JP3149185B2 - エンテロキナーゼのクローニングおよび使用方法 - Google Patents

エンテロキナーゼのクローニングおよび使用方法

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JP3149185B2 JP51351894A JP51351894A JP3149185B2 JP 3149185 B2 JP3149185 B2 JP 3149185B2 JP 51351894 A JP51351894 A JP 51351894A JP 51351894 A JP51351894 A JP 51351894A JP 3149185 B2 JP3149185 B2 JP 3149185B2
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
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    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6424Serine endopeptidases (3.4.21)
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/14Prodigestives, e.g. acids, enzymes, appetite stimulants, antidyspeptics, tonics, antiflatulents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、一般的には、エンテロキナーゼ活性のクロ
ーニングならびに発現、およびその製造ならびに使用方
法に関する。
発明の背景 組み換え蛋白製造のための道具としての融合蛋白の使
用は、生物医薬産業においてよく知られている。所望組
み換え蛋白の暗号配列を十分に発現される遺伝子と融合
させることはいくつかの利点を有する。大部分の融合蛋
白製造方法は、十分に翻訳されることが知られ、高発現
レベルを保証しうる「証明された」遺伝子配列上で翻訳
開始を起こさせる、高度に発現される融合相手のC末端
に対象蛋白を置く。いくつかの融合相手は、特異的細胞
局在化、精製もしくは検出を補助するためのアフィニテ
ィーリガンドへの結合、および蛋白分解に対する安定性
ならびにコンフォーメーション上の安定性のごとき多く
の有利な特質を融合蛋白に与える。
融合蛋白は多くの利点を提供するが、その共有結合に
由来する2個(またはそれ以上)の成分を分離すること
が必要となる場合、この蛋白ドメインの有益な物理的連
結もまた問題となりうる。蛋白の開裂方法は、特異的か
つ効果的でなければならず、所望でない副産物を生じて
はならない。このことは、ヒト用の生物医薬製造のため
に融合蛋白によるアプローチを用いる場合には、特に重
要である。理想的には、最も有用な方法は、内部蛋白配
列に関係なく、そして/または融合相手の組成に関係な
く、特異的な標的配列において開裂を起こさせる。その
方法は、真正なN−およびC−末端を伴った開裂生成物
を生じるべきであり、所望蛋白生成物を修飾またはこれ
に付加物を添加するものであってはならず、さらに、反
応成分が開裂反応に重大な影響を及ぼすことなく融合蛋
白の物理的性質に適合できるように広範囲の反応条件に
耐えるべきである。さらに、生物医薬の製造および適用
については、感染性因子による汚染の心配があるため、
開裂試薬は動物起源由来であってはならない。
かかる「普遍的な」融合蛋白開裂方法のための理想的
な選択は、哺乳動物酵素エンテロキナーゼ(エンテロペ
プチダーゼ)の使用である。エンテロキナーゼは、トリ
プシノーゲンの生理学的アクチベーターであり、高い特
異性で配列(Asp4)−Lysの後ろを開裂する。ライト(L
ight)ら,ジャーナル・オブ・プロテイン・ケミストリ
ー(J.Protein Chem.)第10巻:475〜480頁(1991年)。
エンテロキナーゼにより認識されるアミノ酸配列をコー
ドするリンカーDNA配列を含むように配合蛋白を設計す
ることことが可能である。例えば、ボレン(Bollen)
ら,USPN4,828,988(1988年5月9日);ルッター(Rutt
er),USPN4,769,326(1988年9月6日);およびメイン
(Mayne)ら,USPN4,745,069(1988年5月17日)参照。
しかしながら、15年以上も前のウシ・エンテロキナーゼ
の部分精製以来、いくつかの異なる研究グレープにより
非常な研究努力がなされてきたが、エンテロキナーゼの
クローニングにはだれも成功していない。ブタ・エンテ
ロキナーゼは、1970年代初期にはじめて単離され(マル
ー(Maroux)ら,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー(J.Biol.Chem.)第246巻:5031頁(1971
年))、ウシ(アンダーソン(Anderson)ら,バイオケ
ミストリー(Biochemistry)第16巻:3354頁(1977
年))およびヒト(グラント(Grant)ら,バイオケミ
カル・ジャーナル(Biochem.J.)第155巻:243頁(1976
年))のエンテロキナーゼは1970年代後期に単離され
た。リープニークス(Liepnieks)ら,ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー第254巻:1677頁(19
79年)に、35%の炭水化物を有し、1個またはそれ以上
のジスルフィド結合により結合した重鎖(分子量11500
0)および軽鎖(分子量35000)を有する分子量150000の
エンテロキナーゼが記載された。軽鎖、すなわち触媒サ
ブユニットに関する継続した研究が、ライトら,ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー第259巻:13
195頁(1984年)において報告された。より最近になっ
て、ライトら,ジャーナル・オブ・プロテイン・ケミス
トリー第10巻:475頁(1991年)に、不正確な部分アミノ
末端配列であると後になってわかったウシ・エンテロキ
ナーゼの触媒サブユニットについての配列が開示され
た。現在まで、組み換え的に生産されたエンテロキナー
ゼ活性を得ることは不可能であり、かかる産物の必要性
が存在し続ける。
簡単な要約 本発明は、エンテロキナーゼ活性をコードしている新
規精製核酸配列を提供する。詳細には、ヒトおよびウシ
・エンテロキナーゼを包含し、触媒軽鎖ならびに重鎖の
一部をコードしている配列番号:1に示す核酸配列からな
る哺乳動物エンテロキナーゼ活性が提供される。該配列
は2581個のヌクレオチドからなり、触媒ドメイン、すな
わちヌクレオチド1691ないし2398を含む。このエンテロ
キナーゼ活性をコードし、pEK−2/GI734と命名されたプ
ラスミド中に含まれているヌクレオチド配列は、1993年
2月2日に、受託暗号69232として、アメリカン・タイ
プ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。
さらなる具体例において、本発明は、エンテロキナーゼ
活性を有する新規配列の発現産物からなる。
ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)ならびにヌク
レオチドからデノボ化学合成により調製されたDNAなら
びに欠失または変異、対立遺伝子変種配列、および緊縮
条件下でそれにハイブリダイズする配列(もしくは遺伝
暗号の縮重がなければハイブリダイズする配列)もま
た、上記エンテロキナーゼ活性を有するポリペプチドを
コードしているかぎり本発明の範囲内である。さらに、
エンテロキナーゼにより認識される特異的開裂部位の変
更を可能にするエンテロキナーゼの触媒部位の修飾を有
する形態も包含される。さらに、それらのDNA配列に対
応した新規メッセンジャーRNA(mRNA)配列も提供され
る。
本発明により提供される核酸配列と、プロモーター、
オペレーター、レギュレーター等のごとき同種または異
種の発現調節配列との結合は、対応mRNAへのインビボお
よびインビトロ転写を可能にし、次いで、エンテロキナ
ーゼ活性を有する多量の蛋白および関連ポリ−ならびに
オリゴ−ペプチドの翻訳を可能にする。本発明の好まし
い発現系において、例えば、プロテアーゼ活性を有する
エンテロキナーゼポリペプチドを提供するために、真核
細胞中での転写および翻訳を可能にする調節プロモータ
ー配列に、作動するように連結される。所望により、新
規核酸配列がエンテロキナーゼの重鎖および軽鎖の両方
をコードしていてもよく、あるいは驚くべきことに、や
はりエンテロキナーゼ活性を提供する軽鎖のみをコード
していてもよい。本発明エンテロキナーゼ活性が、それ
ぞれがエンテロキナーゼ活性の1部またはそれ以上の部
分からなる1種またはそれ以上の発現ベクターから生じ
てもよく、あるいはまた、エンテロキナーゼ活性が、そ
れぞれがエンテロキナーゼ活性の全部または一部を発現
する1種またはそれ以上の細胞系中に含有される1種ま
たはそれ以上の発現ベクターから生じてもよい。かくし
て、所望ならば、重鎖および軽鎖は、別々の細胞系にお
いて別々に発現されてもよい。さらに、エンテロキナー
ゼ活性が、例えばチオレドキシンを融合相手とする融合
蛋白として生産されてもよい。所望により、融合相手
が、PACE、トリプシノーゲン等のごときさらに別の蛋白
分解酵素の全部または一部であってもよい。実際、かか
るエンテロキナーゼ融合蛋白が、成分蛋白ドメイン間に
開裂部位を有し、そのことにより、自己触媒的プロセッ
シングが可能となり、2個のドメインが分離され、成熟
した活性のあるエンテロキナーゼが得られる。
標準的な形質転換およびトランスフェクション法によ
り、これらの配列を原核および真核宿主細胞中に取り込
ませることもまた、本発明の範囲内であり、組織起源か
ら得られるエンテロキナーゼよりも非常に多量の有用な
エンテロキナーゼが供給されると期待される。本発明発
現産物にさらなる生物学的活性を付与することが必要な
場合には、適当な宿主細胞を使用することにより、かか
る翻訳後の修飾、例えば、切形、グリコシレーション等
が提供される。かかる適当な宿主細胞は、例えば、イー
・コリ(E.Coli)、CHO、酵母、および鱗翅目細胞を包
含する。
本発明新規蛋白生成物は、配列番号:2に示すものと実
質的に同じ配列からなるエンテロキナーゼの1次構造コ
ンフォーメーション(すなわち、アミノ酸配列)を有す
る蛋白生成物を包含する。本発明の好ましい具体例は、
配列番号:2に示すものと実質的に同じ配列からなり、特
別には、アミノ酸564ないし798からなる。かかる生成物
に対する抗体も提供される。
さらに、本発明により、本発明新規蛋白生成物を用い
る融合蛋白の開裂方法も提供される。これらの蛋白生成
物は、重鎖および軽鎖の両方を含んでいてもよく、ある
いは軽鎖のエンテロキナーゼ活性のみでもよい。軽鎖の
みのものはエンテロキナーゼの「可溶性」形態であり、
インビボにおいて膜への錨として作用すると考えられて
いる非酵素的な重鎖を欠いている。驚くべきことに、こ
の形態(軽鎖のみ)のエンテロキナーゼは、トリプシノ
ーゲンに対してはあまり有効でない酵素であるが、融合
蛋白に対してはずっと有効である。融合蛋白構成員の1
つがそれ自体エンテロキナーゼ活性である製造方法も提
供される。それにより、計画的に設けられたエンテロキ
ナーゼ認識部位における融合蛋白ドメインの開裂の際
に、開裂のたびごとにさらなるエンテロキナーゼ活性が
生じてさらに融合蛋白を開裂する。
本発明新規蛋白生成物を投与することからなる、低レ
ベルのエンテロキナーゼ活性に関連す消化疾患を治療す
るための方法および医薬組成物も提供される。
本発明の他の態様および利点は、添付した配列表を参
照にした本発明の実施に関する多くの説明的な例を含む
以下の詳細な説明を考慮すれば明らかであろう。
配列番号:1は、2581個のヌクレオチド配列を示し、配
列番号:2は、ウシ・エンテロキナーゼの非触媒ドメイン
(重鎖)および触媒ドメイン(軽鎖)の推定アミノ酸配
列を示す。軽鎖は、ヌクレオチド1691ないし2398(アミ
ノ酸564ないし798)によりコードされ、エンテロキナー
ゼ重鎖のC末端部分はヌクレオチド1から1690まで伸長
している。
詳細な説明 本発明は、組み換え的に生産されたエンテロキナーゼ
活性ならびにエンテロキナーゼの製造方法および使用方
法を提供する。本明細書に用いるエンテロキナーゼ活性
とは、特異的な部位におけるペプチドまたは蛋白基質を
開裂する能力を意味する。蛋白基質に関しては、この配
列は一般的に、下記の配列、(Asp4)−Lysまたはライ
ト(Light)ら,アナリティカル・バイオケミストリー
(Anal.Biochem.)第106巻:199頁(1980年)に記載され
た配列のごとき同様の配列(正に荷電したアミノ酸があ
とに続く負に荷電したアミノ酸クラスター)である。典
型的には、かかる活性は、エンテロキナーゼでN末端プ
ロペプチド((Asp4)−Lysを含んでいる)を開裂する
ことによりトリプシノーゲンの活性化を行い、次いで、
トシル−アルギニン−メチルエステル(TAME)を用いて
生じた活性トリプシン量をアッセイすることにより測定
される。例えば、マルー(Maroux)らの上記文献参照。
別法として、酵素を、ペプチド基質Gly−(Asp4)−Lys
−β−ナフチルアミドとともにインキュベーションし、
次いで、β−NA(β−ナフチルアミド)残基の遊離によ
り生じる蛍光(励起337nm、エミッション420nm)の増加
を測定することにより、エンテロキナーゼ活性を直接測
定することもできる。例えば、グラント(Grant)ら,
バイオケム・バイオフィジ・アクタ(Biochem.Biophys.
Acta)第567巻:207頁(1979年)参照。ウシ・エンテロ
キナーゼも、TAMEおよびBAEE(ベンジル−アルギニン−
エチル−エステル)のようないくつかのトリプシン基質
に対して活性がある。
最適活性は、ホロ酵素、すなわち酵素の重鎖および軽
鎖2つの鎖に由来すると一般的に考えられているが、出
願人らの発明は、軽鎖のみに由来する蛋白分解活性も提
供する。かくして、本発明に用いるエンテロキナーゼ活
性なる語は、重鎖および軽鎖の両方の存在を要求するの
ではなく、軽鎖のみに由来するものでもよい。
そのうえ、鎖または鎖の領域は1つのベクターの発現
産物である必要はなく、むしろ、それらは別々および個
々に発現されることができる。本明細書に用いる同時ト
ランスフェクションまたは同時発現なる語は、重鎖およ
び/または軽鎖をコードしている適切な核酸配列が、単
一または1種もしくはそれ以上の別々のトランスフェク
ションもしくは発現ベクター上にあってもよい。同時ト
ランスフェクションおよび同時発現に1個またはそれ以
上の重鎖および/または軽鎖配列を用いてもよく、ある
いは欠失および/または変異があるが、なお上記エンテ
ロキナーゼ活性を有している配列を用いてもよい。
本発明の1の具体例において、エンテロキナーゼ活性
は、配列番号:1に示すヌクレオチド配列によりコードさ
れる蛋白であり、成熟触媒ドメイン、すなわち、ヌクレ
オチド1691ないし2398を含む。本明細書に用いる、配列
番号に示すものと「実質的に同じ配列」とは、緊縮条件
下で該配列とハイブリダイズする配列ならびに遺伝暗号
の縮重がなければハイブリダイズするであろう配列を包
含する。緊縮条件は、一般的には、65℃において、0.2x
SSCプラス0.1%SDSである。「実質的に複製」および
「実質的に対応」なる語は、配列番号に記載示したもの
と同じではないが、やはり発現産物、蛋白、および/ま
たはエンテロキナーゼ活性を有する合成ポリペプチドを
生じる配列を包含する。かくして、配列番号:1に示すヌ
クレオチド配列を用いて、エンテロキナーゼ活性をコー
ドしているDNAを単離することができ、同様に、適当な
ベクター、選択マーカーおよび組み換えDNA法を用いて
他の起源からクローン化することができる。対応するcD
NAを適当なmRMA起源から調製することができる。エンテ
ロキナーゼ活性をコードしているゲノムDNAを、cDNAプ
ローブまたはオリゴヌクレオチドプローブを用いてゲノ
ムライブラリーから得てもよい。別法として、エンテロ
キナーゼ活性をコードしているDNA配列を合成的に調製
してもよい。細菌での発現はイントロンのない配列が必
要であるため、イントロンのない、すなわちcDNA配列の
使用が好ましい。上記した細菌での発現のために、配列
を適当に修飾してもよい。
さらに本発明は、好ましくはグリコシレーションされ
ていない形態でエンテロキナーゼ活性を製造する方法を
提供する。該方法は、宿主細胞、好ましくは細菌細胞を
培養し、適当な転写調節配列の発現調節下にあるエンテ
ロキナーゼ活性をコードしているDNA配列(エンテロキ
ナーゼ活性を含みこれを発現しうる)で形質転換するこ
とを包含する。DNA配列が、重鎖および軽鎖の両方また
は軽鎖のみをコードしていてもよく、あるいはエンテロ
キナーゼ活性の発現を起こすのに必要なだけの量であっ
てもよく、当該分野においてよく知られた細菌細胞にお
ける発現のための好ましいコドンを含むように計画的に
設計されていてもよい。後者の場合、このように計画的
に設計されたDNA配列から得られる発現産物がエンテロ
キナーゼ活性全長を含んでいてもよく、エンテロキナー
ゼ活性、例えば軽鎖のみをコードしている、切形され生
物学的に活性のある成熟ペプチド配列を含んでいてもよ
い。
エンテロキナーゼ活性発現のためのもう1つの好まし
い方法において、エンテロキナーゼの触媒ドメインをコ
ードしているDNA配列は、ヒト・PACE遺伝子のごとき遺
伝子のシグナルペプチド(プレ−領域)およびプロ−領
域と融合させられる。PACEは、塩基度2の残基の後ろを
開裂し、多くの分泌性蛋白のプロペプチドプロセッシン
グに必要なセリンプロテアーゼである。PACEシグナルペ
プチド(プレ−領域)およびプロ領域暗号配列が成熟エ
ンテロキナーゼ軽鎖暗号配列とフレーム中で融合され、
哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞等
において発現される場合、配列は、翻訳されて分泌され
るキメラ蛋白として産生され、次いで、プロセッシング
されてシグナルペプチドが除去され、プロ−エンテロキ
ナーゼが得られる。内因性または外因性PACEいずれかに
よって引き続いて起こる開裂により、エンテロキナーゼ
のN末端からプロ−ペプチドが除去され、ならし培地中
に成熟エンテロキナーゼ活性が分泌される。所望によ
り、この方法が、PACE経膜ドメインが欠失した修飾され
た可溶性形態のPACE遺伝子の同時発現をPACE源として用
いるものであってもよい。可溶性PACEの説明および該蛋
白のプロ−ペプチド部分の説明については、例えば、ハ
ツザワ(Hatsuzawa)ら,ジャーナル・オブ・バイオロ
ジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第267巻:16094
頁(1992年)参照。他のプレ/プロ領域、例えば、ブレ
ナー(Brenner)ら,プロシーディングス・オブ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・ユーエスエ
イ(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)第89巻:992頁(1992
年)に記載された酵母・Kex2のプレ/プロ領域、または
リューロン(LeHeuron)ら,ヨーロピアン・ジャーナル
・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem.)第193
巻:767頁(1990年)に記載されたトリプシノーゲンのプ
レ/プロ領域を用いて、エンテロキナーゼ活性発現にお
いて同様の便宜を図ることもできる。
本明細書に用いる「プロ−蛋白」なる語は、「プロ」
領域が付いた蛋白を意味し、「プレ−プロ−蛋白」は
「プレ−プロ」領域を有している。「プレ」領域または
シグナルペプチドは、膜、例えば小胞体膜を越えて転移
されるポリペプチドの残りの部分を標的とするアミノ酸
の大部分のN末端伸長部分をいい、通常は、引き続き内
因性シグナルペプチダーゼにより開裂される。
「プロ」領域は、シグナルペプチド(プレ−領域)と
成熟蛋白との間の介在領域である。この配列は、いくつ
かの翻訳後修飾の促進に必要となりうる。それは、正常
なフォールディングに必要であるかもしれず、あるいは
それは、翻訳後除去されるまで成熟蛋白の活性を抑制す
る作用をするかもしれない。プロ領域は、通常、エンド
ペプチダーゼによるシグナルペプチド開裂後に除去され
る。「プレ/プロ」領域は、上記「プレ」領域と「プ
ロ」領域との組み合わせである。より詳細には、有用な
DNA構築物は、トリプシノーゲンのプレ/プロ領域とエ
ンテロキナーゼ活性をコードしているDNAとの融合物を
含んでいる。ウシ・アニオン性トリプシノーゲンのシグ
ナルペプチドおよび全アミノ酸のプロ領域(エンテロキ
ナーゼ認識部位を含む)を、成熟エンテロキナーゼ触媒
ドメインのアミノ末端と融合させる。さらに別のDNA構
築物は、成熟エンテロキナーゼ触媒ドメインとイー・コ
リ・チオレドキシンのC末端との融合物を含み、エンテ
ロキナーゼ開裂部位のごとき既知開裂部位をコードして
いる介在スペーサー配列を有している。
エンテロキナーゼ活性をコードしているDNA配列を、
慣用的方法により、当該分野においてよく知られた所望
宿主細胞に適する発現ベクターに挿入してもよい。細菌
または酵母での生産には、DNA配列はイントロンを含ん
でいてはならない。高等真核細胞での発現には、イント
ロンを避ける必要はないが、cDNA配列が好ましい。好ま
しくは、真核細胞での発現には、DNA配列が分泌リーダ
ー配列を含んでいるべきである。ベクターは、複製部
位、選択マーカーおよび選択宿主と両立できる転写調節
配列をはじめとする当該分野においてよく知られた典型
的なベクターエレメントを含んでいるべきである。
グリコシレーションされていない均一なエンテロキナ
ーゼ活性の生産に有用な種々のイー・コリ株も当該分野
においてよく知られている。かかる株の排他的でない一
覧表は、実施例で使用する株をはじめとして、MC1601、
DH1、RR1、C600hf1、M803、JA221、HB101、JM101および
種々のK12株を包含する。これとは別に、ビー・スブチ
リス(B.subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas)
の種々の株、他のバチルス属等をはじめとする、他の細
菌種を用いてもよい。
エンテロキナーゼ活性を、哺乳動物細胞におけるエン
テロキナーゼ活性をコードしている配列の異種発現によ
り製造してもよい。かくして、グリコシレーションを防
止しない場合には、エンテロキナーゼ活性をグリコシレ
ーションされた形態で得ることができる。所望であれ
ば、ツニカマイシンまたは当該分野においてよく知られ
たグリコシレーション部位の部位特異的変異により、グ
リコシレーションを抑制することができる。エンテロキ
ナーゼ活性の製造のための適当な哺乳動物発現ベクター
および宿主細胞も当該分野においてよく知られており、
ベクターpXMおよびpMT2およびチャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞、サル・COS−1細胞、CV−1、HeLa、
マウス・L−929細胞、3T3細胞およびBHK細胞を包含す
るが、これらに限定しない。いくつかの哺乳動物ベクタ
ーの構造および使用は当業者によく知られており、WO88
/00598に詳細に記載されている。
当業者に知られた多くの酵母細胞もまた、本発明エン
テロキナーゼ発現用宿主細胞として利用できる。酵母細
胞は、上記成熟エンテロキナーゼに対するPACEプレ/プ
ロ融合用宿主として特に有用である。適当なベクターを
用いて発現された場合、融合物はPACEシグナルペプチド
による分泌され、次いで、PACEプロ領域は、対になった
塩基性残基のうしろを開裂するヒト・PACEと同種の酵素
である内因性酵母プロテアーゼKEK2によりプロセッシン
グされる。さらに、所望であれば、昆虫細胞を宿主細胞
として使用してもよい。例えば、ミラー(Miller)ら,
ジェネティック・エンジニアリング(Genetic Enginiee
ring)第8巻:277〜298頁(プレナム・プレス(Plenum
Press))1986年を参照。
本発明エンテロキナーゼ活性が細菌細胞において発現
される場合、蛋白を活性形態で得ることが典型的に不要
であるので、通常は、蛋白の再生を考慮せずに細胞内に
発現させてもよく、あるいは分泌リーダーが含まれてい
る場合には、活性形態で細菌細胞から分泌されうる。必
要または所望であれば、低下した生物活性が観察された
場合には、蛋白を尿素またはグアニジンHCl中でジチオ
スレイトールまたはβ−メルカプトエタノールとともに
インキュベーションし、次いで、希釈してこれらの薬剤
濃度を低下させ酸化剤で処理するような慣用的方法によ
り、エンテロキナーゼ活性生成物を再生してもよい。
例えば、遺伝子操作されて本明細書記載のエンテロキ
ナーゼ活性DNA配列を発現するイー・コリ細胞を、エン
テロキナーゼ活性蛋白の生産および細胞内蓄積を可能に
する適当な条件下において培養する。次いで、細胞を収
穫、すなわち、細胞を、細胞が培養された培地および他
のすべての物質から分離し、溶解し、所望の生物学的に
活性なエンテロキナーゼ活性蛋白を溶解物から精製す
る。所望により、エンテロキナーゼ活性の最小限の精製
のみを必要としてもよい。
「生物学的に活性」なる語は、上記慣用的方法により
アッセイされた場合、検出可能な蛋白開裂活性を示すエ
ンテロキナーゼ活性標品を意味する。
カラムクロマトグラフィー(例えば、免疫アフィニテ
ィー等)、大豆トリプシンインヒビター(STI)、膵臓
トリプシンインヒビター(PTI)またはPABA上のアフィ
ニティー精製、ゲル濾過および逆相HPLCのごとき種々の
精製法が、所望蛋白の精製に有用である。例えば、ゴス
ポダロビッツ(Gospodarowicz)ら,ジャーナル・オブ
・セルラー・フィジオロジー(J.Cell.Phys.)第122巻:
323〜332頁(1985年)、イワネ(Iwane)ら,バイオケ
ム・アンド・バイオフィジ・リサーチ・コミュニケーシ
ョンズ(Biochem.and Biophys.Res.Comm.)第146巻:470
〜477頁(1987年)、フォックス(Fox)ら,ジャーナル
・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Che
m.)第263巻:18452〜18458頁(1988年)、1987年6月4
日公開のEP第0259953号、および1987年9月23日公開のE
P第0237966号参照。
本発明エンテロキナーゼ活性を、エンテロキナーゼ開
裂部位を有する蛋白、そして特に、その配列中に加工さ
れたかかる開裂部位を有する融合蛋白の開裂方法に使用
することができる。その所要量は、当業者により容易に
実験的に決定される。実際、本明細書記載のように、組
み換えウシ・エンテロキナーゼ触媒ドメインは、ウシ由
来の2つの鎖からなる形態と比較した場合、ずっと有効
で、除去困難な痕跡量の他の蛋白分解性蛋白の混入がな
いので、融合蛋白の開裂のための優れた試験である。本
発明の別の態様として、本発明エンテロキナーゼ活性
は、さらに別の蛋白に対する融合相手の1つとして取り
込まれる。そのようなものとして、最小量の外因性エン
テロキナーゼ活性の反応容器への添加により(あるいは
単純に融合蛋白を濃縮することにより)、最小量の融合
蛋白の開裂がさらなるエンテロキナーゼ活性の放出を生
じ、それが順に、融合蛋白のより多くの蛋白開裂を触媒
しうる。このようにして、自己触媒的方法で、大量のエ
ンテロキナーゼ活性が融合蛋白から生成されうる。さら
に、本発明により、以下の段階: (a)(i)発現されるとペリプラズム空間中に隔離さ
れるエンテロキナーゼ活性をコードしている核酸配列、
および (ii)発現されると細胞質空間に隔離される融合
蛋白およびエンテロキナーゼ開裂部位をコードしている
1種またはそれ以上の核酸配列 で形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞
を培養して増殖させ、 (b)該ペリプラズム空間および該細胞質空間を混ぜ合
わせ、それにより、 (c)該エンテロキナーゼ活性に該融合蛋白を開裂さ
せ、次いで、 (d)蛋白産物を得る からなる融合蛋白からの蛋白の製造方法を提供する。
均一な本発明エンテロキナーゼ活性を含有する医薬組
成物は、消化剤として有用でありうる。かかる医薬組成
物はさらに、医薬上許容される担体、希釈剤、充填剤、
塩類、緩衝剤、安定化剤および/または当該分野におい
てよく知られた他の物質を含有していてもよい。「医薬
上許容される」なる語は、活性成分の生物学的活性の有
効性を妨害せず、それが投与される宿主に対して毒性で
ない物質を意味する。担体または他の物質の性質は投与
経路に依存するであろう。投与を種々の慣用的方法で行
うことができる。経口投与が好ましい。かかる場合、本
発明エンテロキナーゼ活性を腸溶コーティングすること
ができ、その標品は当業者に知られている。本発明治療
方法の実施において、治療上有効量のエンテロキナーゼ
活性を投与する。「治療上有効量」なる語は、有意な利
益、すなわち消化機能の回復を示すに十分な方法または
組成物における各活性成分の総量を意味する。その語
を、単独で投与される個々の活性成分に対して用いる場
合、その語はその成分のみをさす。その語を、混合物に
対して用いる場合、混合して、連続して、あるいは同時
に投与するとしても、その後は治療効果を生じる活性成
分の合計量をいう。個人および消化疾患の重さに応じて
投与回数を変更してもよい。さらに別の使用方法におい
て、エンテロキナーゼをコードしているDNAは、エンテ
ロキナーゼ欠乏による消化疾患の修正方法としての遺伝
子治療に有用であろう。
本発明はさらに以下の実施例において記載される。実
施例は本発明を説明するものであり、本発明の範囲を限
定するものではない。実施例1は、26塩基対のウシ・エ
ンテロキナーゼ遺伝子フラグメントのクローニングを記
載する。ウシ・エンテロキナーゼのさらなる蛋白配列を
実施例2に記載する。実施例1のフラグメントに隣接す
る遺伝子フラグメントの増幅およびクローニングは実施
例3の対象である。実施例4はエンテロキナーゼ触媒鎖
のクローニングに関する。異なるcDNAクローンならびに
非触媒鎖(重鎖)の部分暗号配列の比例を実施例5に示
す。実施例6はさらに重鎖配列を含むさらなるエンテロ
キナーゼ暗号配列の単離を記載する。実施例7は、他の
哺乳動物エンテロキナーゼ遺伝子をクローン化するため
のウシ・エンテロキナーゼ配列の使用を記載する。実施
例8は、原核細胞系ならびに真核細胞系の双方における
ウシ・エンテロキナーゼの触媒ドメインをコードしてい
る遺伝子の発現を記載する。実施例9は、融合蛋白の同
時発現に関し、さらに活性エンテロキナーゼの製造に関
する。実施例10は、ある種の消化疾患の治療における治
療薬としてのエンテロキナーゼの使用に関する。
実施例1 ウシ・エンテロキナーゼ遺伝子フラグメントのクローニ
ング ウシ・エンテロキナーゼの触媒(軽)鎖のN末端の27
個のアミノ酸配列は、パーデュー大学(Purdue Univers
ity)のアルバート・ライト(Albert Ligth)により提
供され、後に、ライトらの上記文献に公表された。以下
に非常に詳しく議論されているように、この配列は正し
くなかった。その誤りのために、位置8にあると報告さ
れたチロシンが、その低い縮重のため、プローブおよび
プライマーの設計に使用された(可能性のある2つのコ
ドンのみがチロシンをコードしている)。しかしなが
ら、位置8における実際の残基は、実は可能性のある6
つのコドンを有するアルギニンである。この(誤りのあ
る)配列は以下のごとし: 該「配列された」配列を、該配列をコードしうる可能性
のあるすべてのDNAコドンへと逆に翻訳し、PCR反応にお
いてプライマーとして用いられる制限エンドヌクレアー
ゼ開裂部位をコードする5′方向へ伸長した17塩基対の
長さのオリゴヌクレオチドプライマー設計用プールとし
て用いた[サイキ(Saiki)ら,サイエンス(Science)
第230巻:1350〜1354頁(1985年);ムリス(Mullis)
ら,コールド・スプリング・ハーバー・シンポジア・オ
ン・クワンタティティブ・バイオロジー(Cold Spring
Harbor Symposia on Quantatative Biology),第LI巻:
263〜273頁(1986年)]。これらのオリゴヌクレオチド
プールの設計は、努力の有効な成功にとり重要であっ
た。このN末端蛋白配列を、以前同定された配列とデー
ターベースにおいて比較することにより、多数の哺乳動
物の膵臓および血清セリンプロテアーゼに対する有意な
相同性を明らかとなった。これらの「望ましくない」蛋
白をコードしているDNA配列の望ましくない増幅を防止
するために、意図的にこれらの高度に相同的な領域を避
けるようにPCRプライマーのプールを設計した。しかし
ながら、プライマープールがアニーリングする配列をで
きるかぎり離すという競争的な要求を考慮して、増幅に
関して得られる正確なエンテロキナーゼ配列の量を最大
にして、有用な情報を得た。
ともにN末端アミノ酸配列(IVGGSD(アミノ酸1〜
6)配列番号:8)に対するすべての可能なコドンを含む
2個の縮重したオリゴヌクレオチドのプールを合成し
た。これら2つのプールは、蛋白配列におけるセリンに
対して用いられるコドンにおいてのみ異なり、それぞれ
のプール: の縮重を減らす手段として独立して使用された。
本明細書で用いるシンボル「H」は、ヌクレオチド
C、TおよびAの等しい存在比率をいう。シンボル
「V」は、ヌクレオチドCおよびTの等しい存在比率を
いう。「R」は、その位置でのAまたはGいずれかの等
しい存在比率をいう。シンボル「N」は4種のヌクレオ
チドG、A、TおよびCの等しい存在比率をいう。これ
らのプールのそれぞれが、太字で示すEcoR I部位を含ん
だ5′側へ伸長を有していた。
最も知られたC末端配列: に対するすべての可能なコドンの逆向きの相捕配列を含
むオリゴヌクレオチドのもう1つのプールを合成した。
このプールは、太字で示したHind III部位を有する共
通の5′側への伸長: を含んでいた。
1回目のシリーズの増幅反応からのDNA生成物を、直
鎖状配列中の第1のセットの内側のアミノ酸配列をコー
ドしていると推定されるDNAに相捕的なオリゴヌクレオ
チドのプールにより開始される2回目のシリーズの増幅
のための鋳型として用いた。かくして、配列: (配列番号:3のアミノ酸8〜13に対応、位置8において
Yの誤った帰属を含む) に対するすべての可能なコドンに相補的な17塩基対のオ
リゴヌクレオチドのプール: が合成された。
次いで、このプライマーのプールを、2回目のPCR反
応において、配列: に対するすべての可能なコドンの逆向きの相補的配列か
らなるもう1つのプール: 中に混合した。
このプールは、1回目のシリーズの増幅に用いた3′
側のプールと部分的に重複を有しており、Hind III部位
を有する(太字)5′側への伸長配列を有していた。
ウシ・ゲノムDNA(dH2O中0.9mg/ml)を5分間煮沸し
て変性させ、次いで、すぐに氷上に置いた。各50μlの
増幅の反応条件は:熱変性ウシ・ゲノムDNA2μg、10mM
Tris−HCl pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、ゼラ
チン0.1%、各オリゴヌクレオチドプール1.0μM、各dN
TP200μM、およびアンプリタック(Amplitaq)DNAポリ
メラーゼ(パーキン−エルマー・シータス(Perkin−El
mer Cetus)製)とした。以下の条件下で40回の増幅サ
イクルを行った:サイクル1=94℃3分/40℃1分/72℃
1分。サイクル2〜40=94℃1分/40℃1分/72℃1分。
40サイクルからなる第1ラウンドには、プライマープー
ル1Aおよび2またはプール1Bおよび2を使用した。40サ
イクルの増幅後、この反応物のうち0.5μlを、プライ
マープール3および4を用いる次の35サイクルからなる
PCRの鋳型として使用した。反応成分は、DNA鋳型以外は
第1ラウンドと同じであった。第2ラウンドのDNA鋳型
は前のラウンドの生成物であった。
上記のごとく得られたPCR生成物を、5%アクリルア
ミド調製用ゲル上で永動させ、0.5μg/ml臭化エチジウ
ムでバンドを染色した。標準的方法[サムブルック(Sa
mbrook)ら,「モレキュラー・クローニング,ア・ラボ
ラトリー・マニュアル(Molecular Cloning,a Laborato
ry Manual)第2版,コールド・スプリング・ハーバー
・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laborat
ory Press)(1989年)]を用いてDNAの取り扱いおよび
ライゲーションを行った。まず、PCR生成物を、デオキ
シヌクレオチドトリホスフェートの存在下でDNAポリメ
ラーゼIのクレノウフラグメントで処理し、次いで、Hi
nd III(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New En
gland Biolabs)製)で消化し、pUC19[ノランダー(No
rrander)ら,ジーン(Gene)第26巻:101〜106頁(1983
年)]Hinc II−Hind IIIベクター中にサブクローニン
グした。見かけ上72塩基対の挿入物を含んでいる形質転
換体を同定した。これらのプラスミドを単離し、シーク
エンス・キット(Sequence kit)(ユナイティッド・ス
テイツ・バイオケミカル(United States Biocemical)
製)およびpUC19にアニーリングする配列決定用プライ
マーを用いてその挿入物の配列決定を行った。次いで、
挿入物のDNA配列を翻訳して既知蛋白配列により予想さ
れたアミノ酸配列(WVVALY,配列番号:3のアミノ酸14〜1
9)に正確に対応するオープンリーディングフレームを
明らかにした。プライマーのアニーリングの間のミスマ
ッチ耐性の可能性のため、2つのPCRプライマー間の配
列のみが正確であると考えることができた。しかしなが
ら、他のプール(1A)は特異的生成物を生じないため、
正当なセリンのコドンがプライマープール1B(AGY)に
あると考えられた。このことは、配列番号:9と命名され
たプールをプローブとする、最初の40サイクルからの生
成物のサザンブロットにより確定された。さらに、Pro
13に対するコドンの「ゆらぎ」位置はチミジンと決定さ
れ、隣接するTrp12に対するただ1つの可能性なコドン
が存在し、さらに5個の塩基がかなり確実であると考え
られた。Phe20に対するコドンの最初の2個の不変塩基
が包含される場合、エンテロキナーゼの触媒鎖の9個の
アミノ酸(アミノ酸Trp12からPhe20まで)に対する暗号
配列の連続した26個の塩基対はかなりの程度の確実さで
決定されたものである。この配列は配列番号:1のヌクレ
オチド1724から1749までである。
実施例2 ウシ・エンテロキナーゼの蛋白配列 成熟ウシ・エンテロキナーゼ軽鎖のアミノ酸12〜20の
正確なDNA配列(26塩基対)は、ハイブリダイゼーショ
ン法によるcDNA単離を可能にするには十分でなかった。
したがって、さらなる隣接蛋白配列を検索した。
ウシ・エンテロキナーゼ(EK−2)をバイオザイム
(Biozyme)から購入した。この酵素は純度99%以上で
あり、よって、活性化セファロースCL−4B(シグマ(Si
gma)製)に結合したブタ・膵臓トリプシンインヒビタ
ー(シグマ製)を用いてさらに精製した[リープニーク
ス(Liepnieks)ら,ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第254巻:1677〜1683
頁(1979年)]。得られた酵素を還元し、アルキル化し
て軽鎖から重鎖を分離し、調製用アクリルアミドゲル上
で泳動した。蛋白をゲルからプロブロット膜(Problot
membrane)(アプライド・バイオシステムズ・インコー
ポレーテッド(Applied Biosystems,Inc.)製)上に電
気的にブロッティングし、分子量42000ダルトンの触媒
鎖を染色後膜から切り取り、アプライド・バイオシステ
ム(Applied Biosystems)のモデル470Aパルスリキッド
シークエンサーを用いて配列決定した。最初の30個のア
ミノ酸の配列が決定され: である。
8番目の位置のアミノ酸残基が、ライト(Light)ら
の上記文献により誤ってチロシンであると報告されたの
とは対照的に、アルギニンであると決定されたという観
察結果は特に注目すべきである。この領域は、縮重が少
ないと報告されているため、PCRプライマーの設計のた
めの配列の重要な領域である。
さらに2個のバンドが電気ブロッティングにおいて観
察された。分子量150000ダルトンの予想された重鎖バン
ドおよび分子量90000ダルトンの別のバンドをプロブロ
ット膜から切り出し、別個にトリプシン処理し、得られ
たフラグメントを逆相で分離した。十分に分離されたピ
ークを集め、配列決定した。
還元されアルキル化されたウシ・酵素をさらにC4逆相
カラム(ビダック(Vydac)製)にかけて触媒(軽)鎖
から非触媒(重)鎖を分離した。得られたトリプシン消
化ペプチドをC18逆相HPLC(ビダック)により分離し
た。個々のピークを蛋白シークエンサーによる配列分析
に付した。結果を実施例3に示す。
実施例3 隣接した遺伝子フラグメントの増幅およびクローニング トリプシン消化され、クロマトグラフィー分離され、
単離され、次いで、個々に得られたペプチドを配列決定
されたエンテロキナーゼ触媒鎖の個々のペプチドフラグ
メントは、以下の配列であった。
配列番号:13は、実施例2において決定されたN末端
配列と部分的に重複していた。これらのペプチド配列を
用いて、相同性に関して蛋白配列データベースを検索し
た。エンテロキナーゼN末端ペプチド配列と最も高い相
同性を示した蛋白は、ヘプシン(hepsin)[レイタス
(Leytus)ら,バイオケミストリー(Biochemistry)第
27巻:1067〜1074頁(1988年)]と命名されたヒト・肝
臓cDNAクローン由来の推定アミノ酸配列であった。ヘプ
シン配列を指標として用いると、別のエンテロキナーゼ
触媒鎖トリプシン消化ペプチド(配列番号:14)は、す
でに同定されたN末端/重複トリプシン消化配列に隣接
しているかもしれないと思われた。このペプチドは、セ
リンプロテアーゼに特徴的な「触媒的な3個(catalyti
c triad)」のうちのヒスチジン領域に対して非常に相
同的な配列を含んでいた。このペプチドの1つの領域
(AHCVY)について逆向きに翻訳されたアミノ酸配列の
逆相補鎖に対して相補的なオリゴヌクレオチドプールを
合成した。これらのオリゴヌクレオチドも、BamH I部位
(太字で示す)をコードしている5′側の伸長: を有していた。
このプールを、他のヌクレオチドプールと、そしてさ
らに下記5′制限部位伸長部: を有する実施例1の最後のPCRクローン由来の19塩基対
の正確なエンテロキナーゼDNA配列(ヌクレオチド1729
〜1747)(および逆向きの相補鎖)を含むオリゴヌクレ
オチドと組み合わせて、ゲノムDNAのPCRに使用した。
ウシ・ゲノムDNAに対してネスティッド(nested)法
を再び用いた。以下の組み合わせ: 1)配列番号:5+7,40サイクル、次いで、配列番号:5+
21,35サイクル 2)配列番号:5:19,40サイクル、次いで、配列番号:20
+19,35サイクル が有用であることがわかった。
サブクローニングおよび配列決定後、組み合わせ1
は、翻訳されて配列番号:12のエンテロキナーゼ軽鎖ペ
プチド配列のAsp6からPro13となる21塩基対に加えてAsp
6コドンの推定される残りの2個の塩基の合計23塩基対
の配列(そのうち5塩基対はすでに決定されていた)を
生じた。このDNA配列は配列番号:1のヌクレオチド1706
から1728に対応しており、8番目の残基が実際にアルギ
ニンであって、ライトらの上記文献により誤って報告さ
れたようにチロシンでないことが確認された。
同様に、組み合わせ2は、翻訳されてエンテロキナー
ゼ軽鎖N末端蛋白配列(配列番号:12)のPhe20からAla
40となる60塩基対の配列(そのうち2塩基対はすでに決
定されていた)および重複ペプチド配列(配列番号:1
3)を生じ、隣接ペプチド配列番号:14は残基34から開始
することが示された。蛋白配列決定からは決定されたか
ったがトリプシン加水分解に感応する塩基性残基である
と推定される位置33の残基は、暗号配列からアルギニン
であると決定された。3種すべてのPCR生成物をつなぎ
合わせた場合に、全部で104塩基対の正確な連続暗号配
列が、ウシ・エンテロキナーゼの触媒鎖のAsp6からAla
40(およびAla41に対するコドンの最初の2塩基)に関
して決定された。この配列の情報が得られので、適当な
成功の機会をもって、エンテロキナーゼの触媒ドメイン
をクローン化する試みがついに可能となった。
実施例4 エンテロキナーゼ触媒鎖のクローニング 2つの別々のウシ・小腸cDNAライブラリーを、エンテ
ロキナーゼ触媒ドメインの関する遺伝子のクローニング
用に使用した。上記実施例3記載のこの新たに決定され
たヌクレオチド配列に対して設計された正確なプライマ
ーを用いてウシ・肝臓および小腸cDNAのλライブラリー
に関してPCRを行った。ウシ・肝臓由来のcDNAは、ライ
ブラリー中の豊富さが非常に低いことを示す非常に弱い
生成物を与えたが、小腸のライブラリーはずっと特異的
な生成物を生じた。かくして、ウシ・小腸がmRNA源とし
て選択された。第1のcDNAライブラリーは、クローンテ
ック(Clontech)から購入したλgt10ライブラリーであ
った。ラムダZapライブラリーと呼ばれる第2のcDNAラ
イブラリーは以下のようにして調製された。ウシ・十二
指腸組織を得、グアニジウム抽出法[チャーグウィン
(Chirgwin)ら,バイオケミストリー(Biochemistry)
第18巻:5294頁(1979年)]を用いて組織の一部からmRN
Aを調製した。標準的方法[サムブルックら,上記]を
用いてオリゴ(dT)−プライムドcDNAを合成した。合成
Not I/EcoR Iアダプター(インビトロジェン(Invitrog
en)製)を得られたcDNAにライゲーションし、次いで、
ラムダZap II EcoR Iアーム(インビトロジェン製)中
にライゲーションした。
両方のcDNAライブラリー由来の組み換えファージを、
実施例3のサブクローン化されたPCRフラグメントから
決定されたエンテロキナーゼDNA配列に対して相補的な
2つの別個のオリゴヌクレオチドと2系でハイブリダイ
スさせた。第1のオリゴヌクレオチドは21塩基の長さ
で、Asp6からTrp12に対する暗号配列のプラス鎖からな
っていた。第2のオリゴヌクレオチドは20塩基の長さ
で、Asp35からAla41までの残基に対する暗号配列のマイ
ナス鎖からなっていた。
32P]−λATPおよびポリヌクレオチドキナーゼ[サ
ムブルックら,上記]を用いてオリゴヌクレオチドを標
識した。記載されたように[サブムルックら,上記]、
以下の条件を用いてハイブリダイゼーションを行った:6
xSSC、0.5%SDS、5xデンハーツ(Denhardt's)溶液、10
mM Na2EDTA、100μg/ml酵母RNA、および0.1ピコモル/m
l標識オリゴヌクレオチド。60℃で16時間ハイブリダイ
ゼーションを行った後、フィルターを室温で2xSSC、0.1
%SDS中、4回(各15分間)洗浄した。
両方のオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズ
する配列を含む単一プラークを、クローンテックのライ
ブラリー由来の1x106個の組み換えファージから単離し
た。この組み換えファージ中の挿入物(クローン#3eと
呼ぶ)の配列は769塩基対であった。該挿入物は、先に
配列決定された数個のトリプシン消化ペプチド(配列番
号:13、14、17)ならびに配列番号:16の一部をコードし
ている長いオープンリーディングフレームを含んでい
た。該リーディングフレームは該挿入物の3′末端を越
えたところまでを含んでおり、該クローンが不完全であ
ることが示された。さらに、該リーディングフレームは
終止コドンの手前の別の26個のコドンのために5′方向
において開いたままであった。
ラムダZap IIウシ・小腸cDNAライブラリーから、上記
と同一の2つのオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼ
ーションにより、5x105個のファージがスクリーニング
された。オリゴヌクレオチドプローブに対して相補的な
エンテロキナーゼ特異的配列を含む2個の組み換えファ
ージのみが単離された。これらのうちの1つ(クローン
#11と呼ぶ)は、1494塩基対の長さで、クローンテック
のライブラリー由来のcDNAクローンに存在する軽鎖暗号
配列のすべてを含んでいたが、軽鎖暗号配列の5′は異
なっていた。該クローンは、残りの3′暗号配列および
約80塩基対の3′非翻訳配列をさらに含んでいた。この
クローンは、成熟触媒鎖のN末端のIVGGに先行するオー
プンリーディングフレームの有意な伸長(266コドン伸
長)およびこのクローンの5′リミットにおける残りの
オープンを含んでおり、クローン3eとは異なっていた。
第2のファージは、かなり小型でわずか531塩基対
(配列番号:1,ヌクレオチド1553〜2068)の挿入物(ク
ローン#22と呼ぶ)を有しており、その配列は第1のク
ローンに十分含まれるものであった。しかしながら、ク
ローン#22に含まれるオープンリーディングフレームの
最後の21個のコドン(他の2つのcDNAクローン中には存
在しない)は興味深いものであった(配列番号:1,ヌク
レオチド2006〜2101)。かくして、この配列がどこに適
合するのか、そして/またはそれが単なるクローニング
による人工物であるのかどうかははっきりしなかった。
実施例5 異なるcDNAクローンの比較 クローンテックのライブラリークローン#3とクロー
ン#11との比較により、該2つの配列は、ほとんど正確
に、クローン#3eの5′オープンリーディングフレーム
が終了する点で分岐していることが明らかとなった。こ
の点の近傍のDNA配列を調べることにより、有効なmRNA
スプライシング部位[バジェット(Padgett)ら,アニ
ュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Ann.Re
v.Biochem.)第55巻:1119〜1150頁(1986年)]が明ら
かとなり、クローン#3eが、オープンリーディングフレ
ーム(ORF)を中断するスプライシングされないイント
ロンを含んでいる可能性がある。さらに、この可能性
は、クローン#11中の成熟触媒鎖のIVGG N末端配列に
直接先行するORF配列に合う150000ダルトンの蛋白フラ
グメントから単離されたトリプシン消化配列: の同定によっても支持される。このトリプシン消化配列
は、クローン#3eにおける分岐配列により中断される。
さらに、15000ダルトンのエンテロキナーゼ蛋白バンド
から単離された2つの他のトリプシン消化ペプチド: は、触媒鎖暗号配列の上流にあるクローン#11の翻訳さ
れたORFの2つの領域に合致する。それゆえ、明らか
に、この上流のORFは、非触媒鎖から成熟触媒鎖を分離
する成熟触媒鎖N末端配列の直前の単一の蛋白開裂によ
り生じると考えられる非触媒(重)鎖に対する暗号配列
を表す。
実施例6 さらなるエンテロキナーゼ暗号配列の単離 cDNA挿入物のクローニング部位に隣接したラムダDNA
配列に相補的なネスティッドオリゴヌクレオチドプライ
マーを合成した。これらのプライマーをラムダプライマ
ーとして下に示す。さらに、上記エンテロキナーゼ暗号
領域配列の大部分の5′領域のプラス鎖に相補的なプラ
イマーを設計した。これらのプライマーをEKプライマー
として下に示す。最も深い部分のプライマーは、5′伸
長を含み制限エンドヌクレアーゼ開裂部位をコードする
ように設定された。
次いで、ネスティッドPCRを以下のように行った:各1
00μlの反応物は、クローンテックのウシ・小腸ラムダ
gt10cDNAライブラリー由来の1x108個の組み換えファー
ジ、外側のプライマー各1マイクロモル、dTNP200μ
M、およびアンプリタック(パーキン−エルマー・シー
タス)1ユニットを、最終濃度10mMのTris−HClpH8.3、
50mMのKCl、1.5mmのMgCl2中に含有していた。以下の条
件下で35サイクルを行った:94℃1分;65℃2分:72℃2
分。反応物から5マイルロリットルを取り、内側のプラ
イマーおよび同じ反応条件を用いるさらなる35サイクル
のための鋳型として使用した。次いで、この反応からの
生成物を、1%ポリアクリルアミドゲル上を泳動させ、
0.5μg/ml臭化エチジウム溶液で染色し、UVライトで可
視化した。得られたバンドを切り出し、電気溶出し、pB
luescriptSK+(ストラタジーン(Stratagene)製)Not
I/Sal Iベクター中へのサブクローニングの前にNot I
およびSal Iで消化した。得られたサブクローンを配列
決定し、エンテロキナーゼ重鎖の別の116個のアミノ酸
をコードしているさらなるDNA配列を決定した。この新
たな蛋白配列は、150Kd蛋白バンドから単離された2個
のさらなるトリプシン消化ペプチド(LS)INUSSDQNMEK
[配列番号:29]およびVSFYGFK[配列番号:30]、なら
びに90Kd蛋白バンドからの別の配列QKEGNYGQNWNYGQVTLN
ET[配列番号:31]に対応する領域を含んでいた。さら
に、90Kdバンド由来の2個の別々のN末端が配列決定さ
れ、両方とも、この配列において同定される:(VGLLTL
P...)[配列番号:32]および(TIFQK...)[配列番号:
33]。よって、還元されアルキル化されたウシ由来の酵
素において見られる90Kd蛋白バンドは、これらのゲル上
で見かけ上150Kdの位置に移動する重鎖の蛋白分解形態
であるかもしれない。これら2つのN末端は両方とも塩
基性残基に続いており、トリプシン様酵素がインタクト
な重鎖のこの小型の形態(90Kd)への蛋白分解に関与し
ているかもしれないことが示される。
上記方法を用いて、各回ごとにこの方法を繰り返すこ
とにより、完全な重鎖配列を得、さらなる5′を同定し
た。新たなネスティッドPCRプライマーを大部分の5′
配列に対して設計し、ウシ・小腸λcDNAライブラリー由
来の1x108個の組み換えファージでのネスティッドPCRを
行った。かくして、さらなる5′エンテロキナーゼ重鎖
暗号配列を増幅し、サブクローン化し、配列決定し、全
暗号配列が同定され単離されるまで手順を繰り返した。
実施例7 他の哺乳動物エンテロキナーゼ遺伝子をクローニングす
るためのウシ・エンテロキナーゼDNAの使用。
ウシ・エンテロキナーゼDNA配列の決定により、多く
の他の哺乳動物種由来の等価な酵素に関する遺伝子の単
離および配列決定が直接的に可能となる。本発明は、エ
ンテロキナーゼ遺伝子が十二指腸において発現されるこ
とを明らかにし、そのことにより、種に関係なくエンテ
ロキナーゼmRNAの組織源の不確実性が除去される。この
情報は、十二指腸mRNAから生じたcDNAがエンテロキナー
ゼ遺伝子を含んでいるであろうという確証を提供する。
よって、実質的に、いかなる哺乳動物由来の十二指腸mR
NAから生じるcDNAを含むcDNA発現ライブラリーであって
も、検索されるべき特別なエンテロキナーゼ蛋白に対す
る抗体を用いてスクリーニングすることができる。ウシ
・酵素に対するポリクローナル抗体は、他の種から作成
された発現ライブラリー由来のエンテロキナーゼクロー
ンの同定に有用である。
さらに、ウシ・酵素に対するcDNA配列を、哺乳動物エ
ンテロキナーゼ遺伝子に対するハイブリダイゼーション
プローブとして直接使用することができ、あるいは、他
の種のmRNAまたはゲノムDNAから作成されたcDNAまたは
ゲノムライブラリー由来のエンテロキナーゼ遺伝子のク
ローニングに有用なオリゴヌクレオチドプローブの設計
に使用することができる。基質認識配列のほとんど絶対
的な保存性がある思われるという事実のために、エンテ
ロキナーゼ触媒ドメイン蛋白配列は種間において高度に
保存的であると仮定することは合理的である。全ウシ・
エンテロキナーゼ触媒ドメインをハイブリダイゼーショ
ンプローブとして用いた緊縮性を減少させて他の種のcD
NAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすること
は、所望のエンテロキナーゼ遺伝子の単離を可能にす
る。別法として、「触媒的な3個(catalytic tria
d)」、すなわち、His41、Asp92およびSer187の周囲の
領域をコードしているDNA配列を包含するオリゴヌクレ
オチドは、最も高度に保存され、種間ハイブリダイゼー
ションに最も有用でありうる。
実施例8 ウシ・エンテロキナーゼの触媒ドメインをコードしてい
る遺伝子の発現 A.CHO細胞での発現 1.PACE ウシ・エンテロキナーゼ触媒ドメイン(ヌクレオチド
1691から2398まで)をコードしているDNA配列を、ヒト
・PACE遺伝子のシグナルペプチドおよびプロ−領域をコ
ードしているDNAの3′末端に、フレーム中で融合させ
た。PACEは、二塩基性残基の後ろを開裂し、種々の分泌
蛋白のプロペプチドのプロセッシングに関与している哺
乳動物のセリンプロテアーゼである(ワイス(Wise)
ら,プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシズ・ユーエスエイ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)第87巻:9378〜9832頁(1990年))。CHO細
胞において発現された場合、この配列は翻訳されてキメ
ラ蛋白を生じ、続いて起こるシグナルペプチドのプロセ
ッシングで分泌されてプロ−エンテロキナーゼを生じ
た。PACEプロペプチドは、成熟エンテロキナーゼ配列に
関するC末端ジャンクションにおける配列(−Arg−Thr
−Lys−Arg−)を含んでいる。これはPACE酵素のための
開裂部位である。さらにCHO細胞は内在レベルのPACEを
産生する。PACEプロ/エンテロキナーゼ軽鎖の分泌の
間、宿主のPACEはエンテロキナーゼのN末端からプロペ
プチドを開裂し、ならし培地への成熟エンテロキナーゼ
触媒ドメインの分泌を引き起こした。ウシ由来のエンテ
ロキナーゼに対して生成されたウサギ・ポリクローナル
抗血清を用いる免疫沈降実験により、ならし培地中に42
Kdの生成物が分泌されることが明らかとなった。
このならし培地は、蛍光発生性エンテロキナーゼ基質
Gly−(Asp)−Lys−βNA−(バケム・バイオサイエ
ンス(Bachem Bioscience)製)(細胞系により、約50
〜500ng/mlに相当)を含有していた。大豆・トリプシン
インヒビター(STI,シグマ製)またはウシ・膵臓トリプ
シンインヒビター(BPTI,シグマ製)いずれによっても
この活性は阻害された。ウシ・ホロ酵素、すなわち、重
鎖および軽鎖の両方を有する酵素は、BPTIのみにより阻
害され、STIによっては阻害されないが、部分的に還元
されアルキル化された軽鎖は両方により阻害されること
が報告されている[ライト(Light)ら,ジャーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)
第259巻:13195〜13198頁(1984年)]。さらに、このな
らし培地を、エンテロキナーゼ開裂配列(−Gly−Ser−
Gly−Ser−Gly−[Asp]−Lys−Asn−)からなるドメ
イン間スペーサーを有するイー・コリ(E.coli)・チオ
レドキシン/ヒト・IL−11からなる部分的精製融合蛋白
とともにインキュベーションすると、この融合蛋白はす
べて特異的にその2つの成分ドメイン(チオレドキシン
およびIL−11)に開裂され、スペーサー配列中のLysとA
snとの間で開裂が起こっていた。さらに、このCHOによ
り産生された組み換えエンテロキナーゼ触媒ドメイン
は、これと同じスペーサーを有する他の融合蛋白、例え
ば、イー・コリ・チオレドキシン/ヒト・MIP−1α融
合蛋白およびイー・コリ・チオレドキシン/ヒト・MIF
融合蛋白をその成分部分に特異的に開裂することができ
た。
相対的モル活性(relative molar activity)は以下
のようであった: 開裂の効率 基質 ホロ酵素 CHOにより産生された軽鎖 Gly−(Asp4)−Lys−βNA 1 1 トリプシノーゲン 100 1 Trx/IL−11 1 25 全く驚くべきことに、CHOにより産生された軽鎖は、
2個の蛋白ドメイン間にエンテロキナーゼ開裂部位を有
するチオレドキシン/IL−11融合蛋白を開裂させるのに
使用した場合、ウシ由来の酵素よりも25倍有効であっ
た。この劇的な相違は、上記の他の融合蛋白についても
同様である。さらに、ウシ由来のホロ酵素と一緒に精製
された混入セリンプロテアーゼ(例えば、トリプシンお
よびキモトリプシン)による二次的蛋白分解は、組み換
え単鎖形態に関しては混在しなかった。かくして、組み
換え単鎖エンテロキナーゼは、融合蛋白の開裂のための
優れた試薬である。
2.修飾PACE この発現系は、経膜ドメインを欠失したPACE遺伝子の
修飾バージョンの同時発現により改良された。レームツ
ラ(Rehemtulla)ら,ブラッド(Blood)第79巻:2349頁
(1992年)。CHO細胞における内在性PACEレベルは低
く、高度に発現されたプロ−エンテロキナーゼをプロセ
ッシングすることが不可能であるが、この過剰発現され
分泌されたPACEは、有効なPACEプレ/プロ−エンテロキ
ナーゼをプロセッシングし、エンテロキナーゼ過剰発現
のためのより大きいプロセッシング能力を与える。かく
して、高度な発現レベルにおいては、内在性PACE活性
は、プロセッシングされないままになっているいくらか
のエンテロキナーゼに関して制限的となり、いくらかの
不活性物質を生じる。可溶性PACEレベルを増大させるこ
とにより、適切にプロセッシングされ活性のある高レベ
ルのエンテロキナーゼがならし培地中に蓄積される。
3.トリプシノーゲン ウシ・アニオン性トリプシノーゲンのプレ/プロ領域
をコードしているDNA[リュールー(Le Heurou)ら,ヨ
ーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー
(Eur.J.Biochem.)第193巻:767〜773頁(1990年)]が
成熟エンテロキナーゼ触媒ドメインをコードしているDN
A配列とフレーム中で融合している構築物を調製した。
トリプシノーゲンのプロ領域は、エンテロキナーゼ開裂
部位(Asp4−Lys)が天然基質であるために、これを含
んでおり該構築物は、分泌されたエンテロキナーゼ「酵
素前駆体」を、そのN末端に結合したトリプシノーゲン
プロペプチドとともに生成するように設計された。次い
で、該前駆体は、自己プロセッシングを開始させるため
のエンテロキナーゼ添加により活性化されうる。CHO細
胞におけるこの構築物の発現は、大部分が細胞内蓄積と
なったが、分泌された少量の物質は、蛍光発生性エンテ
ロキナーゼペプチドアッセイにおいて検出できないレベ
ルの活性を示した。さらに、活性は、プロ蛋白へのエン
テロキナーゼの添加によっては刺激されなかった。この
キメラ蛋白は活性種を形成することができないと思われ
る。軽鎖は、大きな蛋白ドメイン(重鎖に類似)を伴っ
た翻訳された融合体から恩恵を受けると推測された。該
大きな蛋白ドメインは、翻訳後に除去されて軽鎖の活性
コンフォーメーション形成を可能にする。
B.イー・コリにおける発現 溶解度を増大させ、真正のN末端を有するエンテロキ
ナーゼを生成するために、触媒鎖に対する暗号配列を、
フレーム中で、イー・コリ・チオレドキシン遺伝子[ル
ン(Lunn)ら,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー第259巻:10469〜10474頁(1984年)]の3′
末端に、エンテロキナーゼ開裂部位(−Gly−Ser−Gly
−Ser−Gly−[Asp4]−Lys−)をコードしているスペ
ーサーとともに融合させた。この構築物は、多コピープ
ラスミド上のラムダpLプロモーター[シマタケ(Shimat
ake)ら,上記]の転写調節下にあり、チオレドキシン
/エンテロキナーゼ触媒ドメイン融合蛋白の細胞質での
発現を指令する。17℃で発現された場合、発現された融
合蛋白の一部は可溶性であり、低レベルの尿素(例え
ば、3M)の存在下で細胞を溶融させることにより十分な
溶解度が達成されうる。この融合蛋白を細胞溶融物から
精製し、エンテロキナーゼで開裂して活性エンテロキナ
ーゼを得ることができる。この構築物の趣旨は、融合蛋
白の自己触媒的プロセッシング、すなわち、開裂が少量
の活性エンテロキナーゼ(ホロ酵素または触媒鎖いずれ
でもよい)により開始され、活性触媒鎖がその融合相手
から遊離され、次いで、該活性触媒鎖が、反応系に残存
する融合蛋白を開裂しつづけることを可能にすることで
ある。イー・コリ細胞溶解物中に存在するエンテロキナ
ーゼに対する阻害物質を除去するためには、少なくと
も、融合蛋白の部分精製が必要である。特異的にSTIに
より阻害される活性軽鎖が生成される。
別法として、他の融合相手を用いてもよい。例えば、
有効な融合相手として記載された分泌蛋白であるイー・
コリ・マルトース結合蛋白[マイナ(Maina)ら,ジー
ン(Gene)第74巻:365頁(1988年)]がうまく用いられ
た。我々は、他の融合方法も、正しいフォールディング
させるのにに役立ち、真正で活性のあるエンテロキナー
ゼ軽鎖を精製する手段を提供すると予想する。
C.サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevi
siae)における発現 1.PACE 成熟ウシ・エンテロキナーゼ触媒鎖に対する暗号配列
の5′末端に融合したPACEプレ/プロ配列を用いる、CH
O細胞における使用について記載された発現構築物を、
サッカロミセス・セレシビエからのエンテロキナーゼ分
泌に使用することもできる。この酵母は、PACEと同様に
二塩基性残基のC末端側を開裂するKex2と呼ばれる酵素
を産生することが示されている。[ジュリアス(Jujiu
s)ら,セル(Cell)第37巻:1075頁(1984年)]。酵母
・kex2遺伝子とPACEプレ/プロ−ウシ・エンテロキナー
ゼ軽鎖構築物とのCOS細胞における同時発現は、PACEプ
レ/プロ配列の完全なプロセッシングを引き起こし、ウ
シ・エンテロキナーゼ抗血清と免疫沈降可能で、SDS−P
AGE上で生成物を分離するとPACEによりプロセッシング
されたエンテロキナーゼ軽鎖と一緒に移動する生成物を
生じる。
このキメラ構築物(哺乳動物のPACE分泌リーダーおよ
び成熟ウシ・エンテロキナーゼ軽鎖配列が後に続くプロ
ペプチド配列)に対する暗号配列を酵母発現ベクター中
に挿入して融合蛋白を産生させ分泌させた。宿主のKex2
蛋白は、Arg−Thr−Lys−Argに続くPACEプロペプチドを
開裂し、正しくプロセッシングされた成熟エンテロキナ
ーゼ軽鎖の分泌を引き起こすと期待される。Kex2蛋白は
同時発現されて、必要ならばプロセッシング活性を増加
させるかもしれない。Kex2のかかる過剰発現は、ネイテ
ィブな蛋白またはブレナー(Brenner)らの上記文献に
記載されたC末端経膜ドメインを欠く可溶性誘導体を伴
って行われるかもしれない。この形態のKex2は、CHO細
胞での発現に使用したPACEプレ/プロ−ウシ・エンテロ
キナーゼ軽鎖とともに同時発現される可溶性PACEに類似
である。別法として、哺乳動物PACEを、酵母において同
時発現させて、宿主内在性レベルのKex2の存在または不
存在いずれにおいてもキメラなエンテロキナーゼ構築物
のプロ−ペプチドのプロセッシングを強調することもで
きる。
2.α−因子 別法として、成熟ウシ・エンテロキナーゼ軽鎖に対す
る暗号配列を、例えば、エス・セレビシエ由来のα−因
子蛋白(自然に分泌され、次いで、Kex2によりプロセッ
シングされる蛋白)[ジュリアスら,セル第32巻:839頁
(1983年)]の分泌リーダーおよびプロ−ペプチドに対
する暗号配列に融合させることもできる。この構築物
は、上記の他の構築物と同様の物質、すなわち、活性形
態で培地中に蓄積する正しくプロセッシングされた活性
のあるエンテロキナーゼ軽鎖を生成すると期待される。
実施例9 融合蛋白および活性エンテロキナーゼの同時発現 いくつかの状況において有利な配置は、あとで開裂さ
れる融合蛋白とともに活性エンテロキナーゼを同時発現
する。該融合物は、増殖および融合蛋白合成の間の細胞
の仕切り形成により隔離され、そのことにより、融合蛋
白の所望の効果(例えば安定化、溶解性)が残される。
次いで、細胞溶解により、活性エンテロキナーゼが、発
現された融合蛋白と混合される(混じり合わされる)。
これを行うための1つの方法は、細胞質で融合蛋白を産
生させつつ、活性エンテロキナーゼをイー・コリのペリ
プラズム空間中に分泌させることである。他の方法は同
じように、例えば、CHOでの上記活性エンテロキナーゼ
の生産のために用いられるPACEとPACEプロ/エンテロキ
ナーゼとの同時分泌に類似の、CHO細胞におけるエンテ
ロキナーゼと融合蛋白の同時分泌に適する可能性があ
る。もう1つの方法は、エンテロキナーゼ融合蛋白(例
えば、その混にエンテロキナーゼ開裂部位を有するTrx/
エンテロキナーゼ軽鎖)と、さらにドメイン間にエンテ
ロキナーゼ部位を有する所望蛋白生成物を含む融合蛋白
との同時発現である。エンテロキナーゼは、精製される
までは、そして自己触媒が起こるまでに濃縮されるまで
は不活性のままであると考えられ、その後、同時精製さ
れた所望融合蛋白もプロセッシングされるであろう。
実施例10 治療薬としてのエンテロキナーゼの使用 蛋白を消化する能力が重大に損傷を受けているヒトの
症状がある[ハドーン(Hadorn)ら,ランセット(Lanc
et)第1巻:812〜813頁(1969年);ターロウ(Tarlo
w)ら,アーカイブス・オブ・ディジーズ・イン・チャ
イルドフッド(Arch.Dis.Child.)第45巻:651〜655頁
(1970年)]。これらの患者についての研究により、患
者らは、起こるべき消化に関与する多くの膵臓酵素前駆
体を順次活性化するトリプシンへのトリプシノーゲンの
変換に必要なエンテロキナーゼの産生能を欠いているこ
とが明らかとなった。これらの患者由来の十二指腸液
は、インビトロにおいてトリプシノーゲンを活性化でき
ないが、この十二指腸液に精製エンテロキナーゼを添加
すると蛋白分解酵素が活性化され、不活性な酵素前駆体
が存在し、これが活性化されうることが示唆される[ハ
ドーン(Hadorn)ら,上記]。この症状は、過去におい
ては、膵臓抽出物を用いて治療されていた。
この症状に、組み換え型エンテロキナーゼを治療薬と
して使用してもよい。経口投与されるように処方した場
合、該酵素は十二指腸に入り、そこで、大膵管から入っ
てくる不活性な酵素前駆体と出会う。そこで、エンテロ
キナーゼはトリプシノーゲンを活性化し、これが他の酵
素前躯体を順次活性化し、正しい消化が進行する。ヒト
型のエンテロキナーゼ遺伝子は、この症状を直す遺伝子
治療にも有用であるかもしれない。
上記説明的実施例は、エンテロキナーゼ活性をコード
している核酸配列の単離および特徴付け、ならびに対応
する蛋白およびポリペプチドを得るための該核酸配列の
転写および翻訳に関するものである。重鎖および軽鎖を
一緒にした、あるいは軽鎖のみでのこれらの蛋白の使用
も記載されている。
本発明は、特定の方法および組成物に関して記載され
ているが、本発明を考慮して、当業者により種々の変更
および修飾がなされるであろうということが理解され
る。
上記説明的実施例に記載された本発明における多くの
修飾および変更が当業者により行われ、結果的に、添付
された請求の範囲にある限定のみがそれらに課される。
したがって、権利請求される本発明の範囲内のすべての
かかる等価な変更を包含することが、添付された請求の
範囲において意図される。
フロントページの続き (56)参考文献 Journal of Protei n Chemistry,Vol.10 (5)pp.475−480(1991) Chemical Abstract s,Vol.102(3)pp.308 Ab stract no.20188v(1985) Journal of Biolog ical Chemistry,Vo l.259(21)pp.13195−13198 (1984) Gastroenterol.JPN Vol.25(3)pp.320−327 (1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/57 C12N 9/64

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プレ−領域、プロ−領域、およびプレ/プ
    ロ領域からなる群より選択される領域をコードしている
    第2のDNAに作動可能に連結された配列番号:1の核酸配
    列からなる単離DNA。
  2. 【請求項2】該第2のDNAがPACEのプレ/プロ領域、ト
    リプシノーゲンのプレ/プロ領域、および酵母・α−因
    子のプレ/プロ領域からなる群より選択されるプレ/プ
    ロ領域である、請求項1記載の単離DNA。
  3. 【請求項3】エンテロキナーゼ活性を有する蛋白の製造
    方法であって、 a)請求項1の単離DNAを含む核酸配列で形質転換また
    はトランスフェクションされた宿主細胞を培地にて増殖
    させ、次いで、 b)該宿主細胞または該培地から、該核酸配列の発現産
    物である蛋白を単離すること を特徴とする方法。
  4. 【請求項4】エンテロキナーゼをコードしており、ATCC
    受託番号69232と命名されたプラスミドpEK−2/GI734に
    対応する単離DNA。
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