JP4556645B2 - 液体クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は液体クロマトグラフ質量分析装置に関し、更に詳しくは、複数の溶媒を混合するグラジエント送液を行う送液部を有する液体クロマトグラフと、液体試料を略大気圧雰囲気中に噴霧することで試料成分をイオン化する大気圧イオン化インタフェイスを有する質量分析装置とを組み合わた液体クロマトグラフ質量分析装置に関する。
液体クロマトグラフの分析手法の1つとしてグラジエント送液法がある。これは、例えば水と有機溶媒といった性質の異なる複数の溶媒を混合し、その混合比率を時間経過に伴って変化させた移動相液をカラムに送るものであり、多成分を含む試料の各成分の分離を良好に行うのに特に有用である。こうしたグラジエント送液を行う液体クロマトグラフの検出器として質量分析装置を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置(以下、LC/MSと略す)が従来より知られている(例えば特許文献1など)。
一般にLC/ MSでは、カラムからの溶出液中の成分分子から気体イオンを生成するために大気圧イオン化インタフェイスが利用される。大気圧イオン化インタフェイスの代表的なものとしては、エレクトロスプレイイオン化インタフェイス(ESI)や大気圧化学イオン化インタフェイス(APCI)などがある。これらはいずれも、カラムからの溶出液を略大気圧雰囲気中に噴霧するノズルを備える。
ESIでは、液体試料を噴霧する際に試料に片寄った電荷を与え、噴霧された液滴中でのクーロン反発力により液滴の微細化を促進させ、その過程で液滴中の目的成分をイオン化する。他方、APCIでは、ノズルの前方に放電電極を配置し、そのコロナ放電により生成した溶媒ガスイオンを微細液滴に化学反応させることで目的成分をイオン化する。いずれにしても、こうしたイオン化インタフェイスではノズルからの液滴の噴霧状態がイオン化効率を大きく左右し、その噴霧状態を決める要因の1つである印加電圧の値が重要なパラメータの1つである。しかしながら、従来のLC/MSでは、印加電圧はほぼ最適と思われる電圧に固定されているのが一般的である。
上述したグラジエント送液を行うLC/MSにおいて、MS動作条件は、或る混合比率の水/有機溶媒条件で調整した際に得られた最適値を使用する。一方、印加電圧は予め機種毎に最適値が装置メーカー等から提供されている場合が多いが、この電圧値はユーザーが変更することも可能であるので、例えば有機溶媒比率が高い条件の下で溶出する成分が重要である場合には、有機溶媒比率の高い移動相条件下で得られた最適値を用いるほうが本来は適切である。
例えばイオン化インタフェイスとしてESIを利用し、上述のようにしてMS動作条件が自動調整された場合、グラジエント送液による分析の際にイオン化部のノズルには一定電圧が印加される。しかしながら、ノズルからの液体試料の噴霧状態は移動相液の各種の性質、例えば極性、粘性などにも依存するため、溶媒の種類のみならずその混合比率などにも影響を受ける。そのため、グラジエント送液によって溶媒の混合比率が時間経過に伴って変化すると、イオン化インタフェイスでのイオン化効率は分析中の或る時点(又は期間)で最良であったとしてもそれ以外の期間では最良とはならず、そのときには検出感度も低下してしまうことになる。その結果、試料に含まれる多成分の全てについて最高又はそれに近い検出感度で分析を行うことはできず、幾つかの成分については感度を犠牲にせざるを得ないという問題がある。
従来より一般に使用されている比較的流量の大きなESIでは上記のような点があまり問題とならないことも多い。ところが、近年、生化学分野などで盛んに使用されているナノESIでは、流量が従来の1/100〜1/1000と非常に少ないため、上記のような問題が非常に顕著に現れる。そのため、甚だしい場合には、試料に含まれる多成分の幾つかは実質的に分析できないということも起こり得る。
特開平11−326302号公報
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、グラジエント送液により溶媒の混合比率が時間経過に伴い漸次変化する場合でも、イオン化インタフェイスでのイオン化効率を常に高い状態に維持し、多成分に対して高感度での分析を行うことができる液体クロマトグラフ質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、複数の溶媒を混合するグラジエント送液を行う送液部を有する液体クロマトグラフと、該液体クロマトグラフにより成分分離された液体試料を電圧が印加されたノズルの先端から略大気圧雰囲気中に噴霧してイオン化するエレクトロスプレイイオン化法によるイオン化部を有する質量分析装置と、を組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置において、
a)前記送液部における複数の溶媒の混合比率と前記イオン化部におけるイオン化効率を最良とするための前記ノズルへの最適又はそれに近い印加電圧との対応関係を記憶しておく記憶手段と、
b)分析中に時間経過に伴って前記送液部における複数の溶媒の混合比率を算定する比率情報取得手段と、
c)該比率情報取得手段により得られる混合比率に基づき、前記記憶手段に記憶されている情報を参照して分析中の各時点での前記ノズルへの最適又はそれに近い印加電圧を算出する電圧値算出手段と、
d)該電圧値算出手段による結果に応じて前記イオン化部の前記ノズルへの印加電圧を時間経過に伴って変更する電圧制御手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置では、目的試料の分析に先立つ適宜の時点で、その分析に使用する複数の溶媒の混合比率と、質量分析装置の検出感度が最大又はそれに近い状態となるような印加電圧との関係を予め実験的に調べ、それを関係式やテーブルなどの形式で記憶手段に格納しておく。そのために、本発明の一態様として、前記送液部による複数の溶媒の混合比率を或る状態に設定したときに、前記イオン化部への印加電圧を複数段階に設定して所定試料の分析を実行することで、当該混合比率における最適な印加電圧を見い出し、混合比率を複数段階に設定することで各段階の最適印加電圧を求めて、その情報を利用して前記記憶手段に格納する情報を作成する情報作成手段、をさらに備える構成とするとよい。
その際、全ての混合比率と最適印加電圧との関係を調べることは実際には不可能であるから、例えば数ポイント程度の適宜の混合比率に対する最適印加電圧を調べ、それに基づいて実測していない混合比率に対しては補間処理等を行って最適又はそれに近い印加電圧を得るための近似的な関係を求めるとよい。
グラジエント送液による目的試料の分析時には、比率情報取得手段は例えば送液部の動作を制御するグラジエントプロファイル等から時間経過に伴う溶媒の混合比率の変化を算定し、算出手段は記憶手段に記憶されている上記情報を参照して、算定された混合比率に対応した最適印加電圧を導出する。そして、電圧制御手段は、導出された最適印加電圧に応じてイオン化部への印加電圧を変更する。これにより、送液部においてグラジエントプロファイルに従って溶媒の混合比率が変化するに伴い、イオン化部への印加電圧もイオン化効率が最良又はそれに近い状態となるように調整される。
なお、本発明の一実施態様として、具体的には、前記イオン化部はナノエレクトロスプレイイオン化を行う構成とすることができる。
このように本発明に係る液体クロマトグラフ質量分析装置によれば、グラジエント送液により溶媒の混合比率が時間経過に伴って変化する場合でも、イオン化部でのイオン化効率が常に最良又はそれに近い状態になるように維持されるので、分析のほぼ全時間帯に亘って高い感度で以てイオンを検出することができる。それにより、試料中に含まれる多成分の幾つかの感度を犠牲にすることなく、成分全てについて高い感度で以て分析を行うことができる。
以下、本発明の一実施例によるLC/MSについて、図面を参照して説明する。
図1は本実施例のLC/MSの要部の構成図である。このLC/MSは2種類の溶媒を混合することにより移動相液の組成及び性質を変化させる2液グラジエント分析を行うものの例であるが、3種類以上の溶媒を適宜に混合させるグラジエント送液を行うものにも適用できることは当然である。
本実施例のLC/MSは、大別して、液体試料中の成分を分離する液体クロマトグラフ部(LC部)1と、分離された液体試料中の成分分子より気体イオンを生成するイオン化インタフェイス2と、試料イオンを質量(厳密には質量電荷比m/z)に応じて分離して検出する質量分析部(MS部)3とから構成される。
LC部1は2液低圧グラジエント溶離装置であって、2つの容器(リザーバ)11a、11bにはそれぞれ異なる溶媒A、Bが収容され、容器11a、11bからの吸液路には、溶媒に溶存するガスを除くための2チャンネル型の脱気部12と、バルブ13とが設けられている。バルブ13a、13bはそれぞれの開度を制御することで両溶媒A、Bの混合比率を調節するバルブであり、両溶媒A、Bの吸液路はこのバルブ13a、13bの出口側の点(ミキシング点)Pで合流し、この点P以降は両溶媒A、Bは所定比率で混合された移動相として流れる。この移動相の吸引動作はプランジャポンプ等の送液ポンプ14により行われ、上記移動相液を略一定流量で以て試料注入部15を介してカラム17へと送給する。試料注入部15ではインジェクタバルブ等により所定のタイミングで試料を移動相液の流れの中に注入する。注入された試料は移動相液の流れに乗ってカラム17に送り込まれ、カラム17を通過する間に成分毎に分離され、それぞれ時間的にずれてカラム17から溶出してイオン化インタフェイス2に到達する。カラム17は恒温槽16内に収容されており、分析中に所定温度に維持される。但し、ナノESIの場合、カラムと後述のノズル(スプレー)とが一体型のものもあり、その場合には恒温槽16を省略することができる。
イオン化インタフェイス2は図1ではナノEIインタフェイスであり、ほぼ大気圧雰囲気であるイオン化室21内に、カラム17の末端に接続されたイオン化プローブ22の先端部が突設されている。イオン化プローブの先端部の前方には、イオンを後段に輸送するための脱溶媒管23の入口開口が設けられ、さらにその前方には気化しなかった溶媒を排出するドレイン24が配置されている。脱溶媒管23の入口開口の中心軸はイオン化プローブ22の先端からの噴霧の中心軸と斜交(ここではほぼ直交)しており、それによって溶媒が十分に気化していない大きな液滴が脱溶媒管に飛び込むことを防止している。
MS部3にあっては、質量分析室35と、上記イオン化室21との間にそれぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室31及び第2中間真空室33が設けられている。質量分析室35内には質量分離部としての四重極フィルタ36と検出器37とが設けられ、それらの中間にある第1及び第2中間真空室31、33にはそれぞれ第1及び第2イオンレンズ32、34が配置されている。イオン化室21と第1中間真空室31との間は上述した脱溶媒管23を介して、第1中間真空室31と第2中間真空室33との間は極小径の通過穴を頂部に有する円錐形状のスキマー38を介してのみ連通している。
上述の如くイオン化室21内はほぼ大気圧雰囲気であり、第1中間真空室31内は約102[Pa]まで、第2中間真空室33内は約10-1〜10-2[Pa]まで、質量分析室35内は約10-3〜10-4[Pa]の高真空状態まで真空排気される。このようにイオン化室21、第1中間真空室31、第2中間真空室33、質量分析室35と、段階的に真空度を上げるような多段差動排気系の構成とすることにより、質量分析室35内の高い真空度を維持している。
イオン化インタフェイス2及びMS部3の動作を概略的に説明すると、上述したようにカラム17から溶出して来た試料液はイオン化プローブ22の先端からイオン化室21内に噴霧され、噴霧流中の試料分子はイオン化される。発生したイオンは未だイオン化していない微小液滴とともに、イオン化室21と第1中間真空室31との差圧により脱溶媒管23中に引き込まれる。第1イオンレンズ32は、その電場により脱溶媒管23を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー38の通過孔近傍に収束させる。スキマー38の通過孔を通って第2中間真空室33に導入されたイオンは、第2イオンレンズ34により収束及び加速された後に質量分析室35へと送られる。質量分析室35では、特定の質量を有するイオンのみが四重極フィルタ36の長軸方向の空間を通り抜け、検出器37に到達しイオン電流として検出される。この検出信号はデータ処理部46に送られ、データ処理部46ではマススペクトル、マスクロマトグラム等の各種グラフが作成され、さらに定性分析、定量分析等の所定のデータ処理が実行される。
入力部44及び表示部45が接続された制御部40は本装置全体の動作の制御を司る機能を有し、特に電圧印加部43を介してイオン化プローブ22への印加電圧を制御する。また、本実施例に特徴的な構成として制御部40は電圧曲線作成部41を機能ブロックとして含み、電圧曲線データ記憶部42が制御部40に接続されている。これらの動作については後で詳細に述べる。なお、通常、制御部40、電圧曲線データ記憶部42、データ処理部46などは、実際にはパーソナルコンピュータにイントールされた制御・処理プログラムにより具現化される。
この実施例のLC/MSでは、イオン化プローブ22を交換することによってESI、ナノESI又はAPCIのいずれかを選択的に行うことができる。この点を図2により説明する。
通常のESIの場合、図2(a)に示すように、試料液を噴霧するイオン化プローブ22aは、試料液が供給されるノズル221と、ノズル221と同軸であって外筒として取り囲むように配設されたネブライズガス管222とを有し、ノズル221自体又はその周囲に設けられた図示しない金属筒に電圧印加部43より数kV程度の直流高電圧が印加される。この電圧による電場の影響で、ノズル221を流れて来る試料液は片寄って帯電し、その状態でネブライズガス管222から噴出するネブライズガス(通常N2ガス)の助けを受けて微小液滴となって噴出する。噴出した微小液滴は例えば脱溶媒管23の周囲から噴出される乾燥窒素ガスに接触し、液滴中の移動相や溶媒が急速に蒸発し液滴のサイズは小さくなる。すると、帯電電荷のクーロン反発力によって液滴は細かく分裂し、その過程で試料分子に由来する気体イオンが発生する。ノズル221は脱溶媒管23の入口開口の中心軸に対してほぼ直交する方向に試料液を噴霧し、その噴霧流Dはほぼ円錐形状に広がりながら進行する。その進行の過程で上述したように試料イオンが生成され、イオンは液滴が入り混じった状態で脱溶媒管23に吸い込まれる。
ナノESIの場合、図2(b)に示すように、基本的には上記ESIの構成からネブライズガス及び乾燥窒素ガスを除いた構成であり、液体試料を噴霧するノズル221は、先端がガラスキャピラリに金属薄膜がコーティングされたもの又は金属製キャピラリ等によるキャピラリ管であって先端が細く絞られている。ナノESIではネブライズガスによる噴霧の補助が無いため、ノズル221の先端から流出した同極性のイオンを多量に含んだ液体試料はクーロン力によって細く引き伸ばされ、テーラーコーンと呼ばれる円錐形状体を形成する。その進行に伴って電荷密度が高くなると、臨界点でクーロン爆発が生じイオンの生成を伴いつつ円錐状に広がる。
APCIの場合には、図2(c)に示すように、ノズル221、ネブライズガス管222に、ノズル221開口の前方空間を囲繞するヒータ224、及びさらにその前方に設けられた針状の放電電極225を一体化したイオン化プローブ22bを使用する。ノズル221の先端に達した試料液(ESIと異なり帯電はしていない)はネブライズガス管222から噴き出すネブライズガスの助けを受けて微小液滴となって略円錐形状に広がりながら噴霧流Dとして噴出する。その前方空間はヒータ224で囲繞されているから、このヒータ224の加熱によって液滴中の溶媒は気化して溶媒ガスとなる。放電電極225に高電圧源からパルス状に高電圧が印加されるとコロナ放電を生じ、溶媒ガス分子は溶媒イオンとなる。この溶媒イオンと液滴中の試料分子とが化学反応し、試料分子はイオン化されて試料イオンとなる。
図2に描出したようにノズル221から噴射された試料液滴の噴霧流Dは略円錐形状となるのがほぼ理想的な状態であり、イオン化プローブ22への印加電圧が適切に調整されている場合にこうした状態に近くなる。例えばナノESIにおいてはノズル221への印加電圧が低すぎると、噴出された液滴中のクーロン力が十分に作用せず、液滴の多くが微細化しないまま進行する傾向にある。その結果、図5(a)に示すように噴霧流Dは円錐形状に大きく広がらず、ほぼ直線状に噴出したような形状になる。逆に印加電圧が高すぎても噴霧流はきれいな円錐形状とならず、図5(b)に示すように様々な方向に噴霧流が飛び散るような形状となる。いずれの場合にも、イオン化が適切に行われないためにイオン化効率は低下することになる。液滴の噴霧状態は試料液の溶媒つまり移動相液の性質にも依存するため、移動相液の性質が相違すれば最適な印加電圧も相違する。したがって、グラジエント分析において印加電圧を一定としておくと、或る時点では印加電圧は最適となるが、他の期間では印加電圧は最適とはならずイオン化効率が低下する。
そこで、本実施例のLC/MSではグラジエント分析を行う際に特徴的な制御を行うことによって、イオン化インタフェイス2におけるイオン化効率を良好な状態に維持する。この点について、以下に詳しく説明する。
まず実際の目的試料の分析に先立って、適宜のときに分析に使用する2つの溶媒A、Bの混合比率と最適印加電圧との対応関係を調べ、その関係を電圧曲線データとして記憶部42に記憶させておく。本実施例の装置では、電圧曲線作成部41が自動的にその電圧曲線データの取得を実行する機能を有している。即ち、ユーザー(オペレータ)は、溶媒A、Bを容器11a、11bに用意し、試料として任意の試料(例えば標準試料)を用意して、入力部44より分析条件自動調整の指示を行う。すると、各種分析条件の調整処理の1つとして、電圧曲線作成部41は予備分析を開始する。
予備分析では、送液ポンプ14での送液流量を分析時と同一に設定し、所定の混合比率になるようにバルブ13a、13bの開度を適当に設定した状態で試料の分析を実行し、その際に印加電圧を所定範囲で走査して検出器37による検出信号が最大となるような、つまり感度が最適となるような印加電圧を見い出す。このときの印加電圧がイオン化インタフェイス2におけるイオン化効率が最良となる最適印加電圧である。例えば、溶媒Aを0.1%蟻酸水溶液、溶媒Bをアセトニトリルとしたとき、溶媒Bの比率を0、10、20、30、…、100%と10%ステップで変化させた場合についてそれぞれ最適印加電圧を求める。電圧曲線作成部41は、その結果に基づき、例えば図3に示すように、溶媒Bの比率が0〜100%の範囲で変化したときの最適印加電圧の近似曲線を算出する。この近似曲線を例えば式で表現する又はテーブル形式で表現したものが電圧曲線データであり、この電圧曲線データを記憶部42に記憶しておく。なお、実際には分析条件自動調整処理では他の様々な分析条件も求まるから、これらをチューニングパラメータとしてまとめたチューニングファイルの中に、チューニングパラメータの1つとして電圧曲線データを格納するようにすればよい。
目的試料の分析を実行する際には、ユーザーは例えば図4(a)に示すようなグラジエントプロファイルを入力部44より設定して分析を開始する。グラジエントプロファイルは分析開始からの時間経過に伴う移動相液の混合比率の目標値を示すものである。分析が開始されると、制御部40はグラジエントプロファイルに従ってバルブ13a、13bの開度をそれぞれ制御して、これによって混合比率が決まる移動相液の流れの中に試料注入部15より目的試料を注入する。また、制御部40は記憶部42に格納されている電圧曲線データを読み出し、その電圧曲線を参照して、グラジエントプロファイルから読み取ることができる移動相液の混合比率から最適印加電圧を求める。そして、求まった最適印加電圧の値に応じて電圧印加部43を制御し、イオン化プローブ22(ノズル221)に対して電圧を印加する。
制御部40は、時間経過に伴ってグラジエントプロファイルから読み取れる混合比率が変化する毎に最適印加電圧を順次変更してゆく。具体的には、図4(b)に示すように、溶媒A:100%、溶媒B:0%である状態が続く時刻t1までは印加電圧はV1を維持し、混合比率が相補的に変化する時刻t1からt2までの期間には、印加電圧はV1からV2まで増加するように走査される。そして、時刻t2以降に溶媒A:0%、溶媒B:100%である状態が続くと印加電圧はV2に維持される。
上記のような制御によって、イオン化プローブ22には常に液滴の噴霧状態が良好になるような電圧が印加される。それによってイオン化室21内ではイオン化効率がほぼ最良の状態が維持され、それ故に検出感度も最高に近い状態を維持した分析が可能となる。
電圧曲線は移動相液を構成する溶媒の種類のほか、移動相液の流量にも依存して変わる。したがって、溶媒の種類が相違する場合にはもちろんのこと、溶媒の種類が同一であっても流量が異なる場合には、新規の電圧曲線を求めておく必要がある。逆に溶媒の種類と流量とが同一である電圧曲線が過去に取得されていれば、その電圧曲線を利用して目的試料の分析を実行することができる。
また上記実施例ではイオン化インタフェイス2がナノESIである場合について説明したが、通常のESIについても同様の制御を適用することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正及び追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例によるLC/MSの要部の構成図。 本実施例のLC/MSのイオン化インタフェイスの拡大図であり、(a)は通常のESI、(b)はナノESI、(c)はAPCIの場合の図。 本実施例のLC/MSにおいて作成される電圧曲線の一例を示す図。 本実施例のLC/MSにおけるグラジエントプロファイル(a)と実際の印加電圧の変化のパターン(b)の一例を示す図。 ナノESIでノズルへの印加電圧が適切でない場合の液滴の噴霧状態を模式的に示す図。
符号の説明
1…LC部
11a、11b…容器
12…脱気部
13a、13b…バルブ
14…送液ポンプ
15…試料注入部
16…恒温槽
17…カラム
2…イオン化インタフェイス
21…イオン化室
22、22a、22b…イオン化プローブ
221…ノズル
222…ネブライズガス管
224…ヒータ
225…放電電極
23…脱溶媒管
24…ドレイン
3…MS部
31…第1中間真空室
32…第1イオンレンズ
33…第2中間真空室
34…第2イオンレンズ
35…質量分析室
36…四重極フィルタ
37…検出器
38…スキマー
40…制御部
41…電圧曲線作成部
42…電圧曲線データ記憶部
43…電圧印加部
44…入力部
45…表示部
46…データ処理部

Claims (3)

  1. 複数の溶媒を混合するグラジエント送液を行う送液部を有する液体クロマトグラフと、該液体クロマトグラフにより成分分離された液体試料を電圧が印加されたノズルの先端から略大気圧雰囲気中に噴霧してイオン化するエレクトロスプレイイオン化法によるイオン化部を有する質量分析装置と、を組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置において、
    a)前記送液部における複数の溶媒の混合比率と前記イオン化部におけるイオン化効率を最良とするための前記ノズルへの最適又はそれに近い印加電圧との対応関係を記憶しておく記憶手段と、
    b)分析中に時間経過に伴って前記送液部における複数の溶媒の混合比率を算定する比率情報取得手段と、
    c)該比率情報取得手段により得られる混合比率に基づき、前記記憶手段に記憶されている情報を参照して分析中の各時点での前記ノズルへの最適又はそれに近い印加電圧を算出する電圧値算出手段と、
    d)該電圧値算出手段による結果に応じて前記イオン化部の前記ノズルへの印加電圧を時間経過に伴って変更する電圧制御手段と、
    を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析装置。
  2. 前記送液部による複数の溶媒の混合比率を或る状態に設定したときに、前記イオン化部の前記ノズルへの印加電圧を複数段階に設定して所定試料の分析を実行することで、当該混合比率における最適な印加電圧を見い出し、混合比率を複数段階に設定することで各段階の最適印加電圧を求めて、その情報を利用して前記記憶手段に格納する情報を作成する情報作成手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置。
  3. 前記イオン化部は液滴の噴霧にネブライズガスを用いないナノエレクトロスプレイイオン化を行うものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフ質量分析装置。
JP2004349386A 2004-12-02 2004-12-02 液体クロマトグラフ質量分析装置 Active JP4556645B2 (ja)

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