JP3125439B2 - ミシンの逆転ソレノイド制御装置 - Google Patents

ミシンの逆転ソレノイド制御装置

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JP3125439B2
JP3125439B2 JP04166283A JP16628392A JP3125439B2 JP 3125439 B2 JP3125439 B2 JP 3125439B2 JP 04166283 A JP04166283 A JP 04166283A JP 16628392 A JP16628392 A JP 16628392A JP 3125439 B2 JP3125439 B2 JP 3125439B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミシンの布送りを逆転
させるための返し縫い用逆転ソレノイドの制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ソレノイドを用いてミシンの布送
りを逆転させるいわゆる電磁逆転機構は、図1に示すよ
うに構成されている。即ち、図示しない返し縫い用のタ
ッチバックスイッチやプログラム制御等により、ソレノ
イド制御回路を介して逆転ソレノイド1が作動し、返し
縫いレバー軸3に固定されたソレノイドレバー5が押さ
れて回転する。
【0003】返し縫いレバー軸3には送り調節器7も固
定されており、上述したソレノイドレバー5の回転に伴
って送り調節器7も回転するよう構成されている。ま
た、送り調節器7は、切替器レバー9及び切替器軸腕1
1を介し、引きばね13によって送り調節ねじ15側に
付勢されている。逆転ソレノイド1が作動すると、その
引きばね13の力に反して送り調節器7が回転させられ
るのである。
【0004】また、上記送り調節ねじ15は、送り調節
器7の傾き角を固定するためのストッパとしての役割を
果たし、送り調節器7の回転規制をする。そして、その
出入量を変えることによって送りピッチを変更できるよ
うに構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した送り調節器7
は、通常、送り調節ねじ15に対して図2(A)に示す
ような位置にあるが、逆転ソレノイド1により駆動され
て図2(B)に示す位置に移動する。この移動の際の、
逆転ソレノイド1にかかる電圧と送り調節器7の駆動軌
跡との関係を図5のタイムチャートに示す。尚、図中
(A)はソレノイド電圧、(B),(C)は送り調節器
7の駆動軌跡であり、(B)は送りピッチが小さい場
合、(C)は送りピッチが大きい場合である。
【0006】ソレノイド電圧がオンすると、逆転ソレノ
イド1が立ち上がるが、電圧オンから実際の作動までに
応答遅れがあるため、送り調節器7の駆動軌跡は、それ
ぞれ所定時間後から移動し始め、(B)では時間t01
後、(C)では時間T01後に逆転位置への移動が完了す
る。また、ソレノイド電圧がオフすると、引きばね13
の力により移動し始め、(B)では時間t02後、(C)
では時間T02後に復帰位置への移動が完了する。
【0007】ところが、この逆転位置あるいは復帰位置
への移動が完了する際、(B),(C)からも明らかな
ように、送り調節器7の移動速度(駆動軌跡の傾きが相
当する)が大きくなっていき、送り調節ねじ15に当接
して停止されるため、衝撃音が発生する。
【0008】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、送り調節器の、逆転位置あるい
は復帰位置への移動完了時における衝撃音を緩和するミ
シンの逆転ソレノイド制御装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた請求項1記載のミシンの逆転ソレノイド制御
装置は、布送りを逆転させるための返し縫い用逆転ソレ
ノイドと、逆転ソレノイドにより駆動され、逆転位置あ
るいは復帰位置に移動する送り調節器と、送り調節器の
傾き角を固定するためのストッパとして働くと共に、そ
の出入量を変えることによって送りピッチを変更可能な
送り調整ねじとを備えたミシンにおいて、送り調節器が
逆転位置あるいは復帰位置に移動する際、ソレノイド電
圧を断続的にオン・オフさせながら逆転ソレノイドに付
加する制御手段を備えている。
【0010】また、請求項2記載のミシンの逆転ソレノ
イド制御装置は、請求項1記載の構成に加え、複数の布
送りピッチそれぞれに対応して、最適な、ソレノイド電
圧の断続開始タイミングを記憶しておくタイミング記憶
手段を備え、上記制御手段は、設定された布送りピッチ
に対応する断続開始タイミングを上記タイミング記憶手
段より読み出し、該読み出した断続開始了タイミングに
基づいてソレノイド電圧を断続的にオン・オフさせる。
【0011】さらに、請求項3記載の装置は、請求項1
記載の構成において、制御手段が、設定可能な複数の布
送りピッチでの送り調節器の逆転あるいは復帰動作それ
ぞれにおいて、その動作の終了時期が最も早いものに対
応する終了タイミングよりも早くソレノイド電圧の断続
的オン・オフを開始し、かつ、その動作の終了時期が最
も遅いものに対応する終了タイミングまでソレノイド電
圧の断続的オン・オフを続行させる。
【0012】
【作用】上記構成を有する請求項1記載のミシンの逆転
ソレノイド制御装置によれば、逆転ソレノイドに駆動さ
れて、送り調節器が逆転位置あるいは復帰位置に移動す
る際、制御手段がソレノイド電圧を断続的にオン・オフ
させながら逆転ソレノイドに加えることによってブレー
キがかかり、逆転位置あるいは復帰位置に移動完了時の
速度が減少して、衝撃音が緩和される。
【0013】また、布送りピッチが異なると、送り調節
器の逆転あるいは復帰動作それぞれにおける動作終了時
期も異なる場合があるが、請求項2記載の装置によれ
ば、タイミング記憶手段が、布送りピッチに対応した最
適な断続開始タイミングを記憶している。そして、制御
手段が、設定された布送りピッチに対応する断続開始タ
イミングをタイミング記憶手段より読み出し、読み出し
た各タイミングに基づいてソレノイド電圧を断続的にオ
ン・オフさせる。
【0014】従って、例えばソレノイド電圧の断続的オ
ン・オフによりブレーキはかかっても、そのタイミング
が早すぎると、逆転位置あるいは復帰位置への移動完了
時の速度が十分に減少しない場合が生じるが、本装置に
よれば、設定された布送りピッチに応じた最適なタイミ
ングでブレーキをかけることができ、移動完了時の速度
の減少を効果的に行える。
【0015】さらに、請求項3記載の装置によれば、布
送りピッチが異なることにより、送り調節器の逆転ある
いは復帰動作それぞれにおける動作終了時期が異なって
も、制御手段が、その動作の終了時期が最も早いものに
対応する終了タイミングよりも早くソレノイド電圧の断
続的オン・オフを開始し、かつ、その動作の終了時期が
最も遅いものに対応する終了タイミングまでソレノイド
電圧の断続的オン・オフを続行させる。従って、設定さ
れた布送りピッチに関係なく、移動完了時の速度の減少
を効果的に行える。
【0016】
【実施例】次に、本発明を具体化した実施例について図
面を参照して説明する。ミシンの布送りを逆転させる電
磁逆転機構の各部構成については、図1及び図2を参照
して既に説明したので、さらなる説明は省略する。逆転
ソレノイド1を作動させるために付加するソレノイド電
圧の制御に関して以下に説明する。
【0017】まず、第1制御例を図3を参照して説明す
る。図3(A)及び図3(B)はそれぞれ送りピッチが
小さい場合のソレノイド電圧及び送り調節器7の駆動軌
跡である。ソレノイド電圧をオンした後、送り調節器7
が移動し始めてから時間t11後において、図3(A)に
示すように、ソレノイド電圧が一旦オフし、すぐにオン
に戻されている。このソレノイド電圧のオン・オフによ
り、逆転ソレノイド1の駆動速度にブレーキがかかる。
【0018】ソレノイド電圧を一旦オフする開始タイミ
ング、即ち送り調節器7が移動し始めてから時間t11後
に該当するタイミングは、予めフィーリングテスト等で
決定したものをメモリに記憶してある。時間t11は、図
5(B)に示す時間t01よりも小さく設定されるが、ソ
レノイド電圧のオン・オフによりブレーキはかけるタイ
ミングが早すぎると、逆転位置への移動完了時の速度が
十分に減少しない場合が生じるため、本実施例では、図
5(B)に示す移動完了時刻に近いタイミングでブレー
キがかかるよう、上記開始タイミングが決定されてい
る。
【0019】これにより、送り調節器7が逆転位置に移
動する動作の完了直前、すなわち、送り調節器7と送り
調節ねじ15とがぶつかる直前にブレーキ作用が生じて
両者の当接速度が減少し、衝撃音が緩和される。一方、
ソレノイド電圧をオフした後、逆転位置にある送り調節
器7が移動し始めてから時間t12後において、図3
(A)に示すように、ソレノイド電圧が一旦オンし、す
ぐにオフに戻されている。このソレノイド電圧のオン・
オフにより、逆転ソレノイド1の駆動速度にブレーキが
かかる。
【0020】この一旦オンにする開始タイミング、即ち
送り調節器7が移動し始めてから時間t12後に該当する
タイミングも上記同様、予めフィーリングテスト等で決
定したものをメモリに記憶してある。時間t12も、図5
(B)に示す時間t02よりも小さく設定されるが、ブレ
ーキはかけるタイミングが早すぎると、復帰位置への移
動完了時の速度が十分に減少しない場合が生じるため、
図5(B)に示す移動完了時刻に近いタイミングでブレ
ーキがかかるよう、上記開始タイミングが決定されてい
る。
【0021】これにより、送り調節器7が復帰位置に移
動する動作の完了直前、すなわち、送り調節器7と送り
調節ねじ15とがぶつかる直前にブレーキ作用が生じて
当接速度が減少し、衝撃音を緩和できる。また、図3
(C)及び図3(D)はそれぞれ送りピッチが大きい場
合のソレノイド電圧及び送り調節器7の駆動軌跡であ
る。この場合も同様に、送り調節器7が復帰位置から移
動し始めてから時間T11後、あるいは逆転位置から移動
し始めてから時間T12後において、ソレノイド電圧の断
続的オン・オフが行われている。
【0022】これらの開始タイミングも、予めフィーリ
ングテスト等で決定し、メモリに記憶してあるものであ
り、時間T11,T12は、図5(C)に示す時間T01,T
02よりも小さく、かつ、図5(C)に示す各移動完了時
刻に近いタイミングでブレーキがかかるよう決定されて
いる。これにより、送り調節器7と送り調節ねじ15と
の当接速度が減少し、衝撃音を緩和できる。なお、この
第1制御例では、単発的にソレノイド電圧のオン・オフ
を行ったが、オン・オフを複数回繰り返しても良い。
【0023】また、布送りピッチが異なると、送り調節
器7の逆転あるいは復帰動作それぞれにおける動作終了
時期も異なる場合があるが、上述したように、各布送り
ピッチに対応した最適な開始タイミングを記憶してお
き、設定された布送りピッチに対応するタイミングでソ
レノイド電圧を断続的にオン・オフさせることで、速度
減少を効果的に行える。
【0024】次に、第2制御例を図4を参照して説明す
る。この第2制御例は、送りピッチの大小にかかわら
ず、図4(A)に示すように断続的にオン・オフが繰り
返されるソレノイド電圧が同じようにかけられる。復帰
位置から逆転位置への移動時における開始タイミング
は、図4(B)に示すように、送りピッチ小の送り調節
器7が移動し始めてから時間t21後であり、一方、終了
タイミングは、図4(C)に示すように、送りピッチ大
の送り調節器7が移動し始めてから時間T21後である。
【0025】また、逆転位置から復帰位置への移動時に
おける開始タイミングは、図4(B)に示すように、送
りピッチ小の送り調節器7が移動し始めてから時間t22
後、終了タイミングは、図4(C)に示すように、送り
ピッチ大の送り調節器7が移動し始めてから時間T22後
である。
【0026】すなわち、設定可能な複数の布送りピッチ
(本例の場合は、ピッチ大とピッチ小の2種類)での送
り調節器7の逆転あるいは復帰動作それぞれにおいて、
その動作の終了時期が最も早いもの(この場合は送りピ
ッチ小の方)に対応する終了タイミングよりも早くソレ
ノイド電圧の断続的オン・オフが開始される。そして、
その動作の終了時期が最も遅いもの(この場合は送りピ
ッチ大の方)に対応する終了タイミングまでソレノイド
電圧の断続的オン・オフを続行させている。
【0027】そのため、この第2制御例によるソレノイ
ド電圧を付加すれば、送りピッチ小の場合にも、送りピ
ッチ大の場合にも、その動作終了時までソレノイド電圧
のオン・オフが行われ、逆転ソレノイド1の駆動速度に
ブレーキがかかることにより当接速度が減少し、衝撃音
が緩和される。
【0028】また、図4(D)に示す制御例は、図4
(A)に示す第2制御例の変形例で、ソレノイド電圧の
オン・オフ周期が、時間経過と共に長くなるように制御
したものである。これは、送りピッチが大きくなるにつ
れて送り調節器7の逆転作動時の傾き角が増すため、そ
の分、送り調節器7と送り調節ねじ15とがぶつかる際
の衝撃力も大きくなることを考慮したものである。
【0029】すなわち、送りピッチが小さく衝撃が比較
的小さい場合には相対的に小さなブレーキ作用が働き、
送りピッチが大きくなるに従って、ブレーキ作用も大き
く働くようにしたものである。図4(D)に示す場合
は、図4(A)に示す第2制御例の場合よりも、その断
続的オン・オフの開始タイミングを若干早くしてあり、
徐々に大きなブレーキ作用が加わるため、図4(B),
図4(C)に示す第2制御例での場合よりも、送り調節
器7と送り調節ねじ15との当接速度がさらに減少し、
衝撃音をより緩和できる。
【0030】なお、上述した制御例において、ソレノイ
ド電圧を断続的オン・オフする際の周期や、第2制御例
の変形例における周期増加傾向等についても、予め、対
象とするミシンの電磁逆転機構にとってブレーキ作用が
最も効果的に働く値を決定し、それに基づいて制御する
ようにすると良い。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のミシンの
逆転ソレノイド制御装置は次に記載する効果を奏する。
請求項1記載の制御装置によれば、送り調節器が逆転位
置あるいは復帰位置に移動する際、ソレノイド電圧を断
続的にオン・オフさせながら逆転ソレノイドに加えるこ
とによってブレーキがかかり、衝撃音を緩和することが
できる。
【0032】請求項2記載の制御装置によれば、布送り
ピッチの違いにより移動動作終了時期が異なっても、設
定された布送りピッチに応じた最適なタイミングでブレ
ーキをかけることができ、移動完了時の速度の減少を効
果的に行える。請求項3記載の制御装置によれば、布送
りピッチの違いにより移動動作終了時期が異なっても、
その動作の終了時期が最も早いものに対応する終了タイ
ミングよりも早くソレノイド電圧の断続的オン・オフを
開始し、かつ、その動作の終了時期が最も遅いものに対
応する終了タイミングまでソレノイド電圧の断続的オン
・オフを続行させるため、設定された布送りピッチに関
係なく、移動完了時の速度の減少を効果的に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ミシンの布送りを逆転させる電磁逆転機構の
斜視図である。
【図2】 送り調節器の逆転位置及び復帰位置を示す説
明図である。
【図3】 第1制御例を示し、(A)及び(B)はそれ
ぞれ送りピッチが小さい場合のソレノイド電圧及び送り
調節器7の駆動軌跡、(C)及び(D)はそれぞれ送り
ピッチが大きい場合のソレノイド電圧及び送り調節器7
の駆動軌跡、を各々示すタイムチャートである。
【図4】 第2制御例を示し、(A)はソレノイド電
圧、(B)及び(C)はそれぞれ(A)の制御を行った
場合の送りピッチが小さい場合及び大きい場合における
送り調節器の駆動軌跡、(D)は電圧制御の変形例、を
各々示すタイムチャートである。
【図5】 従来の制御例を示し、(A)はソレノイド電
圧、(B)及び(C)はそれぞれ(A)の制御を行った
場合の送りピッチが小さい場合及び大きい場合における
送り調節器の駆動軌跡、を各々示すタイムチャートであ
る。
【符号の説明】
1…逆転ソレノイド、 3…返し縫いレバー軸、
5…ソレノイドレバー、7…送り調節器、 9…切替器
レバー、 11…切替器軸腕、 13…引きばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05B 27/02 103

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布送りを逆転させるための返し縫い用逆
    転ソレノイドと、該逆転ソレノイドにより駆動され、逆
    転位置あるいは復帰位置に移動する送り調節器と、該送
    り調節器の傾き角を固定するためのストッパとして働く
    と共に、その出入量を変えることによって送りピッチを
    変更可能な送り調整ねじとを備えたミシンにおいて、 上記送り調節器が上記逆転位置あるいは復帰位置に移動
    する際、ソレノイド電圧を断続的にオン・オフさせなが
    ら上記逆転ソレノイドに付加する制御手段を備えたこと
    を特徴とするミシンの逆転ソレノイド制御装置。
  2. 【請求項2】 複数の布送りピッチそれぞれに対応し
    て、最適な、上記ソレノイド電圧の断続開始タイミング
    を記憶しておくタイミング記憶手段を備え、 上記制御手段は、設定された布送りピッチに対応する断
    続開始タイミングを上記タイミング記憶手段より読み出
    し、該読み出した断続開始タイミングに基づいて上記ソ
    レノイド電圧を断続的にオン・オフさせることを特徴と
    する請求項1記載のミシンの逆転ソレノイド制御装置。
  3. 【請求項3】 上記制御手段は、設定可能な複数の布送
    りピッチでの上記送り調節器の逆転あるいは復帰動作そ
    れぞれにおいて、その動作の終了時期が最も早いものに
    対応する終了タイミングよりも早く上記ソレノイド電圧
    の断続的オン・オフを開始し、かつ、その動作の終了時
    期が最も遅いものに対応する終了タイミングまで上記ソ
    レノイド電圧の断続的オン・オフを続行させることを特
    徴とする請求項1記載のミシンの逆転ソレノイド制御装
    置。
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