JP3125044B2 - 新規なトリフェニルアミン重合体、その製造方法及びそれを用いた有機導電材料 - Google Patents

新規なトリフェニルアミン重合体、その製造方法及びそれを用いた有機導電材料

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JP3125044B2
JP3125044B2 JP09114632A JP11463297A JP3125044B2 JP 3125044 B2 JP3125044 B2 JP 3125044B2 JP 09114632 A JP09114632 A JP 09114632A JP 11463297 A JP11463297 A JP 11463297A JP 3125044 B2 JP3125044 B2 JP 3125044B2
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なトリフェニル
アミン重合体、その製造方法及びそれを用いた有機導電
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トリフェニルアミンを構成単位と
して有する化合物は安定性に優れているとともに、電気
化学的に活牲を示すところから、注目を集めている。酸
化により陰イオンがドーピングされp型半導体となり、
この性質を利用して電極材料への応用及び酸化・還元時
の吸光度変化を用いた表示素子としての応用が可能であ
る。しかしながら、従来知られている方法は構成単位と
なるトリフェニルアミンを化学的に一段階ずつ多段階で
合成しており、製造工程上、煩雑さを免れることができ
なかった(Chemical Communicati
on,1996,2175)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな欠点を克服すべく鋭意研究を行った結果、トリス
(ブロモフェニル)アミンから導かれるモノグリニャー
ル化合物の一段階自己重縮合反応により合成される規則
的な枝分かれを有するある種のトリフェニルアミン重合
体がその目的に適合することを見い出し、本発明を完成
するに至った。本発明の目的は汎用の有機溶媒に可溶で
成形加工性に優れたポリアミン系の有機導電材料及びそ
の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は
(1)式(III)
【0005】
【化5】
【0006】で示される構造を有し、かつ、有機溶媒に
可溶性であることを特徴とする重合体、(2) 式(I
I)
【0007】
【化6】
【0008】(式中のXはCl、BrもしくはI)で示
されるグリニャール化合物をニッケル(II)錯体の存在
下で重縮合させることを特徴とする(1)項記載の重合
体の製造方法、及び
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】(3)(1)項記載の重合体に陰イオンを
ドーピングさせてなる有機導電材料を提供するものであ
る。式(I)
【0013】
【化9】
【0014】で示される繰り返し単位からなる規則的な
枝分かれを有する、上記式(III)の構造を有するポリ
(トリフェニルアミン)は新規化合物であって、テトラ
ヒドロフラン、クロロホルムなどの溶媒に可溶なので、
フィルムなどに容易に成形することができる。
【0015】このポリ(トリフェニルアミン)は式(I
I)
【0016】
【化10】
【0017】(式中のXはCl、BrもしくはI)で示
されるグリニャール化合物をニッケル(II)錯体を用い
て重縮合することにより製造することができる。この際
に用いられるニッケル(II)錯体としては、ニッケル
(II)アセチルアセトナート、(2,2’−ピリジン)
ジクロロニッケル(II)などがあげられる。ニッケル
(II)錯体の使用量は、式(II)で表わされる化合物に
対して、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは5
〜20モル%である。反応溶媒としてはテトラヒドロフ
ラン、ジエチルエーテルなどが適しており、加熱温度と
しては40〜80℃、好ましくは60〜80℃の範囲で
ある。重合は反応中間体が酸素と化合して副生物を生じ
るのを防ぐため、不活性雰囲気下で行う。この際の不活
性雰囲気としては窒素、アルゴンなどが用いられる。
【0018】式(II)で表わされるモノグリニャール化
合物は、例えば、トリス(4−ブロモフェニル)アミン
に等モルのn−ブチルリチウムを反応させた後、臭化マ
グネシウムエーテラートを加えることにより合成するこ
とができる。
【0019】本発明の式(III)
【0020】
【化11】
【0021】で示される構造を有してなる重合体は、赤
外吸収スペクトルで、1,4−ジ置換ベンゼンの面外変
角振動、C−N結合の伸縮振動に帰属されるバンドが、
それぞれ、817、1269cm-1に観測される。な
お、上記式(III)は説明的に示したものであり繰り返
し単位の数を示すものでなく、通常、末端にさらに下記
式(I)の繰り返し単位が結合しているものである。ま
た、最終末端には水素原子又はハロゲン原子が結合す
る。
【0022】式(I)
【化12】
【0023】その重量平均分子量は、通常1500〜5
0000、好ましくは2500〜50000である。得
られたポリ(トリフェニルアミン)はそのままの状態で
は絶縁体であるが、テトラフルオロホウ酸イオン、テト
ラフルオロりん酸イオン、過塩素酸イオン、ヨウ素イオ
ン、臭素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオンなどの陰
イオンをドーピングすることにより半導体としての性質
を示すようになる。ドーピングは具体的には電極上に作
ったポリ(トリフェニルアミン)膜に、支持電解質を溶
解した溶媒中で、電位を印加することにより行うことが
できる。ドーピング量は、通常、式(III)で示される
構造を有してなる重合体に対し、式(I)の繰り返し単
位当り好ましくは1モル%以上、より好ましくは、5〜
50モル%である。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、溶媒に可溶で容易に成
形しうるポリ(トリフェニルアミン)を製造することが
でき、また、このポリマーは1.2Vの条件下での酸化
反応が可能である。
【0025】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説
明する。
【0026】実施例1 還流冷却器、マグネチックスターラー付き30ml容三
頚フラスコに、トリス(4‐ブロモフェニル)アミン
0.964g(2.0ミリモル)を入れ、系を真空にし
た後にアルゴンガスを導入するという操作を3回繰り返
して不活性雰囲気とした。乾燥したテトラヒドロフラン
3mlをセプタムキャップから注射器によって加え、−
78℃に冷却した。濃度1.6Mのn−ブチルリチウム
(ヘキサン溶液)l.25ml(2.0ミリモル)を注
入し、5分間撹拌した後、ジエチルエーテルlmlに溶
解した臭化マグネシウムエーテラートを0.646g
(2.5ミリモル)を加えた。温度を室温にし、10分
間撹拌すると褐色のグリニャール化合物が生成した。次
に、別に用意した重合用の還流冷却器、マグネチックス
ターラー付き300ml容三頚フラスコに、ニッケル
(II)アセチルアセトナート64.2mg(0.25ミ
リモル)を入れ、アルゴンガスにより不活性雰囲気とし
た。テトラヒドロフラン50mlを注入した後、上記の
グリニャール化合物を加えた。一晩、還流させ重合を行
うと、反応混合物は黄緑色を呈した。水0.5mlを加
えて反応を停止させ、溶媒を除去し、残った黄色固体を
石油エーテル、1N塩酸、メチルアルコールで洗浄し真
空乾燥した。黄色粉末0.453g(70%)を得た。
更に、熱石油エーテルで不溶分を除去した。融点192
〜199℃。このポリ(トリフェニルアミン)の赤外吸
収スペクトルを図1に示す。これより、817、126
9cm-1にバンドが観測され、それぞれ1,4−ジ置換
ベンゼンの面外変角振動、C−N結合の伸縮振動に帰属
される。GPCによる重量平均分子量はカラムをTSK
gel G3000HXL、溶媒をテトラヒドロフランと
して測定したところ、4.0×103 であった。
【0027】実施例2 実施例1における重合用フラスコヘのテトラヒドロフラ
ン仕込量を100mlとしたほかは同様に操作を行っ
た。黄色粉末0.343g(53%)を得た。このもの
を実施例1と同様に石油エーテルで不溶分を除去し、赤
外吸収スペクトルを測定したところ、実施例1の重合体
と同様に817、1269cm-1にバンドが観測され
た。
【0028】実施例3 実施例1で得られたポリ(トリフェニルアミン)を、テ
トラヒドロフランに溶解し、白金板上に塗布、乾燥させ
てフィルムを作成した。この白金板を作用電極、銀線を
参照電極として、炭酸プロピレン中、0.1Mテトラフ
ルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウムを支持電
解質として、100mV/Sの掃引速度で0〜l.6V
(vs Ag)の範囲でサイクリックボルタモグラムを
測定すると、1.2Vにポリマ一が中性状態からp型半
導体への変化を表す酸化ピークが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリ(トリフェニルアミン)の赤外吸収スペク
トル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−212420(JP,A) 特開 平9−59355(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/00 - 61/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(III) 【化1】 で示される構造を有し、かつ、有機溶媒に可溶性である
    ことを特徴とする重合体。
  2. 【請求項2】 式(II) 【化2】 (式中のXはCl、BrもしくはI)で示されるグリニ
    ャール化合物をニッケル(II)錯体の存在下で重縮合さ
    せることを特徴とする請求項1記載の重合体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の重合体に陰イオンをドー
    ピングさせてなることを特徴とする有機導電材料。
JP09114632A 1997-05-02 1997-05-02 新規なトリフェニルアミン重合体、その製造方法及びそれを用いた有機導電材料 Expired - Lifetime JP3125044B2 (ja)

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