JP3123172B2 - 光の位置と強さを検出する装置 - Google Patents

光の位置と強さを検出する装置

Info

Publication number
JP3123172B2
JP3123172B2 JP35379491A JP35379491A JP3123172B2 JP 3123172 B2 JP3123172 B2 JP 3123172B2 JP 35379491 A JP35379491 A JP 35379491A JP 35379491 A JP35379491 A JP 35379491A JP 3123172 B2 JP3123172 B2 JP 3123172B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
film
resistor film
intensity
photoelectric conversion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35379491A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0552921A (ja
Inventor
正一 恩田
学 山田
雅 原田
雅也 中村
健一 花木
知司 寺田
知久 吉見
秀夫 浅野
孝昌 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to GB9204010A priority Critical patent/GB2253516B/en
Priority to DE4205757A priority patent/DE4205757A1/de
Priority to US07/840,916 priority patent/US5324929A/en
Publication of JPH0552921A publication Critical patent/JPH0552921A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3123172B2 publication Critical patent/JP3123172B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Photo Coupler, Interrupter, Optical-To-Optical Conversion Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アモルファスシリコン
系半導体などの光導電効果を利用して、例えば、太陽光
の方位、高度及び強度が検出できる光の位置と強さを検
出する装置に関する。本発明は、自動車の空調制御にお
いて、日射による熱負荷量の演算のための正確な日射強
度の検出に用いることができる。
【0002】
【従来技術】従来、この種の位置検出装置としては、特
開昭59−228116号公報「光ポテンショメータ」
にて開示されたもの、又、特開昭63−164281号
公報「位置検出装置」にて開示されたものが知られてい
る。前者の位置検出装置(光ポテンショメータ)は、光
照射されると抵抗値が下がる光導電膜を構成要素として
いる。後者の位置検出装置は、光照射により起電力を発
生する p-i-n接合したアモルファス半導体層と透明導電
膜と金属から成る導電層とにより構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の光導
電膜を用いた位置検出装置では、図35にその光導電膜
の回路模式図を示したように、温度が上昇すると電子の
熱励起により光照射されていない部分に漏れ電流が流
れ、出力電圧が光照射された位置(光スポットHの位
置)に対応した分割電位値からズレてしまい正確な位置
測定ができないという問題があった。後者のアモルファ
ス半導体層を用いた位置検出装置では、以下のような問
題があった。光照射により検出される光電流は、通常、
100nAと極めて微弱であり、その後の演算処理を行うに
は高感度の増幅器が必要となり、装置が大掛かりとなり
高価にならざるを得なかった。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、光の照射
に対応する出力電圧が大きな値であり(感度大)、且
つ、高温度でも漏れ電流が少なく検出精度の安定した装
置を得ることであって、光の入射方位及び高度と共に強
度を表す信号を取り出すことのできる光の位置と強さを
検出する装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成における第1の特徴は、少なくとも一つの
抵抗体膜と、該抵抗体膜に重なって積層され、極性が互
いに反対方向で直列に積層されたダイオード成分を形成
し、光が通った部分がその光の強さに応じて導電化する
と共に各ダイオード成分に光起電力が生じる光電変換膜
と、前記抵抗体膜の平面方向に沿って該抵抗体膜上に所
定の電位分布を生じさせる入力電極と、前記光電変換膜
の前記光が通った部分を介して前記抵抗体膜上の前記所
定の電位を取り出す出力電極と、前記抵抗体膜上から前
記光電変換膜に前記光をスポット状に照射する手段とを
備え、前記出力電極から前記スポット状に照射された光
の位置と強さとを表す信号を取り出すことである。
【0006】又、第2の特徴は、第1の特徴の装置にお
いて、該装置は自動車に設けられており、前記光をスポ
ット状に照射する手段は前記自動車に照射される太陽光
をスポット状に照射する手段から成り、前記出力電極は
前記太陽光の方位、高度及び強度を表す信号を出力する
ことである。
【0007】又、第3の特徴は、第1の特徴の装置にお
いて、前記抵抗体膜上の4隅に前記入力電極が4本設け
られており、前記出力電極から前記光の位置と強度を表
す信号が異なる時刻に時分割的に取り出されることであ
る。
【0008】又、第4の特徴は、第3の特徴の装置にお
いて、前記光電変換膜の前記ダイオード成分は互いに逆
極性のダイオード成分を形成しており、前記光の照射に
より前記各ダイオード成分に発生する光起電力の大きさ
がアンバランスとされ、前記出力電極からの信号に前記
光起電力の差分が加算されることである。
【0009】又、第5の特徴は、第1の特徴の装置にお
いて、前記抵抗体膜は光の進入方向から見て前記光電変
換膜の手前側に配設された透明な第1の抵抗体膜と奥側
に配設された第2の抵抗体膜とから成り、これらの第1
と第2の抵抗体膜上にはそれぞれに前記入力電極を有
し、且つ、互いに交わる電位分布が時分割的に前記それ
ぞれの入力電極によって印加され、前記出力電極は、前
記第2の抵抗体膜上に設けられ前記光電変換膜を介して
前記第1の抵抗体膜上の前記所定の電位を取り出すとこ
ろの前記入力電極を兼ねる第1の出力電極と、前記第1
の抵抗体膜上に設けられ前記光電変換膜を介して前記第
2の抵抗体膜上の前記所定の電位を取り出すところの前
記入力電極を兼ねる第2の出力電極とから成ることであ
る。
【0010】又、第6の特徴は、第5の特徴の装置にお
いて、前記光電変換膜の前記ダイオード成分は互いに逆
極性のダイオード成分を形成しており、前記光の照射に
より前記各ダイオード成分に発生する光起電力の大きさ
が実質的にバランスするようにされていることである。
【0011】又、第7の特徴は、第5の特徴の装置にお
いて、該装置は自動車に設けられており、前記光をスポ
ット状に照射する手段は前記自動車に照射される太陽光
をスポット状に照射する手段から成り、前記出力電極は
前記太陽光の方位、高度及び強度を表す信号を出力す
る。
【0012】
【作用及び効果】
「第1の特徴の作用及び効果」光電変換膜は抵抗体膜に
重ねられ、極性が互いに反対方向で直列に積層されたダ
イオード成分が形成され、光が通った部分がその光の強
さに応じて導電化すると共に各ダイオード成分に光起電
力が生じ光電流が流れようとする。又、入力電極により
上記抵抗体膜上に所定の電位分布が生じる。又、出力電
極により上記光電変換膜の光が通った部分を介して上記
抵抗体膜上の所定の電位に応じた出力電流が取り出され
る。尚、この時上記抵抗体膜から出力電極側に流れる電
流を出力電流と呼び各ダイオード成分の光電変換による
光電流とは区別する。そして、光をスポット状に照射す
る手段によりスポット状に照射された光の位置と強さと
を表す信号が上記出力電極から取り出される。そして、
光の強さは出力電流に比例する。本装置における光電変
換膜は高温になっても、ダイオード成分の極性が互いに
反対方向の層構造であるため、抵抗体膜から出力電極に
向かって漏れ電流が流れない。よって、光電変換膜を介
した出力電極からの出力に基づき正確に光の位置と強さ
を検出できる。又、抵抗体膜の表面に大きな電位勾配を
持った電位分布を生じさせて出力電流を大きくしても、
漏れ電流が小さいので問題が生ぜず、且つ、位置に応じ
た充分な大きさの出力が得られる。
【0013】「第2の特徴の作用及び効果」第1の特徴
における装置が自動車に設けられる。そして、光をスポ
ット状に照射する手段が上記自動車に照射される太陽光
をスポット状に照射する手段にて構成される。これによ
り、出力電極から自動車に照射される太陽光の方位、高
度及び強度を表す信号が出力される。
【0014】「第3の特徴の作用及び効果」第1の特徴
における抵抗体膜上の4隅に入力電極が4本設けられて
いる。このうちの2本を用いてある時には抵抗体膜上の
例えば、横方向に電位分布を生じさせ、次には縦方向に
電位分布を生じさせることができる。そして、上記所定
の入力電極に電圧が印加されると、出力電極から光の位
置と強度を表す信号を異なる時刻に時分割的に取り出す
ことができる。
【0015】「第4の特徴の作用及び効果」第1の特徴
における光電変換膜のダイオード成分は互いに逆極性の
ダイオード成分を形成している。そして、光の照射によ
り流れる出力電流から見て、例えば、順バイアス側のダ
イオード成分に発生する光電流の大きさよりも逆バイア
ス側のダイオード成分に発生する光電流の大きさの方が
大きくされている。これにより、逆バイアス側のダイオ
ード成分に発生する光電流は順バイアス方向に流れて出
力電流として加算される。このように、光電変換膜のダ
イオード成分に発生する光電流の大きさがアンバランス
で方向が互いに逆向きとし、出力電流の一部として加算
されるようにすることにより、上記抵抗体膜上の上記所
定の電位を取り出す出力電極からは、その所定の電位に
加えてアンバランスとなった光電流をも取り出すため、
光の強度を表す信号が大きな出力で取り出せ、感度を大
きくできる。
【0016】「第5の特徴の作用及び効果」第1の特徴
における抵抗体膜は光の進入方向から見て光電変換膜の
手前側に配設された透明な第1の抵抗体膜と奥側に配設
された第2の抵抗体膜とから成る。これらの第1と第2
の抵抗体膜上にはそれぞれに入力電極を有し、且つ、電
位分布が時分割的に上記それぞれの入力電極によってそ
れぞれの抵抗体膜上に印加される。尚、第1の抵抗体膜
上の電位分布と第2の抵抗体膜上の電位分布とは分布の
方向が互いに交わる。又、出力電極は、上記第2の抵抗
体膜上に設けられ上記光電変換膜を介して上記第1の抵
抗体膜上の所定の電位を取り出す。これが第1の出力電
極であり、第2の抵抗体膜上の入力電極として別の時刻
には機能する。又、上記第1の抵抗体膜上に設けられ上
記光電変換膜を介して上記第2の抵抗体膜上の所定の電
位を取り出すところの第2の出力電極が存在する。この
第2の出力電極は第1の抵抗体膜上に電位分布を生じさ
せる入力電極の働きを別の時間的局面においては成し遂
げる。尚、一つの抵抗体膜の4隅に入力電極を配置する
構造では、その抵抗体膜上に存在し、位置検出時点で入
力(電位勾配の形成)に関与しない入力電極の影響を受
け、位置検出に関与する入力電極で構成されるところの
電位分布が歪んでしまう。本装置の層構成のように入力
電極を第1の抵抗体膜側と第2の抵抗体膜側とに分離す
ることにより電位分布の歪みをなくすことができる。そ
して、スポット状に照射された光の位置を表す信号は時
分割的に取り出される第1の出力電極と第2の出力電極
との出力電流から演算して得られる。
【0017】「第6の特徴の作用及び効果」第5の特徴
における光電変換膜のダイオード成分は互いに逆極性の
ダイオード成分を形成している。そして、出力電流から
見て順バイアス側及び逆バイアス側のダイオード成分に
発生する光電流の大きさが実質的にバランスするように
されている。これにより、スポット状に照射された光の
位置を表す信号は時分割的に取り出される第1の出力電
極と第2の出力電極との出力電流から合成(演算)して
得られる。この時、各ダイオード成分に発生する光電流
の大きさが実質的にバランスするようにされているの
で、各光電流同士は互いに相殺されて外部(出力電流
内)に現れず、光の位置に対応した電位勾配上の電位点
の電位の大きさのみに基づいて抵抗体膜側から出力電極
側に出力電流が流れる。つまり、出力電極側に光の位置
の信号電位が得られる。
【0018】「第7の特徴の作用及び効果」第5の特徴
における装置が自動車に設けられる。そして、光をスポ
ット状に照射する手段が上記自動車に照射される太陽光
をスポット状に照射する手段にて構成される。これによ
り、出力電極から自動車に照射される太陽光の方位、高
度及び強度を表す信号が出力される。
【0019】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係る位置検出装置を用いて構成
された全方位日射センサ100を示した概略図である。
この全方位日射センサ100は主として、位置検出素子
1と遮光部材9とから成る。位置検出素子1の上面及び
側面を遮光するため、円筒状の遮光部材9が位置検出素
子1の上に被せられている。その遮光部材9の円筒上面
の中央にはピンホール10が明けられている。この遮光
部材9とピンホール10とから光をスポット状に照射す
る手段が達成される。そして、日射光がピンホール10
から入射され、光スポットHが位置検出素子1の検出面
1a上のP(x,y) 点に当たることにより全方位日射セン
サ100は日射光の方位及び高度を検出する。
【0020】図2に示したX,Y,Zの三次元座標のよ
うに、日射光が遮光部材9の円筒上面のピンホール10
に入射する角度、即ち、日射光の高度をθとし、そのピ
ンホール10と位置検出素子1の検出面1aとの距離を
tとする。すると、光スポットHはP(x,y) 点にθの角
度で到達する。ここで、位置検出素子1の検出面1a上
のY軸とP(x,y) 点との成す角度、即ち、日射光の方位
φは上記P(x,y) 点に対応して検出される後述の出力
(Vx,y)に基づき、この出力(Vx,y)がP(x,y) 点
に比例しているとすると、次式にて算出される。 φ=tan-1(Vx/Vy) 又、その高度θは次式にて算出される。 θ=tan-1{t/(Vx 2+Vy 2)1/2
【0021】図3は上述の全方位日射センサ100にお
ける位置検出素子1の全体構成図であり、図4は位置検
出素子1の層構造を示した縦断面図である。尚、図3及
び図4の位置検出素子1では光スポットHが図1と逆の
下側から入射した状態にて示されている。
【0022】位置検出素子1は、先ず、ガラス基板2上
にSnO2,ITO,ZnO 等の金属酸化物を透明抵抗体
膜3として成膜する。この透明抵抗体膜3上に、アモル
ファスシリコン(以下、a−Si という)合金膜を n-i
-p-i-n層又は p-i-n-i-p層構造に堆積させ、即ち、2つ
のダイオード成分の極性が互いに反対方向となるように
直列接続した構造に光電変換膜4をパターン形成する。
この結果、何れの極性の電圧が直列接続のダイオード成
分に印加されても電流は流れない。この光電変換膜4上
に、Al,Cr,Ni,Ag 等にて共通の出力電極5を形成す
る。この共通の出力電極5の平面が光スポットHの位置
検出領域である。又、透明抵抗体膜3上でその周囲の4
辺に隣接し、電圧の印加方向が互いに直交可能となるよ
うに対向させて2対の入力電極6a,6b及び6c,6
dがAl,Cr,Ni,Ag 等により導電性薄膜としてパター
ン形成される。上記入力電極6a,6b及び6c,6d
はそれぞれX座標及びY座標用の対電極として用いられ
る。尚、上記透明抵抗体膜3のシート抵抗値は10Ω/□
以上(□はcm2 を示す。以下、同じ)で1MΩ/□以
下、好ましくは 100Ω/□以上で50KΩ/□以下となる
ようにする。この理由としては、透明抵抗体膜3のシー
ト抵抗値が低すぎると、共通の出力電極5の抵抗値との
差がなくなり抵抗体とならない。又、逆に、透明抵抗体
膜3のシート抵抗値が高すぎると、光が照射されたとき
の光電変換膜4の抵抗値(a−Si では約1KΩ〜500
KΩ)より高くなり出力が得られなくなるからである。
【0023】上述の、例えば、 n-i-p-i-n層構造の光電
変換膜4としては、図5に図4の層構造に対応した模式
図が示されている。図4及び図5において、光電変換膜
4は透明抵抗体膜3側から順に、n形半導体41をμc-
Si:H(微結晶シリコン)、i形半導体42をa−Si:
H(非晶質シリコン)、p形半導体43をa−SiC:
H、i形半導体44をa−SiC:H、n形半導体45を
μc-Si:Hにて形成するのが好ましい。尚、図6は上記
n-i-p-i-n層構造の光電変換膜4の成膜条件を示してい
る。ここで、光スポットHの入射側である光電変換膜4
の第1層のn形半導体41に微結晶シリコンを用いたの
は、第2層のi形半導体42に光をできるだけ多く入射
させて、透明抵抗体膜3側にn形半導体41とi形半導
体42とp形半導体43とで形成されるフォトダイオー
ド(スイッチングダイオード)の発生する光起電力に基
づく光電流IL を大きくするためである。又、第4層の
i形半導体44をa−SiC:Hとし、更にその膜厚を第
2層のi形半導体42より薄くしているのは、p形半導
体43とi形半導体44とn形半導体45とで形成され
る反対向きのフォトダイオードに発生する逆向きの光電
流IS を小さくするためである。又、第5層のn形半導
体45に微結晶シリコンを用いているのは、共通の出力
電極5とのコンタクトを良くするためである。
【0024】図8は本発明に係る位置検出素子1の回路
模式図である。又、図10は本発明及び従来の位置検出
素子における出力電圧と温度との関係を示した特性図で
あり、本発明では光が当たった位置A点,B点,C点に
対応して明確に出力電圧が異なっており温度によっても
変わらない。上述したように、従来の位置検出素子は光
スポットが照射されると抵抗値が下がる光導電膜を用い
て構成されている。従って、温度が上昇すると電子の熱
励起により光照射されていない部分に漏れ電流が流れ、
出力電圧が光照射された光スポットの位置に対応して分
圧された値からズレてしまっている。これに対して、本
発明の位置検出素子1は、図8に示したように、光スポ
ットHが照射されると光電流が発生するダイオード成分
を背中合わせ又は向かい合わせに構成した光電変換膜4
を用いている。従って、この光電変換膜4を用いた位置
検出素子1はダイオードの整流作用により逆方向の漏れ
電流が流れることが防止され温度が上昇しても出力電圧
が変化することがなく、正確な位置測定ができるのであ
る。
【0025】尚、上述の位置検出素子1の構造を、図7
に示したような構成の層構造としても良い。この位置検
出素子1′は、SOS(silicon onsapphire) 技術によ
って形成した絶縁基板2′上に、図4における透明抵抗
体膜3と光電変換膜4と共通の出力電極5とから成る層
構造を上下逆に置き換えて形成する。この場合には、光
スポットHの入射方向は上からとなり、図4の光電変換
膜4の n-i-p-i-n層構造も上下逆となる。又、入力電極
6a,6b及び6c,6dは、図4と同様に、透明抵抗
体膜3上に形成される。
【0026】図9は、本発明に係る位置検出素子の他の
構造の変形例を示した模式図である。図5に示した模式
図における光の入射方向から見て、透明抵抗体膜3と出
力電極5との層位置を入替え、又、光電変換膜4の層位
置も入替えた構造とした。尚、この場合には、透明抵抗
体膜3は必ずしも透明でなくても良く、出力電極5は透
明であることが必要となる。又、光の入射方向から見て
奥側のダイオード成分による光電流IL の方が手前側の
ダイオード成分による光電流IS よりも大きくされる。
【0027】次に、図3を参照して、位置検出素子1の
作用を説明する。位置検出素子1の透明抵抗体膜3上の
対向する入力電極(例えば、6a,6b)間に電圧が印
加されると、この透明抵抗体膜3の各点が入力電極から
の距離に比例した電位を示すようになる。又、光電変換
膜4は光スポットHの照射がない状態ではダイオードの
整流作用により電流を流さないが、光スポットHが照射
されると光電流が発生して電流が流れる。即ち、ガラス
基板2側の検出面の位置P(x,y) に光スポットHが入射
すると、光スポットHはガラス基板2及び透明抵抗体膜
3を通過して光電変換膜4に達する。すると、その位置
P(x,y) に対応した光電変換膜4の位置が導通部4aと
なる。結果として、共通の出力電極5に光スポットHの
位置P(x,y) に対応した電位が出力される。
【0028】検出回路7がスイッチS1,2 を同時に切
り換えることにより、X座標及びY座標検出用の透明抵
抗体膜3上の対向した入力電極6a,6b及び6c,6
d間に、電源71から同一電圧が交互に印加される。そ
して、スイッチS1,2 の切換タイミングに同期させス
イッチS3 を切り換えることにより、共通の出力電極5
から光スポットHの位置P(x,y) に対応したX座標の電
位Vx 及びY座標の電位Vy が時分割で別々に検出され
出力される。この出力Vx 及びVy に基づき、上述した
ように日射光の方位φ及び高度θが算出される。
【0029】図11は、位置検出装置1におけるX座標
の電位Vx 及びY座標の電位Vy の等電位線を示した特
性図である。即ち、この位置検出装置1は一辺が10mmの
電極を有し、図17における位置検出部の有効面積に相
当する。
【0030】図12は本発明に係る位置検出装置を用い
て構成された他の実施例である全方位日射センサ200
を示した全体構成図である。この全方位日射センサ20
0は、上述の全方位日射センサ100の構成に加えて、
位置検出素子1と遮光部材9との間に、更に、高屈折部
材8が配設されている。この高屈折部材8としては、空
気より屈折率の大きな厚さtの平行平面プリズム等から
成る。遮光部材9の円筒上面の中央に明けられたピンホ
ール10から日射光の光スポットHが入射される。する
と、光スポットHは高屈折部材8にて屈折される。そし
て、光スポットHが位置検出素子1の検出面1a上のP
(x,y) 点に当たることにより位置検出装置200は日射
光の方位及び高度、更に日射量を検出する。X座標の場
合には、図示されたように、スイッチS4,6をオン
し、スイッチS8 を接地側にすることにより、スイッチ
3 からVx が出力される。又、Y座標の場合には、ス
イッチS5,7 をオンし、スイッチS8 を接地側にする
ことにより、スイッチS3 からVy が出力される。尚、
スイッチS8 の働きについては後述する。
【0031】図13に示したように、日射光が遮光部材
9(図12)の円筒上面のピンホール10に入射する角
度、即ち、日射光の高度をθとする。すると、高屈折部
材8に入射した光スポットHの角度はθ′となる。即
ち、光スポットHはP(x,y) 点にθ′の角度で到達す
る。ここで、位置検出素子1の検出面1a上のY軸とP
(x,y) 点との成す角度、即ち、日射光の方位φは上記P
(x,y) 点に対応して検出された出力(Vx,y)に基づ
き、この出力(Vx,y)がP(x,y) 点に比例していると
すると、次式にて算出される。 φ=tan-1(Vx/Vy) 又、空気の屈折率を1、高屈折部材8の屈折率をn1
すると、次式の関係がある。 (sinθ/sinθ′)=(1/n1) そして、高屈折部材8は厚さtであるので、高度θは次
式にて算出される。 θ=tan-1[t/{n1 2(Vx 2+Vy 2+t2)−t21/2 ] このように、高屈折部材8を位置検出素子1上に設け
ることにより、低高度(例えば、θ=10°)の日射光が
反射してしまうということがなくなる。これにより、位
置検出素子1に光スポットHが当たらなくて、その日射
光の位置等を検出できないということがなくなった。
尚、図14に高度θ=10°(一定)としたときの方位を
10°ステップで変化させて測定した出力特性を示した。
又、光の強さ、つまり、日射量に関しては、図12にお
いて、スイッチS4,5,6,7 を全てオンとする。更
に、スイッチS8 を電源側として、入力電極6a,6
b,6c,6d全てに電源71からの電圧を印加し、共
通の出力電極5に流れる電流を測定する。この電流は、
位置検出素子1の光電変換膜4に発生する光電流のアン
バランス分を含んだものであり日射量に比例する。図1
5は、このようにして測定した出力電流と日射量との関
係を示しておりこの出力電流を検出することにより日射
量を知ることができる。
【0032】次に、透明抵抗体膜3上の入力電極6a,
6b,6c,6dを、図3に対応した角型又は点型、凹
型及び凸型の各電極形状として実験にて求めた等電位線
を図16に示した。この実験検討によると、入力電極の
電極形状を図16(C) に示したような、凹型とした時が
透明抵抗体膜3の有効面積内の位置検出精度がフルスケ
ール(F.S.)の±6%と他の形状に比べて良いことが分
かった。上記凹型の電極形状を更に、最適化するべく実
験を重ね、図17の電極形状を得た。即ち、凹型の入力
電極6a,6b,6c,6dを透明抵抗体膜3上の対角
線上の4隅に配設した形状である。この電極形状におい
ては、図18に示したように、透明抵抗体膜3上に生じ
るX軸及びY軸の等電位線の歪みが極めて少なくなる。
即ち、等電位線が凹型の電極形状のより奥まで真っ直ぐ
でほぼ直線的に伸びることにより、透明抵抗体膜3の有
効面積内の位置検出精度がフルスケールの±3%と向上
した。尚、図19はこの凹型の電極形状である入力電極
6a,6b,6c,6dを透明抵抗体膜3上に有する位
置検出素子1の斜視図を示している。又、入力電極とし
て、図20に示したような、L型の電極形状を採用して
もほぼ同様の結果が得られる。このように、電極形状を
改良することにより、光スポットの座標値と出力値との
直線性が改善された。又、同様に、Y座標(X座標)方
向の照射位置に拘わらずX座標(Y座標)方向の位置の
検出精度が向上した。
【0033】次に、遮光方法として、図21に示したよ
うに、位置検出素子のガラス基板2上に直接、印刷又は
金属薄膜を蒸着して遮光部材9とした。すると、ガラス
基板2の厚みを介して遮光部材9と透明抵抗体膜3が接
近して構成され、結果的に位置検出素子1の検出範囲が
広くなる。又、遮光部材9が印刷又は金属薄膜を蒸着し
て極めて薄く形成されることにより、入射角の小さい日
射光がそのピンホール10の端面にて遮られることがな
くなり、位置検出素子1の検出範囲が広くなる。そし
て、更に、図22に示したように、上記ピンホール10
の部分に流動状のシリコン等の透明樹脂剤を滴下し固化
させてプリズムの代用とした高屈折部材8としても良
い。尚、図23のように、金属薄膜を蒸着した遮光部材
9上に全面透明樹脂8aをコートしても、プリズムの役
目を果たすことができる。
【0034】図24は図12に示された位置検出素子1
の出力を得るための検出回路7の詳細な回路構成を示し
た全体回路図である。位置検出素子1の入力電極6a
(X+) 、6b(X-) にそれぞれ5V、0Vを印加しX座
標に対応する出力(OUT)である電位Vx を得る。次
に、位置検出素子1の入力電極6c(Y+) 、6d(Y-)
にそれぞれ5V、0Vを印加しY座標に対応する出力
(OUT)である電位Vy を得る。次に、位置検出素子
1の入力電極6a(X+) 、6b(X-) 、6c(Y+) 、6
d(Y-) 全てに5Vを印加し出力(OUT)に流れる電
流(日射強度に対応した電流)を得る。以上、3つの動
作をクロックに同期させて繰り返す。上記出力(OU
T)は右端に示されたOUTPUT端子のX,Y,Iに
それぞれ出力される。
【0035】具体的な動作について、以下に説明する。
本実施例の電源71としては、図25に示したように、
+5V、0V(GND)及び±15Vが必要であり、供給
される+5Vから DC-DCコンバータ72により±15Vを
発生させる。尚、電源71の矢印部分から+5Vが供給
され、黒丸印部分から+15Vが供給され、白丸印部分か
ら−15Vが供給される。又、この供給電圧として±15V
を用いたのは、後述のオペアンプを±15V用としたため
である。水晶73aからの発振をカウンタ73で分周し
た基本クロックである上線付CK(図26)を更に、カ
ウンタ74にて1/2,1/4と分周したものがQA,
QBである。ここで、読み込みタイミングは、図26に
示されたように、QA,QBのそれぞれH(=+5
V),L(=0V)の組み合わせにより、4通りとな
る。本実施例では3つの読み込みタイミングを使用して
いる。
【0036】次に、X座標の読み込みについて説明す
る。図26のXの読み込みタイミングにより、QA=
H、QB=L、アナログSW(アナログスイッチ)75
a,75b,75c,75dの状態を考える。アナログ
SW75aは、QB=LよりOFF、即ち、信号SI
L であり、位置検出素子1の入力電極6cは開放であ
る。又、アナログSW75bは、QAつまりSE がHに
なってON、即ち、信号SG=H であり、位置検出素子
1の入力電極6aには+5Vの電圧が印加される。又、
アナログSW75bは、AND(論理演算子)4aでQ
Bと信号SB との状態により制御される。その信号SB
はAND(論理演算子)4c及びNOT(論理演算子)
5aにより決定される。今、QA=H、QB=Lより信
号SA=L、NOT5aにより信号SB=Hであり、AN
D4aにはHとLとが入力することになり、信号SC
L となる。従って、アナログSW75cはOFF、即
ち、信号SH=L であり、位置検出素子1の入力電極6
dは開放である。そして、アナログSW75dは、AN
D4bでQAと信号SB との状態により制御される。
今、QA=H、信号SB=Hより、信号SD=Hとなる。
従って、アナログSW75dはON、即ち、信号SF
0V(GND)であり、位置検出素子1の入力電極6b
は0V(GND)となる。以上により、位置検出素子1の
入力電極6a(X+) =+5V、6b(X-) =0V、6c
(Y+) =開放、6d(Y-) =開放となり、X座標の出力
の測定可能状態となる。この時、位置検出素子1に日射
光が照射されており、光スポットHが位置検出素子1の
検出面1aに到達していると、位置検出素子1の共通の
出力電極5から出力(OUT)としてX座標の電位であ
る信号SJ が出力される。
【0037】上述したように、X座標の電位である信号
J はアナログSW75g,75h,75iの左側に印
加された状態となっている。ここで、アナログSW75
g,75h,75iのスイッチ状況を考える。アナログ
SW75gは信号SD=H よりONであり、アナログS
W75hは信号SC=LよりOFFであり、アナログS
W75iは信号SA=LよりOFFである。即ち、信号
K=信号SJ(X座標の電位)となる。尚、オペアンプ8
aはインピーダンス変換のボルテージフォロアであるの
で、場合によってはなくても良い。同様に、図26に示
されたYの読み込みタイミングによりY座標の電位も出
力される。
【0038】位置検出素子1の共通の出力電極5に流れ
る電流Iは、図26の読み込みタイミングにてQA=H
及びQB=Hより、入力電極6a(X+) 、6b(X-) 、
6c(Y+) 、6d(Y-) に全て5Vが印加される。この
時、アナログSW75g,75hはOFFとなり、信号
J はアナログSW75iを通過してオペアンプ8cに
より信号SM となりオペアンプ8dにより信号SN とな
る。尚、オペアンプ8c,8dにて電流を電圧に変換し
ている。
【0039】9a,9b,9cは単安定マルチバイブレ
ータであり、10a,10b,10cはオペアンプであ
る。X座標の電位である信号SK が出力されている時に
は単安定マルチバイブレータ9aのA,Bの状態はA=
H、B=HとなりQ=Hである。即ち、データを更新
し、その後、OUTPUTにX座標の電位であるXをホ
ールドする。この時、単安定マルチバイブレータ9b,
9cは共にQ=Lである。尚、信号SL に対応したY座
標の電位であるY及び信号SN に対応した日射強度に対
応した電位であるIについても同様であり省略する。
【0040】図27は本発明に係る位置検出装置を構成
する他の位置検出素子の概略構成を示した斜視図であ
り、図28に図27の層構造に対応した模式図を示し
た。尚、図27及び図28の位置検出素子は図の下側か
ら光照射された状態にて示されている。この位置検出素
子は、ガラス基板22上に透明抵抗体から成るX方向抵
抗体膜23、光電変換膜の光導電効果を利用した光導電
膜24、金属電極抵抗体から成るY方向抵抗体膜25の
順に積層され、X方向抵抗体膜23及びY方向抵抗体膜
25の各端部より2本ずつ計4本のリード電極X,
X′,Y,Y′を有する構造から成る。各リード電極
X,X′,Y,Y′の取り出し部にはX方向抵抗体膜2
3及びY方向抵抗体膜25より低抵抗な帯状の電極を用
いている。又、X方向抵抗体膜23とY方向抵抗体膜2
5とは間に光導電膜24を介することにより直接接する
ことなく、互いに直交するように配設されている。そし
て、通常(光スポットが当たっていない状態)では、X
方向抵抗体膜23とY方向抵抗体膜25とは光導電膜2
4により実質的に絶縁状態を保っている。
【0041】以下、各層の材質及びその詳細な構造につ
いて説明する。ガラス基板22には、ソーダガラス(厚
さ1.1mm)にSiO2をコートしたものを用いた。尚、ガラ
ス基板22の厚さに関しては、以後の光の照射位置及び
光の強度を検出する位置検出装置の特性に特に影響を与
えるものではない。X方向抵抗体膜23は、厚さ 600Å
のSnO2から成り、シート抵抗値 200Ω/□とした。こ
のX方向抵抗体膜23の必要機能は、光を透過すること
及び適当なシート抵抗値を有することである。従って、
材質としては、SnO2以外にZnO,ITO、その他の金
属薄膜でも良い。又、シート抵抗値は10Ω/□以上で1
MΩ/□以下が適当である。光導電膜24は、図28に
示したように、光の入射方向側からn形半導体241を
微結晶Si(μc-Si)、i形半導体242を真性a−Si
C(i1−SiC)、p形半導体243をa−SiC、i形
半導体244を真性a−Si(i2−Si)、n形半導体2
45を微結晶Si(μc-Si)にて形成した5層から成る。
この構造は、ダイオードが2つ逆方向に接続されたのと
等価である。この光導電膜24は、光スポットが照射さ
れたときその部分だけが極めて低抵抗に変化する膜であ
ることが要求される。そして、光導電膜24で重要なこ
とは、i形半導体(以下、i1 膜という)242とi形
半導体(以下、i2 膜という)244との膜厚であり光
照射されたとき、各ダイオード(ソーラセルと同じ)に
て発生される光電流が等しくバランスするように設定す
ることである。尚、光照射時の光導電膜24の導電率は
10-6(Ω/cm)以上とする。本実施例におけるi1 膜と
2 膜との最適値を、図33に示した。尚、この場合に
は、光電流をバランスさせるために図28の光導電膜2
4の層構造において、光の入射方向の奥側のi2 膜24
4の厚さはその手前側のi1 膜242の厚さより厚いこ
とが必要で、i1 膜242の厚さとi2 膜244の厚さ
との比は、1:2〜1:10の範囲内である。Y方向抵抗
体膜25は、Ti で厚さ 400Åとした。このY方向抵抗
体膜25は、基本的にX方向抵抗体膜23と同様なもの
で良いが、図27からも分かるように光を透過させる必
要は全くない。よって、シート抵抗値さえ10Ω/□以上
で1MΩ/□以下であれば、X方向抵抗体膜23の膜材
料以外にもTi,Cr,Ni 等の金属、又、TiN,Agペー
スト,Niペースト,Cuペーストでも良い。
【0042】図29は、この位置検出素子の作動原理を
示した回路模式図である。透明抵抗体の両端にそれぞれ
0V,5V(この電圧5Vに限定する必要はない)を印
加すると、透明抵抗体内に0V〜5Vまでの電圧勾配が
発生する。この状態で光が光導電膜24に照射される
と、その部分の2つのダイオード成分が導通状態とな
る。すると、光照射された位置の透明抵抗体上の特定の
電位が電極に導かれる。これにより、光照射された位置
の電位が得られる位置検出素子となる。つまり、電位勾
配を有する透明抵抗体にテスタプローブを当て、その位
置の電位を読むのと全く同じであり、テスタプローブを
当てる代わりに光照射し導通を得るのである。本実施例
の位置検出素子は、電極部となるX方向抵抗体膜23及
びY方向抵抗体膜25のシート抵抗値をそれぞれ10Ω/
□以上で1MΩ/□以下の抵抗体として、図27のよう
な層構造としたものであり、光照射された位置に対応し
たX座標、Y座標及び電流を検出するという3つの機能
を有している。
【0043】図30は、X座標、Y座標及び電流検出の
原理を示した説明図である。 「X座標検出」X方向抵抗体膜23の両端電極(リード
電極X,X′)に5V−0Vを印加してY方向抵抗体膜
25の両端電極(リード電極Y,Y′)の何れか一方又
は両方よりその位置に対応した電位を得る。この時、電
流はX方向抵抗体膜23側からY方向抵抗体膜25側へ
光導電膜24の光照射された位置を通って流れる。ここ
で、Y方向抵抗体膜25の既存抵抗の出力への影響は無
視できるような「電流を流さないで電圧値を測定できる
検出回路」が必要である。つまり、例えば、ディジタル
マルチメータであれば入力インピーダンスが1MΩ以上
のものが望ましい。逆に入力インピーダンスが小さく、
且つ、Y方向抵抗体膜25のシート抵抗値が1MΩ/□
のような場合には出力電圧がY方向抵抗体膜25で減じ
られてしまうこともある。 「Y座標検出」X座標検出と同様であるため説明は省略
する(但し、電圧を印加するのはY方向抵抗体膜25の
両端電極であり、流れる電流の向きは逆にY方向抵抗体
膜25側からX方向抵抗体膜23側へと逆に流れる。
尚、この時、電流は光導電膜24の光照射された位置を
通って流れる)。 「電流(光強度)検出」ここでは、Y方向抵抗体膜25
の両端電極の両方に5Vの電圧を印加してY方向抵抗体
膜上に全て同電位を分布させ光スポットが照射された位
置においてY方向抵抗体膜25側からX方向抵抗体膜2
3側へ流れる出力電流を検出する。この出力電流は抵抗
体膜上のどこの位置に光がスポット照射されても変わら
ず(全て同電位であるため)、光の強さ(日射量)に応
じて変化する信号となる。そして、光導電膜24は2つ
のダイオード成分の極性が互いに反対方向で同じ電気的
特性となるように構成されているのでX方向抵抗体膜2
3又はY方向抵抗体膜25の何れの抵抗体膜を用いても
光の強さのセンシングは可能であり、X方向抵抗体膜2
3側の両端電極の両方に5Vの電圧を印加しても良い。
【0044】ここで、大切なことは前述したように、2
つのダイオード成分の極性が互いに反対方向であり、且
つ、光導電膜24に光照射によって生じる光電流が互い
に相殺されるようにすることであり、そのために膜厚の
最適化が重要となる。即ち、光照射により光導電膜24
の各ダイオード成分に生じる光電流が等しくないと、ア
ンバランス分の電流値が出力電流に影響してX座標検出
とY座標検出とで検出精度に違いが生じてしまうことに
なる。つまり、出力電流がアンバランスということは、
膜の内部抵抗がアンバランスであることを意味しており
検出精度に影響する。そこで、発明者らは、図31に示
したi1 膜242,i2 膜244の膜厚を最適化するこ
とによりそこに流れる光電流I1 と光電流I2 とを等し
く(I1=I2)することを試みた。尚、光電流I1 と光
電流I2 とは位置検出装置の検出精度上±30%以内で一
致することが要求される。尚、光電流I1 と光電流I2
とが等しいと皮相的には光電流は流れないが、これを互
いに逆向きの等しい光電流I1,I2 が流れるとして考察
している。i1 膜242,i2 膜244の材料をそれぞ
れa−SiC,a−Siとすると、i形半導体の膜厚(nm)
に対する光電流(μA)はそれぞれ図32のようになっ
た。これら材料の吸収係数及び連続の方程式を解くこと
により、各膜厚は、図33に示したように決定された。
この膜厚のとき、図28における膜質、即ち、i1 膜2
42,i2 膜244の材料としてa−SiC,a−Siを
使用したときの光電流は一致する。又、i1 膜242,
2 膜244共にa−Si を使用する場合で光電流を同
じとすると、i1 膜242及びi2 膜244の膜厚は図
33の数値と異なったものとなる。このように、位置検
出素子ではX方向又はY方向を検出するときの光照射に
より発生した光電流を一致させることが重要なのであ
る。
【0045】図34は、本発明の他の実施例に係る位置
検出装置の更に他の層構造を示した縦断面図である。こ
の位置検出素子はガラス基板32上に抵抗体膜をなくし
直接、光導電膜34が形成されている。そして、光の入
射方向側から順に、光導電膜34はn形半導体341を
微結晶Si(μc-Si)、i形半導体342を真性a−Si
、p形半導体343をa−SiC、i形半導体344を
真性a−Si、n形半導体345を微結晶Si(μc-Si)
の5層から成る基本構造とした。尚、この場合には、予
め入力(出力)電極33側を蒸着又はスパッタにより金
属又は金属ペーストでガラス基板32上に形成しておく
必要がある。本実施例の位置検出素子の層構造の特徴
は、前述の図28におけるX方向抵抗体膜23及びY方
向抵抗体膜25の両抵抗体膜の何れか一方又は両方をn
形半導体である微結晶Si で兼用したことである。この
場合、上記微結晶Si は光照射されても抵抗値が変化し
ないものであり、基準抵抗として使用した。図34は、
図28におけるX方向抵抗体膜23及びY方向抵抗体膜
25の両抵抗体膜に代えて、光導電膜34のn形半導体
上に直接、入力(出力)電極33及び出力(入力)電極35
を形成したものである。この層構造から成る位置検出装
置は温度特性がやや悪化するが 100℃程度まで問題なく
作動する。尚、両抵抗体膜を光電変換膜のn形半導体と
兼用しない上述の実施例(図28)における n-i-p-i-n
層の光導電膜24を有する位置検出装置などの場合には
140℃程度まで問題なく作動する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る位置検出装置
を用いて構成された全方位日射センサを示した概略図で
ある。
【図2】図1の全方位日射センサにおける日射光の方位
及び高度を算出するための説明図である。
【図3】図1の全方位日射センサにおける位置検出素子
の全体構成図である。
【図4】図3の位置検出素子の層構造を示した縦断面図
である。
【図5】図4の層構造に対応した模式図である。
【図6】同実施例に係る n-i-p-i-n層構造の光導電膜の
成膜条件を示した説明図である。
【図7】本発明に係る位置検出素子の他の層構造を示し
た縦断面図である。
【図8】本発明に係る位置検出素子の回路模式図であ
る。
【図9】本発明に係る位置検出素子の他の構造の変形例
を示した模式図である。
【図10】本発明及び従来の位置検出素子における出力
電圧と温度との関係を示した特性図である。
【図11】本発明に係る位置検出装置におけるX座標の
電位Vx 及びY座標の電位Vy の等電位線を示した特性
図である。
【図12】本発明に係る位置検出装置を用いて構成され
た他の全方位日射センサを示した全体構成図である。
【図13】図11の全方位日射センサにおいて、日射光
の方位及び高度を算出するための説明図である。
【図14】図11の全方位日射センサにおける高度10°
で方位10°間隔のときの出力特性を示した説明図であ
る。
【図15】図11の全方位日射センサにおける日射量と
出力電流(光電流)との関係を示した出力特性図であ
る。
【図16】本発明に係る位置検出素子の透明抵抗体膜上
の入力電極を各電極形状として実験にて求めた等電位線
を示した特性図である。
【図17】図15における入力電極の最適化した凹型の
電極形状を示した説明図である。
【図18】図16の入力電極を用いた位置検出装置にお
けるX座標の電位Vx 及びY座標の電位Vy の等電位線
を示した特性図である。
【図19】図16の凹型の電極形状である入力電極を透
明抵抗体膜上に有する位置検出素子を示した斜視図であ
る。
【図20】L型の電極形状とした入力電極を示した説明
図である。
【図21】ガラス基板上に直接、印刷又は金属薄膜を蒸
着して遮光部材を形成した位置検出素子を示した縦断面
図である。
【図22】遮光部材のピンホールの部分に流動状のシリ
コン等の透明樹脂剤を滴下し固化させてプリズムの代用
とした高屈折部材を形成した位置検出素子を示した縦断
面図である。
【図23】図21の高屈折部材として金属薄膜を蒸着し
た遮光部材上に全面、ピンホールの部分を含んで、透明
樹脂コートして形成した位置検出素子を示した縦断面図
である。
【図24】図11の検出回路の詳細な回路構成を示した
全体回路図である。
【図25】図23の検出回路の電源の構成を示した回路
図である。
【図26】図23の検出回路の読み込みタイミングを示
した説明図である。
【図27】本発明に係る位置検出装置の他の概略構成を
示した斜視図である。
【図28】図26の層構造に対応した模式図である。
【図29】本発明に係る位置検出素子の作動原理を示し
た回路模式図である。
【図30】本実施例に係る位置検出装置におけるX座
標、Y座標及び電流検出の原理を示した説明図である。
【図31】本実施例に係る位置検出素子の回路模式図で
ある。
【図32】本実施例に係る位置検出素子のi膜をa−S
iC,a−Siとしたときのi膜厚に対する光電流を示し
た特性図である。
【図33】本実施例におけるi1 膜とi2 膜の材料に対
する膜厚及び光電流の最適値を示した図である。
【図34】本発明に係る位置検出装置における位置検出
素子の更に他の層構造を示した縦断面図である。
【図35】従来の位置検出素子を構成している光導電膜
の回路模式図である。
【符号の説明】
1−位置検出素子 2−ガラス基板 3−透明抵抗
体膜 4−光電変換膜 5−出力電極 6a,6b,6
c,6d−入力電極 7−検出回路 8−高屈折部材 9−遮光部材(光をスポット状に照射する手段) 10−ピンホール(光をスポット状に照射する手段) 100−全方位日射センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 雅也 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 花木 健一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 寺田 知司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 吉見 知久 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 浅野 秀夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 河合 孝昌 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−150078(JP,A) 特開 平1−226179(JP,A) 特開 昭63−164281(JP,A) 実開 昭61−177466(JP,U) 実開 昭63−29707(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 3/16 G01S 3/78 G01B 11/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの抵抗体膜と、 該抵抗体膜に重なって積層され、極性が互いに反対方向
    で直列に積層されたダイオード成分を形成し、光が通っ
    た部分がその光の強さに応じて導電化すると共に各ダイ
    オード成分に光起電力が生じる光電変換膜と、 前記抵抗体膜の平面方向に沿って該抵抗体膜上に所定の
    電位分布を生じさせる入力電極と、 前記光電変換膜の前記光が通った部分を介して前記抵抗
    体膜上の前記所定の電位を取り出す出力電極と、 前記抵抗体膜上から前記光電変換膜に前記光をスポット
    状に照射する手段とを備え、 前記出力電極から前記スポット状に照射された光の位置
    と強さとを表す信号を取り出すことを特徴とする光の位
    置と強さを検出する装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記装置は自動車に
    設けられており、前記光をスポット状に照射する手段は
    前記自動車に照射される太陽光をスポット状に照射する
    手段から成り、前記出力電極は前記太陽光の方位、高度
    及び強度を表す信号を出力することを特徴とする光の位
    置と強さを検出する装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記抵抗体膜上の4
    隅に前記入力電極が4本設けられており、前記出力電極
    から前記光の位置と強度を表す信号が異なる時刻に時分
    割的に取り出されることを特徴とする光の位置と強さを
    検出する装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記光電変換膜の前
    記ダイオード成分は互いに逆極性のダイオード成分を形
    成しており、前記光の照射により前記各ダイオード成分
    に発生する光起電力の大きさがアンバランスとされ、前
    記出力電極からの信号に前記光起電力の差分が加算され
    ることを特徴とする光の位置と強さを検出する装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記抵抗体膜は光の
    進入方向から見て前記光電変換膜の手前側に配設された
    透明な第1の抵抗体膜と奥側に配設された第2の抵抗体
    膜とから成り、これらの第1と第2の抵抗体膜上にはそ
    れぞれに前記入力電極を有し、且つ、互いに交わる電位
    分布が時分割的に前記それぞれの入力電極によって印加
    され、前記出力電極は、前記第2の抵抗体膜上に設けら
    れ前記光電変換膜を介して前記第1の抵抗体膜上の前記
    所定の電位を取り出すところの前記入力電極を兼ねる第
    1の出力電極と、前記第1の抵抗体膜上に設けられ前記
    光電変換膜を介して前記第2の抵抗体膜上の前記所定の
    電位を取り出すところの前記入力電極を兼ねる第2の出
    力電極とから成ることを特徴とする光の位置と強さを検
    出する装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記光電変換膜の前
    記ダイオード成分は互いに逆極性のダイオード成分を形
    成しており、前記光の照射により前記各ダイオード成分
    に発生する光起電力の大きさが実質的にバランスするよ
    うにされていることを特徴とする光の位置と強さを検出
    する装置。
  7. 【請求項7】 請求項5において、前記装置は自動車に
    設けられており、前記光をスポット状に照射する手段は
    前記自動車に照射される太陽光をスポット状に照射する
    手段から成り、前記出力電極は前記太陽光の方位、高度
    及び強度を表す信号を出力することを特徴とする光の位
    置と強さを検出する装置。
JP35379491A 1991-02-26 1991-12-17 光の位置と強さを検出する装置 Expired - Fee Related JP3123172B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB9204010A GB2253516B (en) 1991-02-26 1992-02-25 Device for detecting position and intensity of light and position detecting element to be employed therein
DE4205757A DE4205757A1 (de) 1991-02-26 1992-02-25 Vorrichtung zum erfassen der position und intensitaet von licht sowie festkoerperbauelement zur verwendung hierfuer
US07/840,916 US5324929A (en) 1991-02-26 1992-02-25 Device for detecting position and intensity of light and position detecting element to be employed therein

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-55910 1991-02-26
JP5591091 1991-02-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0552921A JPH0552921A (ja) 1993-03-02
JP3123172B2 true JP3123172B2 (ja) 2001-01-09

Family

ID=13012271

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35379491A Expired - Fee Related JP3123172B2 (ja) 1991-02-26 1991-12-17 光の位置と強さを検出する装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3123172B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0669536A (ja) * 1992-08-21 1994-03-11 Nippondenso Co Ltd 光位置検出装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0552921A (ja) 1993-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH04395B2 (ja)
US5324929A (en) Device for detecting position and intensity of light and position detecting element to be employed therein
JP3123172B2 (ja) 光の位置と強さを検出する装置
EP0613183B1 (en) Optical sensor and method of its manufacture
CN205246224U (zh) 一种新型基于红外天线的微辐射热测量计
JPH0677526A (ja) 樹脂封止形光電変換装置及びその製造方法
JP2566910B2 (ja) 平面センサ−
JPH04343276A (ja) 光位置検出装置
JP2514924B2 (ja) イメ−ジセンサ
JPS61196572A (ja) アモルフアスシリコンx線センサ
JPS6136978A (ja) 触視覚センサ
JPH0868700A (ja) センサ回路及び赤外線検出素子
JPH05180693A (ja) 光の位置と強さを検出する装置
CN201828342U (zh) 一种红外桥式测温传感器
JP2793615B2 (ja) 赤外線センサ
JPS63137319A (ja) 位置検出装置
JP2596419B2 (ja) 位置検出装置
US20150060642A1 (en) Photovoltaic sensor arrays
JPS61180104A (ja) 位置変位測定装置
JPS58151507A (ja) 位置検出用ホトダイオ−ド
JPH021866Y2 (ja)
JPH05343733A (ja) 光ポテンショメータ
JPS63137320A (ja) 位置検出装置
JP3111544B2 (ja) 日射センサ
JPH0677524A (ja) 日射光光電変換装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees