JP3143869B2 - CuまたはCu合金に対するAlまたはAl合金の被覆法 - Google Patents
CuまたはCu合金に対するAlまたはAl合金の被覆法Info
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Description
【0001】[産業上の利用分野]本発明はCuやCu
合金の高電気伝導率と高熱伝導率を維持したままで、耐
酸化性と耐蝕性さらには耐磨耗性を改善するためAlや
Al合金を溶融・被覆に関する。
合金の高電気伝導率と高熱伝導率を維持したままで、耐
酸化性と耐蝕性さらには耐磨耗性を改善するためAlや
Al合金を溶融・被覆に関する。
【0002】[従来技術及びその問題点]CuやCu合
金は展延性に富み、板、条、棒、線、管等の形で電気、
機械、化学などの工業に多量に使われている。中でも純
Cuは電気と熱の伝導性が良いために送電線はもとよ
り、電気部品やラジェターをはじめとする熱交換器類に
広く用いられている。しかしこのCuやCu合金の欠点
は、高温環境下で弱く、とくに大気中で300℃以上に
なるとCuOの酸化皮膜を形成し、剥離する。また耐蝕
性にも大きな問題点を内蔵している。そのためCuにZ
n,Ni,Sn,Al,Cr,Ti等の添加が行われ、
とくにAlを添加したアルミニウム青銅は耐酸化性、耐
蝕性を改善するためアルミブロンズと称して実用化され
ている。これは表面に安定なAl2O3の酸化皮膜が生
成されることに起因する。しかしながらCuにAlを添
加した場合、その効果を発揮させるにはかなり多量のA
lを添加する必要があることと、加工性に大きな問題点
を有していること、さらにCuにAl等の第二元素を添
加すると急激な電気伝導度(IACS)の低下を来し、
導電材料としては使用しにくくなる。
金は展延性に富み、板、条、棒、線、管等の形で電気、
機械、化学などの工業に多量に使われている。中でも純
Cuは電気と熱の伝導性が良いために送電線はもとよ
り、電気部品やラジェターをはじめとする熱交換器類に
広く用いられている。しかしこのCuやCu合金の欠点
は、高温環境下で弱く、とくに大気中で300℃以上に
なるとCuOの酸化皮膜を形成し、剥離する。また耐蝕
性にも大きな問題点を内蔵している。そのためCuにZ
n,Ni,Sn,Al,Cr,Ti等の添加が行われ、
とくにAlを添加したアルミニウム青銅は耐酸化性、耐
蝕性を改善するためアルミブロンズと称して実用化され
ている。これは表面に安定なAl2O3の酸化皮膜が生
成されることに起因する。しかしながらCuにAlを添
加した場合、その効果を発揮させるにはかなり多量のA
lを添加する必要があることと、加工性に大きな問題点
を有していること、さらにCuにAl等の第二元素を添
加すると急激な電気伝導度(IACS)の低下を来し、
導電材料としては使用しにくくなる。
【0003】一方被覆する方法として金属基材に電気メ
ッキ、溶融メッキ、溶射、蒸着等様々な方法があり、例
えばFeに対してのAl溶融メッキは耐蝕性と耐酸化性
を改善する最も有効な手段として実用化されている。し
かしCuまたはCu合金へのAlのメッキや被覆を施し
た例は現在のところ全くない。本発明は今までなかった
CuまたはCu合金系へのAlまたはAl合金の溶融・
被覆に係るもので、Cu−Al合金系のように電気伝導
度をあまり低下することなく、表面に安定なAlの酸化
皮膜を形成させ、耐蝕性と耐酸化性、さらには高硬度を
有する表面のCuまたはCu合金を提供することにあ
る。
ッキ、溶融メッキ、溶射、蒸着等様々な方法があり、例
えばFeに対してのAl溶融メッキは耐蝕性と耐酸化性
を改善する最も有効な手段として実用化されている。し
かしCuまたはCu合金へのAlのメッキや被覆を施し
た例は現在のところ全くない。本発明は今までなかった
CuまたはCu合金系へのAlまたはAl合金の溶融・
被覆に係るもので、Cu−Al合金系のように電気伝導
度をあまり低下することなく、表面に安定なAlの酸化
皮膜を形成させ、耐蝕性と耐酸化性、さらには高硬度を
有する表面のCuまたはCu合金を提供することにあ
る。
【0004】[問題を解決するための手段]上記の目的
を達成するために開発された本発明のAl被覆方法は、
Al粒子とフッ化物系フラックスの混合物をCuまたは
Cu合金の基材に塗布し、不活性ガス雰囲気下でAl被
覆材を加熱・溶融させる。またAl粒子の代りにAl箔
を用いる場合は、基材及び/またはAl箔に予めフラッ
クスを塗布した後、Al箔を必要な面に貼り合せ、同様
に不活性ガス雰囲気下で加熱・溶融させる。この際フッ
化物を主体とするフラックスの介在は必須条件であり、
フラックスがなければ非酸化雰囲気下でもAlは溶融し
てもCuに対しては全く濡れを生じない。またフラック
スにはフッ化物以外にその他のハロゲン化物、例えば塩
化物や臭化物を含む場合もある。操作温度は被覆材の融
点以上、基材の融点以下の温度で行なうことが出来る。
しかし基材と被覆材の反応により合金を作り、融点降下
することもあるので、AlまたはAl合金の融点以下で
も操作する場合がある。
を達成するために開発された本発明のAl被覆方法は、
Al粒子とフッ化物系フラックスの混合物をCuまたは
Cu合金の基材に塗布し、不活性ガス雰囲気下でAl被
覆材を加熱・溶融させる。またAl粒子の代りにAl箔
を用いる場合は、基材及び/またはAl箔に予めフラッ
クスを塗布した後、Al箔を必要な面に貼り合せ、同様
に不活性ガス雰囲気下で加熱・溶融させる。この際フッ
化物を主体とするフラックスの介在は必須条件であり、
フラックスがなければ非酸化雰囲気下でもAlは溶融し
てもCuに対しては全く濡れを生じない。またフラック
スにはフッ化物以外にその他のハロゲン化物、例えば塩
化物や臭化物を含む場合もある。操作温度は被覆材の融
点以上、基材の融点以下の温度で行なうことが出来る。
しかし基材と被覆材の反応により合金を作り、融点降下
することもあるので、AlまたはAl合金の融点以下で
も操作する場合がある。
【0005】まずAl粒子を用いる場合は粒子の径及び
酸素量が皮膜の性状に影響し150μm以下の粒子が好
ましく、粒子の酸素量は1%以下が好ましい。Al粒子
80%−フラックス20%の混合物をCu基材に2〜1
0gr/m2塗布した後、不活性ガス雰囲気として窒素
ガスを用い、その残存酸素濃度を0.1%以下にして6
60℃に保持し加熱する。まずフラックスが560〜5
70℃で溶け、同時にAl粒子の酸化物が除去され、基
材Cuと拡散反応によって、共晶を形成し(共晶温度5
48℃)、Al融点の660℃以下の温度でも溶融す
る。このようにして被覆したCu表面はCuとAlの反
応によって合金化し、黄銅色の表面となり美麗な光沢を
呈する。一方Al箔を用いる場合も同様で、箔の厚さは
被覆層の厚さに関係する。被覆材のAlの厚さを10μ
mとした場合、生成被覆層の厚さは拡散によって増加
し、数倍の被覆層になっている。また使用する基材とし
ては、純Cuの他、黄銅、リン青銅、洋白、Cu−C
r,Cu−Zr,Cu−Fe−Pなど各種Cu合金にも
応用出来る。また被覆材としてAl粒子に第二、第三元
素としてSn,Zn,Ag,Inなどの粒子の添加も有
効で、Al粒子単独よりも、低融点の融液を生じさせ流
動性が改善されることによって、被覆層が平滑で均一化
する。また粒子同士の混合の他に、予め合金化したAl
−Sn,Al−Zn,Al−Ag,Al−Inを粉末粒
子に加工して用いても同様な効果が得られる。また被覆
層を厚くするには、被覆材の塗布と加熱処理を繰り返す
多重被覆法によって目的の厚さとそのコントロールが可
能で、被覆層を厚くしても境界層は脆化しない。なお使
用する不活性ガスとしては、窒素ガス以外にもアルゴン
(Ar)でも良く、さらに不活性ガスに還元性ガスを添
加した混合ガスを使用しても可能である。
酸素量が皮膜の性状に影響し150μm以下の粒子が好
ましく、粒子の酸素量は1%以下が好ましい。Al粒子
80%−フラックス20%の混合物をCu基材に2〜1
0gr/m2塗布した後、不活性ガス雰囲気として窒素
ガスを用い、その残存酸素濃度を0.1%以下にして6
60℃に保持し加熱する。まずフラックスが560〜5
70℃で溶け、同時にAl粒子の酸化物が除去され、基
材Cuと拡散反応によって、共晶を形成し(共晶温度5
48℃)、Al融点の660℃以下の温度でも溶融す
る。このようにして被覆したCu表面はCuとAlの反
応によって合金化し、黄銅色の表面となり美麗な光沢を
呈する。一方Al箔を用いる場合も同様で、箔の厚さは
被覆層の厚さに関係する。被覆材のAlの厚さを10μ
mとした場合、生成被覆層の厚さは拡散によって増加
し、数倍の被覆層になっている。また使用する基材とし
ては、純Cuの他、黄銅、リン青銅、洋白、Cu−C
r,Cu−Zr,Cu−Fe−Pなど各種Cu合金にも
応用出来る。また被覆材としてAl粒子に第二、第三元
素としてSn,Zn,Ag,Inなどの粒子の添加も有
効で、Al粒子単独よりも、低融点の融液を生じさせ流
動性が改善されることによって、被覆層が平滑で均一化
する。また粒子同士の混合の他に、予め合金化したAl
−Sn,Al−Zn,Al−Ag,Al−Inを粉末粒
子に加工して用いても同様な効果が得られる。また被覆
層を厚くするには、被覆材の塗布と加熱処理を繰り返す
多重被覆法によって目的の厚さとそのコントロールが可
能で、被覆層を厚くしても境界層は脆化しない。なお使
用する不活性ガスとしては、窒素ガス以外にもアルゴン
(Ar)でも良く、さらに不活性ガスに還元性ガスを添
加した混合ガスを使用しても可能である。
【0006】[作用]本発明による被覆方法は被覆材と
してのAlを基材Cuの表面で溶融させ、表面をAlの
高濃度にすることによって、安定な酸化膜Al2O3を
発達させて、耐酸化性を向上させる。またこの被覆層は
Cu−Al合金のAl濃度の高いCu−Alα相となっ
ていて、界面に脆弱な合金層の生成が認められない。そ
のため被覆したCu基材を圧延や伸線、成形加工等の塑
性加工を行なうことも可能である。しかも被覆後、水冷
と空冷等の熱処理を行なうことによって、高硬度の表面
層にすることが可能である。またもう一方の大きな課題
でもある高電気伝導率の維持は、ごく表層の部分のみが
高濃度のAlとなっているだけで、全体のAlの含有量
が少ないことが電気伝導率を下げない理由と考えられ、
本発明による試料の電気伝導率(IACS)は95.5
%以上であった。以下実施例により説明を進める。
してのAlを基材Cuの表面で溶融させ、表面をAlの
高濃度にすることによって、安定な酸化膜Al2O3を
発達させて、耐酸化性を向上させる。またこの被覆層は
Cu−Al合金のAl濃度の高いCu−Alα相となっ
ていて、界面に脆弱な合金層の生成が認められない。そ
のため被覆したCu基材を圧延や伸線、成形加工等の塑
性加工を行なうことも可能である。しかも被覆後、水冷
と空冷等の熱処理を行なうことによって、高硬度の表面
層にすることが可能である。またもう一方の大きな課題
でもある高電気伝導率の維持は、ごく表層の部分のみが
高濃度のAlとなっているだけで、全体のAlの含有量
が少ないことが電気伝導率を下げない理由と考えられ、
本発明による試料の電気伝導率(IACS)は95.5
%以上であった。以下実施例により説明を進める。
【0007】[実施例1]耐酸化試験には試料として5
0×30×0.3mmtのリン脱酸Cuを用い、その基
材の両面に50μm以下のAl粒子80%とKF−Na
F−AlF3系からなるフッ化物フラックス20%の混
合物3gr/m2塗布し、660℃の窒素ガス雰囲気
(酸素濃度0.1%以下)中で溶融・被覆を行なった。
この場合の被覆層の厚さは10μm以下であった。また
同試料の比較材として被覆しないリン脱酸Cuを用い、
300〜600℃の大気中の温度で1時間加熱後の酸化
増量を測定した。その結果を図1に示す。被覆しないC
uは温度とともに酸化量を増加し500℃以上になると
酸化物は厚く成長して剥離した。一方Al被覆を施した
Cu基材は300〜600℃の温度範囲内では殆ど酸化
増量が認められず表面の光沢を保った。
0×30×0.3mmtのリン脱酸Cuを用い、その基
材の両面に50μm以下のAl粒子80%とKF−Na
F−AlF3系からなるフッ化物フラックス20%の混
合物3gr/m2塗布し、660℃の窒素ガス雰囲気
(酸素濃度0.1%以下)中で溶融・被覆を行なった。
この場合の被覆層の厚さは10μm以下であった。また
同試料の比較材として被覆しないリン脱酸Cuを用い、
300〜600℃の大気中の温度で1時間加熱後の酸化
増量を測定した。その結果を図1に示す。被覆しないC
uは温度とともに酸化量を増加し500℃以上になると
酸化物は厚く成長して剥離した。一方Al被覆を施した
Cu基材は300〜600℃の温度範囲内では殆ど酸化
増量が認められず表面の光沢を保った。
【0008】[実施例2]同じ上記試料にフッ化物フラ
ックスを塗布した後、Al箔厚さ20μmを貼り合せ、
実施例1の手法で被覆層を作り、耐酸化試験を行なった
結果、Al粒子を用いたものと変わらない耐酸化性を示
した。
ックスを塗布した後、Al箔厚さ20μmを貼り合せ、
実施例1の手法で被覆層を作り、耐酸化試験を行なった
結果、Al粒子を用いたものと変わらない耐酸化性を示
した。
【0009】[実施例3]φ2.6mmの標準Cu線に
実施例1に示すAl粒子を用いる手法により、Alを被
覆したCu線をφ1.6mmまで伸線加工して製作した
試料の比電気抵抗を測定して、電気伝導率(IACS)
を求めた。その結果比較材として用いた標準Cu線の比
電気抵抗は1.7×10−6Ωcmに対し、Al被覆し
たCu線の比電気抵抗は1.78×10−6Ωcmが測
定され、電気伝導率(IACS)は約95.5%の高導
電率を有することが分かった。
実施例1に示すAl粒子を用いる手法により、Alを被
覆したCu線をφ1.6mmまで伸線加工して製作した
試料の比電気抵抗を測定して、電気伝導率(IACS)
を求めた。その結果比較材として用いた標準Cu線の比
電気抵抗は1.7×10−6Ωcmに対し、Al被覆し
たCu線の比電気抵抗は1.78×10−6Ωcmが測
定され、電気伝導率(IACS)は約95.5%の高導
電率を有することが分かった。
【0010】[実施例4]実施例1の試料に被覆材とし
てAl−8%Si合金の粒子を用い、実施例1の手法に
よってAl−Siの被覆層を得て、300〜600℃ま
での大気中での酸化試験を行なった結果、実施例1に見
る純Alと遜色ない耐酸化性を示した。Al−8%Si
は融点577〜615℃で純Alより50℃ほど融点が
低く、したがって処理温度を下げるのにも有効である。
この効果はAl−Zn,Al−Sn,Al−Ag,Al
−In,Al−Cu,Al−Ni,Al−Cr,Al−
Ti,Al−Zr合金及びAl−希土類(Ce,Y,L
a)二元系合金またはこれらの二元系以上で構成した合
金を用いても同様である。
てAl−8%Si合金の粒子を用い、実施例1の手法に
よってAl−Siの被覆層を得て、300〜600℃ま
での大気中での酸化試験を行なった結果、実施例1に見
る純Alと遜色ない耐酸化性を示した。Al−8%Si
は融点577〜615℃で純Alより50℃ほど融点が
低く、したがって処理温度を下げるのにも有効である。
この効果はAl−Zn,Al−Sn,Al−Ag,Al
−In,Al−Cu,Al−Ni,Al−Cr,Al−
Ti,Al−Zr合金及びAl−希土類(Ce,Y,L
a)二元系合金またはこれらの二元系以上で構成した合
金を用いても同様である。
【0011】[実施例5]Al粒子単独で用いてもその
効果が大きいが、Al粒子の他に異種金属粒子のSn,
Zn,Ag,In,Cu,Si等の第二、第三の粒子の
添加も有効である。本実施例ではAl粒子70%、Zn
粒子10%、フッ化物フラックス20%の混合物をリン
脱酸Cu板に5gr/m2塗布し、実施例1と同様な条
件下で被覆した試料を用い300〜600℃の大気中の
温度で1時間加熱し、耐酸化性を検討した。その結果、
図1に示すAl粒子単独で被覆した表面と同様に全く酸
化増量がなく、Znを添加しても耐酸化性に悪影響を与
えない。
効果が大きいが、Al粒子の他に異種金属粒子のSn,
Zn,Ag,In,Cu,Si等の第二、第三の粒子の
添加も有効である。本実施例ではAl粒子70%、Zn
粒子10%、フッ化物フラックス20%の混合物をリン
脱酸Cu板に5gr/m2塗布し、実施例1と同様な条
件下で被覆した試料を用い300〜600℃の大気中の
温度で1時間加熱し、耐酸化性を検討した。その結果、
図1に示すAl粒子単独で被覆した表面と同様に全く酸
化増量がなく、Znを添加しても耐酸化性に悪影響を与
えない。
【0012】[実施例6]被覆材を予め基材の両面また
は片面にクラッドしたものを用いても有効である。 こ
の実施例では基板としてのリン脱酸Cu(50×30×
0.3mmt)に純Alを両面に圧延法によってクラッ
ド(クラッド厚さ10μm)した試料を用いて被覆処理
と耐酸化性試験を行なった。被覆処理はクラッドした基
板上に実施例1に示すフッ化物フラックスをクラッド表
面に塗布した後、660℃の窒素ガス雰囲気(酸素濃度
0.1%以下)中で被覆した。同試料を実施例1に示す
条件下で耐酸化試験を行なった結果、Al粒子を用いた
結果(図1)と全く変わらない耐酸化性を示した。また
純Alの他Al−Zn,Al−Sn,Al−Ag,Al
−Si等の合金をクラッドしても同様な効果がある。ま
た基材にSn,Zn,Ag,Ni等の金属を予めメッ
キ、溶射、蒸着、圧着等を施した複合材料に再度上記純
AlまたはAl合金をクラッドした複合材料を用いても
同様な効果がある。
は片面にクラッドしたものを用いても有効である。 こ
の実施例では基板としてのリン脱酸Cu(50×30×
0.3mmt)に純Alを両面に圧延法によってクラッ
ド(クラッド厚さ10μm)した試料を用いて被覆処理
と耐酸化性試験を行なった。被覆処理はクラッドした基
板上に実施例1に示すフッ化物フラックスをクラッド表
面に塗布した後、660℃の窒素ガス雰囲気(酸素濃度
0.1%以下)中で被覆した。同試料を実施例1に示す
条件下で耐酸化試験を行なった結果、Al粒子を用いた
結果(図1)と全く変わらない耐酸化性を示した。また
純Alの他Al−Zn,Al−Sn,Al−Ag,Al
−Si等の合金をクラッドしても同様な効果がある。ま
た基材にSn,Zn,Ag,Ni等の金属を予めメッ
キ、溶射、蒸着、圧着等を施した複合材料に再度上記純
AlまたはAl合金をクラッドした複合材料を用いても
同様な効果がある。
【0013】[実施例7]Cu−CrやCu−Zr,C
u−Fe−P等の高力高導電のCu合金系は熱処理によ
ってその特性を発揮出来る。例えばCu−Cr合金の溶
体化処理は約900℃で加熱後、水冷が行われ、その後
500℃前後の温度で時効硬化処理が行われる。この実
施例ではCu−1%Cr合金の基材を用い、900℃で
溶体化処理後、実施例1と同様にAl粒子とフラックス
の混合物を用い、660℃でAl被覆を行なった。この
際溶体化と被覆処理は窒素ガス雰囲気(酸素濃度0.1
%以下)下で行なったが、この後の時効硬化処理は50
0℃の大気中で2時間行なった。その結果Al被覆を施
さない基材は大量のスケールを発生したが、Al被覆し
た本発明の基材は表面にスケールの発生は認められず、
優れた耐酸化性を示し、同時にCu−Cr合金の有する
高い電気伝導率(IACS)80%以上と高い強度50
kgf/mm2が得られた。
u−Fe−P等の高力高導電のCu合金系は熱処理によ
ってその特性を発揮出来る。例えばCu−Cr合金の溶
体化処理は約900℃で加熱後、水冷が行われ、その後
500℃前後の温度で時効硬化処理が行われる。この実
施例ではCu−1%Cr合金の基材を用い、900℃で
溶体化処理後、実施例1と同様にAl粒子とフラックス
の混合物を用い、660℃でAl被覆を行なった。この
際溶体化と被覆処理は窒素ガス雰囲気(酸素濃度0.1
%以下)下で行なったが、この後の時効硬化処理は50
0℃の大気中で2時間行なった。その結果Al被覆を施
さない基材は大量のスケールを発生したが、Al被覆し
た本発明の基材は表面にスケールの発生は認められず、
優れた耐酸化性を示し、同時にCu−Cr合金の有する
高い電気伝導率(IACS)80%以上と高い強度50
kgf/mm2が得られた。
【0014】[実施例8]本発明による被覆層は熱処理
によって硬度が上昇し、耐磨耗性においても寄与する。
この実施例では被覆材としてAl粒子70%、Zn粒子
10%、フッ化物からなるフラックス20%の混合物を
リン青銅の基材(30×20×1.0mmt)に塗布
し、実施例1に示す条件下で溶融被覆した。同試料を7
00℃の窒素ガス雰囲気中で30分加熱・保持した後、
直ちに水冷とさらに300℃の温度で1時間熱処理を行
なった。その結果、熱処理前の被覆層の硬さはマイクロ
ビッカース硬度計で150〜160HVであったのに対
し、240〜250HVに硬さを増し、さらに水冷後3
00℃で加熱処理したものは280HV以上の高硬度が
得られた。基材リン青銅の硬さは約100〜110HV
であるので、被覆層は二倍以上の硬度となり、耐磨耗性
に効果を与えることが可能である。この効果は水冷に限
らず強制空冷等によっても同様である。
によって硬度が上昇し、耐磨耗性においても寄与する。
この実施例では被覆材としてAl粒子70%、Zn粒子
10%、フッ化物からなるフラックス20%の混合物を
リン青銅の基材(30×20×1.0mmt)に塗布
し、実施例1に示す条件下で溶融被覆した。同試料を7
00℃の窒素ガス雰囲気中で30分加熱・保持した後、
直ちに水冷とさらに300℃の温度で1時間熱処理を行
なった。その結果、熱処理前の被覆層の硬さはマイクロ
ビッカース硬度計で150〜160HVであったのに対
し、240〜250HVに硬さを増し、さらに水冷後3
00℃で加熱処理したものは280HV以上の高硬度が
得られた。基材リン青銅の硬さは約100〜110HV
であるので、被覆層は二倍以上の硬度となり、耐磨耗性
に効果を与えることが可能である。この効果は水冷に限
らず強制空冷等によっても同様である。
【0015】[実施例9]被覆層の厚さの増加とそのコ
ントロールには、本発明では多重被覆法で行なった。こ
の方法は生成した被覆層の表面上に重ねて被覆処理を行
なう方法である。この実施例ではAl粒子70%、Zn
粒子10%、フッ化物からなるフラックス20%の混合
物をリン青銅の基材(30×20×1.0mmt)に被
覆処理を行なった。先ず上記被覆材混合物を基材のリン
青銅板上に一回目の5gr/m2を塗布した後、先の実
施例1に示す条件下で溶融被覆を行なった。この時の被
覆層の厚さは10μmが得られた。つぎに一回被覆した
表面上に二回目の混合物を同量塗布し、同条件下で再び
溶融被覆を行なった。この際の被覆層の厚さは20μm
に増加した。さらに二回被覆した表面に第三回目となる
混合物を同量塗布し、同条件下で被覆処理を行なった。
その結果被覆層の全厚さは30μmに達しており、多重
被覆法によって厚さを増加させることが可能であること
ならびに厚さのコントロールが出来ることを確認した。
しかも被覆層とリン青銅との境界には脆弱化の原因とな
る金属間化合物の生成もなく、試料を折り曲げても表面
層が剥離するようなことはない。
ントロールには、本発明では多重被覆法で行なった。こ
の方法は生成した被覆層の表面上に重ねて被覆処理を行
なう方法である。この実施例ではAl粒子70%、Zn
粒子10%、フッ化物からなるフラックス20%の混合
物をリン青銅の基材(30×20×1.0mmt)に被
覆処理を行なった。先ず上記被覆材混合物を基材のリン
青銅板上に一回目の5gr/m2を塗布した後、先の実
施例1に示す条件下で溶融被覆を行なった。この時の被
覆層の厚さは10μmが得られた。つぎに一回被覆した
表面上に二回目の混合物を同量塗布し、同条件下で再び
溶融被覆を行なった。この際の被覆層の厚さは20μm
に増加した。さらに二回被覆した表面に第三回目となる
混合物を同量塗布し、同条件下で被覆処理を行なった。
その結果被覆層の全厚さは30μmに達しており、多重
被覆法によって厚さを増加させることが可能であること
ならびに厚さのコントロールが出来ることを確認した。
しかも被覆層とリン青銅との境界には脆弱化の原因とな
る金属間化合物の生成もなく、試料を折り曲げても表面
層が剥離するようなことはない。
【0016】[効果]本発明によるAlまたはAl合金
をCuまたはCu合金に被覆することによって、高電気
伝導率を保ちながら、著しい耐酸化性、耐蝕性及び表面
硬度の改善効果が認められた。さらに本発明は極めて少
ないAl量を金属基材に付着させ、それを溶融させるこ
とによって薄い被覆層が得られ、しかもAl−Cuの界
面には有害な中間化合物層の生成がなく、以降の圧延や
伸線、成形加工等の塑性加工が可能である。また板、
線、鋳造品、鍛造品等形状を選ばず様々な部品に応用が
可能であるほか、金属基材の全面またはマスキングによ
って局部だけの被覆も可能である。なお被覆層の厚さは
粒子の場合は付着量及び被覆を繰り返す多重被覆、箔の
場合は厚さによって自由に変えることが出来る。
をCuまたはCu合金に被覆することによって、高電気
伝導率を保ちながら、著しい耐酸化性、耐蝕性及び表面
硬度の改善効果が認められた。さらに本発明は極めて少
ないAl量を金属基材に付着させ、それを溶融させるこ
とによって薄い被覆層が得られ、しかもAl−Cuの界
面には有害な中間化合物層の生成がなく、以降の圧延や
伸線、成形加工等の塑性加工が可能である。また板、
線、鋳造品、鍛造品等形状を選ばず様々な部品に応用が
可能であるほか、金属基材の全面またはマスキングによ
って局部だけの被覆も可能である。なお被覆層の厚さは
粒子の場合は付着量及び被覆を繰り返す多重被覆、箔の
場合は厚さによって自由に変えることが出来る。
【図1】Al被膜Cu板と無処理Cu板の酸化増量の比
較
較
Claims (7)
- 【請求項1】CuまたはCu合金からなる基材表面に被
覆材としてAlまたはAl合金をフッ化物を主体とする
フラックスを用いて不活性ガス雰囲気中で加熱し、Al
またはAl合金を溶融させて当該基材に被覆する方法。 - 【請求項2】前記被覆材として粒状物を用いる請求項1
に記載の方法 - 【請求項3】前記被覆材としてAlまたはAl合金以外
の粒子との混合物を用いる請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】前記被覆材として箔を用いる請求項1に記
載の方法。 - 【請求項5】被覆材を前記の基材にクラッドしたものを
用いる請求項1に記載の方法。 - 【請求項6】基材としてCu−Cr合金、Cu−Zr合
金等の熱処理型Cu合金を用いる請求項1〜5のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項7】AlまたはAl合金を被覆した後、熱処理
を行なう請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09294768A JP3143869B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-09-22 | CuまたはCu合金に対するAlまたはAl合金の被覆法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-89859 | 1997-03-05 | ||
JP8985997 | 1997-03-05 | ||
JP09294768A JP3143869B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-09-22 | CuまたはCu合金に対するAlまたはAl合金の被覆法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10306384A JPH10306384A (ja) | 1998-11-17 |
JP3143869B2 true JP3143869B2 (ja) | 2001-03-07 |
Family
ID=26431254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09294768A Expired - Fee Related JP3143869B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-09-22 | CuまたはCu合金に対するAlまたはAl合金の被覆法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3143869B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4794925B2 (ja) * | 2005-07-11 | 2011-10-19 | 新日本製鐵株式会社 | 複合構造体、酸素分離装置、及び化学反応装置 |
-
1997
- 1997-09-22 JP JP09294768A patent/JP3143869B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10306384A (ja) | 1998-11-17 |
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