JP3122841B2 - 油脂性菓子浸透パン及び菓子 - Google Patents

油脂性菓子浸透パン及び菓子

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JP3122841B2 JP09273875A JP27387597A JP3122841B2 JP 3122841 B2 JP3122841 B2 JP 3122841B2 JP 09273875 A JP09273875 A JP 09273875A JP 27387597 A JP27387597 A JP 27387597A JP 3122841 B2 JP3122841 B2 JP 3122841B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パン、菓子等に油脂性
菓子を浸透させた油脂性菓子浸透パン及び菓子の改良に
関する発明である。
【0002】
【従来の技術】従来、パン、菓子等の表面に油脂性菓子
をコ−ティングして製造するか、又はパン、菓子等をチ
ョコレ−トに浸け込む方法により製造されている油脂性
菓子浸透パン及び菓子は下記のものであった。
【0003】即ち、従来の「油脂性菓子浸透パン及び菓
子」は、油脂性菓子を使ったパンや菓子を作るときに
は、パン、菓子等に油脂性菓子をコーティングする製
法、パン、菓子等に油脂性菓子をサンドする製法及びパ
ン、菓子等に油脂性菓子をインジェクション(注入)す
る製法等で製造されていた。これらの製法は、、(1)
低粘度の油脂性菓子を多孔質のパンや菓子に浸み込ませ
て作る新しい形のパンや菓子の製法と(2)油脂性菓子
の配合組成や物性に関する製法である。
【0004】図2に示すように、パンや菓子の生地に対
してチョコレ−ト等の油脂性菓子を組み合わせて油脂性
菓子パンや菓子等を製造する場合には、溶かしたチョコ
レ−ト等の油脂性菓子3aを一定の操作の後に、パンや
菓子の生地1の生地の表面2にコ−ティングして油脂性
菓子コ−ティングパン及び菓子4aを製造していた。
【0005】また、図2aに示すように、パン、菓子等
の生地1と生地1の中に油脂性菓子3aを挟み込んで油
脂性菓子パン及び菓子を製造していた。
【0006】更に、図2bに示す如く、パンや菓子の生
地1の内部に注入管5により油脂性菓子3aをインジェ
クション(注入)して油脂性菓子浸透パン及び菓子を製
造していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の様に従
来のチョコレ−トの油脂性菓子3、3aを生地表面2に
コ−ティングしたり、挟み込んだり、インジェクション
(注入)した油脂性菓子浸透パン及び菓子4aは下記の
欠点があった。
【0008】即ち、コーティング後油脂性菓子が溶解す
る温度までパン、菓子等の温度が上昇すると、油脂性菓
子が流れ落ちて商品価値が失われたてしまったとの欠点
があった。
【0009】また、パン、菓子等の生地1と生地1の中
に油脂性菓子3aをサンド(挟み込んで)して油脂性菓
子パン及び菓子を製造した場合には、温度の上昇により
従来の油脂性菓子によって固着されていた菓子素材が、
図2aに示す如く、ズレを生じるとの欠点があった。
【0010】更に、インジェクション(注入)して製造
した場合では、同様の温度上昇で油脂性菓子がソフト化
し、図2bに示す如く、菓子自体が変形することもあっ
た。
【0011】本発明である油脂性菓子をパン又は菓子に
サンドしたパン又は菓子は、従来にない新規な食感のパ
ン又は菓子になることはもちろん、油脂性菓子が溶解す
るような温度においてもずれて商品価値が失われるよう
なことがなくなった。
【0012】また、本発明である油脂性菓子をパン又は
菓子にインジェクションたパン又は菓子は、従来にない
新規な食感のパン又は菓子になることはもちろん、油脂
性菓子が溶解するような温度においても、従来のように
変形等により商品価値が失われるようなことがなくなっ
た。
【0013】そこで、本発明は、パン又は菓子の表面に
形成されている凹凸に油脂性菓子中の油脂が溶けるよう
な温度になっても、パン、菓子等の表面にパン又は菓子
の多孔質表面が露出しているために直接的に包装材料等
に触れないので、油脂性菓子が前記包装材料等に付着し
ない油脂性菓子浸透パン及び菓子を提供することを目的
とする。
【0014】また、パン又は菓子の表面の凹凸に浸透性
油脂性菓子を浸み込ませるために油脂性菓子とパン又は
菓子との密着度が大きく、油脂性菓子ともパン又は菓子
ともいえない新規な食感のパン又は菓子及び高温による
油脂性菓子の溶解で起こるパン、菓子等が変形すること
がない油脂性菓子浸透パン及び菓子を提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、融点が28〜42℃で、油脂分35%
〜80%の組成を持ち、粘度が45℃以上で1000c
pであり、カカオマス、ココアパウダー、全粉乳、砂
糖、パーム核油硬化油(融点36℃)、レシチン、蔗糖
脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレート及び
チョコレート香料の配合からなる浸透性油脂性菓子を多
孔質の表面をもったパン、菓子等の生地表面に浸透させ
たことを特徴とする油脂性菓子浸透パン及び菓子の構成
とした。
【0016】
【実施例】次に、本発明である油脂性菓子浸透パン及び
菓子について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図
1は本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子の製造工
程を示した図、図1a及び図bは油脂性菓子浸透パン及
び菓子の他の実施例を示した図であり、浸透性油脂性菓
子を生地内に注入した状態を示した図である。
【0017】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子
4では、生地1に浸透させる浸透性油脂性菓子として
は、(1)mp28〜42℃の油脂分35%〜80%
(油脂分に含まれる)の組成を持ち、粘度が45℃以上
で1000cpである浸透性油脂性菓子、又は(2)油
脂分35〜80%の組成を持ち、この油脂分が溶けてお
り浸み込みが可能な温度において500cp以下である
浸透性油脂性菓子を用いる。
【0018】本発明は、多孔質の表面をもったパン又は
菓子に、上記の浸透性油脂性菓子を45℃以上の温度で
コ−ティングするか、浸け込むことによって、浸透性油
脂性菓子が浸け込み、その浸透性油脂性菓子が固化した
油脂性菓子浸透パン及び菓子である。
【0019】また、本発明は、多孔質の表面を持ったパ
ン又は菓子に、上記の浸透性油脂性菓子をコーティング
したり、又は浸け込むことによって、浸透性油脂性菓子
がパン又は菓子の表面に形成されている凹凸内に浸み込
むことで浸透性油脂性菓子とパン又は菓子が合体した油
脂性菓子浸透パン及び菓子である。
【0020】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子
に使用されるパンは、スライスして気孔が露出している
パンである。菓子はケ−キ類である生菓子、半生菓子又
は菓子がドライケ−キ、ラスク等の無水物である菓子又
は低水分菓子である。上記のパン又は菓子の他に、多孔
質組織を持つ食品を使用してもよい。
【0021】以下に、本発明である油脂性菓子浸透パン
及び菓子の製造に用いる浸透性油脂性菓子の製造につい
て記述する。浸透性油脂性菓子は、チョコレートの製造
方法と同様な方法で製造する。
【0022】(1)粉体原料と使用油脂の一部でドウを
つくり、5段ロ−ルリファイナ−で目的とする粒子が得
られるように紛体原料を細かくする(以下これを磨砕物
という)。食感の滑らかさが必要なものは細かく、必要
でないものは粗めにする。
【0023】ただし、後で粘度を下げ易くするために
は、必要以上に粒子を15ミクロン未満に細かくするこ
とは避けた方がよい。何故ならば、チョコレ−トのよう
な油脂性菓子の粒子のサイズと粘度の関係は、細かくな
ればなるほど粘性が上がる傾向にあるからである。粒子
は15ミクロン以上であることが好ましい。
【0024】(2)(1)で得られた磨砕物と、残りの
油脂でコンチング(よく練る)し、油脂性菓子を滑らか
にする。
【0025】(3)できた油脂性菓子に、次のような方
法で所定の粘度にあわせる。 イ、油脂を添加する。 油脂性菓子の配合は、風味(甘みや苦み酸味、塩辛さ)
や色調などを検討して決められますが、設定した風味や
色調などを得るために、油脂も配合に従って添加する。
当然、油脂が多い配合は粘土が低くなり、風味は薄くな
る。
【0026】ロ、乳化剤を添加する。 求められる所定の粘性を得るために乳化剤を添加する。
この乳化剤には、レチシン、シュガーエステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステルがありますが、このうちの単品
又は、2種類、3種類を組み合わせて使用する。
【0027】レチシン、シュガーエステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルを、必要に応じて、組み合わせて使
用するとよい。組み合わせには色々あり、決まった基準
はなく不定である。
【0028】使用量は、おのおの0.01〜1%まで入
れることがあり、添加量も必要に応じて増減させること
がよい。油脂を必要以上に加えることは、味の面で希薄
になってしまうので、加え過ぎることは避けた方がよ
い。
【0029】(4)上記の油脂性菓子の油脂が完全に溶
解した温度で、多孔質の表面を持ったパン又は菓子にコ
ーティングする。
【0030】(5)余分な油脂性菓子は、パン又は菓子
が丸い場合は、流れ落ちて表面に残った油脂性菓子が浸
み込む。これを常温で放置するか、冷却することで新規
のパン又は菓子ができる。
【0031】(6)上記の油脂性菓子を溶解しバット等
に入れ、そこに
【0013】に挙げたパン又は菓子のうち弾力性のある
ものを漬け込む。
【0032】(7)薄いパン又は菓子の場合は、それだ
けで浸透するが、厚いものは内部までは浸透しにくいの
で、ヘラなどで中の空気を押し出すような加圧操作を繰
り返す。
【0033】(8)十分にパン又は菓子の内部にまでに
浸透性油脂性菓子が浸透した後、油脂性菓子のバットか
らパン又は菓子を取り出し、余分な油脂性菓子を取り除
き、これを常温で放置するか、冷却することで本発明で
ある油脂性菓子浸透パン及び菓子ができる。
【0034】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子
に使用する浸透性油脂性菓子の配合は以下の通りであ
る。 カカオマス 2.0% ココアパウダー 17.0 全粉乳 6.0 砂 糖 35.0 パーム核油硬化油(融点36℃) 45.0 レシチン 0.4 蔗糖脂肪酸エステル(HLB1) 0.1 ポリグリセリン縮合リシノレート 0.3 チョコレート香料 0.2
【0035】上記の配合によって、本発明である油脂性
菓子浸透パン及び菓子に使用する浸透性油脂性菓子を製
造した。このときの粒子は、21ミクロン(マイクロメ
ーターによる)、粘度は500cp(B型粘度計、No
2ローター使用)であった。
【0036】上記の製造工程により製造された浸透性油
脂性菓子を、図1に示すように、多孔質表面を持つロ−
ルケ−キの生地1の生地表面2にコ−ティングしたとこ
ろ、余分な浸透性油脂性菓子は下に落ち、生地表面2に
付着した浸透性油脂性菓子3が多孔質表面に浸透した。
そして、これを常温で固化した。
【0037】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子
では、普通の洋生チョコレ−トをコ−ティングしたもの
と比べて、浸透性油脂性菓子とロ−ルケ−キの生地1が
混然一体となっているため新しい食感の菓子ができた。
かつ、浸透性油脂性菓子が軟化し始める温度に曝した場
合でも、包装材に浸透性油脂性菓子3が、生地1内に浸
透しているために付着することがなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したような構成で
あるから、パン又は菓子の表面の凹凸に浸透性の油脂性
菓子中の油脂が溶けるような温度になっても表面にパン
又は菓子の多孔質表面が露出しており、直接に包装材料
等に触れないため浸透性油脂性菓子が付着し難い。
【0039】また、本願発明では、図1a及び図1bに
示すように、高温であっても生地がズレることがないと
ともにパンや菓子が変形することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子の製
造を示した図である。
【図1a】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子の
他の実施例を示し、生地内に浸透性油脂性菓子を注入
し、浸透性油脂性菓子が高温状態にある図である。
【図1b】本発明である油脂性菓子浸透パン及び菓子の
他の実施例を示し、生地内に浸透性油脂性菓子を注入
し、浸透性油脂性菓子が高温状態にある図である。
【図2】従来の油脂性菓子パン及び菓子の製造を示した
図である。
【図2a】従来の油脂性菓子浸透パン及び菓子が高温状
態にある場合の図である。
【図2b】従来の油脂性菓子浸透パン及び菓子が高温状
態にある場合の図である。
【符号の説明】
1 生地 2 生地表面 3 浸透性油脂性菓子 3a 浸透性油脂性菓子 4 油脂性菓子浸透パン及び菓子 4a 油脂性菓子コ−ティングパン及び菓子 5 注入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23G 1/00 - 9/30 A21D 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が28〜42℃で油脂分35%〜8
    0%の組成を持ち、粘度が45℃以上で1000cpで
    あり、カカオマス2.0%、ココアパウダー17.0
    %、全粉乳6.0%、砂糖35.0%、パーム核油硬化
    油(融点36℃)45.0%、レシチン0.4%、蔗糖
    脂肪酸エステル(HLB1)0.1%、ポリグリセリン
    縮合リシノレート0.3%、チョコレート香料0.2%
    の配合からなる浸透性油脂性菓子を多孔質の表面をもっ
    たパン、菓子等の生地表面に浸透させたことを特徴とす
    る油脂性菓子浸透パン及び菓子。
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小原哲二郎編「食用油脂とその加工」株式会社建帛社(昭和56年8月20日)p.23

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