JP3150594B2 - 畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法 - Google Patents
畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法Info
- Publication number
- JP3150594B2 JP3150594B2 JP32874795A JP32874795A JP3150594B2 JP 3150594 B2 JP3150594 B2 JP 3150594B2 JP 32874795 A JP32874795 A JP 32874795A JP 32874795 A JP32874795 A JP 32874795A JP 3150594 B2 JP3150594 B2 JP 3150594B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thread
- yarn
- tatami
- sewing thread
- polyester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、取扱い性及び可縫
性に優れた畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法
に関する。
性に優れた畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】畳糸用の縫着糸としては、古くは綿や麻
の紡績糸が使用されてきたが、これら天然繊維は糸切れ
し易くまた腐敗し易いといった欠点を有するため、近年
ではビニロン糸、ポリプロピレン糸等を使用する畳糸
(例えば特公昭35−15091号公報、特公平5−7
7792号公報)が提案され、さらにはポリエステル繊
維からなる畳糸用縫着糸として、例えば、特開昭54−
34446号公報には、ポリエステルマルチフィラメン
ト撚糸糸条にパラフィンワックスとマイクロクリスタリ
ンワックスと脂肪酸エステルとを含有する処理剤を付与
した畳糸用縫着糸が、また特開昭58−208464号
公報には、ワックスとポリオキシアルキレンアルキルア
ミンとポリアルキレンポリアミンの脂肪酸アマイドとを
含有する処理剤を付与した畳縁用縫着糸が提案されてい
る。
の紡績糸が使用されてきたが、これら天然繊維は糸切れ
し易くまた腐敗し易いといった欠点を有するため、近年
ではビニロン糸、ポリプロピレン糸等を使用する畳糸
(例えば特公昭35−15091号公報、特公平5−7
7792号公報)が提案され、さらにはポリエステル繊
維からなる畳糸用縫着糸として、例えば、特開昭54−
34446号公報には、ポリエステルマルチフィラメン
ト撚糸糸条にパラフィンワックスとマイクロクリスタリ
ンワックスと脂肪酸エステルとを含有する処理剤を付与
した畳糸用縫着糸が、また特開昭58−208464号
公報には、ワックスとポリオキシアルキレンアルキルア
ミンとポリアルキレンポリアミンの脂肪酸アマイドとを
含有する処理剤を付与した畳縁用縫着糸が提案されてい
る。
【0003】しかしながら、畳糸は、縫着時の糸切れ、
目飛び、縫着後のゆるみ防止等のために、原糸としては
高強力で且つ低伸度の糸が要求されるが、ポリエステル
の場合には、上記の方法で得られる糸は摩擦力が低下し
て可縫性及び縫い目の締まりが向上するものの、高強力
低伸度にするとモジュラスが大きくなって糸は硬くなる
ため、ビニロンやポリプロピレンからなる縫着糸に比べ
て糸切れや目飛び発生の抑制が不充分で縫いにくいとい
う欠点があった。
目飛び、縫着後のゆるみ防止等のために、原糸としては
高強力で且つ低伸度の糸が要求されるが、ポリエステル
の場合には、上記の方法で得られる糸は摩擦力が低下し
て可縫性及び縫い目の締まりが向上するものの、高強力
低伸度にするとモジュラスが大きくなって糸は硬くなる
ため、ビニロンやポリプロピレンからなる縫着糸に比べ
て糸切れや目飛び発生の抑制が不充分で縫いにくいとい
う欠点があった。
【0004】また、上記従来の方法で、処理剤中のワッ
クス類として結晶性のパラフィン又はエステル系ワック
スが単独で使用されている場合には、平滑性は良好であ
るものの剤自体が脆くなって高張力・高接圧下では処理
剤が脱落しやすくなり、取扱いによっては糸の摩擦が高
くなって縫着時に糸切れや目飛びが発生しやすくなると
いう欠点もあった。
クス類として結晶性のパラフィン又はエステル系ワック
スが単独で使用されている場合には、平滑性は良好であ
るものの剤自体が脆くなって高張力・高接圧下では処理
剤が脱落しやすくなり、取扱いによっては糸の摩擦が高
くなって縫着時に糸切れや目飛びが発生しやすくなると
いう欠点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
ポリエステル縫着糸が有する、目飛びし易く縫いにくい
という欠点を改良し、ポリエステルの本来有する高強
力、耐熱性、耐候性、寸法安定性等に優れた特性を充分
発揮することのできる、取扱い性及び可縫性に優れた畳
糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
ポリエステル縫着糸が有する、目飛びし易く縫いにくい
という欠点を改良し、ポリエステルの本来有する高強
力、耐熱性、耐候性、寸法安定性等に優れた特性を充分
発揮することのできる、取扱い性及び可縫性に優れた畳
糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、単繊維繊度を小さ
くし且つその断面形状を偏平にすれば、高強力・低伸度
のポリエステル糸であっても得られる縫着糸はソフトに
なり、また結晶性ワックスとしてパラフィンワックスと
エステル系ワックス、特にエステル系天然ワックスとを
併用した処理剤を用いれば、平滑性を損なうことなく処
理剤膜の被膜強度を向上させることができることを見出
し本発明に到達した。
を達成するために鋭意検討した結果、単繊維繊度を小さ
くし且つその断面形状を偏平にすれば、高強力・低伸度
のポリエステル糸であっても得られる縫着糸はソフトに
なり、また結晶性ワックスとしてパラフィンワックスと
エステル系ワックス、特にエステル系天然ワックスとを
併用した処理剤を用いれば、平滑性を損なうことなく処
理剤膜の被膜強度を向上させることができることを見出
し本発明に到達した。
【0007】かくして本発明によれば、「単繊維繊度が
7デニール以下、強度が7g/de以上、伸度が15%
以下、断面形状が偏平でその偏平率が2〜5のポリエス
テルマルチフィラメント糸からなる撚糸糸条に、融点が
50〜68℃の結晶性パラフィンワックスと融点が50
〜68℃のエステル系ワックスとを含有する処理剤を付
与してなる畳糸用ポリエステル縫着糸。」が提供され、
また、「単繊維繊度が7デニール以下、強度が7g/d
e以上、伸度が15%以下、断面形状が偏平でその偏平
率が2〜5のポリエステルマルチフィラメント糸に上撚
及び下撚を施した後、180℃以上の温度で撚止めセッ
トを行って撚糸糸条となし、次いで該撚糸糸条に融点が
50〜68℃の結晶性パラフィンワックスと融点が50
〜68℃のエステル系ワックスとを含有する処理剤を付
与した後、100〜170℃の温度で乾燥・固着させる
ことを特徴とする畳糸用ポリエステル縫着糸の製造方
法。」が提供される。
7デニール以下、強度が7g/de以上、伸度が15%
以下、断面形状が偏平でその偏平率が2〜5のポリエス
テルマルチフィラメント糸からなる撚糸糸条に、融点が
50〜68℃の結晶性パラフィンワックスと融点が50
〜68℃のエステル系ワックスとを含有する処理剤を付
与してなる畳糸用ポリエステル縫着糸。」が提供され、
また、「単繊維繊度が7デニール以下、強度が7g/d
e以上、伸度が15%以下、断面形状が偏平でその偏平
率が2〜5のポリエステルマルチフィラメント糸に上撚
及び下撚を施した後、180℃以上の温度で撚止めセッ
トを行って撚糸糸条となし、次いで該撚糸糸条に融点が
50〜68℃の結晶性パラフィンワックスと融点が50
〜68℃のエステル系ワックスとを含有する処理剤を付
与した後、100〜170℃の温度で乾燥・固着させる
ことを特徴とする畳糸用ポリエステル縫着糸の製造方
法。」が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル縫着糸に用
いられるポリエステルマルチフラメント糸は、分厚い畳
を締め付けながら縫う縫着機の衝撃的な力に耐えるた
め、その強度は7g/de以上、好ましくは8〜11g
/deであり、また縫着後のゆるみ防止のため、その伸
度は15%以下、好ましくは8〜12%である高強力・
低伸度特性を有していることが必要である。さらに縫着
糸の強力としては、20Kg以上あることが好ましい。
いられるポリエステルマルチフラメント糸は、分厚い畳
を締め付けながら縫う縫着機の衝撃的な力に耐えるた
め、その強度は7g/de以上、好ましくは8〜11g
/deであり、また縫着後のゆるみ防止のため、その伸
度は15%以下、好ましくは8〜12%である高強力・
低伸度特性を有していることが必要である。さらに縫着
糸の強力としては、20Kg以上あることが好ましい。
【0009】上記の特性に加えて、本発明で用いられる
ポリエステルマルチフラメント糸はその単繊維繊度が7
デニール以下、好ましくは2〜6デニールの範囲内にあ
り、且つその繊維横断面形状が偏平であり偏平率が2〜
5、好ましくは3〜4の範囲内にあることが肝要であ
る。単繊維繊度が7デニールを越える場合には得られる
縫着糸が硬くなって取扱い性及び可縫性(糸切れ・目飛
び)が低下するため好ましくない。単繊維繊度は小さく
なるほど得られる縫着糸がソフトになるのでより好まし
いが、2デニール未満になると柔らかくなりすぎて取扱
い性が低下する傾向にある。一方偏平率が2未満の場合
には得られる縫着糸の硬さが充分低下せず、取扱い性及
び可縫性の改善効果は不充分となるため好ましくない。
逆に偏平率が5を越える場合には、製糸時の曳糸性が低
下するため、前記の高強力・低伸度特性を満足するポリ
エステルマルチフラメント糸を安定して製造することが
困難となるので好ましくない。なお、断面偏平糸の繊維
表面に凹凸、例えば断面形状が偏平糸の長軸に4つの凸
部を有する4つ山偏平断面糸は、得られる糸の硬さがよ
りソフトになるのでさらに好ましい。
ポリエステルマルチフラメント糸はその単繊維繊度が7
デニール以下、好ましくは2〜6デニールの範囲内にあ
り、且つその繊維横断面形状が偏平であり偏平率が2〜
5、好ましくは3〜4の範囲内にあることが肝要であ
る。単繊維繊度が7デニールを越える場合には得られる
縫着糸が硬くなって取扱い性及び可縫性(糸切れ・目飛
び)が低下するため好ましくない。単繊維繊度は小さく
なるほど得られる縫着糸がソフトになるのでより好まし
いが、2デニール未満になると柔らかくなりすぎて取扱
い性が低下する傾向にある。一方偏平率が2未満の場合
には得られる縫着糸の硬さが充分低下せず、取扱い性及
び可縫性の改善効果は不充分となるため好ましくない。
逆に偏平率が5を越える場合には、製糸時の曳糸性が低
下するため、前記の高強力・低伸度特性を満足するポリ
エステルマルチフラメント糸を安定して製造することが
困難となるので好ましくない。なお、断面偏平糸の繊維
表面に凹凸、例えば断面形状が偏平糸の長軸に4つの凸
部を有する4つ山偏平断面糸は、得られる糸の硬さがよ
りソフトになるのでさらに好ましい。
【0010】縫着糸は通常3000デニール以上と非常
に太い合撚糸糸条が多いので、900〜1300デニー
ルのマルチフィラメント糸に250〜350回/mの下
撚を施し、次いでこれを所望の太さとなるよう複数本引
き揃えて170〜250回/mの上撚を施して撚糸糸条
となす。本発明においては、後述する処理剤を付与する
前に、この撚糸糸条を予め180℃以上、好ましくは2
00〜240℃以上で熱セットして撚止めすることが必
要である。熱セット温度が180℃未満の場合には、上
記のポリエステルマルチフィラメント糸は高強力・低伸
度糸であるがために熱セットされ難く、得られる縫着糸
に撚戻りが発生しやすくなるため好ましくない。また、
処理剤を付与後に処理剤の乾燥・固着を兼ねて180℃
以上で熱セットすると、処理剤が高温で揮発したり変質
して、例え撚止めができても可縫性は不十分なものとな
るので好ましくない。
に太い合撚糸糸条が多いので、900〜1300デニー
ルのマルチフィラメント糸に250〜350回/mの下
撚を施し、次いでこれを所望の太さとなるよう複数本引
き揃えて170〜250回/mの上撚を施して撚糸糸条
となす。本発明においては、後述する処理剤を付与する
前に、この撚糸糸条を予め180℃以上、好ましくは2
00〜240℃以上で熱セットして撚止めすることが必
要である。熱セット温度が180℃未満の場合には、上
記のポリエステルマルチフィラメント糸は高強力・低伸
度糸であるがために熱セットされ難く、得られる縫着糸
に撚戻りが発生しやすくなるため好ましくない。また、
処理剤を付与後に処理剤の乾燥・固着を兼ねて180℃
以上で熱セットすると、処理剤が高温で揮発したり変質
して、例え撚止めができても可縫性は不十分なものとな
るので好ましくない。
【0011】次ぎに、本発明にかかる処理剤に用いられ
る結晶性パラフィンワックスは、その融点が低すぎると
その平滑性が小さいため、得られる糸の摩擦低下が不充
分となり可縫性改善の本発明の目的が達成できなくな
る。一方融点が高すぎると処理剤膜が硬くなって脆くな
るため、取扱い時に剤が脱落して摩擦が高くなりやす
く、可縫性が低下するので、融点は50〜68℃、好ま
しくは57〜63℃の範囲とする必要がある。
る結晶性パラフィンワックスは、その融点が低すぎると
その平滑性が小さいため、得られる糸の摩擦低下が不充
分となり可縫性改善の本発明の目的が達成できなくな
る。一方融点が高すぎると処理剤膜が硬くなって脆くな
るため、取扱い時に剤が脱落して摩擦が高くなりやす
く、可縫性が低下するので、融点は50〜68℃、好ま
しくは57〜63℃の範囲とする必要がある。
【0012】本発明にかかる処理剤のもう一つの成分で
あるエステル系ワックスは、処理剤被膜の脆性改善して
摩擦等に対する耐久性を向上させるために用いるもの
で、その融点が50〜68℃の範囲内にある限り天然ワ
ックスであっても合成ワックスであってもよい。例えば
蜜ロウ、木ロウ、硬化鯨ロウ等の天然ワックス、トリパ
ルミチン、トリステアリン、パルミチン酸とステアリン
酸の混合酸のグリセライド等の合成ワックスを用いるこ
とができるが、なかでも天然ワックス、特に融点が60
〜66℃の蜜ロウは不飽和脂肪酸エステルを一部含有し
ていて処理剤被膜の被膜強度向上効果が大きいため、高
張力・高接圧下での取扱いでも被膜が脱落し難くなって
可縫性が極めて良好となるので好ましい。エステル系ワ
ックスの融点が50℃未満になると処理剤被膜の耐熱性
が低くなりすぎて強度も充分上がらず、一方68℃を越
えると処理剤被膜の強度向上効果が不充分となるため本
発明の目的を達成することができない。
あるエステル系ワックスは、処理剤被膜の脆性改善して
摩擦等に対する耐久性を向上させるために用いるもの
で、その融点が50〜68℃の範囲内にある限り天然ワ
ックスであっても合成ワックスであってもよい。例えば
蜜ロウ、木ロウ、硬化鯨ロウ等の天然ワックス、トリパ
ルミチン、トリステアリン、パルミチン酸とステアリン
酸の混合酸のグリセライド等の合成ワックスを用いるこ
とができるが、なかでも天然ワックス、特に融点が60
〜66℃の蜜ロウは不飽和脂肪酸エステルを一部含有し
ていて処理剤被膜の被膜強度向上効果が大きいため、高
張力・高接圧下での取扱いでも被膜が脱落し難くなって
可縫性が極めて良好となるので好ましい。エステル系ワ
ックスの融点が50℃未満になると処理剤被膜の耐熱性
が低くなりすぎて強度も充分上がらず、一方68℃を越
えると処理剤被膜の強度向上効果が不充分となるため本
発明の目的を達成することができない。
【0013】結晶性パラフィンワックスとエステル系ワ
ックスとの混合重量比(前者/後者)は、70/30〜
96/4、好ましくは80/20〜90/10とする必
要がある。エステル系ワックスの混合割合が30重量%
を越える場合には、処理剤被膜が柔らかくなりすぎて縫
着糸としての硬さが不充分となり、一方4重量%未満の
場合には処理剤被膜強度の向上効果が不充分となって、
取扱い性及び可縫性は低下するため好ましくない。
ックスとの混合重量比(前者/後者)は、70/30〜
96/4、好ましくは80/20〜90/10とする必
要がある。エステル系ワックスの混合割合が30重量%
を越える場合には、処理剤被膜が柔らかくなりすぎて縫
着糸としての硬さが不充分となり、一方4重量%未満の
場合には処理剤被膜強度の向上効果が不充分となって、
取扱い性及び可縫性は低下するため好ましくない。
【0014】本発明の処理剤は、上記の2成分を限定さ
れた割合で配合されていることを必要とするが、上記以
外の成分を本発明の目的を阻害しない範囲内で少量添加
してもよい。例えば、エステル中に混在する高級アルコ
ールや高級脂肪酸、融点が前記の範囲外であるエステル
系ワックスやパラフィンワックス、処理剤をエマルジョ
ンの状態で付与するための乳化剤(好ましくはエチレン
オキサイド付加型のアルキルエーテル又はアルキルエス
テル系のノニオン型乳化剤)、着色するための染料や顔
料等がある。
れた割合で配合されていることを必要とするが、上記以
外の成分を本発明の目的を阻害しない範囲内で少量添加
してもよい。例えば、エステル中に混在する高級アルコ
ールや高級脂肪酸、融点が前記の範囲外であるエステル
系ワックスやパラフィンワックス、処理剤をエマルジョ
ンの状態で付与するための乳化剤(好ましくはエチレン
オキサイド付加型のアルキルエーテル又はアルキルエス
テル系のノニオン型乳化剤)、着色するための染料や顔
料等がある。
【0015】本発明の処理剤を撚糸糸条に付与するに
は、そのまま溶融して糸条に付与してもよいが、通常は
エマルジョンの状態で付与される。エマルジョン濃度は
5〜30重量%、特に10〜20重量%とするのが好ま
しい。また縫着糸は通常3000デニール以上と非常に
太いものが多いので、処理剤付与方法は浸漬法が好まし
い。
は、そのまま溶融して糸条に付与してもよいが、通常は
エマルジョンの状態で付与される。エマルジョン濃度は
5〜30重量%、特に10〜20重量%とするのが好ま
しい。また縫着糸は通常3000デニール以上と非常に
太いものが多いので、処理剤付与方法は浸漬法が好まし
い。
【0016】処理剤の付与量は、余りに少ないと高張力
・高接圧下での平滑性が低下して摩擦抵抗が大きくなる
傾向があり、逆に多くなりすぎると効果はそれ以上には
向上せず、余分の処理剤で汚れが発生しやすくなると共
に経済的にも好ましくなくなるので、糸条重量を基準と
して3〜6重量%、好ましくは4〜6重量%に調節す
る。
・高接圧下での平滑性が低下して摩擦抵抗が大きくなる
傾向があり、逆に多くなりすぎると効果はそれ以上には
向上せず、余分の処理剤で汚れが発生しやすくなると共
に経済的にも好ましくなくなるので、糸条重量を基準と
して3〜6重量%、好ましくは4〜6重量%に調節す
る。
【0017】処理剤が付与された糸条は、次ぎに100
〜170℃、好ましくは120〜160℃の温度で乾燥
熱処理して処理剤を固着させる必要がある。この乾燥熱
処理温度が100℃未満の場合には処理剤の固着が不充
分となり、処理剤被膜強度が低下するので好ましくな
い。一方170℃を越える場合には、ワックスが揮発し
て発煙を生じたり処理剤自体が変質したりするため、作
業環境の面からだけでなく可縫性改良効果の面からも好
ましくない。
〜170℃、好ましくは120〜160℃の温度で乾燥
熱処理して処理剤を固着させる必要がある。この乾燥熱
処理温度が100℃未満の場合には処理剤の固着が不充
分となり、処理剤被膜強度が低下するので好ましくな
い。一方170℃を越える場合には、ワックスが揮発し
て発煙を生じたり処理剤自体が変質したりするため、作
業環境の面からだけでなく可縫性改良効果の面からも好
ましくない。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお畳縫い評価は下記にしたがった。 <平刺・返し縫い機>畳20枚に平刺及び返し縫を施し
たときの縫着機の糸切れ回数(断糸数)及び目落ちの数
(目飛び数)を数えた。 <框縫い機>この場合も畳20枚について框縫いを施し
たときの糸切れ回数(断糸数)及び目落ちの数(目飛び
数)である。
る。なお畳縫い評価は下記にしたがった。 <平刺・返し縫い機>畳20枚に平刺及び返し縫を施し
たときの縫着機の糸切れ回数(断糸数)及び目落ちの数
(目飛び数)を数えた。 <框縫い機>この場合も畳20枚について框縫いを施し
たときの糸切れ回数(断糸数)及び目落ちの数(目飛び
数)である。
【0019】[実施例1]総繊度が1100デニールで
表1記載の特性を有するポリエステルマルチフィラメン
ト糸に300回/mの下撚りを施し、これを3本合糸し
て200回/mの上撚りを施し、次いで表1記載の温度
で熱セットして撚止めを行った。この糸に、融点が58
℃の結晶性パラフィンワックス80重量部をエチレンオ
キサイド付加アルキルエーテル型ノニオン系乳化剤20
重量部で予め乳化したものと、融点が65℃の蜜ロウ7
0重量部をエチレンオキサイド付加アルキルエーテル型
ノニオン系乳化剤30重量部で予め乳化したものとを、
配合重量比(結晶性パラフィンワックス/蜜ロウ)が9
0/10となるよう混合した処理剤を、処理剤有効成分
付着量が5重量%となるように付着し、表1記載の温度
で乾燥・固着させて縫着糸を得た。得られた縫着糸の評
価結果を表1に示す。
表1記載の特性を有するポリエステルマルチフィラメン
ト糸に300回/mの下撚りを施し、これを3本合糸し
て200回/mの上撚りを施し、次いで表1記載の温度
で熱セットして撚止めを行った。この糸に、融点が58
℃の結晶性パラフィンワックス80重量部をエチレンオ
キサイド付加アルキルエーテル型ノニオン系乳化剤20
重量部で予め乳化したものと、融点が65℃の蜜ロウ7
0重量部をエチレンオキサイド付加アルキルエーテル型
ノニオン系乳化剤30重量部で予め乳化したものとを、
配合重量比(結晶性パラフィンワックス/蜜ロウ)が9
0/10となるよう混合した処理剤を、処理剤有効成分
付着量が5重量%となるように付着し、表1記載の温度
で乾燥・固着させて縫着糸を得た。得られた縫着糸の評
価結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】[実施例2]実施例1の実験No1におい
て、付与する処理剤を表2に記載のものに変更する以外
は実施例1の実験No1と同様にして縫着糸を得た。得
られた縫着糸の評価結果を表2に示す。
て、付与する処理剤を表2に記載のものに変更する以外
は実施例1の実験No1と同様にして縫着糸を得た。得
られた縫着糸の評価結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明の畳糸用ポリエステル縫着糸は、
断面形状が偏平の偏平糸からなっているので、一般にモ
ジュラスが高い高強度・低伸度ポリエステル繊維を用い
ても得られる縫着糸はソフトであり、また処理剤の被膜
強度も良好なので取扱い中に処理剤が脱落するようなこ
とがないため、畳縫着時の糸切れ及び目飛びがなく、ま
た縫い目のきれいな畳が得られる。
断面形状が偏平の偏平糸からなっているので、一般にモ
ジュラスが高い高強度・低伸度ポリエステル繊維を用い
ても得られる縫着糸はソフトであり、また処理剤の被膜
強度も良好なので取扱い中に処理剤が脱落するようなこ
とがないため、畳縫着時の糸切れ及び目飛びがなく、ま
た縫い目のきれいな畳が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 篤 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人 株式会社 大阪研究センター内 (56)参考文献 特開 昭58−208464(JP,A) 特開 昭54−34446(JP,A) 特開 平2−154070(JP,A) 特開 平7−268777(JP,A) 特開 昭49−72417(JP,A) 特開 平3−113034(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 13/72 D02G 3/02 D02G 3/46
Claims (5)
- 【請求項1】 単繊維繊度が7デニール以下、強度が7
g/de以上、伸度が15%以下、断面形状が偏平でそ
の偏平率が2〜5のポリエステルマルチフィラメント糸
からなる撚糸糸条に、融点が50〜68℃の結晶性パラ
フィンワックスと融点が50〜68℃のエステル系ワッ
クスとを含有する処理剤を付与してなる畳糸用ポリエス
テル縫着糸。 - 【請求項2】 結晶性パラフィンワックスとエステル系
ワックスの配合重量比が96/4〜70/30である請
求項1記載の畳糸用ポリエステル縫着糸。 - 【請求項3】 エステル系ワックスが蜜ロウである請求
項1記載の畳糸用ポリエステル縫着糸。 - 【請求項4】 処理剤の付着量が糸条重量を基準として
3〜6重量%である請求項1ないし3いずれか1項記載
の畳糸用ポリエステル縫着糸。 - 【請求項5】 単繊維繊度が7デニール以下、強度が7
g/de以上、伸度が15%以下、断面形状が偏平でそ
の偏平率が2〜5のポリエステルマルチフィラメント糸
に上撚及び下撚を施した後、180℃以上の温度で撚止
めセットを行って撚糸糸条となし、次いで該撚糸糸条に
融点が50〜68℃の結晶性パラフィンワックスと融点
が50〜68℃のエステル系ワックスとを含有する処理
剤を付与した後、100〜170℃の温度で乾燥・固着
させることを特徴とする畳糸用ポリエステル縫着糸の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32874795A JP3150594B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32874795A JP3150594B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09170172A JPH09170172A (ja) | 1997-06-30 |
JP3150594B2 true JP3150594B2 (ja) | 2001-03-26 |
Family
ID=18213727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32874795A Expired - Fee Related JP3150594B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3150594B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101529012B (zh) * | 2006-10-20 | 2012-07-18 | 松本油脂制药株式会社 | 织物处理剂,用于制造织物的方法和车辆内部材料用织物 |
CN113897716B (zh) * | 2021-09-30 | 2023-04-28 | 滁州市南谯制线厂 | 一种医护用品系列纱线的制备方法和应用 |
-
1995
- 1995-12-18 JP JP32874795A patent/JP3150594B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09170172A (ja) | 1997-06-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1154755C (zh) | 柔软弹力丝及其制造方法 | |
WO2018216572A1 (ja) | 多層構造布帛および繊維製品 | |
JP3150594B2 (ja) | 畳糸用ポリエステル縫着糸及びその製造方法 | |
DE69517982T2 (de) | Verfahren zur herstellung von wildlederähnlichem gewebe | |
JP3266363B2 (ja) | 化合繊複合布帛 | |
JPS60151311A (ja) | 流動パラフインを含有するポリエチレン繊維 | |
JP3084892B2 (ja) | 縫 糸 | |
JPH06228839A (ja) | 化合繊長短複合糸 | |
JP3212626B2 (ja) | 長短複合糸およびその製造方法 | |
JP3266785B2 (ja) | 紫外線反射性白色布帛 | |
JP4428025B2 (ja) | スパン縫糸およびその製造方法 | |
JPH08158188A (ja) | ポリエステルミシン糸の製造方法 | |
JP3089895B2 (ja) | 合成繊維用処理剤 | |
JPH0424240A (ja) | ポリアミド系混繊糸織物 | |
JPH07173768A (ja) | 合成繊維用処理剤 | |
JP3187245B2 (ja) | 縫製性に適した畳用縫着糸 | |
JP3378199B2 (ja) | 抗ピリング性を有する紡績糸の製造方法 | |
JP2548687B2 (ja) | ポリエステルミシン糸 | |
JPS633977B2 (ja) | ||
JPH08199440A (ja) | 染色ギャザーリングミシン糸及びその製造方法 | |
JP2009235645A (ja) | コアーヤーン複合繊維糸、縫糸およびそれを用いた縫製品 | |
JP3099472B2 (ja) | 合成繊維用処理剤 | |
JPH0434001A (ja) | ストッキング | |
JPS5911699B2 (ja) | 縫糸 | |
JPH08226074A (ja) | 合成繊維用処理剤およびその処理剤を付与した合成繊維 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 7 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080119 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 8 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090119 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100119 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100119 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |