JP3080260B2 - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JP3080260B2
JP3080260B2 JP9118792A JP9118792A JP3080260B2 JP 3080260 B2 JP3080260 B2 JP 3080260B2 JP 9118792 A JP9118792 A JP 9118792A JP 9118792 A JP9118792 A JP 9118792A JP 3080260 B2 JP3080260 B2 JP 3080260B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショックアブソーバの
減衰特性を最適制御する車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰特性制
御を行う車両懸架装置としては、例えば、特開昭61−
163011号公報に記載されたものが知られている。
【0003】この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速
度及びばね上・ばね下間相対速度を検出し、両者が同符
号の時には、減衰特性をハードとし、両者が異符号の時
には減衰特性をソフトにするといったスカイフック理論
に基づく減衰特性制御を、4輪独立に行うものであっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、上述のような構成となっていたた
め、車体がバウンス方向に運動している場合に適したハ
ードの特性とした場合、バウンスとピッチングとが連成
した車体運動に対しては、ばね上マスに対し車体中央の
重心まわりの車体慣性モーメントが加わるため、減衰力
(制御力)が不足し、操縦安定性に劣るという問題点が
あった。
【0005】また、ロールやピッチングを抑える制御を
行う装置も知られているが、これらは、別個に独立した
制御となるし、ステアリングセンサなどの他のセンサも
必要となり、制御の簡素化や部品点数の削減も望まれて
いた。
【0006】また、スカイフック理論に基づく減衰特性
制御にあっては、ばね上上下速度と相対速度の両符号の
一致・不一致が切り換わるたびにアクチュエータを駆動
して減衰特性の切り換えを行なう必要があったため、制
御応答性が悪くなると共に、アクチュエータの駆動回数
が多くなって耐久性を低下させるという問題点があっ
た。
【0007】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、慣性モーメントに対する十分な制振性
が得られて操縦安定性を向上できるようにすること、お
よび、構成の簡略化と制御応答性の向上とアクチュエー
タの耐久性向上を図ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と各車輪側の間に介
在され、減衰特性変更手段aにより減衰特性を変更可能
なショックアブソーバbと、各ショックアブソーバbが
設けられている位置近傍のばね上上下速度を検出するば
ね上上下速度検出手段cと、各ショックアブソーバbの
減衰特性を、ばね上上下速度に基づくバウンスレートと
車体前後方向におけるばね上上下速度差から検出したピ
ッチレートと車体対角線方向におけるばね上上下速度差
から検出したロールレートとにより求めた制御信号に基
づいて制御する減衰特性制御手段dとを備え、前記ショ
ックアブソーバbを、伸側が減衰特性可変で圧側が低減
衰特性に固定の伸側ハード領域と、圧側が減衰特性可変
で伸側が低減衰特性に固定の圧側ハード領域と、伸側・
圧側共に低減衰特性のソフト領域との3つの領域を有す
る構造に形成し、前記減衰特性制御手段dを、制御信号
が正の値の時ショックアブソーバbを伸側ハード領域に
て制御し、制御信号が負の値の時ショックアブソーバb
を圧側ハード領域にて制御し、制御信号が0の時ショッ
クアブソーバbをソフト領域に制御するように構成し
た。
【0009】
【作用】各ばね上加速度検出手段及び各ばね上速度検出
手段によって、バウンスとピッチとロールが検出された
ら、減衰特性制御手段では、バウンスレートとピッチレ
ートとロールレートに基づき制御信号を求め、この制御
信号に応じてショックアブソーバの減衰特性を制御す
る。従って、バウンスのみでなく、ピッチ,ロールに対
しても充分な制御力が得られる。そして、特に、ロール
レートは、車体の対角線方向におけるばね上上下速度差
から検出されるもので、これより、対角線方向の車両の
傾きに対しても、充分な制御力が得られる。
【0010】また、制御信号が正の値の時ショックアブ
ソーバを伸側ハード領域(圧側は低減衰特性に固定)に
て制御し、制御信号が負の値の時ショックアブソーバを
圧側ハード領域(伸側は低減衰特性に固定)にて制御
し、制御信号が0の時ショックアブソーバをソフト領域
に制御するものであり、このため、ばね上上下速度に基
づく制御信号とばね上・ばね下間相対速度とが同符号の
時は、その時のショックアブソーバの行程側をハード特
性に制御し、異符号の時は、その時のショックアブソー
バの行程側をソフト特性に制御するという、スカイフッ
ク理論に基づいた減衰特性制御と同一の制御を、ばね上
・ばね下間相対速度を検出することなしに行なうことが
でき、これにより、構成の簡略化が図れると共に、低減
衰特性方向への減衰特性の切り換えはアクチュエータを
駆動することなしに行なわれるため、従来のスカイフッ
ク理論に基づいた減衰特性制御に比べ、減衰特性の切り
換え頻度が少なくなって、制御応答性の向上とアクチュ
エータの耐久性向上とが図れるようになる。
【0011】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。 (第1実施例) まず、構成について説明する。図2は、請求項1,2,
4に記載の発明の実施例である第1実施例の車両懸架装
置を示す構成説明図であり、車体と4つの車輪との間に
介在されて、4つのショックアブソーバSA ,SA
,SA ,SA (なお、ショックアブソーバを
説明するにあたり、これら4つをまとめて指す場合、及
びこれらの共通の構成を説明する時にはただ単にSAと
表示する。)が設けられている。そして、各ショックア
ブソーバSAの近傍位置の車体には、上下方向の加速度
を検出する上下加速度センサ(以後、上下Gセンサとい
う)1が設けられている。また、運転席の近傍位置に
は、各上下Gセンサ1からの信号を入力して、各ショッ
クアブソーバSAのパルスモータ3に駆動制御信号を出
力するコントロールユニット4が設けられている。
【0012】図3は、上記構成を示すシステムブロック
図であって、コントロールユニット4は、インタフェー
ス回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前記イ
ンタフェース回路4aには、上述の各上下Gセンサ1か
らの信号が入力される。なお、前記インタフェース回路
4a内には、図14に示す5つで1組のフィルタ回路が
各上下Gセンサ1毎に設けられている。すなわち、LP
F1は、上下Gセンサ1から送られる信号の中から高周
波域(30Hz以上)のノイズを除去するためのローパスフ
ィルタ回路である。LPF2は、ローパスフィルタ回路
LPF1を通過した加速度を示す信号を積分してばね上
上下速度に変換するためのローパスフィルタ回路であ
る。BPF1は、ばね上共振周波数を含む周波数域を通
過させてバウンス成分信号v(v ,v ,v
なお、1,2,3,4 の数字は各ショックアブ
ソーバSAの位置に対応している。以下も同様であ
る。)を形成するバンドパスフィルタ回路である。BP
F2は、ピッチ共振周波数を含む周波数域を通過させて
ピッチ成分信号v’(v ’,v ’,v ’,v
’)を形成するバンドパスフィルタ回路である。BP
F3は、ロール共振周波数を含む周波数域を通過させて
ロール成分信号v”(v ”,v ”,v ”,v
”)を形成するバンドパスフィルタ回路である。ち
なみに、本実施例では、ばね上共振,ピッチ共振,ロー
ル共振各周波数が、異なる場合を例にとっているが、こ
れらの共振周波数が近似している場合には、バンドパス
フィルタはBPF1のみでよい。
【0013】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0014】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する伸側減
衰バルブ12及び圧側減衰バルブ20とが設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。なお、この調整子40は、前記パルスモータ3
によりコントロールロッド70を介して回転されるよう
になっている(図4参照)。また、スタッド38には、
上から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポー
ト18,第4ポート14,第5ポート16が形成されて
いる。
【0015】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24及び第2横孔
25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成され
ている。
【0016】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0017】すなわち、ショックアブソーバSAは、調
整子40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれ
とも図6に示すような特性で減衰特性を多段階に変更可
能に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側
・圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域S
Sという)から調整子40を反時計方向に回動させる
と、伸側のみ減衰特性を多段階に変更可能で圧側が低減
衰特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰特性を多段階に変更可能で伸側が低減
衰特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHとい
う)となる構造となっている。
【0018】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面及びM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0019】次に、パルスモータ3の駆動を制御するコ
ントロールユニット4の作動について、図15のフロー
チャートに基づき説明する。なお、この制御は、各ショ
ックアブソーバSA毎に別個に行う。
【0020】ステップ101は、各上下Gセンサ1,
1,1,1から得られる上下加速度を各フィルタ回路L
PF1,LPF2,BPF1,BPF2,BPF3で処
理してバウンス成分信号v,ピッチ成分信号v’,ロー
ル成分信号v”を求める処理を行うステップである。
【0021】ステップ102は、下記の数式1を用い、
各成分信号v,v’,v”に基づいて各輪の位置の制御
信号V(V ,V ,V ,V )を演算するステ
ップである。
【0022】
【数1】 なお、α ,β ,γ は、前輪の各比例定数 α ,β ,γ は、後輪の各比例定数 また、各式において、最初のα ,α でくくってい
る部分がバウンスレートであり、β ,β でくくっ
ている部分がピッチレートであり、γ ,γ でくく
っている部分がロールレートである。そして、ピッチレ
ートは、車体前後方向におけるばね上上下速度差から求
め、また、ロールレートは、車体対角線方向におけるば
ね上上下速度差から求めるようにしている。従って、前
記ロールレートにはピッチ成分も含まれることになる。
【0023】ステップ103は、制御信号Vが、正の値
(上方向)であるか否かを判定するステップであり、Y
ES(上方向)でステップ104に進み、NO(下方
向)でステップ105に進む。
【0024】ステップ104は、前回の制御信号V−1
が負の値(下方向)であるか否か判定するステップであ
り、YES(下方向)でステップ106に進み、NO
(上方向)でステップ107に進む。すなわち、このス
テップでは、制御信号Vの方向が逆転したかどうかを判
定するものである。
【0025】ステップ106は、上方向の制御信号Vの
しきい値VS1を所定の値に初期設定するステップであ
る。
【0026】ステップ107は、制御信号Vが所定のし
きい値VS1以上となったか否かを判定するステップで
あり、YES(以上)でステップ108に進み、NO
(未満)でステップ109に進む。
【0027】ステップ108は、その時の制御信号Vの
値に応じて初期設定されたしきい値VS1の値を更新す
るステップである。
【0028】ステップ109は、ショックアブソーバS
Aにおける伸側の目標減衰ポジションn を設定する
ステップであり、この目標ポジションは、下記演算式に
基づいて算出される。なお、F+MAXは伸側の減衰力
が最大となるポジションである。 F =(F+MAX/VS1)×V
【0029】ステップ105は、前回の制御信号V−1
が正の値(上方向)であるか否か判定するステップであ
り、YES(上方向)でステップ110に進み、NO
(下方向)でステップ111に進む。すなわち、このス
テップでは、制御信号Vの方向が逆転したかどうかを判
定するものである。
【0030】ステップ110は、下方向の制御信号Vの
しきい値VS2を所定の値に初期設定するステップであ
る。
【0031】ステップ111は、制御信号Vば所定のし
きい値VS2以下となったか否かを判定するステップで
あり、YES(以下)でステップ112に進み、NOで
ステップ113に進む。
【0032】ステップ112は、その時の制御信号Vの
値に応じて初期設定されたしきい値VS2の値を更新す
るステップである。
【0033】ステップ113は、ショックアブソーバS
Aにおける圧側の目標減衰ポジションn を設定する
ステップであり、この目標ポジションは、下記演算式に
基づいて算出される。なお、F−MAXは圧側の減衰力
が最大となるポジションである。
【0034】F =(F−MAX/VS2)×V ステップ114は、目標減衰ポジションに向けてパルス
モータ3を駆動させるステップであり、これで一回の制
御フローを終了する。
【0035】そして、コントロールユニット4では以上
のフローを繰り返すものである。
【0036】次に、コントロールユニット4の作動を図
16のタイムチャートにより説明すると、図において、
上から順に、制御信号V,減衰力F及び相対速度,ショ
ックアブソーバSAの制御方向(行程),パルスモータ
駆動信号(減衰ポジション)を示しており、制御信号V
がサインカーブを描いて伸側・圧側交互に行程し、か
つ、ピーク値P ,P が上下方向においてそれぞれ
初期設定値のしきい値VS1,VS2を越えるように変
化する場合を示している。
【0037】図において、領域aは、制御信号Vが上向
きでかつ初期しきい値VS1未満である領域である。こ
の場合、目標となる伸側の減衰ポジションを制御信号V
に比例して制御することになるが、この時、ショックア
ブソーバSAの行程は圧行程となっていることから、圧
側のソフト特性(最低減衰ポジション)により路面入力
による車体の突き上げを抑制することができる。
【0038】次の領域bは、制御信号Vが初期しきい値
S1以上となってピーク値Pに達するまでの領域で
あり、この場合、図15のステップ107から108の
流れによりしきい値VS1を随時制御信号Vに一致させ
る処理を行なう結果、ピーク値P に達するまで減衰
ポジションを伸側最大減衰ポジションF+MAXに保持
することになる。このように伸側の減衰特性を高めるこ
とで車体の上向き方向の振動を抑制することができる。
【0039】次の領域cは、制御信号Vがピーク値P
から制御信号V=0を横切るまでの領域であって、こ
の場合、制御信号Vがピーク値P になった時点で
は、しきい値VS1もピーク値P と等しくなってい
ることから、図15のステップ109に示す演算式に基
づき、制御信号Vがピーク値P より低下すると、そ
の時点から伸側の減衰ポジションが制御信号Vの低下に
比例して低下することになる。
【0040】次の領域dは、制御信号Vが0となってか
ら、下向きの初期設定のしきい値VS2以上となるまで
の領域である。この場合、目標となる圧側の減衰ポジシ
ョンを制御信号Vに比例して制御することになるが、こ
の時、ショックアブソーバSAの行程は伸行程となって
いることから、伸側のソフト特性(最低減衰ポジション
0)により路面入力に基づく車体の沈み込みを抑制する
ことができる。
【0041】次の領域eは、制御信号Vが初期しきい値
S2以上となってピーク値Pに達するまでの領域で
あって、この場合、図15のステップ111から112
の流れによりしきい値VS2を随時制御信号Vに一致さ
せる処理を行なう結果、ピーク値P に達するまで減
衰ポジションを圧側最大減衰ポジションF−MAXに保
持することになる。このように圧側の減衰特性を高める
ことで、車体の下向き方向の振動を抑制することができ
る。
【0042】次の領域fは、制御信号Vがピーク値P
から制御信号V=0を横切るまでの領域であって、こ
の場合、制御信号Vがピーク値P と等しくなってい
ることから、図15のステップ113に示す演算式に基
づき制御信号Vがピーク値P より上向きに変化する
と、その時点から伸側の減衰ポジション制御信号Vの変
化に比例して低下することになる。
【0043】また、図16のタイムチャートにおいて、
領域gは、ばね上上下速度に基づく制御信号Vが負の値
(下向き)から正の値(上向き)に逆転した状態である
が、この時はまだ相対速度は負の値(ショックアブソー
バSAの行程は圧行程側)となっている領域であるた
め、この時は、制御信号Vの方向に基づいてショックア
ブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御されており、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側がソフト特性となる。
【0044】また、領域hは、制御信号Vが正の値(上
向き)のままで、相対速度は負の値から正の値(ショッ
クアブソーバSAの行程は伸行程側)に切り換わった領
域であるため、この時は、制御信号Vの方向に基づいて
ショックアブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御さ
れており、かつ、ショックアブソーバの行程も伸行程で
あり、従って、この領域ではその時のショックアブソー
バSAの行程である伸行程側が、制御信号Vの値に比例
したハード特性となる。
【0045】また、領域jは、制御信号Vが正の値(上
向き)から負の値(下向き)に逆転した状態であるが、
この時はまだ相対速度は正の値(ショックアブソーバS
Aの行程は伸行程側)となっている領域であるため、こ
の時は、制御信号Vの方向に基づいてショックアブソー
バSAは圧側ハード領域SHに制御されており、従っ
て、この領域ではその時のショックアブソーバSAの行
程である伸行程側がソフト特性となる。
【0046】また、領域kは、制御信号Vが負の値(下
向き)のままで、相対速度は正の値から負の値(ショッ
クアブソーバSAの行程は伸行程側)になる領域である
ため、この時は、制御信号Vの方向に基づいてショック
アブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御されてお
り、かつ、ショックアブソーバの行程も圧行程であり、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側が、制御信号Vの値に比例したハ
ード特性となる。
【0047】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度とばね上・ばね下間の相対速度とが同符号の時
(領域h,領域k)は、その時のショックアブソーバS
Aの行程側をハード特性に制御し、異符号の時(領域
g,領域j)は、その時のショックアブソーバSAの行
程側をソフト特性に制御するという、スカイフック理論
に基づいた減衰特性制御と同一の制御が、ばね上・ばね
下間相対速度を検出することなしに行なわれることにな
る。そして、さらに、この実施例では、領域gから領域
h,及び領域jから領域kへ移行する時には、パルスモ
ータ3を駆動させることなしに減衰特性の切り換えが行
なわれることになる。
【0048】以上説明したように、この実施例では、以
下に列挙する効果が得られる。 バウンスのみでなく
ピッチ,ロール、特に車両の対角線方向の車両の傾きに
対しても十分な制御力を発生することができることか
ら、乗り心地と操縦安定性に優れた車両懸架装置を提供
することができる。
【0049】 上記のようなピッチ及びロールを考
慮したスカイフック理論に基づいた減衰特性制御を行う
にあたり、検出手段としては上下Gセンサ1のみしか用
いないため、部品点数を少なくして低コスト化が図れる
と共に、組付の手間,組付スペース,重量を少なくでき
る。
【0050】 従来のスカイフック理論に基づいた減
衰特性制御に比べ、減衰特性の切り換え頻度が少なくな
るため、制御応答性を高めることができると共に、パル
スモータ3の耐久性を向上させることができる。
【0051】 バウンスレート,ピッチレート,ロー
ルレートを求めるにあたり、それぞれ異なる定数α,
β,γを用いているため、車両において、ばね上共振周
波数,ピッチ共振周波数,ロール共振周波数がそれぞれ
異なっていても、ばね上上下速度に基づいて、各レート
を的確に検出することができる。
【0052】次に、他の実施例について説明するが、こ
れら実施例を説明するにあたり、第1実施例との相違点
のみを説明することにする。また、説明中の符号で第1
実施例と同じ符号は、同じ対象を示すものである。
【0053】(第2実施例) 第2実施例は、コントロールユニット4の一部が第1実
施例と異なっていて、制御信号Vを求めるにあたり、下
記の数式2に示す演算式を用いる。
【0054】
【数2】 すなわち、この第2実施例では、バウンスレートを各輪
のばね上上下速度に基づいてそれぞれ独立に求めるよう
にしたものである。
【0055】(第3実施例) 第3実施例は、ショックアブソーバSAとして、減衰特
性可変タイプのものとして、パルスモータ3を駆動させ
た場合に、図18に示すように、伸側と圧側が、共に高
減衰〜低減衰に変化する周知構造のもの(例えば、実開
昭63−112914号公報参照)を用い、従来のスカ
イフック理論に基づいた減衰特性制御を行なうようにし
た例である。
【0056】従って、この第3実施例では、図19に示
すように、入力手段としてばね上Gセンサ1の他に、荷
重センサ(ばね上・ばね下相対速度検出手段)6,6,
6,6が設けられている。なお、この荷重センサ6は、
図17に示すように、各ショックアブソーバSAの車体
への取付部よりは下方のピストンロッド7に設けられて
いて、ショックアブソーバSAで発生している減衰力
(相対速度に相当)Fを荷重として検出するようになっ
ている。
【0057】第3実施例のコントロールユニット300
の作動を図20のフローチャートにより説明すると、ス
テップ301は、荷重センサ6が検出している減衰力F
を読み込むステップであって、この処理の後、第1実施
例と同様のステップ101,102を経た後、ステップ
302に進む。
【0058】ステップ302は、減衰力Fと制御信号V
とが同符号であるか否かを判定するステップで、YES
でステップ303に進み、NOで(異符号で)ステップ
304に進む。
【0059】ステップ303では、減衰力Fが、F=k
・Vとなるように、減衰特性を変更する。
【0060】ステップ304では、ショックアブソーバ
SAの減衰特性を伸・圧とも最低減衰特性となるように
制御する。
【0061】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0062】例えば、第1実施例では、制御信号が正の
値か負の値かによってハード特性側に制御する方の行程
を決定する制御内容としたが、制御信号に所定のしきい
値を設け、制御信号がこの正負しきい値内にある間は、
伸側・圧側が共にソフト特性となるソフト領域SSに制
御すると共に、正負しきい値を越えた時にハード特性
(伸側ハード領域、または、圧側ハード領域)側に制御
するような制御内容とすることもできる。
【0063】また、第1実施例では、目標ポジションF
,F を演算式に基づいて求めるようにしたが、図
21に示すようなマップに基づいて求めるようにしても
よい。なお、この図において(イ)は伸側用マップ,
(ロ)は圧側用マップであり、制御信号Vの値に対応し
た目標ポジションF ,F が設定されている。
【0064】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の車両懸
架装置は、減衰特性制御手段で、各ショックアブソーバ
の減衰特性を、ばね上上下速度に基づくバウンスレート
と車体前後方向におけるばね上上下速度差から検出した
ピッチレートと車体対角線方向におけるばね上上下速度
差から検出したロールレートとにより求めた制御信号に
基づいて制御するようにしたため、バウンスのみでな
く、ピッチ,ロール、特に車体の対角線方向の傾きに対
しても充分な制御力が得られるもので、これによって、
乗り心地と操縦安定性を向上させることができるという
効果が得られる。
【0065】また、各ショックアブソーバを、伸側が減
衰特性可変で圧側が低減衰特性に固定の伸側ハード領域
と、圧側が減衰特性可変で伸側が低減衰特性に固定の圧
側ハード領域と、伸側・圧側共に低減衰特性のソフト領
域との3つの領域を有する構造に形成し、前記減衰特性
制御手段を、制御信号が正の値の時ショックアブソーバ
を伸側ハード領域にて制御し、制御信号が負の値の時シ
ョックアブソーバを圧側ハード領域にて制御し、制御信
号が0の時ショックアブソーバをソフト領域に制御する
ように構成したことで、相対速度検出手段を用いること
なくスカイフック理論に基づいた減衰特性制御が可能に
なるため、部品点数を少なくして低コスト化を図れると
共に、組付の手間,組付スペース,重量を少なくできる
と共に、従来のスカイフック理論に基づいた減衰特性制
御に比べ、減衰特性の切り換え頻度を少なくできるた
め、制御応答性を高めることができ、かつ、減衰特性切
換用アクチュエータの耐久性を向上させることができる
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム概念図で
ある。
【図2】本発明第1実施例の車両懸架装置を示す構成説
明図である。
【図3】第1実施例の車両懸架装置を示すシステムブロ
ック図である。
【図4】第1実施例装置に適用したショックアブソーバ
を示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰特性特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面及びM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】第1実施例のコントロールユニットの要部を
示すブロック図である。
【図15】第1実施例装置のコントロールユニットの制
御作動を示すフローチャートである。
【図16】第1実施例装置の作動を示すタイムチャート
である。
【図17】第3実施例に適用したショックアブソーバを
示す断面図である。
【図18】第3実施例装置のショックアブソーバの減衰
特性図である。
【図19】第3実施例装置を示すシステムブロック図で
ある。
【図20】第3実施例装置のコントロールユニットの制
御作動を示すフローチャートである。
【図21】目標ポジションの求め方の他の例を示すマッ
プである。
【符号の説明】
a 減衰特性変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上上下速度検出手段 d 減衰特性制御手段 e 相対速度検出手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在され、減衰
    特性変更手段により減衰特性を変更可能なショックアブ
    ソーバと、 各ショックアブソーバが設けられている位置近傍のばね
    上上下速度を検出するばね上上下速度検出手段と、 各ショックアブソーバの減衰特性を、ばね上上下速度に
    基づくバウンスレートと車体前後方向におけるばね上上
    下速度差から検出したピッチレートと車体対角線方向に
    おけるばね上上下速度差から検出したロールレートとに
    より求めた制御信号に基づいて制御する減衰特性制御手
    段と、 を備え 前記ショックアブソーバを、伸側が減衰特性可変で圧側
    が低減衰特性に固定の伸側ハード領域と、圧側が減衰特
    性可変で伸側が低減衰特性に固定の圧側ハード領域と、
    伸側・圧側共に低減衰特性のソフト領域との3つの領域
    を有する構造に形成し、 前記減衰特性制御手段を、制御信号が正の値の時ショッ
    クアブソーバを伸側ハード領域にて制御し、制御信号が
    負の値の時ショックアブソーバを圧側ハード領域にて制
    御し、制御信号が0の時ショックアブソーバをソフト領
    域に制御するように構成した ことを特徴とする車両懸架
    装置。
  2. 【請求項2】 前記制御信号を求めるにあたって、バウ
    ンスレートは、前後輪それぞれにおけるばね上共振周波
    数を含むバンドパスフィルタを通した信号を用い、ピッ
    チレートは、ピッチ共振周波数を含むバンドパスフィル
    タを通した信号を用い、ロールレートは、ロール共振周
    波数を含むバンドパスフィルタを通した信号を用いたこ
    とを特徴とする請求項1記載の車両懸架装置。
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