JP3144055B2 - スチレン系単量体の重合方法 - Google Patents
スチレン系単量体の重合方法Info
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Description
な重合方法に関する。更に詳しくは、特定のポリメリッ
クペルオキシドを用い、特定の条件で重合をさせること
により、分子量が高く、透明性が高い重合体を得る方法
に関する。
キシドを重合開始剤として重合させる方法については各
種の方法が開示されている。例えば、特開昭59−17
6320号、特開昭60−13805号公報には、特定
の構造のジアシル型ポリメリックペルオキシドを用いて
スチレン系単量体を重合する方法が開示されている。又
特開平1−156325号、特開平1−221417号
公報には環状構造を有するエステル型ポリメリックペル
オキシドを用いてスチレンを重合する方法が開示されて
いる。更にジャーナルオブポリマーサイエンスA.第2
5巻、3349ページ(1987)には脂肪族二塩基酸
と二官能ヒドロペルオキシドを縮合したエステル型ポリ
メリックペルオキシドを用いてスチレンを重合する方法
が開示されている。
体の重合においては重合連鎖の生長速度は重合温度が高
いほど大きく、高分子量体が得られる(但し130℃以
上では連鎖移動反応により分子量は低下する)。それに
対し前述のポリメリックペルオキシドを用いる方法では
比較的低温で重合しなければならず、得られる重合体の
分子量には限度があった。即ち、特開昭59−1763
20号、特開昭60−13805号公報の方法で、用い
る重合開始剤の熱分解温度は比較的低く10時間半減期
で約64℃であり、又特開平1−156325号、特開
平1−221417号公報で用いられる重合開始剤の1
0時間半減期温度は約80℃程度である。又ジャーナル
オブポリマーサイエンスA.第25巻、3349ページ
(1987)の方法は、用いるポリメリックペルオキシ
ドの熱分解温度は高分子量化には適切であるが、予期さ
れた高分子量体を得ることができない。その理由は明確
ではないが、重合開始剤としての効率あるいはその重合
開始機構が高分子量化を阻害するためと考えられた。一
般的にスチレン系単量体の重合において、実用上重合装
置や重合方法に一定の制約があり、この制約内で重合温
度、重合時間を設定する必要があり、これらの制約内で
効率よく重合を開始する開始剤が所望されている。更
に、スチレン系単量体の重合においては、一般に重合速
度と重合物の分子量は反比例の関係にあることが知られ
ており、与えられた重合温度において、重合速度を低下
させずに重合物の分子量を上げる重合開始剤及び重合方
法が所望されている。
に応ずるため、スチレンの高分子量重合体を効率的に得
る方法を検討した結果、特定のポリメリックペルオキシ
ドを用い、且つ特定の重合条件でスチレン系単量体を重
合させることにより、高分子量の重合体が得られ、更に
スチレン系単量体の共重合においては、従来と比べ透明
性の高い重合体が得られることを見いだし本発明を完成
した。即ち、本発明は、一般式
基、ベンゾイル基あるいは−OR3 (R3 は炭素数、4
〜10の三級アルキル基を表す)を表し、R1 とR2 は
同じでも異なっていてもよく、nは3〜50の整数を表
す〕で表わされるポリメリックペルオキシドをスチレン
系単量体に対し50〜500ppmを用い、重合温度1
00〜120℃の範囲内で該単量体を重合させることを
特徴とするスチレン系単量体の重合方法に関する。本発
明の方法でスチレンとスチレンと共重合可能な単量体を
共重合させると、更に従来の方法と比べ透明性の高い重
合体が得られるという予期しない効果が発現される。こ
の効果は特にスチレンとマレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸等のエステル類あるいはそのイミド化物等を共重合
した場合において強く認められる。又スチレンとそれと
共重合性の少ない単量体との組み合わせの共重合におい
て認められる。一般に共重合においては、用いた単量体
の共重合性が完全に一致しない限り、単量体の組成と生
成するポリマーの組成は同一ではなく、重合初期と重合
後期の生成ポリマー組成は変化する。そのため最終的に
生成する重合物は、異種重合体の混合物となり、そのこ
とが重合物の透明性を低下させる原因になっていると考
えられる。それに対し本発明の方法では、重合前期の生
成ポリマーと重合後期の生成ポリマーがブロックポリマ
ーとなり、混合状態が向上し、あたかも重合物全体が均
一組成のポリマーの集合体となるためと考えられる。更
に、本発明によって重合された共重合物は、これを他の
重合物と混合した場合においても、従来の方法で重合さ
れた共重合体を用いたときと比較して透明性が改善され
た。この理由も上記と同様に相溶性が改善されたものと
考えられる。
れる(化1)で示されるポリメリックポリオキシド(以
下PPOと略す)式中のnは3〜50である。n<3で
は重合物の高分子量化の効果が小さく、n>50では高
分子量化の効果はそれ以上向上しない。そして実際上そ
のようなPPOの製造は困難である。本発明のPPOは
2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ヒドロペルオキシ
ド(以下25Hと略す)に水酸化カリウムやピリジン等
のアルカリ存在下でアゼライン酸クロライド及び必要に
応じベンゾイルクロライド、3,5,5−トリメチルヘ
キサノイルクロライド、ラウロイルクロライド、ブチリ
ルクロライド等の単官能カルボン酸クロライドを少しず
つ加えながら、反応温度−10〜40℃で反応させるこ
とにより得られる。その際、縮合度(繰り返し数)は、
25Hとアゼライン酸クロライド及び単官能カルボン酸
クロライドとの添加モル比及び反応時間により決められ
る。
レンあるいはスチレンと共重合可能な1種以上の単量体
との混合物を表し、スチレンと共重合可能な単量体とし
ては具体的には例えばα−メチルスチレン、メチルスチ
レン等のスチレン誘導体;アクリロニトリル;メタクリ
ル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸
エステル;アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルア
クリレート等のアクリル酸エステル;フマル酸及びフマ
ル酸エステル;イタコン酸及びイタコン酸エステル;マ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド等のマレイミド類などを挙げることができ
る。
系単量体に対し50〜500ppmを用い、重合温度は
100〜120℃の範囲内である。PPO添加量が50
ppm未満では重合速度が遅く、500ppmを越える
と高分子量化の効果が低下する。又重合温度100℃未
満では重合速度が遅く、120℃を越えると高分子量化
の効果が低下する。更に本発明の重合条件の範囲内にお
いて重合温度を徐々に上げながら重合を行うことにより
重合速度を低下させることなく、より高い分子量の重合
体を得ることもできる。
合、溶液重合及び塊状重合などのいずれの方法でもよ
い。又必要に応じて連続式の重合方法も用いることもで
きる。
を高い重合速度で得られ、更に、共重合においては、従
来と比べ透明性の高い重合体が容易に得られるため工業
的利用価値は極めて高い。
る。尚各例中、部、%及びppmは特に断らない限り重
量部、重量%及び重量ppmを示す。
に、10%水酸化カリウム140g(0.25mol)
と2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオ
キシド(25H)23.2g(0.1mol)とを混合
し0℃に冷却した。次にアゼライン酸クロライド(Az
Cl)22.51g(0.1mol)を攪拌下で0〜5
℃の温度で30分で少しずつ加えた。この温度で120
分間攪拌して反応を行った。その後、生成物をジエチル
エーテル100mlで抽出し、水洗した。ジエチルエー
テルを揮発させて、高粘性液体(PPO)34.29g
を得た(収率89.3%)。この粘性液体のヨード滴定
法による活性酸素量は8.54%であった。又ゲルパー
ミネーションクロマトグラフ(GPC)による数平均分
子量は7290であった(縮合度22.1)。このPP
OのH1 −NMRによる測定値により確認された構造を
次に示す。 δ=7.10ppm 2H δ=0.90ppm 260H δ=1.30ppm 220H δ=2.40ppm 90H δ=1.80ppm 90H
0℃、100℃、及び110℃で熱分解を行った。各温
度における熱分解度定数を求め、10時間半減期温度
(10時間で過酸化結合濃度が半分になる温度)を計算
した結果、94.1℃であった。又温度T°Kにおける
熱分解速度定数(kd)は次式で表されることが分かっ
た。 kd=3.374×1019×e(-34729/1.986/T)
lの使用量を表1に示す量に、反応時間を60分に変え
たこと以外は、参考例1に準じてPPOを製造した。得
られたPPOはすべて粘性の液体であった。これらのP
POの分析値を表1に示す。次に夫々のPPOのH1 −
NMRの測定値、その測定より確認された構造の化学式
を次に示す。 (参考例2のPPO) 測定値; δ=11.50ppm 2H δ=0.90ppm 120H δ=1.30ppm 110H δ=2.40ppm 45H δ=1.80ppm 45H 構造を示す式;
20g使用し、60分反応後にベンゾイルクロライド
(BzCl)4.0gを添加し、0〜5℃で更に60分
反応を続けた以外は、参考例1に準じてPPOを製造し
た。得られたPPOは粘性の液体であった。このPPO
の分析値は表1の通りであった。このPPOのH1 −N
MRの測定値よりこのPPOが下記の構造の化合物であ
ることを確認した。 測定値; δ=7.70ppm 6H δ=0.90ppm 100H δ=1.30ppm 80H δ=2.40ppm 30H δ=1.80ppm 30H δ=8.20ppm 4H 構造を示す式
4.0gの代わりに3,5,5−トリメチルヘキサノイ
ルクロライド(355Cl)4.0gを用いた以外は、
参考例5に準じてPPOを製造した。得られたPPOは
粘性の液体であった。このPPOの分析値は表1の通り
であった。このPPOのH1 −NMRの測定値よりこの
PPOが下記の構造の化合物であることを確認した。 測定値; δ=2.04ppm 2H δ=0.90ppm 120H δ=1.30ppm 80H δ=2.40ppm 35H δ=1.80ppm 30H 構造を示す式
レンを内径4mm長さ300mmのガラスアンプルに2
ml入れ、窒素置換後封管し、恒温槽に浸し110℃、
5時間重合させた。重合後、残存スチレン量のガスクロ
マトグラフによる定量から重合転化率を求めた。又GP
Cにより重合物の数平均分子量(Mn)と重量平均分子
量(Mw)を求めた。その結果は表2の通りであった。
として参考例1,3,5,6で夫々合成したPPOを使
用した以外は実施例1に準じて実施した。その結果は表
2の通りであった。
の添加量及び重合温度を夫々表2に示す量に変えた以外
は実施例1に準じて実施した。その結果は表2の通りで
あった。
105℃〜115℃まで毎時間2℃の割合で昇温させな
がら5時間重合させた以外は実施例1に準じて実施し
た。その結果は表2の通りであった。
て参考例4で合成したPPOを使用した以外は実施例1
に準じて実施した。その結果は表2の通りであった。 (縮合度の比較)実施例1〜5と比較例1の結果より、
縮合度が3.0以上のPPOを開始剤として使用したと
き、縮合度3.0未満のPPOを使用したときと比較し
て、重合速度はほゞ等しく、重合物の分子量が高くなる
ことが分かる。
の添加量と重合温度を夫々表2に示す量に変えた以外は
実施例1に準じて実施した。その結果は表2の通りであ
った。 (重合温度の比較)実施例1と比較例2,3より、重合
温度100℃未満では重合転化率が低く、又125℃を
越えた温度では、得られた重合物の分子量が低くなるこ
とが分かる。 (PPOの添加量の比較)又実施例1と比較例4,5の
結果より、PPOの添加量50ppm未満では重合添加
率が低く、500ppmを越えると、得られた重合物の
分子量が低くなることが分かる。
としてPPOの代わりに、ポリ(アジポイル−5−ペル
オキシ−2,5−ジメチル−n−ヘキシルパーオキサイ
ド)(25Ad)(アジピン酸と25Hとの縮合物、縮
合度11.0、活性酸素量10.3%)(クメン中の1
0時間半減期温度93.1℃、活性酸素量8.0%)1
64ppm(活性酸素量で補正)を使用した以外は実施
例1に準じて実施した。その結果は表2の通りであっ
た。 (ポリメリックポリオキシドの比較)実施例1と比較例
6の結果より、公知のポリメリックペルオキシドと比較
しても本発明の方法では高い重合速度と高分子量の重合
物が得られることが分かる。
としてPPOの代わりに、PPOとほゞ同じ熱分解温度
を有するt−アミルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト(AmI)(クメン中の10時間半減期温度95℃、
活性酸素量8.0%)211ppm(活性酸素量で補
正)を使用した以外は実施例1に準じて実施した。その
結果は表2の通りであった。
7の結果より、熱分解温度が近似している公知の単官能
のペルオキシドと比較しても本発明の方法では高い分子
量の重合物が得られることが分かる。
レイミドの共重合] 実施例1においてスチレンの代わりに、スチレンとN−
フェニルマレイミド(85:15重量比)を使用した以
外は実施例1に準じて実施した。その結果、重合転化率
63.5%、Mn=495000、Mw=866000
であった。又同じ組成の単量体混合物にPPO−2 3
00ppmを加え、それを2枚のガラスを用いた注型器
に注ぎ110℃、5時間重合させて厚さ5mmの樹脂板
を作成した。このものの光線透過率(ASTM−D10
03)は92%であった。
200ppmの代わりに、AmI 211ppmを使
用した以外は実施例9に準じて実施した。その結果、重
合転化率65.9%、Mn=451000、Mw=78
6000であった。又同じ組成の単量体混合物にPPO
−2 316ppmを加え、それを2枚のガラスを用い
た注型器に注ぎ110℃、5時間重合させて厚さ5mm
の樹脂板を作成した。このものの光線透過率(ASTM
−D1003)は89%であった。実施例9及び比較例
8から明らかなように、共重合においても、本発明の重
合条件で重合をさせたものは重合物の分子量が高いこと
が分かる。又共重合物の透明性も向上した。
を200ppmとN−ドデシルメルカプタン500pp
mを溶解したスチレンとアクリロニトリル(70/30
重量比)を内径4mm長さ300mmのガラスアンプル
に2ml入れ、窒素置換後封管し、恒温槽に浸し110
℃、5時間重合させた。重合後、残存したスチレンとア
クリロニトリルを定量した結果、重合転化率は85%で
あった。又Mn=243000、Mw=527000量
であった。この重合物0.5gと比較例7で製造したポ
リスチレン0.5gとをトルエン10gに溶解させた。
これを直径50mmのシャーレに入れ、封管させた。得
られたフィルムは透明であった。
00ppmの代わりにAmI 211ppmを用いた他
は実施例10に準じて実施した。重合転化率は81%、
又Mn=201000、Mw=410000であった。
又ポリスチレンと混合溶解して得られたフィルムは、僅
かに濁りが観察された。実施例10及び比較例9から明
らかなように、本発明の重合条件で得られた共重合物は
他の重合物とブレンドしたとき、従来と比べ相溶性が良
く、透明性が向上することが分かる。
Claims (1)
- 【請求項1】 スチレン系単量体を重合するに際し、重
合開始剤として一般式 【化1】 〔式中R1 ,R2 は夫々水素、OH基、 【化2】 【化3】 炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアシル
基、ベンゾイル基あるいは−OR3 (R3 は炭素数、4
〜10の三級アルキル基を表す)を表し、R1 とR2 は
同じでも異なっていてもよく、nは3〜50の整数を表
す〕で表わされるポリメリックペルオキシドをスチレン
系単量体に対し50〜500ppmを用い、重合温度1
00〜120℃の範囲内で重合させることを特徴とする
スチレン系単量体の重合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04141993A JP3144055B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | スチレン系単量体の重合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04141993A JP3144055B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | スチレン系単量体の重合方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH05310833A JPH05310833A (ja) | 1993-11-22 |
JP3144055B2 true JP3144055B2 (ja) | 2001-03-07 |
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ID=15304904
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04141993A Expired - Fee Related JP3144055B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | スチレン系単量体の重合方法 |
Country Status (1)
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---|---|---|---|---|
JP6376020B2 (ja) * | 2015-03-30 | 2018-08-22 | 東レ株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
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1992
- 1992-05-08 JP JP04141993A patent/JP3144055B2/ja not_active Expired - Fee Related
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