JP3154281B2 - ストッキング及びその製造方法 - Google Patents

ストッキング及びその製造方法

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JP3154281B2
JP3154281B2 JP18520091A JP18520091A JP3154281B2 JP 3154281 B2 JP3154281 B2 JP 3154281B2 JP 18520091 A JP18520091 A JP 18520091A JP 18520091 A JP18520091 A JP 18520091A JP 3154281 B2 JP3154281 B2 JP 3154281B2
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幸夫 山川
茂 徳冨
博 長尾
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カネボウ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己捲縮性複合フィラ
メントから成る編目のきれいなストッキングに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン弾性体とポリカプラミド
が、偏心的に接合した複合フィラメントから成るストッ
キングは、優れた透明性と、良好な伸縮性を有すること
が知られている(特公平3−9207号公報、実開平2
−307号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかるスト
ッキングの欠点は、通常のナイロン仮撚糸から成るスト
ッキング、あるいはポリウレタン弾性糸にナイロン糸を
捲き付けたカバーリング糸から成るストッキングなどに
比較して、編地外観が著しく悪いことに有る。
【0004】すなわち、丸編ストッキングは、通常レッ
グトップ部から、アンクル部、フート部へ、順次編目ル
ープを小さく編立てるが、編目ループの小さいフート部
あるいは、アンクル部は、編目のコースが整い編地外観
は比較的良好であるが、編目ループが大きくなるレッグ
トップ部は、編目コースが整わず且つ不明瞭で、編地外
観が梨地状に見えるばかりでなく、1つの編目ループ内
で、構成フィラメントにあたかもビリが発生したかに見
える“フィラメント絡み”が現われ、その結果ストッキ
ング外観が著しく低下してしまう欠点が有る。
【0005】かかる外観不良は、複合フィラメントに発
現するラセン状捲縮が、S方向とZ方向にランダムに現
われること、並びに、編面ループの拘束力よりも捲縮発
現力が強過ぎることに起因していると推定される。
【0006】本発明者等は、かかる欠点を解決すべく、
複合フィラメントの捲縮発現の制御、あるいはストッキ
ング編立条件あるいは加工条件等を鋭意研究した結果、
複合フィラメントに、あらかじめ適当なS方向、あるい
はZ方向のトルク力を付与しておくことが有効であるこ
とが判り、本発明に到達したもので、本発明は前記複合
繊維の優れた風合いを生かしながら、編み目の揃ったス
トッキングを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリウレタン
弾性体及びポリカプラミドを偏心的に接合せしめ、繊維
横断面における両成分の占有面積比率が7:3〜3:7
である複合繊維の、S撚仮撚トルクヤーン及びZ撚仮撚
トルクヤーンが1乃至2本交互に編み立てられたストッ
キングであり、かかるストッキングは、ポリウレタン弾
性体及びポリカプラミドを偏心的に接合せしめた複合繊
維を仮撚加工して5〜20cm/mの実質的に同じトル
ク値を有するS撚トルクヤーン及びZ撚トルクヤーンと
なし、該S撚トルクヤーン及びZ撚トルクヤーンを1乃
至2本交互に編み立てることにより得られる。
【0008】本発明のポリウレタン弾性体とポリカプラ
ミドが偏心的に接合した自己捲縮性複合フィラメントと
は、例えば、フィラメントの横断面形状が、図1〜図3
の形状の複合フィラメントであって、特公昭55−90
93,特公昭55−36725,特公昭55−2392
6,特公昭55−27175,特公昭55−2256
9,特公昭55−22570,特開昭62−15631
4,特公平3−9207などに記載の自己捲縮性複合フ
ィラメントである。
【0009】これらのうち、接合形状はポリウレタン弾
性体(1)とポリカプラミド(2)の繊維横断面におけ
る両成分の占有面積比率が3:7〜7:3であることが
必要であり、該範囲を外れた複合フィラメントは捲縮発
現力が不十分である。
【0010】更に、ポリウレタン弾性体(1)とポリカ
プラミド(2)からなる複合フィラメントは、ストッキ
ング等として用いた際その着用時に摩擦外力によって両
成分が剥離しないよう配慮することが肝要である。
【0011】かかる観点から、両成分の接着面積が大き
い形状(図2、3)が好ましい。また、図3の複合フィ
ラメントは摩擦外力に対する屈曲点が両成分の接合面上
に存在しないため極めて優れた耐剥離性を示す。
【0012】図3において、ポリウレタン弾性体(1)
の露出部分(1a)の繊維表面占有率は3〜15%であ
ることが好ましい。すなはち、3%未満となると捲縮発
現力が低下気味であり、15%を越えると両成分の剥離
が生じる虞があるからである。
【0013】本発明の複合フィラメントの総デニール
は、5〜30デニールが好ましい。総デニールが5デニ
ール以下ではストッキングの伸縮性並びに耐久性が不足
しがちであり、又総デニールが30デニール以上になる
と、ストッキングの透明性が不足するおそれがある。
【0014】又フィラメント構成本数は1〜3本が好ま
しい。フィラメント構成本数が3本以上になると、各単
糸デニールが細くなり捲縮伸縮力が不足したり、ストッ
キングの透明性が不足したりするおそれがある。
【0015】本発明は、前記自己捲縮性複合フィラメン
トであって、なお且つS方向あるいはZ方向にトルクを
有する2種のトルクヤーンが1本交互又は2本交互に編
立てられたものである。
【0016】複合フィラメントに付与されたトルクは、
例えば、通常の熱セット装置と仮撚付与装置を有する仮
撚機にて仮撚熱セットされたものなど、顕著で安定した
トルクを有するものであって、本発明でトルクを有する
とは後述のトルク値が5cm/m以上のもの、より好ま
しくは5〜20cm/mのものをいう。
【0017】本発明において、1乃至2本交互に編立て
られたとは交編によるもの以外に、両トルクヤーンを合
撚して編み立てたもの、他のストッキング用原糸と引き
揃え・交撚して編み立てたもの等を含むが、本発明では
S撚トルクヤーン単独とZ撚トルクヤーン単独とを交編
するのが最も好ましい。
【0018】前記トルクヤーンは、少なくとも図4に示
すストッキングのレッグ部(3)に使用することが望ま
しいが、通常トウ部(4)並びにウェルト部(5)に使
用される30〜50デニールのウーリーナイロン糸ある
いはカバーリング糸にかえて、該トルクヤーンをトウ部
並びにウェルト部に使用してもよい。
【0019】本発明のストッキングは、自己捲縮性複合
フィラメントから成るストッキングにおいて通常発生す
る編地構成フィラメントにあたかもビリが発生したかに
見える“フィラメント絡み”がなく、編目コースの整っ
たものである。
【0020】すなわち図5は、従来の複合フィラメント
から成るストッキングの編地拡大図面であり、図6は本
発明のストッキングの編地拡大図面である。同図に示す
様に、従来のストッキングは、各コース間の距離(6
a,6b,6c)が不整いになっているばかりでなく、
1つのループ内にビリ状のフィラメント絡み(7)が現
われているが、本発明ストッキングは各コース間距離
(8a,8b,8c)が比較的均一で、“フィラメント
絡み”が現われていない。
【0021】次に本ストッキングを製造する方法につい
て述べる。本方法では前記複合フィラメントを加撚して
5〜20cm/mのトルク値を有するトルクヤーンとな
す。
【0022】トルクの測定方法は、25℃×65%・R
Hの温湿度条件にて、0.1g/dの初荷重をかけなが
ら水平方向に50cmの長さで固定する。次いで、その
フィラメントの中央に0.05g/dの荷重を掛け、フ
ィラメント固定の1端を10cm/秒の速さで、もう1
方のフィラメント固定部に近づける。
【0023】かかる操作にて、中央部の荷重が回転しは
じめる(荷重部のフィラメントが2本撚になり始める)
時の両端の距離の2倍をそのトルクヤーンのトルク値
(単位cm/m)と定義する。従って、本発明ではトル
ク値の大きいフィラメント程、トルク力が強いことを意
味する。
【0024】本方法において、トルク値が5cm/m以
下では、トルク力が弱く、ストッキングの外観改良効果
は認められない。又トルク値が20cm/mを越える
と、ストッキングに編立て加工を施した際、複合フィラ
メントの自己捲縮性よりもトルク発現力が支配的とな
り、その結果、ストッキングの伸縮性が不足する欠点が
発生する。
【0025】一般に、トルク力を利用したストッキング
として、ナイロントルクヤーンを丸編にしたストッキン
グが知られているが、かかるストッキング用ナイロント
ルクヤーンのトルク値は通常25〜30cm/mで有
り、例えば5〜20cm/mのトルク値のナイロントル
クヤーンを丸編ストッキングに編立てても、伸縮性が弱
く、実用性の有るストッキングにはならない。
【0026】前記した様に本発明の自己捲縮性トルクフ
ィラメントのトルク値は、従来のトルク力のみを利用し
たナイロントルクヤーンとは異なるトルク値の複合フィ
ラメントであり、トルク力は、捲縮発現の方向のみを制
御する為のトルク力である。
【0027】複合フィラメントにトルクを付与するに
は、通常の撚糸機にて実撚を付与する方法並びに、仮撚
機を用いる方法があり、図7に仮撚法の一例を示す。同
図において、複合フィラメント(9)はフィードローラ
(10)を経て中空ヒータ(11)で加熱されたのち、
仮撚付与装置(12)で加撚され引き取りローラ(1
3)を経て巻き取られる。仮撚付与装置(12)は空気
旋回流を用いて加撚する方法が本方法では望ましい。
【0028】加撚数とトルク値とは条件によって必ずし
も比例しないが、通常200〜1800T/Mの実撚、
または1000〜3000T/Mの仮撚を付与すれば前
記トルク値が得られる。
【0029】本方法では、前記の如くトルクを付与し
て、S撚トルクヤーンとZ撚トルクヤーンの2種のトル
クヤーンを用意する。両トルクヤーンのトルク数は実質
的に同じであることが必要であり、これはトルク値の差
が5cm/m程度以下であることを意味する。
【0030】次に、本発明ではS方向トルクヤーンとZ
方向トルクヤーンを1本交互ないしは2本交互に編立て
る。このように編立てた丸編ストッキングは良好な外観
のストッキングになるが、4本交互のストッキングは、
4コース周期の横縞が観察され、望ましくない。
【0031】
【発明の効果】本発明に係わるストッキングは、ポリウ
レタン弾性体とポリカプラミドが偏心的に接合した自己
捲縮性複合フィラメントによる優れた伸縮性と透明性を
有するばかりでなく、丸編のコースが整った外観の良い
ストッキングである。
【0032】また本発明方法は、前記ストッキングを効
率的に製造可能なものであって、その有用性は明らかで
ある。
【0033】
【実施例】
実施例1 ポリカーボネート系ポリウレタン弾性体とポリカプラミ
ドを溶融紡糸して中心部分がポリウレタン、外側部がポ
リカプラミドから成る図3の複合フィラメントを捲取
り、3.6倍に延伸して17デニール2フィラメントの
自己捲縮性複合フィラメントAを得た。
【0034】次いで、2つのローラー間に50cmの中
空ヒーターと空気セン回流仮撚装置を設置した図7の仮
撚装置を用い、2つのローラー間の速度比(フィードロ
ーラー(V1 )速度/引き取りローラー(V2 )速度)
並びにヒーター温度、空気旋回流仮撚装置の空気圧力を
表1の様に変更して、各種のS並びにZ方向の自己捲縮
性トルクヤーンB,C,…G,Hを得た。
【0035】
【表1】
【0036】次いで、上記A〜Hのフィラメントを4口
の丸編機を用い、S方向トルクヤーンとZ方向トルクヤ
ーンを1本交互にレッグ部に編立て、常法に従って染色
加工、ファイナルセットをして9種類のストッキング
A,B〜G,H(原糸番号に対応)を得た。
【0037】本発明外のA原糸並びにB原糸から得られ
たストッキングのレッグトップ部は編地のコースは不明
瞭で“フィラメント絡み”が多発して、編地外観は不良
であった。
【0038】一方、本発明のC,D,E,F,G原糸か
ら得られたストッキングは、いずれの部分も、コースが
明瞭に見え“フィラメント絡み”は観察されず、外観の
良いストッキングであった。
【0039】又本発明外のH原糸からのストッキングの
外観は良好であったが、捲縮発現状態が不良で、伸縮性
の悪いストッキングであった。上記した様に本発明方法
のストッキングはいずれも外観並びに伸縮性は良好であ
ったが、本発明外ストッキングはいずれも外観不良ある
いは伸縮性不良であった。
【0040】又原糸番号Eを用い8口の丸編機を用いS
方向トルクヤーンとZ方向トルクヤーンを2本交互
(S,S,Z,Z)並びに4本交互(SSSSZZZ
Z)に編立て、常法に従って染色加工、ファイナルセッ
トして2種類のストッキングを得た。
【0041】かかるストッキングの外観、伸縮性等を評
価した結果、2本交互のストッキングの外観は編地コー
ス並びに“フィラメント絡み”もなく、良好であった
が、4本交互のストッキング外観は、コース数にして4
コース毎の周期的段が観察され、外観の良くないストッ
キングであった。
【0042】実施例2 実施例1と同方法で、溶融紡糸並びに延伸して17デニ
ール1フィラメント(17d/1f)、17デニール3
フィラメント(17d/3f)、17デニール4フィラ
メント(17d/4f)、並びに17デニール5フィラ
メント(17d/5f)の自己捲縮性複合フィラメント
を得た。次いで、実施例1の仮撚装置を用い原糸番号E
と同条件で加工して18d/1f,18d/3f,17
d/4f,17d/5fのトルクヤーンを得た。それぞ
れのトルクヤーンのトルク値は16cm/m,12cm
/m,10cm/m,9cm/mであった。
【0043】更に、それぞれの原糸をS方向トルクヤー
ンとZ方向トルクヤーンを交互に丸編ストッキングに編
立て、常法に従って染色加工、ファイナルセットして4
種類のストッキングを得た。
【0044】いずれのストッキングも、編地コースは明
瞭で、構成フィラメントによる“フィラメント絡み”は
見られず、伸縮性も良好であった。しかしながら、18
d/1f,18d/2fからなるストッキングは透明性
も良好であったが、18d/4f並びに18d/5fか
らなるストッキングの外観はウーリーナイロンに類似し
た外観を示し透明性は劣るストッキングであった。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリウレタン弾性体とポリカプラミド
が偏心的に接合した自己捲縮性複合フィラメントの横断
面の例を示す図面である。
【図2】本発明のポリウレタン弾性体とポリカプラミド
が偏心的に接合した自己捲縮性複合フィラメントの横断
面の例を示す図面である。
【図3】本発明のポリウレタン弾性体とポリカプラミド
が偏心的に接合した自己捲縮性複合フィラメントの横断
面の例を示す図面である。
【図4】ストッキングの各部名称を示す略図である。
【図5】従来の丸編ストッキングの編面拡大図面であ
る。
【図6】本発明の丸編ストッキングの編面拡大図面であ
る。
【図7】本方法で用いるトルクヤーン製造の為の仮撚装
置の1例を示す略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D04B 1/20 D04B 1/20 1/26 1/26 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A41B 11/00 D01F 8/12 D01F 8/16 D02G 1/02 D02G 3/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリウレタン弾性体及びポリカプラミドを
    偏心的に接合せしめ、繊維横断面における両成分の占有
    面積比率が7:3〜3:7である複合フィラメントの、
    S撚仮撚トルクヤーン及びZ撚仮撚トルクヤーンが1乃
    至2本交互に編み立てられたストッキング。
  2. 【請求項2】ポリウレタン弾性体及びポリカプラミドを
    偏心的に接合せしめた複合フィラメントを仮撚加工して
    5〜20cm/mの実質的に同じトルク値を有するS撚
    トルクヤーン及びZ撚トルクヤーンとなし、該S撚トル
    クヤーン及びZ撚トルクヤーンを1乃至2本交互に編み
    立てることを特徴とするストッキングの製造方法。
JP18520091A 1991-06-28 1991-06-28 ストッキング及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3154281B2 (ja)

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CN110079929A (zh) * 2019-05-06 2019-08-02 韩松 绒毛类单股纱线针织编织方法

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