JP3129508B2 - ブロー成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブロー成形装置の改良
に関し、特に厚肉部を部分的に有する中空成形品をブロ
ー成形する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば自動車の座席を構成す
るシートバックフレーム等のように偏平な中空成形品を
ブロー成形する場合、円筒状のパリソンが成形型に挟ま
れた状態にてブロー流体により横方向に大きく伸ばされ
るため、成形された中空成形品の外周部分が薄くなる。
このように、中空成形品の外周部分に薄肉部が形成され
ると、特に中空成形品が自動車のシートバックフレーム
等である場合には外周部分が強度的に弱くなることか
ら、外周部分を逆に厚肉に形成したいという要望があ
る。

【０００３】ところで、中空成形品をブロー成形する装
置として、例えば特開昭５９―２０１８２５号公報に開
示されているように、パリソンを押し出すダイに冷却ノ
ズルを設け、パリソンをダイから押し出す過程において
パリソンの伸び易い箇所の内面に向けて上記冷却ノズル
から冷却媒体を噴き付けることにより、パリソンの伸び
易い箇所を冷却して該箇所の伸びを抑えて薄肉になるの
を防止するようにしたブロー成形装置が提案されてい
る。

【０００４】そして、この提案例の技術を利用して中空
成形品の強度的に強くしたい箇所を厚肉に形成すること
が考えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の提案例
のブロー成形装置では、既存の構成部品以外に別途冷却
ノズルを必要とするため、その分だけ設備費用が嵩むと
いう問題がある。また、パリソンを押し出す過程におい
て冷却ノズルから冷却媒体を噴き出すため、折角、パリ
ソンを部分的に冷却しても、パリソンを成形型で挟む
際、パリソンの冷却された箇所を成形型の適正な位置に
対応させることができ難く、厚肉部を目的とする位置に
正確に形成することができなくなる。

【０００６】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、既存の構成部品を冷却
媒体噴出手段として有効に利用することにより、専用の
冷却媒体噴出手段の設置をなくして設備費用の低減化を
図るとともに、パリソンの冷却箇所を成形型に適正に位
置付けて厚肉部を目的とする位置に正確に形成せんとす
ることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の解決手段は、厚肉部を部分的に有する中空
成形品をブロー成形する装置において、円筒状のパリソ
ンを押し出すダイの下方に上記パリソンを型締め動作に
より両側から挟み付けるとともに、その内面に上記パリ
ソンを収容する成形空間が形成される成形型を設ける。
さらに、上記ダイから押し出されたパリソン内に相対的
に挿入され、上記成形型の成形空間内に収容されたパリ
ソン内部にブロー流体を吹き込み、該パリソンを上記成
形空間の内面に沿わせた状態で膨張させて所定形状の中
空成形品とするブローピンを上記ダイの下方に設ける。
また、パリソン押出し後でかつ上記ブロー流体吹込み前
段階において、中空成形品の厚肉部になるパリソン内面
に向けて冷却媒体を噴き付ける噴出口を上記ブローピン
に形成する構成とする。

【０００８】

【作用】上記の構成により、本発明では、円筒状のパリ
ソンがダイから押し出された後でかつ該パリソン内にブ
ロー流体を吹き込む前段階において、パリソン内に相対
的に挿入位置するブローピンに形成された噴出口から中
空成形品の厚肉部になるパリソン内面に向けて冷却媒体
が噴き付けられ、中空成形品の厚肉部になるパリソン内
面が冷却される。その後、成形型の型締め動作により上
記パリソンが両側から挟み付けられるとともに上記成形
型の成形空間に収容される。そして、上記ブローピンよ
りブロー流体がパリソン内部に吹き込まれ、上記パリソ
ンを上記成形空間の内面に沿わせた状態に膨張されて厚
肉部を部分的に有する所定形状の中空成形品がブロー成
形される。

【０００９】このことから、既存のブローピンに噴出口
を形成するだけでよく専用の冷却媒体噴出手段が不要と
なってその分だけ設備費用の低減化が図られる。また、
パリソンを押し出した後につまりパリソンを成形型に位
置付けた状態でパリソン内面が冷却されることから、パ
リソンの冷却箇所が成形型に適正に位置付けられ、厚肉
部が目的とする位置に正確に形成される。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１１】図１は本発明の実施例に係るブロー成形装
置Ａを示す。該ブロー成形装置Ａは図示しない押出ヘッ
ドに装着されたダイ１を備えてなり、該ダイ１は押出機
から供給された樹脂原料を円筒状のパリソン３として押
し出すようになされている。

【００１２】また、上記ダイ１の下方には、上方に延び
るブローピン５が昇降可能に配置され、該ブローピン５
は上記ダイ１から押し出されたパリソン３内に相対的に
挿入されて後述する噴出口１５，１５，…から内部にエ
ア等のブロー流体を吹き込み、パリソン３を所定形状に
膨らますようになされている。

【００１３】さらに、上記ダイ１の下方には、第１型７
と第２型９（図２〜図４に表われる）とからなる成形型
１１が横方向に型開きおよび型締め可能に配置され、パ
リソン３を上記成形型１１の型締め動作により両側から
挟み付けるとともに成形型１１の成形空間に上記パリソ
ン３を収容し、上記ブローピン５より吹き込まれるブロ
ー流体で上記パリソン３を上記成形空間の内面に沿わせ
た状態に膨張して所定形状の中空成形品１３（図４に表
われる）に成形するようになされている。

【００１４】また、本発明の特徴として、上記ブローピ
ン５には複数の噴出口１５，１５，…が形成され、パリ
ソン３押出し後でかつ上記成形型１１の型締め後のパリ
ソン３を成形型１１の内面に沿わせるブロー流体吹込み
前段階において、つまり、パリソン３が成形型１１の第
１型７と第２型９との間の所定位置（成形位置）に押し
出された状態で、図１および図２に示すように、パリソ
ン３内にブローピン５を挿入してその噴出口１５，１
５，…から中空成形品１３の厚肉部１３ａ，１３ａにな
るパリソン３内面に向けて水やアルコール等の冷却媒体
１７を噴き付けることにより、上記中空成形品１３の厚
肉部１３ａ，１３ａになるパリソン３内面を冷却し、そ
の後、上記パリソン３を成形型１１の型締め動作により
上記成形型１１の成形空間に収容し、ブローピン５から
パリソン３内にブロー流体を吹き込みパリソン３を膨張
させ、成形型１１の内面にパリソン３を沿わせることに
よって厚肉部１３ａ，１３ａを部分的に有する中空成形
品１３をブロー成形するようになされている。つまり、
上記ブローピン５は本来の機能であるブロー流体吹込み
機能のほかに冷却媒体噴出し機能をも合わせ持っている
ものである。

【００１５】なお、１９，１９はプリブロー流体吹込み
の際に互いに接近してパリソン３の下端部を絞るプリピ
ンチである。

【００１６】次に、上述の如く構成されたブロー成形装
置Ａにより中空成形品１３としてのシートバックフレー
ムを成形する要領について説明する。

【００１７】まず、ダイ１からパリソン３を押し出し、
パリソン３が型開き状態の成形型１１の第１型７と第２
型９との間の正規の成形位置に位置すると押出しを停止
する。この状態におけるパリソン３と成形型１１との関
係を図１および図２に示す。

【００１８】次いで、ブローピン５を上昇させてパリソ
ン３内に挿入し、その噴出口１５，１５，…を中空成形
品１３のシートバックフレームの外周部として厚肉部１
３ａ，１３ａになるパリソン３内面に対応させた後、上
記噴出口１５，１５，…から冷却媒体１７を中空成形品
１３の厚肉部１３ａ，１３ａになるパリソン３内面に向
けて噴き付け、該部分を冷却する。

【００１９】その後、パリソン３の下端部をプリピンチ
１９，１９で絞り、ブローピン５の噴出口１５，１５，
…から今度はブロー流体を吹き込んでプリブローする。
これにより、パリソン３が図１仮想線および図３に示す
ように膨らみ、上記冷却媒体１７が噴き付けられたパリ
ソン３内面は冷却されて伸びが少なく厚肉部３ａ，３ａ
となる。

【００２０】しかる後、成形型１１を型締めし、成形型
１１の成形空間に上記パリソン３を収容し、パリソン３
内にさらにブロー流体を吹き込み、メインブローを行
い、上記パリソン３を成形空間内で膨張させて成形型１
１の内面に沿わせ、図４に示すように、厚肉部１３ａ，
１３ａが目的とする位置に正確に形成された中空成形品
１３をブロー成形する。これによって、外周部が厚肉部
１３ａ，１３ａによって補強された剛性の高いシートバ
ックフレームが得られる。

【００２１】したがって、既存のブローピン５に噴出口
１５，１５，…を形成するだけで専用の冷却媒体噴出手
段を設けずともよいことから、その分だけ設備費用の低
減化を図ることができる。また、パリソン３を押し出し
た後につまりパリソン３を成形型１１に位置付けた状態
でパリソン３内面を冷却することから、パリソン３の冷
却箇所を成形型１１に適正に位置付けることができ、厚
肉部１３ａ，１３ａを目的とする位置に正確に形成する
ことができる。

【００２２】また、本実施例では、プリブローを行うブ
ロー成形装置でプリブローの前にブローピン５より冷却
媒体１７をパリソン内面に向けて噴き付ける例を示した
が、ブローピン５より冷却媒体１７を噴き付ける時期
は、最終的に成形型１１の内面にパリソン３を沿わせる
メインブロー前であればよく、プリブローの後であって
も、メインブローの前であればブローピン５より冷却媒
体１７をパリソン３内面に向けて噴き付けても良い、さ
らに、本発明は、プリブローを行わないブロー成形装置
にも適用できるものである。

【００２３】また、ブローピン５は、パリソン３内への
挿入方向を軸として回転可能に設けることにより、パリ
ソン３内面への冷却媒体１７の噴き付け位置を任意に設
定できるようにすることができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ダイから押し出されたパリソン内に相対的に挿入されて
内部にブロー流体を吹き込むブローピンに噴出口を形成
し、パリソン押出し後でかつブロー流体吹込み前段階に
おいて、中空成形品の厚肉部になるパリソン内面に向け
て上記噴出口から冷却媒体を噴き付けるようにしたの
で、専用の冷却媒体噴出手段を用いることなく冷却媒体
噴付け箇所の伸びを他の箇所よりも少なくできて厚肉部
を部分的に有する中空成形品を得ることができ、設備費
用の低減化を図ることができる。また、パリソンを成形
型に位置付けた状態でパリソン内面を冷却できるので、
厚肉部を目的とする位置に正確に形成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】型開き状態の成形型に対してパリソンを押し出
した状態を一部破断して示す正面図である。

【図２】図１のII−II線における断面図である。

【図３】パリソンのプリブロー状態を示す図２相当図で
ある。

【図４】中空成形品の成形状態を示す図２相当図であ
る。

【符号の説明】

１ ダイ ３ パリソン ５ ブローピン １１ 成形型 １３ 中空成形品 １３ａ 厚肉部 １５ 噴出口 １７ 冷却媒体 Ａ ブロー成形装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 孝文 広島市安佐北区可部南２丁目25番31号 西川化成株式会社内 (72)発明者 原 正雄 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 藤 和久 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 赤澤 輝美 広島県安芸郡海田町国信１丁目６番25号 株式会社東洋シート広島工場内 (72)発明者 中森 和伸 三重県四日市市東邦町１番地 三菱油化 株式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 内田 武行 三重県四日市市東邦町１番地 三菱油化 株式会社四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−201825（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−22529（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B29C 49/00 - 49/80

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 厚肉部を部分的に有する中空成形品をブ
   ロー成形する装置であって、円筒状のパリソンを押し出
   すダイと、該ダイの下方に設けられ、上記パリソンを型
   締め動作により両側から挟み付けるとともに、その内面
   に上記パリソンを収容する成形空間が形成される成形型
   と、上記ダイの下方に設けられ、ダイから押し出された
   パリソン内に相対的に挿入され、上記成形型の成形空間
   内に収容されたパリソン内部にブロー流体を吹き込み、
   該パリソンを上記成形空間の内面に沿わせた状態で膨張
   させて所定形状の中空成形品とするブローピンとを備
   え、該ブローピンには、パリソン押出し後でかつ上記ブ
   ロー流体吹込み前段階において、中空成形品の厚肉部に
   なるパリソン内面に向けて冷却媒体を噴き付ける噴出口
   が形成されていることを特徴とするブロー成形装置。