JP3132024B2 - パルスmag溶接アークスタート制御方法 - Google Patents

パルスmag溶接アークスタート制御方法

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JP3132024B2
JP3132024B2 JP03056138A JP5613891A JP3132024B2 JP 3132024 B2 JP3132024 B2 JP 3132024B2 JP 03056138 A JP03056138 A JP 03056138A JP 5613891 A JP5613891 A JP 5613891A JP 3132024 B2 JP3132024 B2 JP 3132024B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルスMAG溶接ホッ
トスタート電流切換方法において、アークスタート直後
のワイヤ短絡によるスパッタの発生の防止及びアーク発
生直後のバーンバックを防止し、円滑なアークスタート
を行う制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(従来技術1) 図1(A)は、従来技術1のアークスタート時のワイヤ
(以下ワイヤという)1のワイヤ先端1aの位置とアー
ク3の発生との時間的経過tを説明する図である。同図
(B)は、同図(A)に対応したアークスタート時のホ
ットスタート電流Ih及びアークスタート後の溶接中の
パルス電流Iwの時間的経過tを示す図である。同図
(A)において、時刻t1 でワイヤ1をスローダウン速
度で送給し、時刻t2 でワイヤ先端1aが被溶接物2に
接触した時から同図(B)に示すように、予め設定した
ホットスタート期間Thに数[ms]のホットスタート電
流Ihを通電して時刻t3 においてアークを発生させ、
以後、通常の溶接中のパルス電流Iwのパルス幅Tpの
パルス電流Iwを通電させている。この従来技術1にお
いては、同図(A)の時刻t2 においてワイヤ先端1a
が被溶接物2に接触した即時からパルス電流値と同じか
又はそれ以上の電流値でかつパルス電流のパルス幅より
も大きなホットスタート電流Ihを通電して、ワイヤ及
び被溶接物を加熱溶融させて溶接を開始させている。こ
の場合、時刻t2 におけるワイヤの接触及び時刻t3 に
おけるホットスタート電流Ihの通電によって、ワイヤ
先端の3〜8[mm]が溶断飛散して図1(A)の時刻t
3 に示すようにスパッタ7aが発生し、溶断部分が大の
ときはアークを持続することが出来ないでアーク切れを
生ずる。
【0003】(従来技術2) そこで、この時刻t3 のワイヤ先端の溶断によるスパッ
タの発生を防止するために、従来技術2においては、時
刻t2 においてワイヤが接触したときに、図2(B)に
示すように、電流の立上り速度が4,000[A/sec]
程度の速くて、パルス電流値及びパルス幅がパルス電流
Iwよりも小さいスタート用電流Igを通電して、図2
(A)に示すようにスタート用アーク3aを発生させ、
引続いてホットスタート電流Ihを通電することによっ
て、ワイヤが充分に加熱しない間の入熱を制限して過大
な長さのワイヤ溶断が発生しないようにして、ワイヤ先
端が被溶接物に接触している付近だけを加熱溶融させ、
ワイヤ先端の溶断によるスパッタの発生を防ぐことが行
われている。
【0004】(従来技術3) 図3(A)は、従来技術3のアークスタート時の溶接電
源出力端子電圧(以下溶接電圧という)Vの時間的経過
tを示す図であって、時刻t1 でワイヤのスローダウン
送給の開始及びベース電圧とパルス電圧とからなる溶接
電圧の供給をし、時刻t2 において、同図(D)に示す
ようなワイヤ先端1aと被溶接物2との接触によって同
図(B)に示すように、ホットスタートパルス電流値H
p及びホットスタートベース電流値Hbより成るホット
スタート電流Ihが流れ、電圧降下した溶接電圧とな
る。ホットスタート電流によってワイヤ先端及び被溶接
物が加熱溶融して時刻t3 においてアーク3が発生し、
溶接電圧Vが増加し、溶接電流Iが減少する。この溶接
電圧の増加又は溶接電流の減少又は両者を検出して、時
刻t4 において溶接時のパルス電圧及びベース電圧とか
らなる溶接電圧を供給し、同図(B)に示すように、パ
ルス電流値Iwp及びベース電流値Iwbより成るパル
ス電流Iwが流れる。この従来技術3においては、ワイ
ヤ先端と被溶接物との接触後、従来技術1のような一定
値のホットスタート電流Ihを通電しないで、Hp及び
Hbより成るホットスタート電流を通電しているので、
従来技術2と同様に、時刻t3 におけるワイヤ先端部分
の溶断によるスパッタ7aの発生は防止することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術2において
は、図2で前述したように、時刻t2 においてワイヤ先
端が被溶接物2に接触した時にスタート用電流Igを通
電し、引続いてホットスタート電流Ihを通電すること
によって、図1(A)に示すように時刻t3 におけるワ
イヤ先端部分の溶断によるスパッタ7aの発生を防ぐこ
とができる。しかし、ホットスタート期間Thがパルス
電流Iwのパルス幅Tpよりも相当に大であるために、
ホットスタート期間Thのホットスタート電流Ihから
パルス幅Tpのパルス電流Iwに切換えると、ワイヤの
溶融入熱が急激に減少するために、ワイヤ及び被溶接物
の温度上昇がまだ充分でなく、ワイヤ溶融速度が低下し
て、時刻t5 において短絡が生じ、時刻t6 においてワ
イヤ先端溶融粒によるスパッタ7bが発生する。また、
従来技術3においても、時刻t2 においてワイヤ先端が
被溶接物2に接触した時にホットスタート用パルス電流
Hpとホットスタート用ベース電流Hbとより成るホッ
トスタート電流Ihを通電することによって、図3
(A)に示す時刻t3 におけるワイヤ先端部分の溶断に
よるスパッタ7aの発生を防ぐことができるが、従来技
術2と同様に、ホットスタート期間Thのホットスター
ト電流Ihからパルス幅Tpのパルス電流Iwに切換え
ると、ワイヤの溶融入熱が急激に減少するために、ワイ
ヤ溶融速度が低下して図3(D)に示す短絡が発生し、
図3(E)に示すようにワイヤ先端の溶融粒によるスパ
ッタ7bが発生する。
【0006】(図4の説明) 図4(A)は、従来のホットスタート電流切換方法を実
施するパルスMAG溶接装置のブロック図である。図4
において、商用電源ACを入力として定電圧特性の溶接
出力制御回路PSからワイヤ1の給電チップ4と被溶接
物2との間に出力を供給してアーク3を発生させる。ワ
イヤ1はワイヤ送給モータWMにより回転するワイヤ送
給ローラWRより供給される。平均電流設定回路IM
は、ワイヤ送給モータWMのワイヤ送給速度により定ま
る溶接電流の平均値を設定するための平均電流設定信号
Imを出力する。ワイヤ送給制御回路WCは、信号Im
とワイヤ送給モータWMの回転速度を検出するワイヤ送
給速度検出器WDの速度検出信号Wdを比較する第1比
較回路CM1の比較信号Cm1 を入力として、ワイヤ送
給モータWMにワイヤ送給制御信号Wcを出力する。ア
ーク電圧設定回路VSは、アーク電圧を設定する回路で
あって、アーク電圧設定信号Vsを出力する。第2比較
回路CM2は、信号Vsとアーク電圧検出回路VDのア
ーク電圧検出信号Vdとを入力としてその差のアーク電
圧制御信号Cm2 を出力する。
【0007】パルス電流値設定回路IPはパルス電流値
設定信号Ipを出力し、ベース電流設定回路IBはベー
ス電流設定信号Ibを出力する。パルス幅設定回路TP
はパルス幅設定信号Tpsを出力する。パルス周波数信
号発生回路VFは、アーク電圧制御信号Cm2 に対応し
て、パルス周波数信号Vfを出力する。パルス信号発生
回路DFは、パルス幅設定信号Tpsとパルス周波数信
号Vfとから成るパルス幅周波数制御信号Dfを出力す
る。パルスベース電流切換回路SW4は、パルス電流値
設定信号Ipとベース電流設定信号Ibとをパルス幅周
波数制御信号Dfで定まる周波数fで繰り返すパルス制
御信号Pfを出力する。
【0008】溶接電流検出回路IDは、同図(B)に示
す溶接電流Iの瞬時値を検出して、溶接電流検出信号I
dを出力する。溶接電流通電回路IEは、信号Idを入
力として同図(C)に示す溶接電流通電信号Ieを出力
する。ホットスタート時限回路TM1は信号Ieを入力
として、同図(D)に示すホットスタート信号Tm1を
出力し、予め設定したホットスタート期間Thの終了時
に信号Tm1 を停止する。ホットスタート電流設定回路
IHは、ホットスタート電流Ihの電流値を設定してホ
ットスタート電流設定信号Ihsを出力する。スタート
電流切換回路SW6は、ホットスタート信号Tm1 が入
力されている時に接点aに切換わり、電流値設定信号S
6 を出力する。第3の比較回路CM3は、信号S6 と溶
接電流検出信号Idとを比較して電流値制御信号Cm3
を溶接出力制御回路PSに出力する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のパルスMAG溶
ホットスタート電流切換方法は、溶接開始時にワイヤ
がスローダウン送給されて被溶接物に接触してアークス
タート用電流によりワイヤ先端が溶断してアークが発生
するときに生じるスパッタだけでなく、アーク発生直後
のホットスタート電流Ihから通常のパルス電流Iwに
切換えた直後にワイヤ溶融速度の急激な変化によるワイ
ヤ先端の短絡によって発生するスパッタをも防止するよ
うにした制御方法である。
【0010】請求項1のホットスタート電流切換方法
は、溶接開始時に、ワイヤ先端1aが被溶接物2に接触
した時に、溶接中のパルス電流Iwの平均値よりも大き
い電流値のホットスタート電流Ihを通電した後に、パ
ルス電流Iwを通電するパルスMAG溶接ホットスター
ト電流切換方法において、ホットスタート電流Ihの通
電終了時からパルス電流Iwの通電開始時までの移行期
間Ttを設定し、移行期間中に、パルス電流Iwのパル
ス幅Tpよりも大のパルス幅Tp1からパルス電流Iw
のパルス幅Tpまで段階的に切り換えた複数の移行パル
ス電流It1,It2 ,…を通電するパルスMAG溶接
ットスタート電流切換方法である。
【0011】請求項2のホットスタート電流切換方法
は、溶接開始時に、ワイヤ先端1aが被溶接物2に接触
した時に、溶接中のパルス電流Iwの平均値よりも大き
い電流値のホットスタート電流Ihを通電した後に、パ
ルス電流Iwを通電するパルスMAG溶接ホットスター
ト電流切換方法において、ワイヤ先端1aが被溶接物2
に接触した時に、パルス電流Iwのパルス幅Tpよりも
小のパルス幅のスタート用電流Igを通電し、続けてホ
ットスタート電流Ihの通電終了時からパルス電流Iw
の通電開始時までの移行期間Ttを設定し、移行期間中
に、パルス電流Iwのパルス幅Tpよりも大のパルス幅
Tp1 からパルス電流Iwのパルス幅Tpまで段階的に
切り換えた複数の移行パルス電流It1 ,It2 ,…を
通電するパルスMAG溶接ホットスタート電流切換方法
である。
【0012】請求項3のホットスタート電流切換方法
は、溶接開始時に、ワイヤ先端1aが被溶接物2に接触
した時に、溶接中のパルス電流Iwの平均値よりも大き
い電流値のホットスタート電流Ihを通電した後に、パ
ルス電流Iwを通電するパルスMAG溶接ホットスター
ト電流切換方法において、ホットスタート電流Ihの通
電終了時からパルス電流Iwの通電開始時までの移行期
間Ttを設定し、移行期間中は、パルス電流Iwのパル
ス幅Tpよりも大のパルス幅Tp1 からパルス電流Iw
のパルス幅Tpまで段階的に切り換えた複数の移行パル
ス電流It1 ,It2 ,…の通電開始と通電終了とを制
御する移行パルス信号Tm5 を溶接出力制御回路PSに
出力し、移行期間終了後は、パルス電流Iwのパルス幅
とパルス周期とを制御するパルス幅周波数制御信号Df
を溶接出力制御回路PSに出力するパルスMAG溶接
ットスタート電流切換方法である。
【0013】請求項4のホットスタート電流切換方法
は、溶接開始時に、ワイヤ先端1aが被溶接物2に接触
した時に、溶接中のパルス電流Iwの平均値よりも大き
い電流値のホットスタート電流Ihを通電した後に、パ
ルス電流Iwを通電するパルスMAG溶接ホットスター
ト電流切換方法において、ホットスタート電流Ihの通
電終了時からパルス電流Iwの通電開始時までの移行期
間Ttを設定し、移行期間中は、パルス電流Iwのパル
ス幅Tpよりも大のパルス幅Tp1 からパルス電流Iw
のパルス幅Tpまで段階的に切り換えた複数の移行パル
ス電流It1 ,It2 ,…の通電開始と通電終了とを制
御する移行パルス信号Tm5 によってパルス電流値設定
信号Ipとベース電流設定信号Ibとを切り換えるパル
スベース電流切換回路SW4を切り換え、移行期間終了
後は、パルス電流Iwのパルス幅とパルス周波数とを制
御するパルス幅周波数制御信号Dfによって、パルスベ
ース電流切換回路SW4を切り換え、溶接出力制御回路
PSに出力するパルスMAG溶接ホットスタート電流切
換方法である。
【0014】請求項1乃至4のホットスタート電流切換
方法の全部を実施する溶接装置の構成であって、図7に
示すように、アーク電圧検出信号Vdを入力として溶接
中のパルス電流Iwのパルス幅及びパルス周波数を制御
するパルス幅周波数制御信号Dfを出力するパルス信号
発生回路DFと、ベース電流設定信号Ibを出力するベ
ース電流設定回路IBと、パルス電流値設定信号Ipを
出力するパルス電流値設定回路IPと、パルス幅周波数
制御信号Dfによってベース電流設定信号Ibとパルス
電流値設定信号Ipとを切換えてパルス制御信号Pfを
出力するパルスベース電流切換回路SW4とを備えた従
来のパルスMAG溶接装置に次の構成が付加されてい
る。 a.溶接電流検出信号Idを入力としてホットスタート
電流Ihを通電するホットスタート期間Thの時限を開
始してホットスタート信号Tm1 を出力するホットスタ
ート時限回路TM1。 b.ホットスタート電流設定信号Ihsを出力するホッ
トスタート電流設定回路IH。 c.ホットスタート信号Tm1 が入力されたときにホッ
トスタート電流設定信号Ihsを溶接出力制御回路PS
に出力し、ホットスタート時限回路TM1のホットスタ
ート期間Thの時限終了によってホットスタート信号T
m1 が停止したときに電流値設定信号S6を溶接出力制
御回路PSに出力するスタート電流切換回路SW6。 d.ホットスタート時限回路TM1の時限終了によって
ホットスタート信号Tm1 が停止したときに、ホットス
タート電流Ihから溶接中のパルス電流Iwへの移行期
間Ttの時限を開始して移行期間信号Tm3 を出力する
移行期間時限回路TM3。 e.移行期間信号Tm3 を入力として、移行期間Ttの
ベース電流の移行ベース期間Tbtの時限を開始して移
行ベース信号Tm4 を出力する移行ベース時限回路TM
4。 f.移行ベース期間Tbtの時限終了によって移行ベー
ス信号Tm4 が停止したときに、移行期間Tt中のパル
ス電流の移行パルス幅Tp1 ,Tp2 ,…の時限を開始
して移行パルス信号Tm5 を出力する移行パルス時限回
路TM5。 g.移行ベース信号Tm4 を入力として移行パルス時限
回路TM5が出力する移行パルス信号Tm5 の移行パル
ス幅Tp1 ,Tp2 ,…を切換える移行パルス幅切換回
路PT。 h.移行期間信号Tm3 が入力されている間は、移行パ
ルス信号Tm5 をパルスベース電流切換回路SW4に出
力し、移行期間時限回路TM3の移行期間Ttの時限終
了により移行期間信号Tm3 が停止した後は、パルス幅
周波数制御信号Dfをパルスベース電流切換回路SW4
に出力する移行溶接切換回路TW。 i.上記の移行ベース時限回路TM4は、移行期間Tt
中の移行期間信号Tm3が入力されている間は、移行パ
ルス期間Tp1 ,Tp2 ,…の終了により移行パルス信
号Tm5 が停止したとき移行ベース期間Tbtの時限を
再開して移行ベース信号Tm4 を出力する。
【0015】
【作用】図5(A)は、本発明のホットスタート電流切
換方法におけるアークスタート時のワイヤ先端1aの位
置及びアーク3の発生状態の時間的経過tを示す図であ
り、同図(B)は、溶接電流Iの時間的経過を示す図で
ある。同図(A)において、時刻t1 乃至t4 は、従来
技術2と同様である。すなわち、時刻t1 でワイヤ1を
スローダウン速度で送給し、時刻t2 でワイヤ先端1a
が被溶接物2に接触した時に、同図(B)に示すよう
に、電流の立上り速度が 4,000[A/sec]程度の速く
て、パルス電流値およびパルス幅がパルス電流よりも小
さいスタート用電流Igを通電し、引続いてホットスタ
ート電流Ihを通電することによって、ワイヤ先端が充
分に加熱しない間の入熱を制限して過大な長さのワイヤ
先端の溶断が発生しないようにして、ワイヤ先端が被溶
接物に接触している付近だけを加熱溶融させ、スパッタ
の発生を防止している。
【0016】本発明のホットスタート電流切換方法にお
けるアークスタート時のスパッタ発生を防止するための
作用は、上記の従来技術2の他に次の作用が付加されて
いる。すなわち、ホットスタート期間Thがパルス電流
Iwのパルス幅Tpよりも相当に大であるために、その
期間Thのホットスタート電流Ihからパルス幅Tpの
パルス電流Iwに切換えると、ワイヤの溶融入熱が急激
に減少するために、ワイヤの溶融速度が低下して短絡が
発生してワイヤ先端の溶融粒によるスパッタの発生原因
となるので、本発明のアークスタート方法は、同図
(B)に示すように、ホットスタート期間Thの後の時
刻t5 におけるスタート用パルス電流(以下、第1移行
パルス電流It1 という)のパルス幅(以下、第1移行
パルス幅という)Tp1 を溶接中のパルス電流Iwのパ
ルス幅Tpよりも大にし、次のパルス電流(以下、第2
移行パルス電流It2 という)のパルス幅(以下、第2
移行パルス幅という)Tp2 をTp1 よりも小に切換
え、さらに次のパルス電流(以下、第3移行パルス電流
It3 という)のパルス幅(以下、第3移行パルス幅と
いう)Tp3 をTp2 よりも小に切換えて、順次にパル
ス幅Tpに近づける。このように、Tp1>Tp2>Tp3…
>Tpとすることによって、ホットスタート期間Thか
らパルス電流Iwのパルス幅Tpまで段階的に切換わる
ので、ワイヤ先端の入熱が徐々に変化し、ワイヤの溶融
速度の過渡的な低下による短絡が発生することがなく、
したがってスパッタの発生を防止することができる。
【0017】上記のパルス幅の変化値ΔTpすなわちT
p3 −Tp2 ,Tp2 −Tp1 及びTp1 −Tpは、パ
ルス電流Iwの平均値Ia[A]によって異なる。ま
た、このΔTpは、ホットスタート期間Thの終了時か
らパルス幅Tpのパルス電流の通電開始までのスタート
用移行パルス電流It1 ,It2 ,…を通電する移行期
間Tt[sec ]によって異なる。さらに、この移行期間
Ttの間のスタート用パル電流のパルス幅の変化を設定
値どおりに行わせるためには、アーク電圧値をパルス周
波数又はパルス幅によって適正値に制御しているとき
は、この移行期間Ttの間は、周波数制御又はパルス幅
制御によるアーク電圧値を一定にする機能を停止してお
く必要がある。請求項4の溶接装置は、このホットスタ
ート電流Ihの通電終了時から溶接中のパルス幅Tpの
パルス電流Iwに切換えるまでの移行期間Ttを予め設
定して、周波数制御又はパルス幅制御によるアーク電圧
値を一定にする機能を停止させている。なお、パルス電
流Iwの平均値Ia[A]と第1移行パルス幅Tp1
[ms]及びパルス幅の変化値ΔTp[ms]及び移行期間
Tt[sec ]との関係を表1に示す。
【表1】
【0018】
【実施例】(図6の説明) 図6は、本発明のホットスタート電流切換方法Aと従来
技術2のホットスタート電流切換方法Zとのパルス電流
Iwの平均値Ia[A](横軸)に対するスパッタ発生
量G/N[gr/50回]を測定した比較グラフである。同
図のスパッタ発生量G/Nは、直径1.2 [mm]のステン
レス鋼SUS316 ワイヤを使用して、板厚1.6 [mm]の
ステンレス鋼板SUS316 、アーク発生時間3[秒]、
アーク停止時間10[秒]、アークを50[回]繰り返し発
生させたときのスパッタの総発生重量[グラム]であ
る。同図に示すように、溶接電流の平均値が 100[A]
のとき、曲線Zの従来技術2のアークスタート方法が6
[gr/回]であるのに対して、曲線Aの本発明のアーク
スタート方法では 1.5[gr/回]で約 1/4 となって非
常に少なくなっている。
【0019】(図7の説明) 図7は、本発明のホットスタート電流切換方法を実施す
る溶接装置の実施例のブロック図である。同図は、図4
の従来のホットスタート電流切換方法を実施する溶接装
置に、点線で示す移行パルス制御回路SRを追加してい
る。同図において、点線以外の回路は図4と同様である
ので、本発明のホットスタート電流切換方法に関係する
構成及び動作についてのみ説明する。図7において、ホ
ットスタート時限回路TM1は、溶接電流検出信号Id
が入力されたときにホットスタート期間Thの時限を開
始してホットスタート信号Tm1 を出力する。ホットス
タート電流設定回路IHはホットスタート電流設定信号
Ihsを出力する。パルスベース電流切換回路SW4
は、ベース電流設定回路IBのベース電流設定信号Ib
とパルス電流値設定回路IPのパルス電流値設定信号I
pとを切換えてパルス制御信号Pfを出力する回路であ
って、後述する移行溶接切換信号Twが停止していると
きは接点bに接続されてベース電流設定信号Ibを出力
し、信号Twが入力されると接点aに接続されてパルス
電流値設定信号Ipを出力する。スタート電流切換回路
SW6は、ホットスタート電流設定信号Ihsとパルス
制御信号Pfを溶接出力制御回路PSに出力する回路で
あって、前述したホットスタート信号Tm1 が入力され
ているときは、信号Ihsを出力し、ホットスタート時
限回路TM1がホットスタート期間Thの時限を終了し
て信号Tm1 が停止したときは、接点bに復帰して信号
Pfを出力する。
【0020】移行期間時限回路TM3は、ホットスター
ト信号Tm1 の停止によって移行期間Ttの時限を開始
して移行期間信号Tm3 を出力する。この信号Tm3 が
後述する移行溶接切換回路TWに入力されているとき
は、パルス電流Iwのパルス周波数及びパルス幅を定め
るパルス幅周波数制御信号Dfは遮断されている。移行
ベース時限回路TM4は、移行期間信号Tm3 が入力さ
れたときに移行ベース期間Tbtの時限を開始して移行
ベース信号Tm4 を出力する。この信号Tm4 が出力さ
れているときは後述する移行パルス時限回路TM5は信
号を出力していないために、移行溶接切換回路TWは移
行溶接切換信号Twを停止し、パルスベース電流切換回
路SW4は、ベース電流設定信号Ibを出力しているの
で、溶接出力制御回路PSは移行ベース電流を通電す
る。移行パルス幅切換回路PTは、移行ベース信号Tm
4 が入力されるごとに、後述する移行パルス時限回路T
M5の移行パルス幅をTp1 ,Tp2 ,…に設定する。
上記の移行ベース時限回路TM4は、移行ベース期間T
btの時限を終了して移行ベース信号Tm4 を停止す
る。移行パルス時限回路TM5は、移行ベース信号Tm
4 が停止したときに、移行パルス幅Tp1 (2回目の停
止のときはTp2 、3回目の停止のときはTp3 )の時
限を開始して移行パルス信号Tm5 を出力する。この信
号Tm5 が移行溶接切換回路TWに入力されると移行溶
接切換信号Twを出力するので、パルスベース電流切換
回路SW4は、接点aに切換わり、パルス電流値設定信
号Ipを出力するので、溶接出力制御回路PSは(第
1)移行パルス電流を通電する。この移行パルス時限回
路TM5は、前述した移行パルス幅切換回路PTによっ
て設定された移行パルス幅(Tp1 ,Tp2 ,…)とな
る時限を終了して移行パルス信号Tm5 を停止する。移
行溶接切換回路TWは、移行期間信号Tm3 が入力され
ているときは移行パルス信号Tm5 をパルスベース電流
切換回路SW4に出力し、移行期間時限回路TM3が移
行期間Ttの時限を終了して移行期間信号Tm3 を停止
した後は、通常のパルス電流Iwを定めるパルス幅周波
数制御信号Dfをパルスベース電流切換回路SW4に出
力する。なお、上記の移行パルス信号Tm5 が停止した
とき、移行パルス信号Tm5 が移行ベース時限回路TM
4に入力され、まだ移行期間時限回路TM3が時限を終
了していないで移行期間信号Tm3 を出力しているとき
は、再び移行ベース時限回路TM4が移行ベース期間T
btの時限を開始して移行ベース信号Tm4 を出力す
る。以下、前述した動作を繰り返す。ただし、移行ベー
ス信号Tm4 が移行溶接切換回路TWに入力されるごと
に、回路TWは、移行パルス時限回路TM5の移行パル
ス幅をTp1 >Tp2 >Tp3 のように決定する。移行
期間時限回路TM3が移行期間Ttの時限を終了して移
行期間信号Tm3 を出力すると、移行ベース時限回路T
M4及び移行パルス時限回路TM5及び移行溶接切換回
路TWをリセットする。したがって、移行パルス信号T
m5 が停止しても、移行ベース時限回路TM4は移行ベ
ース信号Tm4 を出力しない。他方、移行期間信号Tm
3 が停止すると、移行溶接切換回路TWは、通常のパル
ス電流Iwを定めるパルス幅周波数制御信号Dfをパル
スベース電流切換回路SW4に出力するので、溶接出力
制御回路PSは溶接中のパルス電流Iwのパルス幅Tp
のパルス電流を通電する。
【0021】(図8の説明) 図8は、本発明のホットスタート電流切換方法を、アー
ク電圧値を検出してパルス周波数を制御することによっ
てアーク電圧値を一定に維持することによって実施する
パルスMAG溶接装置のブロック図である。同図は、図
4の従来のホットスタート電流切換方法を実施する溶接
装置の構成の他に、移行パルス制御回路SRを追加した
ブロック図で、図4及び図7の説明と同様であるので省
略する。
【0022】(図9の説明) 図9は、本発明のホットスタート電流切換方法を、アー
ク電圧値を検出してパルス幅を制御することによってア
ーク電圧値を一定に維持することによって実施するパル
スMAG溶接装置のブロック図である。図8と図9とが
異なる箇所は次のとおりである。図8においては、アー
ク電圧制御信号Cm2 がパルス周波数信号発生回路VF
に入力され、この回路VFから出力されるパルス周波数
信号Vfとパルス幅設定回路TPから出力されたパルス
幅設定信号Tpsとがパルス信号発生回路DFに入力さ
れている。これに対して、図9においては、パルス周波
数設定回路FPから出力されるパルス周波数設定信号F
pがパルス周波数信号発生回路VFに出力され、この回
路VFから出力されるパルス周波数信号Vfとアーク電
圧制御信号Cm2 とがパルス信号発生回路DFに入力さ
れている。これらの図8と図9との相違は、図8がアー
ク電圧値を検出してパルス周波数を制御してアーク電圧
値を一定値に維持しているのに対して、図9がパルス幅
を制御している。
【0023】(図10及び図11の説明) 図10は、図7乃至図9のブロック図の移行パルス制御
回路SRの具体的な接続図である。図10の入力端子I
N1、入力端子IN2及び出力端子OUTは、それぞれ
図7乃至図9(以下、図7等という)の移行パルス制御
回路SRのIN1、IN2及びOUTに対応する。図1
1(A)乃至(L)は、図7等のブロック図及び図10
の接続図の各部の信号のタイムチャートである。図11
(A)は、図7等の溶接電流I及び溶接電流検出信号I
dのタイムチャートであって、時刻t1 でワイヤと被溶
接物との接触によりホットスタート電流Ihが流れる。
図11(B)は、図7等の溶接電流通電信号Ieのタイ
ムチャートであり、同図(C)は、ブロック図のホット
スタート信号Tm1 のタイムチャートである。
【0024】時刻t1 ≦t≦t2 の動作 図10において、回路NOT1は、時刻t1 で、入力端
子IN1からホットスタート信号Tm1 が入力されたと
きは出力信号を停止し、時刻t2 で、信号Tm1 が停止
したときに信号を出力する。移行期間時限回路TM3
は、図11(D)の時刻t2 に示すように、ホットスタ
ート信号Tm1 が停止してNOT1から出力信号が入力
されたときに、移行期間信号Tm3 を第1トリガ回路T
R1及び移行溶接切換回路TWの回路NOT7に出力す
る。またこの信号Tm3 は、移行ベース時限回路TM4
及び移行パルス時限回路TM5及び移行パルス幅切換回
路PTのバイナリカウンタBCTの各リセット解除(反
転)R端子にも入力され、これらの回路TM4、TM5
及びPTは、動作可能状態となる。トリガ回路TR1
は、回路NOT2と回路AND1と抵抗器及びコンデン
サの積分回路とより成り、移行期間信号Tm3 が入力さ
れたときに、同図(E)の時刻t2 に示すように、第1
トリガ信号Tr1 を出力し、回路OR2に出力する。
【0025】回路OR2は図11(F)の時刻t2 に示
すように、第1トリガ信号Tr1 又は後述する第2トリ
ガ信号Tr2 が入力されたときに信号Or2 を出力す
る。移行ベース時限回路TM4は、図11(G)の時刻
t2 に示すように、信号Or2が入力されたときに、移
行期間Ttの最初の移行ベース電流を通電する第1移行
ベース信号Tm4 を出力し、最初の移行ベース期間t3
−t2 経過後に信号Tm4 を停止する。この信号Tm4
はバイナリカウンタBCTのクロック端子Ckに入力さ
れ、そのQ1端子を「1」すなわち信号を出力し、後述
する第1短絡スイッチSW8によって抵抗器R2を短絡
し、他方のQ2端子を「0」すなわち信号を停止し、後
述する第2短絡スイッチSW9を開路する。したがっ
て、後述する移行パルス時限回路TM5の端子e及びf
には、抵抗値r1 の抵抗器R1と抵抗値r3 の抵抗器R
3とが直列に接続される。
【0026】時刻t2 <t≦t3 の動作 移行ベース時限回路TM4は、予め設定された時刻t3
−t2 の経過後に、図11(G)の時刻t3 に示すよう
に、信号Tm4 を停止する。回路NOT3は、信号Tm
4 の停止によって、図11(H)の時刻t3 に示すよう
に、信号Nt3を移行パルス時限回路TM5に出力す
る。この回路TM5は、図11(I)の時刻t3 に示す
ように、Q端子から移行期間Ttの第1パルス電流を通
電する第1移行パルス信号Tm5 を回路OR3に出力す
る。この時刻t3においては、前述したように、移行期
間時限回路TM3は、図11(D)に示すように、移行
期間信号Tm3 を出力しているので、回路NOT7から
回路AND3に出力される信号Nt7 は停止している。
したがって、入力端子IN2に、図7等のパルス信号発
生回路DFから出力される溶接中のパルス電流Iwのパ
ルス幅周波数制御信号Dfは、AND3において遮断さ
れるために、回路OR3から前述した第1移行パルス信
号Tm5 が出力端子OUTに出力される。この出力端子
OUTからの第1移行パルス信号Tm5 は、図7等のパ
ルスベース電流切換回路SW4に入力され、回路SW4
は接点aに切換わり、パルス電流値設定回路IPで設定
されたパルス電流値設定信号Ipをスタート電流切換回
路SW6、第3比較信号CM6を通じて溶接出力制御回
路PSに出力され、図11(A)の時刻t3 に示すよう
に、第1移行パルス電流It1 を出力する。
【0027】時刻t3 <t≦t4 の動作 この移行パルス時限回路TM5は、前述したように、こ
の回路の端子e及びfに接続された抵抗器R1及びR3
の直列抵抗値r1 +r3 の時定数で定まる第1移行パル
ス幅Tp1 の時間経過後の時刻t4 において、第1移行
パルス信号Tm5 を停止する。したがって、出力端子O
UTから出力されていた第1移行パルス信号Tm5 が停
止し、図7等のパルスベース電流切換回路SW4が接点
bに復帰してベース電流設定回路IBで設定されたベー
ス電流設定信号Ibを出力するので、溶接出力制御回路
PSは、時刻t4 以後のベース電流を通電する。また、
この移行パルス時限回路TM5の時定数設定部品とし
て、端子e及びfには、抵抗値がそれぞれr1 ,r2 及
びr3 (ただし、r1 >r2 >r3 )の抵抗器R1,R
2及びR3が接続されており、抵抗器R2の両端には短
絡スイッチSW8が接続され、また抵抗器R3の両端に
は短絡スイッチSW9が接続されている。上記の第1移
行パルス信号Tm5 は、回路AND2と回路NOT4と
抵抗器及びコンデンサの積分回路とより成る第2トリガ
回路TR2に入力され、この回路TR2から図11
(J)の時刻t4 において、第2トリガ信号Tr2 が回
路OR2を通じて前述した移行ベース時限回路TM4に
入力される。
【0028】この回路TM4は、図11(G)の時刻t
4 に示すように、2回目の移行ベース信号(以下、第2
移行ベース信号という)を出力する。この信号Tm4
は、バイナリカウンタBCTのクロック端子Ckに入力
され、BCTは、図11(K)及び(L)の時刻t4 に
示すように、Q1 端子の出力信号Q1sが停止して第1短
絡スイッチSW8が復帰し、Q2 端子に信号Q2sが出力
されて第2短絡スイッチSW9が抵抗器R3を短絡す
る。したがって、移行パルス時限回路TM5は、端子e
及びf間に接続された抵抗器の抵抗値r1 +r2 の定数
で定まる時刻だけ、Q1 端子の出力が「1」すなわち信
号Q1sを出力する。なお、Q2 端子は、Q1端子の出力
が「0」から「1」にかわっても、「1」から「1」が
そのまま出力される。
【0029】時刻t4 <t≦t5 の動作 移行ベース時限回路TM4は、時刻t5 において、第2
移行ベース信号Tm4を停止する。以後の動作は、前述
した時刻t3 のときと同じ動作を行い、図11(A)の
時刻t5 に示すように、第2移行パルス電流It2 を出
力する。
【0030】時刻t5 <t<t8 の動作 移行パルス時限回路TM5が前述した抵抗値r1 +r2
で定まる第2移行パルス幅Tp2 の時限経過後の時刻t
6 において、第2移行パルス信号Tm5 を停止する。以
後の動作は、前述した時刻t4 のときと同じ動作を行
い、図11(A)の時刻t6 に示すように、ベース電流
を通電する。バイナリカウンタBCTは、時刻t6 にお
いて3回目の移行ベース信号Tm4 が入力されると、Q
1 端子は信号Q1sを出力するので第1短絡スイッチが抵
抗器R2を短絡し、Q2端子も引続き抵抗器R3を短絡
するので、移行パルス時限回路TM5の端子e及びf間
には、抵抗値はr1 となる。したがって、移行パルス時
限回路TM5は、時刻t7 において第3移行パルス信号
Tm5 を出力した後、上記の抵抗値r1 で定まる第3移
行パルス幅Tp3 の時間経過後に、信号Tm5 を停止す
る。
【0031】時刻t≧t8 時刻t8 において、図11(D)に示すように、移行期
間時限回路TM3が移行期間Ttの時限を終了して移行
期間信号Tm3 を停止すると、移行ベース時限回路TM
4、移行パルス時限回路TM5及び移行溶接切換回路P
Tの反転R端子に入力されていた移行期間信号Tm3 の
停止によって、これらの回路TM4、TM5及びPTに
はリセット状態が持続するので、動作を停止する。移行
期間信号Tm3 の停止によって、回路NOT7は信号N
t7 を回路AND3に出力するので、AND3は通常の
パルス電流Iwを定めるパルス幅周波数制御信号Dfを
回路OR3に出力し、OR3は移行溶接切換信号Twと
してパルスベース電流切換回路SW4に出力し、以後、
信号Dfで定まるパルス電流Iwが通電される。
【0032】上記の図10の実施例においては、移行期
間時限回路TM3、移行ベース時限回路TM4及び移行
パルス時限回路TM5として単安定マルチバイブレータ
回路を使用したが、この実施例に限定されることはな
い。
【0033】
【本発明の効果】請求項1のホットスタート電流切換方
は、溶接開始時にホットスタート電流Ihを通電した
後に、溶接中のパルス電流Iwのパルス幅Tpよりも大
のパルス幅Tp1 から溶接中のパルス電流Iwのパルス
幅Tpに段階的に切換えた移行パルス電流It1 ,It
2 ,…を通電して溶接を開始するようにしたことによっ
て、アーク発生直後のホットスタート電流Ihから溶接
時のパルス電流Iwに切換えた直後にワイヤ溶融速度の
急激な変化によるワイヤ先端の溶融粒の短絡によって発
生するスパッタ及びバーンバックを防止することができ
る。
【0034】請求項2のホットスタート電流切換方法
は、請求項1の構成に加えて、溶接開始時のホットスタ
ート電流Ihを通電する直前すなわちワイヤ先端が被溶
接物に接触した時に、溶接時のパルス電流Iwのパルス
幅Tpよりもパルス幅の小さいスタート用電流Igを通
電することによって、ワイヤが充分に加熱しない間の入
熱を制限してアークの発生を維持することができない長
さのワイヤ溶断が発生しないようにして、ワイヤ先端が
被溶接物に接触している付近を加熱溶融させ、ワイヤ先
端の溶断によるスパッタの発生を防ぐことができる。
【0035】請求項4のパルスMAGホットスタート電
流切換方法は、請求項1の制御方法を実施するときに、
通常のパルスMAG溶接装置のパルス電流値設定回路I
P、ベース電流設定回路IB、パルスベース電流切換回
路SW4をそのまま使用することができる。請求項3の
パルスMAGホットスタート電流切換方法は、請求項1
の制御方法を実施するときに、移行期間Ttの間は、溶
接時のパルス電流Iwのパルス幅とパルス周波数とを制
御するパルス幅周波数制御信号Dfを停止するととも
に、移行パルス信号Tm5 を出力し、移行期間Ttの経
過後は逆の状態に切り換えることによって、移行パルス
期間Tt及び移行パルス幅Tp1 ,Tp2 ,…を溶接時
のパルス電流Iwの平均値Iaに対応させて予め設定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、従来技術1のアークスタート時
のワイヤ先端の位置とアークの発生との時間的経過を説
明する図であり、同図(B)は、同図(A)に対応した
溶接電流の時間的経過を示す図である。
【図2】図2(A)は、従来技術2のアークスタート時
のワイヤ先端の位置とアークの発生との時間的経過を説
明する図であり、同図(B)は、同図(A)に対応した
溶接電流の時間的経過を示す図である。
【図3】図3(A)は、従来技術3のアークスタート時
の溶接電圧の時間的経過を示す図であり、同図(B)
は、同図(A)に対応した溶接電流の時間的経過を示す
図であり、同図(C)乃至(E)は、同図(A)及び
(B)に示す時刻に対応したワイヤ先端の位置の時間的
経過を示す図である。
【図4】図4(A)は、従来のホットスタート電流切換
方法を実施するパルスMAG溶接装置のブロック図であ
り、同図(B)は溶接電流Iの時間的経過を示す図であ
り、同図(C)は溶接電流通電信号Ieの時間的経過を
示す図であり、同図(D)はホットスタート時限切換信
号Tm1 の時間的経過を示す図である。
【図5】図5(A)は、本発明のアークスタート時のワ
イヤ先端の位置及びアーク発生状態の時間的経過を示す
図であり、同図(B)は、溶接電流の時間的経過を示す
図である。
【図6】図6は、本発明のホットスタート電流切換方法
Aと従来のホットスタート電流切換方法Zとの溶接電流
Iに対するスパッタの発生量G/Nを測定した比較グラ
フである。
【図7】図7は、本発明のホットスタート電流切換方法
を実施する溶接装置のブロック図である。
【図8】図8は、図7の溶接装置のうちの移行パルス制
御回路SRの具体的構成を除く第1の実施例(パルス周
波数制御)のブロック図である。
【図9】図9は、図7の溶接装置のうちの移行パルス制
御回路SRの具体的構成を除く第2の実施例(パルス幅
制御)のブロック図である。
【図10】図10は、図7乃至図9のブロック図のうち
の移行パルス制御回路SRの実施例の接続図である。
【図11】図11(A)乃至(L)は、図7乃至図9の
ブロック図及び図10の接続図の各部の信号のタイムチ
ャートであり、同図(R)は、図10の接続図中の切換
え後の抵抗値を示す図である。
【符号の説明】
(図5) 1 ワイヤ(ワイヤ) 1a ワイヤ先端 2 被溶接物 3 アーク 3a スタート用アーク 5 ノズル 7a (ワイヤ先端部分の溶断による)スパッタ 7b (ワイヤ先端の溶融粒による)スパッタ t1 ,t2 ,t3 ,…t9 時間的経過tにおける各
時刻 Ig スタート用電流 Ih ホットスタート電流 Iw (溶接中の)パルス電流 Tp (パルス電流Iwの)パルス幅 Th ホットスタート期間 Tt (ホットスタート電流Ihからパルス電流Iw
への)移行期間 Tp1 第1移行パルス幅又は期間(移行期間Tt中
の第1パルス電流It1 のパルス幅) Tp2 第2移行パルス幅又は期間(移行期間Tt中
の第2パルス電流It2 のパルス幅) Tp3 第3移行パルス幅又は期間(移行期間Tt中
の第3パルス電流It3 のパルス幅) It 移行電流(移行期間Tt中のパルス電流) It1 第1移行パルス電流(移行期間Tt中の第1
パルス電流) It2 第2移行パルス電流(移行期間Tt中の第2
パルス電流) It3 第3移行パルス電流(移行期間Tt中の第3
パルス電流) Tbt 移行ベース期間(移行期間Tt中のベース電
流の通電期間) (図7乃至図11) WM ワイヤ送給モータ WC ワイヤ送給制御回路 IM 平均電流設定回路 ID 溶接電流検出回路 IE 溶接電流通電回路 VS アーク電圧設定回路 VD アーク電圧検出回路 CM1 第1比較回路 CM2 第2比較回路 CM3 第3比較回路 VF パルス周波数信号発生回路 IH ホットスタート電流設定回路 IP パルス電流値設定回路 TP パルス幅設定回路 DF パルス信号発生回路 IB ベース電流設定回路 SW4 パルスベース電流切換回路 SW6 スタート電流切換回路 TM1 ホットスタート時限回路 PS 溶接出力制御回路 SR 移行パルス制御回路 TM3 移行期間時限回路 TM4 移行ベース時限回路 TM5 移行パルス時限回路 PT 移行パルス幅切換回路 TW 移行溶接切換回路 FP パルス周波数設定回路 Wc ワイヤ送給制御信号 Im 平均電流設定信号 Id 溶接電流検出信号 Ie 溶接電流通電信号 Vs1 アーク電圧設定信号 Vd アーク電圧検出信号 Cm2 アーク電圧制御信号 Cm3 電流値制御信号 Vf パルス周波数信号 Ip パルス電流値設定信号 Ihs ホットスタート電流設定信号 Tps パルス幅設定信号 S6 電流値設定信号 Df パルス幅周波数制御信号 Ib ベース電流設定信号 Pf パルス制御信号 Tm1 ホットスタート信号 Tm3 移行期間信号 Tm4 移行ベース信号 Tm5 移行パルス信号 Tw 移行溶接切換信号 Fp パルス周波数設定信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中俣 利昭 大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式 会社ダイヘン内 (72)発明者 柴田 益男 大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式 会社ダイヘン内 (72)発明者 土井 敏光 大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式 会社ダイヘン内 (56)参考文献 特開 昭63−13674(JP,A) 特開 平1−192482(JP,A) 特開 昭57−50278(JP,A) 実開 昭59−129475(JP,U) 特公 昭61−27154(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/067 B23K 9/00 B23K 9/09 B23K 9/173

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接開始時に、ワイヤ先端が被溶接物に
    接触した時に、アークが発生した後の溶接中のパルス電
    流の平均値よりも大きい電流値のホットスタート電流を
    通電した後に、パルス電流を通電するパルスMAG溶接
    ホットスタート電流切換方法において、前記ホットスタ
    ート電流の通電終了時から前記パルス電流の通電開始時
    までの移行期間を設定し、前記移行期間中に、前記パル
    ス電流のパルス幅よりも大のパルス幅から前記パルス電
    流のパルス幅まで段階的に切り換えた複数の移行パルス
    電流を通電するパルスMAG溶接ホットスタート電流切
    換方法。
  2. 【請求項2】 溶接開始時に、ワイヤ先端が被溶接物に
    接触した時に、アークが発生した後の溶接中のパルス電
    流の平均値よりも大きい電流値のホットスタート電流を
    通電した後に、パルス電流を通電するパルスMAG溶接
    ホットスタート電流切換方法において、ワイヤ先端が被
    溶接物に接触した時に、前記パルス電流のパルス幅より
    も小のパルス幅のスタート用電流を通電し、続けて前記
    ホットスタート電流の通電終了時から前記パルス電流の
    通電開始時までの移行期間を設定し、前記移行期間中
    に、前記パルス電流のパルス幅よりも大のパルス幅から
    前記パルス電流のパルス幅まで段階的に切り換えた複数
    の移行パルス電流を通電するパルスMAG溶接ホットス
    タート電流切換方法。
  3. 【請求項3】 溶接開始時に、ワイヤ先端が被溶接物に
    接触した時に、アークが発生した後の溶接中のパルス電
    流の平均値よりも大きい電流値のホットスタート電流を
    通電した後に、パルス電流を通電するパルスMAG溶接
    ホットスタート電流切換方法において、前記ホットスタ
    ート電流の通電終了時から前記パルス電流の通電開始時
    までの移行期間を設定し、前記移行期間中は、前記パル
    ス電流のパルス幅よりも大のパルス幅から前記パルス電
    流のパルス幅まで段階的に切り換えた複数の移行パルス
    電流の通電開始と通電終了とを制御する移行パルス信号
    を溶接出力制御回路に出力し、前記移行期間終了後は、
    前記パルス電流のパルス幅とパルス周期とを制御するパ
    ルス幅周波数制御信号を溶接出力制御回路に出力するパ
    ルスMAG溶接ホットスタート電流切換方法。
  4. 【請求項4】 溶接開始時に、ワイヤ先端が被溶接物に
    接触した時に、アー クが発生した後の溶接中のパルス電
    流の平均値よりも大きい電流値のホットスタート電流を
    通電した後に、パルス電流を通電するパルスMAG溶接
    ホットスタート電流切換方法において、前記ホットスタ
    ート電流の通電終了時から前記パルス電流の通電開始時
    までの移行期間を設定し、前記移行期間中は、前記パル
    ス電流のパルス幅よりも大のパルス幅から前記パルス電
    流のパルス幅まで段階的に切り換えた複数の移行パルス
    電流の通電開始と通電終了とを制御するパルス信号によ
    って、パルス電流値設定信号とベース電流設定信号とを
    切り換えるパルスベース電流切換回路を切り換え、前記
    移行期間終了後は、前記パルス電流のパルス幅とパルス
    周波数とを制御するパルス幅周波数制御信号によって前
    記パルスベース電流切換回路を切り換えて、溶接出力制
    御回路に出力するパルスMAG溶接ホットスタート電流
    切換方法。
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