JPH07172919A

JPH07172919A - チタン化合物焼結体

Info

Publication number: JPH07172919A
Application number: JP5321891A
Authority: JP
Inventors: Kenji Noda; 謙二野田; Kenya Narita; 謙也成田; Katsura Hayashi; 桂林
Original assignee: Kyocera Corp
Current assignee: Kyocera Corp
Priority date: 1993-12-21
Filing date: 1993-12-21
Publication date: 1995-07-11

Abstract

(57)【要約】【目的】靱性および硬度を著しく向上することができ、
各種の切削工具やその他耐摩耗性部品や装飾品に適した
チタン化合物焼結体を提供する。【構成】チタンの炭化物，窒化物，硼化物及び炭窒化物
からなるチタン化合物のうち少なくとも一種を５〜９０
体積％と、立方晶窒化硼素およびウルツ鉱型結晶窒化硼
素のうち少なくとも一種を５〜９５体積％とを主体とす
るチタン化合物焼結体であって、前記チタン化合物の一
部または全部がウイスカーである。焼結体中には窒化ア
ルミ，硼化チタンのうち少なくとも一種を０．１体積％
以上含有することが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、窒化硼素を含有するチ
タン化合物焼結体に関し、例えば、切削工具やその他耐
摩耗性部品および装飾品等に適した高硬度かつ高靱性の
チタン化合物焼結体に関する。

【０００２】

【従来技術】従来、炭化チタン（ＴｉＣ）質焼結体は、
各種の切削工具や産業機械用部品に応用されている反
面、靱性に劣るという欠点を有するために利用分野の拡
大が阻害されている。そこで従来はこれらにニッケル、
コバルト等の金属を添加して靱性を改善することが行わ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、ニッ
ケル，コバルト等の金属は硬度が低いので、それらを含
まない材料に比較して摩耗量が多くなる傾向にある。

【０００４】さらに、最近に至り、ＴｉＣ質焼結体中に
チタン化合物ウイスカーを配合することにより強靱化を
図ることも提案されているが、セラミックスの抗折強
度，靱性，硬度等の特性の点から未だ十分に検討されて
おらず、切削工具や耐摩耗性部品に適用するには、まだ
実用的なレベルに達していないのが現状であった。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記チ
タン化合物ウイスカーを含有するセラミックスについて
詳細に検討を重ねた結果、チタン化合物ウイスカーと窒
化硼素、特に立方晶窒化硼素（ｃＢＮ），ウルツ鉱型結
晶窒化硼素（ｗＢＮ）を複合化させることで硬度と靱性
を兼ね備えた優れた焼結体を作製できることを見出し
た。更に窒化アルミ，硼化チタンを複合化させることに
より、破壊靱性をはじめとする機械的特性を一段と向上
できることを知見し本発明に至った。

【０００６】即ち、本発明のチタン化合物焼結体は、チ
タンの炭化物，窒化物，硼化物及び炭窒化物からなるチ
タン化合物のうち少なくとも一種を５〜９０体積％と、
立方晶窒化硼素およびウルツ鉱型結晶窒化硼素のうち少
なくとも一種を５〜９５体積％とを主体とするチタン化
合物焼結体であって、前記チタン化合物の一部または全
部がウイスカーであるものである。また、このチタン化
合物焼結体には、窒化アルミ、硼化チタンのうち少なく
とも一種を０．１体積％以上含有することが望ましい。

【０００７】以下、本発明を詳述する。先ず、本発明の
チタン化合物焼結体によれば、チタンの炭化物，窒化
物，硼化物及び炭窒化物からなるチタン化合物のうち少
なくとも一種と、ｃＢＮあるいはｗＢＮとを複合させ、
前者を５〜９０体積％、後者を５〜９５体積％の割合で
含むものであるが、チタン化合物量を上記割合に限定し
たのは、チタン化合物が５体積％より少ない場合にはｃ
ＢＮ，ｗＢＮとチタン化合物との結合が弱く、本発明の
焼結体を切削工具として適用した場合に欠損し易くな
り、９０体積％よりも多い場合には硬度が低下し、切削
工具に適用した場合には摩耗量が大きくなるからであ
る。チタン化合物は、２５〜６０体積％含有することが
望ましい。

【０００８】ｃＢＮ，ｗＢＮの少なくとも一種の量を５
〜９５体積％としたのは、ｃＢＮ，ｗＢＮ量が５体積％
よりも少ない場合には、硬度、靱性、強度とも低下する
からであり、９５体積％よりも多い場合には靱性、強度
が低下するからである。

【０００９】即ち、ｃＢＮ，ｗＢＮは、この材料を切削
工具として用いた場合に耐摩耗性を向上させる効果があ
るが、ｃＢＮ，ｗＢＮが９５体積％よりも多いと、緻密
に焼結させることが難しく、焼結体の靱性が低下し、切
削工具として用いた場合にチッピングが生じ易いからで
ある。ｃＢＮ，ｗＢＮ添加量は３０〜８０体積％が好ま
しく、特に４５〜７０体積％含有することが望ましい。

【００１０】また、本発明によれば、前記チタン化合物
のうち一部或いは全部がチタン化合物ウイスカーとして
存在することも大きな特徴である。チタン化合物ウイス
カーは、特に全量中５〜９０体積％の割合で含有するの
が好ましい。チタン化合物ウイスカーが５体積％よりも
少ない場合にはウイスカー添加による靱性向上効果が小
さく、９０体積％よりも多い場合には系全体の焼結性が
低下するからである。

【００１１】チタン化合物ウイスカーは、総合的な面か
ら考えると全量中２５〜６０体積％含有することが特に
望ましい。尚、切削工具に適用した場合に摩耗量を低減
するには、チタン化合物ウイスカーは全量中２０〜４０
体積％含有することが望ましく、靱性を向上するには全
量中４０〜７０体積％含有することが望ましい。

【００１２】本発明において用いられるチタン化合物ウ
イスカーは、例えば、公知のＣＶＤ法によた合成される
ものであるが、これらの中でもＴｉＣウイスカーが望ま
しく、ウイスカー以外のチタン化合物としては、主とし
てＴｉＮであることが望ましい。また、本発明のチタン
化合物焼結体中には、ＴｉＣウイスカーを４０〜７０体
積％、チタン化合物であるＴｉＮを１〜１５体積％含有
することが望ましい。

【００１３】さらに、これに、炭化モリブデン，炭化ジ
ルコニウムのうち少なくとも一種を０．１〜１０体積％
含有しても良い。

【００１４】本発明で用いられるチタン化合物ウイスカ
ーは、それ自体、単結晶あるいは多結晶質からなるもの
で、その平均直径は３μｍ以下、特に０．５乃至２μｍ
であることが好ましい。平均径が３μｍ以下では、高い
抗折強度を維持できるからであり、平均径が大きくなり
過ぎると均一に分散することも難しくなり、強度，靱性
ともバラツキが生じやすく、また切削工具として用いた
際に逃げ面の境界摩耗が大きくなるためである。

【００１５】一方、ウイスカーの長径／短径で表される
アスペクト比が小さすぎると繊維強化の効果が小さく高
い靱性が得られにくく、逆に大きすぎると原料としての
取扱が難しく、均一に分散することができないために高
い靱性を得ることが難しくなる。よって、アスペクト比
の平均は３乃至１００、特に１０乃至３０のものが好適
に使用される。

【００１６】また、本発明によれば、焼結体中にＡｌ
Ｎ，ＴｉＢ₂を添加含有することが望ましい。硼化チタ
ン、窒化アルミはＴｉＣウイスカー，ＴｉＮウイスカ
ー，ＴｉＣＮウイスカー，ＴｉＢ₂ウイスカーとｃＢ
Ｎ，ｗＢＮを強固に結合させる効果があり、このため、
焼結体の靱性および硬度をさらに向上するからである。
これらのＡｌＮ，ＴｉＢ₂は、焼結中の添加元素の反応
により生成したものであっても良い。

【００１７】さらに、本発明においては、焼結体の硬度
向上および焼結性向上のため、前記チタン化合物とｃＢ
Ｎ，ｗＢＮからなる主成分に対して、周期律表第４ａ，
５ａ，６ａ，８族金属あるいはこれらの炭化物、窒化
物、炭窒化物，酸化物のうち少なくとも一種を０．１体
積％以上５体積％以下の割合で含有することもできる。

【００１８】この中でも、特に炭化モリブデン，炭化ジ
ルコニウムのうち少なくとも１種を０．１〜１５体積％
含有することが硬度及び靱性向上の点から好ましい。こ
れらはチタン化合物中に固溶していても良い。周期律表
第４ａ，５ａ，６ａ族元素の炭化物，窒化物，炭窒化物
の添加量は、特に２〜２０体積％であることが望まし
い。

【００１９】チタン，アルミニウム，ニッケル，コバル
ト及びそれらの酸化物，炭化物、硼化物のうち少なくと
も一種を０．１体積％以上含有させても良い。これは、
チタン，アルミニウム，ニッケル，コバルト及びそれら
の酸化物，炭化物、硼化物はＴｉＣウイスカーとｃＢ
Ｎ，ｗＢＮを強固に結合させる効果があるからである。

【００２０】チタン、アルミニウム、ニッケル、コバル
トおよびこれらの化合物の添加量は、特に０．５〜２体
積％であることが望ましい。

【００２１】尚、本発明のチタン化合物焼結体を切削工
具として用いる場合には、チタン化合物焼結体の表面
に、厚さ０．１〜１５μｍの単層または２層以上の周期
律表第４ａ族元素およびＡｌの炭化物，窒化物，炭窒化
物，酸化物の少なくとも一種からなる表面被覆層を形成
しても良い。

【００２２】本発明のチタン化合物焼結体は、まずＴｉ
Ｃ，ＴｉＮ，ＴｉＢ₂，ＴｉＣＮからなるチタン化合
物、同じくチタン化合物ウイスカー、ｃＢＮ，ｗＢＮ粉
末、その他所望の添加物粉末を前述した割合で混合し、
その後に所望の成形手段、例えば、金型プレス、押出成
形等によって成形後、焼成する。焼成は、成形体を超高
圧焼結用ヒーター等に組入れ、超高圧焼結を行う。焼結
は０．５ＧＰａ以上、望ましくは４〜５ＧＰａの圧力
下、１３００℃〜２０００℃の温度で０．１〜１時間行
う。焼成雰囲気は、例えば、ＡｒやＨｅ等の不活性ガス
もしくはカーボン等の存在する還元性雰囲気およびそれ
らの加圧もしくは減圧雰囲気中であることが望ましい。

【００２３】

【作用】本発明においては、チタン化合物とｃＢＮ，ｗ
ＢＮを複合化させることにより焼結体の靱性を向上する
ことができる。さらに、本発明においては、チタン化合
物ウイスカーを含有しているので、このウイスカーによ
るいわゆるアンカー効果が生じ、靱性向上を図ることが
可能となる。さらに、ｃＢＮ，ｗＢＮを含有するため、
ｃＢＮ，ｗＢＮ自体の特性である硬度を向上することが
可能となる。

【００２４】また、焼結体中にＡｌＮ，ＴｉＢ₂を添加
含有することにより、靱性および硬度をさらに向上する
ことが可能となる。

【００２５】

【実施例】先ず、出発原料として、チタン化合物粉末
と、平均粒径３μｍ以下、純度９９％以上のｃＢＮ，ｗ
ＢＮ粉末と、所望によりその他の粉末を用意し、表１，
２に示す割合で秤量後、回転ミルにて２時間混合した。
この混合粉末に平均直径（短径）２μｍ、アスペクト比
が１０〜３０のチタン化合物ウイスカーを所定量添加
し、回転ミルで３０分混合した。混合後のスラリーを乾
燥して原料とした。

【００２６】

【表１】

【００２７】

【表２】

【００２８】この原料を成型後、カーボン型に充填し、
１８００℃の温度，４ＧＰａの圧力で超高圧焼成して試
験片を作成した。得られた各試料を研磨して、荷重２０
ｋｇによるビッカース硬度、また鏡面にポリッシング加
工しＩＭ法で靱性（Ｋ_1C) を測定した。スパン１０ｍｍ
の３点曲げ試験により抗折強度を測定した。また、顕微
鏡写真から組織観察し焼結性について評価した。結果を
表３，４に示す。

【００２９】

【表３】

【００３０】

【表４】

【００３１】表３，４によれば、チタン化合物添加量が
多い場合（試料Ｎo.１，９）では硬度が低く、また、密
度が低いため鏡面仕上げが不可能であるという理由から
靱性が測定できず、ボイドも発生した。また、ウイスカ
ーを添加しない場合（試料Ｎo.８，１６）では靱性が極
端に小さかった。ｃＢＮ，ｗＢＮ粉末を添加しなかった
場合（試料Ｎo.１，９）では硬度が低いことが判る。

【００３２】これに対して、本発明に基づき作成した試
料は、いずれも優れた靱性および硬度を有することが判
る。そして、焼結体中にＡｌＮやＴｉＢ₂を含有する
と、試料Ｎo.３２とＮo.３４に示すようにさらに靱性お
よび硬度が向上していることが判る。

【００３３】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のチタン化合
物焼結体は、チタン化合物と、チタン化合物ウイスカー
と、立方晶またはウルツ鉱型の結晶である窒化硼素を含
有するので、チタン化合物ウイスカーのいわゆる引き抜
き効果等による破壊靱性の向上と、窒化硼素による硬度
の向上の効果を顕著に発揮させることができ、焼結体の
靱性および硬度を著しく向上することができる。また、
窒化アルミ、硼化チタンを含有することにより、硬度や
靱性等の特性をさらに向上することができる。これによ
り、切削工具やその他耐摩耗性部品や装飾品等に適した
チタン化合物焼結体を得ることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ０４Ｂ 35/583 35/58 １０５Ｌ 35/80 Ｃ０４Ｂ 35/80 Ａ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】チタンの炭化物，窒化物，硼化物及び炭窒
化物からなるチタン化合物のうち少なくとも一種を５〜
９０体積％と、立方晶窒化硼素およびウルツ鉱型結晶窒
化硼素のうち少なくとも一種を５〜９５体積％とを主体
とするチタン化合物焼結体であって、前記チタン化合物
の一部または全部がウイスカーであることを特徴とする
チタン化合物焼結体。
【請求項２】窒化アルミ，硼化チタンのうち少なくとも
一種を０．１体積％以上含有することを特徴とする請求
項１記載のチタン化合物焼結体。