JP3120916B2 - 低反射部材 - Google Patents

低反射部材

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JP3120916B2 JP04341438A JP34143892A JP3120916B2 JP 3120916 B2 JP3120916 B2 JP 3120916B2 JP 04341438 A JP04341438 A JP 04341438A JP 34143892 A JP34143892 A JP 34143892A JP 3120916 B2 JP3120916 B2 JP 3120916B2
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浩幸 朝尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低反射部材に関し、より
詳しくは、例えばガラスやプラスチックフィルム、プラ
スチックシートおよびプラスチック板等の支持体上に特
定のシリカ微粒子の単粒子層が、特定のバインダー成分
にて固定されてなる低反射部材に関する。具体的には本
発明は、例えばテレビ受像機や端末ディスプレイ装置な
どの各種ブラウン管や液晶表示板のような画像表示板、
額縁用のガラス板等として有用な低反射部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラスやプラスチックなどの支持
基材(以下、基体という)表面に、シリカ微粒子等を含
有する光学材料用組成物をコーティングして、反射防止
等の機能を付与する薄膜を形成している。ところで、シ
リカ粒子は、通常ゾル状態で基体表面にコーティングさ
れた後、溶媒が除去されるので、基体表面から脱落す
る。これを防止するために、バインダーを用いてシリカ
粒子と基体表面との結着力を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、バインダーと
してテトラエトキシシランを用いることが提案されてい
る(特開平1−154444号公報参照)。ところが、
上記バインダーを用いる場合、基体との結着力を向上さ
せるためには長時間の高温処理が必要であり、特にプラ
スチックを基体とする場合には、充分な結着力が得られ
ないだけでなく、耐熱性に劣るプラスチックでは熱変形
するので、目的とする部材が得られないという問題が生
じる。
【0004】本発明の目的は、上記問題を解決して、耐
熱性に劣る基体にも適用できて、基体表面のシリカ粒子
が脱落することなく結着力が良好な機能薄膜を形成して
なる低反射部材を提供することである。また、本発明の
他の目的は、上記低反射機能を有する低反射部材に、さ
らに導電性機能を付加してなる帯電防止性低反射部材を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高温加熱が
不要である紫外線重合可能な単量体に着目して検討を重
ねた結果、バインダー成分として重合反応がラジカル重
合にて起こるような単量体を使用した場合、基体との結
着力は向上するものの空気中の酸素が重合阻害を起こし
て実用に耐えうるフィルム強度が得られないことを見出
した。特に、厚みが2μm以下という薄膜状にコーティ
ングした場合にはこの現象が顕著に現れることを見出し
た。さらに、バインダー成分としてカチオン重合性の単
量体を用いたところ、シリカを含有させた組成物が短時
間で紫外線カチオン重合を起こすとともに、2μm以下
においても基体に対して優れた結着力を有する薄膜状コ
ーティングが得られることを見出した。
【0006】本発明は、上記新知見に基づき完成したも
のであって、本発明の低反射部材は、基体の少なくとも
片面にシリカ微粒子が単粒子層として配列され、該シリ
カ微粒子がカチオン重合性の単量体を主成分とするバイ
ンダー成分にて固定されてなるもので、好ましくは該シ
リカ微粒子が平均粒径が10nm〜1μmであり、カチ
オン重合性の単量体が、エポキシ基および/またはビニ
ルエーテル基を有する単量体であって、上記バインダー
成分の単量体が紫外線照射によって重合されてなるもの
である。
【0007】また、本発明の帯電防止性低反射部材は、
上記の低反射部材において、該単粒子層中に、さらに導
電性微粒子が配されているか、または該単粒子層と基体
との間に、導電性微粒子とカチオン重合性の単量体を主
成分とするバインダー成分とを含有する帯電防止層が設
けられていることを特徴とする。
【0008】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明の低反射部材における基体の材質は、光学材料として
使用しえるものであれば特に制限はなく、例えばガラ
ス、プラスチックフィルム、プラスチックシート、プラ
スチック板等が例示される。上記シリカ微粒子として
は、通常平均粒径が5nm〜10μm、好ましくは10
nm〜1μmのものを使用する。この微粒子の平均粒径
が5nm未満の場合は、微粒子が凝集し易くなって基体
表面に単粒子層を形成することが困難となる傾向があ
り、また単粒子層が形成できたとしてもバインダー成分
で固定すると表面が平滑となって目的とする低反射機能
が十分に得られない傾向がある。一方、平均粒径が10
μmを超えるとバインダー成分で固定するとフィルムに
濁りが生じて透光性が悪くなる傾向があり、例えば画像
表示板への適用には不向きとなって好ましくない。な
お、この微粒子として1次粒子を使用すると、凝集塊が
なく均一な単粒子層が形成できるので好ましい。
【0009】本発明では、上記シリカ微粒子を固定する
上記バインダー成分として、カチオン重合性の単量体を
主成分とするものを用いる。このカチオン重合性の単量
体としては、紫外線照射によってカチオン重合を起こし
て樹脂化するものであればいずれも使用でき、例えばエ
ポキシ基やビニルエーテル基などの官能基を有する単量
体が好適に使用できる。
【0010】上記のエポキシ基またはビニルエーテル基
を有するカチオン重合性の単量体としては、具体的には
エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン
ジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサ
イド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート、ビス−(6−メチル−3,4−エポ
キシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジエ
チレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリ
コールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールジビニルエーテル等が挙げられる。また、本発
明では、上記単量体の他に下記一般式(1)、(2)お
よび(3)に示されるシリコーン系単量体を用いること
もできる。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】なお、上記バインダー成分には、通常、紫
外線重合触媒が配合される。この紫外線重合触媒として
は、一般式ArN2 + - 、 (R) 3 + - 、 (R)
2 + - (但し、Arはアリール基、Rはアリール基
または炭素数1〜20のアルキル基、Z- はBF4 -
PF6 - 、AsF6 - 、SbF6 - 、SbCl6 - 、H
SO4 - 、ClO4 - のような非塩基性かつ非求核性の
陰イオンである。)で表されるジアゾニウム塩、スルホ
ニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩が好適に使
用される。
【0015】上記シリカ微粒子の配合量は、前記バイン
ダー成分100重量部に対して、0.1〜1000重量
部、好ましくは1〜500重量部の範囲が適当である。
配合量が0.1重量部に満たない場合は、低反射特性が
充分に得られず、また、1000重量部を超えて配合し
た場合には、コーテイングした塗膜からシリカ微粒子が
脱落し易くなり、特に擦れによるシリカ微粒子の脱落が
起こりやすくなる。
【0016】オニウム塩は、前記単量体成分100重量
部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜
10重量部程度配合することが適当である。この配合量
が0.1重量部に満たない場合は、前記単量体の紫外線
重合性に劣るようになり、20重量%を超えて配合した
場合には、増量効果が認められず不経済であるととも
に、光学特性の低下をきたす可能性があり好ましくな
い。
【0017】本発明の部材を作成するために使用される
上記バインダー用組成物は、例えば以下の方法によって
調製される。任意の分散媒に上記カチオン重合性の単量
体を添加し、必要に応じて基体との結着力を向上させる
ためのシランカップリング剤などの各種添加剤を任意量
にて添加し、これを充分に混合することによって調製で
きる。この場合、基体へのコーティング作業性の観点か
ら、分散媒中での固形分濃度を、通常0.1〜50重量
%程度、好ましくは0.5〜30重量%程度に調製す
る。上記分散媒としては、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンな
どの1価または多価アルコール類、エチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエス
テル類などが用いられる。
【0018】本発明の低反射部材は、例えば次に示す方
法で作製できる。基体表面に上記調製したバインダー用
組成物を、ファウンテンコータや含浸コータ、ビードコ
ータ等を用いた各種コーティングや、スプレーコーティ
ング、ディップコーティング等の方法によってコーティ
ングした後、加熱等の手段にて溶媒を除去、乾燥して薄
膜を形成する。ついでこれに高圧水銀ランプやメタルハ
ライドランプ等の適当な紫外線源によって紫外線を照射
して、バインダー成分の単量体をカチオン重合させ、コ
ーティング膜に成形させればよい。上記の方法によっ
て、基体表面にシリカ微粒子が単粒子層として配列し、
これをバインダー成分にて固定してなる低反射部材が作
製される。
【0019】上記低反射部材の低反射膜の厚さは、適当
なコーティング方法を選択することによって任意の厚さ
に形成できるが、前記したテレビ受像機や端末ディスプ
レイ装置などの各種ブラウン管や液晶表示板のような画
像表示板の表面に形成する場合は、薄膜とすることが好
ましく、例えば5nm〜10μm、好ましくは10nm
〜1μmのコーティング膜を形成する。
【0020】このように、本発明の低反射部材による
と、特定のバインダー成分のコーティング膜を、紫外線
照射で硬化させるので、高温処理を不要にでき短時間で
重合反応が完了し、また、作製される部材のコーティン
グ膜は、シリカ微粒子の存在によって凹凸状を呈するも
のとなり、光の屈折率を変化させて優れた反射防止効果
を奏するようになる。
【0021】本発明において、帯電防止性を向上させた
帯電防止性低反射部材は、下記の方法によって帯電防止
性が付与されてなるものである。 (1)前記低反射部材用のバインダー組成物にさらに導
電性微粒子を配合してなる組成物を、基体表面にコーテ
ィングする方法。 (2)予め基体表面に導電性バインダー層を形成した
後、これに前記のシリカ微粒子の単粒子層を形成する方
法。 ここに導電性バインダー層は、前記シリカ微粒子単粒子
層におけるシリカ微粒子を導電性微粒子に代えたバイン
ダー組成物を使用して、シリカ微粒子単粒子層と同様に
して形成される。
【0022】上記導電性微粒子としては、平均粒径が5
nm〜2μm、好ましくは5nm〜1μmの微粒子を有
するものが好適であり、また凝集塊のない1次粒子が好
ましい。この微粒子の平均粒径が5nmに満たない場合
には微粒子が凝集して基体表面にコーティングしがたく
なり不均一なコーティングとなる。一方、平均粒径が2
μmを超えるとフィルム化した場合に濁りが生じて透光
性が悪くなり、画像表示板への適用には不向きとなる。
【0023】上記導電性微粒子の具体例を挙げると、S
nO2 、In2 3 、Sb3 3 や、SnO2 にアンチ
モンやフッ素がドープした酸化物、In2 3 にスズが
ドープした金属酸化物などの導電性金属酸化物が好適に
使用できる。
【0024】上記導電性微粒子の配合量は、次の通りで
ある。前記低反射部材用のバインダー組成物にさらに導
電性微粒子を配合する場合には、前記バインダー成分1
00重量部に対して1〜1000重量部である。1重量
部に満たない場合は、導電性が充分に得られず、また、
1000重量部を越えて配合した場合は、膜厚が厚くな
り光学特性を阻害する恐れがあるとともに、コーティン
グした塗膜から導電性微粒子が脱落し易くなり好ましく
ない。
【0025】導電性バインダー層を形成する場合には、
前記バインダー成分100重量部に対して、0.1〜1
000重量部、好ましくは1〜500重量部の範囲が適
当である。配合量が0.1重量部に満たない場合は、導
電性が充分に得られず、また、1000重量部を超えて
配合した場合には、膜厚が厚くなるとともに、コーティ
ングした塗膜から導電性微粒子が脱落しやすくなり、特
に、擦れによって微粒子の脱落が起こるようになって好
ましくない。
【0026】上記構成によって、前記低反射部材が有す
る機能に、さらに導電性機能が付加されるようになる。
この帯電防止性低反射部材は、前記低反射部材のテレビ
受像機や端末ディスプレイ装置などの各種ブラウン管や
液晶表示板のような画像表示板の反射防止膜用途のう
ち、特に帯電防止性能が要求される用途に最適である。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をより具体的に説
明する。なお、反射率は、分光光度計を用い、フィルム
面上から垂直に550nmの波長の光を15°の入射角
で入射させて測定した。また、表面抵抗率は、微少電流
計を用いて測定した。 実施例1 2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン98重量%と、ヨードニウム塩系カチオン
重合触媒(ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキ
サフルオロアンチモネート)2重量%からなるバインダ
ー成分6重量部を、シリカ微粒子(平均粒径120n
m、粒径分布90〜150nm)をn−ブタノールに6
重量%濃度で分散させた分散液100重量部に添加し、
充分に攪拌混合してシリカ微粒子を分散してなるバイン
ダー組成物を調製した。このバインダー組成物を80μ
m厚のトリアセテートフィルム表面にディッピング法に
よってコーティングし、50℃で約3分間乾燥して溶媒
を揮散させて0.1μm厚の薄膜を形成した。次いで、
薄膜上から高圧水銀ランプによって50mj/cm2
エネルギーの紫外線を照射したところ、表面に凹凸が形
成された硬化薄膜を有する部材が作製できた。この部材
表面の反射率は、表1に示す通りであった。なお、上記
基体として用いたトリアセテートフィルム(80μm厚
さ)単独の反射率は3.9%であった。
【0028】また、上記部材の断面を、走査型電子顕微
鏡を用いて加速電圧1.5KV、倍率5万倍で撮影した
ところ、図1に示す写真が得られた。図2は、上記図1
に示す断面写真の模式図である。さらに、図3は、上記
部材の上面を上記と同様にして走査型電子顕微鏡を用い
て撮影した写真である。図4は、上記図3に示す上面写
真の模式図である。上記各図から明らかなように、部材
Hは、基体1の表面にシリカ微粒子2が単粒子層にて均
一に配列、固定され、基体1の表面には凹凸が形成され
ていることが判る。
【0029】比較例1 実施例1において、バインダー成分をラジカル重合性の
ウレタンアクリレート(商品名アロニックスM−110
0、東亜合成化学社製)95重量%、および重合触媒
(商品名イルガキュア184、チバガイギー社製)5重
量%からなるバインダー成分にかえる以外はすべて同様
にしてバインダー組成物を調製した。このバインダー組
成物を、基体として厚さ80μmのトリアセテートフィ
ルム上に薄膜コートして紫外線照射したが、500mj
/cm2 のエネルギーの紫外線を照射しても充分に重合
が進行せず、満足できる特性を有する部材は作製できな
かった。
【0030】実施例2 実施例1において、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシランの代わりに、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ
シクロヘキサンカルボキシレートを用い、ヨードニウム
塩系カチオン重合触媒の代わりに、スルホニウム塩系カ
チオン重合触媒(ビス−〔4−(ジフェニルスルホニ
オ)フェニル〕スルフィド−ビスヘキサフルオロフォス
フェート)を用いた以外はすべて同様にしてバインダー
組成物を調製した。このバインダー組成物を用いて、実
施例1と同様にして部材を作製したところ、表面に凹凸
が形成された硬化薄膜を有する低反射部材が作製でき
た。上記部材表面の反射率および紫外線照射におけるエ
ネルギー量は表1に示す通りであった。
【0031】実施例3 実施例1において、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシランの代わりに、トリエチ
レングリコールジビニルエーテルを用いる以外はすべて
同様にしてバインダー組成物を調製した。このバインダ
ー組成物を用い、実施例1と同様にして部材を作製した
ところ、表面に凹凸が形成された硬化薄膜を有する部材
が作製できた。上記部材表面の反射率および紫外線照射
におけるエネルギー量は表1に示す通りであった。
【0032】実施例4 シリカ微粒子(平均粒径100nm、粒径分布70〜1
30nm)をn−ブタノールに6重量%濃度で分散させ
た分散液100重量部に、SnO2 微粒子をn−ブタノ
ールに30重量%濃度で分散させた分散液50重量部を
攪拌混合して、さらに2−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン98重量%とヨード
ニウム塩系カチオン重合触媒(ビス(ドデシルフェニ
ル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)2重
量%からなるバインダー成分20重量部を攪拌混合して
導電性バインダー組成物を調製した。この導電性バイン
ダー組成物を用いて、実施例1と同様にして部材を作製
したところ、表面に凹凸が形成された硬化薄膜を有する
低反射部材が作製できた。この部材は、表面抵抗率は、
1.2×108 Ω/□であり、優れた帯電防止性を有す
るものであった。上記部材表面の反射率および紫外線照
射におけるエネルギー量は表1に示す通りであった。
【0033】実施例5 80μm厚のトリアセテートフィルムに、SnO2 微粒
子をn−ブタノールに10重量%濃度で分散させた分散
液100重量部に、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン98重量%とヨードニ
ウム塩系カチオン重合触媒2重量%からなるバインダー
成分10重量部を攪拌混合して調製した導電性バインダ
ー組成物を、乾燥膜厚1μmとなるようにワイヤーバー
コータ(No.3)でコーティングし、50℃で約3分間乾
燥してn−ブタノールを揮散させた後、高圧水銀ランプ
によって300mj/cm2 のエネルギーの紫外線を照
射して導電性の薄膜を得た。ついでこの上に実施例1で
調製したバインダー組成物をディッピング法でコーティ
ングし、50℃で約3分間乾燥して溶媒を揮散させた
後、50mj/cm2の紫外線を照射して0.1μm厚
の薄膜を形成した。この結果、表面に凹凸が形成された
硬化薄膜を有する低反射部材が作製できた。この部材
は、表面抵抗率は、3.8×107 Ω/□であり、優れ
た帯電防止性を有するものであった。上記部材表面の反
射率は表1に示す通りであった。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1から明らかなように、実施例でえ
られる低反射部材は、いずれも反射率が0.5%以下で
あって、反射防止性が向上したものである。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の低反射部
材または低反射・帯電防止部材は、特定のバインダー成
分よりなるコーティング膜を紫外線照射で硬化させるの
で、高温処理が不要になり短時間で重合反応が完了し、
また、作製される部材のコーティング膜は、シリカ微粒
子の存在によって凹凸状を呈するものとなり、光の屈折
率を変化させて優れた反射防止効果を奏するようにな
る。したがって、耐熱性に劣るプラスチック等の基体材
料に低反射コーティング膜を形成できるようになる。ま
た、バインダー成分が紫外線照射によって短時間で硬化
するので、目的とする部材を効率的に作製できるように
なる。さらに、上記低反射部材の単粒子層中にシリカ微
粒子に加えて導電性微粒子が配されているか、または該
単粒子層と支持基材との間に、導電性微粒子とカチオン
重合性の単量体を主成分とするバインダー成分とを含有
する帯電防止層が設けられる構成としたので、低反射部
材の導電性が向上するようになる。したがって、本発明
によって、耐熱性に劣る基体にも適用できて、基体表面
のシリカ粒子が脱落することなく結着力が良好な機能薄
膜を形成してなる低反射部材に、さらに導電性機能を付
加してなる低反射部材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による低反射部材の断面部に
おけるシリカ微粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真で
ある。
【図2】図1に示す電子顕微鏡写真の模式図である。
【図3】本発明の一実施例による低反射部材の上面部に
おけるシリカ微粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真で
ある。
【図4】図3に示す電子顕微鏡写真の模式図である。
【符号の説明】
1 基体 2 シリカ粒子 H 低反射部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南崎 喜博 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 朝尾 浩幸 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 遠藤 喜重 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 小野 雅彦 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 特開 平1−105738(JP,A) 特開 昭64−44742(JP,A) 特開 昭60−29702(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C09D 4/00 C09D 163/00 G02B 1/11

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基材の少なくとも片面にシリカ微粒
    子が単粒子層として配列され、該シリカ微粒子がカチオ
    ン重合性の単量体を主成分とするバインダー成分にて固
    定されてなることを特徴とする低反射部材。
  2. 【請求項2】 シリカ微粒子の平均粒径が10nm〜1
    μmである請求項1記載の低反射部材。
  3. 【請求項3】 カチオン重合性の単量体が、エポキシ基
    および/またはビニルエーテル基を有する単量体である
    請求項1記載の低反射部材。
  4. 【請求項4】 紫外線照射によってカチオン重合性の単
    量体を硬化させてなる請求項1記載の低反射部材。
  5. 【請求項5】 支持基材の少なくとも片面にシリカ微粒
    子が単粒子層として配列され、該シリカ微粒子がカチオ
    ン重合性の単量体を主成分とするバインダー成分にて固
    定されてなる低反射部材であって、該単粒子層中にシリ
    カ微粒子に加えて導電性微粒子が配されているか、また
    は該単粒子層と支持基材との間に、導電性微粒子とカチ
    オン重合性の単量体を主成分とするバインダー成分とを
    含有する帯電防止層が設けられていることを特徴とする
    低反射部材。
  6. 【請求項6】 導電性微粒子の平均粒径が5nm〜1μ
    mである請求項5記載の低反射部材。
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