JP3138070B2 - モノフィラメント - Google Patents
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Description
するものであり、詳しくは、ポリアミド樹脂製のモノフ
ィラメントであって、紡糸時の溶融熱安定性に優れて糸
切れが少なく、且つ、湿熱処理による強度低下の少ない
モノフィラメントに関するものである。
耐熱性と機械的特性に優れ、しかも、極めて強靭である
ことから、漁網、魚釣り用テグス、ガット、各種ロープ
類、歯ブラシの毛などに広く使用されている。これらの
中でも、その強靭性故に、漁網用途には盛んに使用され
ている。
際、ポリアミド樹脂の溶融熱安定性が不良の場合は、溶
融熱加工時に劣化してモノフィラメントの強度が低下
し、また、ゲル状物や分解物が生成して糸切れを生じ
る。更にまた、ダイス出口において、樹脂劣化物や分解
生成した低分子量物が堆積してメヤニと称される付着物
が発生する。そして、メヤニがモノフィラメントに接し
たり付着した場合、モノフィラメントの糸切れが起こ
る。従って、メヤニが発生した場合は、紡糸を中止して
ダイスの掃除を行なう必要があり、生産効率が大幅に低
下する。
ば、物理的方法として、ダイス内部の磨きを強化したり
メッキを施す方法、ポリアミド樹脂にメヤニ改良剤とし
て酸化マグネシウム等を配合する方法(特開昭53−6
618号公報)が提案されている。しかしながら、前者
の物理的方法は、ダイスの細部まで磨いたりメッキした
りすることが困難であり、また、効果が不十分である。
後者のメヤニ改良剤を配合する方法は、得られるモノフ
ィラメントの透明性や強度の低下を招く欠点がある。
ラメントは、湿熱処理により強度低下を生じ易い。モノ
フィラメントを編網して得られる漁網の場合、編網後、
スチームセット工程で120℃前後での湿熱処理が施さ
れるが、スチームセット工程での結節強度低下は、得ら
れる漁網の強度に大きく影響する。こうした強度低下を
防ぐ方法として、例えば、特定のポリアミド共重合樹脂
に特定の酸化防止剤を配合する方法(特願平2−100
751号公報)が提案されているが、適用される樹脂に
限定があり一般的ではない。
鑑みなされたものであり、その目的は、ポリアミド樹脂
製のモノフィラメントであって、その紡糸時の溶融熱安
定性に優れて糸切れが少なく、且つ、湿熱処理による強
度低下の少ないモノフィラメントを提供することにあ
る。
は、末端カルボキシル基の数〔A〕(μeq/ポリマー
1g)と末端アミノ基の数〔B〕(μeq/ポリマー1
g)とが〔B〕>(〔A〕+5)の条件を満足するポリ
アミド樹脂より成ることを特徴とするモノフィラメント
に存する。
は、特定の末端基比率を有するポリアミド樹脂がモノフ
ィラメント原料として優れ且つ湿熱処理による強度低下
の少ないとの知見に基づいて完成されたものである。本
発明においては、末端カルボキシル基の数(含有量)
〔A〕(μeq/ポリマー1g)と末端アミノ基の数
(含有量)〔B〕(μeq/ポリマー1g)とが〔B〕
>(〔A〕+5)の条件、好ましくは、〔B〕>
(〔A〕+10)の条件を満足するポリアミド樹脂を使
用する。そして、カルボキシル基の数は、好ましくは5
0(μeq/ポリマー1g)以下、更に好ましくは20
(μeq/ポリマー1g)以下である。
た場合は、モノフィラメント紡糸時の溶融熱安定性が悪
いため、糸切れを生じたり、ダイス部のメヤニの発生量
が多くなったりして安定した生産が困難になる。なお、
末端カルボキシル基の数は、ポリアミド樹脂をベンジル
アルコールに溶解し、0.1Nの苛性ソーダで滴定して
測定することが出来、また、末端アミノ基の数は、ポリ
アミド樹脂をフェノールに溶解し、0.05Nの塩酸で
滴定して測定することが出来る。
の末端アミノ基の数が末端カルボキシル基の数より大き
くなるようにポリアミド原料を調整して製造することが
出来る。3員環以上のラクタム類やω−アミノ酸類を原
料とする場合は、ジアミンの共存下で重縮合を行い、二
塩基酸とジアミンを原料とする場合は、ジアミンを過剰
量にして重縮合を行う。ジアミンの使用量は、ラクタム
類やω−アミノ酸類を原料とする場合、これらのポリア
ミド原料に対し、アミノ基の数として0.6〜20me
q/モル、好ましくは0.8〜18meq/モルであ
る。二塩基酸を原料とする場合、二塩基酸に対するジア
ミンの過剰量が上記の量となるように調整する。
プロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、
ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等
が挙げられる。ω−アミノ酸類としては、具体的には、
6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−ア
ミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などが挙げら
れる。
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ
オン酸、トデカンジオン酸、トリデカジオン酸、テトラ
デカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオ
ン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エ
イコサンジオン酸、エンコセンジオン酸、ドコサンジオ
ン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸などの脂肪族
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、キシリレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸
が挙げられる。
ジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ヘプタトチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,
4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロ
ヘキサンジアミン、ビス−(4,4′−アミノシクロヘ
キシル)メタン、メタキシリレンジアミン等が挙げられ
る。
ントの熱的、機械的特性の観点から、特に、ナイロン6
樹脂、ナイロン6/66共重合樹脂が好適に使用され
る。更に、ナイロン6樹脂の場合には、ヘキサメチレン
ジアミンを過剰に、ナイロン6/66共重合樹脂の場合
には、ヘキサメチレンジアミンを過剰に、それぞれ重合
時に添加して、末端カルボキシル基と末端アミノ基との
数を調整することが特に好ましい。
下、0.5時間以上、通常は1〜2時間、前記のポリア
ミド原料を重縮合させて製造することが出来る。ポリア
ミド樹脂の相対粘度(ηrel )は、JIS K6810
に従い、98%硫酸中で濃度1%、温度25℃の条件で
測定した値として、2〜6、好ましくは、2〜5の範囲
とするのがよい。相対粘度が余りにも小さい場合は、得
られるモノフィラメントの機械的特性が不十分であり、
相対粘度が余りにも大きい場合は、紡糸が困難になる傾
向がある。
有するポリアミド樹脂が好適に使用される。斯かるポリ
アミド樹脂は、湿熱処理による強度低下が一層少なく、
且つ、透明性性が良好である。ビスアミド化合物は、下
記の化学式[化1]で表される化合物であり、式中、R
1 は2価の炭化水素残基、R2 及びR3 は1価の炭化水
素残基、R4 及びR5は水素原子または1価の炭化水素
残基を示す。
は、ジアミンと脂肪酸との反応によって得られ、代表的
には、アルキレンビス脂肪酸アミド、アリーレンビス脂
肪酸アミド等が挙げられる。原料のジアミンとしては、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、
フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等のアリ−レ
ンジアミン、キシリレンジアミン等のアリーレンアルキ
ルジアミンが挙げられる。原料の脂肪酸としては、ステ
アリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベ
ヘニン酸、オレイン酸、エライジン酸、モンタン酸など
が挙げられる。上記の(I)で表されるビスアミド化合
物としては、特に、N,N′−メチレンビスステアリン
酸アミド及びN,N′−エチレンビスステアリン酸アミ
ドが好ましい。
は、モノアミンとジカルボン酸との反応によって得ら
れ、代表的には、N,N′−ジオクタデシルテレフタル
酸アミド等のジオクタデシル二塩基酸アミドを挙げるこ
とが出来る。原料のモノアミンとしては、エチルアミ
ン、メチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、デ
シルアミン、ペンタデシルアミン、オクタデシルアミ
ン、ドデシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、ナ
フチルアミン等のアリールアミン、ベンジルアミン等の
アラルキルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロア
ルキルアミンが挙げられる。原料のジカルボン酸として
は、テレフタル酸、p−フェニレンジプロピオン酸、コ
ハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸が挙げられる。
もよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。そ
して、ポリアミド樹脂中の含有量は、ポリアミド樹脂1
00重量部当り、0.01〜1重量部、好ましくは、
0.05〜0.5重量部の範囲とされる。ビスアミド化
合物の含有量0.01重量部より少ない場合は、ビスア
ミド化合物の効果が不十分であり、1重量部より多い場
合は、強度および透明性が低下する。
中に周知の各種の添加剤、例えば、ヒンダードフェノー
ル、リン酸エステルや亜リン酸エステル等の酸化防止
剤、トリアジン系化合物などの耐候性改良剤、顔料、染
料などの着色剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤などを含有
させることも出来る。
法によって製造することが出来る。すなわち、溶融押出
された糸状物を冷却した後、適宜の倍率、例えば3〜8
倍に延伸し、更に、必要に応じて熱固定する。モノフィ
ラメントの直径は、特に制限されず、用途に応じてその
直径が選択される。漁網においては0.01〜2.5m
mの範囲が好適である。本発明のモノフィラメントを用
いた漁網は、周知の方法で製造可能であり、例えば、ダ
ブル又はトリプル結節に編網後、染色し、緊張下または
無緊張下で120℃前後でスチームセットすることによ
り製造される。
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。 参考例〔ポリアミド樹脂(N1〜N5)の製造〕 200リットルのオートクレーブ中に、ε−カプロラク
タム60Kg、水1.2Kg及び表1に示す量のジアミ
ン又はジアミンとカルボン酸を仕込んだ。オートクレー
ブを窒素雰囲気にして密封し、260℃に昇温し、撹拌
しながら2時間加圧下にて反応を行なった後、徐々に放
圧して表1に示す圧力まで減圧し、更に、2時間減圧下
に反応を行なった。その後、オートクレーブ中に窒素を
導入して常圧に復帰後、撹拌を止め、ポリアミド樹脂を
ストランドとして抜き出してチップ化した。次いで、ポ
リアミド樹脂チップを沸水に投入して未反応モノマーを
抽出除去した後、真空乾燥した。ポリアミド樹脂の末端
カルボキシル基の数、末端アミノ基の数および相対粘度
を測定し、その結果を表1に示した。
エチレンビスステアロアミド0.15重量部をドライブ
レンドした後、直径40mmの押出機と16ホールのダ
イスを使用し、樹脂温度240〜260℃で溶融押出を
行なった。得られた糸状物を5℃の冷水で冷却した後、
100℃のスチームで加熱しながら3.8倍に延伸し、
引続き、200℃の熱風の雰囲気下で1.34倍の再延
伸を行なった。更に、200℃雰囲気で2%の弛緩をし
ながら熱固定を行い、1500デニールのモノフィラメ
ントを得た。
する糸切れを測定した。得られたモノフィラメントの機
械的特性をJIS L−1013に従って測定した。ま
た、120℃スチームにて30分間処理したモノフィラ
メントの強度を同様に測定した。更にまた、モノフィラ
メントをトリプル結節に編網し、所定の工程で漁網に仕
上げ、その引掛強度をJIS L−1013に従って測
定した。以上の測定結果を表2に示した。
溶融熱安定性に優れて糸切れが少なく、且つ、湿熱処理
による強度低下の少ないポリアミド樹脂製モノフィラメ
ントが提供される。本発明のポリアミド樹脂製モノフィ
ラメントは、特に、漁網用途に好適である。
Claims (3)
- 【請求項1】 末端カルボキシル基の数〔A〕(μeq
/ポリマー1g)と末端アミノ基の数〔B〕(μeq/
ポリマー1g)とが〔B〕>(〔A〕+5)の条件を満
足するポリアミド樹脂より成ることを特徴とするモノフ
ィラメント。 - 【請求項2】 ポリアミド樹脂が100重量部当り0.
01〜1重量部のビスアミド化合を含有している請求項
1に記載のモノフィラメント。 - 【請求項3】 漁網に使用される請求項1又は2に記載
のモノフィラメント。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016223037A (ja) * | 2015-06-02 | 2016-12-28 | 宇部興産株式会社 | モノフィラメント |
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- 1992-07-10 JP JP04207213A patent/JP3138070B2/ja not_active Expired - Fee Related
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