JP2005123141A - 導電性ペースト、および圧電セラミック電子部品 - Google Patents

導電性ペースト、および圧電セラミック電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電セラミック電子部品の電機機械結合係数(Kp)などの電気特性の向上と、耐湿負荷などの信頼性試験後も電気特性が劣化しにくいガラス粉末を用いた導電性ペーストを提供する。
【解決手段】圧電セラミック電子部品の電極形成に用いられる導電性ペーストであって、Ag、PdおよびAg−Pd合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラス粉末として、式:xB23―ySiO2―zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成を有し、かつ、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示す3元組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30,50)で囲まれた範囲内にあり、さらに、前記ガラス粉末100モルに対してAl23を、1〜5モル含有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電セラミック素子に電極を形成するために用いられる導電性ペースト、およびそれを用いた圧電セラミック電子部品に関する。
圧電セラミック電子部品の電極形成に用いられる導電性ペーストでは、ガラス粉末が添加される場合がある。導電性ペースト中にガラス粉末を添加する効果としては、一般に電極焼成時に軟化流動して導電性粉末の焼結を促進させること、焼成後の電極の密着強度を向上させること、などが挙げられる。
具体的には、たとえば、Bi23−B23−SiO2系ガラスとBaO−CaO−B23−SiO2系ガラスを混合し、ガラス粉末として用いたことを特徴とする、導電性ペースト組成物(特許文献1参照)や、B23−SiO2−Al23−CaO系ガラスとPbO−Al23−SiO2系ガラスを混合し、ガラス粉末として用いたことを特徴とする、導電性ペースト(特許文献2参照)等が提案されている。
特開平6−60716号公報 特開平9−17232号公報
圧電セラミック電子部品、特に焼成済みのセラミック単板に導電性ペーストを印刷、および焼き付けし、電極を形成するような圧電セラミック電子部品の場合、上記した導電性ペーストを用いると、電極形成後の電気機械結合係数(Kp)などの電気特性の劣化や、耐湿試験による劣化等の信頼性の低下を生じる。
そこで、本発明の目的は、圧電セラミック電子部品の電気機械結合係数(Kp)などの電気特性の向上と、耐湿試験などの信頼性試験後も電気特性が劣化しにくい、ガラス粉末を含有する導電性ペーストを提供しようとすることである。さらには、該導電性ペーストを用いた圧電セラミック電子部品を提供しようとすることである。
上記目的を達成するため、本発明の導電性ペーストは、圧電セラミック電子部品の厚膜電極形成に供される導電性ペーストであって、Ag、PdおよびAg−Pd合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラス粉末として、式:xB23―ySiO2―zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成を有し、かつ、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示す3元組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30、50)で囲まれた範囲内にあり、さらに、前記ガラス粉末100モルに対してAl23を、1〜5モル含有していることを特徴とする。
さらに、本発明の圧電セラミック電子部品は、圧電セラミックと、該圧電セラミックの表面に形成された導体膜とを備え、該導体膜は上述の導電性ペーストの焼結膜であることを特徴とする。
本発明の導電性ペーストを用いれば、電気機械結合係数(Kp)などの電気特性を向上させ、かつ、耐湿試験などの信頼性試験後でも電気特性が劣化しない圧電セラミック電子部品を得ることができる。
以下、本発明の導電性ペースト、および圧電セラミック電子部品について説明する。
図2は、圧電セラミック電子部品を構成する部品としての圧電振動子を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。また、図3は本発明の圧電セラミック電子部品の一例として、図2に示す圧電振動子を金属製振動板4に接着した状態を示す側面図である。
図2および図3を参照して、圧電セラミック1の両主面に本発明の導電性ペーストを用いて形成された一対の導体膜としての電極2、2が形成されている。そしてこの電極の片方の主面に、接着剤3を用いて金属製振動板が取り付けられている。
圧電セラミック1は、圧電性を有する材料からなる単板型の生のセラミック成形体を焼成して形成される。電極2、2は本発明の導電性ペーストからなり、たとえば、圧電セラミック1の両主面に塗布し、乾燥後に焼き付けて形成される。なお、電極2、2は、焼成前の生のセラミック成形体の両主面に本発明の導電性ペーストが塗布され、電極用塗膜が形成された後に、生のセラミック成形体とともに焼成されてもよく、形成方法について特に限定されるものではない。
また、本発明の圧電セラミック電子部品は、図2、3に示した圧電振動子の形状に限定されることなく、たとえば、複数のセラミックグリーンシートが積層されたセラミック成形体を焼成してなるセラミック焼結体と、そのセラミック焼結体の表面に本発明の導電性ペーストを用いて形成された一対の電極を備える積層セラミック電子部品であっても構わない。また、接着剤、振動板の材料は特に限定されることなく、またこれらを備えていなくても構わない。
本発明の圧電セラミック用導電性ペーストに用いられるガラス粉末は、式:xB23−ySiO2−zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成を有し、かつ、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示した3成分組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30、50)で囲まれた範囲内にある。さらに、前記ガラス粉末100モルに対してAl23を、1〜5モル含有している。
以下、本発明において、上述のような特徴的な組成を選んだ根拠となる実験例について説明する。
(1)導電性ペースト用ガラス粉末の作製
まず、導電性ペースト用ガラス粉末の出発原料として、H3BO3、SiO2、Bi23、ZnO、Na2CO3、PbO、Al23を準備した。
次に、これら原料を表1に示す組成のガラス粉末が得られるように秤量し混合した。その後、これら混合物をアルミナ製のるつぼに入れて900〜1300℃に1時間保持した。次に、完全に溶融したことを確認し、炉から取り出して純水中に投入してガラス化させた。得られたビーズ状のガラスをボールミルで湿式粉砕して、表1に示す試料番号1〜13のガラス粉末を得た。
Figure 2005123141
(2)導電性ペーストの作製
次に、試料番号1〜13について、前記のガラス粉末2.0重量部と、金属粉末としてAg粉末45.0重量部(平均粒径:1.0〜2.0μm)、およびPd粉末12.5重量部(平均粒径:1.0〜2.0μm)を調合し、あらかじめ調合しておいた有機ビヒクル40.5重量部(エチルセルロースをブチルカルビトールに溶解したもの)と混合、および分散し、目的とする導電性ペーストを得た。
試料番号14については、上記と同じ平均粒径の金属粉末としてAg粉末45.0重量部、Pd粉末12.5重量部を調合し、あらかじめ調合しておいた有機ビヒクル42.5重量部と混合、分散し、ガラス粉末を含有しない導電性ペーストを得た。
(3)圧電セラミックへの電極形成
上記で作製した導電性ペーストをPb(Zr、Ti)O3系の板状の圧電セラミックの一方の面に印刷した後、150℃、3分間オーブン乾燥した。次に、同じ圧電セラミックの他方の面についても同様に、導電性ペーストの印刷、および乾燥を行った。
前記セラミックに形成した導電性ペースト膜について、大気中、800〜850℃で焼き付けを行い、圧電セラミックの両主面に電極を形成し、その後、圧電セラミックの厚み方向に1.5kV/mmの直流電圧を印加し、分極処理して圧電セラミック電子部品を得た。
(4)電気特性の評価
圧電セラミック電子部品について、インピーダンスアナライザを用いて、それぞれ、電気機械結合係数(Kp)を測定し、その平均値と標準偏差(σ(Kp))を算出した。また、比誘電率(εr)を求め、その平均値と標準偏差(σ(εr))を算出した。ここで、測定試料数は、各試料番号ごとに10個づつとした。
初期電気特性の測定が終了した圧電セラミック電子部品について、耐湿試験に供した。前記耐湿試験に用いた試験槽内は湿度95%、温度60℃で一定に保たれている。耐湿試験1000時間経過後に、圧電セラミック基板を試験槽から取りだし、試験前と同様にインピーダンスアナライザを用いて、それぞれ、電気機械結合係数(Kp)と比誘電率(εr)を測定し、その平均値を算出した。また、測定によって得られた電気機械結合係数(Kp)と比誘電率(εr)を、試験前の数値と比較し、その変化の割合を変化率として算出し、その平均値を求めた。その結果を表2に示す。表2において、*印を付したものは本発明の範囲外のものであり、それ以外は本発明の範囲内のものである。
Figure 2005123141
表1、2から明らかなように、ガラス粉末として、式:xB23―ySiO2―zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成を有し、かつ、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示す3元組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30、50)で囲まれた範囲内にあり、さらに、前記ガラス粉末100モルに対してAl23を、1〜5モル含有している、本発明の導電性ペースト(試料番号1〜5)の場合は、初期および耐湿試験後の、電気機械結合係数(Kp)が31%以上、比誘電率(εr)が1950以上と電気的特性に優れた圧電セラミック電子部品を得ることができる。また、電気機械結合係数(Kp)のばらつきが標準偏差(σ(Kp))で0.01以下と小さく、比誘電率(εr)のばらつきが標準偏差(σ(εr))で30以下と小さく、電気的特性の揃った優れた品質のものを得ることができる。
これに対して、Al23の含有量が1モル未満の場合は、試料番号6に示すように、耐湿試験後の電気機械結合係数(Kp)が31%未満となる。また、Al23の含有量が5モルを超える場合は、試料番号7に示すように、初期および耐湿試験後の、電気機械結合係数(Kp)が31%未満、比誘電率(εr)が1950未満となる。
また、式:xB23―ySiO2―zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成において、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示す3元組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30、50)で囲まれた範囲外の場合は、試料番号8,9に示すように、初期および耐湿試験後の電気機械結合係数(Kp)が31%未満となり、初期および耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となる。
また、ガラス粉末が本発明の範囲外であって、Zn成分を含有する場合は、試料番号10に示すように、初期の電気機械結合係数(Kp)のばらつきが大きくなる。また、初期および耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となり、かつ、ばらつきが大きくなる。
また、ガラス粉末が本発明の範囲外であって、Bi成分を含有しない場合は、試料番号11に示すように、初期および耐湿試験後の電気機械結合係数(Kp)が31%未満となり、初期および耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となる。これに対して、本発明の場合は、ガラス中にBi成分を含有しているため、圧電セラミックに含まれるPbやBi成分の、電極中のガラス成分への溶解性が低下する。これにより、圧電セラミック(特にセラミックの表面近傍)に含まれるPbやBi成分のバランスが保たれるため、電気機械結合係数(Kp)および比誘電率(εr)の向上につながっていると考える。
また、ガラス粉末が本発明の範囲外であって、Na成分を含有する場合は、試料番号12に示すように、耐湿試験後の電気機械結合係数(Kp)が31未満となる。さらに、耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となる。これは、耐湿試験条件下においてガラス中のNa成分(Na2O)が湿気などの水分に溶出することで電気特性が劣化したためと考えられる。
また、ガラス粉末が本発明の範囲外であって、PbO成分を含有する場合は、試料番号13に示すように、初期および耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となる。
さらに、ガラス粉末を含有しない場合は、試料番号14に示すように、初期および耐湿試験後の比誘電率(εr)が1950未満となる。
なお、上記実施例においては、導電性粉末としてAg−Pd混合物の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。導電性粉末は、Ag、PdおよびAg−Pd合金の場合も同様の効果が得られる。
また、上記実施例においては、圧電セラミックとしてPb(Zr、Ti)O3系の圧電セラミックを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の導電性ペーストは、Pb(Zr、Ti)O3系の圧電セラミックの一部を他の元素で置換したり、あるいは他の成分を添加したものや、さらにはPb(Zr、Ti)O3系以外のPbやBiを含有する、例えば、Pb(Mg、Nb)O3系、CaBi4Ti415系、あるいはSrBi2Nb29系等の、他の種類の圧電セラミックに用いた場合も同様の効果が得られる。
さらには、本発明の導電性ペーストは、本発明の目的を損なわない範囲で、わずかな不純物を含有していてもよい。たとえば、NiO、Fe23、Cr23、MnO2、Sb25、WO3等を、ガラス粉末100モルに対して0.01〜0.50モル程度含有していても、電気特性が大きく影響されることはない。
本発明に係る導電性ペーストに用いられているガラス粉末の組成比を示す3元組成図である。 圧電セラミック電子部品を構成する部品としての圧電振動子を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。 本発明の圧電セラミック電子部品の一例として、図2に示す圧電振動子を金属製振動板に接着した状態を示す側面図である。
符号の説明
1 圧電セラミック
2 電極
3 接着剤
4 金属製振動板

Claims (2)

  1. 圧電セラミック電子部品の電極形成に供される導電性ペーストであって、
    Ag、PdおよびAg−Pd合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラス粉末として、式:xB23―ySiO2―zBi23(ただし、x、y、zの単位はモル%)で表される組成を有し、かつ、その組成比(x、y、z)が添付の図1に示す3元組成図において、点A(20、0、80)、点B(50、0、50)、点C(20、30、50)で囲まれた範囲内にあり、さらに、前記ガラス粉末100モルに対してAl23を、1〜5モル含有していることを特徴とする、導電性ペースト。
  2. 圧電セラミックと、該圧電セラミックの表面に形成された導体膜とを備え、該導体膜は請求項1に記載の導電性ペーストの焼結膜であることを特徴とする、圧電セラミック電子部品。
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