JP3128858B2 - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドの製造方法

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JP3128858B2 JP03129036A JP12903691A JP3128858B2 JP 3128858 B2 JP3128858 B2 JP 3128858B2 JP 03129036 A JP03129036 A JP 03129036A JP 12903691 A JP12903691 A JP 12903691A JP 3128858 B2 JP3128858 B2 JP 3128858B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録装置の記録、
再生に用いられる磁気ヘッドの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ヘッドの耐摩耗性向上及び軟
質樹脂等からなるフロッピーディスク等の磁気記録媒体
の損傷を防止するためガラスで補強した磁気ヘッドの製
造方法が開発されている。例えば特開昭51−1356
29号公報には、補強用ガラスが溶融した後に溶融炉を
不活性ガスで加圧する製造方法が開示されている。
【0003】以下に従来の磁気ヘッドの製造方法につい
て説明する。図2は従来の磁気ヘッドの斜視図である。
1は所定の幅に研削形成されたトラック部、2はトラッ
ク部1を補強するために研削溝に充填された補強用ガラ
ス材部、3はギャップ部、4はボンディングガラス材、
5は磁気ヘッドである。
【0004】以上のように構成された従来の磁気ヘッド
について、以下その製造方法を説明する。図3は従来の
磁気ヘッドの製造工程図である。(a)工程で、巻線溝
を有するフェライトコアブロック51と平板状のフェラ
イトコアブロック52を形成し、更にフェライトコアブ
ロック51の一端部にギャップ部3を形成するガラス薄
膜層31を形成する。(b)工程でフェライトブロック
51と52をボンディングガラス材4でボンディングし
た後、(c)工程で、接合したコアブロック53の一稜
部に所定の幅にトラック部1を残して研削溝6を形成
し、(d)工程で、前記研削溝6にガラス材を充填し補
強用ガラス材部2を形成する。(e)工程で、このよう
に作成したR/Wブロック7と同様な工程で作成したE
rブロック8をCaTiO3等の非磁性材で作られたセ
ンタースペーサ10を介して樹脂又はガラス等で接着し
た後、点線で示すごとく切断後、加工して磁気ヘッドを
製造していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、原料のガラス素材中に残留したガラス成分
や炉中でガラスの溶融中に巻き込まれた雰囲気ガス、ま
たはコアブロックに吸着されたガス成分が高温下で放出
され、さらに付着したゴミが高温下でガス化し、ガラス
材中に気泡が発生生長し、その気泡の逃散した後に空隙
部が生成するという問題点を有していた。また、この空
隙部が磁気媒体対向面に現れた場合、空隙部に浮遊粉塵
等が詰まり記録信号の減磁を招くという問題点があっ
た。更に、磁気記録媒体を損傷しデータを破壊したり磁
気ヘッド詰まりを惹起するという問題点があった。ま
た、特開昭51−135629号公報に開示された方法
では、気泡の成長を抑制する効果は認められるが、気泡
の生成を防止することが不可能という問題点を有してい
た。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、補強用ガラス材中の気泡の発生を抑制し、記録信号
の減磁や磁気記録媒体を損傷することのない高品質な磁
気ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の磁気ヘッドの製造方法は、補強用ガラスの溶
融充填工程において、ガラスの軟化温度よりも低温下に
溶融炉の圧力を大気圧以上に昇圧し、次いで昇温しつつ
補強用ガラス材を研削溝に溶融充填し、少なくとも補強
用ガラス材が固化するまで加圧状態を維持しつつ降温さ
せる工程を有する構成からなる。
【0008】
【作用】この構成によって、補強用ガラスの溶融時、溶
融炉の圧力が高いので吸着ガス等が発泡するのを抑制で
き、その結果気泡による空隙部の生成を防止できる。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例の磁気ヘッドの製
造方法における補強用ガラスの溶融状態と、圧力、温
度、時間の関係を示す状態図である。以下本実施例の磁
気ヘッドの製造方法について、図3の製造工程図に従い
説明する。
【0011】図3において、従来の(a)、(b)、
(c)の各工程を経た後、PbO52%,SiO235
%,Na2O4.8%,ZnO4.8%等よりなる所要
の補強用ガラスを、研削溝6に配置し、治具を用いて溶
融炉中に設置する。次いで、図1に示すごとくまず常温
もしくは、フェライトコアブロック53が空気中の酸素
等により悪影響を受けない比較的低温下、減圧状態で窒
素あるいはアルゴン等の不活性ガスと置換する。完全に
置換された後、窒素等の不活性ガスの圧力を略6.5気
圧に昇圧する。昇圧はボンベ、昇圧ポンプ等で大気圧以
上に昇圧すれば効果はあり、又、圧力は高ければ高い程
気泡の生成を防止する効果は大きくなるが、設備、安全
管理等の原価面を考慮した場合、3〜10気圧でも経済
的で充分に優れた効果が得られる。その後温度を690
℃まで上昇させ補強用ガラスを溶融充填させ、その温度
を30分程保ち溶接させた後、一定条件で降温させ、炉
内温度が200℃にて圧力を開放させた。その後、従来
例と同様にして、(e)工程で磁気ヘッドを得た。
【0012】次に、本実施例で製造された磁気ヘッドの
研削溝の補強ガラス材部を顕微鏡で観察し、気泡径20
μm以上の気泡の発生率を各10点について求め、その
平均を(表1)に示した。
【0013】(比較例1)特開昭51−135629号
公報に開示された方法で磁気ヘッドを製造し、実施例と
同様にして補強用ガラス材部を観察した。その結果を
(表1)に示す。
【0014】(比較例2)従来法に従い磁気ヘッドを製
造した。次いで、その補強用ガラス材部を実施例と同様
にして顕微鏡で観察した。その結果を(表1)に示し
た。
【0015】
【表1】
【0016】この(表1)から明らかなように、本実施
例による製造方法で得られた磁気ヘッドの気泡径20μ
m以上の気泡の発生率は従来例の約1/40しかなく、
吸着ガス等の発泡を抑制していることがわかる。又、特
開昭51−135629号公報の方法に対してもその1
/10以下しか認められなかった。これは低温域で発泡
したガスが高温下で膨張したために本実施例に比べ高い
発生率を示したものと考えられる。尚、工場等で一般的
に使用される窒素ガスラインのガス圧は5〜6気圧なの
で、既存の設備をそのまま利用すれば、昇圧ポンプを使
わずに実施できるので、低原価で量産化を図ることがで
きる。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明は、補強用ガラスの
溶融充填工程において、ガラスの軟化温度よりも低い温
度から溶融炉を加圧し、補強用ガラスの軟化温度以上で
研削溝に溶融充填し、少なくともガラスが固化するまで
の加圧状態を保持する工程を設けることにより、補強用
ガラス材部での気泡の発生を低減することができ、その
結果、磁気ヘッドの減磁等を生じず、かつ、磁気記録媒
体を損傷することのない高品質の磁気ヘッドを低原価で
量産できる優れた磁気ヘッドの製造方法を実現できるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気ヘッドの製造方法にお
ける補強用ガラスの溶融状態と、圧力、温度、時間との
関係を示す状態図
【図2】従来の磁気ヘッドの斜視図
【図3】(a)ギャップ部の形成工程図 (b)コア接合工程図 (c)研削溝の形成工程図 (d)補強用ガラス材部の溶融充填工程図 (e)磁気ヘッドの切り出し工程図
【符号の説明】
1 トラック部 2 補強用ガラス材部 3 ギャップ部 4 ボンディングガラス材 5 磁気ヘッドコア 6 研削溝 7 R/Wブロック 8 Erブロック 9 センタースペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−171405(JP,A) 特開 昭62−173617(JP,A) 特開 昭60−193110(JP,A) 特開 昭62−140208(JP,A) 特開 昭61−53134(JP,A) 特開 昭58−74581(JP,A) 特開 昭56−153521(JP,A) 特開 昭54−101310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/127 - 5/255

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ギャップを介してボンディングガラスで接
    合されたフェライトコアブロックの一稜部に所定幅のト
    ラック部を残して研削溝を切削形成する工程と、前記研
    削溝に補強用ガラス材を溶融充填する工程と、前記工程
    で得られた各フェライトコアブロック同志をセンタース
    ペーサを介して接着する工程と、を有する磁気ヘッドの
    製造方法であって、前記補強用ガラス材の溶融充填工程
    が前記補強用ガラス材の軟化点より低温下に溶融炉を大
    気圧以上に昇圧し、次いで昇温しつつ前記補強用ガラス
    材を研削溝に溶融充填させ、少なくとも前記補強用ガラ
    ス材が固化するまで加圧状態を維持しつつ降温させる工
    程からなることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
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