JP3125490B2

JP3125490B2 - 静電荷像現像用キャリアの製造方法

Info

Publication number: JP3125490B2
Application number: JP04339558A
Authority: JP
Inventors: 保雄松村; 政明宇佐美
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd; Fujifilm Business Innovation Corp
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1992-11-27
Filing date: 1992-11-27
Publication date: 2001-01-15
Anticipated expiration: 2016-01-15
Also published as: JPH06167835A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等により形成される静電荷像を二成分現像剤により現
像する際に用いられる静電荷像現像用キャリアの製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真法など静電荷像を経て画像情報
を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されてい
る。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光
体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜
像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここ
で用いる現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分現
像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いる一
成分現像剤とがあるが、二成分現像剤は、キャリアが現
像剤の攪拌・搬送・帯電等の機能を分担し、現像剤とし
て機能分離されているため、制御性がよい等の特徴があ
り、現在広く用いられている。特に、樹脂被覆を施した
キャリアを用いる現像剤は、帯電制御性が優れ、環境依
存性、経時安定性の改善が比較的容易である。また、現
像方法としては、古くはカスケード法等が用いられてい
たが、現在は現像剤搬送担体として磁気ロールを用いる
磁気ブラシ法が主流である。

【０００３】しかしながら、二成分現像剤を用いる磁気
ブラシ法は、現像剤の帯電劣化による画像濃度の低下、
著しい背景部の汚れの発生、画像へのキャリアの付着
（このメカニズムは、キャリアの抵抗が低下することに
より、画像部に誘導電荷が注入されてキャリアが付着す
る場合とキャリアの帯電量の上限制御が不十分であるた
めに、現像後のキャリアの帯電量が過剰になり、エッジ
部にキャリアが付着する場合が考えられる。）による画
像荒れ及びキャリアの消費、さらには画像濃度ムラの発
生等の問題がある。また、近年、二成分現像では高画質
化を目的としてキャリアのより軽量化がすすみつつあ
り、キャリアの小径化や、さらに磁性体を樹脂中に混練
分散した磁性体分散型キャリアを用いる傾向がある。そ
して、この磁性体分散型キャリアは、混練溶融物を噴霧
冷却することにより、ほぼ球形かつ軽量のキャリアを得
ることができる。また、この磁性体分散型キャリアは流
動性に優れ、細線再現、黒ベタ均一性にすぐれ、さらに
は、樹脂による被覆が可能であって、帯電制御が容易で
あるという種々の利点があるが、その反面、この磁性体
分散型キャリアの場合も、被覆の均一性や被覆樹脂中ま
たは核粒子中における揮発分の影響で帯電性の変動が生
じる等の問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の実状に鑑み、その問題点を解消するためになされた
ものである。すなわち、本発明の目的は、高画質の画像
を安定に得ることができる静電荷像現像用キャリアの製
造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、キ
ャリア付着を防止して高画質を確保するとともに、キャ
リアの消費を抑制することのできる静電荷像現像用キャ
リアの製造方法を提供することにある。本発明のさらに
他の目的は、環境変動等による帯電性変化を原因とする
画質維持性を改善することができる静電荷像現像用キャ
リアの製造方法を提供することにある。本発明の別の目
的は、黒ベタおよび細線再現に優れた画質が得られる静
電荷像現像用キャリアの製造方法を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
した結果、樹脂被覆された磁性粒子の残留揮発分量を、
キャリアに対してある特定量以下にすることによって、
上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明の静電荷像現像用キャリア
の製造方法は、磁性体核粒子を樹脂溶液に混合した後、
混合物を攪拌下に減圧乾燥することにより樹脂被覆を行
って残留揮発分量を０．１５重量％以下にするものであ
って、減圧乾燥をほぼ一定温度の加熱媒体を用いて行
い、その際、加熱された混合物が示す最低温度よりも１
０℃またはそれ以上上昇した時点で減圧乾燥を終了させ
ることを特徴とする。

【０００６】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、静電荷像現像用キャリアは、磁性体核粒子を樹
脂溶液に浸漬した後、減圧乾燥することにより得られる
樹脂被覆磁性粒子（以下、磁性粒子という）よりなるも
のであるが、上記減圧乾燥後の磁性粒子の残留揮発分量
が、キャリアに対して０．１５重量％以下のものである
ことが必要である。残留揮発分量が、キャリアに対して
０．１５重量％より多くなると、トナーとの帯電性が不
安定になり、複写時の初期に、帯電性が低下し、画像の
背景部汚れが発生したり、また、連続複写時の現像機内
部の温度上昇により帯電性が上昇し、画像濃度の低下、
また、キャリア付着の発生による像濃度むら、感光体傷
の発生が生じる。本発明において、残留揮発分量は、少
なくすればするほど複写時の初期における帯電性の低下
および連続複写時における現像機内部の温度上昇等に対
して改善効果があるが、実用的には、０．１５重量％以
下であれば、初期の目的が達成される。

【０００７】本発明における磁性体核粒子しては、樹脂
と磁性体微粉末を溶融混合し、噴霧冷却することにより
樹脂中にマグネタイト等公知の磁性体微粉末を分散した
磁性体分散型粒子のほか、混練粉砕法による磁性体分散
型粒子、および通常のフェライト、マグネタイト造粒物
等をあげることができる。これらのうちでも、樹脂と磁
性体微粉末を溶融混練し噴霧冷却して得たほぼ球状の磁
性体分散型粒子が特に好ましい。これら磁性体核粒子
は、通常、３０〜２００μｍ程度の粒径のものとして使
用される。磁性体分散型粒子の場合、構成成分として
結着樹脂が使用されるが、結着樹脂としては、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の重合体で
あるポリオレフィン系化合物；スチレン系モノマーおよ
びアクリル系モノマー等の単独重合体または共重合体；
ポリエステル；ポリウレタン；エポキシ樹脂；ポリアミ
ド樹脂等を使用することができる。

【０００８】また、本発明で使用する被覆用樹脂として
は、スチレン、クロルスチレン、メチルスチレン等のス
チレン類；メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、プロピルアクリレート、ラウリルアクリレート、メ
タクリル酸、アクリル酸，ブチルメタクリレート、ブチ
ルアクリレート、２−エチルヘキシルアクリレート、エ
チルメタクリレート等のα−メチレン脂肪族モノカルボ
ン酸類；アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニ
トリル類；２−ビニルピリジン、４−ビニルピリジン等
のビニルピリジン類；ビニルエーテル類；ビニルケトン
類；エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン
類；メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等の
シリコーン類の単独重合体または共重合体；フッ化ビニ
リデン、テトラフロロエチレン、ヘキサフルオロプロピ
レン、モノクロロトリフロロエチレン、モノクロロエチ
レン、トリフロロエチレン等のビニル系フッ素含有モノ
マーの共重合体；ビスフェノール、グリコール等を含む
ポリエステル類があげられる。

【０００９】本発明において、磁性体核粒子を上記樹脂
によって被覆するためには、上記樹脂を適当な溶剤に溶
解して樹脂溶液を調製した後、この樹脂溶液を磁性体核
粒子に混合し、得られた混合物を、所定の温度に加熱さ
れた加熱媒体を用いて攪拌下に減圧乾燥すればよい。こ
の場合、被覆用樹脂の配合量は、キャリアの０．２〜３
重量％程度、好ましくは０．５〜２重量％の範囲になる
ように調整される。減圧乾燥は、攪拌減圧乾燥機、具体
的には、減圧加熱型ニーダー、減圧加熱型ヘンシェルミ
キサー、減圧加熱型流動転動床、減圧加熱型プラネタリ
ーミキサー等を用いることができる。

【００１０】本発明において、残留揮発分量が０．１５
重量％以下になるようにするには、磁性体核粒子と樹脂
溶液の混合物の示す温度を指標にして減圧乾燥を行えば
よい。磁性体核粒子と樹脂溶液の混合物を攪拌しながら
減圧乾燥を行うと、混合物から溶媒が蒸発し、その気化
熱で徐々に混合物の温度が低下する。さらに乾燥を続け
ると溶媒が気化しなくなり、逆に樹脂溶液浸漬磁性体核
粒子の温度は上昇し始める。本明細書においては、この
時点の温度を混合物の示す最低温度という。攪拌下に減
圧乾燥を続け、上記最低温度より１０℃以上高くなった
時点で乾燥を終了させると、残留揮発分量０．１５重量
％以下とすることができる。

【００１１】本発明の静電荷像現像用キャリアは、トナ
ーと混合して二成分現像剤として用いられる。トナー
は、結着樹脂中に着色剤等を分散させたものであり、ト
ナーに使用する結着樹脂としては、スチレン、パラクロ
ロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類；アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ｎ−プロ
ピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸２−エチルヘキ
シル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ｎ−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタク
リル酸２−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪族モノ
カルボン酸エステル類；アクリロニトリル、メタアクリ
ロニトリル等のビニルニトリル類；２−ビニルピリジ
ン、４−ビニルピリジン等のビニルピリジン類；ビニル
メチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニル
エーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケト
ン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不
飽和炭化水素類及びそのハロゲン化物、クロロプレン等
のハロゲン系不飽和炭化水素類等の単量体による重合
体、あるいは、これらの単量体を２種以上組み合わせて
得られる共重合体、及び、これらの混合物、さらにはロ
ジン変性フェノールホルマリン樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、
セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系
樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を挙
げることができる。

【００１２】また、トナーに用いる着色剤としては、カ
ーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、カ
ルコイルブルー、クロームイエロー、ウルトラマリンブ
ルー、メチレンブルー、ローズベンガル、フタロシアニ
ンブルー、又はこれらの混合物を挙げることができる。
また、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシ
ンや四級アンモニウム塩などの電荷制御剤や低分子量ポ
リプロピレン、低分子量ポリエチレン、ワックス等のオ
フセット防止剤などの公知の他の成分を添加することが
できる。好ましくは、重量平均分子量が５００ないし５
０００の低分子量ポリプロピレンが好ましい。トナーと
するには、上記トナー材料を、バンバリーミキサー、ニ
ーダーコーター、ＣＭミキサー、エクストルーダー等を
用いて、混合し、溶融混練し、粉砕分級して、平均粒径
が約３０μｍ以下の、特に３ないし２０μｍの微粒子と
することが好ましい。さらに、シリカ、チタニア、アル
ミナ等の流動化剤やポリスチレン微粒子、ポリメチルメ
タクリレート微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子等の
クリーニング助剤もしくは転写助剤等の外添剤を用いる
ことができる。特に、一次平均粒径が５ｎｍないし３０
ｎｍの疎水性シリカが好ましく用いられる。

【００１３】

【作用】磁性体核粒子に樹脂被覆を行う場合、乾燥後に
磁性粒子に揮発分が残留するが、これら残留揮発分が、
磁性粒子をキャリアとして使用した場合、種々の点に影
響を与える。すなわち、残留揮発分量が多くなると、ト
ナーの帯電性を不安定にし、初期的に帯電性を低下した
り、または連続複写時の現像機内部の温度上昇により、
帯電性が上昇し、その結果、初期的に背景部汚れが発生
したり、連続複写時における画像濃度低下、キャリア付
着の発生による濃度むら、感光体傷の発生等の問題が生
じる。特に、磁性体核粒子が焼結が不十分なフェライト
粒子であったり、または、樹脂中に磁性体微粉末を分散
したような磁性体核粒子の場合、核粒子内部に揮発分が
浸透して揮発分の残留が多くなり、上記の問題が顕著に
なる。しかしながら、本発明の製造方法によって残留揮
発分量をキャリア重量の０．１５重量％以下にすれば、
上記の問題が解決され、環境変動などによる帯電性変化
に対する画質維持性が改善され、またキャリアの付着が
防止されて、黒ベタ及び細線再現性に優れた高画質の画
像が安定して得られるようになる。本発明における上記
処理は、樹脂と磁性体微粉末を溶融混練し噴霧冷却し、
ほぼ球状の樹脂中に磁性体微粉末を分散したような磁性
体分散型粒子の場合に、特に有効である。

【００１４】

【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。（磁性体核粒子の製造）下記組成物を加圧型ニーダーに
より加熱溶融混練し、円盤型噴霧装置を用いて、噴霧冷
却法により造粒し、篩分級により、平均粒径８０ミクロ
ンの磁性体核粒子を得た。ポリエチレン（４００Ｐ、三井石油化学工業社製）３０重量％マグネタイト粉（ＥＰＴ１０００、戸田工業社製）７０重量％

【００１５】（磁性体核粒子の樹脂被覆）得られた磁性
体核粒子４０ｋｇに、ポリメチルメタクリレート（重量
平均分子量１５，０００）のクロロホルム溶液（濃度
２．８〜６．０重量％）１２ｋｇを入れ混合し、表１の
組成及び被覆工程条件により、５５℃に加熱された減圧
型ニーダーにより攪拌下減圧乾燥を行って樹脂被覆を行
い、表１に示すＮｏ．１〜５の樹脂被覆磁性体核粒子を
得た。これらを静電荷像現像用キャリアとして使用し
た。（残留揮発分量の測定）残留揮発分量の測定は、次の方
法により行った。サンプルの上記各キャリア約５０ｇを
精密に秤量し、化学実験用加温型真空乾燥機に移し、５
０℃に加熱しながら、トラップ付き真空ポンプにより減
圧し、１０ｍｍＨｇ以下で１時間乾燥した後取り出し、
室温冷却した後、秤量して揮発減量分を定量した。その
結果を表１に示す。

【００１６】（トナーおよび現像剤の製造）結着樹脂（スチレン−ｎブチルメタクリレート）８４重量％カーボンブラック（ＢＰＬ、キャボット社製）１０重量％ポリプロピレンワックス（６６０Ｐ、三洋化成工業社製）５重量％ポリエチレンワックス（４００Ｐ、三井石油化学工業社製）１重量％上記組成物を混練粉砕法により、平均粒径１１μのトナ
ーを得た。次に、得られたトナーを濃度が６％となるよ
うにキャリアに加え、混合して、各現像剤を得た。

【００１７】（画質維持性試験）各現像剤について、富
士ゼロックス社製ＦＸ５０３９改造機を用いて、高温高
湿の環境下で最大５万枚の画質維持性試験を行った。そ
の結果を表１に示す。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【発明の効果】本発明の製造方法によれば、樹脂被覆さ
れた磁性体核粒子の減圧乾燥後の残留揮発分量を、キャ
リアの重量の０．１５重量％以下にすることができ、キ
ャリアの付着を防止して高画質を確保するとともに、キ
ャリアの消費を抑制し、環境変動等による帯電性変化に
対して画質維持性が改善され、さらには、黒ベタおよび
細線再現に優れた画質の画像を安定して得ることができ
る。本発明の製造方法は、樹脂と磁性体微粉末を溶融混
練し噴霧冷却し、ほぼ球状の樹脂中に磁性体微粉末を分
散したような磁性体分散型粒子の場合に、特に有効であ
る。

フロントページの続き (56)参考文献特開平４−232967（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−135841（ＪＰ，Ａ) 特開平１−309070（ＪＰ，Ａ) 特開平３−247514（ＪＰ，Ａ) 特開平２−161461（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03G 9/10

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】磁性体核粒子を樹脂溶液と混合した後、
混合物を攪拌下に減圧乾燥することにより樹脂被覆を行
う静電荷像現像用キャリアの製造方法において、減圧乾
燥をほぼ一定温度の加熱媒体を用いて行い、その際、加
熱された混合物が示す最低温度よりも１０℃またはそれ
以上上昇した時点で減圧乾燥を終了させることを特徴と
する残留揮発分量が０．１５重量％以下である静電荷像
現像用キャリアの製造方法。