JP2002248572A - アークスタート制御方法 - Google Patents

アークスタート制御方法

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JP2002248572A
JP2002248572A JP2001048231A JP2001048231A JP2002248572A JP 2002248572 A JP2002248572 A JP 2002248572A JP 2001048231 A JP2001048231 A JP 2001048231A JP 2001048231 A JP2001048231 A JP 2001048231A JP 2002248572 A JP2002248572 A JP 2002248572A
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Futoshi Nishisaka
太志 西坂
Toshiro Uesono
敏郎 上園
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Daihen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接ワイヤを前進送給し、溶接ワイヤが被溶
接物に接触したことを判別すると初期電流を通電すると
共に溶接ワイヤを被溶接物から後退送給し、この後退送
給によって溶接ワイヤが被溶接物から離れて初期アーク
が発生すると溶接ワイヤを再び前進送給すると共に定常
の出力電流を通電して定常のアークへと移行させるアー
クスタート制御方法において、上述した溶接ワイヤと被
溶接物とが接触した瞬間に不要なアークが発生してワイ
ヤ先端が被溶接物に溶着する。 【解決手段】 溶接電源装置からの出力電圧Vwの印加
を停止したままで、溶接電源装置に内蔵された接触判別
電圧印加回路VTから溶接ワイヤと被溶接物との間に接
触判別電圧Vtを印加して、両者が接触するとアークが
発生しない程度に小電流値の接触判別電流Itが通電す
ることで接触を判別する。この接触判別動作によって、
上述した接触時の溶着を防止することがでる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正逆回転が可能な
ワイヤ送給モータによって、溶接ワイヤを被溶接物へ前
進送給及び後退送給してアークスタートさせる消耗電極
ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ送給モータを正回転させて溶接ワ
イヤを被溶接物へ前進送給し、溶接ワイヤが被溶接物に
接触したことを判別するとワイヤ送給モータを逆回転さ
せて溶接ワイヤを被溶接物から後退送給し、同時に予め
定めた小電流値の初期電流Isを通電し、上記の後退送
給によって溶接ワイヤが被溶接物から離れて初期アーク
が発生すると溶接ワイヤを予め定めた定常の送給速度で
再前進送給し、同時に定常の出力電流Icを通電して、
初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行
させる消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスター
ト制御方法が従来から知られている。以下、この従来技
術のアークスタート制御方法について図面を参照して説
明する。
【0003】図2は、消耗電極ガスシールドアーク溶接
用の溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して説
明する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータWMと直結
した送給ロール5aによって、溶接トーチ4を通って送
給される。ワイヤ送給モータWMが正回転すると溶接ワ
イヤ1は被溶接物2へ前進送給され、逆回転すると溶接
ワイヤ1は被溶接物2から離れる方向に後退送給され
る。溶接電源装置PSから出力される出力電圧Vwは、
溶接トーチ4の先端に取り付けられたコンタクトチップ
4aによって溶接ワイヤ1に給電される。そして、溶接
ワイヤ1と被溶接物2との間が接触(短絡)状態又はア
ーク発生状態3にあるときは、出力電流Iwが通電す
る。他方、溶接ワイヤ1と被溶接物2とが離れている無
負荷状態のときは、出力電圧Vwは溶接電源装置PSか
ら出力される最大電圧値である無負荷電圧Vnlとなり、
出力電流Iwは通電しない。また、溶接ワイヤ1の先端
と被溶接物2との最短距離が、ワイヤ先端・被溶接物間
距離Lw[mm]となる。したがって、アーク発生中のワ
イヤ先端・被溶接物間距離Lwはアーク長と等しくな
る。
【0004】図3は、前述した従来技術のアークスター
ト制御方法を実施するための溶接電源装置PSのブロッ
ク図である。以下、同図を参照して各回路ブロックにつ
いて説明する。
【0005】電圧検出回路VDは、出力電圧Vwを検出
して電圧検出信号Vdを出力する。短絡/アーク判別回
路SAは、上記の電圧検出信号Vdを入力としてその電
圧値によって判別して、溶接ワイヤ1と被溶接物2との
間が接触状態のときは短絡信号(Highレベル)を、
アーク発生状態のときはアーク発生信号(Lowレベ
ル)を、短絡/アーク判別信号Saとして出力する。た
だし、後述するように初期アーク発生後に再前進送給へ
切り換えるタイミングを遅延するために、上記の短絡/
アーク判別信号Saは短絡信号からアーク発生信号への
変化時点が予め定めた遅延時間Tdだけオフディレイさ
れた信号となる。
【0006】定常の送給速度設定回路WSは、定常の送
給速度設定信号Wsを出力する。送給制御回路FCは、
外部から溶接開始信号Stが入力(Highレベル)さ
れると、溶接ワイヤ1を被溶接物2へ予め定めた初期送
給速度Wiで前進送給し、上記の短絡/アーク判別信号
Saが短絡信号(Highレベル)に変化すると溶接ワ
イヤ1を被溶接物2から予め定めた後退送給速度Wrで
後退送給し、上記の短絡/アーク判別信号Saがアーク
発生信号(Lowレベル)に変化すると溶接ワイヤ1を
被溶接物2へ上記の定常の送給速度Wsで再前進送給す
るための送給制御信号Fcを出力する。ワイヤ送給モー
タWMは、図2の説明の項で前述したように、上記の送
給制御信号Fcに従って溶接ワイヤ1を前進送給又は後
退送給する。
【0007】電圧設定回路VSは、溶接電源装置PSの
出力電圧Vwを設定するための電圧設定信号Vsを出力
する。出力制御回路INVは、商用電源(通常は3相2
00V)を入力として、インバータ制御、サイリスタ位
相制御等によって、アーク3を安定に維持するために適
した出力電圧Vw及び出力電流Iwを出力する。この出
力制御回路INVは、外部から溶接開始信号Stが入力
(Highレベル)された時点から上記の短絡/アーク
判別信号Saが短絡信号(Highレベル)からアーク
発生信号(Lowレベル)へ変化する時点までの間は、
後述する図4(E)に示す予め定めた小電流値の初期電
流Isを通電するための定電流特性又は垂下特性を形成
して出力し、それ以降は上記の定常の送給速度Wsに対
応した、後述する図4(E)に示す定常の出力電流Ic
を通電するための上記の電圧設定信号Vsに相当する定
電圧特性を形成して出力し、上記の溶接開始信号Stの
入力が終了(Lowレベル)すると出力を停止する。
【0008】図4は、図3で上述した溶接電源装置PS
の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶
接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は送給制
御信号Fcの時間変化を示し、同図(C)は短絡/アー
ク判別信号Saの時間変化を示し、同図(D)は出力電
圧Vwの時間変化を示し、同図(E)は出力電流Iwの
時間変化を示し、同図(F)はワイヤ先端・被溶接物間
距離Lwの時間変化を示し、同図(G1)〜(G5)は
各時刻における溶接ワイヤ1の送給状態を示す。以下、
同図を参照して説明する。
【0009】 時刻t1〜t2の期間(前進送給期
間) 時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始
信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、
同図(B)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の
初期送給速度設定値Wiとなり、同図(G1)に示すよ
うに、溶接ワイヤ1は被溶接物2へ初期送給速度Wiで
前進送給される。なお、送給制御信号Fcが正の値のと
きは前進送給となり、負の値のときは後退送給となる。
また、図3の説明の項で前述したように、この期間中の
出力制御回路INVは定電流特性又は垂下特性を形成し
て出力しているが、溶接ワイヤ1と被溶接物2とは離れ
て無負荷状態にあるために、同図(D)に示すように、
出力電圧Vwは最大電圧値の無負荷電圧Vnlになる。一
方、同図(F)に示すように、この期間中のワイヤ先端
・被溶接物間距離Lwは、時間経過に伴い次第に短くな
る。
【0010】 時刻t2〜t3の期間(後退送給期
間) 時刻t2において、同図(G2)に示すように、上記
項の前進送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触
すると、同図(D)に示すように、出力電圧Vwが数
[V]程度の低い値に変化するので、同図(C)に示す
ように、短絡/アーク判別信号Saは短絡信号(Hig
hレベル)に変化する。この変化に応じて、同図(B)
に示すように、送給制御信号Fcは負の値の後退送給速
度設定値Wrとなり、溶接ワイヤ1は被溶接物2から後
退送給速度Wrで後退送給される。同時に、図(E)に
示すように、項で上述した定電流特性又は垂下特性に
よって小電流値の初期電流Isが通電する。この初期電
流Isの値は、数[A]〜数十[A]程度の小電流値に
設定される。一方、この期間中、溶接ワイヤ1は後退送
給されているが、ワイヤ送給モータWMの正逆反転のた
めのモータ応答遅れ時間及び溶接ワイヤの溶接トーチ内
での曲がりによる遊び分を後退送給するための遊び分送
給遅れ時間のために、溶接ワイヤ1と被溶接物2とは接
触状態のままである。したがって、同図(F)に示すよ
うに、この期間中のワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは
0[mm]のままである。
【0011】 時刻t3〜t4の期間(後退送給期
間) 時刻t3直後において、同図(G3)に示すように、上
記項の後退送給によって溶接ワイヤ1と被溶接物2と
が離れると、上記の初期電流Isが通電する初期アーク
3aが発生する。初期アーク3aが発生すると、同図
(D)に示すように、出力電圧Vwは初期アーク3aの
アーク長(ワイヤ先端・被溶接物間距離Lw)に比例し
た値となる。また、初期アーク3aが発生した時刻t3
直後から前述した遅延時間Tdが経過する時刻t4まで
の間は、同図(C)に示すように、短絡/アーク判別信
号Saは短絡信号(Highレベル)のままである。そ
のために、同図(G4)に示すように、上記の初期アー
ク発生状態3aを維持したままで後退送給が継続する。
したがって、同図(F)に示すように、この期間中のワ
イヤ先端・被溶接物間距離Lwは、時間経過に伴い次第
に長くなる。
【0012】 時刻t4以降の期間(再前進送給期
間) 時刻t4において、同図(C)に示すように、短絡/ア
ーク判別信号Saが上記の遅延時間Tdが経過して短絡
信号(Highレベル)からアーク発生信号(Lowレ
ベル)へ変化すると、同図(B)に示すように、送給制
御信号Fcは正の値の定常の送給速度設定信号Wsとな
り、溶接ワイヤ1は定常の送給速度Wsで被溶接物2へ
再前進送給される。同時に、図3の説明の項で前述した
ように、出力制御回路INVは電圧設定信号Vsに相当
する定電圧特性を形成するので、同図(D)に示すよう
に、出力電圧Vwは上記の電圧設定信号Vsに相当する
値となると共に、同図(E)に示すように、上記の定常
の送給速度Wsに対応した定常の出力電流Icが通電す
る。この通電によって、同図(G4)に示す初期アーク
3aから同図(G5)に示す定常のアーク3bへと移行
し、同図(F)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間
距離Lwも上記の電圧設定信号Vsに対応する定常のア
ーク長になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図5は、従来技術の解
決課題を説明するための前述した図4に相当するタイミ
ングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの
時間変化を示し、同図(B)は送給制御信号Fcの時間
変化を示し、同図(C)は短絡/アーク判別信号Saの
時間変化を示し、同図(D)は出力電圧Vwの時間変化
を示し、同図(E)は出力電流Iwの時間変化を示し、
同図(F)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変
化を示し、同図(G1)〜(G4)は各時刻における溶
接ワイヤ1の送給状態を示す。以下、同図を参照して説
明する。
【0014】図4のときと同様に、時刻t1において、
同図(A)に示すように、溶接開始信号Stが外部から
入力(Highレベル)されると、同図(B)に示すよ
うに、送給制御信号Fcは正の値の初期送給速度設定値
Wiとなり、同図(G1)に示すように、溶接ワイヤ1
は被溶接物2へ初期送給速度Wiで前進送給される。同
時に、図4のときと同様に、出力制御回路INVは定電
流特性又は垂下特性を形成して出力しているが、無負荷
状態であるために、同図(D)に示すように、出力電圧
Vwは、後述する図4(D)に示すように、最大電圧値
の無負荷電圧Vnlとなる。
【0015】上記の前進送給によって時間経過と共に、
同図(F)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離
Lwは次第に短くなる。そして、時刻t11において、
ワイヤ先端と被溶接物2とが非常に接近した状態になる
と、同図(G2)に示すように、上記の最大電圧値の無
負荷電圧Vnlによって初期アーク3aが発生する場合が
ある。初期アーク3aが発生すると、同図(E)に示す
ように、初期電流Isが通電する。この初期アーク3a
が発生したままで前進送給は継続するが、時刻t2にお
いて溶接ワイヤ1と被溶接物2とが接触すると初期アー
ク3aは消滅する。このときに、上記の期間中(時刻t
11〜t2)の初期アーク3aによって、同図(G3)
に示すように、ワイヤ先端部及び被溶接物2が溶融され
るために、接触して初期アーク3aが消滅するとワイヤ
先端部が被溶接物2に溶着する(以下、この現象を接触
時の溶着という)。
【0016】一方、同図(C)に示すように、時刻t2
において、短絡/アーク判別信号Saは短絡信号(Hi
ghレベル)に変化して、溶接ワイヤ1の後退送給が開
始される。しかし、ワイヤ先端部が溶着しており溶接ワ
イヤ1と被溶接物2とが離れないために、いつまでも初
期アーク3aは再び発生しない。したがって、時刻t2
から長い時間が経過した後の時刻t21においても、同
図(B)に示す送給制御信号Fcは後退送給速度設定値
Wrのままであり、同図(C)に示す短絡/アーク判別
信号Saは短絡信号のままであり、同図(D)に示す出
力電圧Vwは数[V]程度の低い値のままであり、同図
(E)に示す出力電流Iwは初期電流値Isのままであ
り、同図(F)に示すワイヤ先端・被溶接物間距離Lw
は0[mm]のままであり、同図(G4)に示すように、
溶接ワイヤ1は被溶接物2と溶着したままである。この
ために、アークスタートすることができず溶接不良とな
る。
【0017】上述した接触時の溶着は、被溶接物の材質
が鉄鋼又はステンレス鋼のときに発生しやすく、アルミ
ニウム又はその合金のときには発生頻度が低くなる。ま
た、鉄鋼又はステンレス鋼の場合、初期電流値Isが約
5[A]以上になると接触時の溶着は高い頻度で発生す
る。
【0018】従来の消耗電極ガスシールドアーク溶接用
の溶接電源装置においては、その最大出力電流値は約8
00[A]と非常に大きな値であり、かつ、溶接に使用
可能な最小出力電流値は約30[A]と小さな値であ
る。このために、溶接電源装置は、約30〜800
[A]の電流範囲内では前述したインバータ制御等によ
って安定した出力電流を出力することができる。しか
し、約10[A]以下の電流値では、溶接電源装置は安
定した出力電流を出力することができず、その値は大き
く変動する。したがって、接触時の溶着を防止するため
に、初期電流値Isを数[A]に設定しても、その値は
不安定に変動して10[A]を超えることになり、接触
時の溶着を防止することはできない。
【0019】さらに、前述した時刻t11において、初
期アーク3aが発生して初期電流Isが通電を開始した
ときに、フィードバック制御系の応答遅れによるオーバ
ーシュートが発生して、短時間数十[A]以上の電流が
通電するために、接触時の溶着が発生する。したがっ
て、従来の溶接電源装置を使用する場合、前述した接触
時の溶着を防止することは困難であった。
【0020】そこで、本発明では、接触時の溶着が発生
しない良好なアークスタートを確実に行うことができる
アークスタート制御方法を提供する。
【0021】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1の発明
は、図6〜図8に示すように、溶接電源装置に溶接開始
信号Stが入力されると溶接ワイヤ1を被溶接物2へ前
進送給し、この前進送給によって溶接ワイヤ1と被溶接
物2とが接触したことを判別すると予め定めた小電流値
の初期電流Isを上記溶接電源装置から通電すると共に
溶接ワイヤ1を被溶接物2から後退送給し、この後退送
給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2から離れると上記
初期電流Isが通電して初期アーク3aが発生し、この
初期アーク3aが発生したことを判別した後に溶接ワイ
ヤ1を予め定めた定常の送給速度Wsで被溶接物2へ再
前進送給すると共に上記定常の送給速度Wsに対応した
定常の出力電流Icを通電することによって上記初期ア
ーク発生状態3aから定常のアーク発生状態3bへと移
行させる消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタ
ート制御方法において、上記溶接ワイヤ1と被溶接物2
との接触の判別動作が、上記溶接電源装置VTPS又は
SPSからの出力電圧Vwの印加を停止したままで、上
記溶接電源装置VTPSに内蔵又は外部に設置された接
触判別電圧印加回路VTから溶接ワイヤ1と被溶接物2
との間に接触判別電圧Vtを印加して上記両者が接触す
ると1[mA]以上3[A]以下の接触判別電流Itが
通電することを判別することによって行う接触の判別動
作であるアークスタート制御方法である。
【0022】出願時の請求項2の発明は、図6に示すよ
うに、出願時の請求項1に記載する接触判別電圧印加回
路VTが、略定電圧特性を有する電源Eと、この電源の
出力に直列に挿入された電流制限用抵抗器Rtとから形
成される接触判別電圧印加回路VTである出願時の請求
項1のアークスタート制御方法である。
【0023】出願時の請求項3の発明は、図9に示すよ
うに、出願時の請求項1に記載する接触判別電圧印加回
路VTが、定電流特性又は垂下特性を有する電源ITS
である出願時の請求項1のアークスタート制御方法であ
る。
【0024】出願時の請求項4の発明は、図10及び図
11に示すように、出願時の請求項1に記載する溶接ワ
イヤ1と被溶接物2との接触を判別すると、予め定めた
初期電流通電遅延時間Tdsだけ前進送給を継続した後
に、後退送給及び初期電流Isの通電を開始する出願時
の請求項1のアークスタート制御方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例は、図
1(図6と同一の図)に示すように、溶接電源装置に外
部から溶接開始信号Stが入力されると、溶接ワイヤ1
を被溶接物2へ前進送給し、この前進送給によって溶接
ワイヤ1と被溶接物2とが接触したことを判別すると予
め定めた小電流値の初期電流Isを上記溶接電源装置か
ら通電すると共に溶接ワイヤ1を被溶接物2から後退送
給し、この後退送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2
から離れると上記初期電流Isが通電して初期アークが
発生し、この初期アークが発生したことを判別した後に
溶接ワイヤ1を予め定めた定常の送給速度Wsで被溶接
物2へ再前進送給すると共に上記定常の送給速度Wsに
対応した定常の出力電流Icを通電することによって上
記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移
行させる消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタ
ート制御方法において、上記溶接ワイヤ1と被溶接物2
との接触の判別動作が、溶接電源装置VTPSからの出
力電圧Vwの印加を停止したままで、上記溶接電源装置
VTPSに内蔵された接触判別電圧印加回路VTから溶
接ワイヤ1と被溶接物2との間に接触判別電圧Vtを印
加して、上記両者が接触すると1[mA]以上3[A]
以下の接触判別電流Itが通電することを判別すること
によって行う接触の判別動作であるアークスタート制御
方法である。
【0026】
【実施例】[実施例1]以下に説明する実施例1の発明
は、出願時の請求項1及び請求項2の発明に対応する実
施例である。実施例1の発明は、前述した従来技術にお
ける溶接ワイヤと被溶接物との接触の判別動作が、溶接
電源装置からの出力電圧の印加を停止したままで、溶接
電源装置に内蔵された接触判別電圧印加回路から溶接ワ
イヤと被溶接物との間に接触判別電圧Vtを印加して、
上記両者が接触すると1[mA]以上3[A]以下の接
触判別電流Itが通電することを判別することによって
行う接触の判別動作であるアークスタート制御方法であ
る。以下、実施例1の発明について図面を参照して説明
する。
【0027】図6は、実施例1のアークスタート制御方
法を実施するための接触判別電圧印加回路内蔵溶接電源
装置VTPSのブロック図である。以下、同図を参照し
て説明する。
【0028】接触判別電圧印加回路VTは、電源E、電
流制限用抵抗器Rt及び開閉回路SWから成る。電源E
は、数十〜数百[V]の直流の略定電圧特性を有する電
源又は数十〜数百[V]の交流電源である。電流制限用
抵抗器Rtは、溶接ワイヤと被溶接物とが接触したとき
に予め定めた接触判別電流Itが通電する抵抗値に設定
される。この接触判別電流Itの値は、前述した接触時
の溶着が発生しない3[A]以下であり、かつ、電流の
通電を確実に検出するために1[mA]以上である電流
範囲内で適正値に設定される。開閉回路SWは、後述す
る電圧印加信号Ffが入力(Highレベル)されると
導通状態になり、接触判別電圧Vt=Eが印加される。
他方、この電圧印加信号Ffが入力されないとき(Lo
wレベル)は遮蔽状態になり、接触判別電圧Vtは印加
されない。
【0029】電流検出回路IDは、上記の接触判別電流
Itを検出して、電流検出信号Idを出力する。なお、
この電流検出回路IDは、前述した図3には図示してい
ないが、出力電流Iwを検出するために従来装置にも設
けられている。接触判別回路SDは、上記の電流検出信
号Idを入力として、接触判別電流Itの通電を判別し
て接触判別信号Sdを出力する。フリップフロップ回路
FFは、溶接開始信号Stが外部から入力されるとセッ
トされ、上記の接触判別信号Sdが入力されるとリセッ
トされる電圧印加信号Ffを出力する。したがって、こ
の電圧印加信号Ffは、溶接開始信号Stの入力時点か
ら接触判別信号Sdの入力時点までの間、出力(Hig
hレベル)される。
【0030】電圧検出回路VDは、図3の説明の項で前
述したように、出力電圧Vwを検出して、電圧検出信号
Vdを出力する。短絡/アーク判別回路SAは、図3の
説明の項で前述したように、上記の電圧検出信号Vdを
入力としてその電圧値によって判別して、溶接ワイヤと
被溶接物との間が接触状態のときは短絡信号(High
レベル)を、アーク発生状態のときはアーク発生信号
(Lowレベル)を、短絡/アーク判別信号Saとして
出力する。
【0031】定常の送給速度設定回路WSは、図3の説
明の項で前述したように、定常の送給速度設定信号Ws
を出力する。送給制御回路FCは、外部から溶接開始信
号Stが入力(Highレベル)されると溶接ワイヤを
被溶接物へ予め定めた初期送給速度Wiで前進送給し、
上記の接触判別信号Sdが入力(Highレベル)され
ると溶接ワイヤを被溶接物から予め定めた後退送給速度
Wrで後退送給し、上記の短絡/アーク判別信号Saが
アーク発生信号(Lowレベル)に変化すると溶接ワイ
ヤを被溶接物へ上記の定常の送給速度Wsで再前進送給
するための送給制御信号Fcを出力する。ワイヤ送給モ
ータWMは、図3の説明の項で前述したように、上記の
送給制御信号Fcに従って溶接ワイヤを前進送給又は後
退送給する。
【0032】電圧設定回路VSは、図3の説明の項で前
述したように、溶接電源装置から出力される出力電圧V
wを設定するための電圧設定信号Vsを出力する。出力
制御回路INVは、溶接開始信号Stが入力(High
レベル)されても上記の接触判別信号Sdが入力(Hi
ghレベル)されるまでは出力電圧Vwの印加を停止し
たままであり、上記の接触判別信号Sdが入力(Hig
hレベル)された時点から上記の短絡/アーク判別信号
Saがアーク発生信号(Lowレベル)に変化する時点
までは予め定めた初期電流Isを通電する定電流特性又
は垂下特性を形成して出力し、それ以降は上記の定常の
送給速度Wsに対応した定常の出力電流Icを通電する
ための上記の電圧設定信号Vsに相当する定電圧特性を
形成して出力し、溶接開始信号Stの入力が終了(Lo
wレベル)すると出力を停止する。
【0033】図7は、図6で上述した接触判別電圧印加
回路内蔵溶接電源装置VTPSの各信号のタイミングチ
ャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変
化を示し、同図(B)は送給制御信号Fcの時間変化を
示し、同図(C)は接触判別信号Sdの時間変化を示
し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間変化
を示し、同図(E)は電圧印加信号Ffの時間変化を示
し、同図(F)は出力電圧Vwの時間変化を示し、同図
(G)は出力電流Iwの時間変化を示し、同図(H)は
ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変化を示し、同
図(I1)〜(I5)は各時刻における溶接ワイヤ1の
送給状態を示す。同図において、時刻t3以後の動作は
前述した図4の時刻t3以後と同様であるので説明は省
略する。以下、同図を参照して、時刻t1〜t3の期間
について説明する。
【0034】 時刻t1〜t2の期間(前進送給期
間) 時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始
信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、
同図(B)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の
初期送給速度設定値Wiとなり、同図(I1)に示すよ
うに、溶接ワイヤ1は被溶接物2へ初期送給速度Wiで
前進送給される。同時に、同図(E)に示すように、電
圧印加信号Ffがセットされて出力(Highレベル)
されるので図6で前述した開閉回路SWが導通状態とな
り、同図(F)に示すように、接触判別電圧Vtが溶接
ワイヤ1と被溶接物2との間に印加される。図6の説明
の項で前述したように、この期間中の出力制御回路IN
Vは出力を停止したままである。また、同図(H)に示
すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは、前進送
給によって時間経過に伴い次第に短くなる。
【0035】 時刻t2〜t3の期間(後退送給期
間) 時刻t2において、同図(I2)に示すように、上記
項の前進送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触
すると、同図(G)に示すように、接触判別電流Itが
通電する。そして、この通電を判別して、同図(C)に
示すように、接触判別信号Sdが出力(Highレベ
ル)される。これに応じて、電圧印加信号Ffがリセッ
トされてLowレベルに変化するために、図6で前述し
た開閉回路SWが遮蔽状態となり、接触判別電圧Vtの
印加は停止する。同時に、上記の接触判別信号Sdの出
力に応じて、同図(B)に示すように、送給制御信号F
cは負の値の後退送給速度設定値Wrとなり、溶接ワイ
ヤ1は後退送給速度Wrで後退送給されると共に、図6
で前述した出力制御回路INVは定電流特性又は垂下特
性を形成して出力される。このために、同図(G)に示
すように、図6で前述した接触判別電圧印加回路VTか
ら接触判別電流Itが短時間通電した後に、上記の出力
制御回路INVから初期電流Isが通電する。
【0036】また、この期間中、溶接ワイヤ1は後退送
給されているが、前述したモータ応答遅れ時間及び遊び
分送給遅れ時間のために、溶接ワイヤ1と被溶接物2と
は接触状態のままである。したがって、同図(H)に示
すように、この期間中のワイヤ先端・被溶接物間距離L
wは0[mm]のままであり、同図(F)に示すように、
出力電圧Vwは数[V]程度の低い値のままである。
【0037】上述したように、実施例1の発明では、接
触判別電圧印加回路VTを設けることによって、1[m
A]〜3[A]の範囲内の接触判別電流Itを通電して
接触を判別することができるので、前述した接触時の溶
着が発生しない良好なアークスタートを行うことができ
る。
【0038】[実施例2]以下に説明する実施例2の発
明は、出願時の請求項1の発明に対応する上述した実施
例1とは別の実施例である。実施例2の発明は、前述し
た実施例1の発明における接触判別電圧印加回路VTを
溶接電源装置の外部に設けた発明であり、その接触判別
動作は実施例1と同様である。以下、実施例2の発明に
ついて図面を参照して説明する。
【0039】図8は、実施例2の接触判別信号入力溶接
電源装置SPS及び接触判別装置SEのブロック図であ
る。以下、同図を参照して説明する。
【0040】溶接電源装置の外部に設けられた接触判別
装置SEは、接触判別電圧印加回路VT、接触判別電流
検出回路IT、接触判別回路SD及びフリップフロップ
回路FFから成る。接触判別電流検出回路ITは、前述
した接触判別電流Itを検出して、電流検出信号Idを
出力する。これ以外の回路の説明は、前述した図6と同
様であるので説明は省略する。そして、溶接開始信号S
t及び接触判別信号Sdが、接触判別装置SEから接触
判別信号入力溶接電源装置SPSへ出力される。
【0041】接触判別信号入力溶接電源装置SPSは、
前述した図6の回路構成から上記の接触判別装置SEの
回路を除いた回路から成り、それらの回路は図6と同様
であるので説明は省略する。
【0042】[実施例3]以下に説明する実施例3の発
明は、出願時の請求項3の発明に対応する実施例であ
る。実施例3の発明は、前述した実施例1の発明におけ
る接触判別電圧印加回路VTの電源Eが、定電流特性又
は垂下特性を有する電源ITSである発明であり、それ
以外は実施例1の発明と同様である。以下、実施例3の
発明について図面を参照して説明する。
【0043】実施例3の発明は、前述した図6又は図8
のブロック図において、接触判別電圧印加回路VTを後
述する図9の接触判別電圧印加回路IVTに置換したブ
ロック図となる。したがって、接触判別電圧印加回路I
VT以外の回路は図6又は図8と同様であるので、それ
らの説明は省略する。図9は、実施例3の接触判別電圧
印加回路IVTのブロック図である。以下、同図を参照
して説明する。電源ITSは、1[mA]〜3[A]の
範囲内で予め定めた接触判別電流Itを通電する定電流
特性又は垂下特性を有する電源である。したがって、溶
接ワイヤと被溶接物とが接触すると、上記の接触判別電
流Itが通電する。開閉回路SWは、前述した図6のと
きと同様に、電圧印加信号Ffが入力(Highレベ
ル)されると導通状態になり、入力されないとき(Lo
wレベル)は遮蔽状態になる。
【0044】[実施例4]以下に説明する実施例4の発
明は、出願時の請求項4の発明に対応する実施例であ
る。実施例4の発明は、前述した実施例1の発明におい
て、溶接ワイヤと被溶接物との接触を判別すると、予め
定めた初期電流通電遅延時間Tdsだけ前進送給を継続し
た後に、後退送給及び初期電流Isの通電を開始する実
施例1のアークスタート制御方法である。以下、実施例
4の発明について図面を参照して説明する。
【0045】図10は、実施例4のアークスタート制御
方法を実施するための初期電流通電遅延溶接電源装置D
PSのブロック図である。同図において、前述した図6
と同一の回路には同一符号を付して説明を省略する。以
下、図6とは異なる点線で示す初期電流通電遅延回路T
DSについて説明する。初期電流通電遅延回路TDS
は、接触を判別して接触判別信号SdがLowレベルか
らHighレベルへ変化する時点を、予め定めた初期電
流通電遅延時間Tdsだけオンディレイした初期電流通電
遅延信号Tdsを出力する。前述した図6において、接触
判別信号Sdを上記の初期電流通電遅延信号Tdsに置換
すれば、動作は図6と同様になる。
【0046】図11は、図10で上述した初期電流通電
遅延溶接電源装置DPSの各信号のタイミングチャート
である。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示
し、同図(B)は送給制御信号Fcの時間変化を示し、
同図(C)は図7と異なり初期電流通電遅延信号Tdsの
時間変化を示し、同図(D)は短絡/アーク判別信号S
aの時間変化を示し、同図(E)は電圧印加信号Ffの
時間変化を示し、同図(F)は出力電圧Vwの時間変化
を示し、同図(G)は出力電流Iwの時間変化を示し、
同図(H)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変
化を示し、同図(I1)〜(I5)は各時刻における溶
接ワイヤ1の送給状態を示す。同図において、時刻t2
〜t3以外の期間の動作は、前述した図7と同様である
ので説明は省略する。以下、同図を参照して時刻t2〜
t3の期間について説明する。
【0047】 時刻t2〜t21の期間(前進送給期
間) 時刻t2において、同図(I2)に示すように、前進送
給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触すると、接
触判別電流Itが通電して図示しない接触判別信号Sd
が出力(Highレベル)される。しかし、同図(C)
に示すように、この時点では初期電流通電遅延信号Tds
はまだLowレベルのままであるために、出力制御回路
INVからの出力は停止したままで、同図(G)に示す
ように、接触判別電流Itの通電及び前進送給が継続す
る。
【0048】 時刻t21〜t3の期間(後退送給期
間) 時刻t21において、オンディレイ時間が経過して初期
電流通電遅延信号TdsがHighレベルに変化すると、
同図(E)に示すように、電圧印加信号Ffがリセット
されてLowレベルに変化する。これに応じて、前述し
た図10に示す接触判別電圧印加回路VT内の開閉回路
SWが遮蔽状態となり、接触判別電圧Vtの印加は停止
する。
【0049】同時に、同図(B)に示すように、送給制
御信号Fcは負の値の後退送給速度設定値Wrとなり、
溶接ワイヤ1は後退送給速度Wrで後退送給されると共
に、前述した図10に示す出力制御回路INVは定電流
特性又は垂下特性を形成して出力されて、同図(G)に
示すように、初期電流Isが通電する。また、溶接ワイ
ヤ1は後退送給されているが、前述したモータ応答遅れ
時間及び遊び分送給遅れ時間のために、溶接ワイヤ1と
被溶接物2とは接触状態のままである。したがって、同
図(F)に示すように、この期間中のワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwは0[mm]のままであり、同図(F)に
示すように、出力電圧Vwは数[V]程度の低い値のま
まである。
【0050】上記において、初期電流通電遅延時間Tds
を挿入する理由は、時刻t2における溶接ワイヤと被溶
接物との接触状態を、前進送給を継続することによっ
て、より完全な接触状態にして、初期電流Isの通電時
に初期アークが発生して溶着するのを防止するためであ
る。
【0051】[効果]図12は、本発明の効果を示す溶
着率比較図である。同図は、下記の実験条件下におい
て、接触時の溶着の発生頻度(溶着率)を従来技術と本
発明とで比較した実験結果の一例である。実験条件とし
ては、溶接ワイヤに直径1.2[mm]の軟鋼ワイヤを使
用し、初期電流Is=5[A]に設定し、溶接法に炭酸
ガスアーク溶接を使用して、100回のアークスタート
試験を行った。そして、同図は、100回のアークスタ
ートにおける接触時の溶着が発生した回数を示す。
【0052】同図から明らかなように、従来技術では2
2[%]も接触時の溶着が発生したのに対して、本発明
では1回も接触時の溶着は発生しなかった。また、初期
電流Isの値が大きくなるのに比例して、従来技術では
溶着率が高くなるが、本発明では初期電流Isの値に関
わりなく接触時の溶着は発生しない。したがって、本発
明では、被溶接物の材質、溶接ワイヤの直径等に応じて
適正値の初期電流値Isに設定することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明では、初期アークを発生させない
接触判別電流Itの通電による接触の判別動作を付加し
たアークスタート制御方法によって、溶接ワイヤと被溶
接物との接触時の溶着の発生を防止することができるの
で、良好なアークスタート性を得ることができる。さら
に、本発明では、被溶接物が鉄鋼、ステンレス鋼、アル
ミニウム合金等の種々の金属であっても、上記の効果を
有する。さらに、本発明では、被溶接物の材質、溶接ワ
イヤの直径等に応じて適正値に設定される初期電流Is
の値に関わりなく、上記の効果を有する。また、実施例
4の発明では、初期電流通電遅延時間Tdsを設けること
によって、接触状態をより完全な接触状態にすることが
できるので、初期電流Isの通電時の初期アークの発生
をより確実に防止することができる。このため、接触時
の溶着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を例示する溶接電源装置の
ブロック図
【図2】消耗電極ガスシールドアーク溶接用の溶接装置
の構成図
【図3】従来装置のブロック図
【図4】従来装置のタイミングチャート
【図5】解決課題を説明するためのタイミングチャート
【図6】実施例1の溶接電源装置のブロック図
【図7】実施例1の溶接電源装置のタイミングチャート
【図8】実施例2の溶接装置のブロック図
【図9】実施例3の接触判別電圧印加回路VTのブロッ
ク図
【図10】実施例4の溶接電源装置のブロック図
【図11】実施例4の溶接電源装置のタイミングチャー
【図12】本発明の効果を示す溶着率比較図
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ 2 被溶接物 3 アーク 3a 初期アーク(発生状態) 3b 定常のアーク(発生状態) 4 溶接トーチ 4a コンタクトチップ 5a ワイヤ送給装置の送給ロール DPS 初期電流通電遅延溶接電源装置 E (略定電圧)電源 FC 送給制御回路 Fc 送給制御信号 FF フリップフロップ回路 Ff 電圧印加信号 ID 電流検出回路 Id 電流検出信号 INV 出力制御回路 Is 初期電流(値/設定値) IT 接触判別電流検出回路 It 接触判別電流 ITS 定電流電源又は垂下電源 IVT 接触判別電圧印加回路 Iw 出力電流 Lw ワイヤ先端・被溶接物間距離 PS 溶接電源装置 R リセット端子 Rt 電流制限用抵抗器 S セット端子 SA 短絡/アーク判別回路 Sa 短絡/アーク判別信号 SD 接触判別回路 Sd 接触判別信号 SE 接触判別装置 SPS 接触判別信号入力溶接電源装置 St 溶接開始信号 SW 開閉回路 Td 遅延時間 TDS 初期電流通電遅延回路 Tds 初期電流通電遅延(時間/信号) VD 電圧検出回路 Vd 電圧検出信号 Vnl 無負荷電圧 VS 電圧設定回路 Vs 電圧設定信号 VT 接触判別電圧印加回路 Vt 接触判別電圧 VTPS 接触判別電圧印加回路内蔵溶接電源装置 Vw 出力電圧 Wi 初期送給速度(設定値) WM ワイヤ送給モータ Wr 後退送給速度(設定値) WS 定常の送給速度設定回路 Ws 定常の送給速度(設定信号)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接電源装置に溶接開始信号が入力され
    ると溶接ワイヤを被溶接物へ前進送給し、この前進送給
    によって溶接ワイヤと被溶接物とが接触したことを判別
    すると予め定めた小電流値の初期電流を前記溶接電源装
    置から通電すると共に溶接ワイヤを被溶接物から後退送
    給し、この後退送給によって溶接ワイヤが被溶接物から
    離れると前記初期電流が通電して初期アークが発生し、
    この初期アークが発生したことを判別した後に溶接ワイ
    ヤを予め定めた定常の送給速度で被溶接物へ再前進送給
    すると共に前記定常の送給速度に対応した定常の出力電
    流を通電することによって前記初期アーク発生状態から
    定常のアーク発生状態へと移行させる消耗電極ガスシー
    ルドアーク溶接のアークスタート制御方法において、 前記溶接ワイヤと被溶接物との接触の判別動作が、前記
    溶接電源装置からの出力電圧の印加を停止したままで、
    前記溶接電源装置に内蔵又は外部に設置された接触判別
    電圧印加回路から溶接ワイヤと被溶接物との間に接触判
    別電圧を印加して前記両者が接触すると1[mA]以上
    3[A]以下の接触判別電流が通電することを判別する
    ことによって行う接触の判別動作であるアークスタート
    制御方法。
  2. 【請求項2】 接触判別電圧印加回路が、略定電圧特性
    を有する電源と、この電源の出力に直列に挿入された電
    流制限用抵抗器とから形成される接触判別電圧印加回路
    である請求項1のアークスタート制御方法。
  3. 【請求項3】 接触判別電圧印加回路が、定電流特性又
    は垂下特性を有する電源である請求項1のアークスター
    ト制御方法。
  4. 【請求項4】 溶接ワイヤと被溶接物との接触を判別す
    ると、予め定めた初期電流通電遅延時間だけ前進送給を
    継続した後に、後退送給及び初期電流の通電を開始する
    請求項1のアークスタート制御方法。
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