JP3146130B2 - 軒先通気防火構造 - Google Patents

軒先通気防火構造

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JP3146130B2 JP15895095A JP15895095A JP3146130B2 JP 3146130 B2 JP3146130 B2 JP 3146130B2 JP 15895095 A JP15895095 A JP 15895095A JP 15895095 A JP15895095 A JP 15895095A JP 3146130 B2 JP3146130 B2 JP 3146130B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、軒先通気防火構造に
関するものである。さらに詳しくは、この発明は、住宅
等の軒先通気部に簡単かつ確実に防火性を付与すること
のできる新しい構造に関するのもである。
【0002】
【従来の技術】一般に、住宅等の軒先には、屋根裏空間
への通気を目的として、たとえば図8に例示したよう
に、野縁(ア)および軒天井材(イ)の一部を切欠いて
開口部(ウ)を設け、この開口部(ウ)をたとえば防虫
用のネット(エ)で覆った通気構造が採用されている。
【0003】ところが、建築基準施行令第109条第3
項の規定によれば、このような通気構造は、その開口部
(ウ)の大きさが100cm2 以上の場合には防火構造
としなければならない。そこで、従来は、たとえば図9
に示したような防火戸構造(オ)を有する通気部材を開
口部(ウ)に取付けるようにしていた。この防火戸構造
(オ)は、通常はそのダンパー(カ)が水平に位置して
通気を可能としているが、所定の熱を受けると温度ヒュ
ーズが解除され、バネと重力とによってダンパー(カ)
が落下して開口部(ウ)を遮断する。これによって、屋
根裏への吸気や炎の侵入が防止されるよになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
例示したような防火戸(オ)を用いる従来の通気防火構
造の場合には、通常は複数個の防火戸構造(オ)をつな
ぎ合わせて施工するためその作業に多くの時間と労力を
必要とした。また、一軒の軒先を施工する場合でも4〜
8個もの防火戸構造(オ)を必要とするため、建築コス
トの増加が避けられなかった。
【0005】さらには、このような防火戸構造(オ)
は、年月を経るに従ってサビ等によりダンパー(カ)が
作動しにくくなり、防火構造を構成する部材としての信
頼性にも問題があった。加えて、このような防火戸構造
(オ)を有する通気部材は金属板等によって構成され、
しかも野縁(ア)および軒天井材(イ)に直接固定され
ているため、火災時の熱風や発煙によってこの金属板が
260℃以上に熱せられると、野縁(ア)や軒天井材
(イ)が発火してしまう恐れもあった。
【0006】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の軒先通気防火構造の欠点を解
消し、簡単かつ安価に施工することができ、しかも火災
時には確実に軒先通気部を遮断するとともに、発熱によ
って軒先構造を発火させることのない、信頼性の高い通
気防火構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、軒先の鼻隠板周辺に通気防火部
材を取付固定した構造であって、通気防火部材は、鼻隠
板の下端部に水平固定され、鼻隠板より後方に通気開口
部を有する上部材と、この上部材に相対向して固定さ
れ、上部材の通気開口部より前方の通気開口部とこの通
気開口部より後方の熱発泡材とを有する下部材とからな
り、鼻隠板の底面と上部材との間に耐火材が配設されて
いることを特徴とする軒先通気防火構造を提供する。
【0008】なお、この発明の軒先防火構造において
は、上記の上部材が、鼻隠板の底面から軒天井材の先端
にまで達し、上部材の後端上面と軒天井材の先端底面と
が重なり合っていること、熱発泡材が、その底面と少な
くとも一方の側面を下部材に当接していること、耐火材
が、軒天井材と同一の厚みであること、下部材が、鼻隠
板の前面を覆い隠す化粧材を別体として有すること、お
よび上部材の通気開口部が一定間隔で設けられており、
これらの通気開口部間の上方に野縁が掛け渡し固定さ
れ、かつ野縁と上部材の間に耐火材が配設されているこ
と、をそれぞれ好ましい態様としてもいる。
【0009】
【作用】この発明の通気防火構造においては、通気防火
部材の上部材を鼻隠板の下端部に固定し、この上部材に
下部材を組み合わせて通気防火部材とする。鼻隠板の底
面と上部材との間には耐火材が配設されているため、火
災時等において通気防火部材が熱せられた場合にも、鼻
隠板が発火することはない。また、下部材には、所定の
熱に対して速やかに発泡膨張する熱発泡材が配設され、
火災時等には上部材と下部材の各々の通気開口部に通じ
る通気路を確実に遮断して屋根裏への炎の進入等を防止
する。
【0010】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の軒先通気防火構造についてさらに詳しく
説明する。
【0011】
【実施例】図1は、この発明の通気防火構造の一実施例
を示した側面図である。たとえばこの図1に示した例の
場合には、屋根材(1)、鼻隠板(2)、軒天井材
(3)、吊り木(4)および野縁(5)等によって軒先
部を構成しており、鼻隠板(2)には雨樋(6)を固定
している。
【0012】一方、この軒先部に取付固定する通気防火
部材(10)は、鼻隠板(2)の下端部から軒天井材
(3)の先端部までを覆う上部材(20)と、この上部
材(20)の下方から鼻隠板(2)の前面までを覆う下
部材(30)、およびこれらの間に介在される中間材
(40)とによって構成されている。上部材(20)
は、その水平板部(21)の前方が、耐火材(50)を
介して鼻隠板(2)の底面に固定されており、鼻隠板
(2)より後方に通気開口部(22)を有し、この通気
開口部(22)の後方の水平板部(21)が軒天井材
(3)の先端底面に接している。そして、水平板部の後
端部には垂下片(23)を延設してもいる。なお、鼻隠
板(2)と上部材(20)との間に介在させる耐火材
(50)としては、石膏ボード、ケイ酸カルシウム等を
用いることができる。
【0013】下部材(30)は、上部材(20)に相対
向する折曲水平板部(31)と、折曲水平板部(31)
の前端部より立ち上がって鼻隠板(2)の前面に当接す
る化粧板部(32)、および折曲水平板部(31)の後
端部より延設する立設片(33)とを有しており、この
下部材(30)は、その化粧板部(32)が鼻隠板
(2)に固定され、かつ立設片(33)が上部材(2
0)の垂下片(23)に連結されている。
【0014】そして、下部材(30)の折曲水平板部
(31)には2つの凸部が形成され、前方凸部(34)
には通気開口部(35)が設けられ、この前方凸部(3
4)と後方凸部(36)との間には熱発泡材(60)が
配設されている。この熱発泡材(60)は、たとえばア
ミノ系樹脂等を主成分とするものを用いることができ
る。そして、この図1にも示したように、熱発泡材(6
0)の底面と側面が下部材(30)に当接するように配
設することが、発泡性を良好とし、また下部材(30)
の強度を増すためにも好ましい。
【0015】さらに、中間材(40)は、下部材(3
0)の通気開口部(35)の上方側面を遮断する防煙カ
バー(41)を備えており、前端部の折曲片(42)に
おいて下部材(30)と連結している。これらの上部材
(20)、下部材(30)および中間材(40)は、い
ずれも塩化ビニル銅板やステンレス鋼板等の金属板を折
り曲げ、切断するなどして成形したものを使用すること
ができる。
【0016】図2は、以上のとおりの構成からなる通気
防火部材(10)の分解斜視図であり、図中の一点鎖線
で示した位置をビス等で固定し、また鎖線で示した位置
をリベット等で固定することによって、各部材を鼻隠板
(2)に取付固定する。なお、この図2の例では、下部
材(30)の化粧板部(32)と鼻隠板(2)との間に
も耐火材(50)を介在させている。これによって、上
部材(20)からの熱だけでなく、化粧板部(32)か
らの熱からも鼻隠板(2)を防御することができる。
【0017】図3は、図1に例示した通気防火構造の要
部斜視図である。この図3に例示したように、この発明
においては、上部材(20)の水平部(21)後端が、
一定の長さ(L)だけ、軒天井材(3)の先端底面と重
なり合うことを好ましい態様としている。このような構
成によって、火災時等において上部材(20)が熱で変
形しても軒天井材(3)と上部材(20)とに間に隙間
が生じることを防止することができる。なお、両者が重
なり合う長さ(L)は、各部材の寸法等により適宜に設
定することができるが、通常の軒先構造の寸法であれ
ば、10mm以上とすることが好ましい。また、この場
合には、好ましくは、。耐火材(50)を軒天井材
(3)と同一の厚みとし、耐火材(50)と軒天井材
(3)の各々の底面が水平となるようにする。これによ
って上部材(20)の水平部(21)と軒天井材(3)
とが当接した状態で重なり合う。
【0018】図4は、通気部材の下部材が、上記のもの
とは別の態様からなるものを用いた通気防火構造を例示
した側面図と、その要部拡大図である。この図4に示し
た例の場合には、下部材(30)が、その前端部におい
て、折曲水平板部(121)と化粧板部(32)とに分
割されている。このため、たとえば発泡膨張した熱発泡
材(60)を交換する場合などに、折曲水平板部(3
1)のみを取り外すことが可能である。また、化粧板部
(32)は防火機能を要求されないため、加工の容易な
塩化ビニル鋼板等とし、折曲水平板部(31)にスレン
レス鋼板製のものを用いることも可能となる。
【0019】さらに、このように化粧板部(32)を別
体として有する下部材(30)は、図5に例示したよう
に、雨樋(6)と組み合わせて使用することもできる。
なお、この図5はまた、通気防火部材(10)を外壁
(70)に直接固定した構造を例示している。上部材
(20)の垂下片(23)と外壁(70)との間にたと
えばロックウールフェルト(80)等を配設することに
よって、隙間なく通気防火部材(10)を取付固定する
ことができる。
【0020】図6は、この発明の別の実施態様を例示し
た斜視図である。この図6の例では、上部材(20)の
通気開口部(22)が水平板部(21)に一定間隔で設
けられており、これらの通気開口部(22)間の上方に
野縁(5)が同じく一定の間隔で掛け渡し固定されてい
る。そして、上部材(20)の水平板部(21)と野縁
(5)との間には、耐火材(51)が配設されている。
【0021】図7は、この図6に例示した構造の側面図
であり、鼻隠板(2)が肉薄の板材であっても、上部材
(20)は、耐火材(51)を介して野縁(5)に固定
することができる。もちろんこの発明は、以上の例によ
って限定されるものではなく、細部については様々な態
様が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】以上、詳しく説明した通り、この発明よ
って、簡単かつ安価に施工することができ、しかも火災
時には確実に軒先通気部を遮断するとともに、軒先構造
への熱伝導による発火を防止することのできる信頼性の
高い軒先通気防火構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の通気防火構造の一実施例を示した側
面図である。
【図2】この発明に用いる通気防火部材を例示した分解
斜視図である。
【図3】図1に例示した通気防火構造の要部斜視図であ
る。
【図4】通気部材の下部材が、図1および図2とは別の
態様からなる通気防火構造を例示した側面図と、その要
部拡大図である。
【図5】図4に例示した通気防火部材の下部材を用いた
この発明の通気防火構造の別の例を示した側面図であ
る。
【図6】この発明のさらに別の実施態様を例示した斜視
図である。
【図7】図6に例示した通気防火構造の側断面図であ
る。
【図8】従来の軒先通気部材を例示した側面図である。
【図9】従来の軒先通気部の防火構造を例示した側断面
図である。
【符号の説明】
1 屋根材 2 鼻隠板 3 軒天井材 4 吊り木 5 野縁 6 雨樋 10 通気防火部材 20 上部材 21 水平板部 22 通気開口部 23 垂下片 30 下部材 31 折曲水平板部 32 化粧板部 33 立設片 34、36 凸部 35 通気開口部 40 中間材 41 防煙カバー 42 折曲片 50、51 耐火材 60 熱発泡材 70 外壁 80 ロックウールフェルト

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軒先の鼻隠板周辺に通気防火部材を取付
    固定した構造であって、通気防火部材は、鼻隠板下端部
    に水平固定され、鼻隠板より後方に通気開口部を有する
    上部材と、この上部材に相対向して固定され、上部材の
    通気開口部より前方の通気開口部とこの通気開口部より
    後方の熱発泡材とを有する下部材とからなり、鼻隠板の
    底面と上部材との間に耐火材が配設されていることを特
    徴とする軒先通気防火構造。
  2. 【請求項2】 上部材が、鼻隠板の底面から軒天井材の
    先端にまで達し、上部材の後端上面と軒天井材の先端底
    面とが重なり合っている請求項1の軒先通気防火構造。
  3. 【請求項3】 熱発泡材が、その底面と少なくとも一方
    の側面を下部材に当接している請求項1の軒先通気防火
    構造。
  4. 【請求項4】 耐火材が、軒天井材と同一の厚みである
    請求項2の軒先通気防火構造。
  5. 【請求項5】 下部材が、鼻隠板の前面を覆い隠す化粧
    材を別体として有する請求項1の軒先通気防火構造。
  6. 【請求項6】 上部材の通気開口部が一定間隔で設けら
    れており、これらの通気開口部間の上方に野縁が掛け渡
    し固定され、かつ野縁と上部材の間に耐火材が配設され
    ている請求項1の軒先通気防火構造。
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