JP2002205169A - ロボットアーク溶接のアークスタート制御方法 - Google Patents

ロボットアーク溶接のアークスタート制御方法

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JP2002205169A
JP2002205169A JP2001000999A JP2001000999A JP2002205169A JP 2002205169 A JP2002205169 A JP 2002205169A JP 2001000999 A JP2001000999 A JP 2001000999A JP 2001000999 A JP2001000999 A JP 2001000999A JP 2002205169 A JP2002205169 A JP 2002205169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接ワイヤ1を被溶接物2へ前進送給して接
触すると小電流値の初期電流Isを通電すると共に溶接
ワイヤ1を後退送給し、この後退送給によって溶接ワイ
ヤ1が被溶接物2から離れて初期アーク3aが発生する
と、溶接ワイヤ1を再び前進送給すると共に定常の溶接
電流Icを通電するアークスタート制御方法において、
上記の前進送給から後退送給への切換時及び後退送給か
ら再前進送給への切換時の応答遅れ時間によってアーク
スタート不良が発生する。 【解決手段】 ロボットアーク溶接において、上記の前
進送給に代えて送給を停止したままでマニュピュレータ
を前進移動させてワイヤ先端を被溶接物へ近づけ、か
つ、上記の後退送給に代えてマニュピュレータを後退移
動させてワイヤ先端を被溶接物から遠ざけることによっ
て上記の応答遅れ時間を大幅に短くすることができるの
で、良好なアークスタートを行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接ワイヤを被溶
接物へ近づけて接触させた後に、反転して溶接ワイヤを
被溶接物から離して初期アークを発生させ、再び溶接ワ
イヤを被溶接物へ近づける方向に送給して定常のアーク
へと移行させるロボットアーク溶接のアークスタート制
御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶接電源装置によって溶接電圧を印加し
て溶接ワイヤと被溶接物との間にアークを発生させると
共に、溶接ロボットのマニュピュレータに取り付けられ
た溶接トーチを移動させて溶接する消耗電極式のロボッ
トアーク溶接において、溶接開始信号が外部から入力さ
れると、マニュピュレータを移動させることによって溶
接トーチを予め教示された溶接開始位置Spまで移動さ
せた後に停止状態のままで、ワイヤ送給モータを正回転
させて溶接ワイヤを被溶接物へ前進送給し、続けて溶接
ワイヤが被溶接物に接触したことを判別するとワイヤ送
給モータを逆回転させて溶接ワイヤを後退送給し、同時
に小電流値の初期電流Isを通電し、続けて後退送給に
よって溶接ワイヤが被溶接物から離れて初期アークが発
生すると溶接ワイヤを定常の送給速度Wsで再び前進送
給すると共に定常の溶接電流Icを通電し、同時に溶接
トーチを上記の停止状態から予め教示された溶接方向へ
の移動に切り換えることによって定常のアークに移行さ
せるアークスタート制御方法が従来から知られている。
以下、この従来技術のアークスタート制御方法につい
て、図面を参照して説明する。
【0003】図2は、従来技術のロボットアーク溶接装
置の構成図である。以下、同図を参照して説明する。ロ
ボット制御装置RCは、溶接開始信号Stが外部から入
力されると、マニュピュレータRMの動作制御を行う動
作制御信号Mcを出力すると共に、図3で後述する電圧
設定信号Vs、定常の送給速度設定信号Ws及び出力開
始信号Onによって形成されるインターフェース信号I
fを溶接電源装置PSへ送信する。マニュピュレータR
Mは、ワイヤ送給モータWM及び溶接トーチ4を搭載し
て、上記の動作制御信号Mcに従って溶接トーチ4の先
端位置(TCP)を予め教示された動作軌跡に沿って移
動させる。溶接ワイヤ1は、上記のワイヤ送給モータW
Mと上記の溶接トーチ4の本体との間をつなぐ長さ1.
5[m]程度のコイルライナ4aの中を通って送給され
る。
【0004】溶接電源装置PSは、上記のインターフェ
ース信号Ifを受信して、溶接トーチ4の先端に装着さ
れたコンタクトチップを介して溶接ワイヤ1に溶接電圧
Vwを給電して、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間にア
ーク3を発生させて溶接電流Iwを通電する。同様に、
この溶接電源装置PSは、送給制御信号Fcを出力し
て、上記のワイヤ送給モータWMの回転方向及び回転速
度を制御する。溶接ワイヤ1の先端と被溶接物2との距
離がワイヤ先端・被溶接物間距離Lw[mm]であり、し
たがってこのワイヤ先端・被溶接物間距離Lwはアーク
発生中はアーク長と同一になる。
【0005】図3は、図2で上述したロボット制御装置
RC及び溶接電源装置PSのブロック図である。以下、
同図を参照して、各回路ブロックについて説明する。ロ
ボット制御装置RCは、以下の回路ブロックから構成さ
れてる。動作制御回路MCは、溶接開始信号Stが入力
されると、マニュピュレータRMを予め教示された動作
軌跡に沿って移動させる動作制御信号Mcをマニュピュ
レータRMの各軸のモータへ出力する。同時に、この動
作制御回路MCは、電圧設定信号Vs、定常の送給速度
設定信号Ws及び出力開始信号Onをロボットインター
フェース回路IFRへ出力する。ロボットインターフェ
ース回路IFRは、上記の3つの信号から形成されるイ
ンターフェース信号Ifを溶接電源装置PSへ送信す
る。
【0006】他方、溶接電源装置PSは、以下の回路ブ
ロックから構成される。電圧検出回路VDは、溶接電圧
Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。短絡/
アーク判別回路SAは、上記の電圧検出信号Vdを入力
として、溶接ワイヤと被溶接物との間が接触状態のとき
は短絡信号(Highレベル)を、アーク発生状態のと
きはアーク発生信号(Lowレベル)を、短絡/アーク
判別信号Saとして出力する。遅延回路DTは、初期ア
ーク発生後に再び前進送給へと切り換えるタイミングを
遅延するために、上記の短絡/アーク判別信号Saが短
絡信号からアーク発生信号に変化した時点から予め定め
た遅延時間Tdの間だけHighレベルとなる遅延信号
Dtを出力する。
【0007】溶接電源インターフェース回路IFPは、
上記のインターフェース信号Ifを受信して、電圧設定
信号Vs、定常の送給速度設定信号Ws及び出力開始信
号Onを出力する。正逆送給制御回路RFCは、上記の
出力開始信号Onが入力(Highレベル)されると、
溶接ワイヤを被溶接物へ前進送給し、続けて上記の短絡
/アーク判別信号Saが短絡信号になると溶接ワイヤを
被溶接物から後退送給し、続けて上記の遅延信号Dtが
HighレベルからLowレベルへ変化すると再び溶接
ワイヤを被溶接物へ上記の定常の送給速度設定信号Ws
に相当する送給速度で前進送給するための送給制御信号
Fcを出力する。ワイヤ送給モータWMは、上記の送給
制御信号Fcに従って溶接ワイヤを前進送給又は後退送
給する。
【0008】出力制御回路INVは、商用電源(通常は
3相200V)を入力として、インバータ制御、サイリ
スタ位相制御等によって、アークを安定に維持するため
に適した溶接電圧及び溶接電流を出力する。この出力制
御回路INVは、上記の出力開始信号Onが入力された
時点から上記の遅延信号DtがHighレベルからLo
wレベルへ変化する時点までの間は予め定めた小電流値
の初期電流Isを通電する定電流特性又は垂下特性を形
成して出力し、それ以降は上記の定常の送給速度設定信
号Wsに対応した定常の溶接電流Icを通電するための
上記の電圧設定信号Vsに対応した定電圧特性を形成し
て出力する。
【0009】図4は、図3で上述したロボット制御装置
RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミングチャー
トである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を
示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間変化を示
し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化を示し、
同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間変化を示
し、同図(E)は遅延信号Dtの時間変化を示し、同図
(F)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(G)は
ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変化を示し、同
図(H1)〜(H5)は各時刻における溶接ワイヤ1の
送給状態を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0010】 時刻t1〜t2の期間 時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始
信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、
マニュピュレータに取り付けられた溶接トーチ4を移動
させて、時刻t2において溶接トーチ4は予め教示され
た溶接開始位置Spに到着して停止する。
【0011】 時刻t2〜t3の期間 時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置Spに
到着すると、同図(B)に示すように、前述した動作制
御回路Mcから出力開始信号Onが出力(Highレベ
ル)される。これに応じて、同図(C)に示すように、
送給制御信号Fcは予め定めた正の値の初期送給速度設
定値Wiとなり、同図(H1)に示すように、溶接ワイ
ヤ1は被溶接物2へ初期送給速度で前進送給される。な
お、送給制御信号Fcが正の値のときは前進送給とな
り、負の値のときは後退送給となる。同時に、前述した
出力制御回路INVは定電流特性又は垂下特性を形成し
て出力しているが、この期間中は溶接ワイヤ1と被溶接
物2とは離れており無負荷状態にあるために、無負荷電
圧が印加する。また、時刻t2〜t3の期間中は、上記
の前進送給によって、同図(G)に示すように、ワイヤ
先端・被溶接物間距離Lwは徐々に短くなる。
【0012】 時刻t3〜t4の期間 時刻t3において、同図(H2)に示すように、上記
項の前進送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触
すると、同図(D)に示すように、短絡/アーク判別信
号Saが短絡信号(Highレベル)に変化する。これ
に応じて、同図(C)に示すように、送給制御信号Fc
は予め定めた負の値の後退送給速度設定値Wrとなり、
溶接ワイヤ1は被溶接物2から後退送給速度で後退送給
される。同時に、同図(F)に示すように、項で上述
した定電流特性又は垂下特性によって小電流値の初期電
流Isが通電する。この初期電流Isの値は、数[A]
〜数十[A]程度の小電流値に設定される。また、時刻
t3〜t4の期間中は、前述したワイヤ送給モータWM
が正回転(前進送給)から逆回転(後退送給)へ反転す
るためのモータ応答遅れ時間が発生する。さらに、前述
したコイルライナの曲がりによる遊び分を後退送給によ
ってキャンセルするための遊び分応答遅れ時間も発生す
る。このために、この期間中は、溶接ワイヤ1と被溶接
物2とは接触状態のままであり、同図(G)に示すよう
に、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは0[mm]のまま
である。
【0013】 時刻t4〜t5の期間 時刻t4直後において、同図(H3)に示すように、上
記項の後退送給によって溶接ワイヤ1と被溶接物2と
が離れると、上記の初期電流Isが通電する初期アーク
3aが発生する。また、初期アーク3aが発生した時刻
t4から前述した遅延時間Tdが経過する時刻t5まで
の間は、同図(E)に示すように、遅延信号DtはHi
ghレベルのままである。そして、この間は、同図(H
4)に示すように、上記の初期アーク発生状態3aを維
持したままで後退送給を継続する。したがって、同図
(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lw
は徐々に長くなる。
【0014】 時刻t5以降の期間 時刻t5において、同図(E)に示すように、遅延信号
DtがHighレベルからLowレベルへ変化すると、
同図(C)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の
定常の送給速度設定信号Wsとなり、溶接ワイヤ1は被
溶接物2へ定常の送給速度で再び前進送給される。同時
に、前述した出力制御回路INVは電圧設定信号Vsに
対応する定電圧特性を形成するので、図示しない溶接電
圧は上記の電圧設定信号Vsに相当する値となると共
に、同図(F)に示すように、上記の定常の送給速度W
sに対応した大電流値の定常の溶接電流Icが通電す
る。同時に、溶接トーチ4を停止状態から予め教示され
た溶接方向への移動に切り換える。
【0015】しかしながら、この時刻t5においても、
前述した時刻t3〜t4期間中と同様に、モータ応答遅
れ時間及び遊び分応答遅れ時間が発生する(時刻t5〜
t6)。したがって、同図(G)に示すように、ワイヤ
先端・被溶接物間距離Lwは、時刻t6において定常の
アーク長に収束し、同図(H4)に示す時刻t5の初期
アーク3aから同図(H5)に示す時刻t6の定常のア
ーク3bへと移行する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図5は、従来技術の解
決課題を説明するための前述した図4に相当するタイミ
ングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの
時間変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間
変化を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化
を示し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間
変化を示し、同図(E)は遅延信号Dtの時間変化を示
し、同図(F)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図
(G)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変化を
示し、同図(H1)〜(H5)は各時刻における溶接ワ
イヤ1の送給状態を示す。同図において、時刻t3〜t
4及び時刻t5〜t6以外の期間の動作は、前述した図
4のときと同様であるのでその説明は省略する。以下、
同図の時刻t3〜t4及び時刻t5〜t6の両期間につ
いて、同図を参照して説明する。
【0017】 時刻t3〜t4の期間(第1の応答遅
れ時間T1) 図4の説明の項で前述したように、時刻t3において、
同図(H2)に示すように、溶接ワイヤ1と被溶接物2
とが接触すると、同図(D)に示すように、短絡/アー
ク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)に変化し
て、溶接ワイヤ1は前進送給から反転して後退送給に切
り換わる。このときに、図3に示すワイヤ送給モータW
Mが、前進送給の正回転から後退送給の逆回転に切り換
わるためのモータ応答遅れ時間が発生する。さらに、前
述したように、ワイヤ送給モータWMと溶接トーチ本体
とをつなぐコイルライナの曲がりによる遊び分を後退送
給によってキャンセルするための遊び分応答遅れ時間が
発生する。この遊び分応答遅れ時間は、コイルライナの
長さ、種々の溶接姿勢に起因するコイルライナの曲がり
の程度等によってその時間長さは大きく変化する。上記
のモータ応答遅れ時間と遊び分応答遅れ時間とが加算さ
れて第1の応答遅れ時間T1となる。この第1の応答遅
れ時間T1経過後の時刻t4の直後において、同図(H
3)に示すように、本来の後退送給によって溶接ワイヤ
1と被溶接物2とが離れて初期アーク3aが発生し、同
図(G)に示すように、それ以降ワイヤ先端・被溶接物
間距離Lwが徐々に長くなる。通常、上記の第1の応答
遅れ時間T1は300〜500[ms]程度である。
【0018】 時刻t5〜t6の期間(第2の応答遅
れ時間T2) 時刻t5において、同図(H4)に示すように、初期ア
ーク発生状態を維持したままで、同図(E)に示すよう
に、遅延信号DtがHighレベルからLowレベルに
変化すると、溶接ワイヤ1は後退送給から反転して前進
送給に切り換わる。このときも上記項と同様に、ワイ
ヤ送給モータWMが後退送給の逆回転から前進送給の正
回転に切り換わるためのモータ応答遅れ時間が発生す
る。さらに、コイルライナの曲がりによる遊び分を前進
送給によってキャンセルするための遊び分応答遅れ時間
が発生する。上記のモータ応答遅れ時間と遊び分応答遅
れ時間とが加算されて第2の応答遅れ時間T2となる。
通常、この第2の応答遅れ時間T2も300〜500
[ms]程度である。
【0019】第1の解決課題は、以下のとおりである。
上記の時刻t5〜t6の第2の応答遅れ時間T2期間中
は、同図(F)に示すように、初期電流Isよりも大き
な電流値の定常の溶接電流Icが通電しているが、他
方、溶接ワイヤの送給速度は上記の応答遅れ時間によっ
て定常値よりも小さな過渡的な値となっている。このた
めに、定常の溶接電流Icによる溶融速度が過渡的な送
給速度よりも大きくなるために、同図(G)に示すよう
に、アーク長(ワイヤ先端・被溶接物間距離Lw)が時
刻t5以後も長くなり、同図(H5)に示すように、過
大なアーク長のアーク3cによって溶け落ち、ビード不
良等の溶接欠陥が生じる。以下、この第1の解決課題
を、応答遅れ時間中のアーク長増長による溶接不良とい
う。
【0020】さらに、第2の解決課題は、以下のとおり
である。上述した第1の応答遅れ時間T1と第2の応答
遅れ時間T2との加算値の応答遅れ時間T1+T2は、
600〜1000[ms]となる。この不要な時間がアー
クスタート毎に必要となる。一般的に、機械部品、自動
車部品等の溶接においては、数秒程度の短時間だけアー
クを発生させる溶接を多数個所行う場合が多い。このよ
うな短時間多数回溶接において、アークスタート毎に6
00〜1000[ms]も余分な時間が必要なことは、生
産性が悪くなる。以下、この解決課題を、応答遅れ時間
による生産性の低下という。
【0021】そこで、本発明では、上述した応答遅れ時
間中のアーク長増長による溶接不良の発生を防止し、か
つ、応答遅れ時間による生産性の低下も防止し、かつ、
良好なアークスタートを実現することができるロボット
アーク溶接のアークスタート制御方法を提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1の発明
は、図6〜7に示すように、溶接電源装置PSによって
溶接電圧Vwを印加して溶接ワイヤ1と被溶接物2との
間にアークを発生させると共に、溶接ロボットのマニュ
ピュレータRMに取り付けられた溶接トーチ4を移動さ
せて溶接する消耗電極式のロボットアーク溶接におい
て、溶接開始信号Stが入力されると上記溶接トーチ4
を予め教示された溶接開始位置Spに移動させて、上記
溶接開始位置Spに到達後は上記溶接トーチ4を略溶接
ワイヤの送給方向に移動させてワイヤ先端を上記被溶接
物2に近づけていき、上記ワイヤ先端が上記被溶接物2
に接触したことを判別すると予め定めた小電流値の初期
電流Isを上記溶接電源装置PSから通電すると共に上
記溶接トーチ4を略溶接ワイヤの送給方向とは逆方向に
移動させて上記ワイヤ先端を上記被溶接物2から遠ざけ
る後退移動を行い、上記後退移動によって上記ワイヤ先
端と上記被溶接物2とが離れると上記初期電流Isが通
電する初期アーク3aが発生して、上記初期アーク発生
状態3aを維持したままで上記後退移動を継続し上記溶
接トーチ4が上記溶接開始位置Spに復帰すると上記後
退移動から予め教示された溶接方向への移動に切り換え
て、同時に上記溶接ワイヤ1の送給を開始すると共に定
常の溶接電流Icを通電することによって上記初期アー
ク発生状態3aから定常のアーク発生状態3bへと円滑
に移行させるロボットアーク溶接のアークスタート制御
方法である。
【0023】出願時の請求項2の発明は、図8〜9に示
すように、溶接電源装置PSによって溶接電圧Vwを印
加して溶接ワイヤ1と被溶接物2との間にアークを発生
させると共に、溶接ロボットのマニュピュレータRMに
取り付けられた溶接トーチ4を移動させて溶接する消耗
電極式のロボットアーク溶接において、溶接開始信号S
tが入力されると上記溶接トーチ4を予め教示された溶
接開始位置Spに移動させて、上記溶接開始位置Spに
到達後は上記溶接トーチ4を略溶接ワイヤの送給方向に
移動させてワイヤ先端を上記被溶接物2に近づけてい
き、上記ワイヤ先端が上記被溶接物2に接触したことを
判別すると予め定めた小電流値の初期電流Isを上記溶
接電源装置PSから通電すると共に上記溶接トーチ4を
略溶接ワイヤの送給方向とは逆方向に移動させて上記ワ
イヤ先端を上記被溶接物2から遠ざける後退移動を行
い、上記後退移動によって上記ワイヤ先端と上記被溶接
物2とが離れると上記初期電流Isが通電する初期アー
ク3aが発生して、上記初期アーク発生状態3aを維持
したままで上記後退移動を継続しワイヤ先端・被溶接物
間距離Lwが予め定めた後退距離設定値Lsに達すると
上記後退移動から上記溶接開始位置Spへの復帰移動に
切り換えて、同時に上記溶接ワイヤ1の送給を開始する
と共に定常の溶接電流Icを通電して、上記溶接開始位
置Spに復帰後は上記溶接トーチ4を予め教示された溶
接方向へと移動させることによって上記初期アーク発生
状態3aから定常のアーク発生状態3bへと円滑に移行
させるロボットアーク溶接のアークスタート制御方法で
ある。
【0024】出願時の請求項3の発明は、図10に示す
ように、出願時の請求項2に記載する溶接ワイヤ1の送
給開始及び定常の溶接電流Icの通電開始を、復帰移動
によって溶接トーチ4が溶接開始位置Spに復帰した時
点から行う出願時の請求項2のアークスタート制御方法
である。
【0025】出願時の請求項4の発明は、図11〜12
に示すように、出願時の請求項2に記載する復帰移動が
ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwを短くする方向への移
動であるときは、上記復帰移動期間Tb中は定常の溶接
電流Icよりも大きな電流値の移行電流Ib1を通電する
出願時の請求項2のアークスタート制御方法である。
【0026】出願時の請求項5の発明は、図13〜14
に示すように、出願時の請求項2に記載する復帰移動が
ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwを短くする方向への移
動であるときは、上記復帰移動期間Tb中は溶接ワイヤ
1の送給を停止したままで上記復帰移動の速度に対応し
て予め定めた移行電流Ib2を通電し、溶接トーチ4が溶
接開始位置Spに復帰後は上記溶接ワイヤ1の送給を開
始すると共に定常の溶接電流Icを通電する出願時の請
求項2のアークスタート制御方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例は、図
1(図7と同一の図)に示すように、同図(A)に示す
ように、外部から溶接開始信号Stが入力されると、溶
接トーチ4を予め教示された溶接開始位置Spに移動さ
せて、上記溶接開始位置Spに到達後(時刻t2)は、
上記溶接トーチ4を略溶接ワイヤの送給方向に移動させ
てワイヤ先端を被溶接物2に近づけていき、同図(D)
に示すように、ワイヤ先端が被溶接物2に接触したこと
を判別(時刻t3)すると、予め定めた小電流値の初期
電流Isを通電すると共に、上記溶接トーチ4を略溶接
ワイヤの送給方向とは逆方向に移動させてワイヤ先端を
被溶接物2から遠ざける後退移動を行い、上記後退移動
によってワイヤ先端と被溶接物2とが離れると(時刻t
4)、同図(H3)に示すように、上記初期電流Isが
通電する初期アーク3aが発生して、上記初期アーク発
生状態3aを維持したままで上記後退移動を継続し、上
記溶接トーチ4が上記溶接開始位置Spに復帰すると
(時刻t5)、上記後退移動から予め教示された溶接方
向への移動に切り換えて、同時に溶接ワイヤ1の送給を
開始すると共に、定常の溶接電流Icを通電することに
よって、同図(H4)に示す初期アーク発生状態3aか
ら同図(H5)に示す定常のアーク発生状態3bへと円
滑に移行させるロボットアーク溶接のアークスタート制
御方法である。
【0028】
【実施例】[実施例1]以下に説明する実施例1の発明
は、出願時の請求項1の発明に対応する。実施例1の発
明は、ロボットアーク溶接において、 溶接開始信号が入力されると、溶接トーチを予め教
示された溶接開始位置Spに移動させた後に、 溶接トーチを略溶接ワイヤの送給方向に移動させて
ワイヤ先端を被溶接物に近づけていき、 ワイヤ先端が被溶接物に接触すると、予め定めた小
電流値の初期電流Isを通電すると共に、溶接トーチを
略溶接ワイヤの送給方向とは逆方向に移動させてワイヤ
先端を被溶接物から遠ざける後退移動を行い、 上記後退移動によってワイヤ先端と被溶接物とが離
れると、上記初期電流Isが通電する初期アークが発生
して、上記初期アーク発生状態を維持したままで上記後
退移動を継続して、 溶接トーチが上記溶接開始位置Spに復帰すると、
上記後退移動から予め教示された溶接方向への移動に切
り換えて、同時に、溶接ワイヤの送給を開始すると共に
定常の溶接電流Icを通電するアークスタート制御方法
である。以下、実施例1の発明について、図面を参照し
て説明する。
【0029】図6は、実施例1のアークスタート制御方
法を実施するためのロボット制御装置RC及び溶接電源
装置PSのブロック図である。同図において、前述した
図3と同一の回路ブロックには同一符号を付し、それら
の説明は省略する。以下、点線で囲んだ図3とは異なる
回路ブロックである、動作同期動作制御回路SMC、動
作同期ロボットインターフェース回路SIFR、動作同
期溶接電源インターフェース回路SIFP、動作同期送
給制御回路SFC及び動作同期出力制御回路SINVに
ついて説明する。
【0030】動作同期動作制御回路SMCは、溶接開始
信号Stが外部から入力されると、予め定めた電圧設定
信号Vs及び定常の送給速度設定信号Wsを出力すると
共に、マニュピュレータRM(溶接トーチ4)を溶接開
始位置Spに移動させ、溶接開始位置Spに到着後する
と、出力開始信号Onを出力すると共にマニュピュレー
タRMを略送給方向に移動させ、短絡/アーク判別信号
Saが短絡信号になると、マニュピュレータRMを後退
移動させ、溶接開始位置Spに復帰すると、復帰信号R
pを出力すると共にマニュピュレータRMを教示された
溶接方向に移動させる動作制御信号Mcを出力する。
【0031】動作同期ロボットインターフェース回路S
IFRは、上記の電圧設定信号Vs、定常の送給速度設
定信号Ws、出力開始信号On、短絡/アーク判別信号
Sa及び復帰信号Rpの5つの信号から形成されるイン
ターフェース信号Ifを溶接電源装置PSとの間で通信
する。
【0032】動作同期溶接電源インターフェース回路S
IFPは、上記の5つの信号から形成されるインターフ
ェース信号Ifをロボット制御装置RCとの間で通信す
る。動作同期送給制御回路SFCは、上記の復帰信号R
pが入力されると、上記の定常の送給速度設定信号Ws
に相当する送給速度で溶接ワイヤを前進送給する送給制
御信号Fcを出力する。動作同期出力制御回路SINV
は、上記の出力開始信号Onが入力された時点から上記
の復帰信号Rpが入力される時点までの間は予め定めた
小電流値の初期電流Isを通電する定電流特性又は垂下
特性を形成して出力し、それ以降は上記の定常の送給速
度設定信号Wsに対応した定常の溶接電流Icを通電す
るための上記の電圧設定信号Vsに対応した定電圧特性
を形成して出力する。
【0033】図7は、図6で上述した実施例1のロボッ
ト制御装置RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミ
ングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの
時間変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間
変化を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化
を示し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間
変化を示し、同図(E)は復帰信号Rpの時間変化を示
し、同図(F)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図
(G)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lwの時間変化を
示し、同図(H1)〜(H5)は各時刻における溶接ワ
イヤ1の送給状態を示す。同図においては、前述した図
3(E)及び図4(E)の遅延信号Dtが復帰信号Rp
に代わっている。以下、同図を参照して説明する。
【0034】 時刻t1〜t2の期間 時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始
信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、
マニュピュレータに搭載された溶接トーチ4を移動させ
て、同図(H1)に示すように、時刻t2において溶接
トーチ4は予め教示された溶接開始位置Spへ到着して
停止する。
【0035】 時刻t2〜t3の期間 時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置Spに
到着すると、同図(B)に示すように、前述した動作同
期動作制御回路SMCから出力開始信号Onが出力(H
ighレベル)される。これに応じて、、溶接ワイヤ1
の送給を停止したままで、前述した動作同期出力制御回
路SINVは定電流特性又は垂下特性を形成して出力す
るが、この期間中は溶接ワイヤ1と被溶接物2とは離れ
ており無負荷状態にあるために、無負荷電圧が印加す
る。同時に、溶接トーチ4を略溶接ワイヤの送給方向に
移動させてワイヤ先端を被溶接物2へ近づけていく。し
たがって、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwは徐々に短くなる。
【0036】 時刻t3〜t4の期間 時刻t3において、同図(H2)に示すように、上記
項の溶接トーチ4の移動によってワイヤ先端が被溶接物
2に接触すると、同図(D)に示すように、短絡/アー
ク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)に変化す
る。この変化に応じて、溶接トーチ4は略溶接ワイヤの
送給方向とは逆方向に後退移動される。同時に、同図
(F)に示すように、項で上述した定電流特性又は垂
下特性によって小電流値の初期電流Isが通電する。ま
た、時刻t3〜t4の期間中、溶接トーチ4は後退移動
されているが、マニュピュレータのモータの応答遅れ時
間による第1の応答遅れ時間T11によって、溶接ワイヤ
1と被溶接物2とは接触状態のままである。したがっ
て、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間
距離Lwは0[mm]のままである。しかしながら、上記
の第1の応答遅れ時間T11は、図5の説明の項で前述し
たモータ応答遅れ時間と遊び分応答遅れ時間の加算値で
ある第1の応答遅れ時間T1よりも短い時間であり、通
常、その値は100[ms]以下程度である。
【0037】 時刻t4〜t5の期間 時刻t4において、同図(H3)に示すように、上記
項の後退移動によって、ワイヤ先端と被溶接物2とが離
れると、上記の初期電流Isが通電する初期アーク3a
が発生する。また、初期アーク3aが発生した時刻t4
から溶接トーチ4が溶接開始位置Spに復帰する時刻t
5までの間は、上記の後退移動を継続する。したがっ
て、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間
距離Lwは徐々に長くなる。
【0038】 時刻t5以降の期間 時刻t5において、上記項の後退移動によって溶接ト
ーチ4が溶接開始位置Spに復帰すると、同図(E)に
示すように、復帰信号Rpが出力(Highレベル)さ
れる。これに応じて、同図(C)に示すように、送給制
御信号Fcは正の値の定常の送給速度設定信号Wsとな
り、溶接ワイヤ1は被溶接物2へ前進送給される。同時
に、前述した動作同期出力制御回路SINVは、電圧設
定信号Vsに対応する定電圧特性を形成するので、図示
しない溶接電圧Vwは上記の電圧設定信号Vsに相当す
る値となると共に、同図(F)に示すように、上記の定
常の送給速度Wsに対応した大電流値の定常の溶接電流
Icが通電する。同時に、溶接トーチ4は予め教示され
た溶接方向に移動を開始鶴する。
【0039】時刻t5において、溶接トーチ4を後退移
動から溶接方向への移動に切り換えるためのマニュピュ
レータのモータの応答遅れ時間と、ワイヤ送給モータの
応答遅れ時間とが発生する。しかしながら、マニュピュ
レータは移動方向が変化するだけであるので、これによ
る応答遅れ時間は短い。他方、ワイヤ送給モータは、従
来技術のように逆回転から正回転への反転ではなく、正
回転の開始のみであるので、これによる応答遅れ時間は
短い。したがって、上記の加算値である本発明の第2の
応答遅れ時間T21は、従来技術の第2の応答遅れ時間T
2よりも短くなり、通常、その値は100[ms]以下で
ある。このために、時刻t5〜t6の短い期間T21の経
過後に、同図(H4)に示す初期アーク3aから同図
(H5)に示す定常のアーク3bへと円滑に移行するの
で、前述した応答遅れ時間中のアーク長増長による溶接
不良は発生しない。さらに、本発明の合計の応答遅れ時
間T11+T21は、従来技術の応答遅れ時間T1+T2に
比べて1/3〜1/5以下の時間であるので、応答遅れ
時間による生産性の低下も防止することができる。
【0040】[実施例2]以下に説明する実施例2の発
明は、出願時の請求項2の発明に対応する。実施例2の
発明は、 実施例1の発明における初期アーク発生状態を維持
したままでの溶接トーチの後退移動によって、ワイヤ先
端・被溶接物間距離Lwが予め定めた後退距離設定値L
sに達すると、上記の後退移動から溶接開始位置Spへ
の復帰移動に切り換えて、同時に溶接ワイヤの送給を開
始すると共に定常の溶接電流Icを通電し、 溶接トーチが溶接開始位置Spに復帰すると、上記
の復帰移動から予め教示された溶接方向への移動に切り
換えるアークスタート制御方法である。以下、実施例2
の発明について、図面を参照して説明する。
【0041】図8は、実施例2のアークスタート制御方
法を実施するためのロボット制御装置RC及び溶接電源
装置PSのブロック図である。同図において、前述した
図6と同一の回路ブロックには同一符号を付し、それら
の説明は省略する。以下、点線で囲んだ図6とは異なる
回路ブロックである、動作同期動作制御回路SMC、動
作同期ロボットインターフェース回路SIFR、動作同
期溶接電源インターフェース回路SIFP、動作同期送
給制御回路SFC及び動作同期出力制御回路SINVに
ついて説明する。
【0042】実施例2の動作同期動作制御回路SMC
は、溶接開始信号Stが外部から入力されると、予め定
めた電圧設定信号Vs及び定常の送給速度設定信号Ws
を出力すると共に、マニュピュレータRM(溶接トーチ
4)を溶接開始位置Spに移動させ、溶接開始位置Sp
に到着すると、出力開始信号Onを出力すると共にマニ
ュピュレータRMを略送給方向に移動させ、短絡/アー
ク判別信号Saが短絡信号になると、マニュピュレータ
RMを後退移動させ、実施例1とは異なり上記の後退移
動によってワイヤ先端・被溶接物間距離Lwが予め定め
た後退距離設定値Lsに達すると、後退距離一致信号L
pを出力すると共にマニュピュレータRMを上記の溶接
開始位置Spに復帰移動させ、溶接開始位置Spに復帰
後は教示された溶接方向に移動させる動作制御信号Mc
を出力する。
【0043】実施例2の動作同期ロボットインターフェ
ース回路SIFRは、上記の電圧設定信号Vs、定常の
送給速度設定信号Ws、出力開始信号On、短絡/アー
ク判別信号Sa及び実施例1とは異なる後退距離一致信
号Lpの5つの信号から形成されるインターフェース信
号Ifを溶接電源装置PSとの間で通信する。
【0044】実施例2の動作同期溶接電源インターフェ
ース回路SIFPは、上記の5つの信号から形成される
インターフェース信号Ifをロボット制御装置RCとの
間で通信する。実施例2の動作同期送給制御回路SFC
は、上記の後退距離一致信号Lpが入力されると、上記
の定常の送給速度設定信号Wsに相当する送給速度で溶
接ワイヤを前進送給する送給制御信号Fcを出力する。
実施例2の動作同期出力制御回路SINVは、上記の出
力開始信号Onが入力された時点から上記の後退距離一
致信号Lpが入力される時点までの間は予め定めた小電
流値の初期電流Isを通電する定電流特性又は垂下特性
を形成して出力し、それ以降は上記の定常の送給速度設
定信号Wsに対応した定常の溶接電流Icを通電するた
めの上記の電圧設定信号Vsに対応した定電圧特性を形
成して出力する。
【0045】図9は、図8で上述した実施例2のロボッ
ト制御装置RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミ
ングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの
時間変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間
変化を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化
を示し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間
変化を示し、実施例1とは異なり同図(E)は後退距離
一致信号Lpの時間変化を示し、同図(F)は溶接電流
Iwの時間変化を示し、同図(G)はワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwの時間変化を示し、同図(H1)〜(H
5)は各時刻における溶接ワイヤ1の送給状態を示す。
同図においては、実施例2の独自の効果を示すために、
溶接トーチ4が最初に溶接開始位置Spに到達したとき
のワイヤ先端・被溶接物間距離Lwが、約3[mm]未満
又は0[mm](接触)と非常に短い場合である。以下、
同図を参照して説明する。
【0046】 時刻t1〜t2の期間 時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始
信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、
マニュピュレータに搭載された溶接トーチ4を移動させ
て、同図(H1)に示すように、時刻t2において溶接
トーチ4は予め教示された溶接開始位置Spへ到着して
停止する。
【0047】 時刻t2〜t3の期間 時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置Spに
到着すると、同図(B)に示すように、前述した動作同
期動作制御回路SMCから出力開始信号Onが出力(H
ighレベル)される。これに応じて、溶接ワイヤ1の
送給を停止したままで、前述した動作同期出力制御回路
SINVは定電流特性又は垂下特性を形成して出力する
が、この期間中は溶接ワイヤ1と被溶接物2とは離れて
おり無負荷状態にあるために、無負荷電圧が印加する。
同時に、溶接トーチ4を略溶接ワイヤの送給方向に移動
させてワイヤ先端を被溶接物2へ近づけていく。このと
き、前述したように、時刻t2のワイヤ先端・被溶接物
間距離Lwは非常に短いために、同図(G)に示すよう
に、短時間で0[mm]になる。
【0048】 時刻t3〜t4の期間 時刻t3において、同図(H2)に示すように、上記
項の溶接トーチ4の移動によってワイヤ先端が被溶接物
2に接触すると、同図(D)に示すように、短絡/アー
ク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)に変化す
る。この変化に応じて、溶接トーチ4は略溶接ワイヤの
送給方向とは逆方向に後退移動される。同時に、同図
(F)に示すように、項で上述した定電流特性又は垂
下特性によって小電流値の初期電流Isが通電する。ま
た、時刻t3〜t4の期間中、溶接トーチ4は後退移動
されているが、マニュピュレータのモータの応答遅れ時
間による第1の応答遅れ時間T11によって、溶接ワイヤ
1と被溶接物2とは接触状態のままである。したがっ
て、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間
距離Lwは0[mm]のままである。しかしながら、実施
例1と同様に、上記の第1の応答遅れ時間T11は、図5
の説明の項で前述したモータ応答遅れ時間と遊び分応答
遅れ時間の加算値である第1の応答遅れ時間T1よりも
短い時間であり、通常、その値は100[ms]以下程度
である。
【0049】 時刻t4〜t5の期間 時刻t4において、同図(H3)に示すように、上記
項の後退移動によってワイヤ先端と被溶接物2とが離れ
ると、上記の初期電流Isが通電する初期アーク3aが
発生する。また、初期アーク3aが発生した時刻t4か
らワイヤ先端・被溶接物間距離Lwが予め定めた後退距
離設定値Lsに達する時刻t5までの間は、上記の後退
移動を継続する。したがって、同図(G)に示すよう
に、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは徐々に長くな
り、時刻t5において後退距離設定値Lsと等しくな
る。
【0050】 時刻t5以降の期間 時刻t5において、上記項の後退移動によってワイヤ
先端・被溶接物間距離Lwが後退距離設定値Lsに達す
ると、同図(E)に示すように、後退距一致信号Lpが
出力(Highレベル)される。これに応じて、同図
(C)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の定常
の送給速度設定信号Wsとなり、溶接ワイヤ1は被溶接
物2へ前進送給される。同時に、前述した動作同期出力
制御回路SINVは電圧設定信号Vsに対応する定電圧
特性を形成するので、図示しない溶接電圧Vwは上記の
電圧設定信号Vsに相当する値となると共に、同図
(F)に示すように、上記の定常の送給速度Wsに対応
した大電流値の定常の溶接電流Icが通電する。同時
に、溶接トーチ4を溶接開始位置Spへ復帰移動させ、
時刻t51に復帰した後に予め教示された溶接方向に移
動を開始鶴する。
【0051】実施例1と同様に、時刻t5において、溶
接トーチ4を後退移動かた溶接開始位置Spへの復帰移
動を経て溶接方向への移動に切り換えるためのマニュピ
ュレータのモータの応答遅れ時間と、ワイヤ送給モータ
の応答遅れ時間とが発生する。しかしながら、マニュピ
ュレータは移動方向が変化するだけであるので、これに
よるモータ応答遅れ時間は短い。他方、ワイヤ送給モー
タは、従来技術のように逆回転から正回転へと反転する
のではなく、正回転の開始のみであるので、これによる
応答遅れ時間は短い。したがって、上記の加算値である
本発明の第2の応答遅れ時間T21は、従来技術の第2の
応答遅れ時間T2よりも短くなり、通常、その値は10
0[ms]以下である。このために、時刻t5〜t6の短
い期間T21の経過後に、同図(H4)に示す初期アーク
3aから同図(H5)に示す定常のアーク3bへと円滑
に移行するので、前述した応答遅れ時間中のアーク長増
長による溶接不良は発生しない。さらに、本発明の合計
の応答遅れ時間T11+T21は、従来技術の応答遅れ時間
T1+T2に比べて1/3〜1/5以下の時間であるの
で、応答遅れ時間による生産性の低下も防止することが
できる。
【0052】さらに、実施例1では、後退移動は溶接開
始位置Spに復帰するまで継続する。このために、最初
に溶接開始位置Spに到着したときのワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwが非常に短い場合又は接触している場合
には、適正な距離の後退移動を行うことができないため
に、初期アーク3aが全く発生しない現象又は発生して
も再接触によって消滅する現象が生じて、不良なアーク
スタートとなる場合がある。他方、実施例2では、最初
に溶接開始位置Spに到着したときのワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwが非常に短い場合ても又は接触している
場合ても、適正な後退距離設定値Lsに達するまで確実
に後退移動が継続されるので、上記のような問題は生じ
ない。
【0053】[実施例3]以下に説明する実施例3の発
明は、出願時の請求項3の発明に対応する。実施例3の
発明は、上述した実施例2の発明における溶接ワイヤの
送給開始及び定常の溶接電流Icの通電開始を、復帰移
動によって溶接トーチが溶接開始位置Spに復帰した時
点から行うアークスタート制御方法である。以下、実施
例3の発明について、図面を参照して説明する。
【0054】実施例3のアークスタート制御方法を実施
するためのロボット制御装置RC及び溶接電源装置PS
のブロック図は、前述した図6において動作同期動作制
御回路SMCを以下のように変更した構成となり、それ
以外は同一である。以下、実施例3の動作同期動作制御
回路SMCについて説明する。実施例3の動作同期動作
制御回路SMCは、溶接開始信号Stが入力されると、
予め定めた電圧設定信号Vs及び送給速度設定信号Ws
を出力すると共に、マニュピュレータRM(溶接トーチ
4)を溶接開始位置Spに移動させ、溶接開始位置Sp
に到着後すると、出力開始信号Onを出力すると共にマ
ニュピュレータRMを略送給方向に移動させ、短絡/ア
ーク判別信号Saが短絡信号になると、マニュピュレー
タRMを後退移動させ、上記の後退移動によってワイヤ
先端・被溶接物間距離Lwが予め定めた後退距離設定値
Lsに達すると、マニュピュレータRMを上記の溶接開
始位置Spに復帰移動させ、溶接開始位置Spに復帰す
ると、復帰信号Rpを出力すると共に、マニュピュレー
タを教示された溶接方向に移動させる動作制御信号Mc
を出力する。
【0055】図10は、上述した実施例3のロボット制
御装置RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミング
チャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間
変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間変化
を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化を示
し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間変化
を示し、実施例2とは異なり同図(E)は復帰信号Rp
の時間変化を示し、同図(F)は溶接電流Iwの時間変
化を示し、同図(G)はワイヤ先端・被溶接物間距離L
wの時間変化を示し、同図(H1)〜(H5)は各時刻
における溶接ワイヤ1の送給状態を示す。同図におい
て、時刻t5以前の動作は前述した図9のときと同様で
あるので、それらの期間の説明は省略する。以下、図9
とは異なる時刻t5以降の期間について説明する。
【0056】時刻t5以降の期間 時刻t5において、後退移動によってワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwが後退距離設定値Lsに達すると、溶接
トーチ4を溶接開始位置Spへ復帰移動させ、時刻t5
1において溶接開始位置Spに復帰すると、同図(E)
に示すように、復帰信号Rpが出力(Highレベル)
される。これに応じて、同図(C)に示すように、送給
制御信号Fcは正の値の定常の送給速度設定信号Wsと
なり、溶接ワイヤ1は被溶接物2へ前進送給される。同
時に、前述した動作同期出力制御回路SINVは、電圧
設定信号Vsに対応する定電圧特性を形成するので、図
示しない溶接電圧Vwは上記の電圧設定信号Vsに相当
する値となると共に、同図(F)に示すように、上記の
定常の送給速度Wsに対応した大電流値の定常の溶接電
流Icが通電する。
【0057】[実施例4]以下に説明する実施例4の発
明は、出願時の請求項4の発明に対応する。実施例4の
発明は、実施例2の発明における復帰移動がワイヤ先端
・被溶接物間距離Lwを短くする方向への移動であると
きは、この復帰移動期間Tb中は定常の溶接電流Icよ
りも大きな電流値の移行電流Ib1を通電するアークスタ
ート制御方法である。以下、実施例4の発明について、
図面を参照して説明する。
【0058】図11は、実施例4のアークスタート制御
方法を実施するためのロボット制御装置RC及び溶接電
源装置PSのブロック図である。同図において、前述し
た図8と同一の回路ブロックには同一符号を付し、それ
らの説明は省略する。以下、点線で囲んだ図8とは異な
る回路ブロックである、動作同期動作制御回路SMC、
動作同期ロボットインターフェース回路SIFR、動作
同期溶接電源インターフェース回路SIFP及び動作同
期出力制御回路SINVについて説明する。
【0059】実施例4の動作同期動作制御回路SMC
は、溶接開始信号Stが入力されると、予め定めた電圧
設定信号Vs、定常の送給速度設定信号Ws及び実施例
2にはない初期電流設定信号Isを出力すると共に、マ
ニュピュレータRM(溶接トーチ4)を溶接開始位置S
pに移動させ、溶接開始位置Spに到着後すると、出力
開始信号Onを出力すると共にマニュピュレータRMを
略送給方向に移動させ、短絡/アーク判別信号Saが短
絡信号になると、マニュピュレータRMを後退移動さ
せ、上記の後退移動によってワイヤ先端・被溶接物間距
離Lwが予め定めた後退距離設定値Lsに達すると、後
退距離一致信号Lpを出力すると共に、溶接開始位置S
pへの復帰移動がワイヤ先端・被溶接物間距離Lwを短
くする方向への移動であるときは上記の初期電流設定信
号Isの値を予め定めた移行電流値Ibに修正して出力
し、同時にマニュピュレータRMを上記の溶接開始位置
Spに復帰移動させ、溶接開始位置Spに復帰すると、
復帰信号Rpを出力し、それ以降はマニュピュレータR
Mを教示された溶接方向に移動させる動作制御信号Mc
を出力する。
【0060】実施例4の動作同期ロボットインターフェ
ース回路SIFRは、上記の電圧設定信号Vs、定常の
送給速度設定信号Ws、出力開始信号On、短絡/アー
ク判別信号Sa、後退距離一致信号Lp、実施例2とは
異なる初期電流設定信号Is及び復帰信号Rpの7つの
信号から形成されるインターフェース信号Ifを溶接電
源装置PSとの間で通信する。
【0061】実施例4の動作同期溶接電源インターフェ
ース回路SIFPは、上記の7つの信号から形成される
インターフェース信号Ifをロボット制御装置RCとの
間で通信する。実施例4の動作同期出力制御回路SIN
Vは、上記の出力開始信号Onが入力された時点から上
記の復帰信号Rpが入力される時点までの間は上記の初
期電流設定信号Isに相当する電流を通電する定電流特
性又は垂下特性を形成して出力し、それ以降は上記の定
常の送給速度設定信号Wsに対応した定常の溶接電流I
cを通電するための上記の電圧設定信号Vsに対応した
定電圧特性を形成して出力する。
【0062】図12は、上述した実施例4のロボット制
御装置RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミング
チャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間
変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間変化
を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化を示
し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間変化
を示し、同図(E)は後退距一致信号Lpの時間変化を
示し、実施例2とは異なり同図(F)は復帰信号Rpの
時間変化を示し、同図(G)は溶接電流Iwの時間変化
を示し、同図(H)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lw
の時間変化を示し、同図(I1)〜(I5)は各時刻に
おける溶接ワイヤ1の送給状態を示す。同図において、
時刻t5以前の動作は前述した図9のときと同様である
ので、それらの期間の説明は省略する。以下、図9とは
異なる時刻t5以降の期間について説明する。
【0063】時刻t5以降の期間 時刻t5において、後退移動によってワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwが後退距離設定値Lsに達すると、同図
(E)に示すように、後退距一致信号Lpが出力(Hi
ghレベル)される。これに応じて、同図(C)に示す
ように、送給制御信号Fcは正の値の定常の送給速度設
定信号Wsとなり溶接ワイヤ1は被溶接物2へ前進送給
されると共に、同図(G)に示すように、溶接電流Iw
は初期電流Isから移行電流Ib1へ変化する。同時に、
溶接トーチ4を溶接開始位置Spへ復帰移動させ、時刻
t51において溶接開始位置Spに復帰すると、同図
(F)に示すように、復帰信号Rpが出力(Highレ
ベル)される。これに応じて、前述した動作同期出力制
御回路SINVは電圧設定信号Vsに対応する定電圧特
性を形成するので、図示しない溶接電圧は上記の電圧設
定信号Vsに相当する値となると共に、同図(G)に示
すように、上記の定常の送給速度Wsに対応した大電流
値の定常の溶接電流Icが通電する。
【0064】時刻t5〜t51の復帰移動期間Tb中
は、定常の送給速度Wsによる前進送給及びワイヤ先端
・被溶接物間距離Lwを短くする方向への復帰移動の加
算によって、ワイヤ先端は定常の送給速度Wsよりも速
い速度で被溶接物に近づく。このために、定常の溶接電
流Icよりも大きな値に予め定めた移行電流In2を通電
することによって、ワイヤ先端が被溶接物へ突っ込んで
接触し不良なアークスタートになることを防止すること
ができる。
【0065】[実施例5]以下に説明する実施例5の発
明は、出願時の請求項5の発明に対応する。実施例5の
発明は、実施例2の発明における復帰移動がワイヤ先端
・被溶接物間距離Lwを短くする方向への移動であると
きは、上記の復帰移動期間Tb中は溶接ワイヤの送給を
停止したままで復帰移動速度に対応して予め定めた移行
電流Ib2を通電し、溶接トーチが溶接開始位置Spに復
帰後は、溶接ワイヤの送給を開始すると共に定常の溶接
電流Icを通電するアークスタート制御方法である。以
下、実施例5の発明について、図面を参照して説明す
る。
【0066】図13は、実施例5のアークスタート制御
方法を実施するためのロボット制御装置RC及び溶接電
源装置PSのブロック図である。同図において、前述し
た図11と同一の回路ブロックには同一符号を付し、そ
れらの説明は省略する。以下、点線で囲んだ図11とは
異なる回路ブロックである、動作同期送給制御回路SF
Cについて説明する。
【0067】実施例5の動作同期送給制御回路SFC
は、復帰信号Rpが入力されると、定常の送給速度設定
信号Wsに相当する送給速度で溶接ワイヤを前進送給す
る送給制御信号Fcを出力する。
【0068】図14は、上述した実施例5のロボット制
御装置RC及び溶接電源装置PSの各信号のタイミング
チャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間
変化を示し、同図(B)は出力開始信号Onの時間変化
を示し、同図(C)は送給制御信号Fcの時間変化を示
し、同図(D)は短絡/アーク判別信号Saの時間変化
を示し、同図(E)は後退距一致信号Lpの時間変化を
示し、実施例2とは異なり同図(F)は復帰信号Rpの
時間変化を示し、同図(G)は溶接電流Iwの時間変化
を示し、同図(H)はワイヤ先端・被溶接物間距離Lw
の時間変化を示し、同図(I1)〜(I5)は各時刻に
おける溶接ワイヤ1の送給状態を示す。同図において、
時刻t5以前の動作は前述した図9のときと同様である
ので、それらの期間の説明は省略する。以下、図9とは
異なる時刻t5以降の期間について説明する。
【0069】時刻t5以降の期間 時刻t5において、後退移動によってワイヤ先端・被溶
接物間距離Lwが後退距離設定値Lsに達すると、同図
(E)に示すように、後退距一致信号Lpが出力(Hi
ghレベル)される。これに応じて、同図(G)に示す
ように、溶接電流Iwは初期電流Isから移行電流Ib2
へ変化する。同時に、溶接トーチ4を溶接開始位置Sp
へ復帰移動させ、時刻t51において溶接開始位置Sp
に復帰すると、同図(F)に示すように、復帰信号Rp
が出力(Highレベル)される。これに応じて、同図
(C)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の定常
の送給速度設定信号Wsとなり、溶接ワイヤ1は被溶接
物2へ前進送給されると共に、前述したように動作同期
出力制御回路SINVは電圧設定信号Vsに対応する定
電圧特性を形成するので、図示しない溶接電圧は電圧設
定信号Vsに相当する値となり、同図(G)に示すよう
に、上記の定送給速度Wsに対応した大電流値の定常の
溶接電流Icが通電する。
【0070】時刻t5〜t51の復帰移動期間Tb中
は、溶接ワイヤの送給は停止したままであるが、ワイヤ
先端・被溶接物間距離Lwを短くする方向への復帰移動
によって、ワイヤ先端は被溶接物に近づく。このため
に、この復帰移動の速度に対応して予め定めた移行電流
Ib2を通電することによって、ワイヤ先端が被溶接物へ
突っ込んで接触し不良なアークスタートになることを防
止することができる。
【0071】上述した実施例においては、溶接トーチの
移動手段として溶接ロボットのマニュピュレータを使用
する場合について説明した。しかし、略溶接ワイヤの送
給方向の上下方向及び溶接方向の左右方向に、溶接トー
チ又は被溶接物又はそれら両方を移動させることが可能
な自動台車、NC加工機に使用されるX−Yテーブル等
を使用して、本発明を実施することもできる。
【0072】
【発明の効果】本発明のアークスタート制御方法では、
溶接トーチの後退移動開始時の第1の応答遅れ時間T11
及び溶接ワイヤの前進送給開始時の第2の応答遅れ時間
T21を短縮することができるので、応答遅れ時間中のア
ーク長増長による溶接不良及び応答遅れ時間による生産
性の低下を防止することができると共に、常に良好なア
ークスタートを行うことができる。さらに、実施例2及
び3の発明では、上記の効果に加えて、最初に溶接トー
チが溶接開始位置Spに到着したときのワイヤ先端・被
溶接物間距離Lwが非常に短い場合又は接触している場
合でも、適正な後退距離設定値Lsに達するまで後退移
動が継続されるので、後退距離が短いことによって生じ
る初期アークの不発生及び発生直後の消滅によるアーク
スタート不良を防止することができる。さらに、実施例
4及び5の発明では、上記の両効果に加えて、復帰移動
期間Tb中のワイヤ先端が被溶接物へ近づく速度に対応
し適正な移行電流Ibを通電することによって、ワイヤ
先端の被溶接物への突っ込みによるアークスタート不良
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を例示するロボットアーク
溶接装置のタイミングチャート
【図2】従来技術のロボットアーク溶接装置の構成図
【図3】従来装置のブロック図
【図4】従来装置の各信号のタイミングチャート
【図5】従来技術の解決課題を示すタイミングチャート
【図6】実施例1のブロック図
【図7】実施例1の各信号のタイミングチャート
【図8】実施例2のブロック図
【図9】実施例2の各信号のタイミングチャート
【図10】実施例3の各信号のタイミングチャート
【図11】実施例4のブロック図
【図12】実施例4の各信号のタイミングチャート
【図13】実施例5のブロック図
【図14】実施例5の各信号のタイミングチャート
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ 2 被溶接物 3 アーク 3a 初期アーク(発生状態) 3b 定常のアーク(発生状態) 3c 過大なアーク長のアーク 4 溶接トーチ 4a コイルライナ DT 遅延回路 Dt 遅延信号 Fc 送給制御信号 Ib、Ib1、Ib2 移行電流 If インターフェース信号 IFP 溶接電源インターフェース回路 IFR ロボットインターフェース回路 INV 出力制御回路 Is 初期電流(設定信号) Iw 溶接電流 Lp 後退距一致信号 Ls 後退距離設定値 Lw ワイヤ先端・被溶接物間距離 MC 動作制御回路 Mc 動作制御信号 On 出力開始信号 PS 溶接電源装置 RC ロボット制御装置 RFC 正逆送給制御回路 RM マニュピュレータ Rp 復帰信号 SA 短絡/アーク判別回路 Sa 短絡/アーク判別信号 SFC 動作同期送給制御回路 SIFP 動作同期溶接電源インターフェース回路 SIFR 動作同期ロボットインターフェース回路 SINV 動作同期出力制御回路 Sp 溶接開始位置 St 溶接開始信号 T1、T11 第1の応答遅れ時間 T2、T21 第2の応答遅れ時間 Tb 復帰移動期間 Td 遅延時間 VD 電圧検出回路 Vd 電圧検出信号 Vs 電圧設定信号 Vw 溶接電圧 Wi 初期送給速度設定値 WM ワイヤ送給モータ Wr 後退送給速度設定値 Ws 定常の送給速度(設定信号)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接電源装置によって溶接電圧を印加し
    て溶接ワイヤと被溶接物との間にアークを発生させると
    共に、溶接ロボットのマニュピュレータに取り付けられ
    た溶接トーチを移動させて溶接する消耗電極式のロボッ
    トアーク溶接において、 溶接開始信号が入力されると前記溶接トーチを予め教示
    された溶接開始位置に移動させて、前記溶接開始位置に
    到達後は前記溶接トーチを略溶接ワイヤの送給方向に移
    動させてワイヤ先端を前記被溶接物に近づけていき、前
    記ワイヤ先端が前記被溶接物に接触したことを判別する
    と予め定めた小電流値の初期電流を前記溶接電源装置か
    ら通電すると共に前記溶接トーチを略溶接ワイヤの送給
    方向とは逆方向に移動させて前記ワイヤ先端を前記被溶
    接物から遠ざける後退移動を行い、前記後退移動によっ
    て前記ワイヤ先端と前記被溶接物とが離れると前記初期
    電流が通電する初期アークが発生して、前記初期アーク
    発生状態を維持したままで前記後退移動を継続し前記溶
    接トーチが前記溶接開始位置に復帰すると前記後退移動
    から予め教示された溶接方向への移動に切り換えて、同
    時に前記溶接ワイヤの送給を開始すると共に定常の溶接
    電流を通電することによって前記初期アーク発生状態か
    ら定常のアーク発生状態へと円滑に移行させるロボット
    アーク溶接のアークスタート制御方法。
  2. 【請求項2】 溶接電源装置によって溶接電圧を印加し
    て溶接ワイヤと被溶接物との間にアークを発生させると
    共に、溶接ロボットのマニュピュレータに取り付けられ
    た溶接トーチを移動させて溶接する消耗電極式のロボッ
    トアーク溶接において、 溶接開始信号が入力されると前記溶接トーチを予め教示
    された溶接開始位置に移動させて、前記溶接開始位置に
    到達後は前記溶接トーチを略溶接ワイヤの送給方向に移
    動させてワイヤ先端を前記被溶接物に近づけていき、前
    記ワイヤ先端が前記被溶接物に接触したことを判別する
    と予め定めた小電流値の初期電流を前記溶接電源装置か
    ら通電すると共に前記溶接トーチを略溶接ワイヤの送給
    方向とは逆方向に移動させて前記ワイヤ先端を前記被溶
    接物から遠ざける後退移動を行い、前記後退移動によっ
    て前記ワイヤ先端と前記被溶接物とが離れると前記初期
    電流が通電する初期アークが発生して、前記初期アーク
    発生状態を維持したままで前記後退移動を継続しワイヤ
    先端・被溶接物間距離が予め定めた後退距離設定値に達
    すると前記後退移動から前記溶接開始位置への復帰移動
    に切り換えて、同時に前記溶接ワイヤの送給を開始する
    と共に定常の溶接電流を通電して、前記溶接開始位置に
    復帰後は前記溶接トーチを予め教示された溶接方向へと
    移動させることによって前記初期アーク発生状態から定
    常のアーク発生状態へと円滑に移行させるロボットアー
    ク溶接のアークスタート制御方法。
  3. 【請求項3】 溶接ワイヤの送給開始及び定常の溶接電
    流の通電開始を、復帰移動によって溶接トーチが溶接開
    始位置に復帰した時点から行う請求項2のアークスター
    ト制御方法。
  4. 【請求項4】 復帰移動がワイヤ先端・被溶接物間距離
    を短くする方向への移動であるときは、前記復帰移動期
    間中は定常の溶接電流よりも大きな電流値の移行電流を
    通電する請求項2のアークスタート制御方法。
  5. 【請求項5】 復帰移動がワイヤ先端・被溶接物間距離
    を短くする方向への移動であるときは、前記復帰移動期
    間中は溶接ワイヤの送給を停止したままで前記復帰移動
    の速度に対応して予め定めた移行電流を通電し、溶接ト
    ーチが溶接開始位置に復帰後は前記溶接ワイヤの送給を
    開始すると共に定常の溶接電流を通電する請求項2のア
    ークスタート制御方法。
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