JP3121568U - 質量分析計 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で正確なチューニングが可能な送液システムを備えた質量分析計を提供する。
【解決手段】圧力制御バルブ22及び圧力センサ23を挿入した乾燥ガス流路21に三方バルブ24を接続して標準試料容器25側と大気圧イオン化部11側に切替え可能にする。また、標準試料容器25とプローブ11a間に三方バルブ27を設けてプローブ11aを標準試料R側と分析試料S側に切替え可能にする。これにより、チューニング時標準試料Rは制御部3の設定圧力で加圧され、所定の標準試料流量がプローブ11aに導入される。
【選択図】 図1

Description

本考案は、試料をイオン化してその試料の質量分析を行う質量分析計に係り、特にパラメータをチューニングするための標準試料の導入を良好にできる質量分析計に関する。
質量分析計においてマス軸補正、感度調整のためには装置パラメータをチューニングする必要がある。このために従来、図2に示すようなシリンジポンプ51によって標準試料(標準サンプル)Rを大気圧イオン化部52に導入する送液システムが使用されている(特許文献1参照)。この送液システムは、シリンジ51A、モータ51B及びプランジャ51Cからなるシリンジポンプ51と流路切替部としての三方バルブ53と、液体クロマトグラフ4のカラムからの溶出液と標準試料Rを切り替えて前記大気圧イオン化部52に導入する三方バルブ54を備え、前記三方バルブ53の第1ポートはシリンジ51Aに、第2ポートは標準試料容器55に、第3ポートは三方バルブ54の第3ポートに接続され、三方バルブ54の第1ポートは大気圧イオン化部52に、第2ポートは液体クロマトグラフ4側に接続されている。前記三方バルブ53、54を実線側に切替えプランジャ51Cをモータ51Bで移動させ標準試料Rを吸入した後、三方バルブ53を点線側に切替えてモータ51Bでプランジャ51Cを定速で移動させることにより、一定流量の標準試料Rを大気圧イオン化部52に導入している。
このほか、六方バルブ内にループを形成しそのループ内に標準試料を蓄積し、六方バルブを切り替えて送液ポンプにより標準試料を押し出すサンプルループ方式や密閉された容器内に標準試料を収容してガスで加圧することにより標準試料を押し出す送液方法も従来から用いられている。
特開平09−159661号公報
上記のようなシリンジポンプ51を用いた送液系はプランジャ駆動部品にモータを必要とし、サンプルループ方式によるサンプル導入系は六方バルブを必要とするのでともに製造コストが高くなる欠点がある。また、従来から行われている標準試料Rの加圧ガスKのガス加圧による送液方法は安価であるが、図3に示すように大気圧イオン化方式の質量分析部5に供給する噴霧ガスF、乾燥ガスGおよび標準試料容器55中の標準試料Rは、その各供給量を制御する圧力制御バルブ56A、56B、56Cを備えたガス系統57A、57B、57Cおよび液体クロマトグラフ4からの分析試料Sと標準試料Rを切り替える三方バルブ54を設けて供給しているので、これらガス系統の設置のためやはり製造コストが高くなるという欠点がある。
本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであって、安価で正確に標準試料を送液できる質量分析計を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本考案の質量分析計は分析試料を質量分析部の大気圧イオン化プローブを介し大気圧イオン化部に供給する分析試料供給手段と、質量分析のパラメータのチューニング用の標準試料を加圧するためのガスを供給する加圧ガス供給流路と、分析試料を前記プローブから大気圧イオン化部に噴霧するためのガスを供給する噴霧ガス供給手段と、噴霧された分析試料を乾燥させる乾燥ガスを大気圧イオン化部へ供給する乾燥ガス供給流路とを備えた質量分析計において、前記乾燥ガス供給路に、この乾燥ガスを前記加圧ガス供給路を介して前記標準試料容器に導入するための流路切替器を設け、標準試料を加圧して前記プローブに送液できるようにした。
さらに本考案の質量分析計は標準試料の送液量をガス圧力の制御により可変できる圧力制御バルブを設けた。
また本考案の質量分析計は標準試料の送液量を入力する送液量入力手段と、標準試料の粘度に対応して前記送液量を送液するに必要なガス圧力を算出するガス圧力算出手段とを備えている。
本考案の質量分析計は、ガス加圧によって標準試料を送液する送液システムを使用しているので安価に構成することができる。また、乾燥ガス系統を切り替えて加圧ガス系統として使用するので圧力制御バルブの共用化が可能となりコスト低減が図れる。さらに流体の粘性による影響を考慮することにより加圧送液において正確な流量で分析を行なうことができる。
以下、本考案の実施例による質量分析計を図面を参照しながら説明する。図1は本考案による質量分析計の概略構成図である。1は大気圧中で分析試料Sに高電圧を与えてイオン化するエレクトロスプレーイオン化(ESI)法または分析試料Sを高温加熱してイオン化する大気圧化学イオン化(APCI)法を用いた質量分析部、2は質量分析計のマス軸補正や感度調整のためのパラメータチューニングに用いられる標準試料R、質量を分析する分析試料S、乾燥ガスGなどを前記質量分析部1に供給するための送液システム、3はマイクロコンピュータを主体として構成された制御部で、加圧ガス圧力、標準試料Rの送液量、測定開始指令等を入力し、この入力に応じて前記質量分析部1の各部や送液システム2の圧力センサ23からの信号を検出して圧力制御バルブ22を制御したり三方バルブ24、27の切替えなどの一連の制御動作を行う。
前記質量分析部1は、液体クロマトグラフ(LC)4のカラムからの溶出液などの分析試料Sまたはチューニング用に用いられる標準試料Rを大気中でイオン化する大気圧イオン化部11と、イオン粒子流を収束して送り出す収束レンズ部12、この収束されたイオンを質量数に応じて分離するマスフィルタ部13と、分離されたイオンを検出する検出器14から構成されている。
また、前記送液システム2は、圧力制御バルブ22、圧力センサ23及び三方バルブ24が挿入された乾燥ガス流路21と、三方バルブ27が挿入され標準試料容器25中の標準試料Rを送液する流路26と、噴霧ガスFを送液する流路29から構成されている。前記三方バルブ24の第1ポートは圧力センサ23側に、第2ポートは前記大気圧イオン化部11に、第3ポートは乾燥ガスGを逃がす排気流路21Aの分岐点を経て前記標準試料容器25の上部に接続され、前記三方バルブ27の第1ポートは大気圧イオン化ポート11のプローブ11aの中心孔に、第2ポートは標準試料容器25内の標準試料R内に、第3ポートは液体クロマトグラフ(LC)4からの溶出液流路28に、前記流路29は前記プローブ11a周辺の隙間部にそれぞれ接続されている。乾燥ガス系統は圧力制御バルブ22、圧力センサ23を配設しているのでその制御系をそのまま送液システムに使用することができる。なお、30は加圧ガス供給路である。
前記制御部3への指令入力によって標準試料Rを質量分析部1に注入してチューニングを行う場合は、図1に示すように三方バルブ24、27のポートを実線で示す位置に切替え、液体クロマトグラフ4のカラムからの溶出液などの分析試料Sの質量分析を行う場合は、図1に示すように三方バルブ24、27のポートを点線で示す位置に切り替えるとともに、制御部3に設定された圧力設定値と圧力センサ23の検出信号が一致するように圧力制御バルブ22が制御される。
次に、本質量分析計のチューニング時の動作手順を説明する。この状態において乾燥ガスGは圧力制御バルブ22及び圧力センサ23を介して前記標準試料容器25の上部から送入される。標準試料Rは圧力制御バルブ22の出口圧力で加圧され、一定の流量で大気圧イオン化部11のプローブ11aに噴霧ガスFとともに注入され、高電圧または高温過熱によりイオン化される。このイオン流は収束レンズ部12で収束され、マスフィルタ部13で質量数に対応して分離され、検出器14で各イオンが検出される。標準試料Rが注入される流量は、圧力制御バルブ22の出口圧力によって決められる。
また、分析試料Sを質量分析する場合は、分析試料Sは三方バルブ27を経由して前記噴霧ガスFとともに前記プローブ11aに注入され、大気圧イオン化部11内で高電圧印加または高温加熱された状態で噴出されイオン化されるとともに、大気圧イオン化部11に送入され乾燥ガスGにより分析試料S中の溶剤が除去され、以後前記標準試料Rの場合と同様の手順で質量分析が行われる。
前記乾燥ガス流量はESI法の場合、10L/min程度で使用することが多く、また分析試料Sの送液量が少ない場合には乾燥ガスGの流量も少なくてよいが、一般的には分析試料Sの特性や流量に応じて決められる。一方、APCI法の場合、高温化でイオン化を行うためESI法に比較して乾燥ガスGの必要量は一般的に減少する。特に質量分析部1のチューニングを行う場合は乾燥ガスGを使用せず行うことができる。
本質量分析計では標準試料Rの送液量は圧力制御バルブ22によって制御された圧力とそれ以降の配管抵抗によって決められるので標準試料Rの代わりに分析試料Sを標準試料容器25に収容し、この分析試料Sの分析(インフュージョン分析)を行うことも可能である。この場合、分析試料Sの送液量は圧力調整により容易に少なくすることができるので、分析試料量の少ない分析も可能になる。
また本考案の質量分析計では、粘度の大きい標準試料Rに対しても正確な流量Qを前記質量分析部1に送液するに必要な加圧ガス圧力Pを算出する演算式を前記制御部3に記憶し、入力された流量Qから必要な加圧Pを演算する機能を備えている。圧力センサ23の検出圧力をP、プローブ11aの先端圧力をP(大気圧)、プローブ11a内の標準試料Rの流量をQとすると、次式(l)、(2)に示す関係がある。
Figure 0003121568
ここでa、l及びa、lは流路26、プローブ11aの内半径及び長さ、ηは標準試料Rの流体粘度である。
上記質量分析計において、必要とする流量Qを前記制御部3に入力すると上記(1)式に基づいて加圧ガス圧力Pが算出され、乾燥ガスGの圧力は前記圧力制御バルブ22により圧力Pに制御され、標準試料Rは圧力Pで加圧される。これにより粘度の差にかかわらず入力した流量Qが正確に得られる。上記から明らかなようにマイクロコンピュータを主体とする制御部3と入力機器で、請求の範囲にて特定するガス圧力算出する手段が構成される。
なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、乾燥ガス系統に配管詰りに伴う異常圧力上昇対策としてリリーフバルブを取付けたり、大気圧イオン化部前でストップバルブを配置することも可能である。また、標準試料容器25を大気に開放するためのバルブも必要に応じて使用することができる。
本考案の質量分析計は、エレクトロスプレーイオン化または大気圧化学イオン化方式の質量分析計に利用される。
本考案の実施例による質量分析計の構成を示す図である。 従来の質量分析計の構成例を示す図である。 従来の質量分析計の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1 質量分析部
11 大気圧イオン化部
12 収束レンズ部
13 マスフィルタ部
14 検出器
2 送液システム
21 乾燥ガス流路
21A 排気流路
22 圧力制御バルブ
23 圧力センサ
24 三方バルブ
25 標準試料容器
26 流路
27 三方バルブ
28 溶出液流路
29 流路
3 制御部
30 加圧ガス供給路
4 液体クロマトグラフ(LC)
5 質量分析部
51 シリンジポンプ
51A シリンジ
51B モータ
51C プランジャ
52 大気圧イオン化部
53 三方バルブ
54 三方バルブ
55 標準試料容器
56A 圧力制御バルブ
56B 圧力制御バルブ
56C 圧力制御バルブ
57A ガス系統
57B ガス系統
57C ガス系統
F 噴霧ガス
G 乾燥ガス
K 加圧ガス
R 標準試料
S 分析試料

Claims (3)

  1. 分析試料を質量分析部の大気圧イオン化プローブを介し大気圧イオン化部に供給する分析試料供給手段と、質量分析のパラメータのチューニング用の標準試料を加圧するためのガスを供給する加圧ガス供給流路と、分析試料を前記プローブから大気圧イオン化部に噴霧するためのガスを供給する噴霧ガス供給手段と、噴霧された分析試料を乾燥させる乾燥ガスを大気圧イオン化部へ供給する乾燥ガス供給流路とを備えた質量分析計において、前記乾燥ガス供給路に、この乾燥ガスを前記加圧ガス供給路を介して前記標準試料容器に導入するための流路切替器を設け、標準試料を加圧して前記プローブに送液できるようにしたことを特徴とする質量分析計。
  2. 標準試料の送液量をガス圧力の制御により可変できる圧力制御バルブを設けたことを特徴とする請求項1記載の質量分析計。
  3. 標準試料の送液量を入力する送液量入力手段と、標準試料の粘度に対応して前記送液量を送液するに必要なガス圧力を算出するガス圧力算出手段とを備えてなる請求項1記載の質量分析計。
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