JP3138241B2 - 流出油の可搬式拡散および接岸防止装置 - Google Patents

流出油の可搬式拡散および接岸防止装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶等から海上に
流出した油の拡散および接岸を防止する装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、港湾内で発生した流出油の拡散防
止については、オイルフェンスを曳航展張する作業船の
乗組員が油流出海域において油流出海面をオイルフェン
スで包囲して展張する作業により行っている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、外海又は外洋
上において油流出事故が発生した場合には、港湾に比
し、潮流が激しいとともに波浪が荒く、特に荒天時に
は、作業船の作業が危険であるばかりでなく、作業船の
転覆事故等のおそれもあり、オイルフェンスの展張包囲
作業は極めて困難であって、有効な拡散防止対策が実施
できないのが現状である。
【０００４】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、オイ
ルフェンス、流出油吸引ノズル、流出油回収ホースを備
えたオイルフェンス格納ロボット船と前記格納オイルフ
ェンスの両端部を夫々結着してオイルフェンスを流出油
拡散海域に展張する一対のオイルフェンス展張ロボット
船とを互いに離脱自在に嵌合して可搬容易なブロック体
に組立て、前記オイルフェンス格納ロボット船とオイル
フェンス展張ロボット船の夫々の船底に、無線操縦で夫
々独立して作動制御される旋回可能な操向推進機を取付
けることにより、前記課題を解決した。
【０００５】
【作用】タンカー、或いは船舶又は、航空機に１ブロッ
クとして搭載され、流出油拡散海域までブロック体とし
て搬送されたオイルフェンス格納ロボット船およびオイ
ルフェンス展張ロボット船からなる組立てブロック体
は、タンカー、船舶又は航空機に搭載されて流出油拡散
海域の近傍の海上に投下される。そして、投下された一
対のオイルフェンス展張ロボット船は、無線操縦で遠隔
操作された夫々の操向推進機の独立制御作動により、オ
イルフェンス格納ロボット船より離脱して、格納された
オイルフェンスの夫々の端部を曳航し、オイルフェンス
格納ロボット船よりオイルフェンスを引き出し、一対の
オイルフェンス展張ロボット船の協動作業により、オイ
ルフェンスを曳航展張して流出油拡散海域を包囲し、流
出油の拡散を防止するとともに、オイルフェンスによる
包囲網を縮小することにより、拡散海域を減少させる。
次いで、流出油回収母船の到着を待って、オイルフェン
ス格納ロボット船は、搭載した流出油吸引ノズルをオイ
ルフェンスによって包囲された流出油拡散海域の流出油
内に投入し、前記流出油吸引ノズルに接続された流出油
回収ホースを前記流出油回収母船の流出油回収装置に接
続することにより、流出油を回収する。また、流出油回
収母船が到着するまでの間は、オイルフェンス格納ロボ
ット船、および一対のオイルフェンス展張ロボット船の
操向推進機を夫々独立して無線操縦することにより、オ
イルフェンスに包囲された流出油が接岸しないように沖
に向って移動させる。
【０００６】
【実施例】図１は、本発明のオイルフェンス格納ロボッ
ト船１０と一対のオイルフウエンス展張ロボット船２０
および３０が互いに離脱自在に組合わされたブロック体
の斜視図であって、オイルフェンス格納ロボット船（以
下、単に、「格納船」という）１０内には、長尺のオイ
ルフェンス４０，４１（図３参照）が操出しロールに巻
回格納されている。
【０００７】また、格納船１０には、先端に流出油吸引
ノズル１１を有する流出油吸引管１２が傾動可能に取付
けられ、該流出油吸引管１２は格納船１０に積載された
流出油回収ホース１３に接続し、該流出油回収ホース１
３は図示しない流出油回収母船の流出油回収装置に接続
可能になっている。
【０００８】そして、一対のオイルフェンス展張ロボッ
ト船（以下、単に、「展張船」という）２０および３０
には、格納船１０内に格納された一対のオイルフェンス
４０，４１（図３参照）の両端が夫々結着され、また、
展張船２０および３０の夫々の外側面には、格納船１０
の両外側面に突設した一対の抱持板１４Ａ，１４Ｂの夫
々の前端および上下側端を挿脱自在に案内する溝板２
１，２２Ａ，２２Ｂおよび図２に示す３１，３２Ａ，３
２Ｂが設けられ、該一対の抱持板１４Ａ，１４Ｂを溝板
２１，２２Ａ，２２Ｂに挿入することにより、格納船１
０と一対の展張船２０，３０は、１つのブロック体に組
合わされている。なお、上記溝板２１，２２Ａ，２２Ｂ
および３１，３２Ａ，３２Ｂは一体の袋状溝板としても
差支えない。
【０００９】図２は、図１の底面図であって、格納船１
０、展張船２０および３０の夫々の船底には船外機とし
て旋回可能なスクリュー１５Ａ，１５Ｂ，２３および３
３が取付けられ、これらのスクリューは格納船１０、展
張船２０、および３０の船上に夫々立設した受信アンテ
ナ１６，２４および３４で受信した無線信号によって遠
隔操縦され、夫々旋回角度を所望に制御され、格納船１
０、展張船２０および３０の夫々を独立して所望の方向
に航行させるものである。
【００１０】また、格納船１０、展張船２０および３０
の船底に突設した夫々一対の方向板１７Ａ，１７Ｂ，２
５Ａ，２５Ｂ，３５Ａ，３５Ｂは船の蛇行を防止するも
のである。なお、展張船２０および３０の方向板２５
Ａ，２５Ｂ，３５Ａ，３５Ｂには窓穴２６，３６が夫々
貫設され、展張船２０および３０の旋回航行半径を小さ
くすることを可能にするものであって、流出油拡散海域
を縮減するのに役立つものである。
【００１１】図３は、夫々独立して航行する一対の展張
船２０および３０が格納船１０から離脱航行してオイル
フェンス４０，４１を格納船１０内より引き出し、流出
油拡散海域を包囲する方向にスクリュー２３，３３によ
って推進される説明図である。図４は、展張船２０およ
び３０が無線による遠隔操縦によって流出油の流出油拡
散海域Ａをオイルフェンス４０，４１で包囲する方向に
オイルフェンス４０，４１を曳航展張している説明図で
ある。図５は、オイルフェンス４０，４１による流出油
拡散海域Ａの包囲作業を完了し、図示しない流出油回収
母船が到着して、回収ホース１３が該流出油回収母船の
流出油回収装置に接続され格納船１０の流出油吸引管１
２が傾動してその先端の吸引ノズル１１でオイルフェン
ス４０，４１で包囲された海域Ａの流出油を吸引回収し
ている説明図である。
【００１２】図６は、タンカーＴに搭載された格納船１
０と一対の展張船２０および３０のブロック体（仮想線
で示す）が、タンカーＴから流出した流出油Ｏの流出油
拡散海域Ａに投下され、格納船１０から離脱した一対の
展張船２０および３０がタンカーＴからの無線による遠
隔操縦によって航行し、流出油拡散海域Ａをオイルフェ
ンス４０，４１で包囲した説明図である。
【００１３】オイルフェンス４０，４１は、図３に示す
如く、夫々浮体４０Ａ，４１Ａに重錘によって海中に垂
設されたスカート部４０Ｂ，４１Ｂを有し、該スカート
部４０Ｂ，４１Ｂは、海面に浮遊した流出油ばかりでな
く、海水との比重差によって海中に浮遊した流出油に対
しても漏出しない十分な高さを有している。
【００１４】また、流出油拡散海域が海岸に近い場合に
は、流出油回収母船の現地到着までの間、流出油が潮
流、波浪によって接岸或いは海岸に接近移動しないよう
に、流出油拡散海域Ａの流出油をオイルフェンス４０，
４１で包囲した状態で、格納船１０、展張船２０および
３０の夫々のスクリューを遠隔操縦してオイルフェンス
４０，４１を海岸より遠ざかる方向に移動させることが
できる。
【００１５】
【発明の効果】本発明は、格納船と一対の展張船を離脱
自在なブロック体に組み合わせて搭載可搬を容易にした
ので、タンカー、船舶又は航空機に搭載して流出油拡散
海域にすみやかに搬送し投下することができる。また、
格納船および一対の展張船は、無線信号による遠隔操縦
によって夫々独立して操向推進作動するスクリューを有
した無人のロボット船であるから、港湾内に限らず、波
浪、潮流の激しい外海および荒天時の海上に流出油拡散
海域が発生した場合であっても、このロボット船によっ
てオイルフェンスによる流出油拡散海域の包囲網を展張
することができるので、流出油拡散防止作業がきわめて
安全且つ確実に遂行できる。そして、格納船は、流出油
吸引ノズルと流出油回収ホースとを有しているので、オ
イルフェンスで包囲された流出油を吸引ノズルで吸引し
ながら流出油回収ホースを介して、流出油回収母船に回
収させることができる。さらに、流出油拡散海域を包囲
したオイルフェンスを格納船および一対の展張船の遠隔
操縦による協働作業により移動させることができるの
で、海岸に近い海域で流出油拡散事故が発生しても、流
出油が海岸に近づかないように流出油拡散海域の流出油
を沖の方向へ移動させることができるから、流出油によ
る海岸汚染を未然に防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のオイルフェンス格納ロボット船と
一対のオイルフェンス展張ロボット船のブロック体。
【図２】 図１のブロック体底面図。
【図３】 図１のブロック体のオイルフェンス展張船
ロボットがオイルフェンス格納ロボット船より離脱した
説明図。
【図４】 本発明の作用説明図。
【図５】 流出油拡散海域がオイルフェンスで包囲さ
れた説明図。
【図６】 タンカーによる本発明の実施例を示す説明
図。
【符号の説明】
１０ ・・・ オイルフェンス格納ロボット船 ２０，３０ ・・・ オイルフェンス展張ロボット船 １１ ・・・ 流出油吸引ノズル １２ ・・・ 流出油吸引管 １３ ・・・ 流出油回収ホース １５Ａ，１５Ｂ，２３，３３ ・・・ 操向推進スクリ
ュー １６，２４，３４ ・・・ 受信アンテナ ４０，４１ ・・・ オイルフェンス Ａ ・・・ 流出油拡散海域

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 オイルフェンス、流出油吸引ノズル、流
    出油回収ホースを備えたオイルフェンス格納ロボット船
    と前記格納オイルフェンスの両端部を夫々結着してオイ
    ルフェンスを流出油拡散海域に展張する一対のオイルフ
    ェンス展張ロボット船とを互いに離脱自在に組合わせて
    可搬容易なブロック体とし、前記オイルフェンス格納ロ
    ボット船ならびにオイルフェンス展張ロボット船の夫々
    の船底に無線操縦で夫々独立して作動制御される旋回可
    能な操向推進機を取付けたことを特徴とする流出油の可
    搬式拡散および接岸防止装置。
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