JP3139299B2 - 親水性に優れたAlまたはAl合金製フィン材 - Google Patents

親水性に優れたAlまたはAl合金製フィン材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、親水性に優れたAlま
たはAl合金(以下、Al合金で代表する))製フィン
材に関し、殊に、その表面に優れた親水性を有する高分
子化合物含有樹脂皮膜を形成することによってフィン材
表面の水濡れ性を高め、凝縮水の流れを良くすることに
よって熱交換効率を高めたAl合金製フィン材に関する
ものであり、このAl合金製フィン材は、業務用あるい
は家庭用の空調機器、更には自動車用、車輌用、航空機
用等の空調機器等における熱交換器用のフィン材等とし
て優れた効果を発揮する。
【0002】
【従来の技術】Al合金は、軽量で且つ熱伝導性、成形
性、耐食性等においても非常に優れたものであるところ
から、上記の様な空調機器用の熱交換器用フィン材等と
して広く使用されている。ところがAl合金製のフィン
材には、使用時に凝縮水の付着滞留によって通風抵抗が
増大し、熱交換効率を低下させるという問題が指摘され
ている。
【0003】そこで、こうした難点を改善するための手
段として、熱交換器用フィン材として成形する前のAl
合金板の表面に親水化処理を施し、水濡れ性を高めるこ
とによって凝縮水が水膜を形成して速やかに下方へ流下
し得る様にし、それにより、熱交換器として組み立てて
使用する際の通風抵抗を低減し、熱交換効率を高めると
共に電力の損失を抑制し、更には騒音の抑制、水滴の飛
散防止などを図る方法が実施されている。
【0004】こうしたAl合金製フィン材表面の親水化
処理法としては、 (1) 水ガラスを表面に塗布する方法(例えば、特開昭5
8−126989号公報等) (2) 有機質樹脂にシリカ、水ガラス、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、チタニア等を配合した皮膜、ある
いはこれらに界面活性剤を配合した親水性皮膜を形成す
る方法(例えば、特開昭55−99976号、同60−
101156号公報等) (3) Al合金板表面にベーマイトやアルミナ処理を施す
方法(例えば、特開昭56−20971号公報等) (4) 親水性アクリル樹脂や水溶性セルロース等の水溶性
または水分散性有機質樹脂に、架橋剤や界面活性剤、キ
レート剤等を配合した塗工液を塗布する方法(例えば、
特開昭62−186198号公報等) 等が知られており、それらの一部は既に実用化されてい
る。
【0005】ところが上記の方法には夫々次の様な難点
がある。即ち、上記(1) 〜(3) の方法では、親水性を発
揮する主成分が無機化合物であるため皮膜の延性が乏し
く、フィン状に成形加工する際の張り出し成形やしごき
加工時に皮膜にクラックが入り、これが素材に伝播して
Al合金板に割れを生じさせる原因になることがある。
即ち、表面処理を施しておらない無処理材に比べて成形
性を著しく低下させるという大きな問題が指摘される。
【0006】これらに対し、上記(4) の方法の様にアク
リル系あるいはセルロース系、ビニルアルコール系、ウ
レタン系等の有機質高分子化合物よりなる水溶性または
水分散性樹脂を主成分とする有機質の親水性樹脂皮膜を
設けたものでは、該皮膜自体が延性を有しているので、
上記無機質皮膜で指摘される様に素材の成形性に悪影響
を及ぼすことがなく、しかも初期親水性においては優れ
た性能を発揮する。ところがこれら高分子化合物主体の
親水性樹脂皮膜は、高分子化合物の種類によっては優れ
た親水性持続効果を発揮し得るものもあるが、その種類
によっては、熱交換器の継続使用によりフィン上で結露
し流下する水によって高分子化合物が徐々に溶け出し、
あるいは乾燥運転する際における空気中の油分の付着に
よって水はじきを起こす様になり、高親水性を長期間維
持できなくなることがある。
【0007】この様に、使用する親水性高分子化合物の
種類によって皮膜の親水性持続性に差が生じる理由は、
理論的に解明されている訳ではなく試行錯誤の域をで
ず、現状では種々の親水性高分子化合物を用いて実際に
Al合金板表面に皮膜を形成し、該皮膜の初期親水性お
よび長期使用時における親水性持続性能をその都度確認
したうえで、高分子化合物の種類を選定しているのが実
状である。
【0008】しかしながら、無数に存在する高分子化合
物の全てについて親水性や長期的親水性持続効果を実験
によって確認することは殆ど不可能であり、Al合金製
フィン材への親水性表面皮膜構成材としての高分子化合
物の親水性持続性能を簡単な評価法、あるいは用いる高
分子化合物に特有の指標から簡単に割り出すことができ
れば、親水性高分子化合物の選択基準が明確となり、予
備的な実用化試験を要することなく安定して高性能の親
水性皮膜形成Al合フィン材を提供し得るものと考えら
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、Al
合金製フィン材用の親水性付与皮膜形成材としての高分
子化合物の適性評価法を確立し、それにより、結露運転
と乾燥運転を長期間繰り返した場合でも、優れた水濡れ
性を確実に持続し得る様な親水性皮膜の形成されたAl
合金製フィン材を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るAlまたはAl合金製フィン材の
構成は、高分子化合物を必須成分とする樹脂系皮膜が形
成されたAlまたはAl合金製フィン材において、高分
子化合物として、下記(1)式によって求められる水1
分子当たりとの相互作用エネルギー(ΔE0 )が1.0
Kcal/mol以上であるものを選択して使用したも
のであるところに要旨を有するものである。 ΔE0 =(EW +EP −EW-P )/NH2O ……(1) 式中、EW は水分子の集合体単独のエネルギー EP は高分子化合物モデル分子単独のエネルギー EW-P は水和した高分子化合物モデル分子のエネルギー NH2O は水和した水分子の数 を夫々表わす。
【0011】上記相互作用エネルギーを有する高分子化
合物として特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸また
はビニルアルコールを重合単位として含む重合体、セル
ロース系化合物もしくはそれらの混合物であり、該高分
子化合物含有樹脂系皮膜としては、金属キレート架橋剤
や界面活性剤を含有するものが好ましく、また該高分子
化合物含有樹脂系皮膜の下地層として耐食性皮膜が形成
されたものは、耐食性の向上とも相まって優れた耐久性
を有するものとなる。
【0012】
【作用】上記の様に本発明では、有機質高分子化合物を
主成分とする皮膜の親水性を生かして皮膜の水濡れ性を
高めるものであり、ここで使用される高分子化合物の親
水性の良否は、水滴を皮膜表面に垂らしたときにおける
水滴の盛り上がり角度(水との接触角)によってある程
度評価することができ、フィン材表面に形成される親水
性皮膜の親水性は、該水との接触角が小さいものほど良
好であるといえる。しかしながら、市販されている無数
の高分子化合物の水との接触角を測定し、フィン材表面
に形成される親水性皮膜構成材としての適性を評価する
には多大な労力を必要とし、実用に即した評価法とはい
えない。
【0013】そこで本発明者等は、高分子化合物が本来
有している諸特性の中から、フィン材用皮膜構成材とし
て要求される親水性を簡便、迅速且つ正確に評価するこ
とのできる方法について様々の角度から研究を行なった
結果、分子力学法に基づく計算により前記(1)式によ
って求められる各種高分子化合物の水1分子当たりとの
相互作用エネルギーの値が、皮膜としての親水性の良否
を正確に反映することを知り、ここに本発明の完成を見
た。
【0014】前記(1)式において、Ew 、Ep 、E
w-p は、それぞれ分子を構成する原子種とその座標を使
用し、下記式(2)で示されるポテンシャル関数(E)
によって計算される。 E=Eb +Eθ+Eφ+Ei +Evdw +Eel+Ehb……(2) Eb =1/2Kb(r-r0)2 Eθ=1/2Kθ( θ- θ0)2 Eφ=1/2Kφ[1+d・cos(nφ)] Ei =1/2 (cosω-cosω0)2vdw =D0[(R0/R)12-2(R/R0)6] Eel=332.0637QiQj/Rijhb=D0[(R0/R)12-2(R/R0)10]
【0015】尚、上記式においてr,θ,φ,ω,R,
ijは、それぞれの原子間距離や結合角など、原子座標
によって決まる変数であり、またKb ,ro ,Kθ,θ
0 ,Kφ,d,n,ω0 ,D0 ,R0 は、原子種毎に決
まるパラメータ、Qi ,Qjは各原子の電荷である。原
子種毎に決まるパラメータは、文献「Mayo, S.L., Olaf
son, B.D., GoddardIII, W.A., J. Phys. Chem., 1990,
94, 8897-8909」に記載されている。
【0016】即ち、まずポリマー分子のモデルを、モノ
マー分子モデル10〜20個を直線状に連結させて作成
する。このポリマー分子モデルの回りの空間、即ちポリ
マー分子表面から2.8〜5.6Åの間に水分子を配置
することにより、水和したポリマーモデル分子を作成す
る。これらの分子構造を基に、前記式(2)により分子
のエネルギーを求めながら、原子座標を変えて、式
(2)の値が極小になる分子構造(安定化構造I)を求
める(構造最適化計算)。この安定化構造のエネルギー
をEw-p とする。次に、該安定化構造Iからポリマー分
子モデルを取り除き、水分子のみが残った状態で前記式
(2)によりエネルギーを求め、Ew とする。一方、安
定化構造Iから水分子を取り除き、ポリマー分子モデル
のみが残った状態で式(2)によってエネルギーを求
め、Ep とする。
【0017】かくして求められるEW ,EP ,EW-P
り(EW +EP −EW-P )を求めると、水分子集合体と
ポリマーモデル分子間の相互作用エネルギー(ΔE)を
求めることができ、これを水分子の数で割ると、当該ポ
リマー分子の水1分子当たりとの相互作用エネルギー
(ΔE0 )を求めることができる。
【0018】そして、後述する実施例からも明らかであ
る様に、該相互作用エネルギー(ΔE0 )が1.0Kc
al/mol以上、より好ましくは1.5Kcal/m
ol以上である高分子化合物を親水性皮膜の主成分とし
て選択使用すれば、Al合金性フィン材に対し初期親水
性はもとより、長期親水性においても安定して非常に優
れた性能を持続する親水化皮膜を形成し得ることが確認
された。
【0019】本発明において親水性皮膜の主成分として
選択される高分子化合物の選択基準は、上記の様に水1
分子当たりとの相互作用エネルギーであるが、その選択
に当たっては、Al合金基板に対する密着性や成形性も
加味して可撓性の優れた皮膜を形成し得るものを選択す
るのが良く、好ましい具体例としては、例えばポリ(メ
タ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金
属塩、ポリ(メタ)アクリル酸とポリ酢酸ビニルとの共
重合体、ポリ(メタ)アクリル酸とポリビニルアルコー
ルとの共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸とセルロース
との共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸とデンプンとの
共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)
アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、(メタ)ア
クリル酸とポリアミドとの共重合体、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、セルロース系樹
脂(ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース等の水溶性セルロース)
等が例示され、これらは、単独重合体もしくは共重合
体、あるいは2種以上の混合物として用いることができ
る。
【0020】上記の様な親水性の高分子化合物は、それ
自身で親水化皮膜構成材として使用することにより優れ
た水濡れ性を発揮する皮膜を形成するが、これら高分子
化合物と共に適量の架橋剤を併用すると、その特性、殊
に親水持続性を更に高めることができるので好ましい。
即ち、この皮膜には、初期親水性に加えて親水性の耐久
度、つまり長期親水持続性を有することが極めて重要で
あり、長期親水持続性を備えた皮膜を得るには、親水性
皮膜と基材との間の長期密着性を高めるのが有効であ
る。その為には、前記高分子化合物の分子量を大きくし
てフィン材表面からの凝縮水による同伴・流出を抑制
し、また、親水性皮膜と基材、あるいは必要により下地
被覆層として形成される耐食皮膜との結合による密着性
を高めることが有効であるが、こうした皮膜構成材の分
子量増大あるいは基材や下地との密着性増進という観点
から、皮膜中に適量の架橋剤を添加することは極めて有
効である。
【0021】ここで使用される架橋剤としては、Ti、
Zr、Al、Zn等のキレートやアイオノマー形成性金
属を含有する金属塩や金属錯体、あるいは有機配位性化
合物として知られたアルコキシド化合物等が例示され、
これらも単独で使用し得るほか必要により2種以上を併
用することが可能である。これら架橋剤は、前記水溶性
もしくは水分散性の高分子化合物と架橋反応もしくは配
位結合を起こし、皮膜構成樹脂の分子量を増加させるこ
とによって、前述の如く親水持続性を高めると共に下地
皮膜との密着性を一段と高める作用を発揮する。
【0022】また本発明においては、更に他の添加剤と
して界面活性剤を添加することが有効である。即ち界面
活性剤は、主に初期親水性を向上させると共に、フィン
状に成形加工する際に塗布されるプレス油の吸着による
親水性の悪化を防止する機能を果たすものであり、従っ
て、フィン材として使用したときの初期親水性を高め、
且つフィン上に凝縮した水と共に流出する際にプレス油
等を同伴流出させ得るものであればその種類には一切制
限がなく、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性
のいずれの界面活性剤を使用してもよい。代表的なもの
としては、アニオン系としてはアルキルスルホン酸エス
テル塩やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
硫酸塩等、ノニオン系としてはポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテルやポリオキシエチレン/ポリオキ
シプロピレン共重合体脂肪酸エステル等、カチオン系と
してはアルキルアミン塩やアルキルメチルトリメチルア
ンモニウムクロリド等、両性としてはアルキルアミノプ
ロピオン酸塩やアルキルジメチルベタイン等が例示され
る。
【0023】上記架橋剤や界面活性剤の配合比率は特に
限定されないが、好ましいのは、固形分が1〜20重量
%である親水化皮膜形成剤(塗工液)中に占める各成分
の重量比率が、親水性高分子化合物100重量部に対
し、架橋剤は3〜100重量部、より好ましくは10〜
70重量部、界面活性剤は1〜20重量部、より好まし
くは3〜10重量部の範囲である。また、該塗工液には
必要により更に他の成分として防黴剤、抗菌剤、消臭剤
等を、フィン材の腐食や不快臭の発生防止を目的とし
て、親水性や親水持続性を阻害しない範囲で添加するこ
とも有効である。
【0024】本発明に係るAl合金製フィン材は、Al
合金製フィン素材の表面に前記した様な親水性高分子化
合物主体の樹脂塗工液を浸漬法、塗布法等任意の方法で
塗布し、通常150〜230℃程度で加熱処理して皮膜
形成することにより得ることができる。皮膜の厚さは、
熱交換器としての使用条件等によっても異なるが、一般
的なのは乾燥膜厚で0.5〜5μm程度、好ましくは
0.5〜2μm程度である。尚Al合金素材は、任意長
さの平板状のものであってもよいが、生産性を考慮する
とコイル状に巻かれた長尺物を用いて連続的に処理およ
び加工するのが好ましい。このとき、Al合金素材の表
面に予め耐食性を有する下地層として、クロメート皮
膜、有機樹脂皮膜、クロム化合物含有有機皮膜等を形成
しておけば、耐食性と親水性を兼ね備えたフィン材を得
ることができるので好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下
記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記
の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施する
ことも可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲
に含まれる。
【0026】実施例 Al合金材として0.1t ×100w ×200l mmの
JIS−A−1100H204を使用し、該Al合金板
を常法に従って脱脂・洗浄して用いた。該Al合金板を
そのまま、もしくは第1層として下地処理層を形成し、
その上に表2、3に示す種々の親水性高分子化合物主体
の親水処理剤を塗布し、200℃で30秒間加熱乾燥し
て厚さ1μmの親水性皮膜を形成し、実施例1〜25の
試験片を得た。尚、用いた高分子化合物の水1分子当た
りとの相互作用エネルギーは表1に示す通りである。
【0027】得られた各試験片について、各種性能評価
試験を行ない、熱交換器用フィン材としての有用性を評
価した。また、上記と同様に脱脂、洗浄したアルミニウ
ム板の表面に、第1層の下地処理層を設けた後、上記と
同様にして表4に示す構成の表面被覆を形成し、比較例
1〜10の試験片を得、同様に熱交換器用フィン材とし
ての有用性を評価した。
【0028】尚、各試験片は、プレス油塗布(プレス油
粘度9.0cSt/40℃)→加熱乾燥(180℃×7
min)→水没(24Hr)→乾燥(180℃×7mi
n)→親水持続性評価の順に実施し、親水持続性の評価
は、流水(流水5リットル/Hr×8Hr)→加熱乾燥
(80℃×16Hr)のサイクルを8サイクル繰り返し
た後の親水性によって評価した。また、親水性は水を噴
霧した後の水はじき状態により、耐食性は塩水噴霧試験
10日後における表面状態により、また成形性評価はバ
ーニング加工を施したときの屈曲部における割れ発生の
有無によって夫々評価した。
【0029】結果を表2〜4に示す。尚、表2〜4にお
ける皮膜構成成分の欄に示した符号の意味は次の通りで
ある。 第1層処理欄 a:リン酸クロメート皮膜 b:アクリル樹脂皮膜 c:エポキシ樹脂皮膜 d:アクリルメラミン樹脂皮膜 e:無処理 架橋剤欄 イ:炭酸ジルコニウムアンモン ロ:ジヒドロキシビス(ラクタル)チタンジアンモニウ
ム塩 ハ:炭酸亜鉛 ニ:エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピ
レート 界面活性剤欄 1:ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル 2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3:ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合
体 4:マレイン酸変成ポリオキシエチレン
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】表2,3からも明らかである様に、水1分
子当たりとの相互作用エネルギーが1.0Kcal/m
ol以上である高分子化合物を主成分とする耐水性皮膜
の形成された本発明のフィン材は、優れた成形性や耐食
性に加えて、何れも優れた親水性持続性を有しているの
に対し、表4に示す如く相互作用エネルギーが1.0K
cal/mol未満である高分子化合物主体の皮膜を形
成した比較例では、何れも親水持続性が非常に悪く、熱
交換器の長期連続運転に耐え得るものでないことが分か
る。
【0035】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、親
水性樹脂皮膜を構成する高分子化合物の選択基準とし
て、水1分子当たりとの相互作用エネルギーを取り入れ
ることにより、安定して確実に優れた親水持続性を示す
皮膜を形成することができ、ひいては長期間連続運転を
行なった場合でも、結露水の滞留などによる圧損や熱交
換効率の低下を生じることのない高性能のAl合金製フ
ィン材を提供し得ることになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 直也 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 昭64−38228(JP,A) 特開 平1−249863(JP,A) 特開 平2−103133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/00 - 7/26 F28F 13/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子化合物を必須成分とする樹脂系皮
    膜が形成されたAlまたはAl合金製フィン材におい
    て、高分子化合物として、下記式によって求められる水
    1分子当たりとの相互作用エネルギー(ΔE0 )が1.
    0Kcal/mol以上であるものを選択して使用した
    ものであることを特徴とする親水性に優れたAlまたは
    Al合金製フィン材。 ΔE0 =(EW +EP −EW-P )/NH2O 式中、EW は水分子の集合体単独のエネルギー EP は高分子化合物モデル分子単独のエネルギー EW-P は水和した高分子化合物モデル分子のエネルギー NH2O は水和した水分子の数 を夫々表わす。
  2. 【請求項2】 高分子化合物が、(メタ)アクリル酸ま
    たはビニルアルコールを重合単位として含む重合体、セ
    ルロース系化合物もしくはそれらの混合物である請求項
    1に記載のフィン材。
  3. 【請求項3】 高分子化合物含有樹脂系皮膜が、金属キ
    レート架橋剤を含むものである請求項1または2に記載
    のフィン材。
  4. 【請求項4】 高分子化合物含有樹脂系皮膜が、界面活
    性剤を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記
    載のフィン材。
  5. 【請求項5】 高分子化合物含有樹脂系皮膜の下地層と
    して、耐食性皮膜が形成されたものである請求項1〜4
    のいずれかに記載のフィン材。
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