキノンモノメチルエーテルの添加、及びフィード
口2からのN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの
アンモニウム塩の添加も実施例8と同様に行った。
【0049】その結果、シクロヘキサノールを主成分と
した初留6Kg、CHMAを主成分とした中留9Kgに
次いで、本留として純度99.1重量%のCHMA47
Kgを得た。蒸留釜には、残渣3Kgが残った。この残
渣は、低粘度で流動性があり、室温まで冷却後、容易に
取り出すことができた。
【0050】上記蒸留時のN−ニトロソフェニルヒドロ
キシルアミンのアンモニウム塩の気相中のCHMAに対
する量は、12ppm相当量となる。
【0051】同様の蒸留操作を20バッチ行った後、蒸
留塔を解体して内部を観察した結果、ポリマーの生成・
付着は全く無かった。
【0052】実施例10 図1に示した、ステンレス製充填物が充填された蒸留塔
と100リットルの蒸留釜とを備えたステンレス製蒸留
装置を用い、該充填物中に実施例4で得たフェノール樹
脂発泡体90gを10箇所に分割してランダムに配置し
た。また、その蒸留釜に、実施例8で得た反応終了液を
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウ
ム塩5gと共に入れ、実施例8と同様の条件下で15時
間蒸留を行なった。蒸留中、蒸留塔のフィード口1から
のハイドロキノンモノメチルエーテルの添加は実施例8
と同様に行ったが、フィード口2からのN−ニトロソフ
ェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩の添加は行
わなかった。
【0053】その結果、メチルメタクリレートを主成分
とした初留16Kg、CHMAを主成分とした中留2K
gに次いで、本留として純度99.8重量%のCHMA
35Kgを得た。蒸留釜には、残渣3Kgが残った。こ
の残渣は、低粘度で流動性があり、室温まで冷却後、容
易に取り出すことができた。
【0054】上記蒸留時のN−ニトロソフェニルヒドロ
キシルアミンのアンモニウム塩の気相中のCHMAに対
する量は、中留及び本留に対して100ppm相当量とな
る。
【0055】フェノール樹脂発泡体を取り替えることな
く、同様の蒸留操作を3バッチ行った後、蒸留塔を解体
して内部を観察した結果、ポリマーの生成・付着は全く
無かった。
【0056】次いで、蒸留塔を解体し、上記充填物に代
えて、別のステンレス製充填物に実施例4で得たフェノ
ール樹脂発泡体90gを10箇所に分割してランダムに
配置したものを用いて、蒸留塔の組立を行った。再度、
同様の蒸留操作を4バッチ行った。このような蒸留塔の
解体及び再組立の操作を、計5サイクル行い、合計で2
0バッチの蒸留操作後、蒸留塔を解体して内部を観察し
た結果、ポリマーの生成・付着は全く無かった。
【0057】比較例4 実施例8において、蒸留塔のフィード口1からハイドロ
キノンモノメチルエーテルの5重量%CHMA溶液を2
00ml/hrの速度で添加すること、及びフィード口2か
ら5重量%ハイドロキノンモノメチルエーテルと5重量
%フェノチアジンを含有するCHMA溶液を200ml/
hrの速度で添加すること以外は、実施例8と同様の蒸留
操作を行った。
【0058】その結果、メチルメタクリレートを主成分
とした初留16Kg、CHMAを主成分とした中留2K
gを得た後、CHMAの本留3Kgを得た時点で、蒸留
装置の差圧が増大してきたため、蒸留操作を9時間で中
断した。
【0059】次いで、蒸留塔を解体して内部を観察した
結果、蒸留塔の塔上部、中段部に不溶性ポリマーが付着
し、塔上部は閉塞状態であった。
【0060】比較例5 実施例8において、反応終了液と共にN−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩5gをも蒸留
釜に入れること、蒸留塔のフィード口1からハイドロキ
ノンモノメチルエーテルの5重量%CHMA溶液を20
0ml/hrの速度で添加すること、及びフィード口2から
5重量%ハイドロキノンモノメチルエーテルと5重量%
フェノチアジンを含有するCHMA溶液を200ml/hr
の速度で添加すること以外は、実施例8と同様の蒸留操
作を18時間行った。
【0061】その結果、メチルメタクリレートを主成分
とした初留16Kg、CHMAを主成分とした中留2K
gを得た後、本留として純度99.2重量%のCHMA
29Kgを得た。蒸留塔内には8Kgの残渣が残存して
おり、この残渣は粘性があるため、釜から取り出すのに
60℃に加温する必要があった。
【0062】同様のバッチ蒸留操作を2バッチ行った
が、最後の2バッチ目の後半で蒸留装置の差圧が認めら
れた。
【0063】次いで、蒸留塔を解体して内部を観察した
結果、蒸留塔の塔上部が不溶性ポリマーの生成により閉
塞状態であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、CHMAの蒸留に際
し、 N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を重
合禁止剤として、特に蒸留装置の気相部に存在させるこ
とにより、CHMAの重合を効果的に抑制でき、従来は
防止が困難であった三次元架橋した不溶性ポリマーの発
生を効果的に防止できるので、CHMAを工業的に効率
よく生産することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8〜10及び比較例4で用いたステンレ
ス製充填物が充填された蒸留塔と蒸留釜とを備えたステ
ンレス製蒸留装置の概略を示したものである。
【符号の説明】
1…フィード口、2…フィード口、3…攪拌機、4…コ
ンデンサー、5…ストックタンク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 松本 直子 (56)参考文献 特開 昭63−126853(JP,A) 特開 昭64−42443(JP,A) 特開 平8−48650(JP,A) 特開 平6−234700(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/54 C07C 67/54 C07C 67/62

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロヘキシルメタクリレートを蒸留精製
    する方法において、蒸留装置の気相部にN−ニトロソフ
    ェニルヒドロキシルアミン塩を存在させることを特徴と
    するシクロヘキシルメタクリレートの蒸留方法。
  2. 【請求項2】N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
    塩を固体状態で存在させる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】固体状態での存在が、N−ニトロソフェニ
    ルヒドロキシルアミンアンモニウム塩をシクロヘキシル
    メタクリレートに分散させたスラリー状態で供給される
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】固体状態での存在が、N−ニトロソフェニ
    ルヒドロキシルアミン塩を樹脂成形体の内部に固定化し
    た状態で供給される請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】固体状態での存在が、N−ニトロソフェニ
    ルヒドロキシルアミン塩を含有する樹脂液を蒸留装置中
    の充填物に塗布、乾燥した状態で供給される請求項2に
    記載の方法。
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