JP3135174B2 - 耐食性を改善したr−tm−b系永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

耐食性を改善したr−tm−b系永久磁石及びその製造方法

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JP3135174B2
JP3135174B2 JP04250822A JP25082292A JP3135174B2 JP 3135174 B2 JP3135174 B2 JP 3135174B2 JP 04250822 A JP04250822 A JP 04250822A JP 25082292 A JP25082292 A JP 25082292A JP 3135174 B2 JP3135174 B2 JP 3135174B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、R−TM−B系永久磁
石体の表面に、順次、電解Niめっき、電解Cuめっ
き、電解Niめっきからなる3層めっきを被覆している
とともに耐食性を著しく改善したR−TM−B系永久磁
石及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気・電子機器の高性能・小型化に伴な
って、その一部品たる永久磁石にも同様の要求が強まっ
てきた。すなわち以前の最強の永久磁石は希土類・コバ
ルト(R−Co)系であったが、近年、より強力なR−
TM−B系永久磁石が台頭してきた(特開昭59−46
008号公報)。ここにRはYを含む希土類元素の1種
又は2種以上の組合わせであり、TMはFe,Coを中
心とする遷移金属であり、一部を他の金属元素又は非金
属元素で置換したものも包含する。Bは硼素である。し
かし、R−TM−B系永久磁石は極めて錆やすいという
問題点があった。そのため、耐食性を改善するために、
永久磁石体表面に耐酸化性の保護層を設ける手段がとら
れてきた。保護層の種類としては、電解Niめっき、耐
酸化性樹脂、Alイオンプレーティング等が提案されて
おり、とりわけ電解Niめっきは簡易な処理でR−TM
−B系永久磁石の耐食性を向上するものとして注目され
ている(特開昭60−54406号公報)。電解Niめ
っきは、耐酸化性樹脂と比較して表面保護層の機械的強
度に優れており、また保護層自体の吸湿性がほとんどな
いという長所を有している。しかしながら、電解Niめ
っきによる手法は、めっき電流が磁石体のコーナー部な
どの周辺部に集中しやすいことから周辺部の膜厚が厚く
なり、内穴及び内径部には電流が流れにくいことから内
穴及び内径部の膜厚が薄くなるという傾向を有してい
た。そのため電解Niめっきのままでは十分な膜厚均一
化を図ることができず、特に円筒状の様な異形品に関し
ては内径部にNiめっき層をほとんど被覆することがで
きず問題となっていた。この膜厚均一性の問題を解決す
るため、現在までに電解Niめっき下地めっきとして、
電解Cuめっきを設ける手法が提案されている(特開昭
62−236345,64−42805号公報等)。め
っき浴としては青化Cu浴及びリン酸エステルを主成分
としたアルカリ性有機酸Cu浴が利用でき、これらの浴
はCuの置換作用を有していないことからR−TM−B
系永久磁石表面に直接めっきができるという長所を有し
ている。ここで、置換作用とは、電気化学列が上位にあ
る金属を、その金属より電気化学列が下位にある金属の
塩類溶液中に浸積した際に、浸積した金属が溶解し、そ
の代わりに溶液中の金属がイオンの状態から還元されて
析出し被膜を形成することをいう。例えば、Nd,Fe
よりも電気化学列が上位な金属とは、Cr,18−8ス
テンレス(活性態),Pb,Sn,Ni(活性態),黄
銅,Cu,ブロンズ,Cu−Ni,Ni(不動態),1
8−8ステンレス(不動態),Ag,Cr,Au,Pt
などがあり、適宜、必要に応じて選択されてきた。ま
た、従来から光沢めっきが用いられてきた。ピンホール
が少なく耐食性が良好なためである。ここで、光沢と
は、表面の微視的平滑さのある状態で、表面の光沢を得
るために従来は、光沢剤を残留応力、被膜の硬度等を考
慮しつつ最適なものを選択したり、いわゆる光沢電流密
度で、ゆっくりと電解反応をおこさせていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら電解・無
電解を問わず、従来のCuめっきは空気中で容易に変色
し、表面酸化を発生し易いという欠点を有している。す
なわち、Cuめっき層の上に設けられた電解Niめっき
層は耐食性を維持する上で必要不可欠な被膜となってい
る。しかし青化Cu浴やリン酸エステルを主成分とした
アルカリ性有機酸Cu浴による電解Cuめっきは、その
表面形態が図8に示すように10〜50μmの大きさを
有するほぼ円形の形態を呈するセル構造をとり、かつ図
9に示すように結晶粒径が0.5〜2μmのやや粗雑な
組織を有する膜として形成される。特に図9において
は、左上部から横方向に鋭い亀裂が見られる。なお、写
真の倍率は、図8は500倍、図9は10,000倍で
ある。そのため、前記Cuめっきの上に更にNiめっき
を設けても、図10に示すようにその表面形態が1〜5
μmの表面粗度を有するセル構造をとる膜として形成さ
れる結果、Niめっき膜においてセル構造境界部にピン
ホールが残存してしまい、耐食性の面で問題となってい
た。この場合、ピンホールの悪影響を避けようとすると
膜厚を大きくしなければならないという問題があった。
表面粗度はレーザー顕微鏡により測定することができ
る。例えば、図10はレーザー顕微鏡を用いて図10の
中央線で示される箇所をレーザー光で走査したときの表
面の凹凸を計測した結果である。図10では上部の0μ
mの波線を基準として5.28μmの破線までの間に凹
凸のプロフィール曲線が存在し、レーザー顕微鏡に設け
られた演算器で平均的な深さ(DEPTH:表面粗度)
が表示される。図10の場合には4.72μmである。
そこで本発明の課題は、 R−TM−B系永久磁石体の
表面に、順次、電解Niめっき、電解Cuめっき、電解
Niめっきからなる3層めっきを被覆しているとともに
耐食性を著しく改善したR−TM−B系永久磁石及びそ
の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、R−TM−
B系永久磁石体の表面に、順次、電解Niめっきからな
る第1めっき層を被覆した後、ピロリン酸Cu浴による
電解Cuめっきからなる第2めっき層を被覆し、更にそ
の上に電解Niめっきからなる第3めっき層を被覆する
ことで、前記課題を解決できることを知見した。前記ピ
ロリン酸Cu浴による電解Cuめっき層は、従来のよう
に厚膜にしなくとも5μm程度のめっき厚さでほぼセル
構造の全く存在しない平滑性に優れた面を呈し、かつ図
6(倍率10,000倍)に示すように平均結晶粒径が
0.9μm以下の微細な多結晶膜として形成される。そ
のため、このCuめっき層上に積層される電解Niめっ
き層(第3めっき層)も、図7に示すように表面粗度が
1μm以下の平滑性に優れた膜として形成され、この平
滑性の効果によりNiめっき膜におけるピンホールが激
減するものと考える。前記の通り、表面粗度は、レーザ
ー顕微鏡によって所定の長さ、レーザー光を走査したと
きの表面起伏のピーク・ピーク間の深さであり、通常の
レーザー顕微鏡のDEPTHで表示される数値で測定す
ることができる。前記図10では DEPTH 4.7
2μm であるのに比べて図7では DEPTH 0.
48μm であり極めて表面の粗度が小さい。本発明の
R−TM−B系永久磁石は前記3層めっき構造を有しか
つ第2めっき層としてピロリン酸Cu浴による電解Cu
めっき層を被覆することにより、R−TM−B系永久磁
石の耐食性を顕著に向上するものである。本発明によれ
ば、前記めっき構成を採用した効果によって光沢剤を添
加しなくてもR−TM−B系永久磁石のめっき層表面が
平滑性に富んだ面になる。もっとも、用途によってはメ
ルカプトチアゾール等の光沢剤を用いても良い。前記ピ
ロリン酸Cu浴による電解Cuめっきは、電気伝導性及
び柔軟性・展延性に優れており、膜のつき回り性が良好
であるという特長を有している。ここで、膜のつき回り
性とは、めっきが下地を被覆できる能力を示し、R−T
M−B系焼結型永久磁石体における凹部を有する形状品
の凹部または中空円筒形状品の内径面などの電解めっき
時の電流密度が低くなってしまう部分までめっきが付着
する能力を示す。ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっ
き時の電流密度は1〜5A/dmが良い。また、この
電解Cuめっき膜厚は、好ましくは2〜20μm、より
好ましくは10〜15μmである。
【0005】ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき層
(第2めっき層)を被覆する前に、電解Niめっき層
(第1めっき層)によりR−TM−B系永久磁石体を被
覆する。この処理を行なう理由は、青化Cu浴やリン酸
エステルを主成分としたアルカリ性有機酸Cu浴と異な
り、ピロリン酸Cu浴はCuの置換作用を有しており、
R−TM−B系永久磁石体をピロリン酸Cu浴に直接浸
漬すると、膜厚が非常に薄くかつ密着性が悪いCuの置
換めっき被膜が前記磁石体表面に形成されるためであ
る。よって、第1めっき層として電解Niめっき層を設
けて前記置換めっきの形成を抑えることが前記磁石体と
の密着性を向上するために必要である。第1めっき層を
形成する電解Niめっきの種類としては、ワット浴、ス
ルファミン酸浴、アンモン浴のいずれかが良く、電流密
度は1〜10A/dmが良い。また第1めっき層の膜
厚は0.1〜10μmが好ましい。また、第1めっき層
と前記磁石体表面との密着性が良好であるとは、前記磁
石体の主要構成元素である鉄、希土類元素よりも第1め
っき層のイオン化傾向が低いことが電気化学的な要件で
ある。
【0006】ピロリン酸Cu浴を用いた電解によるCu
めっき層の上にさらに保護層を設けることができる。保
護層としては、電解Niめっき層、無電解Ni−Pめっ
き層、電解Ni合金めっき層のいずれかが有効である。
電解Niめっきの種類としては、ワット浴、スルファミ
ン酸浴、アンモン浴のいずれでも良く、電流密度は1〜
5A/dm2が良い。Niめっき層の膜厚は2〜20μ
m、好ましくは5〜10μmである。また、無電解Ni
−Pめっき層や、Ni−Co,Ni−Fe,Ni−P等
の電解Ni合金めっき層を被覆しても良い。この場合
も、Cuめっき層上の金属保護層の膜厚は2〜20μ
m、好ましくは5〜10μmである。めっき層の総厚と
しては、10〜25μmが適当である。なお、本発明に
おける保護層は、以上以外にメタルクラッド、酸化鉄,
希土類酸化物等の化合物コート等によることもできる。
あるいは、電子線照射によって表面改質してもよい。ま
た、無機材料(ガラス、クロメート、シリカ、窒化・炭
化・ほう化膜、酸化被膜、プラズマ重合膜、タンニン
膜、黒染め、ダイヤモンド被膜、リン酸処理膜)、また
は有機材料(金属粉を混練した樹脂層、金属マトリック
スにガラスを含有したもの、樹脂膜、PPX、カルボン
酸、金属石鹸、アンモニウム塩、アミン、有機ケイ素化
合物、電着塗装)による保護被膜を設けてもよい。
【0007】本発明におけるR−TM−B系永久磁石体
とは、重量比でR(RはYを含む希土類元素の1種又は
2種以上)を5〜40%、B(硼素)を0.2〜8%、
残部TM(TMはFe又はFeとCo)からなる主成分
組成のものであり、更にその添加目的に応じてGa,A
l,Ti,V,Cr,Mn,Zr,Hf,Nb,Ta,
Mo,Ge,Sb,Sn,Bi,Ni他を添加すること
ができる。よって、本発明はいかなるR−TM−B系永
久磁石にも適用できる。また、その製造方法は焼結法、
溶湯急冷法、あるいはそれらの変形法のいずれでも良
い。
【0008】めっき前処理に関しては、加工変質層の除
去及びめっき前活性化を図る上で酸性溶液を用いるのが
良い。硫酸や塩酸等の強酸がめっき前活性化にとって有
効であるが、めっき前処理のR−TM−B系永久磁石体
への悪影響を極力避けるために、2〜10vol%の硝
酸による第1エッチング、その後過酸化水素5〜10v
ol%、酢酸10〜30vol%の混酸による第2エッ
チングが最も望ましい。次いで、第1めっき層(電解N
iめっき層)を前記前処理後の磁石体に被覆する。
【0009】
【実施例】(実施例1) Nd(Fe0.7Co0.20.07Ga0.036.5なる組成の
合金をアーク溶解にて作製し、得られたインゴットをス
タンプミル及びディスクミルで粗粉砕した。粉砕媒体と
してはN2ガスを用いジェットミルで微粉砕を行い粉砕
粒度3.5μm(FSSS)の微粉を得た。得られた原
料微粉を15kOeの磁場中で横磁場成形した。成形圧
力は2トン/cm2であった。本成形体を真空中で10
90℃×2時間焼結した。焼結体を18×10×6mm
寸法に切り出し、次いで900℃のアルゴン雰囲気中に
2時間加熱保持した後に急冷し、更に温度を600℃に
保持したアルゴン雰囲気中で1時間保持した。こうして
得られた試料について、めっき前処理として5vol%
の硝酸による第1エッチング、その後過酸化水素10v
ol%、酢酸25vol%の混酸による第2エッチング
を行なった。その後、表1に示す作業条件で、めっき層
の厚みが表1に示した値となるように各種表面処理を施
した。
【0010】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 番号 表 面 処 理 めっき層膜厚 (総厚) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗 下地層としての 施 1 Niめっき 1μm 例 2.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 Cuめっき 5μm 3.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 Niめっき 4μm ℃で5分間乾燥 (10μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 Niめっき10μm 比 ℃で5分間乾燥 較 例 3 1.リン酸エステルを主成分としたアルカリ性有機酸 Cuめっき 5μm 浴による電解Cuめっき処理後水洗 2.ワット浴による電解Niめっき後水洗して100℃で Niめっき 5μm 5分間乾燥 (10μm) 4 1.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 Cuめっき 5μm 2.ワット浴による電解Niめっき後水洗して100℃で Niめっき 5μm 5分間乾燥 (10μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0011】表1に示した試料に関して、80℃90%
RHでの500時間の耐湿試験及び35℃5%NaCl
での100時間の塩水噴霧試験を行なった。結果を表2
に示す。なお、本実施例のCuめっき層の平均結晶粒径
は0.5μmであり、またNiめっき表面の表面粗度は
0.5μmであった。
【0012】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 耐 湿 試 験 塩 水 噴 霧 試 験 番号 (80℃、90%RH) (35℃ 5%NaCl) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 1 500時間 変化無し 80時間 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 300時間で局所部に点サビ発生 30時間 比較例 3 200時間で局所的に点サビ発生 20時間 4 100時間で全面に膜ハガレ発生 5時間 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0013】表2において、耐湿試験結果は試料の外観
変化を、塩水噴霧試験結果は赤錆発生時間を示したもの
である。表2より、実施例(試料番号1)の永久磁石
は、比較例(試料番号2〜4)の永久磁石に比べて、耐
食性が著しく向上していることが分かる。次に、図1と
図2に本発明と比較例の場合のめっき層の各X線回折パ
ターンを示す。図1(a)は実施例(試料番号1)にお
いてピロリン酸Cu浴による電解Cuめっきを被膜した
状態のものの電解CuめっきのX線回折パターンを、図
1(b)は前記比較例のうちでリン酸エステルを主成分
にした有機酸Cu浴による電解Cuめっきを被膜したも
ののX線回折パターンを示す。図1(a)、(b)の比
較から、ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき被膜の
X線回折強度が鋭く大きいことが分かる。このことは、
前記電解Cuめっき被膜が、略一方向に均質に成長した
多結晶体からなる緻密なめっき膜であることを示してい
る。次に、図2(a)は実施例(試料番号1)のものに
おいて第3めっき層(電解Niめっき層)のX線回折パ
ターンを示す。図2(b)は前記比較例のうちでリン酸
エステルを主成分にした有機酸Cu浴による電解Cuめ
っき被膜の上に電解Niめっきを設けたものの電解Ni
めっき層のX線回折パターンを示す。図2(a)、
(b)の比較から、本発明のR−TM−B系永久磁石の
第3めっき層(電解Niめっき層)からのX線回折強度
が鋭く大きいことが分かる。このことは、実施例(試料
番号1)の第3めっき層(電解Niめっき層)が、略一
方向に均質に成長した多結晶体からなる緻密なめっき膜
であることを示している。すなわち、ピロリン酸Cu浴
による第2めっき層(電解Cuめっき層)が、前述の通
り略均質で一方向に成長しているため、第3めっき層
(電解Niめっき層)も第2めっき層(電解Cuめっき
層)にならって成長する為と考えられる。
【0014】(参考例) 表3に示す参考例の条件でNdFeB磁石体の表面にN
iストライクめっきを施しその上にピロリン酸Cu浴に
よる電解Cuめっきを施したものを作製した。また、比
較例としてNdFeB磁石体の表面にNiストライクめ
っきを施さずに直接ピロリン酸Cu浴による電解Cuめ
っきを施したもの(表3の試料番号3)、及びNdFe
B磁石体の表面にリン酸エステルを主成分としたアルカ
リ性有機酸浴による電解Cuめっきを施したもの(表3
の試料番号2)を作製した。そして、それらのめっき層
断面を走査型電子顕微鏡で撮影した金属組織を図3〜図
5に各々示す。倍率は図3〜図5において、(a)が1
000倍、(b)が3000倍である。図3は表3に示
す参考例のめっき層であり、その電解Cuめっき層の平
均結晶粒径は0.5μmと緻密で略一方向にきれいに揃
った結晶成長をしていることがわかる。それに対して、
図4に示す比較例のもの(表3の試料番号2)では、平
均結晶粒径2.0μmの粗い柱状晶がNdFeB磁石体
の表面に対して乱れた方向に各々成長しており、かつ成
長した柱状晶同士が互いにぶつかりあい境界面を形成し
ていることがわかる。このような境界面は、表面で二重
点や三重点を形成し、耐食性を劣化させるピンホール等
の欠陥を生成する。また、このような境界には内部応力
が残留するし、いずれにしても耐食性の点から好ましく
ないことは明らかである。次に、図5に示す比較例のも
の(表3の試料番号3)では、下側のNdFeB磁石体
の上層には置換めっきによりできたスマット(汚れ)が
不規則に見られる。そこがあたかも孔のように見える
が、これは断面試料を作製する際の研磨工程において付
着力が弱い為に脱落したものと思われる。このようにN
dFeB磁石体の表面に直接ピロリン酸Cu浴による電
解Cuめっきを施した場合では平均結晶粒径2.0μm
の粗い結晶が成長することがわかる。次に、前記各電解
CuめっきのX線回折パターンを観察したところ、参考
例の図3のものでは、Cuのピーク強度が鋭いパターン
が観察された。このことは、Niストライクめっき層
(第1めっき層)の上にピロリン酸Cuめっき浴による
電解Cuめっき層(第2めっき層)を設けた場合、電解
Cuめっき層が極めて配向性の良好なCuの微細な略柱
状晶に生成されることを裏付けている。
【0015】
【表3】
【0016】(実施例3) 実施例1と同様の組成の合金をアーク溶解にて作製し、
得られたインゴットをスタンプミル及びディスクミルで
粗粉砕した。粉砕媒体としてはN2ガスを用いジェット
ミルで微粉砕を行ない粉砕粒度3.5μm(FSSS)
の微粉を得た。得られた原料微粉を所定の金型内に充填
し、ラジアル方向に配向させた後、15kg/mm2
成形圧力で圧縮成形し、内径9mm、外径25mm、高
さ15mmの成形体を得た。本成形体を真空中で109
0℃×2時間焼結した。焼結体を900℃のアルゴン雰
囲気中に2時間加熱保持した後に急冷し、更に温度を6
00℃のアルゴン雰囲気中で1時間保持した。こうして
得られた試料について、実施例1と同様にめっきした。
すなわち、表4に示すめっき条件で、円筒体外径部のめ
っき層膜厚が表5に示した値となるようにめっき条件を
変えて各種表面処理を施した。表6にそのような条件で
めっきした場合の円筒体内径部のめっき層膜厚を示す。
表4〜6で試料番号は対応する。
【0017】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 番号 表 面 処 理 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗 施 1 例 2.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 3.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 ℃で5分間乾燥 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 比 ℃で5分間乾燥 較 例 3 1.リン酸エステルを主成分としたアルカリ性有機酸 浴による電解Cuめっき処理後水洗 2.ワット浴による電解Niめっき後水洗して100℃で 5分間乾燥 4 1.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 2.ワット浴による電解Niめっき後水洗して100℃で 5分間乾燥 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0018】
【表5】
【0019】
【表6】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 円筒体内径部 番号 めっき層膜厚 (総厚) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 下地層としての 施 1 Niめっき 1μm 例 Cuめっき 14μm Niめっき 2μm (17μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 Niめっき10μm 比 較 例 3 Cuめっき 14μm Niめっき 3μm (17μm) 4 Cuめっき 14μm Niめっき 3μm (17μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0020】表4〜6に示した試料に関して、80℃9
0%RHでの500時間の耐湿試験及び35℃5%Na
Clでの100時間の塩水噴霧試験を行なった。結果を
表7に示す。
【0021】
【表7】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 耐 湿 試 験 塩 水 噴 霧 試 験 番号 (80℃、90%RH) (35℃ 5%NaCl) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 1 500時間 変化無し 100時間変化なし −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 300時間で局所部に点サビ発生 30時間 比較例 3 200時間で局所的に点サビ発生 20時間 4 100時間で全面に膜ハガレ発生 5時間 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0022】表7において、耐湿試験結果は試料の外観
変化を、塩水噴霧試験結果は赤錆発生時間を示したもの
である。表7より、本発明による永久磁石は、比較例の
磁石に比べて、円筒状の磁石においても耐食性を著しく
向上し得ることが分かる。このことは、工業上の利用性
に大きな意義を持つ。すなわち、円筒状のR−TM−B
系永久磁石体に均一に良好なめっきができるので、スピ
ンドルモータ、サーボモータ等の回転機、ボイスコイル
モータ(VCM)やリニアモータ等に信頼性が高く、薄
いめっき層であるために磁気特性を低下させることなく
安価に提供することができるからである。
【0023】(実施例4)実施例1と同様にして、種々
のめっき条件の組み合わせを試験してみた。表8〜11
にめっき条件を示す。
【0024】
【表8】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 めっき層膜厚 番号 表 面 処 理 (カッコ内総厚) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗い Niめっき 2μm 施 1 2.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 Cuめっき 3μm 例 3.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して Niめっき 5μm 100℃で5分間乾燥 (10μm) Niめっき 2μm 2 同 上 Cuめっき 3μm Niめっき 15μm (20μm) Niめっき 2μm 3 同 上 Cuめっき 13μm Niめっき 5μm (20μm) Niめっき0.5μm 4 同 上 Cuめっき4.5μm Niめっき 5μm (10μm) Niめっき0.5μm 5 同 上 Cuめっき4.5μm Niめっき 15μm (20μm)
【0025】
【表9】
【0026】
【表10】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 めっき層膜厚 番号 表 面 処 理 (カッコ内総厚) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比 10 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗いして Niめっき 10μm 較 100℃で5分間乾燥 (10μm) 例 11 1.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗いして Niめっき 20μm 100℃で5分間乾燥 (20μm) 1.リン酸エステルを主成分としたアルカリ性有機酸 Cuめっき 5μm 12 Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 2.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 Niめっき 5μm ℃で5分間乾燥 (10μm) Cuめっき 5μm 13 同 上 Niめっき 15μm (20μm) Cuめっき 5μm 14 同 上 Niめっき 5μm (20μm) 1.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 Cuめっき 5μm 15 2.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 Niめっき 5μm ℃で5分間乾燥 (10μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0027】
【表11】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 めっき層膜厚 番号 表 面 処 理 (カッコ内総厚) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比 1.ピロリン酸Cu浴による電解Cuめっき処理後水洗 Cuめっき 5μm 較 16 2.ワット浴による電解Niめっき処理後水洗して100 Niめっき 15μm 例 ℃で5分間乾燥 (20μm) Cuめっき 15μm 17 同 上 Niめっき 5μm (20μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0028】表8〜11に示した試料に関して、80℃、
90%RHでの1000時間の耐湿試験、35℃、5%NaCl
での100時間の塩水噴射試験、119.6℃、100%RH2気
圧での100時間の蒸気加圧試験(PCT),及び磁石体
表面とめっき皮膜界面の密着強度試験を行なった。密着
強度試験は、Quad Group 社製のセバスチャンI型付着力
テスターで定量評価を、JISで規定された碁盤目試験
(クロスカット試験)にて目視評価した。クロスカット
試験で、○印は、剥がれが全くなかったことを示し、×
は全面剥離したことを示す。結果を表12,13に示す
ように、本発明に係るめっき層は、あらゆる耐食性試験
に対しても極めて耐食性が良好であることが分かる。
【0029】
【表12】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 耐 湿 試 験 塩水噴霧試験 蒸気加圧試験 クロスカット 密着強度試験 番号 (80℃ 90%RH) (35℃5%NaCl) 試験 (kgf/cm2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 800時間で局所 80時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 実 的に点錆発生 2 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 3 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 施 4 800時間で局所 80時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発生 5 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 例 6 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 7 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 8 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 9 1000時間変化無 100時間発錆無 100時間剥離無 ○ 700/700 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0030】
【表13】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 耐 湿 試 験 塩水噴霧試験 蒸気加圧試験 クロスカット 密着強度試験 番号 (80℃ 90%RH) (35℃5%NaCl) 試験 (kgf/cm2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 10 300時間で局所 30時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発生 比 11 600時間で局所 60時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発生 12 200時間で局所 20時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発性 較 13 500時間で局所 50時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発生 14 300時間で局所 30時間後発錆 100時間剥離無 ○ 700/700 的に点錆発生 例 15 100時間で全面 5時間後発錆 10時間剥離 × 50/700 で膜剥離発生 16 100時間で全面 5時間後発錆 10時間剥離 × 50/700 で膜剥離発生 17 100時間で全面 5時間後発錆 10時間剥離 × 50/700 で膜剥離発生 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0031】表12,13において、耐湿試験結果は試
料の外観変化を、塩水噴霧試験結果は赤錆発生の有無
を、蒸気加圧試験結果はめっき皮膜の剥離の有無を示し
たものである。表12,13より、本発明による永久磁
石は、従来の磁石と比較して耐食性を著しく向上し得る
ことがわかる。
【0032】(実施例5)実施例1と同様にして、表1
4に示す種々のめっき条件の組み合わせを試験してみ
た。
【0033】
【表14】
【0034】表14に示した試料に関して、80℃、90%
RHでの1000時間の耐湿試験、35℃、5%NaClでの1
00時間の塩水噴射試験、119.6℃、100%RH2気圧での
100時間の蒸気加圧試験(PCT),及び磁石体表面と
めっき皮膜界面の密着強度試験を行なった。密着強度試
験は、Quad Group 社製のセバスチャンI型付着力テスタ
ーで定量評価を、JISで規定された碁盤目試験(クロ
スカット試験)にて目視評価した。クロスカット試験
で、○印は、剥がれが全くなかったことを示し、×は全
面剥離したことを示す。結果を表15に示すように、本
発明に係るめっき層は、あらゆる耐食性試験に対しても
極めて耐食性が良好であることが分かる。
【0035】
【表15】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 耐 湿 試 験 塩水噴霧試験 蒸気加圧試験 クロスカット 密着強度試験 番号 (80℃ 90%RH) (35℃5%NaCl) 試験 (kgf/cm2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 18 1000時間 100時間 100時間 ○ 700/700 施 変化無 発錆無 剥離無 例 19 1000時間 100時間 100時間 ○ 700/700 変化無 発錆無 剥離無
【0036】(実施例6)実施例5と同様にして、表1
6に示すめっき条件の組み合わせを試験してみた。
【0037】
【表16】
【0038】表16に示した試料に関して、80℃ 9
0%RHでの500時間の耐食性試験およびASTM
D−1001−64に準拠したせん断強度試験方法に基
づく接着性試験を行った。接着剤は日本ロックタイト
(株)製326UVを使用し、硬化条件は、常温での2
4時間放置とした。また、測定時における引っ張り速度
は5mm/minとした。結果を表17に示す。なお比較とし
て表14の試料番号18の接着強度も併記しておく。
【0039】
【表17】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料 番号 耐食試験(80℃ 90%RH) 接着性試験(ASTM D-1001-64) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 20 1000時間変化無 200kg/cm2 21 1000時間変化無 200kg/cm2 18 1000時間変化無 50kg/cm2
【0040】表17からクロメート処理後アルカリ溶液
中に浸漬することにより接着性が向上することがわか
る。
【0041】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、R−
TM−B系永久磁石体の表面に電解Ni/Cu/Ni3
層めっきを被覆するとともに第2めっき層として微細な
多結晶体でかつ平滑性に富んだ電解Cuめっき層を採用
したことによって、R−TM−B系永久磁石体との密着
性が改善され、かつ表面粗度が1μm以下である耐食性
を著しく改善したR−TM−B系永久磁石及びその製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るCuめっき層と比較例のCuめっ
き層のX線回折パターンを比較した図である。
【図2】本発明に係るCuめっき層の上に更にNiめっ
きしたものと比較例のもののX線回折パターンを比較し
た図である。
【図3】Niストライクめっきの上にピロリン酸Cu浴
による電解Cuめっきを施した参考例に係る膜断面の金
属組織を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図4】比較例として、リン酸エステルを主成分とした
アルカリ性有機酸Cu浴による電解Cuめっきを施した
場合の膜断面の金属組織を走査型電子顕微鏡で撮影した
写真である。
【図5】比較例として、直接ピロリン酸Cu浴による電
解Cuめっきを施した場合の膜断面の金属組織を走査型
電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図6】本発明に係るピロリン酸Cu浴による電解Cu
めっきの表面の金属組織を走査型電子顕微鏡で撮影した
写真である。
【図7】本発明に係るピロリン酸Cu浴による電解Cu
めっき層の上に被覆した電解Niめっきの表面の金属組
織をレーザー顕微鏡で撮影した写真である。
【図8】比較例のリン酸エステルを主成分としたアルカ
リ性有機酸Cu浴による電解Cuめっきの表面の金属組
織を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図9】比較例のリン酸エステルを主成分としたアルカ
リ性有機酸Cu浴による電解Cuめっきの表面の金属組
織を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図10】比較例のリン酸エステルを主成分としたアル
カリ性有機酸Cu浴による電解Cuめっき層の上に被覆
した電解Cuめっきの表面の金属組織をレーザー顕微鏡
で撮影した写真である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分組成が重量比でRが5〜40%、
    B(硼素)が0.2〜8%、残部TMからなるRーTM
    ーB系永久磁石体(RはYを含む希土類元素の1種又は
    2種以上、TMはFe又はFeとCo)の表面に、電解
    Niめっきからなる第1めっき層と電解Cuめっきから
    なる第2めっき層と電解Niめっきからなる第3めっき
    層とを被覆してなるR−TM−B系永久磁石であって、RーTMーB系永久磁石体と第1めっき層との界面が密
    着性に富んでおり、かつ第2めっき層が平均結晶粒径
    0.9μm以下の微細な多結晶体からなるとともに第3
    めっき層の表面粗度が1μm以下 であることを特徴とす
    る耐食性を改善したR−TM−B系永久磁石。
  2. 【請求項2】 凹部を有する形状かあるいは中空形状
    ある請求項1に記載の耐食性を改善したR−TM−B系
    永久磁石。
  3. 【請求項3】 第3めっき層の上にクロメート層を積層
    してなる請求項1又は2に記載の耐食性を改善したR−
    TM−B系永久磁石。
  4. 【請求項4】 前記クロメート層表面が接着性に富んで
    いる請求項3に記載の耐食性を改善したR−TM−B系
    永久磁石。
  5. 【請求項5】 第1めっき層、第2めっき層、第3めっ
    き層の膜厚が、それぞれ、0.1〜10μm、2〜20
    μm、2〜20μmである請求項1乃至4のいずれかに
    記載の耐食性を改善したR−TM−B系永久磁石。
  6. 【請求項6】 主成分組成が重量比でRが5〜40%、
    B(硼素)が0.2〜8%、残部TMからなるRーTM
    ーB系永久磁石体(RはYを含む希土類元素の1種又は
    2種以上、TMはFe又はFeとCo)の表面に、電解
    Niめっきからなる第1めっき層を被覆し、その上にピ
    ロリン酸Cu浴を用いた電解Cuめっきからなる第2め
    っき層を被覆し、更にその上に電解Niめっきからなる
    第3めっき層を被覆することを特徴とする耐食性を改善
    したR−TM−B系永久磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 第3めっき層を被覆後、クロメート処理
    を行う請求項に記載の耐食性を改善したR−TM−B
    系永久磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 クロメート処理後、更にアルカリ溶液中
    に浸漬する処理を行う請求項に記載の耐食性を改善し
    たR−TM−B系永久磁石の製造方法。
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