JP3147202B2 - 高温電界下で電気化学的安定性に優れるアルミナセラミックス - Google Patents

高温電界下で電気化学的安定性に優れるアルミナセラミックス

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JP3147202B2 JP18222593A JP18222593A JP3147202B2 JP 3147202 B2 JP3147202 B2 JP 3147202B2 JP 18222593 A JP18222593 A JP 18222593A JP 18222593 A JP18222593 A JP 18222593A JP 3147202 B2 JP3147202 B2 JP 3147202B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温、電界下で電気化
学的安定性に優れるアルミナセラミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミナセラミックスは、その優れた絶
縁性、機械的性質を利用し、各種碍子、碍管、ブッシン
グなどの電力用絶縁物から、ハイブリッドIC基板、I
Cパッケージや多層配線基板、セラミックヒーター等に
広く応用されている。
【0003】アルミナセラミックスは、一般には、アル
ミナの純度及び含有されるフラックス成分、焼結助剤、
不純物成分量等により分類され、概略的には、例えばア
ルミナ含有量が90%以下のもの、92%、94%、9
6%、97%、98%、99%、99.5%及びそれ以上の
ものというように分類され、用途によって使い分ける。
【0004】アルミナセラミックスは、通常、アルミナ
92〜97重量%、CaO−MgO−SiO2系ガラス
残部(フラックス成分)からなる混合粉末に、有機バイ
ンダ、溶剤を加えて泥しょうとし、ドクターブレード法
などのシート成形法によってセラミックスグリーンシー
トに成形し、このグリーンシートを1550〜1700
℃で焼成することにより製造される。
【0005】例えばアルミナセラミックスを応用して製
造されるセラミックヒーターは、アルミナ原料を板状の
グリーンシートに成形した後、高温で焼成してアルミナ
セラミックス基板とし、必要に応じ該基板表面または基
板内部に、白金粒子、タングステン粒子を含有する金属
抵抗体を形成することにより得られる。
【0006】そして、このセラミックヒーターは、例え
ばガス器具や石油ストーブなどの点火用ヒーターとして
用いたり、あるいはセラミックヒーター上に高温動作す
る各種のガス検知素子を貼り付け、各種ガスセンサーに
おけるヒーター部として用いることができる。
【0007】このように、セラミックヒーターは上記点
火用ヒーターとして用いる場合、例えば800度程度か
それ以上の高温雰囲気に曝され、ガス検知素子として用
いる場合も、ガス検知素子の種類によってはその動作温
度により少なくとも数100℃以上の高温雰囲気に曝さ
れる。
【0008】また、上記金属抵抗体には、ヒーター発熱
のために、10ボルト以上、時には15ボルト以上の高
い電圧が負荷される。
【0009】CaO−MgO−SiO2系ガラスフラッ
クス成分を含有するアルミナ含有量91.5、94.0、96.4、
97.6、98.8%のアルミナ基板の特性は、上山守ら「粉体
及び粉末冶金」第35巻8号P793〜798(198
8)に報告されている。
【0010】Al23純度99.4〜99.9%と残部CaO−
MgO−SiO2からなるアルミナ磁器組成物について
は特開昭61−183163に、また、Al23純度9
9.6〜99.9%とCaO−MgOからなるアルミナ磁器組
成物については特開昭61−118905にそれぞれ開
示されている。
【0011】アルミナの焼結に及ぼす添加成分の効果に
ついては、例えば、TiO2、Nb25、MnO、Cu
O、GeO2、Ga23、Y23、MgF2、MgO等に
ついて報告されており、MgOがアルミナの粒成長抑制
剤として有効であることはよく知られているところであ
る(W. J. Smothers, H. J. Reynolds: J. Am. Ceram.
Soc., 37, P588 (1954))。
【0012】MgOとCr23を含有する高純度アルミ
ナ(99.5%Al23)セラミック基板の製造法が特公昭
54−8364、特公昭55−11483等に開示され
ている。また、BaOとSiO2をフラックス成分中に
含有し、フラックス成分を2.5〜10重量%含有する酸
化アルミニウムからなる電気化学的に安定なセラミック
スが特開平1−503621(公表)に開示されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記したよう
な従来組成のアルミナセラミックヒーターを上記のごと
く高温下、高電圧負荷の下で長時間使用とすると、上記
セラミックヒーターは、ヒーター抵抗値変化が増大し、
ふくれ、盛り上がりを生ずると同時にクラック発生にい
たる。そのため、上記セラミックヒーターは使用が不可
能となることがある。これはセラミックヒーターに限ら
ず、高温、高電圧負荷下で使用されるアルミナセラミッ
クスに生ずる共通の課題である。
【0014】本発明者らは、上記クラックや盛り上がり
の発生理由について種々検討した結果次のことを見出し
た。
【0015】まず、上記ヒーター抵抗値変化及びクラッ
クの発生は、金属抵抗体の負極側にアルカリ土類等のイ
オンが移動集積し、そのため体積が増大し、あるいは熱
膨張係数の変化による応力歪みの発生により、抵抗値が
変化するとともにクラックの発生にいたることが判明し
た。
【0016】一方、正極側には、O2ガスが発生し、こ
れによりセラミックヒーター中に空洞が生じて盛り上が
りができることが判明した。これらは、セラミックヒー
ター中における一種の電気分解により生ずるものと考え
られる。
【0017】直流電圧下で使用されるアルミナセラミッ
クスについては、特開平1−503621(公表)にフ
ラックス成分を2.5〜10重量%含有するセラミックス
が開示されているが、アルミナ純度が低くフラックス成
分が多いためにこの組成物の使用は限定され、耐久性が
十分なものではなかった。
【0018】そこで本発明は高温、高電圧負荷下におけ
るヒーター電極の抵抗値変化及びクラック及び盛り上が
りの発生を解消し、電気化学的に安定なアルミナセラミ
ックスを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的に従い、鋭意研
究を進めた結果、セラミックヒーターにおけるアルミナ
の純度と焼結助剤の配合割合に問題があることを突き止
め、本発明において高温高電界下で電気化学的安定性に
優れるアルミナセラミックスを完成するに至った。
【0020】即ちアルミナ含有量が99重量%以上99.5
重量%未満であり、BaOとSiO2を含有するフラッ
クス成分が重量%以下であって、かつNa2O及びK2
Oの含有量が0.1重量%以下であり、焼結助剤成分とし
てBaOとSiO 2 を総量で0.1〜1重量%含有し、かつ
BaO含有量が0.02重量%以上であるアルミナセラミッ
クスによって上記目的は達成される。
【0021】また、アルミナ(Al 2 3 )含有量が99.5
重量%以上であり、BaOとSiO 2 を含有するフラッ
クス成分が0.5重量%以下であるアルミナセラミックス
であって、Na 2 O及びK 2 Oの含有量が0.1重量%以下
であり、焼結助剤成分としてBaOとSiO 2 を総量で
0.05〜0.5重量%含有し、かつBaO含有量が0.01重量
%以上であるアルミナセラミックスによって上記目的は
達成される。
【0022】上記アルミナセラミックスはいずれもBa
Oの一部または全部をSrOで置換してもよい。
【0023】これらアルミナセラミックスは直流電圧を
印加して使用されるセラミックスの基材となり、更には
直流電圧を印加して焼結体全体を加熱するように構成し
たセラミックヒーターのセラミックスの基材となる。
【0024】上記の直流電圧を印加するセラミック基材
には、アルミナ含有量が99.5重量%以上であり、Na2
O及びK2O含有量の総量が100ppm以下であるアルミ
ナセラミックスが最も好適である。
【0025】
【好適な実施態様】アルミナセラミックス中のガラス成
分は、高温直流電界下で物質移動しやすい為、このガラ
ス成分であるフラックス成分を少なくし、アルミナセラ
ミックス中のアルミナ含有量を高めることが好ましくア
ルミナ含有量が98重量%以上であるのが好適であり、
本発明では99重量%以上にしている。アルミナ含有量
が98重量%以下では高温電界下での安定性に劣るもの
となる。
【0026】高温直流電界下でのセラミックスの安定性
は、通常セラミックスを構成する成分に依存している。
アルミナセラミックスの場合は、アルミナ焼結体中のガ
ラス形成成分あるいは不純物として含有されるNa
2O、K2O量、Na+やK+に次いで物質移動の容易なイ
オンMg2+、Ca2+の存在形態、粒界に存在するガラス
層の融解温度とその量等に依存しているものと考えられ
る。
【0027】アルミナセラミックス中に含有されるNa
2O、K2O量は、絶縁性、特に高温における絶縁性に影
響を与えるので0.1重量%以下が好ましい。すなわち、
Na2O及びK2O含有量が0.1重量%以上の場合には、
絶縁性に劣るものとなる。
【0028】このようにNa2O及びK2Oを総量で0.1
重量%以下含有するアルミナセラミックスの場合、これ
らNa+、K+イオンの移動を抑制する目的及び焼結促進
の目的でフラックス成分を必要とするが、その量は上記
したように少ない方がよく重量%以下であり、かつ成
分としてはBaOまたはSrOとSiO2の組合せが高
温、電界下の電気化学的安定性の点で優れたものであ
る。
【0029】なお、本発明には含まれないが、アルミナ
含有量が98.5重量%以上99重量%未満であるとき
には焼結助剤成分及び絶縁性を向上させる成分としてB
aOまたはSrO及びSiO2を総量で0.2〜1.5重量%
含有し、BaOまたはSrO含有量が0.05重量%以上と
することにより高温電界下で電気化学的安定性に優れた
アルミナセラミックスが得られる。
【0030】BaOまたはSrO及びSiO2の総量が
0.2重量%以下あるいはBaOまたはSrO含有量が0.0
5重量%以下ではその効果は十分に発現しない。
【0031】BaOまたはSrOとSiO2の含有比率
は、BaO(またはSrO):SiO2=10:1〜
1:10が好ましく、さらには8:2〜2:8の範囲が
好ましい。
【0032】アルミナ含有量を99重量%以上とすると
更に高温電界下での電気化学的安定性が高いアルミナセ
ラミックスを得る。
【0033】アルミナ含有量が99重量%以上99.5重量
%未満であるときにはBaOまたはSrO及びSiO2
を焼結助剤として総量で0.1〜1重量%含有し、BaO
またはSrOの含有量が0.02重量%以上とする。
【0034】アルミナ含有量が99.5重量%以上であると
きにはBaO(またはSrO)とSiO2の総量が0.05
〜0.5重量%であり、BaO(またはSrO)含有量が
0.01重量%以上とするときに高温電界下で特に優れた電
気化学的安定性を有するアルミナセラミックスが得られ
る。
【0035】フラックス成分がこれらの範囲外のときに
は充分な効果はみられない。
【0036】なお、Al23含有量とBaO(またはS
rO)とSiO2が本発明の範囲内であればこの他の成
分としてアルミナの焼結助剤成分として、MgO、Ca
O、Y23等が含有されていてもさしつかえない。
【0037】Na2O、K2O含有量の少ない高純度アル
ミナ原料を使用したアルミナ含有量が99.5重量%以上の
アルミナセラミックスは、高温・直流電界下の電気化学
的安定性を高める上で極めて有効な手段であり、この場
合にはフラックス成分を必要とせず、高温における絶縁
性を高める上でNa2OとK2Oの総量は、100ppm以
下が好ましい。また粒成長抑制の目的でMgO、Ca
O、Y23等を0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以
下で含有されていても差しつかえない。アルミナ含有量
はこの場合99.9重量%以上がさらに好ましいものであ
る。
【0038】直流電圧を印加して焼結体をヒーターとし
ての灼熱温度に加熱するように構成されたセラミックヒ
ーターに、このNa2O、K2O量が100ppm以下のア
ルミナ含有量99.5重量%以上のアルミナセラミックスを
用いた場合、耐久性等の点で極めて優れた特性を示す。
【0039】
【作用】本発明のアルミナセラミックスは高温電界下、
特に直流電圧が印加され、ヒーターとしての灼熱温度と
なるような条件下において、電気化学的安定性に極めて
優れる。
【0040】従って本発明のアルミナセラミックスを用
いた本発明のセラミックヒーターは抵抗変化率が極めて
小さくふくらみ、クラックまたは盛り上がり等の欠陥を
生ずることがなく耐久性に優れる。
【0041】
【実施例】次に、本発明についていくつかの実施例を用
いて更に説明する。
【0042】まず、本発明のアルミナセラミックスの代
表例として、アルミナ含有量が98.2重量%、99.2重量
%、99.7重量%でBaOとSiO2を焼結助剤として含
有するアルミナ、また比較例としてアルミナ含有量が9
4重量%、97.45重量%でBaOとSiO2を焼結助剤と
して含有するアルミナとアルミナ含有量が94重量%で
MgOとCaOとSiO2を焼結助剤として含有するア
ルミナを用いて、セラミックヒーターを製造し、セラミ
ックヒーターを所定の温度に保持し、セラミックヒータ
ーの抵抗値変化及び負極電極の状態変化について、X線
マイクロアナライザー(XMA)を用いて物質の偏析割
合について調べた。
【0043】各アルミナ材質を用いて作製した上記のセ
ラミックヒーターを図1に示す。すなわち、アルミナセ
ラミックス焼結体の内部に金属抵抗体11を埋め込んで
なり、該金属抵抗体11に直流電圧を印加して、該焼結
体全体を加熱するよう構成してなる。この上記セラミッ
クヒーターは、図2に示す如く、アルミナセラミックス
焼結体からなる基板1と該基板1上に形成した金属抵抗
11のパターンと、上記基板1を覆うアルミナセラミッ
クス焼結体からなるカバー2とよりなる。
【0044】上記の構造のセラミックヒーターは、例え
ばそのままで点火用ヒーターとして用いられたり、上記
セラミックヒーター上に各種のガス検知素子を貼着し
て、ガス検知素子におけるヒーター部として用いられ
る。
【0045】上記基板1は、焼結後の厚みが0.7mmの板
状のアルミナセラミックス焼結体よりなる。また、上記
カバー2は、焼成後の厚みが0.3mmの板状のアルミナセ
ラミックス焼結体よりなる。これらの両アルミナセラミ
ックス焼結体は、仮焼原料を、予めドクターブレード法
によって板厚さが異なるグリーンシートを形成する。
【0046】上記金属抵抗体11は、白金ペーストをス
クリーン印刷法により、上記基板1のグリーンシート上
に印刷して形成する。その後、該基板1上にカバー2を
重ねる。そして、熱圧着により、これらのグリーンシー
トを一体的に焼成して、図2に示すごとく、基板1と金
属抵抗体11とカバー2とよりなるセラミックヒーター
を得る。
【0047】上記セラミックヒーターは、ガス器具や石
油ストーブなどの点火用ヒーターとしたり、あるいはセ
ラミックヒーター上に各種のガスセンサー3を貼り付け
ることにより、各種ガス検知素子とする。
【0048】上記直流電圧は、自動車におけるバッテリ
電源4に接続して印加する。即ち、図1に示すごとく、
上記金属抵抗体11の一端111に、負極側のリード線
41を接続する。また、該金属抵抗体11の他端112
には、正極側のリード線42を接続する。
【0049】上記したような構造のセラミックヒーター
のアルミナ基材は以下のようにして作製した。
【0050】すなわち、ナトリウム及びカリウム化合物
の酸化物に換算した総量が、0.03重量%で平均粒径が0.
6μmのアルミナ純度99.9%のアルミナ粉末を主原料と
し、これに表1に示す焼結助剤を混合する。具体的に
は、試料No.1、2、3及びC1とC3はBaOとSi
2の重量比がBaO:SiO2=3:2の比率で総量が
表1に示す値となるように添加した。なおBaOは炭酸
バリウム、SiO2はシリカの形態で純度99.5%以上の
ものを使用した。試料C2はMgOとCaOとSiO2
の重量比がMgO:CaO:SiO2=25:7:68
となるようにした組成物の総量が表1に示す値(5.95
%)となるように添加した。MgO、CaOは炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウムの形態で純度99.5%以上のも
のを使用した。
【0051】
【表1】
【0052】上記した原料をアルミナ製ポットミルによ
り混合粉砕し、電気炉にて1100℃で仮焼したものを
用いた。なお、表1の試料No.1は、本発明に含まれ
ない参考例である。
【0053】次に、ドクターブレード法により基板用及
びカバー用のグリーンシートを、上記アルミナの各原料
を用いてそれぞれ作成する。
【0054】次いで、上記基板用のグリーンシート上
に、白金ペーストを用いてスクリーン印刷法により、金
属抵抗体(図1、図2)を印刷する。
【0055】次いで、上記基板用グリーンシート上に、
カバー用のグリーンシートを重ねて置く。そしてこれら
のグリーンシートを積層した状態で電気炉にて、アルミ
ナの純度に応じて1550〜1640℃で一体的に焼成
する。
【0056】上記の各アルミナ材質のセラミックヒータ
ーの金属抵抗体11に直流電圧(端子間電圧14V、1
7V、20.5V)を印加し、その表面温度が表1に示すよ
うに850℃、1000℃、1150℃になるように夫
々50時間保持し、セラミックヒーターに生じる変化を
調べた。すなわちセラミックス中の物質の電気分解及び
物質移動によって生じる経時変化を調べた。具体的には
ヒーターの抵抗値の変化率と、ヒーターの負極側に生じ
るカチオン濃度の偏析度合いについてXMAを用いて調
べた。その結果を表1に示す。抵抗値の変化率は初期値
に対する変化率(%)で示した。
【0057】850℃及び1000℃に加熱保持した場
合において、本発明例の試料2、3及び参考例の試料1
は、いずれもヒーターの抵抗値変化は2%以下でほとん
どみとめられなかった。これに対し、MgO−CaO−
SiO2を焼結助剤として5.95重量%含有するAl23
含有量94.0重量%の比較例C2は、850℃において低
い濃度のCa偏析が認められ、また1000℃におい
て、高いCaの偏析が認められ、大きな抵抗値変化を示
していた。また、本発明例外の比較例であり、特開平1
−503621(公表)の実施例にあたるアルミナC1
及びC3はBaO−SiO2を5.95重量%含有するAl2
3含有量94.0重量%、BaO−SiO2を2.5重量%含
有するAl23含有量97.45重量%のアルミナセラミッ
クスであり、共に850℃においては大きな抵抗変化が
認められなかったものの、1000℃においてはC1は
やや高い濃度のBa偏析が認められ、またC3において
もBa偏析が認められ、抵抗変化率も増大した。
【0058】1150℃に加熱保持した場合において
料No.1はヒーターの負極側においてBaの濃度がほ
ぼ0であり、また試料No.2、3ではBaは検出され
ず、また抵抗値変化率は試料No.1、2、3ともに低い
レベルであった。これに対し、比較例のC1、C2、C
3においては、ヒーターの負極側においてやや高い濃度
あるいは高い濃度のカチオン偏析が認められ、また、大
きな抵抗値変化を示した。
【0059】
【実施例2】実施例1の試料No.1、2、3について、
焼成助剤成分のBaO−SiO2のBaOの50重量%
及び100重量%をSrOで置換した試料6種類を、実
施例1と同様の手法でセラミックヒーターを作製し、実
施例1と同様に直流電圧を印加し、1000℃に保持
し、ヒーターの負極側、正極側のセラミックス材質の経
時変化を実施例1と同様に調べた。その結果、6種類の
試料のいずれもにおいて、ヒーターの負極側でのBa又
はSrの偏析は認められず、また抵抗値変化も2%以下
でほとんど認められなかった。
【0060】
【実施例3】ナトリウム及びカリウム化合物の酸化物に
換算した総量が0.04重量%で平均粒径が0.7μmのアル
ミナ純度99.9%のアルミナ粉末を原料にし、これにBa
OとSiO2の割合が表2に示す値となるように純度99.
5%以上の炭酸バリウム及びシリカを添加し、実施例1
と同様にして、ドクターブレード法によりグリーンシー
トを作製した。
【0061】このグリーンシートを表2に示す焼成温度
で焼成し、焼結体の吸水率と700℃における体積抵抗
率を測定した結果を表2に示した。
【0062】
【表2】
【0063】本発明例である試料No.〜10、11〜
13及び参考例である試料No.4〜7の各試料は、いず
れも吸水率が0%で108Ωcmより高い優れた体積抵抗
率を示した。これに対し、本発明外の比較例であるC
3、C4、C5の試料は、吸水率が5%以上であり、ま
た108Ωcmよりも低い体積抵抗率であった。
【0064】このように本発明外のBaOとSiO2
率のものは、高温における絶縁性に劣っていた。
【0065】
【参考例】ナトリウム及びカリウム化合物の酸化物に換
算した総量が85ppm、19ppm、10ppmで平均粒径が
0.6μm、0.5μm、0.5μmのアルミナ純度99.99%のア
ルミナ粉末を原料とし、これに焼結助剤を加えない場合
と、500ppmのMgO(99.9%を焼結助剤として加
えた計6種類のアルミナからなるセラミックヒーターを
実施例1と同様にして作成した。このセラミックヒータ
ーに直流電圧を(端子間電圧21.5V)印加し、その表面
温度が1200℃となるよう500時間保持した後、ヒ
ーターの正極側、負極側の変化及び物質移動(カチオン
の偏析度合い)を実施例1と同様にして調べた。6種類
のアルミナ材質からなるセラミックヒーターは、抵抗変
化率は1%未満でいずれも経時変化が認められず、極め
て高い耐久性を示すことが判明した。
【0066】
【発明の効果】本発明のアルミナセラミックスを用いた
セラミックヒーターはその金属抵抗体に、直流電圧を印
加し、長時間用いる場合においても、負極側に焼結助剤
に由来するアルカリ土類等のカチオンが移動集積するこ
とが極めて少ない。それ故、上記セラミックヒーターの
負極側に、クラックを生ずることがない。また、負極側
近傍において、金属抵抗体の断線を生ずることもない。
【0067】また、上記セラミックヒーターの正極側に
おいては、焼結助剤等の酸化物の電気分解に起因して、
酸素ガスの発生を生ずることが極めて少ない。そのた
め、上記正極側に盛り上がりまたはクラックを生じな
い。また正極側近傍においても、上記断線を生じない。
【0068】したがって、本発明によれば、抵抗値変化
が極めて小さくふくらみ、クラック又は盛り上がり等の
欠陥を生ずることがなく、耐久性に優れたセラミックヒ
ーターを提供することができる。
【0069】このように、本発明のアルミナセラミック
スは、高温、電界下、特に直流電圧が印加され、ヒータ
ーとしての灼熱温度となるような条件下において電気化
学的安定性に極めて優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2、4で作成したセラミックヒータ
ーの概略図
【図2】上記セラミックヒーターの縦断面図
【符号の説明】
1…基板 2…カバー 3…ガス検出素子 11…金属抵抗体 41…負極側のリード線 42…正極側のリード線 111、112…金属抵抗体の端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 冬季 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 戸田 健吾 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 加藤 正樹 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 加藤 慶三 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 磯部 隆昌 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 山内 則義 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 藤井 並次 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特表 平1−503621(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/111

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ(Al23)含有量が99重量%
    以上99.5重量%未満であり、BaOとSiO2を含有す
    るフラックス成分が重量%以下であるアルミナセラミ
    ックスであって、Na2O及びK2Oの含有量が0.1重量
    %以下であり、 焼結助剤成分としてBaOとSiO 2 を総量で0.1〜1重
    量%含有し、かつBaO含有量が0.02重量%以上である
    ことを特徴とする高温電界下で電気化学的安定性に優れ
    るアルミナセラミックス。
  2. 【請求項2】アルミナ(Al 2 3 )含有量が99.5重量%
    以上であり、BaOとSiO 2 を含有するフラックス成
    分が0.5重量%以下であるアルミナセラミックスであっ
    て、Na 2 O及びK 2 Oの含有量が0.1重量%以下であ
    り、 焼結助剤成分としてBaOとSiO2を総量で0.05〜0.5
    重量%含有し、かつBaO含有量が0.01重量%以上であ
    ることを特徴とする高温電界下で電気化学的安定性に優
    れるアルミナセラミックス。
  3. 【請求項3】BaOの一部または全部がSrOで置換さ
    れていることを特徴とする請求項1〜の一に記載のア
    ルミナセラミックス。
  4. 【請求項4】直流電圧を印加して使用されるセラミック
    スの基材であることを特徴とする請求項1〜の一に記
    載のセラミックス。
  5. 【請求項5】直流電圧を印加して焼結体全体を加熱する
    ように構成したセラミックヒーターのセラミックスの基
    材であることを特徴とする請求項1〜の一に記載のセ
    ラミックス。
  6. 【請求項6】アルミナ含有量が99.5重量%以上であり、
    Na2O及びK2O含有量の総量が100ppm以下である
    ことを特徴とする請求項又は記載のセラミックス。
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