JP3152783B2 - チタン化合物ウイスカーおよびその製造方法並びに複合材料 - Google Patents
チタン化合物ウイスカーおよびその製造方法並びに複合材料Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン化合物ウイスカ
ーおよびその製造方法、並びに耐摩耗性,靱性に優れた
チタン化合物ウイスカーをセラミックス,サーメット,
超硬合金からなるマトリックス中に含有する複合材料に
関するものである。
ーおよびその製造方法、並びに耐摩耗性,靱性に優れた
チタン化合物ウイスカーをセラミックス,サーメット,
超硬合金からなるマトリックス中に含有する複合材料に
関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、セラミックス,サーメット,または
超硬合金の耐摩耗性と靱性を向上させるため種々の改善
が行われている。その1つの例に、炭化珪素(SiC)
ウイスカーに代表される繊維状物質を配合することによ
り靱性を改善することが特開昭61−286271号公
報や特開昭62−41776号公報等にて提案されてい
る。
超硬合金の耐摩耗性と靱性を向上させるため種々の改善
が行われている。その1つの例に、炭化珪素(SiC)
ウイスカーに代表される繊維状物質を配合することによ
り靱性を改善することが特開昭61−286271号公
報や特開昭62−41776号公報等にて提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、Si
Cは鉄、特に酸化鉄と容易に反応しやすい性質を有する
ために、SiCウイスカーを含有する工具では急激に摩
耗が進展し切削が不可能となる問題がある。
Cは鉄、特に酸化鉄と容易に反応しやすい性質を有する
ために、SiCウイスカーを含有する工具では急激に摩
耗が進展し切削が不可能となる問題がある。
【0004】ところが、最近に至りこのような被削材と
の反応性を防止することを目的として、SiCウイスカ
ーに代わり、SiCよりも鉄との反応性が低い炭化チタ
ン(TiC)の繊維状物質(ウイスカー)を添加するこ
とが提案されている(特開平2−116673号公報、
特開平2−71905号公報)。しかし、抗折強度,靱
性,硬度等の特性の点から未だ十分に検討されておら
ず、実用的なレベルに達していない。これはサーメット
や超硬合金等焼結体についても同様であった。
の反応性を防止することを目的として、SiCウイスカ
ーに代わり、SiCよりも鉄との反応性が低い炭化チタ
ン(TiC)の繊維状物質(ウイスカー)を添加するこ
とが提案されている(特開平2−116673号公報、
特開平2−71905号公報)。しかし、抗折強度,靱
性,硬度等の特性の点から未だ十分に検討されておら
ず、実用的なレベルに達していない。これはサーメット
や超硬合金等焼結体についても同様であった。
【0005】一方、切削工具材料や耐摩耗材料の用途は
近年ますます広がりを見せており、従来以上に高硬度,
高靱性の双方が要求される場合が多くなっているが、こ
れらの用途に対しては従来のTiCウイスカーを添加し
た複合材料では性能上問題があった。また適当な材料が
存在しないことが各種機械の開発を制約していた。
近年ますます広がりを見せており、従来以上に高硬度,
高靱性の双方が要求される場合が多くなっているが、こ
れらの用途に対しては従来のTiCウイスカーを添加し
た複合材料では性能上問題があった。また適当な材料が
存在しないことが各種機械の開発を制約していた。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記問題
点に対して詳細に検討を重ねた結果、チタン化合物ウイ
スカー自体が高温で硬度や強度が低下して変形し、これ
により、焼結体の抗折強度,靱性,硬度等の種々の特性
を低下させていることを見出した。そこでこのようなチ
タン化合物ウイスカー自体の特性を向上させる方法を鋭
意検討した結果、チタン化合物ウイスカーに対して特定
の元素を固溶させることにより変形が防止され、複合材
料の破壊靱性をはじめとする機械的特性を向上できるこ
とを知見した。
点に対して詳細に検討を重ねた結果、チタン化合物ウイ
スカー自体が高温で硬度や強度が低下して変形し、これ
により、焼結体の抗折強度,靱性,硬度等の種々の特性
を低下させていることを見出した。そこでこのようなチ
タン化合物ウイスカー自体の特性を向上させる方法を鋭
意検討した結果、チタン化合物ウイスカーに対して特定
の元素を固溶させることにより変形が防止され、複合材
料の破壊靱性をはじめとする機械的特性を向上できるこ
とを知見した。
【0007】本発明のチタン化合物ウイスカーは、Ti
(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<
1、0<y<1、0<z≦0.1)で表されるチタン化
合物ウイスカーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,
6a族元素およびホウ素のうち少なくとも1種が固溶し
ていることを特徴とする。
(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<
1、0<y<1、0<z≦0.1)で表されるチタン化
合物ウイスカーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,
6a族元素およびホウ素のうち少なくとも1種が固溶し
ていることを特徴とする。
【0008】このようなチタン化合物ウイスカーは、例
えば、Ti(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ
0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1)で表される
チタン化合物ウイスカーに対して、Tiを除く周期律表
第4a,5a,6a族元素およびホウ素のうち少なくと
も1種を加熱により拡散させることにより製造される。
えば、Ti(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ
0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1)で表される
チタン化合物ウイスカーに対して、Tiを除く周期律表
第4a,5a,6a族元素およびホウ素のうち少なくと
も1種を加熱により拡散させることにより製造される。
【0009】また、本発明の複合材料は、Ti(Cx ,
Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<1、0<y
<1、0<z≦0.1)で表されるチタン化合物ウイス
カーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素
およびホウ素のうち少なくとも1種が固溶したチタン化
合物ウイスカーを、セラミックス,サーメット,超硬合
金から選ばれるマトリックス中に含有してなるものであ
る。
Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<1、0<y
<1、0<z≦0.1)で表されるチタン化合物ウイス
カーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素
およびホウ素のうち少なくとも1種が固溶したチタン化
合物ウイスカーを、セラミックス,サーメット,超硬合
金から選ばれるマトリックス中に含有してなるものであ
る。
【0010】チタン化合物ウイスカーは、Ti(Cx ,
Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<1、0<y
<1、0<z≧0.1)で表わすことができ、xおよび
yはこの範囲で任意の値を取ることができるが、耐摩耗
性を重視するならば、xは0.7以上であるほうが望ま
しい。zは0〜0.1であって0.1を越えると焼結体
の硬度と強度が低下して耐摩耗性に劣る材料となる。
Ny ,Oz )(x+y+z=1かつ0<x<1、0<y
<1、0<z≧0.1)で表わすことができ、xおよび
yはこの範囲で任意の値を取ることができるが、耐摩耗
性を重視するならば、xは0.7以上であるほうが望ま
しい。zは0〜0.1であって0.1を越えると焼結体
の硬度と強度が低下して耐摩耗性に劣る材料となる。
【0011】また、チタン化合物ウイスカーは、炭化チ
タン(TiC),窒化チタン(TiN),炭窒化チタン
(TiCN)から選ばれる一種よりなる単体であっても
良いが、例えば、TiCウイスカーにはNやOが不可避
不純物として混入されるように、本発明のチタン化合物
ウイスカーには、微量のC,N,Oが不可避不純物とし
て混入されてくる。さらに、炭化チタン(TiC),窒
化チタン(TiN),炭窒化チタン(TiCN)のうち
少なくとも二種以上からなる固溶体であっても良い。固
溶体としては、例えば、TiCウイスカーとTiNウイ
スカーの組合せや、TiNウイスカーとTiCNウイス
カーの組合せ等がある。
タン(TiC),窒化チタン(TiN),炭窒化チタン
(TiCN)から選ばれる一種よりなる単体であっても
良いが、例えば、TiCウイスカーにはNやOが不可避
不純物として混入されるように、本発明のチタン化合物
ウイスカーには、微量のC,N,Oが不可避不純物とし
て混入されてくる。さらに、炭化チタン(TiC),窒
化チタン(TiN),炭窒化チタン(TiCN)のうち
少なくとも二種以上からなる固溶体であっても良い。固
溶体としては、例えば、TiCウイスカーとTiNウイ
スカーの組合せや、TiNウイスカーとTiCNウイス
カーの組合せ等がある。
【0012】チタン化合物ウイスカーの直径は10μm
以下が好ましい。10μmを越えるとウイスカー自体が
破壊の原因となるため抗折強度が低下する傾向にあるか
らである。直径は3μm以下が望ましく最適には2μm
以下のものが用いられる。粒子は単結晶もしくは多結晶
の針状粒子で、最適には単結晶が用いられるが、一つの
針状粒子が100個程度以下の多結晶からなっていても
よい。Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素お
よびホウ素の固溶量は0.1モル%以上であれば効果が
認められ、2〜8モル%のものが良好に用いられる。固
溶量の上限は実用上20モル%である。Tiを除く周期
律表第4a,5a,6a族元素としては、Zr,Hf,
V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wがある。
以下が好ましい。10μmを越えるとウイスカー自体が
破壊の原因となるため抗折強度が低下する傾向にあるか
らである。直径は3μm以下が望ましく最適には2μm
以下のものが用いられる。粒子は単結晶もしくは多結晶
の針状粒子で、最適には単結晶が用いられるが、一つの
針状粒子が100個程度以下の多結晶からなっていても
よい。Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素お
よびホウ素の固溶量は0.1モル%以上であれば効果が
認められ、2〜8モル%のものが良好に用いられる。固
溶量の上限は実用上20モル%である。Tiを除く周期
律表第4a,5a,6a族元素としては、Zr,Hf,
V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wがある。
【0013】本発明によれば、前記チタン化合物ウイス
カーをセラミックス,サーメット,超硬合金などのマト
リックスに分散含有させることにより、複合材料として
の特性を改善することができる。この時、配合される針
状のチタン化合物ウイスカーはそれ自体、単結晶あるい
は多結晶質からなるもので、その平均径が10μm 以
下、特に0.5〜3.0μm が好ましく、また長径/短
径で表させるアスペクト比の平均が2〜100、特に1
0〜50のものが用いられる。平均径が10μm以下で
は靱性改善の効果が大きく、高い抗折強度を維持できる
のに対し、平均径が10μm より大きいと焼成時の粒成
長をコントロールすることが難しくなり、強度,靱性と
も低下し易い。一方、アスペクト比の平均が2より小さ
いと靱性改善の効果が少なく、100より大きいと原料
の取扱が難しく、均一に分散できないため密度が低下す
る傾向にある。
カーをセラミックス,サーメット,超硬合金などのマト
リックスに分散含有させることにより、複合材料として
の特性を改善することができる。この時、配合される針
状のチタン化合物ウイスカーはそれ自体、単結晶あるい
は多結晶質からなるもので、その平均径が10μm 以
下、特に0.5〜3.0μm が好ましく、また長径/短
径で表させるアスペクト比の平均が2〜100、特に1
0〜50のものが用いられる。平均径が10μm以下で
は靱性改善の効果が大きく、高い抗折強度を維持できる
のに対し、平均径が10μm より大きいと焼成時の粒成
長をコントロールすることが難しくなり、強度,靱性と
も低下し易い。一方、アスペクト比の平均が2より小さ
いと靱性改善の効果が少なく、100より大きいと原料
の取扱が難しく、均一に分散できないため密度が低下す
る傾向にある。
【0014】また、上記複合材料では、長さ100μm
以下であり、かつアスペクト比が2以上のウイスカーが
チタン化合物ウイスカーの全量中20体積%以上である
ことが望ましい。また、チタン化合物ウイスカーは全体
としては3体積%以上含有することが望ましい。
以下であり、かつアスペクト比が2以上のウイスカーが
チタン化合物ウイスカーの全量中20体積%以上である
ことが望ましい。また、チタン化合物ウイスカーは全体
としては3体積%以上含有することが望ましい。
【0015】マトリックスとしては、具体的には、Al
2 O3 ,SiC,Si3 N4 ,WC基超硬合金,TiC
基サーメット,TiCN基サーメット等がある。
2 O3 ,SiC,Si3 N4 ,WC基超硬合金,TiC
基サーメット,TiCN基サーメット等がある。
【0016】本発明のチタン化合物ウイスカーはCVD
や固相反応法で作製できる。CVD法ではTiの原料ガ
スとともにTiを除く周期律表第4a,5a,6a族元
素およびホウ素のうち少なくとも一種の原料ガスを導入
すればよい。固相反応法では同様にウイスカーに固溶す
る元素を含有する原料を添加しておけばよい。あるいは
公知の方法で作製したTiC,TiN,TiCNのウイ
スカーにTiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素
およびホウ素の溶液を付着させ乾燥するか、または、ウ
イスカーに固溶する元素を含む原料の微粉末を混合し不
活性雰囲気中で700℃以上の温度を加えて、熱処理す
ればよい。
や固相反応法で作製できる。CVD法ではTiの原料ガ
スとともにTiを除く周期律表第4a,5a,6a族元
素およびホウ素のうち少なくとも一種の原料ガスを導入
すればよい。固相反応法では同様にウイスカーに固溶す
る元素を含有する原料を添加しておけばよい。あるいは
公知の方法で作製したTiC,TiN,TiCNのウイ
スカーにTiを除く周期律表第4a,5a,6a族元素
およびホウ素の溶液を付着させ乾燥するか、または、ウ
イスカーに固溶する元素を含む原料の微粉末を混合し不
活性雰囲気中で700℃以上の温度を加えて、熱処理す
ればよい。
【0017】また、本発明のセラミックスをマトリック
スとする複合材料を製造するには、まずチタン化合物ウ
イスカー、およびAl2 O3 ,SiC,Si3 N4 等の
マトリックス粉末に、必要に応じて焼結助剤を添加し、
粉砕後に所望の成形手段、金型プレス,押し出し成形,
射出成形,冷間静水圧成形等によって成形後、焼成す
る。
スとする複合材料を製造するには、まずチタン化合物ウ
イスカー、およびAl2 O3 ,SiC,Si3 N4 等の
マトリックス粉末に、必要に応じて焼結助剤を添加し、
粉砕後に所望の成形手段、金型プレス,押し出し成形,
射出成形,冷間静水圧成形等によって成形後、焼成す
る。
【0018】焼成は周知の方法で行われるが、例えば、
真空焼成,普通焼成,ホットプレス法,熱間静水圧焼成
法等が適用され、1500℃〜2000℃の温度で真
空、ArやHe等の不活性ガスもしくはカーボン等の存
在する還元性雰囲気およびそれらの加圧もしくは減圧雰
囲気中で0.5〜6時間行う。特に高密度の焼結体を得
るためには、普通焼成あるいはホットプレス法によって
対理論密度比96%以上の焼結体を作成し、この焼結体
をさらに熱間静水圧焼成すればよい。
真空焼成,普通焼成,ホットプレス法,熱間静水圧焼成
法等が適用され、1500℃〜2000℃の温度で真
空、ArやHe等の不活性ガスもしくはカーボン等の存
在する還元性雰囲気およびそれらの加圧もしくは減圧雰
囲気中で0.5〜6時間行う。特に高密度の焼結体を得
るためには、普通焼成あるいはホットプレス法によって
対理論密度比96%以上の焼結体を作成し、この焼結体
をさらに熱間静水圧焼成すればよい。
【0019】本発明のサーメットまたは超硬合金をマト
リックスとする複合材料を製作するには、例えば、チタ
ン化合物ウイスカー、およびTi,W,Nb,Taの炭
化物,窒化物等の粉末、鉄族金属粉末を混合した後にプ
レス成形,押し出し成形,射出成形、冷間静水圧プレス
成形等の成形手段で成形後、焼成する。
リックスとする複合材料を製作するには、例えば、チタ
ン化合物ウイスカー、およびTi,W,Nb,Taの炭
化物,窒化物等の粉末、鉄族金属粉末を混合した後にプ
レス成形,押し出し成形,射出成形、冷間静水圧プレス
成形等の成形手段で成形後、焼成する。
【0020】焼成は、周知の方法で行われるが、例え
ば、真空焼成,普通焼成法,ホットプレス法および熱間
静水圧焼成法等が適用される。焼成は、例えば、135
0乃至1950℃の温度で真空、Ar、He等の不活性
ガスもしくはカーボン等の存在する還元性雰囲気および
それらの加圧もしくは減圧雰囲気で0.5乃至6.0時
間行えばよく、特に高密度の焼結体を得るためには、普
通焼成,ホットプレス法によって相対密度96%以上の
焼結体を作成し、さらに500気圧以上の高圧力下で熱
間静水圧焼成すればよい。
ば、真空焼成,普通焼成法,ホットプレス法および熱間
静水圧焼成法等が適用される。焼成は、例えば、135
0乃至1950℃の温度で真空、Ar、He等の不活性
ガスもしくはカーボン等の存在する還元性雰囲気および
それらの加圧もしくは減圧雰囲気で0.5乃至6.0時
間行えばよく、特に高密度の焼結体を得るためには、普
通焼成,ホットプレス法によって相対密度96%以上の
焼結体を作成し、さらに500気圧以上の高圧力下で熱
間静水圧焼成すればよい。
【0021】上記方法において、出発原料としてTiを
除く周期律表第4a,5a,6a族元素およびホウ素の
少なくとも一種が固溶したチタン化合物ウイスカーを用
いても良いが、原料の調合時にウイスカーに固溶させよ
うとする元素を含有する原料を添加し、焼成過程で固溶
させても良い。加えられる粉末はTiを除く周期律表第
4a,5a,6a族元素およびホウ素の炭化物、窒化物
もしくは炭窒化物の1種以上を選択できる。添加した元
素はそれぞれチタン化合物ウイスカーに固溶しウイスカ
ーを強化する。これらの固溶が焼結中に行われることに
より工程を簡略にし、かつ焼結体の特性を向上させる。
チタン化合物ウイスカー中に元素を効率よく拡散させて
固溶させるためには、焼成過程で1200〜1400℃
の温度で30分以上保持すれば良い。上記の場合、焼結
体はチタン化合物ウイスカーと、添加した元素のうちチ
タン化合物ウイスカーに固溶しきれなかった余剰の粒子
と、金属相からなるものが得られる。
除く周期律表第4a,5a,6a族元素およびホウ素の
少なくとも一種が固溶したチタン化合物ウイスカーを用
いても良いが、原料の調合時にウイスカーに固溶させよ
うとする元素を含有する原料を添加し、焼成過程で固溶
させても良い。加えられる粉末はTiを除く周期律表第
4a,5a,6a族元素およびホウ素の炭化物、窒化物
もしくは炭窒化物の1種以上を選択できる。添加した元
素はそれぞれチタン化合物ウイスカーに固溶しウイスカ
ーを強化する。これらの固溶が焼結中に行われることに
より工程を簡略にし、かつ焼結体の特性を向上させる。
チタン化合物ウイスカー中に元素を効率よく拡散させて
固溶させるためには、焼成過程で1200〜1400℃
の温度で30分以上保持すれば良い。上記の場合、焼結
体はチタン化合物ウイスカーと、添加した元素のうちチ
タン化合物ウイスカーに固溶しきれなかった余剰の粒子
と、金属相からなるものが得られる。
【0022】なお、焼成においてはホットプレス法およ
び熱間静水圧焼成法など、外部から圧力を加える方法は
焼結コストが大きくなり製造上不利な場合が多いため、
真空焼成が好ましい。このような場合には、特に配合さ
れるチタン化合物ウイスカーの平均長さを25μm 以
下、特に5〜15μm が好ましく、また長径/短径で表
させるアスペクト比の平均が2〜30、特に3〜20の
ものが用いられる。平均長さが25μmを越えると焼結
体に気孔など欠陥が発生しやすくなる。一方、アスペク
ト比の平均が2より小さいと靱性改善の効果が少なく、
30より大きいと原料の取扱が難しく、焼結体の密度が
低下する傾向にあるからである。
び熱間静水圧焼成法など、外部から圧力を加える方法は
焼結コストが大きくなり製造上不利な場合が多いため、
真空焼成が好ましい。このような場合には、特に配合さ
れるチタン化合物ウイスカーの平均長さを25μm 以
下、特に5〜15μm が好ましく、また長径/短径で表
させるアスペクト比の平均が2〜30、特に3〜20の
ものが用いられる。平均長さが25μmを越えると焼結
体に気孔など欠陥が発生しやすくなる。一方、アスペク
ト比の平均が2より小さいと靱性改善の効果が少なく、
30より大きいと原料の取扱が難しく、焼結体の密度が
低下する傾向にあるからである。
【0023】
【作用】本発明のチタン化合物ウイスカーでは、チタン
化合物ウイスカーにTiを除く周期律表第4a,5a,
6a族元素およびホウ素のうち少なくとも1種を固溶さ
せることにより、高温での強度や硬度が低下することな
く、また、高温での変形が抑制される。
化合物ウイスカーにTiを除く周期律表第4a,5a,
6a族元素およびホウ素のうち少なくとも1種を固溶さ
せることにより、高温での強度や硬度が低下することな
く、また、高温での変形が抑制される。
【0024】そして、本発明の複合材料では、上記のよ
うにチタン化合物ウイスカーの高温での変形が抑制され
るため、複合材料における強度や硬度,靱性等の特性を
向上することが可能となる。
うにチタン化合物ウイスカーの高温での変形が抑制され
るため、複合材料における強度や硬度,靱性等の特性を
向上することが可能となる。
【0025】
実施例1 公知の方法で作製したTiC,TiN,TiCNのウイ
スカーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元
素およびホウ素の少なくとも一種を含む原料の微粉末を
混合し、不活性雰囲気中で700℃の温度を加えて熱処
理し、表1に示すような組成のチタン化合物ウイスカー
を得た。
スカーに、Tiを除く周期律表第4a,5a,6a族元
素およびホウ素の少なくとも一種を含む原料の微粉末を
混合し、不活性雰囲気中で700℃の温度を加えて熱処
理し、表1に示すような組成のチタン化合物ウイスカー
を得た。
【0026】
【表1】
【0027】そして、これらのチタン化合物ウイスカー
における固溶元素の固溶量を発光分光分析装置により測
定し、チタン化合物ウイスカーを1500℃まで加熱
し、高温で変形するか否かを調べた。
における固溶元素の固溶量を発光分光分析装置により測
定し、チタン化合物ウイスカーを1500℃まで加熱
し、高温で変形するか否かを調べた。
【0028】表1によれば、Tiを除く周期律表第4
a,5a,6a族元素およびホウ素の少なくとも一種が
固溶したチタン化合物ウイスカーでは、高温での変形は
小さいものであったが、上記の元素が固溶していないチ
タン化合物ウイスカーでは、高温での変形が大きかっ
た。
a,5a,6a族元素およびホウ素の少なくとも一種が
固溶したチタン化合物ウイスカーでは、高温での変形は
小さいものであったが、上記の元素が固溶していないチ
タン化合物ウイスカーでは、高温での変形が大きかっ
た。
【0029】実施例2 上記実施例と同様にして作成したチタン化合物ウイスカ
ーおよびTiC,TiCN,WC,NbC,Ni,Co
等の各粉末を用いて最終焼結体の組成が表2の割合に成
るように秤量混合した後、1.5ton/cm2 の圧力
でTNGA160 408用のチップ形状にプレス成形し、1500℃の温
度で真空雰囲気において1時間焼成し、サーメットを作
成した。
ーおよびTiC,TiCN,WC,NbC,Ni,Co
等の各粉末を用いて最終焼結体の組成が表2の割合に成
るように秤量混合した後、1.5ton/cm2 の圧力
でTNGA160 408用のチップ形状にプレス成形し、1500℃の温
度で真空雰囲気において1時間焼成し、サーメットを作
成した。
【0030】
【表2】
【0031】得られた各焼結体に対してJISR160
1に従い3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びにビッ
カース硬度用ダイヤモンド圧子を用いて荷重20Kgで
圧痕法により破壊靱性を測定した。結果を表3に示す。
尚、鉄族金属および不純物を除いた焼結体中の硬質相組
成比(ウイスカーは除く)と体積比でWC10,NbC
10,TiCN80であった。
1に従い3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びにビッ
カース硬度用ダイヤモンド圧子を用いて荷重20Kgで
圧痕法により破壊靱性を測定した。結果を表3に示す。
尚、鉄族金属および不純物を除いた焼結体中の硬質相組
成比(ウイスカーは除く)と体積比でWC10,NbC
10,TiCN80であった。
【0032】
【表3】
【0033】表3によれば、Tiを除く周期律表第4
a,5a,6a族元素およびホウ素の少なくとも一種が
固溶したチタン化合物ウイスカーを使用した試料では、
上記した元素が固溶していない場合と比較して、強度,
硬度および靱性が向上していることがわかる。
a,5a,6a族元素およびホウ素の少なくとも一種が
固溶したチタン化合物ウイスカーを使用した試料では、
上記した元素が固溶していない場合と比較して、強度,
硬度および靱性が向上していることがわかる。
【0034】実施例3 Ti(C0.98N0.01O0.01)で表され、かつZrが5モル%固
溶したチタン化合物ウイスカー15体積%、WC粉末6
1.75体積%、TaC粉末3.25体積%、Co粉末
20体積%を混合した後、1.5ton/cm2 の圧力
でTNGA160 408用のチップ形状にプレス成形し、1500℃の温
度で真空雰囲気において1時間焼成し、超硬合金を作成
した。
溶したチタン化合物ウイスカー15体積%、WC粉末6
1.75体積%、TaC粉末3.25体積%、Co粉末
20体積%を混合した後、1.5ton/cm2 の圧力
でTNGA160 408用のチップ形状にプレス成形し、1500℃の温
度で真空雰囲気において1時間焼成し、超硬合金を作成
した。
【0035】得られた各焼結体に対して上記実施例1と
同様に3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びに破壊靱
性を測定した結果、強度が250kg/mm2 、硬度が
1500kg/mm2 、靱性が18 MPa・m1/2であり、
優れた特性を示した。尚、ウイスカーに所定元素を固溶
しない以外は上記と同様の組成の焼結体では、強度が2
00kg/mm2 、硬度が1500kg/mm2 、靱性
が15 MPa・m1/2であり、本発明の方がより優れている
ことが判る。
同様に3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びに破壊靱
性を測定した結果、強度が250kg/mm2 、硬度が
1500kg/mm2 、靱性が18 MPa・m1/2であり、
優れた特性を示した。尚、ウイスカーに所定元素を固溶
しない以外は上記と同様の組成の焼結体では、強度が2
00kg/mm2 、硬度が1500kg/mm2 、靱性
が15 MPa・m1/2であり、本発明の方がより優れている
ことが判る。
【0036】実施例4 Ti(C0.98N0.01O0.01)で表され、かつZrが5モル%固
溶したチタン化合物ウイスカー30体積%、Al2 O3
粉末70体積%を混合した後、1.5ton/c m2 の圧力でTNGA160408用のチップ形状に成
形し、1800℃の温度で真空雰囲気において1時間焼
成し、アルミナ質セラミックスを作成した。
溶したチタン化合物ウイスカー30体積%、Al2 O3
粉末70体積%を混合した後、1.5ton/c m2 の圧力でTNGA160408用のチップ形状に成
形し、1800℃の温度で真空雰囲気において1時間焼
成し、アルミナ質セラミックスを作成した。
【0037】得られた各焼結体に対して実施例1と同様
に3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びに破壊靱性を
測定した結果、強度が90kg/mm2 、硬度が190
0kg/mm2 、靱性が7 MPa・m1/2であり、優れた特
性を示した。尚、ウイスカーに所定元素を固溶しない以
外は上記と同様の組成の焼結体では、強度が80kg/
mm2 、硬度が1900kg/mm2 、靱性が4.5 M
Pa・m1/2であり、本発明の方がより優れていることが判
る。
に3点曲げ抗折強度、ビッカース硬度並びに破壊靱性を
測定した結果、強度が90kg/mm2 、硬度が190
0kg/mm2 、靱性が7 MPa・m1/2であり、優れた特
性を示した。尚、ウイスカーに所定元素を固溶しない以
外は上記と同様の組成の焼結体では、強度が80kg/
mm2 、硬度が1900kg/mm2 、靱性が4.5 M
Pa・m1/2であり、本発明の方がより優れていることが判
る。
【0038】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のチタン化合
物ウイスカーでは、高温での変形を抑制することができ
るとともに、このようなチタン化合物ウイスカーを複合
材料に使用することにより、抗折強度,硬度,靱性を向
上することができる。これにより、例えば、工具として
用いた場合に、適用可能な切削条件を拡大するとともに
工具の長寿命化を図ることができる。
物ウイスカーでは、高温での変形を抑制することができ
るとともに、このようなチタン化合物ウイスカーを複合
材料に使用することにより、抗折強度,硬度,靱性を向
上することができる。これにより、例えば、工具として
用いた場合に、適用可能な切削条件を拡大するとともに
工具の長寿命化を図ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】Ti(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=
1かつ0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1)で表
されるチタン化合物ウイスカーに、Tiを除く周期律表
第4a,5a,6a族元素およびホウ素のうち少なくと
も1種が固溶していることを特徴とするチタン化合物ウ
イスカー。 - 【請求項2】Ti(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=
1かつ0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1)で表
されるチタン化合物ウイスカーに対して、Tiを除く周
期律表第4a,5a,6a族元素およびホウ素のうち少
なくとも1種を加熱により拡散させることを特徴とする
チタン化合物ウイスカーの製造方法。 - 【請求項3】Ti(Cx ,Ny ,Oz )(x+y+z=
1かつ0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1)で表
されるチタン化合物ウイスカーに、Tiを除く周期律表
第4a,5a,6a族元素およびホウ素のうち少なくと
も1種が固溶したチタン化合物ウイスカーを、セラミッ
クス,サーメット,超硬合金から選ばれるマトリックス
中に含有していることを特徴とする複合材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03869293A JP3152783B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | チタン化合物ウイスカーおよびその製造方法並びに複合材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03869293A JP3152783B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | チタン化合物ウイスカーおよびその製造方法並びに複合材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06256097A JPH06256097A (ja) | 1994-09-13 |
JP3152783B2 true JP3152783B2 (ja) | 2001-04-03 |
Family
ID=12532359
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03869293A Expired - Fee Related JP3152783B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | チタン化合物ウイスカーおよびその製造方法並びに複合材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3152783B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1953254B1 (en) * | 2005-10-27 | 2012-12-26 | Kabushiki Kaisha Toshiba | X-ray tube rotating anode target and x-ray tube |
CN115595653B (zh) * | 2022-10-27 | 2024-02-02 | 哈尔滨工业大学 | 一种一硼化钛晶须及其制备方法 |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP03869293A patent/JP3152783B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06256097A (ja) | 1994-09-13 |
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