JP3150268B2 - 液晶素子及びそれを用いた液晶装置 - Google Patents

液晶素子及びそれを用いた液晶装置

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JP3150268B2 JP11720895A JP11720895A JP3150268B2 JP 3150268 B2 JP3150268 B2 JP 3150268B2 JP 11720895 A JP11720895 A JP 11720895A JP 11720895 A JP11720895 A JP 11720895A JP 3150268 B2 JP3150268 B2 JP 3150268B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータの端末デ
ィスプレイ、各種フラットパネルディスプレイ、ワード
プロセッサ、タイプライター、テレビ受像機、ビデオカ
メラのビューファインダー、プロジェクターの光バル
ブ、液晶プリンターの光バルブ等に用いられる液晶素子
に関し、特に強誘電性液晶素子に関する。さらにそれを
使用した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、最も広範に用いられてきてい
るディスプレイとしてCRTが知られており、テレビや
VTRなどの動画出力、あるいはパソコンのモニターと
して広く用いられている。しかしながら、CRTはその
特性上、静止画像に対しては、フリッカや解像度不足に
よる走査縞等が視認性を低下させたり、焼きつきによる
蛍光体の劣化が起こったりする。また、最近ではCRT
が発生する電磁波が人体に悪影響を与えることが分か
り、VDT作業者の健康を害する恐れがある。そして、
構造上、画面後方に広く体積を有するため、オフィス、
家庭の省スペース化を阻害している。
【0003】このようなCRTの欠点を解決するものと
して液晶表示素子がある。例えばエム・シャット(M.
Schadt)とダブリュー・ヘルフリッヒ(W.He
lfrich)著“アプライド・フィジックス・レター
ズ”(Applied Physics Letter
s”)第18巻、第4号(1971年2月15日発行)
第127頁〜128頁において示されたツイステッド・
ネマチック(twisted nematic:TN)
液晶を用いたものが知られている。
【0004】このTN液晶を用いた液晶素子の1つとし
て、コスト面で優位性を持つ単純マトリクスタイプの液
晶素子がある。この液晶素子は画素密度を高くしたマト
リクス電極構造を用いた時分割駆動の時、クロストーク
を発生する問題点があるため、画素数が制限されてい
た。
【0005】近年このような単純マトリクスタイプの液
晶素子に対して、TFTといわれる液晶素子の開発が行
われている。このタイプは1つ1つの画素にトランジス
タを作成し、各画素での動作を制御するため、クロスト
ークや応答速度の問題は解決される反面、大面積になれ
ばなるほど、不良画素なく液晶素子を作成することが工
業的に非常に困難であり、また可能であっても多大なコ
ストが発生する。
【0006】このような従来型の液晶素子の欠点を改善
するものとして、強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利
用して、偏光素子との組み合わせにより、透過光線を制
御する型の表示素子がクラーク(Clark)及びラガ
ウェル(Lagerwall)により提案されている
(特開昭56−107216号公報、米国特許第436
7924号明細書)。この強誘電性液晶は、一般に特定
の温度域において、カイラルスメクチックC相またはカ
イラルスメクチックH相を有するカイラルスメクチック
液晶であり、カイラルスメクチック相において、加えら
れる電界に応答して第1の光学的安定状態と第2の光学
的安定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加のないと
きは、その状態を維持する性質、即ち双安定性を有し、
自発分極により反転スイッチングを行うため、非常に早
い応答速度を示す上、メモリー性のある双安定状態を発
現させることができる。更に視野角特性も優れているこ
とから、カイラルスメクチック強誘電性液晶素子は、特
に、高速、高精細、大面積の表示素子あるいはライトバ
ルブとして適していると考えられる。また、最近では、
チャンダニ、竹添らにより、3つの安定状態を有するカ
イラルスメクチック反強誘電液晶素子も提案されている
(ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィ
ジックス(Japanese Journal of
AppliedPhysics)27巻、1988年L
729頁)。
【0007】このようなカイラルスメクチック液晶素子
においては、例えば「強誘電液晶の構造と物性」(コロ
ナ社、福田敦夫、竹添秀男著、1990年)に記載され
ているように、ジグザグ状の配向欠陥の発生や、上下基
板間での液晶分子のねじれ(スプレイ配向という)によ
り、コントラストを低下させる場合があるという問題が
あった。この欠陥は、素子構成において、上下基板間に
担持されたカイラルスメクチック液晶の層状構造が2種
類のシェブロン状(山形状)の構造を形成していること
に因ると考えられる。
【0008】この問題を解決する1つの方法として、プ
レチルト角を持たせることにより、シェブロン層構造を
一方向に揃え、液晶分子の上下基板間のねじれ状態を一
様状態(ユニフォーム配向という)と比較して弾性エネ
ルギー的に不安定にする方法がある。
【0009】また他の方法としては、液晶層構造を
「く」の字に折れたシェブロン構造から、各層の傾きが
小さく大略平行に配列した本棚状の構造である、ブック
シェルフといわれる層状構造、あるいはそれに近い構造
を形成することにより、ジグザグ欠陥を解消すると同時
にユニフォーム配向を実現し、高コントラストを実現す
る方法がある(例えば「次世代液晶ディスプレイと液晶
材料」(株)シーエムシー、福田敦夫編、1992
年)。ブックシェルフ層構造を実現するには、1つに
は、ナフタレン系液晶材料を用いる方法があるが、この
場合、チルト角(液晶分子のスイッチング角の半分)が
10°程度であり、理論的最大透過率が得られる22.
5°と比べて非常に小さく、低透過率であるという問題
がある。他の代表的な例としては、シェブロン構造を取
っている液晶素子に外部から電場を加えてブックシェル
フ構造を誘起する方法があるが、この方法は、温度など
の外部刺激に対して不安定であるという点が問題となっ
ている。
【0010】ブックシェルフあるいはそれに近い層構造
を呈する液晶として、パーフルオロエーテル側鎖をもつ
液晶性化合物(米国特許5,262,082号明細
書)、液晶組成物(1993年第4回強誘電液晶国際会
議P−46、Marc D.Radcliffeら)等
が提案されている。これらの液晶材料によれば、電場等
の外部場を用いずともブックシェルフあるいはそれに近
い層傾き角の小さな構造を最適なチルト角で現出するこ
とが可能である。しかしながら、上記パーフルオロエー
テル側鎖をもつ液晶性化合物は、コレステリック相を持
たずに最終的に充分に良好な配向状態を得ることが困難
であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、本発明の課題とするところ
は、ブックシェルフ構造あるいはそれに近い層傾きの小
さい構造の液晶層を安定してとり、かつ特に優れた配向
状態をとり、高コントラストであり、応答速度が速く、
高精細、高輝度の液晶素子を提供することである。
【0012】本発明の更なる課題は、上記液晶素子を用
いて、高コントラスト、高精細、高輝度、大画面化が実
現された、優れた表示特性を示す表示装置を提供するこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記課
題は、対向する第一の基板及び第二の基板間にコレステ
リック相を持たない単一成分または複数成分からなる液
晶を含む液晶組成物を配置してなる液晶素子であって、
第一の基板及び第二の基板の液晶組成物に接する面の各
表面エネルギーγ1 、γ2 (dyne/cm)の関係が
γ1 >γ2 であり、且つ、第一の基板はポリイミド膜乃
至芳香族ポリアミド膜を有し、第一の基板の液晶組成物
に接する面のみ一軸配向処理を施したことであり、前記
一軸配向処理とは一方向及びこれとほぼ逆方向の正逆2
方向に施されるラビング処理であることを特徴とする液
晶素子、によって解決される。
【0014】本発明の液晶素子によれば、コレステリッ
ク相を持たない液晶に対し、液晶素子を構成する基板の
液晶層接触面側における表面エネルギー、及び配向処理
条件を上述したようにすることに起因して、第一の基板
及び第二の基板間において、液晶組成物、特に強誘電性
液晶組成物が、前述したブックシェルフ構造またはそれ
に近い層傾き構造の良好な液晶層を安定にとり得る。
【0015】さらに、本発明の液晶素子によれば、特に
優れた配向状態をとり、高コントラストであり、高速応
答性に優れ、特に表示に関しては高精細、高輝度の強誘
電性液晶素子が提供される。
【0016】加えて、本発明によれば、下記一般式Iで
表わされる液晶化合物を含む液晶組成物を用いることに
より、特に優れた性能を有し大画面化が実現された液晶
素子、及び該液晶素子を用いた優れた表示特性を有する
表示装置が提供され、その工業的価値は大きい。
【0017】〔一般式I〕 P−Q−A−W−B−(T−D)n −U−V (A、B、Dはそれぞれ同一もしくは異なる芳香族環、
複素環、脂肪族環あるいはそれらの縮環構造を表わし、
それらの環は置換されていてもよい。Q、W、Tは、そ
れぞれ同一もしくは異なり、単結合、−O−、−COO
−、−OCO−、−C≡C−、−CONR−、−NRC
O−、−NR−、−CH2 −、−CH=N−、−N=C
H−、−CH=CH−、−COS−、−SCO−、−C
2 CH2 −、−CH2 O−、−OCH2 −を表わす。
Rはアルキル基を表わす。Pは置換されていてもよいア
ルキル基を表わす。nは0、1または2を表わす。Uは
−CO−Cm2m−、−O−Cm2m−、−Cm2m
O−、−Cm2mO−、−Cm2m−、−OSO2 −、
−SO2 O−、−SO2 −、−SO2 −Cm2m−、−
O−Cm2m−O−Cm2m−、−Cm2mSO2 −、
−Cm2m−O−Cm2m−O−、−Cm2m−N(C
m'2m'+1)−SO2 −、−Cm2m−NCm'
2m'+1)−CO−、−SO2 −N(Cm'2m'+1)−
m2m−、−CO−N(Cm'2m'+1)−Cm2m
を表わし、m、m′はそれぞれ同一もしくは異なる1か
ら20までの整数を表わす。Vは、−(Cp2pO)q
r2r+1を表わす。pはqが複数の場合それぞれの
(Cp2pO)に対して独立に1から10の整数であ
り、qが1の場合1から10の整数である。qは1から
6の整数である。rは1から10の整数である)。
【0018】以下に本発明をその作用とともに詳細に説
明する。
【0019】強誘電性液晶(組成物)を、対向する2枚
の基板間に挟持した構造の強誘電性液晶素子として双安
定性が発現するのは、SmC* 相(カイラルスメクチッ
クC相)で、その配向状態は液体相(アイソトロピック
相)からの徐冷によって形成される。従って、アイソト
ロピック相とカイラルスメクチック相間にある相系列が
配向形成に大きな影響を与える。熱力学的な安定性から
相系列としては
【0020】
【外4】 の4通りが考えられる。ここで、Iso;液体相、Ch
(N* );コレステリック相(カイラルネマチック
相)、SmA;スメクチックA相である。図2は、これ
ら各相をモデル化して示したものである。1)の相系列
を有する液晶組成物は、Iso−Ch転移において液晶
分子の長軸方向秩序が形成され、Ch−SmA転移にお
いて液晶分子の位置の秩序;層構造が形成され、SmA
−SmC* 転移によって液晶分子のチルトが発現すると
いう段階を経て秩序化されるため均一配向が得やすい。
しかしながら、2)、3)、4)の相系列を有する液晶
組成物の場合、液晶分子の長軸方向秩序と層形成が同時
な2)、層形成と液晶分子のチルトが同時な3)、液晶
分子の長軸方向秩序と層形成、さらにチルトが同時な
4)のように、複数の秩序化が同時におこるのため均一
配向が得にくいという問題がある。本発明は、2)の相
系列を有する液晶組成物の均一配向を実現するものであ
る。
【0021】本発明者らによる、2)の相系列を有する
液晶のIso−SmA転移過程を観察した結果を図3に
模式的に示す。同図のようにIso状態からスメクチッ
クA相への転移では、ほぼ楕円形のSmA相の島(以後
バトネと呼ぶ)が発生し、それが成長して接合すること
によって相転移が完了することが見出された。しかも、
配向欠陥はそのバトネの成長方向がランダムであった
り、バトネ間不接合により発生していることも見出され
た。
【0022】ここで、バトネの成長方向がランダムであ
る為に配向欠陥が生ずる理由としては、最終的な素子構
成において、強誘電性液晶を挟持する基板における、液
晶との界面(好ましくは配向制御層が設けられている)
の一軸方向による配向規制力が不充分であることに起因
すると考えられる。具体的には、配向制御層と液晶層と
の界面の凹凸が大きい場合、および/または配向制御層
として直線性の小さな分子構造の材料からなる膜を用い
た場合、上記理由に因る配向欠陥が生じ易い。
【0023】一方、バトネ間の不接合に因る配向欠陥
は、強誘電性液晶を挟持する2枚の基板の液晶との接触
面の表面エネルギーが同程度の場合発生し易い。これ
は、両基板の配向処理がどのような状況であったとして
も、例えば、一方の基板のみにラビング処理が施されて
いても両方の基板にラビング処理が施されていても生じ
るものと考えられる。
【0024】そこで、本発明は、上述したようなコレス
テリック相を持たない液晶材料を用いた強誘電性液晶素
子において、液晶を挟持する2枚の基板(第一の基板、
第二の基板とする。)において、第一の基板はラビング
等の一軸配向処理が施されており、第一の基板の液晶と
の界面側の表面エネルギーγ1 、第二の基板の液晶との
界面側の表面エネルギーγ2 の関係をγ1 >γ2 とし、
上記液晶材料を用いた強誘電性液晶素子における均一配
向性を実現したものである。コレステリック相を持たな
い液晶材料としては、全温度範囲にわたってコレステリ
ック相が全く出現しない液晶がより好ましいが、全面均
一なコレステリック相となる温度範囲を持たない液晶で
あれば本発明に用いることができる。例えば、等大相と
コレステリック相が混在する温度範囲を持つ液晶であっ
ても、本発明に用いることができる。なお、単独でコレ
ステリック相を持たない液晶化合物が60重量%以上含
有されていることが好ましく、80重量%以上含有され
ていることがより好ましい。
【0025】均一配向性を実現するためには、γ1 の値
をより大きくすることが好ましく、特にγ1 ≧40(d
yne/cm)とすることが好ましい。さらには、γ1
≧45(dyne/cm)とすることが、より好まし
い。
【0026】また、均一配向性を実現するためには、γ
1 −γ2 の値をより大きくすることが好ましく、特にγ
1 −γ2 >9(dyne/cm)とすることが好まし
い。さらには、γ1 −γ2 >17(dyne/cm)と
することがより好ましい。
【0027】一軸配向処理としては、簡便で生産性に優
れたラビング処理を施すことが好ましい。
【0028】ラビング処理は、一般的には一方向に施
す。しかしながら、一方向及びこれとほぼ逆方向の正逆
2方向にラビング処理を施す態様もある。正逆2方向に
ラビングを行うことによって、液晶分子の見かけのプレ
チルト角を小さくし、ブックシェルフ構造を安定化する
とともに、ある種の液晶において駆動に伴って生じる液
晶分子の移動を低減させることができ、液晶移動に伴う
表示品位の低下を防止することが可能である。
【0029】本発明の液晶素子において、基板間に配置
される強誘電性液晶組成物の必須成分として用いられる
コレステリック相を持たない単一成分または複数成分か
らなる液晶は、好ましくは、下記一般式Iで表わされる
化合物を少なくとも一種含有する液晶である。
【0030】〔一般式I〕 P−Q−A−W−B−(T−D)n −U−V (A、B、Dはそれぞれ同一もしくは異なる芳香族環、
複素環、脂肪族環あるいはそれらの縮環構造を表わし、
それらの環は置換されていてもよい。Q、W、Tは、そ
れぞれ同一もしくは異なり、単結合、−O−、−COO
−、−OCO−、−C≡C−、−CONR−、−NRC
O−、−NR−、−CH2 −、−CH=N−、−N=C
H−、−CH=CH−、−COS−、−SCO−、−C
2 CH2 −、−CH2 O−、−OCH2 −を表わす。
Rはアルキル基を表わす。Pは置換されていてもよいア
ルキル基を表わす。nは0、1または2を表わす。Uは
−CO−Cm2m−、−O−Cm2m−、−Cm2m
O−、−Cm2mO−、−Cm2m−、−OSO2 −、
−SO2 O−、−SO2 −、−SO2 −Cm2m−、−
O−Cm2m−O−Cm2m−、−Cm2mSO2 −、
−Cm2m−O−Cm2m−O−、−Cm2m−N(C
m'2m'+1)−SO2 −、−Cm2m−NCm'
2m'+1)−CO−、−SO2 −N(Cm'2m'+1)−
m2m−、−CO−N(Cm'2m'+1)−Cm2m
を表わし、m、m′はそれぞれ同一もしくは異なる1か
ら20までの整数を表わす。Vは、−(Cp2pO)q
r2r+1を表わす。pはqが複数の場合それぞれの
(Cp2pO)に対して独立に1から10の整数であ
り、qが1の場合1から10の整数である。qは1から
6の整数である。rは1から10の整数である)。
【0031】上述した液晶組成物の必須成分となるコレ
ステリック相を持たない化合物の具体例を以下に列挙す
る。なお、これら液晶化合物は、単一で、または複数の
混合物(組成物)の形で用いられる。
【0032】
【外5】
【0033】また、本発明では、強誘電性液晶組成物に
おいて、上記コレステリック相を持たない液晶に対し
て、相溶限界を持つ化合物(a)を、相溶限界の20%
以上、相溶限界未満添加することが好ましい。この場合
前述したような液晶素子の液晶相におけるバトネ密度が
増加し、より良好な配向均一性が達成される。ここで化
合物(a)は、配向均一性を向上させしかも母剤の液晶
の持つ特性は悪化させない範囲で添加することが好まし
いが、配向均一性向上の効果が顕著となる添加下限があ
り、即ち相溶限界の20%以上という添加率が決定され
る。その化合物(a)の添加比率を小さくするために
は、化合物(a)は結晶性の高い化合物(融解のエンタ
ルピーが大きいこと)、もしくは、結晶相への転移温度
が母剤の液晶組成物より高温であるか、さらにはその両
性質を備えていることがより好ましい。このような状況
においても、化合物(a)の配合量は前記相溶限界の4
0%以上相溶限界未満とすると、実用上での配向均一性
向上の効果を得ることが出来る。
【0034】相溶限界のある化合物とは、ベースとなる
液晶の使用下限温度、例えば−20℃において、ベース
となる液晶を含む混合系中での相溶可能な限度となる配
合率が20重量%以下、詳しくは10重量%以下である
化合物のことをいう。
【0035】本発明では化合物(a)として、前述した
ように結晶性の高い化合物、即ち融解のエンタルピーが
大きい化合物を好ましく用いることができる。具体的に
は、融解のエンタルピーΔHが25J/g以上の化合物
を好ましく用いることができる。
【0036】また、化合物(a)として、結晶相または
液晶相への相転移温度が母剤であるコレステリック相を
持たない単一成分または複数成分からなる液晶の相転移
温度(アイソトロピック−スメクチックA相転移温度)
より高いものが、液晶組成物の配向均一性向上の効果を
より高める点で好ましい。
【0037】前記化合物(a)として、好ましくは、中
心部に、置換または無置換の、炭素以外の原子を含んで
いてもよい脂肪族環、芳香族環、またはそれらが縮合し
た環構造、あるいはそれらの環構造が結合基を介して結
合した、または直接結合した構造からなるコア部を有
し、該コア部の両端乃至一方の末端に、無置換あるいは
パーフルオロアルキル基およびパーフルオロアルキレン
基を含まない置換されたアルキル基が、結合基を介して
結合してなるまたは直接結合してなる構造を有するアキ
ラルな化合物一種以上を用いられる。以下に、本発明で
用いることのできる化合物(a)の具体例を列挙する
が、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0038】
【外6】
【0039】本発明で用いる強誘電性液晶組成物には、
必要に応じて前記以外の液晶性化合物、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、色素、顔料等の添加剤を配合してもよい。
【0040】本発明の強誘電性液晶素子を構成する第一
の基板は、通常、電極基板等の所定の基板上の液晶層側
の面に一軸配向処理を施した配向制御層を設けたもので
ある。
【0041】かかる第一の基板において、一軸配向処理
を施す配向制御層は、ポリイミド膜あるいは芳香族ポリ
アミド膜を含み、両基板の表面エネルギーγ1 、γ2
関係γ1 >γ2 を満たすものであれば、特に限定される
ものではない。一軸性の大きな配向制御層として下記一
般式IIに示す構造式を持つポリイミド膜が液晶層に対
する配向規制力を向上させる点でより好ましい。
【0042】
【外7】 (式中Kは
【0043】
【外8】 を表し、L1、L2はそれぞれ独立に
【0044】
【外9】 を表し、M1は単結合または−O−を表し、aは0、
1、2を表す。)また、芳香族ポリアミド膜は、膜形成
過程での焼成温度を低く抑えることが出来る点で好まし
い。
【0045】ポリイミドや芳香族ポリアミドは、溶媒と
してNMP(N−メチルピロリドン)のような汎用性の
高い溶剤を用いることが出来る点で好ましい。
【0046】以下に、第一の基板において、一軸配向処
理を施す配向制御層として用いる材料(特に高分子材
料)の具体例を列挙する(なお、高分子材料の繰り返し
単位として示す)。
【0047】
【外10】
【0048】一方、本発明の強誘電性液晶素子におけ
る、第二の基板、即ち一軸配向処理が施されない側の基
板は、例えば、電極基板等の所定の基体と液晶層との界
面となる側に、一軸配向処理を施さない配向制御層とし
てポリイミド膜を形成したもの、シランカップリング処
理がなされたもの、フッ素樹脂による処理(被覆等)が
なされたものである。かかる第二の基板で施される処理
については、両基板の表面エネルギーγ1 、γ2 の関係
がγ1 >γ2 を満たせば特に限定されない。
【0049】以下に、第二の基板において、一軸配向処
理を施さない配向制御層として用いる材料の具体例を列
挙する。
【0050】 ODS−E (商品名:チッソ社製) CH3 (CH217Si(OC253 TSL 8233 (商品名:東芝シリコーン社製) CF3 (CF27 CH2 CH2 Si(OMe)3 TSL8257 (商品名:東芝シリコーン社製) CF3 (CF25 CH2 CH2 Si(OMe)3
【0051】
【外11】
【0052】上述したような第一の基板及び第二の基板
において、素子の駆動特性による配向欠陥の存在を問題
がない程度にするべく、各基板の液晶との界面側の表面
エネルギーγ1 、γ2 に関して、γ1 −γ2 >9(dy
ne/cm)となるように両基板(配向制御層)を設計
することが好ましい。また、配向欠陥をより低減させる
べく、γ1 −γ2 >17(dyne/cm)となるよう
に両基板(配向制御層)を設計することが特に好まし
い。
【0053】前記一般式(I)で表される液晶材料の表
面エネルギーは低く、後述の測定法では例えば15〜2
5(dyne/cm)程度となる。これは、その構造中
にフッ素原子を含有しているためと考えられる。一般に
良く知られているフッ素原子を含有しない液晶材料の表
面エネルギーは30〜40(dyne/cm)程度であ
る。
【0054】一方、配向膜の表面エネルギーγALG と液
晶の表面エネルギーγLCの関係が、γALG >γLCの時は
水平配向に、γALG >γLCの時は垂直配向になると見ら
れ、一般的な強誘電性液晶素子における配向状態である
水平配向状態を安定に得るためには、配向膜の表面エネ
ルギーを液晶の表面エネルギーよりも大きくすることが
好ましい。
【0055】さらに水平配向状態をより安定化するため
には、第一の基板側においてγ1 −γLCの値が10(d
yne/cm)程度以上であることがより好ましい。
【0056】本明細書中に記載された表面エネルギーは
以下の測定法を用いて測定された。
【0057】(配向膜の表面エネルギー)協和界面化学
(株)製の接触角測定装置、形式CA−DTを用いた。
【0058】まず配向膜が形成されたガラス基板を用意
し、その膜上にα−ブロモナフタレン、ヨウ化メチレ
ン、純水を垂らし、各々と配向膜界面の接触角θ1 、θ
2 、θ3 を測定した。そしてθ1 、θ2 、θ3 をそれぞ
れ以下の数式に代入することにより配向膜の表面エネル
ギーの分散項γS d、極性項γs p、水素結合項γs hを算出
した。本明細書中に記載の表面エネルギーγ1 、γ2
は、それぞれγs d +γs p+γs h により算出されてい
る。
【0059】
【外12】 上記数式中 44.6はα−ブロモナフタレンの表面エネルギー 46.8はヨウ化メチレンの表面エネルギーの分散項 4.0はヨウ化メチレンの表面エネルギーの極性項 29.1は純水の表面エネルギーの分散項 1.3は純水の表面エネルギーの極性項 42.4は純水の表面エネルギーの水素結合項 である。
【0060】(液晶の表面エネルギー)白金リング法で
測定した。すなわち、ヒーター上に液晶を垂らし、等方
相に転移させる。この状態の液晶を白金リングで引き上
げ、液晶が切れる引き上げ力を測定した。この測定結果
を同じ装置の純粋のデータで校正し液晶の表面エネルギ
ーγLCを求めた。
【0061】以下、図1を参照して本発明の液晶素子の
構造の好ましい具体例(液晶セルの構成)を説明する。
【0062】11a、11bはガラス基板、12a、1
2bは酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(I
TO)等の透明電極である。13aはラビング等の一軸
配向処理が施されたポリイミド等の配向膜(配向制御
層)、13bは一軸配向処理をほどこさないシランカッ
プリング剤、ポリイミド、ポリシロキサン等の配向膜、
14はシリカ等のスペーサビーズ、15は強誘電性液晶
組成物を用いた液晶層、16a、16bは偏光板、17
はシール剤である。図1には記載していないが、ITO
と配向膜間に上下基板のショート防止層として、Zn
O、ZrO、TaOx等の絶縁膜を設けても良い。本例
において、配向制御層13a側の表面エネルギーγ1
13b側の表面エネルギーγ2 との関係はγ1 >γ2
ある。また、液晶層15としてコレステリック相を持た
ない単成分もしくは複成分からなるスメクチック相更に
好ましくは前述した化合物(a)を相溶限界の20%以
上、相溶限度未満添加したものを用いる。
【0063】上記構成の液晶素子は、透明電極12a、
12bがリード線を介して信号電源に接続され(図示せ
ず)、該信号電源からのスイッチング信号に応じてスイ
ッチングが行われ、例えば表示素子等のライトバルブと
して機能する。また、透明電極12a、12bを上下基
板間でクロスにマトリクス配置すれば、パターン表示、
パターン露光が可能となり、例えばパーソナルコンピュ
ータ、ワードプロセッサ等のディスプレイ、プリンタ用
ライトバルブとして用いられる。
【0064】上記構成の液晶素子では、配向制御層13
aには、前述したように容易に形成されやすく、配向制
御能力が高いとの面でポリアミック酸溶液を塗布、焼成
して形成されるポリイミドの一軸配向処理膜、特にラビ
ング処理膜が好ましく用いられる。用いられるポリイミ
ドとしては本発明のカイラルスメクチック液晶組成物を
配向させやすい分子構造として、剛直性、直線性、結晶
性の高いものが好ましく具体的には、前述した一般式I
Iで表される繰り返し単位構造を有するポリイミドが好
ましく用いられ得る。
【0065】また、配向制御層13aには、前述したよ
うに、芳香族ポリアミドの一軸配向処理膜も好ましく用
いられ得る。
【0066】尚、本発明の液晶素子は、上述したような
基板構成において、前記強誘電性液晶組成物を用い該組
成物からなる液晶層を制御して所定の機能を付与する構
成であれば、その構造は特に限定されない。
【0067】本発明の液晶素子を表示パネル部に使用
し、図4、図5に示した走査線アドレス情報をもつ画像
情報なるデータフォーマット及びSYN信号による通信
同期手段を取ることにより液晶組成物を自在に制御して
表示画像を得る液晶表示装置を実現する。図中の符号は
それぞれ以下のとおりである。 101 液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 操作信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0068】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックコントローラ102にて行われ、図4及び図5に示
した信号転送手段にしたがって、表示パネル103へと
転送される。グラフィックコントローラ102は、CP
U(中央演算処理装置、GCPUと略す。)及びVRA
M(画像情報格納用メモリ)114を核にホストCPU
113と液晶表示装置101間の画像情報の管理や通信
をつかさどっている。なお、該表示パネルの裏面には、
光源が配置されている。
【0069】本発明の表示装置では、表示媒体である液
晶組成物がカイラルスメクチック相を示し、ブックシェ
ルフ、またはそれに近い層傾き角の小さな構造の液晶層
となり、特にその配向状態もより良好となり、応答性が
よく、高精細、高輝度、コントラストに優れた、大面積
での良好な表示画像を得ることができる。
【0070】
【実施例】以下、本発明を実験例に沿って詳細に説明す
る。
【0071】実験例で用いた液晶組成物の処方を以下の
表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】(実験例1)透明電極として約150nm
の厚さのITO膜を有する、厚さ1.1mmのガラス基
板を用意した。
【0074】まず、一方の基板(第一の基板)にスピン
コート法により、ポリイミド配向制御膜を形成した。即
ち、2700rpmの速度で回転しているガラス基板に
ポリアミック酸溶液(東レ社製LP64(商品名)の
0.7重量%NMP(N−メチルピロリドン)/nBC
(n−ブチルセロソルブ)=2:1溶液)を垂らし、そ
のまま20秒回転させた。その後80℃で5分間前乾燥
を行った後、270℃で1時間加熱焼成処理を施した。
なお、かかる方法により形成したポリイミド膜の膜厚は
5nmであった。次に、一軸配向処理として、一方向に
ナイロン布によるラビング処理を施した。この基板の一
軸配向処理面における表面エネルギーは50(dyne
/cm)であった。
【0075】次に、他方の基板(第二の基板)にはスピ
ンコート法により、シランカップリング剤からなる膜を
形成した。即ち、200rpmの速度で回転しているガ
ラス基板にシランカップリング剤溶液(チッソ社製OD
S−E(商品名)の0.5重量%エタノール溶液)を垂
らし、そのまま20秒回転させた。その後80℃で5分
間前乾燥を行った後、180℃で1時間加熱焼成処理を
施した。この基板の上記処理面における表面エネルギー
は30(dyne/cm)であった。
【0076】続いて、一軸配向処理を施した第一のガラ
ス基板上にスペーサとして平均粒径約2.0μmのシリ
カビーズを散布し、他方のガラス基板と重ね合わせシー
ル材で接着することによりセルを作製した。
【0077】上記表1の処方により液晶組成物(混合液
晶)を調製した結果、いずれもコレステリック相を持た
なかった(コレステリック相を示す温度範囲を持たなか
った)。これらの液晶組成物a、bを上記セルに等方相
で真空注入してから4℃/minで室温まで徐冷するこ
とによって配向させた。
【0078】このようにして作製した液晶素子(液晶セ
ル)内の液晶分子の配向状態を偏光顕微鏡で観察したと
ころ、配向欠陥は見られなかった。次にコントラストを
測定した結果を以下の表2に記する。この結果により、
コレステリック相を持たない液晶を封入した液晶素子に
おいて、2枚の基板の表面エネルギーに差を持たせ、一
軸配向処理基板側を高表面エネルギーとすることによっ
て、均一な配向及び高いコントラストが達成されること
がわかる。
【0079】ここで、本発明でのコントラスト測定法を
説明する。
【0080】まず、クロスニコルに配置された偏向板間
に液晶素子を挟み、図6(A)に示す駆動波形(20V
/μm、1/3バイアス、1000デューティーのパル
ス)を印加する。次に、パルス幅を変化させ、双安定反
転の閾値パルス幅において駆動時の最暗透過光強度が得
られる角度に素子を回転し、その時の透過光強度(図6
(B)に示すIb)、及び、その配置において液晶分子
が反転した時の透過光強度(図6(B)に示すIw)を
フォトダイレクタで検出し、その比(Iw/Ib)をコ
ントラストの評価値(CR)とした。均一な配向が得ら
れていない時は、欠陥からの光漏れによりIbの値が大
きくなり、その結果CRの値は小さくなる。
【0081】(実験例2)第二の基板に、シランカップ
リング剤(東芝シリコーン社製TSL8233(商品
名))を用いて膜を形成した以外は、実験例1と同様に
セルを作製し、液晶組成物a、bを注入した。
【0082】コントラストの測定結果を下記表2に併記
する。配向均一性は良好で、高いコントラストが得られ
た。なお、TSL8233により処理した基板の表面エ
ネルギーは23(dyne/cm)であった。
【0083】(実験例3)第二の基板に、日立化成社製
LQ1802(商品名)を用いて、厚さ5nmのポリイ
ミド膜を形成した以外は実験例1と同様にセルを作製
し、液晶組成物a、bを注入した。第2の基板にはラビ
ング等の一軸配向処理を施さない。
【0084】コントラストの測定結果を下記表2に併記
する。配向均一性は良好で、高いコントラストが得られ
た。なお、LQ1802により処理した基板の表面エネ
ルギーは33(dyne/cm)であった。
【0085】(実験例4)透明電極として約150nm
の厚さのITO膜を有する、厚さ1.1mmのガラス基
板を用意した。
【0086】まず、一方の基板(第一の基板)にスピン
コート法により、ポリイミド配向制御膜を形成した。即
ち、2700rpmの速度で回転しているガラス基板に
ポリアミック酸溶液(東レ社製LP64(商品名)の
0.7重量%NMP(N−メチルピロリドン)/nBC
(n−ブチルセロソルブ)=2:1溶液)を垂らし、そ
のまま20秒回転させた。その後80℃で5分間前乾燥
を行った後、270℃で1時間加熱焼成処理を施した。
なお、かかる方法により形成したポリイミド膜の膜厚は
5nmであった。次に、一軸配向処理として、一方向に
ナイロン布によるラビング処理を施した。この基板の一
軸配向処理面における表面エネルギーは50(dyne
/cm)であった。
【0087】次に、他方の基板(第二の基板)にはスピ
ンコート法により、シランカップリング剤からなる膜を
形成した。即ち、2700rpmの速度で回転している
ガラス基板にポリアミック酸溶液(東レ社製LP64
(商品名)の0.7重量%NMP/nBC=2:1溶
液)を垂らし、そのまま20秒回転させた。その後80
℃で5分間前乾燥を行った後、270℃で1時間加熱焼
成処理を施し厚さ5nmのポリイミド膜を形成した。ラ
ビング処理は施さなかった。この基板の上記処理面にお
ける表面エネルギーは48(dyne/cm)であっ
た。
【0088】続いて、一軸配向処理を施した第一のガラ
ス基板上にスペーサとして平均粒径約2.0μmのシリ
カビーズを散布し、他方のガラス基板と重ね合わせシー
ル材で接着することによりセルを作製した。
【0089】液晶組成物aを上記セルに等方相で真空注
入してから4℃/minで室温まで徐冷することによっ
て配向させた。
【0090】このようにして作製した液晶素子(液晶セ
ル)内の液晶分子の配向状態を偏光顕微鏡で観察したと
ころ、バトネ接合部に若干の配向欠陥が見られた。次に
コントラストを測定した結果を以下の表2に併記する。
この結果より、コレステリック相を持たない液晶を封入
した液晶素子において、2枚の基板の表面エネルギーの
差が小さい場合は、2枚の基板の表面エネルギーの差が
大きい場合に比べて、バトネ接合部の配向欠陥からの光
漏れによりコントラストが比較的悪いことがわかる。
【0091】(実験例5)第二の基板に、シランカップ
リング剤MAP(構造式:CH3 NH(CH23 Si
(OCH33 )を用いて膜を形成した以外は実験例1
と同様にセルを作製し、液晶組成物aを注入した。第二
の基板にはラビング等の一軸配向処理を施さない。
【0092】コントラストの測定結果を下記表2に併記
する。かかる液晶セルでは配向欠陥が生じ、コントラス
トが低い。なお、MAPにより処理した基板の表面エネ
ルギー55(dyne/cm)であった。
【0093】(実験例6)第二の基板に、日立化成社製
LQ1802(商品名)を用いて、厚さ5nmのポリイ
ミド膜を形成し、該ポリイミド膜上に一軸配向処理とし
て一方向にラビング処理を施した以外は実験例1と同様
にセルを作製し、液晶組成物aを注入した。第一の基板
と第二の基板はラビング方向がほぼ平行になるように貼
り合わせた。
【0094】コントラストの測定結果を下記表2に併記
する。配向欠陥があり、コントラストが低い。なおLQ
1802によりポリイミド膜を設け、ラビング処理した
基板の表面エネルギーは41(dyne/cm)であっ
た。
【0095】(実験例7)透明電極として約150nm
の厚さのITO膜を有する、厚さ1.1mmのガラス基
板を用意した。
【0096】まず、一方の基板(第一の基板)にスピン
コート法により、芳香族ポリアミド配向制御膜を形成し
た。即ち、3000rpmの速度で回転しているガラス
基板に下記構造式の芳香族ポリアミド(PA−1)の
0.7重量%NMP/nBC=1:1溶液を垂らし、そ
のまま20秒回転させた。その後80℃で5分間前乾燥
を行った後、270℃で1時間加熱焼成処理を施した。
なお、かかる方法により形成した芳香族ポリアミド膜の
膜厚は5nmであった。次に、一軸配向処理として、一
方向にナイロン布によるラビング処理を施した。この基
板の一軸配向処理面における表面エネルギーは46(d
yne/cm)であった。
【0097】
【外13】
【0098】次に、他方の基板(第二の基板)にはスピ
ンコート法により、シランカップリング剤からなる膜を
形成した。即ち、2000rpmの速度で回転している
ガラス基板にシランカップリング剤溶液(チッソ社製O
DS−E(商品名)の0.5重量%エタノール溶液)を
垂らし、そのまま20秒回転させた。その後80℃で5
分間前乾燥を行った後、180℃で1時間加熱焼成処理
を施した。この基板の上記処理面における表面エネルギ
ーは30(dyne/cm)であった。
【0099】続いて、一軸配向処理を施した第一のガラ
ス基板上にスペーサとして平均粒径約2.0μmのシリ
カビーズを散布し、他方のガラス基板と重ねあわせシー
ル材で接着することによりセルを作製した。
【0100】次に液晶組成物a、bを上記セルに等方相
で真空注入してから4℃/minで室温まで徐冷するこ
とによって配向させた。
【0101】このようにして作製した液晶素子(液晶セ
ル)内の液晶分子配向状態を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、配向欠陥は見られなかった。次にコントラストを測
定した結果を以下の表3に記する。実験例1同様、コレ
ステリック相を持たない液晶を封入した液晶素子におい
て、2枚の基板の表面エネルギーに差を持たせ、一軸配
向処理基板側を高表面エネルギーとすることによって、
均一な配向及び高いコントラストが達成されることがわ
かる。
【0102】また上記PA−1のような芳香族ポリアミ
ドは、ナイロン6/6などの脂肪族ポリアミドと異な
り、溶媒として一般的なNMPを用いることが出来る点
で好ましい。
【0103】(実験例8)第一の基板に下記構造のポリ
イミド(PI−1)膜を設け、ラビング処理を施した以
外は、実験例1と同様にセルを作製し、液晶組成物a、
bを注入した。
【0104】コントラストの測定結果を下記表3に併記
する。配向均一性は良好で高いコントラストが得られ
た。なお、下記構造のポリイミド膜のラビング後の表面
エネルギーは48(dyne/cm)であった。
【0105】
【外14】
【0106】(実験例9)第一の基板に下記構造のポリ
イミド(PI−2)膜を設け、ラビング処理を施した以
外は、実験例1と同様にセルを作製し、液晶組成物a、
bを注入した。
【0107】コントラストの測定結果を下記表3に併記
する。配向均一性は良好で高いコントラストが得られ
た。なお、下記構造のポリイミド膜のラビング後の表面
エネルギーは49(dyne/cm)であった。
【0108】
【外15】
【0109】(実験例10)実験例1と同様の方法で液
晶セルを作製した。但し、ラビング処理は一方向及びこ
れとほぼ逆方向の正逆2方向に施した。
【0110】コントラストの測定結果を下記表3に併記
する。配向均一性は良好で高いコントラストが得られ
た。なお、第一の基板の正逆両方向ラビング後の表面エ
ネルギーは51(dyne/cm)であった。
【0111】上記実験例のうち本発明の実施例は1、
2、3、4、6、7、8、9、10、である。
【0112】実験例5は本発明の構成要件であるγ1
γ2 の関係を満たしておらず、コントラストが低い。
【0113】実験例4及び実験例6は、本発明の実施例
である。コントラストは実験例5と比較するとコントラ
ストが改善されているが、γ1 −γ2 の値が大きなその
他の実施例の方がより高いコントラストが得られている
ことが明らかとなっている。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液晶素子
によれば、コレステリック相を持たない液晶に帯し、液
晶素子を構成する基板の液晶層接触面側における表面エ
ネルギー、及び配向処理条件を上述したようにすること
に起因して、第一の基板及び第二の基板間において、液
晶組成物、特に強誘電性液晶組成物が、前述したブック
シェルフ構造またはそれに近い層傾き構造の良好な液晶
層を安定にとり得る。
【0117】さらに、本発明の液晶素子によれば、特に
優れた配向状態をとり、高コントラストであり、高速応
答性に優れ、特に表示に関しては高精細、高輝度の強誘
電性液晶素子が提供される。
【0118】加えて、本発明によれば、前記一般式Iで
表わされる液晶化合物を含む液晶組成物を用いることに
より、特に優れた性能を有し大画面化が実現された液晶
素子、及び該液晶素子を用いた優れた表示特性を有する
表示装置が提供され、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電性液晶組成物を用いた液晶素子
の一例の断面概略図である。
【図2】液晶の各相における液晶分子の状態を示す説明
図である。
【図3】コレステリック相を持たない液晶の相転移過程
を模式的に示す図である。
【図4】本発明の強誘電性液晶組成物を用いた液晶素子
を備えた表示装置とグラフィックコントローラを示すブ
ロック図である。
【図5】表示装置とグラフィックコントローラとの間の
画像情報通信タイミングチャートを示す図である。
【図6】(A)は本発明の実施例において、コントラス
ト測定に採用した駆動波形を示す図である。(B)は本
発明の実施例において、コントラスト測定で検出される
透過光強度を示す図である。
【符号の説明】
11a、11b ガラス基板 12a、12b 透明電極 13a、13b 配向膜 14 スペーサビーズ 15 強誘電性液晶組成物を用いた液晶層 16a、16b 偏向板 17 シール剤 101 液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 操作信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生装置 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 520 G02F 1/1337 510

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する第一の基板及び第二の基板間に
    コレステリック相を持たない単一成分または複数成分か
    らなる液晶を含む液晶組成物を配置してなる液晶素子で
    あって、 第一の基板及び第二の基板の液晶組成物に接する面の各
    表面エネルギーγ1 、γ2 (dyne/cm)の関係が
    γ1 >γ2 であり、且つ、第一の基板はポリイミド膜乃
    至芳香族ポリアミド膜を有し、第一の基板の液晶組成物
    に接する面のみ一軸配向処理を施したことであり、前記
    一軸配向処理とは一方向及びこれとほぼ逆方向の正逆2
    方向に施されるラビング処理であることを特徴とする液
    晶素子。
  2. 【請求項2】 γ1 ≧40(dyne/cm)であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 γ1 ≧45(dyne/cm)であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 γ1 −γ2 >9(dyne/cm)であ
    ることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 γ1 −γ2 >17(dyne/cm)で
    あることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記コレステリック相を持たない単一成
    分または複数成分からなる液晶は、下記一般式Iで表さ
    れる化合物少なくとも一種を含有することを特徴とする
    請求項1記載の液晶素子。 〔一般式I〕 P−Q−A−W−B−(T−D)n −U−V (A、B、Dはそれぞれ同一もしくは異なる芳香族環、
    複素環、脂肪族環あるいはそれらの縮環構造を表わし、
    それらの環は置換されていてもよい。Q、W、Tは、そ
    れぞれ同一もしくは異なり、単結合、−O−、−COO
    −、−OCO−、−C≡C−、−CONR−、−NRC
    O−、−NR−、−CH2 −、−CH=N−、−N=C
    H−、−CH=CH−、−COS−、−SCO−、−C
    2 CH2−、−CH2 O−、−OCH2 −を表わす。
    Rはアルキル基を表わす。Pは置換されていてもよいア
    ルキル基を表わす。nは0、1または2を表わす。Uは
    −CO−Cm2m−、−O−Cm2m−、−Cm2m
    O−、−Cm2mO−、−Cm2m−、−OSO2 −、
    −SO2 O−、−SO2 −、−SO2 −Cm H2m−、−
    O−Cm2m−O−Cm2m−、−Cm2mSO2 −、
    −Cm2m−O−Cm2m−O−、−Cm2m−N(C
    m' H2m'+1)−SO2 −、−Cm2m−NC
    m'2m'+1)−CO−、−SO2 −N(Cm'2m'+1
    −Cm2m−、−CO−N(Cm'2m'+1)−Cm2m
    −を表わし、m、m′はそれぞれ同一もしくは異なる1
    から20までの整数を表わす。Vは、−(Cp2pO)
    qr2r+1を表わす。pはqが複数の場合それぞれの
    (Cp2pO)に対して独立に1から10の整数であ
    り、qが1の場合1から10の整数である。qは1から
    6の整数である。rは1から10の整数である。)
  7. 【請求項7】 前記液晶組成物において、コレステリッ
    ク相を示さない単一成分または複数成分からなる液晶に
    対し、相溶限界を有する化合物(a)を、該相溶限界の
    20%以上、該相溶限界未満添加することを特徴とする
    請求項1または6記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記化合物(a)として、中心部に、置
    換または無置換の、炭素以外の原子を含んでいてもよい
    脂肪族環、芳香族環、またはそれらが縮合した環構造、
    あるいはそれらの環構造が結合基を介して結合した、ま
    たは直接結合した構造からなるコア部を有し、該コア部
    の両端乃至一方の末端に、無置換あるいはパーフルオロ
    アルキル基及びパーフルオロアルキレン基を含まない置
    換されたアルキル基が、結合基を介して結合してなるま
    たは直接結合してなる構造を有するアキラルな化合物一
    種以上を用いることを特徴とする請求項7記載の液晶素
    子。
  9. 【請求項9】 前記相溶限界を有する化合物(a)は、
    融解エンタルピーΔHが25J/g以上の化合物である
    ことを特徴とする請求項7記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記相溶限界を有する化合物(a)
    は、コレステリック相を持たない単一成分または複数成
    分からなる液晶のアイソトロピック−スメクチックA相
    転移温度より高い、アイソトロピック−液晶相転移温度
    またはアイソトロピック−結晶相転移温度を有すること
    を特徴とする請求項7記載の液晶素子。
  11. 【請求項11】 前記液晶組成物において、前記相溶限
    界を有する化合物(a)を、該相溶限界の40%以上、
    該相溶限界未満添加することを特徴とする請求項7記
    の液晶素子。
  12. 【請求項12】 前記液晶組成物は、カイラルスメクチ
    ック液晶である請求項1記載の液晶素子。
  13. 【請求項13】 前記液晶組成物は、強誘電性液晶であ
    る請求項1記載の液晶素子。
  14. 【請求項14】 前記第一の基板が、下記一般式IIで
    表わされる繰り返し単位を有するポリイミドを含む膜を
    有することを特徴とする請求項1または13記載の液晶
    素子。 【外1】 (式中Kは 【外2】 を表し、L1、L2はそれぞれ独立に 【外3】 を表し、M1は単結合または−O−を表し、aは0、
    1、2を表す。)
  15. 【請求項15】 請求項1記載の液晶素子と、該液晶素
    子を駆動する手段とを有してなる液晶装置。
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