JP3144732B2 - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JP3144732B2
JP3144732B2 JP14075993A JP14075993A JP3144732B2 JP 3144732 B2 JP3144732 B2 JP 3144732B2 JP 14075993 A JP14075993 A JP 14075993A JP 14075993 A JP14075993 A JP 14075993A JP 3144732 B2 JP3144732 B2 JP 3144732B2
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光雄 佐々木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショックアブソーバの
減衰特性を最適制御する車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰特性制
御を行う車両懸架装置としては、例えば、特開昭61−
163011号公報に記載されたものが知られている。
【0003】この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速
度及びばね上・ばね下間相対速度を検出し、両者の方向
判別符号が一致する時には、その時のショックアブソー
バの行程側の減衰特性をハードとすることで車両の振動
抑制力(制振力)を高めると共に、両者の方向判別符号
が不一致である時には、その時のショックアブソーバの
行程側の減衰特性をソフトにすることによってばね上へ
の振動伝達力(加振力)を弱める、といったスカイフッ
ク理論に基づいた減衰特性制御を4輪独立に行なうよう
にしたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、上述のように、減衰特性をソフト
とハードで切り換えるON−OFF制御方式であったた
めに、以下に述べるような問題点があった。
【0005】即ち、図20は、従来装置における減衰特
性可変制御の内容を示すタイムチャートであり、この図
に示すように、通常の走行による路面からの入力で、ば
ね上が加振される時は、ばね上上下速度Vに対して、ば
ね上・ばね下間相対速度Svの位相が遅れた状態となる
ことから、ばね上上下速度Vがピーク値Pを過ぎてその
値が減少しているのに、相対速度の方はまだ増加してい
る領域Mが生じるが、このような領域においては減衰特
性がハード状態のままでは、減衰力過多となり、このた
め、違和感を生じさせるという問題点がある。
【0006】そこで、上述のようなスカイフック理論に
基づいた減衰特性制御において、減衰特性をばね上上下
速度に比例させた値に制御する比例制御方式を採用する
ことによって、一応、上述のような問題点を解消するこ
とができるが、良路走行中におけるステアリング操作時
や、連続してその入力周波数が変化するうねり路通過時
等のように、車両の前後間での連成振動の変化により生
じるばね上上下速度と相対速度の位相がほぼ同一位相に
近づくような状況においては、ばね上上下速度に比例さ
せた制御では、減衰特性の切り換えを行なうアクチュエ
ータの応答性を考慮した場合には、逆に減衰力不足状態
となり、このため、このような状況においては制振性を
悪化させることになる。
【0007】また、従来のスカイフック理論に基づく減
衰特性制御にあっては、ばね上上下速度と相対速度の両
方向判別符号の一致・不一致が切り換わるたびにアクチ
ュエータを駆動して減衰特性の切り換えを行なう必要が
あったため、制御応答性が悪くなると共に、アクチュエ
ータの駆動回数が多くなって耐久性を低下させる。
【0008】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、スカイフック理論に基づいた減衰特性
制御において、ばね上上下速度と相対速度との位相差の
大小による減衰力過多や減衰力不足状態の発生を防止
し、かつ、制御応答性及びアクチュエータの耐久性向上
を図ることができる車両懸架装置を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の車両懸架装置は、図1のクレーム対応図
に示すように、車体側と各車輪側の間に介在されていて
伸側・圧側の一方の行程側の減衰特性を可変制御する時
はその逆行程側が低減衰特性に固定される構造の減衰特
性変更手段aを有したショックアブソーバbと、ばね上
上下速度を検出するばね上上下速度検出手段cと、ばね
上・ばね下間相対速度を検出する相対速度検出手段d
と、ばね上上下速度の変動波形に対するばね上・ばね下
間相対速度の変動波形の位相差を検出する位相差検出手
段eと、位相差検出手段で検出された位相差が所定の小
しきい値を越えている時には、その時のばね上上下速度
の値をばね上・ばね下間相対速度の値で除した値に所定
の比例定数を乗じた減衰特性に設定し、位相差が所定の
小しきい値以内である時には、減衰特性を大きな値に設
定し、かつ、ばね上上下速度検出手段で検出されたばね
上上下速度の方向判別符号(上向きで正,下向きで負)
が正の時は伸行程側を設定減衰特性に可変制御し、負の
時は圧行程側を設定減衰特性に可変制御する減衰特性制
御手段fと、を備えた手段とした。
【0010】
【作用】この発明の車両懸架装置では、上述のように構
成されるため、ばね上上下速度の方向判別符号が正の時
は伸行程側の減衰特性を可変制御する一方でその逆の圧
行程側は低減衰特性に固定され、負の時は圧行程側の減
衰特性を可変制御する一方でその逆の伸行程側は低減衰
特性に固定されるものであり、このため、ばね上上下速
度とばね上・ばね下間相対速度の方向判別符号が一致す
る時には、その時のショックアブソーバの行程側を高減
衰特性とすることで車両の振動抑制力(制振力)を高め
ると共に、両者の方向判別符号が不一致である時には、
その時のショックアブソーバの行程側を低減衰特性にす
ることによってばね上への振動伝達力(加振力)を弱め
る、といったスカイフック理論に基づいた減衰特性制御
が行なわれる。
【0011】そして、低減衰特性方向への切り換えはア
クチュエータを駆動することなしに行なわれるため、従
来のスカイフック理論に基づいた減衰特性制御に比べ、
減衰特性の切り換え頻度が少なくなって制御応答性を高
めることができると共に、アクチュエータの耐久性を向
上させることができる。
【0012】また、位相差検出手段で検出されたばね上
上下速度とばね上・ばね下間相対速度との位相差が所定
の小しきい値を越えている時には、その時のばね上上下
速度の値をばね上・ばね下間相対速度の値で除した値に
所定の比例定数を乗じた減衰特性に設定されるもので、
このため、ばね上上下速度がピーク値を過ぎてその値が
減少する一方で、相対速度の方はまだ増加途中にある領
域においては、減衰特性が減少する方向に可変制御され
ることになり、従って、位相差が大きい場合においても
減衰力過多状態の発生を防止することができる。
【0013】また、位相差が所定の小しきい値以内であ
る時には、両懸架装置では、減衰特性が大きな値に設定
されるもので、これにより、ばね上上下速度が0点を通
過した時点から大きな減衰力を発生させることができる
ことになり、従って、位相差が小さい場合においても減
衰力不足状態の発生を防止することができる。
【0014】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、第1実施例の構成について説明する。図2は、第1
実施例の車両懸架装置を示す構成説明図であり、車体と
4つの車輪との間に介在されて、4つのショックアブソ
ーバSAが設けられている。そして、各ショックアブソ
ーバSAの近傍位置の車体には、上下方向の加速度を検
出する上下加速度センサ(以後、上下Gセンサという)
1と、ばね上・ばね下間相対速度を検出する相対速度検
出手段としてのストロークセンサ6が設けられている。
また、運転席の近傍位置には、各上下Gセンサ1及びス
トロークセンサ6からの信号を入力して、各ショックア
ブソーバSAのパルスモータ3に駆動制御信号を出力す
るコントロールユニット4が設けられている。
【0015】図3は、上記構成を示すシステムブロック
図であって、コントロールユニット4は、インタフェー
ス回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前記イ
ンタフェース回路4aには、上述の各上下Gセンサ1か
らの加速度信号と、ストロークセンサ2からの車速信号
がそれぞれ入力される。そして、前記インタフェース回
路4a内には、図14に示す3つで1組のフィルタ回路
が各上下Gセンサ1毎に設けられている。即ち、LPF
1は、上下Gセンサ1から送られる信号の中から高周波
域(30Hz以上)のノイズを除去するためのローパスフィ
ルタ回路であり、また、LPF2は、ローパスフィルタ
回路LPF1を通過した加速度を示す信号を積分してば
ね上上下速度に変換するためのローパスフィルタ回路で
あり、BPFは、ばね上共振周波数を含む周波数域を通
過させてバウンス成分としてのばね上上下速度Vを得る
ためのバンドパスフィルタ回路である。
【0016】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0017】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する伸側減
衰バルブ12及び圧側減衰バルブ20とが設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。尚、この調整子40は、前記パルスモータ3に
よりコントロールロッド70を介して回転されるように
なっている(図4参照)。また、スタッド38には、上
から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポート
18,第4ポート14,第5ポート16が形成されてい
る。
【0018】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24及び第2横孔
25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成され
ている。
【0019】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0020】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰特性を多段階に変更可能に
構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・圧
側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SSと
いう)から調整子40を反時計方向に回動させると、伸
側のみ減衰特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰特性
に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSという)とな
り、逆に、調整子40を時計方向に回動させると、圧側
のみ減衰特性を多段階に変更可能で伸側が低減衰特性に
固定の領域(以後、圧側ハード領域SHという)となる
構造となっている。
【0021】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面及びM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0022】次に、パルスモータ3の駆動を制御するコ
ントロールユニット4の作動について、図15のフロー
チャートに基づき説明する。尚、この制御は、各ショッ
クアブソーバSA毎に別個に行う。
【0023】まず、ステップ101では、各上下Gセン
サ1から得られる上下加速度信号を各フィルタ回路LP
F1,LPF2,BPFで処理して各車輪近傍位置にお
けるバウンス成分としてのばね上上下速度Vを求める。
尚、前記ばね上上下速度Vは、その方向判別符号として
ばね上上下加速度Vが上方向の時には正の値で、また、
下方向の時には負の値で与えられる。
【0024】ステップ102では、各ストロークセンサ
6から得られる信号から、ばね上・ばね下間相対速度S
v を求める。尚、前記相対速度Sv は、その方向判別符
号として、伸方向の時には正の値で、また、圧方向の時
には負の値で与えられる。
【0025】ステップ103では、ばね上上下速度Vが
0であるか否か(V=0)を判定し、YESであればス
テップ104に進み、NOであればステップ108に進
む。ステップ104では、相対速度の絶対値 |Sv|が所
定の小しきい値ηを越えているか否かを判定し、YES
であればステップ105に進んで、基本制御フラグを0
にリセットした後、ステップ107に進み、また、NO
であればステップ106に進んで、基本制御フラグを1
にセットした後、ステップ107に進む。
【0026】ステップ107では、ショックアブソーバ
SAをソフト領域SSに制御した後、1回の制御フロー
を終了する。
【0027】前記ステップ108では、基本制御フラグ
が1にセットされているか否かを判定し、YESであれ
ば基本制御ライン側のステップ109に進み、NOであ
れば同相制御ライン側のステップ114に進む。
【0028】ステップ109では、ばね上上下速度Vが
正の値(上向き)であるか否か(V>0)を判定し、Y
ES(上向き)であればステップ110に進んで伸側の
減衰特性CT を次式(1) により求めた後、ステップ11
1に進んでショックアブソーバSAを伸側ハード領域H
S側に制御し、また、NOであればステップ112に進
んで圧側の減衰特性CC を次式(2) により求めた後、ス
テップ113に進んでショックアブソーバSAを圧側ハ
ード領域SHに制御し、これで一回の制御フローを終了
する。 CT =α(V/Sv )・・・・・・・・・・・・・ (1) CC =α(V/Sv )・・・・・・・・・・・・・ (2) 尚、αは比例定数である。
【0029】ステップ114では、ばね上上下速度Vが
正の値(上向き)であるか否か(V>0)を判定し、Y
ES(上向き)であればステップ115に進んで伸側の
減衰特性CT を次式(3) により求めた後、ステップ11
6に進んでショックアブソーバSAを伸側ハード領域H
S側に制御し、また、NOであればステップ117に進
んで圧側の減衰特性CC を次式(4) により求めた後、ス
テップ118に進んでショックアブソーバSAを圧側ハ
ード領域SHに制御し、これで一回の制御フローを終了
する。 CT =α’×V ・・・・・・・・・・・・・ (3) CC =α’×V ・・・・・・・・・・・・・ (4) 尚、α’は大比例定数であり、前記式(1) ,(2) の比例
定数αに比べて大きな値に設定されている。
【0030】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、制御領域の切り換え内容を図16のタイムチャ
ートにより説明する。ばね上上下速度Vがこの図に示す
ように変化した場合、ばね上上下速度Vが0である時に
は、ショックアブソーバSAをソフト領域SSに制御す
る。
【0031】また、ばね上上下速度Vが正の値(上向
き)となると、ショックアブソーバSAを伸側ハード領
域HSに制御して、圧側をソフト特性に固定する一方、
伸側の減衰特性を可変制御する。また、ばね上上下速度
Vが負の値(下向き)となると、ショックアブソーバS
Aを圧側ハード領域SHに制御して、伸側をソフト特性
に固定する一方、圧側の減衰特性を可変制御する。
【0032】また、図16のタイムチャートにおいて、
領域aは、ばね上上下速度Vが負の値(下向き)から正
の値(上向き)に逆転した状態であるが、この時はまだ
相対速度は負の値(ショックアブソーバSAの行程は圧
行程側)となっている領域である。この時のショックア
ブソーバSAの伸側は、ばね上上下速度Vの方向に基づ
いてショックアブソーバSAは伸側ハード領域HSに制
御されている。従って、この領域aでは、その時のショ
ックアブソーバSAの行程である圧行程側がソフト特性
となり、逆行程の伸側では、伸側最大減衰力特性に向っ
て可変制御される。
【0033】また、領域bは、ばね上上下速度Vが正の
値(上向き)のままで、相対速度は負の値から正の値
(ショックアブソーバSAの行程は伸行程側)に切り換
わった領域であるため、この時は、ばね上上下速度Vの
方向に基づいてショックアブソーバSAは伸側ハード領
域HSに制御されており、かつ、ショックアブソーバの
行程も伸行程であり、従って、この領域bではその時の
ショックアブソーバSAの行程である伸行程側が、ハー
ド特性側で可変制御される。
【0034】また、領域cは、ばね上上下速度Vが正の
値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態であ
るが、この時はまだ相対速度は正の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)となっている領域である。
この時のショックアブソーバSAの圧側は、ばね上上下
速度Vの方向に基づいて圧側ハード領域SHに制御され
ている。従って、この領域cではその時のショックアブ
ソーバSAの行程である伸行程側がソフト特性となり、
逆行程の圧側では、圧側最大減衰力特性に向って可変制
御される。
【0035】また、領域dは、ばね上上下速度Vが負の
値(下向き)のままで、相対速度は正の値から負の値
(ショックアブソーバSAの行程は伸行程側)になる領
域であるため、この時は、ばね上上下速度Vの方向に基
づいてショックアブソーバSAは圧側ハード領域SHに
制御されており、かつ、ショックアブソーバの行程も圧
行程であり、従って、この領域dではその時のショック
アブソーバSAの行程である圧行程側が、ハード特性側
で可変制御される。
【0036】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Vとばね上・ばね下間相対速度Sv の方向判別符
号が同符号の時(領域b,領域d)は、その時のショッ
クアブソーバSAの行程側をハード特性に制御し、異符
号の時(領域a,領域c)は、その時のショックアブソ
ーバSAの行程側をソフト特性に制御するという、スカ
イフック理論に基づいた減衰特性制御と同一の制御が行
なわれることになる。そして、さらに、この実施例で
は、領域aから領域b,及び領域cから領域dへ移行す
る時には、パルスモータ3を駆動させることなしに減衰
特性の切り換えが行なわれることになる。
【0037】次に、減衰特性の可変制御の具体的内容
を、図17のタイムチャートに基づいて説明する。この
図に示すように、ばね上上下速度Vが負から正の方向へ
切り換わる時点(0点クロス時)01 における相対速度
の値の絶対値 |Sv1| が所定の小しきい値S0 を越えて
いる時、即ち、ばね上上下速度Vの変動波形に対するば
ね上・ばね下間相対速度Sv の変動波形の位相差が所定
値より大きい時は、その後ばね上上下速度Vが正から負
の方向へ切り換わるまでの1/2周期の間は、同相制御
OFF状態(基本制御状態)への切り換えが行なわれ、
これにより、伸側ハード領域HS側において、伸側の減
衰特性CT が、その時のばね上上下速度Vの値を相対速
度Sv の値で除した値に所定の比例定数αを乗じた値
(α(V/Sv ))になるようにショックアブソーバS
Aのパルスモータ3に制御信号が出力される。
【0038】従って、ばね上上下速度Vがピーク値Pを
過ぎてその値が減少する一方で、相対速度Sv の方はま
だ増加途中にある領域においては、減衰特性が減少する
方向に可変制御されることになり、このため、位相差が
大きい場合においても減衰力過多状態の発生を防止し、
発生減衰力をばね上上下速度Vに比例させた状態とする
ことができる。
【0039】次に、ばね上上下速度Vが正から負の方向
へ切り換わる時点(0点クロス時)02 における相対速
度の値の絶対値 |Sv2| が所定の小しきい値S0 以下で
ある時、即ち、ばね上上下速度Vの変動波形に対するば
ね上・ばね下間相対速度Svの変動波形の位相差が所定
値より小さい時は、その後ばね上上下速度Vが負から正
の方向へ切り換わるまでの1/2周期の間は、同相制御
ON状態への切り換えが行なわれ、これにより、圧側ハ
ード領域SH側において、圧側の減衰特性CCが、その
時のばね上上下速度Vの値に所定の比例定数αより大き
な値に設定された大比例定数α’を乗じた値(α’×
V)になるようにショックアブソーバSAのパルスモー
タ3に制御信号が出力される。
【0040】また、以上とは逆に、ばね上上下速度Vが
負から正の方向へ切り換わる時点(0点クロス時)03
における相対速度の値の絶対値 |Sv3| が所定の小しき
い値S0 以下である時、即ち、ばね上上下速度Vの変動
波形に対するばね上・ばね下間相対速度Sv の変動波形
の位相差が所定値より小さい時は、その後ばね上上下速
度Vが正から負の方向へ切り換わるまでの1/2周期の
間は、前記の同相制御ON状態が維持され、これによ
り、伸側ハード領域HS側において、伸側の減衰特性C
T が、その時のばね上上下速度Vの値に所定の比例定数
αより大きな値に設定された大比例定数α’を乗じた値
(α’×V)になるようにショックアブソーバSAのパ
ルスモータ3に制御信号が出力される。
【0041】従って、ばね上上下速度Vが0点を通過し
た時点から大きな減衰力を発生させることができること
になり、このため、位相差が小さい場合においてもON
−OFF制御に近い減衰特性制御が行なわれて、減衰力
不足状態の発生を防止することができる。
【0042】以上説明したように、この実施例では、以
下に列挙する効果が得られる。 スカイフック理論に基づいた減衰特性制御におい
て、ばね上上下速度と相対速度との位相差の大小による
減衰力過多や減衰力不足状態の発生を防止することがで
きる。
【0043】 従来のスカイフック理論に基づいた減
衰特性制御に比べ、減衰特性の切り換え頻度が少なくな
るため、制御応答性を高めることができると共に、パル
スモータ3の耐久性を向上させることができる。
【0044】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。即ち、この第2実施例の車両懸架装置は、コントロ
ールユニット4における減衰特性制御内容が前記第1実
施例とは異なったもので、他の構成は前記第1実施例と
同様であるので、相違点についてのみ説明する。
【0045】まず、第2実施例装置におけるコントロー
ルユニット4の作動を、図18のフローチャートに基づ
いて説明する。
【0046】ステップ201では、各上下Gセンサ1か
ら得られる上下加速度信号を各フィルタ回路LPF1,
LPF2,BPFで処理して各車輪近傍位置におけるバ
ウンス成分としてのばね上上下速度Vを求める。尚、前
記ばね上上下速度Vは、その方向判別符号としてばね上
上下加速度Vが上方向の時には正の値で、また、下方向
の時には負の値で与えられる。
【0047】ステップ202では、各ストロークセンサ
6から得られる信号から、ばね上・ばね下間相対速度S
v を求める。尚、前記相対速度Sv は、その方向判別符
号として、伸方向の時には正の値で、また、圧方向の時
には負の値で与えられる。
【0048】ステップ203では、ばね上上下速度Vが
0であるか否か(V=0)を判定し、YESであればス
テップ204に進み、NOであればステップ208に進
む。ステップ204では、判定フラグが1にセットされ
ているか否かを判定し、YESであればステップ205
に進んで、同相制御フラグ1を1にセットした後、ステ
ップ207に進み、また、NOであればステップ206
に進んで、同相制御フラグ1を0にリセットした後、ス
テップ207に進む。
【0049】ステップ107では、ショックアブソーバ
SAをソフト領域SSに制御した後、1回の制御フロー
を終了する。
【0050】ステップ208では、ばね上上下速度Vが
極値か否かを判定し、YESであればステップ209に
進んで、その時点の時間T0 をメモリした後、ステップ
210に進み、また、NOであればそのままステップ2
10に進む。
【0051】ステップ210では、ばね上・ばね下間相
対速度Sv が極値か否かを判定し、YESであればステ
ップ211に進んで、その時点の時間T1 をメモリした
後、ステップ212に進み、また、NOであればステッ
プ217に進む。
【0052】ステップ212では、前記メモリ時間T
0 ,T1 が算出されたか否かが判定され、YESであれ
ばステップ213に進み、NOであればステップ217
に進む。
【0053】ステップ213では、前記両メモリ時間T
0 ,T1 からばね上上下速度Vの極値とばね上・ばね下
間相対速度Sv の極値との間の時間差Δt=(|T0 −T
1|)を算出した後、ステップ214に進む。
【0054】ステップ214では、時間差Δtが所定の
小しきい値δ以下であるか否かを判定し、YESであれ
ばステップ215に進んで、判定フラグを1にセットし
た後、ステップ217に進み、また、NOであればステ
ップ216に進んで、判定フラグを0にリセットした
後、ステップ217に進む。
【0055】ステップ217では、同相フラグ1が1に
セットされているか否かを判定し、YESであれば同相
制御ライン側のステップ218に進み、NOであれば基
本制御ライン側のステップ220に進む。
【0056】ステップ218では、ばね上上下速度Vに
対して矩形波V’を造形した後、ステップ219に進
み、次式(5) により減衰特性Cを求め、その後、ステッ
プ221に進む。
【0057】C=α×V’・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (5) ステップ220では、次式(6) により減衰特性Cを求
め、その後、ステップ221に進む。
【0058】C=α(V/Sv )・・・・・・・・・・・・・ (6) ステップ221では、ばね上上下速度Vが正の値(上向
き)であるか否か(V>0)を判定し、YES(上向
き)であればステップ222に進んでショックアブソー
バSAを伸側ハード領域HS側に制御し、また、NOで
あればステップ223に進んでショックアブソーバSA
を圧側ハード領域SHに制御し、これで一回の制御フロ
ーを終了する。
【0059】尚、図19は、第2実施例における減衰特
性可変制御の具体的内容を示すタイムチャートであり、
この図に示すように、前記第1実施例と同様の減衰特性
制御が行なわれる。即ち、この実施例では、ばね上上下
速度Vに対するばね上・ばね下間相対速度Sv の位相差
の求め方が、前記第1実施例とは異なると共に、位相差
としての時間Δtが所定の小しきい値δ以内である時、
つまり、位相差が小さい時には、その時のばね上上下速
度の値に基づいて造形された矩形波状の減衰特性に設定
するようにした点が第1実施例と異なるものである。
【0060】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0061】例えば、実施例では、相対速度検出手段と
してストロークセンサを用いる場合を示したが、その他
に、荷重センサや車高センサ等、公知の検出手段を用い
ることができる。
【0062】また、位相差の算出手段を、第1・第2両
実施例相互間で入れ換えて適用することができるし、そ
の他の公知の算出手段を用いることもできる。
【0063】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の車両懸
架装置では、位相差検出手段で検出された位相差が所定
の小しきい値を越えている時には、その時のばね上上下
速度の値をばね上・ばね下間相対速度の値で除した値に
所定の比例定数を乗じた減衰特性に設定し、位相差が所
定の小しきい値以内である時には、減衰特性を大きな値
に設定し、かつ、ばね上上下速度検出手段で検出された
ばね上上下速度の方向判別符号(上向きで正,下向きで
負)が正の時は伸行程側を設定減衰特性に可変制御し、
負の時は圧行程側を設定減衰特性に可変制御する減衰特
性制御手段を備えたことで、スカイフック理論に基づい
た減衰特性制御において、ばね上上下速度とばね上・ば
ね下間相対速度との位相差の大小による減衰力過多や減
衰力不足状態の発生を防止することができるようになる
という効果が得られる。
【0064】また、相対速度方向反転での減衰特性の切
り換えはアクチュエータを駆動することなしに行なわれ
るため、従来のスカイフック理論に基づいた減衰特性制
御に比べ、減衰特性の切り換え頻度が少なくなって制御
応答性を高めることができると共に、アクチュエータの
耐久性を向上させることができるようになるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム概念図で
ある。
【図2】本発明第1実施例の車両懸架装置を示す構成説
明図である。
【図3】第1実施例の車両懸架装置を示すシステムブロ
ック図である。
【図4】第1実施例装置に適用したショックアブソーバ
を示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面及びM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】第1実施例装置におけるフィルタ回路を示す
ブロック図である。
【図15】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの制御作動を示すフローチャートである。
【図16】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの制御作動のうち制御領域の切り換え内容を示すタイ
ムチャートである。
【図17】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの制御作動のうち減衰特性可変制御の具体内容を示す
タイムチャートである。
【図18】第2実施例の車両懸架装置におけるコントロ
ールユニットの制御作動を示すフローチャートである。
【図19】第2実施例装置におけるコントロールユニッ
トの制御作動のうち減衰特性可変制御の具体内容を示す
タイムチャートである。
【図20】従来例装置における減衰特性可変制御の内容
を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
a 減衰特性変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上上下速度検出手段 d 相対速度検出手段 e 位相差検出手段 f 減衰特性制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−169958(JP,A) 特開 平3−104726(JP,A) 特開 平3−276807(JP,A) 特開 平4−201708(JP,A) 特開 平4−2517(JP,A) 特開 平3−42320(JP,A) 特開 平3−42319(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 1/00 - 25/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在されていて
    伸側・圧側の一方の行程側の減衰特性を可変制御する時
    はその逆行程側が低減衰特性に固定される構造の減衰特
    性変更手段を有したショックアブソーバと、 ばね上上下速度を検出するばね上上下速度検出手段と、 ばね上・ばね下間相対速度を検出する相対速度検出手段
    と、 ばね上上下速度の変動波形に対するばね上・ばね下間相
    対速度の変動波形の位相差を検出する位相差検出手段
    と、 位相差検出手段で検出された位相差が所定の小しきい値
    を越えている時には、その時のばね上上下速度の値をば
    ね上・ばね下間相対速度の値で除した値に所定の比例定
    数を乗じた減衰特性に設定し、位相差が所定の小しきい
    値以内である時には、減衰特性を大きな値に設定し、か
    つ、ばね上上下速度検出手段で検出されたばね上上下速
    度の方向判別符号(上向きで正,下向きで負)が正の時
    は伸行程側を設定減衰特性に可変制御し、負の時は圧行
    程側を設定減衰特性に可変制御する減衰特性制御手段
    と、を備えたことを特徴とする車両懸架装置。
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