JP2743520B2 - ポリアミド樹脂組成物及びそれからなるモノフィラメント - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及びそれからなるモノフィラメント

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JP2743520B2 JP1267428A JP26742889A JP2743520B2 JP 2743520 B2 JP2743520 B2 JP 2743520B2 JP 1267428 A JP1267428 A JP 1267428A JP 26742889 A JP26742889 A JP 26742889A JP 2743520 B2 JP2743520 B2 JP 2743520B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、カプロラクタムのオリゴマーを配合したポ
リアミド樹脂組成物及びそれからなるモノフィラメント
に関するものである。
詳しくは、本発明は柔軟性が優れ、成形性の優れたポ
リアミド樹脂組成物及びそれからなるモノフィラメント
を提供するものである。
[従来の技術及び課題] ポリアミドは機械的性質、耐熱性および耐寒性が優れ
ているため、自動車用部品に代表される射出成形品、フ
ィルムまたはモノフィラメントなど広範囲に使用されて
いるが、その用途範囲を広げるため柔軟性を上げること
が望まれている。特に直径の大きいモノフィラメント
(以下、太物モノフィラメントと呼ぶ)においては、束
ね易さや結節の容易さを得るため特に柔軟性を上げるこ
とが求められている。
この様な太物モノフィラメントには共重合ポリアミド
が使用されてきたが、柔軟性及び透明性においては不十
分であった。そこで柔軟性の改良のため、ポリアミドに
対する可塑剤として代表的なカプロラクタムを配合させ
ることが行われてきた(例えば、特開昭64−85315)
が、この場合少量配合しただけでは効果が充分発揮され
ないので10重量%程度の添加が行われている。しかし、
カプロラクタムは潮解性が激しく、ポリアミドペレット
に配合する際に乾燥状態に保持せねばならないので、作
業面で著しく問題があった。さらにカプロラクタムの融
点は60〜70℃と低いため、押出機の熱で溶融し、押出機
への喰い込みが不安定になることがあった。また例えば
250℃もの高い成形温度では激しく揮発し、発煙が起こ
り、しかもその蒸気は人体に有害である。またカプロラ
クタムを10重量%も添加すると太物モノフィラメントの
強度が低下するという問題点もあった。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは上述のようなカプロラクタムを添加した
太物モノフィラメントの製造時に生ずる問題点、即ち紡
糸時の作業性の悪化及び強度低下を改善し、更に、柔軟
性の優れた太物モノフィラメントを提供するべく鋭意検
討した結果、特定のカプロラクタムのオリゴマーを添加
することによりかかる目的が達成されることを見いだし
本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、カプロラク
タム単位を主構成単位とするポリアミド100重量部に、
カプロラクタムのダイマーを50重量%以上含有するカプ
ロラクタムのオリゴマー0.5〜25重量部を配合したポリ
アミド樹脂組成物及びそれからなる直径0.5mm以上のモ
ノフィラメントに存する。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明を構成する基体樹脂であるポリアミドはカプロ
ラクタム単位を主構成単位とする、即ち50重量%以上が
カプロラクタム単位である重合体又は共重合体であり、
共重合成分である他の構成単位としては、3員環以上の
ラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミ
ンなどにより導入されるポリアミド形成単位が挙げられ
る。具体的には、エナントラクタム、7−アミノヘプタ
ン酸、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、11−アミ
ノウンデカン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなど
から導入されるポリアミド形成単位、あるいはヘキサメ
チレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチ
レンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレ
ンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、アジビン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グ
ルタール酸などのジカルボン酸とから得られるポリアミ
ド形成単位が挙げられる。
これらの構成単位からなる重合体の例としては、ナイ
ロン6、6/66、6/12、6/6T、6/6I、6/66/6T、6I/6Tなど
が挙げられる。ポリアミドの選定に当たっては用途に応
じて行う必要があるが、ナイロン6/66、6/12、6/6T等の
カプロラクタムがポリアミド形成単位の主構成単位であ
る共重合ポリアミドは、特に太物モノフィラメントには
好適である。さらにはカプロラクタム単位がポリアミド
形成単位全体の95〜50重量%である共重合ポリアミドが
好ましい。
次に本発明において使用されるカプロラクタムのオリ
ゴマーとしては、カプロラクタムのダイマーが50重量%
以上である必要がある。さらにはカプロラクタムのモノ
マーが25重量%未満のものが、潮解性が少なく、またモ
ノフィラメントの製造時の発煙を抑えることができるの
で好ましい。この様なオリゴマーは、例えばナイロン6
の製造時に発生するオリゴマーの除去工程、すなわち重
合されたナイロン6を熱水にて抽出し、その抽出液を冷
却し、その後遠心分離や濾過などの方法で析出物を回収
し、その析出物を冷水にて洗浄することにより目標のダ
イマー濃度のオリゴマーを得、それを蒸発乾固すること
により本発明に使用可能なオリゴマーを得ることができ
る。この様なオリゴマーはポリアミドに対して0.5〜25
重量部添加、更に好ましくは1.0〜20重量部添加するの
が好ましい。この範囲より少ないと柔軟性改良効果が期
待できないし、多いと強度が低下するので好ましくな
い。またダイマーが50重量%以下のオリゴマーは潮解性
が目立つようになるので好ましくない。またトリマー以
上のオリゴマーが多くなると太物モノフィラメントの透
明性が悪くなるのでトリマー以上のオリゴマーは25重量
%以下が好ましい。
本発明ではポリアミドとオリゴマーからなる組成物
に、更に必要に応じて後記一般式(I)又は(II)で示
されるビスアミド化合物を配合することができる。
本発明で使用されるビスアミド化合物は、下記一般式
(I) または一般式(II) (式中、R1は2価の炭化水素残基、R2およびR3は1価の
炭化水素残基、R4およびR5は水素原子または1価の炭化
水素残基を示す。)で表される化合物である。
上記一般式(I)で表されるビスアミド化合物として
は、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン
などのアルキレンジアミン;キシリレンジアミンなどの
アリーレンジアルキルジアミンなどのジアミンと、ステ
アリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベ
ヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、モンタン酸などの
脂肪酸との反応等によって得られるアルキレンビス脂肪
酸アミド、アリーレンビス脂肪酸アミド、アリーレンジ
アルキレンビス脂肪酸アミドの全てが含まれるが、代表
的なものとしてN,N′−メチレンビスステアリン酸アミ
ド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミドが挙げら
れる。
また、一般式(II)で表されるビスアミド化合物とし
ては、エチルアミン、メチルアミン、ブチルアミン、ヘ
キシルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、オ
クタデシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキルアミ
ン;アニリン、ナフチルアミンなどのアリールアミン;
ベンジルアミンなどのアラルキルアミン;シクロヘキシ
ルアミンなどのシクロアルキルアミン;等のモノアミン
と、テレフタル酸、p−フェニレンジプロピオン酸、コ
ハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸との反応によっ
て得られるもの全てが含まれるが、中でもN,N′−ジオ
クタデシルテレフタル酸アミドのようなジオクタデシル
二塩基酸アミドが代表的なものとして挙げられる。
これらのビスアミド化合物は、一般式(I)、(II)
で表される化合物の別なく単独あるいは混合物として使
用される。
本発明においては冷却を水で行うときビスアミド化合
物の配合による透明性の改良効果が著しい。ビスアミド
の添加量はポリアミド100重量部に対して0.1〜0.5重量
部、特に0.15〜0.4重量部が好ましい。多いとモノフィ
ラメント中に混練不足による白点が発生したり、安定し
た紡糸が困難となる場合があり、少ないと透明性及び柔
軟性の改良効果が小さい。
本発明においては、更に透明性や強度を改善するため
に、基体樹脂である前記ポリアミド樹脂とは異なる特定
の芳香族ポリアミドを配合することができる。
該芳香族ポリアミドは芳香族基を含む繊維形成可能な
ポリアミドであり、具体的には、脂肪族ジアミンとテレ
フタル酸および/またはイソフタル酸とからなる芳香族
ポリアミド形成単位を主構成単位とするもの、好ましく
は該芳香族ポリアミド形成単位85重量%以上からなるホ
モポリマーまたはコポリマーである。該形成単位が100
重量%であるホモポリマーであってもよいが、該形成単
位85重量%以上と、ラクタム単位もしくはジカルボン酸
とジアミンとからなるポリアミド形成単位15重量%以下
とからなるコポリマーであってもよい。上記芳香族ポリ
アミド形成単位においては、テレフタル酸とイソフタル
は任意の割合で使用されるが、好ましくはテレフタル酸
/イソフタル酸=10/90〜50/50(重量比)である。該芳
香族ポリアミド形成単位における脂肪族ジアミンとして
は、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメ
チレンジアミン等及びこれらの化合物のメチレン基がメ
チル化、エチル化またはハロゲン化された誘導体を含む
ものであり、重合に際してはその1種ないし2種以上を
用いることが出来る。
コポリマーの場合に使用しうるラクタムとしてはカプ
ロラクタム、ラウリルラクタム等である。コポリマーに
おけるジアミンとしては、上記脂肪族ジアミン、および
2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)
プロパン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン
等が挙げられる。またジカルボン酸とは、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びに
これらの化合物のメチレン基がメチル化、エチル化また
はハロゲン化された誘導体を含むものである。上記ジア
ミンとジカルボン酸とからなるポリアミド形成成分の形
で重合に使用される。重合に際してはその1種ないし2
種以上を用いることが出来る。
芳香族ポリアミドの配合量としては基体樹脂となるポ
リアミド100重量部に対して0.5〜20重量部更に好ましく
は1〜15重量部である。配合量が少ないと透明性及び強
度改良効果がないし、量が多いと柔軟性が悪化する。
更に本発明の目的達成のために、上記組成物を用い
て、好ましくは以下の製造条件を採用することにより、
好適にモノフィラメントとすることができる。
溶融紡糸は通常の方法及び条件を採用すれば良く、即
ち押出機にてポリアミド樹脂の融点より5〜60℃高い温
度範囲にてノズルから紡糸することにより可能である。
溶融紡糸直後に25℃以下の水で冷却するが、その際の温
度は高すぎると透明性が悪くなるので、1〜15℃温度範
囲が良好である。
ついで1段目の延伸工程にはいるが、本発明の目的、
即ち透明性と柔軟性を両立させる製造条件としては、本
工程の温度が一番重要な点である。即ち、本工程の延伸
温度としては10〜200℃が好ましく、更に好ましくは30
〜100℃である。糸条を一定温度にする媒体としては空
気、温水、蒸気等いずれの媒体でもよいが、温水又は蒸
気を用いて延伸温度30〜100℃にて行なうのが最も好ま
しい。またその際の延伸倍率は2.5〜5.0倍が良好で、高
すぎても低すぎても強度が低下し、安定して延伸するこ
とが困難である。
続いての2段目の延伸条件及びアニーリング条件は通
常のポリアミドモノフィラメントの条件において透明
性、柔軟性を損なわない範囲であれば良く、例えば2段
目の延伸は200〜350℃の加熱空気中で1.1〜2.0倍の延伸
条件、アニーリングは200〜350℃の加熱空気中で0.9〜
1.0倍のリラックス条件を採用すればよい。
かくして本発明によって得られるポリアミドモノフィ
ラメントは、従来技術では得られなかった透明性と柔軟
性の両者ともに優れた太物モノフィラメントであり、特
に直径が0.5mm以上さらに好ましくは1mm以上において有
効であり、漁業用の枝糸、幹糸、ロープ用原糸などの各
種分野に適用が期待される。
他に通常樹脂に配合される添加剤、例えば顔料、熱安
定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤などを本発明の
目的を阻害しない範囲内で使用してもよい。
[実施例] 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本
発明はその主旨を逸脱しない限りこれら実施例により限
定されるものではない。
(オリゴマーの製造) 本発明の実施例において使用されるオリゴマーを製造
例を示す。
200リッターオートクレーブに、カプロラクタム60k
g、水1.2kg(及び酢酸30g)を仕込み窒素雰囲気にした
後密閉して270℃に昇温した。撹拌しながら約2時間加
圧反応させた後、圧力を徐々にパージしゆっくりと減圧
にした。圧力を500torrにした後、約2時間減圧保持
し、窒素ガスにより常圧に復圧後、撹拌を止め抜き出し
チップ化した。
蒸気チップ30kgを60kgの沸水にて2時間抽出し、未反
応モノマー、オリゴマーを3%含む抽出水を得た。
上記抽出水50kgを常圧下、水を留去し3kgまで濃縮
後、室温まで冷却し、析出物を濾過により回収し、冷水
で懸洗を行った。この析出物を60℃、24時間真空乾燥し
て、120gのオリゴマーを得た。この析出物を熱水で溶解
後適当な濃度に希釈し、東ソー(株)製8000シリーズを
用いて高速液体クロマトグラフ法にてナイロン6のオリ
ゴマーの定量を行ったところ、モノマー(カプロラクタ
ム)を17重量%,環状2量体を63重量%含有していた。
他に3〜5量体のものを20重量%含有していた。
(芳香族ポリアミドの製造) 次に芳香族ポリアミドの製造例を示す。
蒸留水53kgにヘキサメチレンジアミン水溶液(80重量
%)13.9kg、イソフタル酸9.8kg、テレフタル酸4.9kgを
加え均一に撹拌溶解し、更に酢酸53gを添加した後オー
トクレーブに仕込む。2.5kg/cm2の加圧に保ちながらナ
イロン塩の濃度が90重量%になるまで水を留出させ、内
温が250℃に達したならば内圧をゆっくりと抜き、最後
は700Torrの減圧で1時間減圧重合を行った後押出しペ
レット化した。この様にして得られたポリマーの相対粘
度は2.2であり、ガラス転移点は127℃であった。
実施例1〜2及び比較例1〜3 ポリアミドとして6/66共重合ナイロン(6/66=80/20;
三菱化成(株)製、商品名;NOVAMID2420)に対し表−1
に示される他の成分をドライブレンド後、230℃の温度
で溶融紡糸し、水温8℃の冷却水で固化した後、引続き
表−1に示す条件で延伸した。それぞれの条件で直径2m
mの延伸モノフィラメントをえた。得られたモノフィラ
メントの透明性、ヤング率を表−1に示す。
ここで、ヤング率及び湿時結節強度はJIS1013に準拠
して測定した値である。ヤング率の値は小さいほど柔軟
性が優れていることを示している。透明性はオプチパワ
ーメーター((株)ソアー製)を用いて測定した値であ
り、数値が小さいほど透明性が良好なことを示してい
る。
なお、オリゴマーを配合した実施例1及び2では3時
間の連続成形でも異常は全く認められなかった。また、
溶融紡糸の際の発煙は認められなかった。
一方、カプロラクタムモノマーを配合した比較例2及
び3では1〜2時間すると押出機への喰い込みが不安定
になった。この原因としてはカプロラクタムが水や押出
機の熱で溶融したためと思われる。また溶融紡糸の際に
発煙が激しく、ダイスの周辺にカプロラクタムが付着し
た。
[発明の効果] 以上のように、本発明の組成物は、連続成形性が良好
で、透明性、柔軟性、強度において優れており、特に結
節強度の優れたポリアミドモノフィラメントに好適であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77:06)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カプロラクタム単位を主構成単位とするポ
    リアミド100重量部に、カプロラクタムのダイマーを50
    重量%以上含有するカプロラクタムのオリゴマー0.5〜2
    5重量部を配合したポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】カプロラクタム単位を主構成単位とするポ
    リアミド100重量部に、カプロラクタムのダイマーを50
    重量%以上含有するカプロラクタムのオリゴマー0.5〜2
    5重量部、及び、脂肪族ジアミンとイソフタル酸および
    /またはテレフタル酸とからなるポリアミド形成単位を
    主構成単位とする芳香族ポリアミド0.5〜20重量部を配
    合してなるポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】特許請求範囲第1項または第2項記載のポ
    リアミド樹脂組成物からなる直径0.5mm以上のモノフィ
    ラメント。
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