JP3155738B2 - 前輪舵取り車両の旋回機構 - Google Patents
前輪舵取り車両の旋回機構Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0004】
【発明の属する技術分野】本発明は、前輪舵取り車両の
旋回機構に関するものである。 【0005】 【従来の技術】従来より、トラクタ−等の圃場内での作
業性を向上し、特に旋回時の旋回半径を小さくすること
を目的として、各種形態の前輪舵取り車両における旋回
機構が開発されている。そして、かかる旋回機構は、一
般に、四輪操舵式のものと前輪内外輪作動軸式(倍速タ
−ン式)とに大別される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の四輪操
舵式のものは、一般に構造が複雑であるため製作コスト
が高くなるという問題点があり、一方、前輪内外輪作動
駆動式は、圃場が固い場合はスリップしたり、また、差
動機構がミッション内に内蔵されているため、余計な伝
動軸を必要として煩雑な構造になり、同様に製作コスト
が高くなるとともに、メンテナンスも煩わしいものとな
っていた。本発明は、上記問題点を解決することがで
き、さらに、倍速タ−ン式の旋回機構を備えながら堅牢
で機体の地上高を充分に確保することができる前輪舵取
り車両の旋回機構を提供することを目的とする。 【0007】本発明は、機体にフロントアクスルケ−ス
の中央部を揺動支持部にて支持すると共に、機体の後方
にミッションケ−スを配設し、ミッションケ−スから前
輪に動力を伝達する為の前輪駆動軸をフロントアクスル
ケ−スの後方まで延出し、前輪駆動軸と前記フロントア
クスルケ−ス側のピニオン軸との間に、等速・増速の切
り換えが自在な増速切換機構を介設し、この増速切換機
構に操舵機構を連動連結して、操舵機構の旋回操作時に
増速切り換えがなされるべく構成する前輪舵取り車両の
旋回機構において、上記フロントアクスルケ−スから後
方に向けて筒状ケ−シングを延設してその延出中途部
を、機体に固定した軸受によって支持させ、該筒状ケ−
シングの内部に、前記フロントアクスルケ−ス側のピニ
オン軸と、後端を自在継手によって前輪駆動軸と連動連
結した増速切換機構入力軸とを直列に配設するととも
に、前記ピニオン軸の略全長にわたって同心円的にかつ
相対回転自在に中間回転筒を嵌装して、この中間回転筒
を、操舵機構に連動して接離作動されるドッグクラッチ
によってピニオン軸に接離自在に連動させ、また、中間
回転筒と筒状ケ−シングとの間に、前記ドッグクラッチ
が離脱されたときに中間回転筒を筒状ケ−シングに固定
する多板クラッチを設け、さらに、ピニオン軸の後端廻
りに同心円的に取付ける回転ハウジングの内面にピニオ
ン軸の軸線と直交する方向に軸線を有するベベルギヤを
取付けて、該ベベルギヤの前面と中間回転筒の後端に一
体的に形成したベベルギヤとを噛合させるとともに、前
記ベベルギヤの後面とピニオン軸の後端に固着したベベ
ルギヤとを噛合させ、かつ、回転ハウジングの後端を増
速切換機構入力軸の前端にスプライン結合した増速用デ
フ機構を設けて前記増速切換機構を構成してある前輪舵
取り車両の旋回機構に係るものである。 【0008】 【発明の効果】上記した構成により、本発明は、以下の
作用及び効果を奏する。標準仕様の前輪駆動車両に比
べ、増速切換機構をフロントアクスルケ−スと前輪駆動
軸との間に介設するのみで小旋回可能な旋回機構を構成
でき、後付け(オプション)が容易になり、安価に製作
・取付けすることができる。また、メンテナンスも容易
になる。 【0009】前輪駆動軸を機体後方に設けたミッション
ケ−スから機体前方に延出させることによって、フロン
トアクスルケ−ス後方に増速切換機構を配設可能とした
のでミッションケ−ス内部及びミッションケ−スと前輪
駆動軸との間に余計な伝動部を装備しなくてもよくな
り、かかる伝動部によるトラクタ−等の走行障害を無く
することができる。 【0010】機体前方に増速切換機構を有するため、前
輪舵取り車両の機体前後バランスが良好となり、同車両
の旋回中心が従来より機体の長手方向軸線側にくるた
め、旋回半径を小さくすることができる。また、機体の
後方にミッションケ−スを配設し、ミッションケ−スか
ら前輪に動力を伝達する為の前輪駆動軸をフロントアク
スルケ−スの後方まで延出し、その部分で等速・増速切
換が可能な構造としたので、増速モ−ド時においても、
前輪駆動軸を増速させる必要がなく、また、前輪駆動軸
の前後長も短縮されるのでベアリングの振れ等を確実に
防止でき、前輪駆動軸や自在継手等の寿命を長じること
ができる。 【0011】そして、殊に、増速切換機構を、フロント
アクスルケ−スから後方に延設する筒状ケ−シングに内
装支持したピンオン軸及び同軸に回転自在に外嵌される
中間回転筒と、ベベルギヤで組成された増速用デフ機構
と、多板クラッチ、摺動カム体及びドッグクラッチから
なる伝動切換機構とで構成したので、増速切換機構部分
が縮径コンパクト化され、これを機体底部に至近に配置
できることとなって同部分の地上高を高く確保すること
ができ、畝立圃場などにおいても増速切換機構部分がス
タックするようなことがなくなり、各種の作業に対する
適応性が向上される。また、前記増速用デフ機構の入力
軸を筒状ケ−シングの後方に形設した細筒部に突出させ
て自在継手を介して前輪駆動軸に連動結合し、フロント
アクスルケ−スから後延する筒状ケ−シングの中途部
を、機体に固装した軸受によって支持させたので、増速
切換機構の全体が堅牢強固に支持され、前輪駆動軸との
連動結合も容易になる。 【0012】増速切換機構を内蔵した筒状ケ−シング
が、フロントアクスルケ−スに近く位置するので、機体
前部に作用するフロントウエイトとしても機能し、別個
にフロントウエイトを取付けなくても、機体の前後重量
バランスを良好にして、操向操作性を向上させることが
できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、添付図に示す実施例に基づ
いて、本発明を具体的に説明する。図1において、トラ
クタ−は、その前後部にそれぞれ前輪(1)と後輪(2)と
を取付けており、その前輪(1)及び後輪(2)は、共に、
以下に説明する駆動機構によって駆動される。 【0014】すなわち、図2に示す駆動系統図におい
て、(3)はエンジン、(4)は主クラッチ、(5)は主変速
装置、(6)は副変速装置、(7)は後輪デフ装置であり、
デフ装置(7)のデフヨ−ク軸(8)は最終減速装置(9)を
介して各後輪(2)に連動連結される。なお、(10)は各
デフヨ−ク軸(8)の外端部に設けられた後輪ブレ−キで
ある。また、上記構成において、主変速装置(5)、副変
速装置(6)は、ミッションケ−ス内に内蔵されている。 【0015】また、(11)は前輪駆動系を示し、該前輪
駆動系(11)は、副変速装置(6)に歯車(12)及び自在
継手(13)を介して連結した前輪駆動軸(14)と、前輪
駆動軸(14)と連結した前輪デフ装置(15)とからな
り、前輪デフ装置(15)の各々のヨ−ク軸(16)は、歯
車列(17)を介して前輪(1)に連結され、又、前輪(1)
は、キングピン廻りに操向動作可能となっている。 【0016】本発明は、上記前輪駆動系(11)におい
て、前輪駆動軸(14)と前輪デフ装置(15)との間に、
増速切換機構を設けたことを特徴とする。図3を参照し
て、増速切換機構の構成を詳細に説明する。図中、(2
1)は前輪デフ装置(15)を内蔵し、かつ、ケ−ス揺動
支持部(21a)によって左右に揺動自在に支持されたフ
ロントアクスルケ−スであり、そのフロントアクスルケ
−ス(21)は、その後部に、後方に向けて延出した全体
が略同径の筒状ケ−シング(20)の基端を突設してお
り、同筒状ケ−シング(20)は、その中途部を、上端を
機体(22)に固定した軸受(24)によって支持されてい
る。 【0017】なお、(25)及び(26)は機体(22)の底
部に設けたオイルパンとクラッチハウジングであり、筒
状ケ−シング(20)は、これらに接触しないように近接
させて、前輪デフ装置(15)の下端面よりも上方に配設
される。 【0018】また、筒状ケ−シング(20)は、その内部
に、前輪デフ装置(15)から前輪駆動軸(14)に向け
て、前輪デフ装置(15)の歯車列と噛合するベベルギヤ
(27)を前端に具備するピニオン軸(29)と、後端を自
在継手(13)によって前輪駆動軸(14)と連動連結した
増速切換機構入力軸(30)とを直列に配設している。 【0019】また、(31)はピニオン軸(29)の略全長
にわたって同心円的にかつ相対回転自在に取付けた中間
回転筒であり、この中間回転筒(31)は、その前端に、
軸線方向に摺動自在だがスプラインによって中間回転軸
筒(31)と一体回転する摺動カム体(32)を取付けてお
り、摺動カム体(32)は、ドッグクラッチ(33)を介し
て、ピニオン軸(29)の中途に固着したフランジ(34)
と接合離脱自在に係合している。 【0020】なお、摺動カム体(32)は、枢軸(35)に
よって揺動自在に枢支した揺動ホ−ク(36)によって軸
線方向に移動されるものであり、かかる揺動ホ−ク(3
6)は、図示しない操舵機構と連動連結され、ドッグク
ラッチ(33)の係合離脱を行うことができる。 【0021】また、(37)は中間回転筒(31)の中途で
あって、揺動カム体(32)に隣接した位置に取付けた多
板クラッチであり、その多板クラッチ(37)は、摺動カ
ム体(32)の軸線方向移動によりスプリング(38)を圧
縮することによって、中間回転筒(31)を筒状ケ−シン
グ(20)に固定しその回転を停止することができる。 【0022】また、(40)はピニオン軸(29)の後端に
設けた増速用デフ機構であり、この増速用デフ機構(4
0)は、ピニオン軸(29)の後端廻りに同心円的に回転
ハウジング(41)を取付け、回転ハウジング(41)の内
面にピニオン軸(29)の軸線と直交する方向に軸線を有
するベベルギヤ(42)を取付けて、該ベベルギヤ(42)
の前面と中間回転筒(31)の後端に一体的に形成したベ
ベルギヤ(44)とを噛合させるとともに、前記ベベルギ
ヤ(42)の後面とピニオン軸(29)の後端に固着したベ
ベルギヤ(43)とを噛合させ、さらに、回転ハウジング
(41)の後端に設けたスプライン部(41−1)を増速切
換機構入力軸(30)の前端に形成したスプライン部(3
0−1)と噛合させることによって構成している。なお、
前出の多板クラッチ(37)と摺動カム体(32)及びドッ
グクラッチ(36)を、伝動切換機構と総称する。 【0023】ついで、上記構成を有する増速切換機構の
作用について説明する。エンジン(3)を始動し、主クラ
ッチ(4)を接続すると、エンジン(3)の動力は、主クラ
ッチ(4)、主変速装置(5)、副変速装置(6)、後輪デフ
装置(7)及び最終減速装置(9)を介して各後輪(2)へと
伝達される。 【0024】一方、副変速装置(6)から前輪駆動軸(1
4)、増速切換機構、前輪デフ装置(15)を介して各前
輪(1)へ伝達されるので、トラクタ−は、前輪(1)と後
輪(2)の四輪を駆動輪として走行することになる。 【0025】しかして、直進走行時には、前輪(1)と後
輪(2)とが同じ速度で駆動されることになるが、これを
駆動系統説明図を参照して説明すると、以下の如くな
る。すなわち、操舵機構は揺動ホ−ク(36)を作動する
程度には操舵されていないので、多板クラッチ(37)は
作動しておらず、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング
(20)に固定されておらず、一方、ドッグクラッチ(3
3)によって中間回転筒(31)はピニオン軸(29)に一
体的に連結された状態にある。 【0026】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構入力軸(30)から回転ハウジング(41)に伝
達されるが、ベベルギヤ(42)、ベベルギヤ(43)、ピ
ニオン軸(29)、ベベルギヤ(44)、中間回転筒(31)
は、前輪駆動軸(14)と同一速度で回転し、その後、前
輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸(16)を介して前輪
(1)に伝達されることになる。 【0027】一方、操舵機構が揺動ホ−ク(36)を作動
する程度に操舵されると、多板クラッチ(37)が作動
し、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング(20)に固定さ
れることになるとともに、ドッグクラッチ(33)の離脱
によって、ピニオン軸(29)と中間回転筒(31)との連
結は解除されることになる。 【0028】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構入力軸(30)から回転ハウジング(41)に伝
達されるが、ベベルギヤ(42)→ベベルギヤ(43)→ピ
ニオン軸(29)→フロントアクスルケ−ス(21)の伝達
経路のみが活きており、この伝達経路の差動作用により
ピニオン軸(29)は前輪駆動軸(14)の2倍の速度で回
転し、その後、前輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸
(16)を介して前輪(1)に伝達されることとなる。従っ
て、トラクタ−は小旋回半径でスリップを生じることな
く、旋回することができる。 【0029】また、上記構成において、増速切換機構を
除いて他の構成要素は標準仕様であるため、小旋回可能
な旋回機構を容易かつ安価に構成でき、後付け(オプシ
ョン)も容易となる。また、フロントアクスルケ−ス
(21)後方に増速切換機構を配設したため、余計な伝動
部を不用とすることができ、走行障害とならない。さら
に、前方に増速切換機構を有するため、前後重量バラン
スが良好となり旋回中心が従来より前方にくるため、旋
回半径を小さくすることができる。
旋回機構に関するものである。 【0005】 【従来の技術】従来より、トラクタ−等の圃場内での作
業性を向上し、特に旋回時の旋回半径を小さくすること
を目的として、各種形態の前輪舵取り車両における旋回
機構が開発されている。そして、かかる旋回機構は、一
般に、四輪操舵式のものと前輪内外輪作動軸式(倍速タ
−ン式)とに大別される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の四輪操
舵式のものは、一般に構造が複雑であるため製作コスト
が高くなるという問題点があり、一方、前輪内外輪作動
駆動式は、圃場が固い場合はスリップしたり、また、差
動機構がミッション内に内蔵されているため、余計な伝
動軸を必要として煩雑な構造になり、同様に製作コスト
が高くなるとともに、メンテナンスも煩わしいものとな
っていた。本発明は、上記問題点を解決することがで
き、さらに、倍速タ−ン式の旋回機構を備えながら堅牢
で機体の地上高を充分に確保することができる前輪舵取
り車両の旋回機構を提供することを目的とする。 【0007】本発明は、機体にフロントアクスルケ−ス
の中央部を揺動支持部にて支持すると共に、機体の後方
にミッションケ−スを配設し、ミッションケ−スから前
輪に動力を伝達する為の前輪駆動軸をフロントアクスル
ケ−スの後方まで延出し、前輪駆動軸と前記フロントア
クスルケ−ス側のピニオン軸との間に、等速・増速の切
り換えが自在な増速切換機構を介設し、この増速切換機
構に操舵機構を連動連結して、操舵機構の旋回操作時に
増速切り換えがなされるべく構成する前輪舵取り車両の
旋回機構において、上記フロントアクスルケ−スから後
方に向けて筒状ケ−シングを延設してその延出中途部
を、機体に固定した軸受によって支持させ、該筒状ケ−
シングの内部に、前記フロントアクスルケ−ス側のピニ
オン軸と、後端を自在継手によって前輪駆動軸と連動連
結した増速切換機構入力軸とを直列に配設するととも
に、前記ピニオン軸の略全長にわたって同心円的にかつ
相対回転自在に中間回転筒を嵌装して、この中間回転筒
を、操舵機構に連動して接離作動されるドッグクラッチ
によってピニオン軸に接離自在に連動させ、また、中間
回転筒と筒状ケ−シングとの間に、前記ドッグクラッチ
が離脱されたときに中間回転筒を筒状ケ−シングに固定
する多板クラッチを設け、さらに、ピニオン軸の後端廻
りに同心円的に取付ける回転ハウジングの内面にピニオ
ン軸の軸線と直交する方向に軸線を有するベベルギヤを
取付けて、該ベベルギヤの前面と中間回転筒の後端に一
体的に形成したベベルギヤとを噛合させるとともに、前
記ベベルギヤの後面とピニオン軸の後端に固着したベベ
ルギヤとを噛合させ、かつ、回転ハウジングの後端を増
速切換機構入力軸の前端にスプライン結合した増速用デ
フ機構を設けて前記増速切換機構を構成してある前輪舵
取り車両の旋回機構に係るものである。 【0008】 【発明の効果】上記した構成により、本発明は、以下の
作用及び効果を奏する。標準仕様の前輪駆動車両に比
べ、増速切換機構をフロントアクスルケ−スと前輪駆動
軸との間に介設するのみで小旋回可能な旋回機構を構成
でき、後付け(オプション)が容易になり、安価に製作
・取付けすることができる。また、メンテナンスも容易
になる。 【0009】前輪駆動軸を機体後方に設けたミッション
ケ−スから機体前方に延出させることによって、フロン
トアクスルケ−ス後方に増速切換機構を配設可能とした
のでミッションケ−ス内部及びミッションケ−スと前輪
駆動軸との間に余計な伝動部を装備しなくてもよくな
り、かかる伝動部によるトラクタ−等の走行障害を無く
することができる。 【0010】機体前方に増速切換機構を有するため、前
輪舵取り車両の機体前後バランスが良好となり、同車両
の旋回中心が従来より機体の長手方向軸線側にくるた
め、旋回半径を小さくすることができる。また、機体の
後方にミッションケ−スを配設し、ミッションケ−スか
ら前輪に動力を伝達する為の前輪駆動軸をフロントアク
スルケ−スの後方まで延出し、その部分で等速・増速切
換が可能な構造としたので、増速モ−ド時においても、
前輪駆動軸を増速させる必要がなく、また、前輪駆動軸
の前後長も短縮されるのでベアリングの振れ等を確実に
防止でき、前輪駆動軸や自在継手等の寿命を長じること
ができる。 【0011】そして、殊に、増速切換機構を、フロント
アクスルケ−スから後方に延設する筒状ケ−シングに内
装支持したピンオン軸及び同軸に回転自在に外嵌される
中間回転筒と、ベベルギヤで組成された増速用デフ機構
と、多板クラッチ、摺動カム体及びドッグクラッチから
なる伝動切換機構とで構成したので、増速切換機構部分
が縮径コンパクト化され、これを機体底部に至近に配置
できることとなって同部分の地上高を高く確保すること
ができ、畝立圃場などにおいても増速切換機構部分がス
タックするようなことがなくなり、各種の作業に対する
適応性が向上される。また、前記増速用デフ機構の入力
軸を筒状ケ−シングの後方に形設した細筒部に突出させ
て自在継手を介して前輪駆動軸に連動結合し、フロント
アクスルケ−スから後延する筒状ケ−シングの中途部
を、機体に固装した軸受によって支持させたので、増速
切換機構の全体が堅牢強固に支持され、前輪駆動軸との
連動結合も容易になる。 【0012】増速切換機構を内蔵した筒状ケ−シング
が、フロントアクスルケ−スに近く位置するので、機体
前部に作用するフロントウエイトとしても機能し、別個
にフロントウエイトを取付けなくても、機体の前後重量
バランスを良好にして、操向操作性を向上させることが
できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、添付図に示す実施例に基づ
いて、本発明を具体的に説明する。図1において、トラ
クタ−は、その前後部にそれぞれ前輪(1)と後輪(2)と
を取付けており、その前輪(1)及び後輪(2)は、共に、
以下に説明する駆動機構によって駆動される。 【0014】すなわち、図2に示す駆動系統図におい
て、(3)はエンジン、(4)は主クラッチ、(5)は主変速
装置、(6)は副変速装置、(7)は後輪デフ装置であり、
デフ装置(7)のデフヨ−ク軸(8)は最終減速装置(9)を
介して各後輪(2)に連動連結される。なお、(10)は各
デフヨ−ク軸(8)の外端部に設けられた後輪ブレ−キで
ある。また、上記構成において、主変速装置(5)、副変
速装置(6)は、ミッションケ−ス内に内蔵されている。 【0015】また、(11)は前輪駆動系を示し、該前輪
駆動系(11)は、副変速装置(6)に歯車(12)及び自在
継手(13)を介して連結した前輪駆動軸(14)と、前輪
駆動軸(14)と連結した前輪デフ装置(15)とからな
り、前輪デフ装置(15)の各々のヨ−ク軸(16)は、歯
車列(17)を介して前輪(1)に連結され、又、前輪(1)
は、キングピン廻りに操向動作可能となっている。 【0016】本発明は、上記前輪駆動系(11)におい
て、前輪駆動軸(14)と前輪デフ装置(15)との間に、
増速切換機構を設けたことを特徴とする。図3を参照し
て、増速切換機構の構成を詳細に説明する。図中、(2
1)は前輪デフ装置(15)を内蔵し、かつ、ケ−ス揺動
支持部(21a)によって左右に揺動自在に支持されたフ
ロントアクスルケ−スであり、そのフロントアクスルケ
−ス(21)は、その後部に、後方に向けて延出した全体
が略同径の筒状ケ−シング(20)の基端を突設してお
り、同筒状ケ−シング(20)は、その中途部を、上端を
機体(22)に固定した軸受(24)によって支持されてい
る。 【0017】なお、(25)及び(26)は機体(22)の底
部に設けたオイルパンとクラッチハウジングであり、筒
状ケ−シング(20)は、これらに接触しないように近接
させて、前輪デフ装置(15)の下端面よりも上方に配設
される。 【0018】また、筒状ケ−シング(20)は、その内部
に、前輪デフ装置(15)から前輪駆動軸(14)に向け
て、前輪デフ装置(15)の歯車列と噛合するベベルギヤ
(27)を前端に具備するピニオン軸(29)と、後端を自
在継手(13)によって前輪駆動軸(14)と連動連結した
増速切換機構入力軸(30)とを直列に配設している。 【0019】また、(31)はピニオン軸(29)の略全長
にわたって同心円的にかつ相対回転自在に取付けた中間
回転筒であり、この中間回転筒(31)は、その前端に、
軸線方向に摺動自在だがスプラインによって中間回転軸
筒(31)と一体回転する摺動カム体(32)を取付けてお
り、摺動カム体(32)は、ドッグクラッチ(33)を介し
て、ピニオン軸(29)の中途に固着したフランジ(34)
と接合離脱自在に係合している。 【0020】なお、摺動カム体(32)は、枢軸(35)に
よって揺動自在に枢支した揺動ホ−ク(36)によって軸
線方向に移動されるものであり、かかる揺動ホ−ク(3
6)は、図示しない操舵機構と連動連結され、ドッグク
ラッチ(33)の係合離脱を行うことができる。 【0021】また、(37)は中間回転筒(31)の中途で
あって、揺動カム体(32)に隣接した位置に取付けた多
板クラッチであり、その多板クラッチ(37)は、摺動カ
ム体(32)の軸線方向移動によりスプリング(38)を圧
縮することによって、中間回転筒(31)を筒状ケ−シン
グ(20)に固定しその回転を停止することができる。 【0022】また、(40)はピニオン軸(29)の後端に
設けた増速用デフ機構であり、この増速用デフ機構(4
0)は、ピニオン軸(29)の後端廻りに同心円的に回転
ハウジング(41)を取付け、回転ハウジング(41)の内
面にピニオン軸(29)の軸線と直交する方向に軸線を有
するベベルギヤ(42)を取付けて、該ベベルギヤ(42)
の前面と中間回転筒(31)の後端に一体的に形成したベ
ベルギヤ(44)とを噛合させるとともに、前記ベベルギ
ヤ(42)の後面とピニオン軸(29)の後端に固着したベ
ベルギヤ(43)とを噛合させ、さらに、回転ハウジング
(41)の後端に設けたスプライン部(41−1)を増速切
換機構入力軸(30)の前端に形成したスプライン部(3
0−1)と噛合させることによって構成している。なお、
前出の多板クラッチ(37)と摺動カム体(32)及びドッ
グクラッチ(36)を、伝動切換機構と総称する。 【0023】ついで、上記構成を有する増速切換機構の
作用について説明する。エンジン(3)を始動し、主クラ
ッチ(4)を接続すると、エンジン(3)の動力は、主クラ
ッチ(4)、主変速装置(5)、副変速装置(6)、後輪デフ
装置(7)及び最終減速装置(9)を介して各後輪(2)へと
伝達される。 【0024】一方、副変速装置(6)から前輪駆動軸(1
4)、増速切換機構、前輪デフ装置(15)を介して各前
輪(1)へ伝達されるので、トラクタ−は、前輪(1)と後
輪(2)の四輪を駆動輪として走行することになる。 【0025】しかして、直進走行時には、前輪(1)と後
輪(2)とが同じ速度で駆動されることになるが、これを
駆動系統説明図を参照して説明すると、以下の如くな
る。すなわち、操舵機構は揺動ホ−ク(36)を作動する
程度には操舵されていないので、多板クラッチ(37)は
作動しておらず、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング
(20)に固定されておらず、一方、ドッグクラッチ(3
3)によって中間回転筒(31)はピニオン軸(29)に一
体的に連結された状態にある。 【0026】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構入力軸(30)から回転ハウジング(41)に伝
達されるが、ベベルギヤ(42)、ベベルギヤ(43)、ピ
ニオン軸(29)、ベベルギヤ(44)、中間回転筒(31)
は、前輪駆動軸(14)と同一速度で回転し、その後、前
輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸(16)を介して前輪
(1)に伝達されることになる。 【0027】一方、操舵機構が揺動ホ−ク(36)を作動
する程度に操舵されると、多板クラッチ(37)が作動
し、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング(20)に固定さ
れることになるとともに、ドッグクラッチ(33)の離脱
によって、ピニオン軸(29)と中間回転筒(31)との連
結は解除されることになる。 【0028】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構入力軸(30)から回転ハウジング(41)に伝
達されるが、ベベルギヤ(42)→ベベルギヤ(43)→ピ
ニオン軸(29)→フロントアクスルケ−ス(21)の伝達
経路のみが活きており、この伝達経路の差動作用により
ピニオン軸(29)は前輪駆動軸(14)の2倍の速度で回
転し、その後、前輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸
(16)を介して前輪(1)に伝達されることとなる。従っ
て、トラクタ−は小旋回半径でスリップを生じることな
く、旋回することができる。 【0029】また、上記構成において、増速切換機構を
除いて他の構成要素は標準仕様であるため、小旋回可能
な旋回機構を容易かつ安価に構成でき、後付け(オプシ
ョン)も容易となる。また、フロントアクスルケ−ス
(21)後方に増速切換機構を配設したため、余計な伝動
部を不用とすることができ、走行障害とならない。さら
に、前方に増速切換機構を有するため、前後重量バラン
スが良好となり旋回中心が従来より前方にくるため、旋
回半径を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の旋回機構を具備した前輪舵取り車両
(トラクタ−)の側面図である。 【図2】前輪舵取り車両の駆動系統図である。 【図3】本発明に係る旋回機構の拡大構造説明図であ
る。 【符号の説明】 13 自在継手 14 前輪駆動軸 15 前輪デフ装置 20 筒状ケ−シング 21 フロントアクスルケ−ス 21a 揺動支持部 22 機体 24 軸受 29 ピニオン軸 30 増速切換機構入力軸 31 中間回転筒 32 摺動カム体 36 ドッグクラッチ 37 多板クラッチ
(トラクタ−)の側面図である。 【図2】前輪舵取り車両の駆動系統図である。 【図3】本発明に係る旋回機構の拡大構造説明図であ
る。 【符号の説明】 13 自在継手 14 前輪駆動軸 15 前輪デフ装置 20 筒状ケ−シング 21 フロントアクスルケ−ス 21a 揺動支持部 22 機体 24 軸受 29 ピニオン軸 30 増速切換機構入力軸 31 中間回転筒 32 摺動カム体 36 ドッグクラッチ 37 多板クラッチ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.機体(22)にフロントアクスルケ−ス(21)の中央
部を揺動支持部(21a)にて支持すると共に、機体(2
2)の後方にミッションケ−スを配設し、ミッションケ
−スから前輪(1)に動力を伝達する為の前輪駆動軸(1
4)をフロントアクスルケ−ス(21)の後方まで延出
し、前輪駆動軸(14)と前記フロントアクスルケ−ス
(21)側のピニオン軸(29)との間に、等速・増速の切
り換えが自在な増速切換機構を介設し、この増速切換機
構に操舵機構を連動連結して、操舵機構の旋回操作時に
増速切り換えがなされるべく構成する前輪舵取り車両の
旋回機構において、上記フロントアクスルケ−ス(21)
から後方に向けて筒状ケ−シング(20)を延設してその
延出中途部を、機体(22)に固定した軸受(24)によっ
て支持させ、該筒状ケ−シング(20)の内部に、前記フ
ロントアクスルケ−ス(21)側のピニオン軸(29)と、
後端を自在継手(13)によって前輪駆動軸(14)と連動
連結した増速切換機構入力軸(30)とを直列に配設する
とともに、前記ピニオン軸(29)の略全長にわたって同
心円的にかつ相対回転自在に中間回転筒(31)を嵌装し
て、この中間回転筒(31)を、操舵機構に連動して接離
作動されるドッグクラッチ(33)によってピニオン軸
(29)に接離自在に連動させ、また、中間回転筒(31)
と筒状ケ−シング(20)との間に、前記ドッグクラッチ
(33)が離脱されたときに中間回転筒(31)を筒状ケ−
シング(20)に固定する多板クラッチ(37)を設け、さ
らに、ピニオン軸(29)の後端廻りに同心円的に取付け
る回転ハウジング(41)の内面にピニオン軸(29)の軸
線と直交する方向に軸線を有するベベルギヤ(42)を取
付けて、該ベベルギヤ(42)の前面と中間回転筒(31)
の後端に一体的に形成したベベルギヤ(44)とを噛合さ
せるとともに、前記ベベルギヤ(42)の後面とピニオン
軸(29)の後端に固着したベベルギヤ(43)とを噛合さ
せ、かつ、回転ハウジング(41)の後端を増速切換機構
入力軸(30)の前端にスプライン結合した増速用デフ機
構(40)を設けて前記増速切換機構を構成してある前輪
舵取り車両の旋回機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21973198A JP3155738B2 (ja) | 1987-02-10 | 1998-07-17 | 前輪舵取り車両の旋回機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21973198A JP3155738B2 (ja) | 1987-02-10 | 1998-07-17 | 前輪舵取り車両の旋回機構 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2896987A Division JPH0735129B2 (ja) | 1987-02-10 | 1987-02-10 | 前輪舵取り車両における旋回機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11105565A JPH11105565A (ja) | 1999-04-20 |
JP3155738B2 true JP3155738B2 (ja) | 2001-04-16 |
Family
ID=16740104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21973198A Expired - Fee Related JP3155738B2 (ja) | 1987-02-10 | 1998-07-17 | 前輪舵取り車両の旋回機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3155738B2 (ja) |
-
1998
- 1998-07-17 JP JP21973198A patent/JP3155738B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11105565A (ja) | 1999-04-20 |
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