JP3119120B2 - コンデンサ放電式内燃機関用点火装置 - Google Patents

コンデンサ放電式内燃機関用点火装置

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JP3119120B2
JP3119120B2 JP07147502A JP14750295A JP3119120B2 JP 3119120 B2 JP3119120 B2 JP 3119120B2 JP 07147502 A JP07147502 A JP 07147502A JP 14750295 A JP14750295 A JP 14750295A JP 3119120 B2 JP3119120 B2 JP 3119120B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロコンピュータ
を用いて内燃機関の点火位置を制御するデジタル制御式
のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般にコンデンサ放電式の内燃機関用点
火装置は、点火コイルの1次側に設けられた点火エネル
ギー蓄積用コンデンサと、該コンデンサを充電する充電
回路と、点火信号が与えられたときに導通してコンデン
サの電荷を点火コイルの1次コイルに放電させる放電用
スイッチとを備えており、点火エネルギー蓄積用コンデ
ンサの電荷を放電用スイッチを通して点火コイルの1次
コイルに放電させることにより、点火コイルの2次コイ
ルに高電圧を誘起させて、点火動作を行わせる。この種
の点火装置において、内燃機関に取り付けられた磁石発
電機内のエキサイタコイルを点火電源としてコンデンサ
を充電する場合には、該エキサイタコイルが正の半サイ
クルの出力電圧を発生する回転角度区間及び負の半サイ
クルの出力電圧を発生する回転角度区間をそれぞれコン
デンサの充電区間及び非充電区間として、充電区間にお
けるエキサイタコイルの出力電圧によりコンデンサを充
電するようにしている。
【0003】近年内燃機関に対しては、排気ガスの浄
化、燃費の向上、騒音の低減、及び出力の向上等の種々
の要求がされるようになり、これらの要求に応えるため
に、マイクロコンピュータを用いて内燃機関の点火位置
を精密に制御するデジタル制御式の点火装置が必要とさ
れるようになった。
【0004】なお本明細書において、点火位置、信号の
発生位置等という場合の「位置」は機関の出力軸(通常
はクランク軸)の回転角度位置を意味し、実際には回転
角度で表現される。
【0005】マイクロコンピュータを用いて点火位置を
制御する内燃機関用点火装置においては、内燃機関の回
転速度を演算する回転速度演算手段と、内燃機関の回転
速度に対して点火位置を演算する点火位置演算手段とを
マイクロコンピュータにより実現して、該点火位置演算
手段により演算された点火位置で点火回路に点火信号を
与えることにより点火動作を行わせる。このような動作
を行わせるためには、機関の各回転において、クランク
軸の回転角度位置が演算された点火位置に一致したこと
を検出することが必要になる。
【0006】そこで、この種の点火装置においては、内
燃機関のクランク軸の所定の回転角度位置を基準位置と
して定め、各回転速度における点火位置を、その回転速
度で基準位置から点火位置まで機関が回転するのに要す
る時間(この時間を点火位置計測時間と呼ぶことにす
る。)の形で演算する。マイクロコンピュータは、基準
位置が検出される毎に演算された点火位置計測時間を例
えばカウンタ(またはタイマ)にセットし、該カウンタ
がセットされた時間の計測(点火位置計測時間を与える
クロックパルス数の計数)を終了したときに点火信号を
発生する。
【0007】従ってマイクロコンピュータを用いて点火
位置を制御するデジタル式の内燃機関用点火装置におい
ては、機関のクランク軸の回転角度位置が所定の基準位
置に一致したことを検出することが必要になる。そのた
め従来のこの種の点火装置では、機関のクランク軸と同
期して回転するロータと信号発電子とを備えた信号発電
機(パルサ)を設けて、該信号発電機により基準位置を
検出するパルスを発生させるようにしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
点火装置では、クランク軸と同期して回転するロータ
と、信号発電子とを備えた信号発電機を機関に取り付け
る必要があったため、コストが高くなるのを避けられな
かった。
【0009】そこで、信号発電機を用いずに、エキサイ
タコイルの出力電圧の波形を利用して基準位置を検出す
ることが考えられる。磁石発電機の出力電圧の波形を利
用して基準信号を得るために、エキサイタコイルの正の
半サイクルの出力の立下りと負の半サイクルの出力の立
上りとの境界位置を検出することが考えられるが、この
ように構成した場合には、以下に示すように基準位置を
一定とすることができない。
【0010】図6(A)はエキサイタコイルに鎖交する
磁束φの波形を回転角度θに対して示したもので、この
磁束変化によりエキサイタコイルに誘起する無負荷電圧
の波形は、同図(B)に実線で示すようになる。エキサ
イタコイルの正の半サイクルで点火エネルギー蓄積用コ
ンデンサを充電すると、その充電電流により電機子反作
用が生じるため、エキサイタコイルの出力電圧の波形は
図6(B)に破線で示したようになる。即ち、エキサイ
タコイルの正の半サイクルで点火エネルギー蓄積用コン
デンサを充電すると、その正の半サイクルの出力がピー
クに達する位置が遅れるだけでなく、正の半サイクルの
立下りと負の半サイクルの立上りとの境界位置も遅れる
ことになる。回転速度の上昇に伴ってエキサイタコイル
の出力電圧が高くなっていき、点火エネルギー蓄積用コ
ンデンサの充電電流が増大していくと、電機子反作用が
増大していくため、エキサイタコイルの正の半サイクル
の出力電圧のピーク位置の遅れ、及び正の半サイクルの
立下りと負の半サイクルの立上りとの境界位置の遅れ
は、回転速度の上昇に伴って大きくなっていく。従っ
て、エキサイタコイルの正の半サイクルの出力のピーク
位置や、正の半サイクルの立下りと負の半サイクルの立
上りとの境界位置を基準位置として用いることはできな
い。
【0011】またエキサイタコイルの正の半サイクルの
出力電圧が所定のスレショールドレベルに達する位置を
基準位置とすることも考えられるが、エキサイタコイル
の正の半サイクルの出力電圧の立上がりは電機子反作用
の増大に伴って遅れていくため、このように構成した場
合にも、基準位置を一定とすることができない。
【0012】図7の曲線イは、エキサイタコイルの正の
半サイクルの立下りと負の半サイクルの立上りとの境界
位置を基準位置とした場合の、基準位置の回転速度Nに
対する変化を示している。
【0013】これに対し、エキサイタコイルの負の半サ
イクルでは、点火エネルギー蓄積用コンデンサの充電が
行われないため、該負の半サイクルにおけるエキサイタ
コイルの負荷をできるだけ小さくしておくと、エキサイ
タコイルの負の半サイクルの出力電圧の波形は、該出力
電圧のレベルがピーク値に向って上昇していく過程で無
負荷時の波形に一致する。
【0014】そこで本出願人は先に、エキサイタコイル
の出力電圧及び出力周波数に応じて適当な割合でレベル
が変化する参照電圧を得て、エキサイタコイルの負の半
サイクルの出力がピーク値またはピークに近い値に達す
る位置を検出して基準信号を得るようにしたコンデンサ
放電式の内燃機関用点火装置を提案した。このようにし
て基準信号を得るようにすると、エキサイタコイルの負
の半サイクルの負荷を小さくすることにより、点火位置
の計測を開始する基準位置を図7に破線で示した直線ロ
のように回転速度Nの如何にかかわりなくほぼ一定とす
ることができるため、演算された点火位置の計測を正確
に行なわせることができる。
【0015】ところが、エキサイタコイルの負の半サイ
クルの負荷を小さくすると、機関の回転速度の上昇に伴
うエキサイタコイルの正の半サイクルの出力電圧の上昇
割合が大きくなるため、上記のようにして基準信号を得
るようにすると、高速回転領域で点火エネルギ蓄積用コ
ンデンサの充電電圧が高くなり過ぎて、該コンデンサや
放電用スイッチとして耐圧が高い高価なものを用いるこ
とが必要になったり、点火コイルの発熱が多くなったり
するという問題が生じることが明らかになった。これら
の問題を回避するためにエキサイタコイルの負の半サイ
クルの負荷を大きくすると、電機子反作用の影響が大き
くなって基準信号を一定の回転角度位置で発生させるこ
とができなくなる。
【0016】本発明の目的は、高速回転時に点火エネル
ギ蓄積用コンデンサの充電電圧を過度に上昇させること
なく、エキサイタコイルの負の半サイクルの出力を利用
して基準信号を発生させることができるようにしたデジ
タル制御式のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を提
供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、点火コイル
と、該点火コイルの1次側に設けられた点火エネルギー
蓄積用コンデンサと、該コンデンサを一方の極性に充電
するコンデンサ充電回路と、点火信号が与えられたとき
に導通してコンデンサの電荷を点火コイルの1次コイル
に放電させる放電用スイッチと、内燃機関の点火位置の
計測を開始する基準位置で基準信号を発生する基準信号
発生回路と、内燃機関の各回転速度における点火位置を
演算する点火位置演算手段と、基準信号が発生したとき
に点火位置演算手段により演算された点火位置の計測を
開始して該点火位置の計測が完了したときに演算点火位
置信号を発生する演算点火位置信号発生手段とを備え
て、演算点火位置信号が発生したときに放電用スイッチ
に点火信号を与えるようにしたコンデンサ放電式内燃機
関用点火装置に係わるものである。
【0018】本発明においては、固定子側に少なくとも
コンデンサ充電用のエキサイタコイルを有して内燃機関
の回転に同期して前記エキサイタコイルから交流電圧を
出力する磁石発電機と、バッテリと、バッテリから一次
電流が与えられる昇圧トランスと該昇圧トランスの一次
電流をオンオフするスイッチ回路とを備えてバッテリの
電圧よりも高い電圧を昇圧トランスの二次側から整流器
を通して出力する直流コンバータ回路とを設けて、エキ
サイタコイルの正の半サイクルの出力電圧と直流コンバ
ータ回路の出力電圧との双方により点火エネルギ蓄積用
コンデンサを充電するようにコンデンサ充電回路を構成
する。
【0019】上記基準信号発生回路は、例えば、エキサ
イタコイルの負の半サイクルの出力電圧及び出力周波数
の変化に伴ってレベルが変化する参照電圧を発生する参
照電圧発生回路と、エキサイタコイルの負の半サイクル
の出力電圧のレベルがピークに向けて上昇していく過程
で該負の半サイクルの出力電圧のレベルが参照電圧のレ
ベルに一致したときに基準信号を発生させ、エキサイタ
コイルの負の半サイクルの出力電圧のレベルがピークを
過ぎて下降していく過程で参照電圧のレベルに一致した
ときに前記基準信号を消滅させる基準信号出力回路とに
より構成する。この場合、エキサイタコイルの負の半サ
イクルの出力電圧のピーク値及び周波数の如何に係わり
なく基準信号の発生位置を一定とするように、参照電圧
のレベルの変化割合を調整しておく。
【0020】上記参照電圧発生回路は、エキサイタコイ
ルの負の半サイクルの出力電圧により充電されるコンデ
ンサと該コンデンサに対して並列に接続された放電用抵
抗とを備えて該コンデンサの両端に前記参照電圧を発生
する回路により構成することができる。
【0021】上記の点火装置において、エキサイタコイ
ルの正の半サイクルの期間においては、点火エネルギー
蓄積用コンデンサに流れる充電電流により磁石発電機に
大きな電機子反作用が生じ、該エキサイタコイルの正の
半サイクルの出力電圧のピーク位置が移動する。これに
伴ってエキサイタコイルの正の半サイクルの出力電圧の
立下りと負の半サイクルの出力電圧の立上りとの境界位
置も移動する。
【0022】これに対し、点火エネルギー蓄積用コンデ
ンサの充電を行わない負の半サイクルの期間において
は、点火エネルギー蓄積用コンデンサの充電電流による
電機子反作用が生じないため、該負の半サイクルの出力
電圧の波形は、正の半サイクルの期間における電機子反
作用の影響が消滅するそのピーク付近で無負荷時の波形
と一致する。従って、エキサイタコイルの負の半サイク
ルの出力電圧のピーク附近の波形は、機関の回転角度位
置と一定の関係を持つ。
【0023】そこで、上記のように、エキサイタコイル
の負の半サイクルの出力電圧及び出力周波数の変化に伴
ってレベルが変化する参照電圧を発生する参照電圧発生
回路と、エキサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧
のレベルがピークに向けて上昇していく過程で該負の半
サイクルの出力電圧のレベルが参照電圧のレベルに一致
したときに基準信号を発生させ、エキサイタコイルの負
の半サイクルの出力電圧のレベルがピークを過ぎて下降
していく過程で参照電圧のレベル未満になったときに前
記基準信号を消滅させる基準信号出力回路とを設けて、
参照電圧のレベルの変化割合を適値に調整しておくと、
エキサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧のピーク
値及び周波数の如何に係わりなく、ほぼ一定の位置で発
生する基準信号を得ることができ、信号発電機を省略す
ることができる。
【0024】なお本発明において、基準信号の発生位置
が、点火位置の計測を開始する基準位置として適当な位
置(最大進角位置または最大進角位置より進んだ位置)
になるように、磁石発電機の回転子と固定子との間の位
置関係を設定しておく必要があるのはもちろんである。
【0025】本発明においてはまた、機関の低速時の点
火位置を低速時に都合がよい位置に固定するため、基準
信号が消滅する位置で固定点火位置信号を発生する固定
点火位置信号発生手段と、内燃機関の回転速度が設定値
以下であるか否かを判定して該回転速度が設定値以下の
ときには、演算点火位置信号により放電用スイッチに点
火信号が与えられるのを禁止して固定点火位置信号によ
り該点火信号が与えられるのを許可し、該回転速度が設
定値を超えているときには、固定点火位置信号により放
電用スイッチに点火信号が与えられるのを禁止して演算
点火位置信号により該点火信号が与えられるのを許可す
る点火信号切替え制御手段とを設けるのが好ましい。
発明が対象とするコンデンサ放電式の点火装置におい
て、放電用スイッチとしては、通常サイリスタが用いら
れるが、トランジスタやFET等の他のスイッチが用い
られる場合もある。
【0026】
【作用】バッテリから昇圧トランスの一次コイルに流す
電流をオンオフすることにより昇圧された電圧を得る直
流コンバータ回路は、バッテリ式のコンデンサ放電式点
火装置の充電用電源として従来から用いられている。こ
の直流コンバータ回路の出力電圧のみにより点火エネル
ギ蓄積用コンデンサを充電するようにした場合には、機
関の回転速度の上昇によりコンデンサを充電することが
できる時間が短くなるに従って、コンデンサの充電電圧
が低くなっていく傾向になるため、高速時にコンデンサ
の充電電圧が不足する傾向になる。
【0027】一方機関の低速領域から高速領域までエキ
サイタコイルの出力電圧のみによりコンデンサを充電す
る構成をとった場合には、機関の回転速度の上昇に伴っ
てコンデンサの充電電圧が上昇する傾向になる。特に本
発明のようにエキサイタコイルの負の半サイクルの波形
を利用して基準信号を得るために、エキサイタコイルの
負の半サイクルの負荷をできるだけ小さくした場合に
は、機関の高速時に点火エネルギ蓄積用コンデンサの充
電電圧が過度に上昇してしまう。
【0028】そこで、本発明では、直流コンバータ回路
の出力電圧とエキサイタコイルの出力電圧との双方によ
り点火エネルギ蓄積用コンデンサを充電する。このよう
に構成すると、エキサイタコイルは機関の低速領域で点
火動作を行なわせるために必要な高い電圧を誘起する必
要がないため、エキサイタコイルの巻数を少くしたり、
該エキサイタコイルを巻回する鉄心の断面積を小さくし
たりすることにより、機関の低速時には低い電圧を誘起
し、機関の高速領域に入ってから点火動作に必要な高い
電圧を誘起するようにエキサイタコイルの出力特性を設
定することができる。エキサイタコイルの出力特性をこ
のように設定しておくと、機関の低速時には主として直
流コンバータ回路の出力電圧により点火エネルギ蓄積用
コンデンサを充電し、機関の高速時には主としてエキサ
イタコイルの出力電圧により点火エネルギ蓄積用コンデ
ンサを充電して、機関の低速領域から高速領域まで点火
エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧を適正な範囲に維
持することができるため、エキサイタコイルの負の半サ
イクルの負荷を小さくした場合に、機関の高速時に点火
エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧が過大になるのを
防ぐことができる。従って、高速領域で点火エネルギ蓄
積用コンデンサの充電電圧を過大にすることなく、エキ
サイタコイルの負の半サイクルの出力を利用して基準信
号を発生させることができる。
【0029】
【実施例】図1は本発明の実施例を示したもので、同図
において1は内燃機関のクランク軸に取り付けられた磁
石発電機、2はコンデンサ放電式の点火回路、3はマイ
クロコンピュータ、4はバッテリ、5は磁石発電機1の
出力を入力としてバッテリを充電するための電圧を出力
するレギュレータ、6はバッテリ4の電圧を昇圧する直
流コンバータ回路、7は基準信号発生回路、8は点火信
号出力回路である。磁石発電機1は、カップ状に形成さ
れたフライホイール101の周壁部の内周に4個の円弧
状の永久磁石102a〜102dを固定して4極の回転
子磁極を構成したフライホイール磁石回転子1Aと、鉄
心103にエキサイタコイル104を巻回して構成した
電機子1Bと、鉄心105にバッテリ充電用発電コイル
106を巻回して構成した電機子1Cとを備え、電機子
1B及び1Cは内燃機関のケース等に設けられた固定子
台板に固定されている。エキサイタコイル104の一端
104aと接地間及び他端104bと接地間にはそれぞ
れアノードを接地側に向けたダイオードD1 及びD2 が
接続されている。
【0030】内燃機関のクランク軸が回転し、それに伴
ってフライホイール101が回転すると、クランク軸の
回転に同期してエキサイタコイル104及びバッテリ充
電用発電コイル106に交流電圧が誘起する。エキサイ
タコイルの正の半サイクルの出力は点火回路2に与えら
れて該点火回路に点火エネルギーを供給するために用い
られ、負の半サイクルの出力は基準信号発生回路7に与
えられて、点火位置の計測を開始する基準位置を与える
基準信号を発生させるために用いられる。またバッテリ
充電コイル106の出力はレギュレータ5を通してバッ
テリ4に印加されて、該バッテリを充電するために用い
られる。
【0031】図8(A)はエキサイタコイル104の一
端104aと接地間の電圧(エキサイタコイルの正の半
サイクルの電圧に相応している。)を示しており、図8
(B)は、エキサイタコイル104の他端104bと接
地間の電圧(エキサイタコイル104の負の半サイクル
の出力電圧に相応している。)を示している。
【0032】本実施例では、エキサイタコイル104の
巻数が、エキサイタコイル単独で点火エネルギ蓄積用コ
ンデンサを充電する場合に必要とされる巻数よりも少な
く設定されるとともに、該エキサイタコイルを巻回する
鉄心103の断面積が、エキサイタコイル単独で点火エ
ネルギ蓄積用コンデンサを充電する場合に必要とされる
断面積よりも小さく設定されている。これにより、機関
の低速時にはエキサイタコイルから出力される電圧のピ
ーク値が点火動作を行わせるために必要な大きさよりも
充分に小さな値を示し、機関の回転速度が高速領域に入
ったときに該エキサイタコイルの出力電圧のピーク値が
点火動作を行わせるために必要な適正値を示すように、
エキサイタコイルの出力特性が設定されている。
【0033】従って、本実施例では、エキサイタコイル
104が設けられた電機子1Bが、エキサイタコイル1
04単独で点火エネルギ蓄積用コンデンサを充電する従
来の点火装置において必要とされたものよりも大幅に小
形化されている。
【0034】レギュレータ5は、バッテリ4の両端の電
圧を設定範囲に保つように制御するもので、このレギュ
レータは例えば、バッテリ4の両端の電圧を検出する電
圧検出回路と、該電圧検出回路の出力電圧が設定値を超
えたときに発電コイル106を短絡するスイッチ回路と
により構成される。バッテリ4の出力はキースイッチS
Wを介して直流コンバータ回路6に入力されている。
【0035】コンデンサ放電式の点火回路2は、点火コ
イルIGと、ダイオードD3 及びD4 と、点火エネルギ
ー蓄積用コンデンサC1 と、放電用サイリスタTh1とを
備えた周知のもので、点火コイルIGの出力電圧は図示
しない機関の気筒に取り付けられた点火プラグPに印加
されている。この点火回路においては、エキサイタコイ
ル104→ダイオードD3 →コンデンサC1 →ダイオー
ドD4 及び点火コイルIGの1次コイル→エキサイタコ
イル104の回路と、直流コンバータ回路6→コンデン
サC1 →ダイオードD4 及び点火コイルIGの1次コイ
ル→直流コンバータ回路6の回路とによりコンデンサ充
電回路が構成されている。この充電回路は、エキサイタ
コイル104の正の半サイクルの出力電圧と、直流コン
バータ回路6の出力電圧とによりコンデンサC1 を図示
の極性に充電する。
【0036】点火位置でサイリスタTh1のゲートに点火
信号Vi が与えられると、該サイリスタが導通し、コン
デンサC1 の電荷がサイリスタTh1を通して点火コイル
の1次コイルw1 に放電する。これにより点火コイルの
2次コイルw2 に高電圧が誘起する。この高電圧により
点火プラグPに火花が生じさせられて機関が点火され
る。
【0037】なお本明細書において、磁石発電機の出力
の正負の極性は相対的なものであって、発電機が発生す
る異なる極性の半サイクルの出力電圧の内、一方の極性
の半サイクルを正の半サイクルとすれば、他の極性の半
サイクルが負の半サイクルとなる。本明細書では、エキ
サイタコイル104が発生する出力の両半サイクルの
内、点火エネルギー蓄積用コンデンサC1 の充電を行う
半サイクルを正の半サイクルとし、該コンデンサC1 の
充電を行わない半サイクルを負の半サイクルとする。
【0038】マイクロコンピュータ3は、CPU3a、
割り込み制御回路3b、ランダムアクセスメモリ(RA
M)3c、リードオンリーメモリ(ROM)3d、カウ
ンタ3e、コンパレータ3f、レジスタ3g、ラッチ回
路3h、エッジ検出回路3i、フリップフロップ回路3
j及びA/D変換回路3kとを備えていて、基準信号発
生回路7が基準信号を発生したとき、及び該基準信号が
消滅したときにそれぞれ割り込み制御回路4bに外部割
り込み信号INT1 及びINT2 が与えられるようにな
っている。また点火エネルギ蓄積用コンデンサC1 の一
端と接地間に接続された抵抗R1 及びR2 の直列回路か
らなる分圧回路の出力がエキサイタコイルの出力電圧の
検出値としてA/D変換回路3kを通してマイクロコン
ピュータ2に入力されている。
【0039】直流コンバータ回路6は、バッテリ4から
一次電流が与えられる昇圧トランス6Aと、昇圧トラン
スの一次コイルに対して直列に接続されて該昇圧トラン
スの一次電流をオンオフするスイッチ回路6Bと、スイ
ッチ回路6Bを制御する制御回路6Cとにより構成され
ている。
【0040】図示のスイッチ回路6Bは、ソースが接地
されたFET(電界効果トランジスタ)F1 と、該FE
Tのドレインソース間に接続されたダイオードD5 とに
より構成されている。FET F1 のゲートは抵抗R3
を通してNPNトランジスタTR1 のエミッタに接続さ
れ、該トランジスタTR1 のコレクタは昇圧トランスの
一次コイルの一端に接続されている。昇圧トランスの一
次コイルの一端とトランジスタTR1 のコレクタとの接
続点が電源端子となっていて、この電源端子はキースイ
ッチSWを通してバッテリ4の正極端子に接続されてい
る。トランジスタTR1 のベースは抵抗R4 を通して該
トランジスタTR1 のコレクタに接続されるとともに、
PNPトランジスタTR2 のベースに接続されている。
トランジスタTR2 のエミッタはトランジスタTR1 の
エミッタに共通接続され、該トランジスタTR2 のコレ
クタは接地されている。トランジスタTR1 及びTR2
のベースの共通接続点にはエミッタが接地されたNPN
トランジスタTR3 のコレクタが接続され、トランジス
タTR3 のベースと図示しない直流電源回路の出力端子
Eとの間、及びトランジスタTR3 のベースと接地間に
それぞれ抵抗R5 及びR6 が接続されている。図示しな
い直流電源回路は、バッテリ4の電圧をキースイッチS
Wを通して入力として、制御回路を駆動するために適し
た一定の直流電圧を出力する。
【0041】トランジスタTR3 のベースにはエミッタ
が接地されたNPNトランジスタTR4 のコレクタが接
続され、該トランジスタTR4 のベースと接地間にアノ
ードを接地側に向けたダイオードD6 が接続されてい
る。トランジスタTR4 のベースはコンデンサC2 を介
してNPNトランジスタTR5 のコレクタに接続される
とともに、抵抗R7 を通して図示しない直流電源回路の
出力端子Eに接続されている。トランジスタTR5 のエ
ミッタは接地され、該トランジスタのベースと接地間に
は抵抗R8 が接続されている。また昇圧トランス6Aの
二次コイルの一端と接地間にアノードを接地側に向けた
ダイオードD7 が接続され、該ダイオードD7 と昇圧ト
ランスの二次コイルとの接続点にNPNトランジスタT
R6 のベースが接続されている。トランジスタTR6 の
コレクタと直流電源回路の出力端子Eとの間及びベース
と直流電源回路の出力端子Eとの間にそれぞれ抵抗R9
及びR10が接続され、該トランジスタのベースと接地間
には抵抗R11が接続されている。トランジスタTR6 は
バッテリ4から抵抗R10を通してベース電流が与えられ
てオン状態になり、昇圧トランス6Aの二次コイルに電
流が流れてダイオードD7 の両端に順方向電圧降下が生
じた時に、ベースエミッタ間が逆バイアスされてオフ状
態にされるようになっている。トランジスタTR6 のコ
レクタはトランジスタTR5 のコレクタに接続され、ト
ランジスタTR6 がオン状態にあるときにトランジスタ
TR5 がオフ状態に保持されるようになっている。トラ
ンジスタTR5 のベースにはエミッタが接地されたNP
NトランジスタTR7 のコレクタが接続され、該トラン
ジスタのベースは抵抗R12を通してマイクロコンピュー
タ3の出力ポートBに接続されるとともに、抵抗R13を
通して接地されている。
【0042】この例では、トランジスタTR1 ないしT
R6 と、抵抗R4 ないしR11と、ダイオードD6 ,D7
と、コンデンサC2 とにより、FET F1 からなるス
イッチ回路を制御する制御回路6Cが構成されている。
またトランジスタTR7 と抵抗R12及びR13とにより、
コンデンサC2 を放電させて制御回路をリセットするリ
セット回路が構成されている。昇圧トランス6Aの二次
コイルの他端は、ダイオードD8 を通して点火回路2の
点火エネルギ蓄積用コンデンサC1 の一端に接続され、
昇圧トランス6Aの二次コイルに誘起する電圧がダイオ
ード(整流器)D8 を通してコンデンサC1 に印加され
ている。
【0043】図示の直流コンバータ回路6においては、
昇圧トランス6Aから点火回路のコンデンサC1 に充電
電流が流れていないときにトランジスタTR6 がオン状
態にあり、トランジスタTR5 がオフ状態にある。マイ
クロコンピュータ3の動作開始時に該マイクロコンピュ
ータが各部の初期化を行なっている期間トランジスタT
R7 がオン状態にされ、コンデンサC2 の電荷がトラン
ジスタTR7 とダイオードD6 とを通して放電させられ
る。マイクロコンピュータの各部の初期化が終了する
と、トランジスタTR7 がオフ状態にされる。トランジ
スタTR7 がオフ状態にされると、図示しない直流電源
回路から抵抗R7 とコンデンサC2 とトランジスタTR
4 のベースエミッタ間とを通して電流が流れ、コンデン
サC2 が充電される。このコンデンサC2 の充電電流が
流れている間トランジスタTR4 がオン状態になる。ト
ランジスタTR4 がオン状態になっている間トランジス
タTR3 がオフ状態になり、トランジスタTR2 がオフ
状態になるため、トランジスタTR1 を通してFET
F1 のゲートに電圧が与えられる。これによりFETF
1 がオン状態になり、昇圧トランス6Aに一次電流が流
れる。コンデンサC2 の充電が完了すると、トランジス
タTR4 がオフ状態になり、トランジスタTR3 がオン
状態になるため、トランジスタTR2 がオン状態になっ
て、FETF1 のゲートの電位をほぼ接地電位に等しく
する。これによりFET F1 がオフ状態にされるた
め、昇圧トランス6Aの一次コイルにそれまで流れてい
た一次電流を流し続けようとする向きの一次電圧が誘起
する。このとき昇圧トランス6Aの二次コイルには、図
示の矢印方向の極性の昇圧された電圧が誘起する。この
電圧はダイオードD8 を通して点火エネルギ蓄積用コン
デンサC1 に印加されるため、昇圧トランス6Aの二次
コイル→ダイオードD8 →コンデンサC1 →ダイオード
D4 及び点火コイルIGの一次コイル→ダイオードD7
→昇圧トランス6Aの二次コイルの経路で充電電流が流
れ、ダイオードD7 の両端に順方向電圧降下が生じる。
この電圧降下によりトランジスタTR6 のベースエミッ
タ間が逆バイアスされるため、該トランジスタTR6 が
オフ状態になり、トランジスタTR5 がオン状態にされ
る。トランジスタTR5 がオン状態になると、コンデン
サC2 の電荷がトランジスタTR5 とダイオードD6 と
を通して放電する。昇圧トランス6Aの二次コイルから
ダイオードD8 を通して流れていたコンデンサC1 の充
電電流が消滅すると、トランジスタTR6 がオン状態に
なるため、トランジスタTR5 がオフ状態になり、抵抗
R7 を通してコンデンサC2 が充電される。これにより
トランジスタTR4 がオン状態にされ、FET F1 の
ゲートに電圧が与えられる。
【0044】以下同様の動作が繰り返されて、トランジ
スタTR4 がオン状態になる毎にFET F1 のゲート
に図8(F)に示すようなパルス波形の電圧が与えられ
て、該FETがオンオフさせられ、FETがオフ状態に
なる毎に昇圧トランス6Aの二次コイルに昇圧されたパ
ルス波形の電圧が誘起する。
【0045】図8(G)は、昇圧トランス6Aからダイ
オードD8 を通して点火エネルギ蓄積用コンデンサC1
に充電電流が流れる毎にダイオードD7 の両端に現れる
負極性の電圧の波形を示しており、この負極性の電圧が
現れるごとにトランジスタTR6 がオフ状態にされる。
【0046】点火エネルギ蓄積用コンデンサC1 は、直
流コンバータ回路6から出力される一連のパルス波形の
電圧と、エキサイタコイル104の正の半サイクルの出
力電圧とにより図示の極性に充電される。コンデンサC
1 の充電電圧波形(図1のコンデンサC1 とサイリスタ
Th1のアノードとの接続点と接地間の電圧波形)は、図
8(E)のように変化する。
【0047】基準信号発生回路7は、コンデンサC3
と、トランジスタTR8 と、抵抗R14ないしR16とから
なっている。コンデンサC3 の一端はエキサイタコイル
104の他端104bに接続され、該コンデンサC3 の
他端は抵抗R15を通して接地されている。コンデンサC
3 の両端には抵抗R14が接続され、コンデンサC3 の電
荷が抵抗R14を通して一定の時定数で放電させられる。
トランジスタTR8 のエミッタは接地され、コレクタは
抵抗R16を通して図示しない直流電源回路の出力端子E
に接続されている。トランジスタTR8 のコレクタはマ
イクロコンピュータ3の割り込み制御回路3bの入力端
子に接続されて、トランジスタTR8 のコレクタの電位
の立下りで外部割り込み信号INT1 が与えられ、該コ
レクタの電位の立上りで外部割り込み信号INT2 が与
えられるようになっている。
【0048】この例では、コンデンサC3 と抵抗R14と
の並列回路により、参照電圧発生回路が構成され、トラ
ンジスタTR8 と抵抗R15及びR16とにより基準信号出
力回路が構成されている。
【0049】エキサイタコイル104が負の半サイクル
の出力電圧を発生すると、エキサイタコイル104の他
端104bと接地間に図8(B)に示すような電圧が現
れる。この電圧はエキサイタコイルの負の半サイクルの
出力電圧の検出値Vb として基準信号発生回路7に与え
られ、この電圧Vb によりコンデンサC3 が充電され
る。
【0050】コンデンサC3 の電荷は抵抗R14を通して
一定の時定数で放電する。コンデンサC3 の両端の電圧
のレベルは、磁石発電機の出力周波数が高くなるに従っ
て(機関の回転速度が高くなるに従って)、また磁石発
電機の出力電圧が高くなるに従って上昇していく。本実
施例では、コンデンサC3 の両端の電圧を参照電圧Vr
として用いる。この参照電圧Vr の変化割合は、抵抗R
14の抵抗値とコンデンサC3 の静電容量とにより適宜に
調整できる。
【0051】エキサイタコイル104の負の半サイクル
の出力電圧の検出値Vb がコンデンサC3 の両端に得ら
れる参照電圧Vr 以下になっている状態では、トランジ
スタTr8にベース電流が流れることができず、トランジ
スタTr8がオフ状態にあるため、該トランジスタTr8の
コレクタの電位は高レベルに保たれている。エキサイタ
コイルの負の半サイクルの出力電圧の検出値Vb がピー
ク値に向って上昇していく過程で角度θs1の位置でコン
デンサC3 の両端の電圧(参照電圧)Vr に一致する
と、トランジスタTr8にベース電流が流れて該トランジ
スタがオン状態になるため、トランジスタTr8のコレク
タの電位が高レベルから低レベル(ほぼ接地電位のレベ
ル)へと変化する。また、エキサイタコイルの負の半サ
イクルの出力電圧の検出値Vb のレベルがピーク値を超
えて下降していく過程で、角度θs2の位置で参照電圧V
r に一致すると、トランジスタTr8がオフ状態になる。
従ってトランジスタTr8のコレクタの電位は、回転角度
θに対して図8(C)に示したように変化する。
【0052】なお厳密にいえば、エキサイタコイルの負
の半サイクルの出力電圧の検出値Vb が上昇していく過
程で実際にトランジスタTr8がオン状態になるのは、検
出値Vb が参照電圧Vr を超えたときであるが、トラン
ジスタTr8は検出値Vb が参照電圧Vr を僅かでも超え
ればオン状態になるので、トランジスタTr8がオン状態
になる位置は、検出値Vb が参照電圧Vf に一致した位
置と見做すことができる。同様に、エキサイタコイルの
負の半サイクルの出力電圧がピークを過ぎて下降してい
く際にトランジスタTr8がオフ状態になる位置も、負の
半サイクルの出力電圧の検出値Vb が参照電圧Vf に一
致する位置と見做すことができる。
【0053】基準信号発生回路7の参照電圧発生回路を
構成する抵抗R14の抵抗値とコンデンサC3 の静電容量
とを適当に調整して、エキサイタコイル104の負の半
サイクルの出力電圧及び出力周波数の変化に対する参照
電圧(コンデンサC3 の両端の電圧)Vr の変化割合を
適値に調整しておくと、エキサイタコイルの負の半サイ
クルの出力電圧のレベルがピーク値に向って上昇してい
く過程で負の半サイクルの出力電圧の検出値Vb のレベ
ルが参照電圧Vr のレベルに一致する位置θs1をほぼ一
定にすることができ、またエキサイタコイルの負の半サ
イクルの出力電圧のレベルがピークを過ぎて下降してい
く過程で検出値Vb のレベルが参照電圧Vr のレベルに
一致する位置θs2をほぼ一定にすることができる。
【0054】本実施例においては、このように、エキサ
イタコイルの負の半サイクルの出力電圧の検出値Vb が
参照電圧Vr のレベルに一致する位置(θs1及びθs2)
を一定とするように参照電圧Vr の変化割合を調整し
て、一定の位置θs1を基準位置とし、該基準位置におけ
るトランジスタTr8のコレクタの電位の低下を基準信号
として用いて、この基準信号の発生時にマイクロコンピ
ュータ3に外部割り込み信号INT1 を与えるようにな
っている。また角度θs2の位置を機関の低速時の点火位
置(回転数に応じて変化しない固定点火位置)として用
いて、角度θs2の位置におけるトランジスタTr8のコレ
クタの電位の立上りでマイクロコンピュータ3に外部割
り込み信号INT2 を与えるようになっている。
【0055】なお本実施例においては、マイクロコンピ
ュータを駆動するために必要な電源電圧よりも十分に低
い電源電圧で基準信号発生回路7の動作を可能とするよ
うに、トランジスタTr8として十分に感度が高いものを
用いている。
【0056】点火信号出力回路8は、エミッタが接地さ
れたNPNトランジスタTR9 と、該トランジスタTR
9 のコレクタに抵抗R18を通してベースが接続されたP
NPトランジスタTR10とを備え、トランジスタTR9
のベースは抵抗R19を通してマイクロコンピュータの出
力ポートAに接続されるとともに、抵抗R20を通して接
地されている。トランジスタTR10のエミッタは図示し
ない直流電源回路の出力端子Eに接続され、該トランジ
スタTR10のベースエミッタ間には抵抗R21が接続され
ている。トランジスタTR10のコレクタにダイオードD
9 のアノードが接続され、該ダイオードD9 のカソード
が点火回路2のサイリスタTh1のゲートに接続されてい
る。
【0057】本実施例において、割り込み制御回路3b
に割り込み信号INT1 が与えられると、フリップフロ
ップ回路3jがリセットされて、その正論理出力端子Q
の出力が「0」になり、このときフリップフロップ回路
3jの出力が許可されているとマイクロコンピュータの
出力ポートAの電位が「0」の状態になる。また割り込
み信号INT1 が発生すると、エッジ検出回路3iがそ
の立ち下がりを検出してラッチ回路3hを動作させる。
ラッチ回路3hは、割り込み信号INT1 が発生したと
きのカウンタ3eの計数値(クロックパルスの計数値)
をラッチする。割り込み制御回路3bは、ラッチ回路3
hによりカウンタ3eの計数値をラッチするとともに、
カウンタ3eをクリアする。カウンタ3eの計数値をラ
ッチした後すぐに該カウンタをクリアするため、ラッチ
した計数値は機関が1回転するのに要した時間に相当し
ている。本実施例では、この計数値そのものを機関の回
転速度を示す速度データNe として用いる。従って速度
データNe は回転速度が低い場合程大きな値を示す。
【0058】マイクロコンピュータのROM3d内には
所定のプログラムと点火位置の演算に用いるマップとが
記憶されていて、該プログラムにより図2に示すメイン
ルーチンと、図3ないし図5に示す割り込みルーチンと
が実行される。
【0059】図2に示すメインルーチンでは、電源が確
立したときに先ず各部の初期化(イニシャライズ)を行
い、その後各回転速度における点火位置θigを演算し
て、演算した点火位置θigをRAMに記憶させる過程を
繰り返す。この点火位置の演算はROM3dに記憶され
たマップを用いて補間法により行われる。この点火位置
を演算する過程により、点火位置演算手段が実現され
る。
【0060】割り込み制御回路3bに基準位置で割り込
み信号INT1 が与えられると、図3に示す割り込み処
理が行われる。この割り込み処理では、先ずラッチ回路
3hによりラッチされたカウンタの計数値(機関が1回
転する間にカウンタが計数したクロックパルスの数)を
機関の回転速度を与える速度データNe としてRAM3
cに記憶させる。この過程により、回転速度検出手段が
実現される。次いで、フラグを0とした後、速度データ
Ne が設定値N1 以上であるか否かを判定する。ここで
設定値N1 は機関の低速領域における特定の設定回転速
度(例えば1000rpm )を与えるものであり、点火位
置を特定の位置に固定する回転速度領域の上限を与える
ものである。速度データNe を設定値N1 と比較した結
果、Ne≧N1 であるとき(回転速度が設定回転速度以
下のとき)には、フリップフロップ回路3jの出力が出
力ポートAから出力されるのを禁止した後、割り込み信
号INT2 による割り込みを許可してメインルーチンに
復帰する。速度データNeを設定値N1 と比較した結
果、Ne <N1 であるとき(回転速度が設定回転速度を
超えているとき)には、フリップフロップ回路3jの出
力が出力ポートAから出力されるのを許可した後、演算
されている点火位置θigをレジスタ3gに転送し、割り
込み信号INT2 による割り込みを禁止した後、メイン
ルーチンに復帰する。
【0061】回転速度が設定回転速度以下で、割り込み
信号INT2 が発生したときには、図4の割り込みルー
チンが実行される。この割り込みルーチンでは、先ずポ
ートAを1とし、現在のカウンタ3eの計数値に一定値
αを加えた数値をレジスタ3gに転送する。ここでα
は、点火信号の信号幅に相当している。カウンタ3eの
計数値に一定値αを加えた数値をレジスタ3gに転送し
た後、フラグを1としてメインルーチンに復帰する。
【0062】図4の割り込みルーチンにおいてポートA
が1にされると、トランジスタTR9 にベース電流が流
れて該トランジスタTR9 がオン状態にされるため、ト
ランジスタTR10がオン状態になり、図示しない直流電
源回路からトランジスタTR10とダイオードD9 とを通
してサイリスタTh1に点火信号が与えられる。サイリス
タTh1に点火信号が与えられた後、カウンタ3eが前記
αに相当する計数値を計数すると、カウンタの計数値が
レジスタ3gの内容に一致するため、コンパレータ3f
がフリップフロップ回路3jにセット信号を与えて該フ
リップフロップ回路の出力Qを1にするとともに、割り
込み制御回路3bに割り込み信号INT3 を与える。N
e ≧N1 のとき(回転速度が設定回転速度以下のとき)
には、フリップフロップ回路の出力が禁止されているの
で、該フリップフロップ回路がセットされたときの出力
の変化は出力ポートの電位に影響を与えない。
【0063】割り込み信号INT3 が発生すると、図5
に示す割り込みルーチンが実行される。この割り込みル
ーチンでは、先ずフラグが0であるか否かを判定する。
Ne≧N1 であるときには、図3の割り込みルーチンに
おいてフラグが1にされているため、ポートAの出力を
0にしてトランジスタTR9 及びTR10をオフ状態にし
た後(点火信号を消滅させた後)メインルーチンに復帰
する。
【0064】Ne <N1 のとき(機関の回転速度が設定
回転速度を超えているとき)には、基準位置θs1で実行
される図3の割り込みルーチンにおいてレジスタ3gに
演算された点火位置θigに相当する計数値を転送し、割
り込み信号INT2 による割り込みを禁止した後、メイ
ンルーチンに復帰する。機関の回転角度が点火位置に一
致して、カウンタ3eの計数値がレジスタの内容に一致
すると、該カウンタがフリップフロップ回路3jにセッ
ト信号を与えて該フリップフロップ回路3jの出力を1
とする。このときフリップフロップ回路3jの出力が許
可されているため、ポートAの出力が1となり、トラン
ジスタTR9 及びTR10がオン状態にされて、サイリス
タTh1に点火信号が与えられる。またこのときカウンタ
3eが割り込み制御回路3bに割り込み信号INT3 を
与えるため、図5の割り込みルーチンが実行される。図
5の割り込みルーチンでは、フラグが0であるので、カ
ウンタの現在の計数値に点火信号の信号幅に相当する値
αを加えた計数値をレジスタに転送した後フラグを1と
してメインルーチンに戻る。カウンタの計数値がレジス
タの内容に一致したときにコパレータ3fが割り込み信
号INT3 を発生するため、再び図5の割り込みルーチ
ンが実行される。このときフラグが1であるので、ポー
トAの出力信号が0とされ、点火信号が消滅させられ
る。
【0065】本実施例では、図3の割り込みルーチン
と、図5の割り込みルーチンと、カウンタ3eと、コン
パレータ3fと、レジスタ3gと、フリップフロップ回
路3jとにより、基準信号が発生したときに点火位置演
算手段により演算された点火位置の計測を開始して該点
火位置の計測が完了したときに演算点火位置信号を発生
する演算点火位置信号発生手段が実現される。
【0066】また図3の割り込みルーチンにより、内燃
機関の回転速度が設定値以下であるか否かを判定して該
回転速度が設定値以下のときに演算点火位置信号により
放電用スイッチに点火信号が与えられるのを禁止して固
定点火位置信号により該点火信号が与えられるのを許可
し、該回転速度が設定値を超えているときには固定点火
位置信号により放電用スイッチに点火信号が与えられる
のを禁止して演算点火位置信号により該点火信号が与え
られるのを許可する点火信号切替え制御手段が実現され
る。更に図4の割り込みルーチンと図5の割り込みルー
チンのポートAを0にする過程とにより固定点火位置信
号発生手段が実現される。
【0067】エキサイタコイル104の出力電圧波形を
利用して基準信号を得るために、エキサイタコイルの正
の半サイクルの出力の立下りと負の半サイクルの出力の
立上りとの境界位置を検出することも考えられるが、こ
のように構成した場合には、以下に示すように基準位置
を一定とすることができない。
【0068】図6(A)はエキサイタコイル104に鎖
交する磁束φの波形を回転角度θに対して示したもの
で、この磁束変化によりエキサイタコイル104に誘起
する無負荷電圧の波形は、同図(B)に実線で示すよう
になる。エキサイタコイルの104の正の半サイクルで
点火エネルギー蓄積用コンデンサを充電すると、その充
電電流により電機子反作用が生じるため、エキサイタコ
イルの出力電圧の波形は図6(B)に破線で示したよう
になり、そのピークと、正の半サイクルの立下りと負の
半サイクルの立上りとの境界位置とが遅れる。回転速度
の上昇に伴ってエキサイタコイルの出力電圧が高くなっ
ていき、点火エネルギー蓄積用コンデンサの充電電流が
増大していくと、電機子反作用が増大していくため、エ
キサイタコイルの正の半サイクルの出力電圧のピーク及
び正の半サイクルの立下りと負の半サイクルの立上りと
の境界位置の遅れは、回転速度の上昇に伴って大きくな
っていく。従って、エキサイタコイルの正の半サイクル
の出力のピーク位置や正の半サイクルの立下りと負の半
サイクルの立上りとの境界位置を基準位置として用いる
ことはできない。
【0069】またエキサイタコイル104の正の半サイ
クルの出力電圧が所定の参照レベルに達する位置を基準
位置とすることも考えられるが、エキサイタコイルの正
の半サイクルの出力電圧の立上がりは電機子反作用の増
大に伴って遅れていくため、このように構成した場合に
も、基準位置を一定とすることができない。
【0070】図7の曲線イは、エキサイタコイル104
の正の半サイクルの立下りと負の半サイクルの立上りと
の境界位置を基準位置とした場合の、基準位置の回転速
度Nに対する変化を示している。
【0071】これに対し、エキサイタコイルの負の半サ
イクルでは、点火エネルギー蓄積用コンデンサの充電が
行われないため、該負の半サイクルにおけるエキサイタ
コイルの負荷をできるだけ小さくしておくと、エキサイ
タコイル104の負の半サイクルの出力電圧の波形は、
該出力電圧のレベルがピーク値に向って上昇していく過
程で無負荷時の波形に一致する。従って、参照電圧Vr
のレベルの変化割合を適当に設定して、エキサイタコイ
ルの負の半サイクルの出力電圧のレベルが所定のスレシ
ョールドレベル(エキサイタコイルの出力電圧及び出力
周波数に応じて変化する)に一致する位置を基準位置と
すると、該基準位置は図7に破線で示した直線ロのよう
に、回転速度Nの如何にかかわりなくほぼ一定となる。
【0072】また、上記の実施例のように、エキサイタ
コイル104の巻数を少なくするとともに鉄心103の
断面積を小さくして、低回転速度時にエキサイタコイル
の出力を低くし、機関の高速回転時に該エキサイタコイ
ルが点火動作に必要な電圧を誘起するように、エキサイ
タコイル104の出力特性を設定して、直流コンバータ
回路6の出力電圧とエキサイタコイル104の出力電圧
との双方により点火エネルギ蓄積用コンデンサC1 を充
電するようにすると、エキサイタコイル104の負の半
サイクルの出力電圧波形から基準信号を得るのに充分な
程度にエキサイタコイルの負の半サイクルの負荷を小さ
くしても、高速回転時に該エキサイタコイルの正の半サ
イクルの出力電圧が過度に上昇することがない。
【0073】従って、本発明によれば、高速回転時に点
火エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧を過度に上昇さ
せることなく、エキサイタコイルの負の半サイクルの負
荷を小さくして、該負の半サイクルの電圧波形から基準
信号を得ることができ、信号発電機を省略することがで
きる。
【0074】図9は、上記の実施例における点火エネル
ギ蓄積用コンデンサC1 の充電電圧Vc1と機関の回転数
との関係を示したもので、同図において破線で示した曲
線aは、直流コンバータ回路6の出力のみにより点火エ
ネルギ蓄積用コンデンサC1を充電した場合を示し、鎖
線で示した直線bは、エキサイタコイル104の正の半
サイクルの出力電圧のみによりコンデンサC1 を充電す
るようにした場合を示している。エキサイタコイル10
4の正の半サイクルの出力電圧と直流コンバータ回路の
出力電圧との双方によりコンデンサC1 を充電した場合
の充電電圧Vc1と回転数との関係は図9に実線で示した
曲線cのようになる。
【0075】本発明においては、図9の曲線cで示され
た充電電圧が、低速時から高速時まで適正な範囲に入る
ように、エキサイタコイル104の出力特性を設定す
る。エキサイタコイル104の出力特性は、直流コンバ
ータ回路6による充電特性(例えば図9の曲線a)を勘
案して、実験的に定めればよい。
【0076】直流コンバータ回路6によりコンデンサC
1 を充電するようにした場合には、高速時にコンデンサ
C1 の充電電圧が不足する傾向にあったが、本発明によ
れば、機関の高速時にもコンデンサC1 を適正な電圧ま
で充電することができる。またエキサイタコイルのみに
よりコンデンサを充電するようにした場合に、エキサイ
タコイルの負の半サイクルの負荷を小さくすると、その
正の半サイクルの出力電圧が高速時に過大になってコン
デンサC1 の充電電圧が過大になるが、本発明によれ
ば、エキサイタコイルの出力を抑えておくことにより、
高速時にコンデンサC1 の充電電圧が過大になるのを防
ぐことができ、低速時から高速時までコンデンサC1 の
充電電圧を適正な範囲に保つことができる。
【0077】上記の実施例では、エキサイタコイル10
4の負の半サイクルの出力電圧のピーク付近を参照電圧
と比較して、負の半サイクルの出力電圧のレベルがピー
クに向けて上昇していく過程で参照電圧のレベルに一致
したときに基準信号を発生させ、該負の半サイクルの出
力電圧のレベルがピークを過ぎて下降していく過程で参
照電圧のレベルに一致したときに基準信号を消滅させる
ようにしたが、エキサイタコイル104の負の半サイク
ルの出力電圧のピーク位置を検出してピーク検出信号を
出力するピーク検出回路を設けて、該ピーク検出回路か
ら得られるピーク検出信号を基準信号として用いるよう
にしてもよい。ピーク検出回路は、例えば図10に示す
ように、PNPトランジスタTR11及びTR12と、NP
NトランジスタTR13と、コンデンサC4 と、ダイオー
ドD10及びD11と、コンデンサC4 と、抵抗R22ないし
R25と、ダイオードD10及びD11とにより構成できる。
このピーク検出回路においては、トランジスタTR11の
エミッタにエキサイタコイルの負の半サイクルの出力電
圧の検出値Vb が印加される。エキサイタコイルの負の
半サイクルの出力電圧の検出値Vb が印加されると、ト
ランジスタTR11のエミッタ及びベースとコンデンサC
4 とを通して電流が流れてトランジスタTR11がオン状
態になる。このときトランジスタTR12はオフ状態にあ
り、トランジスタTR13もオフ状態にあるため、トラン
ジスタTR13のコレクタの電位は高レベルの状態にあ
る。エキサイタコイル104の負の半サイクルの出力電
圧がピークに達するとコンデンサC4 の充電が完了する
ため、トランジスタTR11のベース電流が零になり、該
トランジスタTR11がオフ状態になる。これによりトラ
ンジスタTR12及びTR13がオン状態になるため、トラ
ンジスタTR13のコレクタの電位が零に立ちさがる。こ
のトランジスタのコレクタの電位の立ち下がりを基準信
号(割り込み信号INT1 )として用いることができ
る。
【0078】なおエキサイタコイル104の負の半サイ
クルのピーク位置を検出して基準信号を発生させる場合
には、機関の低速時の固定点火位置を演算により求める
ようにすればよい。
【0079】本発明で用いることができる直流コンバー
タ回路はバッテリから昇圧トランスの1次コイルに流す
電流をオンオフさせて、該昇圧トランスの2次コイルに
バッテリの電圧よりも高い電圧を誘起させるものであれ
ばよく、上記実施例に示されたものに限定されない。例
えば、所定の周波数のパルス信号を発生する発振器を備
えて、該発振器の出力パルスに同期させてスイッチ回路
6Bをオンオフさせるようにした直流コンバータ回路を
用いることもできる。
【0080】以上本発明の好ましい実施例について説明
したが、本明細書に開示した主な発明の態様を挙げると
下記の通りである。
【0081】(1) 点火コイルと、前記点火コイルの
1次側に設けられた点火エネルギー蓄積用コンデンサ
と、前記コンデンサを一方の極性に充電するコンデンサ
充電回路と、点火信号が与えられたときに導通して前記
コンデンサの電荷を点火コイルの1次コイルに放電させ
る放電用スイッチと、内燃機関の点火位置の計測を開始
する基準位置で基準信号を発生する基準信号発生回路
と、内燃機関の各回転速度における点火位置を演算する
点火位置演算手段と、前記基準信号が発生したときに点
火位置演算手段により演算された点火位置の計測を開始
して該点火位置の計測が完了したときに演算点火位置信
号を発生する演算点火位置信号発生手段とを備え、前記
演算点火位置信号が発生したときに前記放電用スイッチ
に点火信号を与えるコンデンサ放電式内燃機関用点火装
置において、固定子側に少なくともコンデンサ充電用の
エキサイタコイルを有して、内燃機関の回転に同期して
前記エキサイタコイルから交流電圧を出力する磁石発電
機と、バッテリと、前記バッテリから一次電流が与えら
れる昇圧トランスと該昇圧トランスの一次電流をオンオ
フするスイッチ手段とを備えて前記バッテリの電圧より
も高い電圧を昇圧トランスの二次側から整流器を通して
出力する直流コンバータ回路とを具備し、前記コンデン
サ充電回路は、前記エキサイタコイルの正の半サイクル
の出力電圧と前記直流コンバータ回路の出力電圧との双
方により前記点火エネルギ蓄積用コンデンサを充電する
ように構成され、前記基準信号発生回路は、前記エキサ
イタコイルの負の半サイクルの出力電圧及び出力周波数
の変化に伴ってレベルが変化する参照電圧を発生する参
照電圧発生回路と、前記エキサイタコイルの負の半サイ
クルの出力電圧のレベルがピークに向けて上昇していく
過程で該負の半サイクルの出力電圧のレベルが前記参照
電圧のレベルに一致したときに前記基準信号を発生さ
せ、前記エキサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧
のレベルがピークを過ぎて下降していく過程で前記参照
電圧のレベル未満になったときに前記基準信号を消滅さ
せる基準信号出力回路とからなり、前記エキサイタコイ
ルの負の半サイクルの出力電圧のピーク値及び周波数の
如何に係わりなく前記基準信号の発生位置を一定とする
ように、前記参照電圧のレベルの変化割合が調整され、
内燃機関の低速時に前記エキサイタコイルの正の半サイ
クルの出力電圧のピーク値が点火動作に必要な点火エネ
ルギ蓄積用コンデンサの充電電圧よりも低い値を示し、
内燃機関の高速時に該エキサイタコイルの正の半サイク
ルの出力電圧のピーク値が点火動作に必要な点火エネル
ギ蓄積用コンデンサの充電電圧に達するように、前記エ
キサイタコイルの巻数と該エキサイタコイルを巻回する
鉄心の断面積とが設定されていることを特徴とするコン
デンサ放電式内燃機関用点火装置。
【0082】(2) 前記参照電圧発生回路は、前記エ
キサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧により充電
されるコンデンサと該コンデンサに対して並列に接続さ
れた放電用抵抗とを備えて該コンデンサの両端に前記参
照電圧を発生する上記1項に記載のコンデンサ放電式内
燃機関用点火装置。
【0083】(3) 前記基準信号が消滅する位置で固
定点火位置信号を発生する固定点火位置信号発生手段
と、内燃機関の回転速度が設定値以下であるか否かを判
定して該回転速度が設定値以下のときに前記演算点火位
置信号により前記放電用スイッチに点火信号が与えられ
るのを禁止して固定点火位置信号により該点火信号が与
えられるのを許可し、該回転速度が設定値を超えている
ときには前記固定点火位置信号により前記放電用スイッ
チに点火信号が与えられるのを禁止して前記演算点火位
置信号により該点火信号が与えられるのを許可する点火
信号切替え制御手段とを更に具備したことを特徴とする
上記1項または2項に記載のコンデンサ放電式内燃機関
用点火装置。
【0084】(4) 点火コイルと、前記点火コイルの
1次側に設けられた点火エネルギー蓄積用コンデンサ
と、前記コンデンサを一方の極性に充電するコンデンサ
充電回路と、点火信号が与えられたときに導通して前記
コンデンサの電荷を点火コイルの1次コイルに放電させ
る放電用スイッチと、内燃機関の点火位置の計測を開始
する基準位置で基準信号を発生する基準信号発生回路
と、内燃機関の各回転速度における点火位置を演算する
点火位置演算手段と、前記基準信号が発生したときに点
火位置演算手段により演算された点火位置の計測を開始
して該点火位置の計測が完了したときに演算点火位置信
号を発生する演算点火位置信号発生手段とを備え、前記
演算点火位置信号が発生したときに前記放電用スイッチ
に点火信号を与えるコンデンサ放電式内燃機関用点火装
置において、固定子側に少なくともコンデンサ充電用の
エキサイタコイルを有して、内燃機関の回転に同期して
前記エキサイタコイルから交流電圧を出力する磁石発電
機と、バッテリと、前記バッテリから一次電流が与えら
れる昇圧トランスと該昇圧トランスの一次電流をオンオ
フするスイッチ手段とを備えて前記バッテリの電圧より
も高い電圧を昇圧トランスの二次側から整流器を通して
出力する直流コンバータ回路とを具備し、前記コンデン
サ充電回路は、前記エキサイタコイルの正の半サイクル
の出力電圧と前記直流コンバータ回路の出力電圧との双
方により前記点火エネルギ蓄積用コンデンサを充電する
ように構成され、前記基準信号発生回路は、前記エキサ
イタコイルの負の半サイクルの出力電圧のピーク位置を
検出したときに信号を出力するピーク検出回路からなっ
ていて、該ピーク検出回路の出力信号が前記基準信号と
して用いられ、内燃機関の低速時に前記エキサイタコイ
ルの正の半サイクルの出力電圧のピーク値が点火動作に
必要な点火エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧よりも
低い値を示し、内燃機関の高速時に該エキサイタコイル
の正の半サイクルの出力電圧のピーク値が点火動作に必
要な点火エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧に達する
ように、前記エキサイタコイルの巻数と該エキサイタコ
イルを巻回する鉄心の断面積とが設定されていることを
特徴とするコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
【0085】(5) 前記磁石発電機は、前記エキサイ
タコイルの外に、バッテリ充電用の発電コイルを有し
て、該バッテリ充電用発電コイルの出力がレギュレータ
(電圧調整器)を介して前記バッテリに印加されている
上記1ないし4項のいずれか1つに記載のコンデンサ放
電式内燃機関用点火装置。
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、バッテ
リの電圧を昇圧する直流コンバータ回路を設けて、該直
流コンバータ回路の出力電圧とエキサイタコイルの出力
電圧との双方により点火エネルギ蓄積用コンデンサを充
電するようにしたので、機関の低速時には低い電圧を誘
起し、機関の高速領域に入ってから点火動作に必要な高
い電圧を誘起するようにエキサイタコイルの出力特性を
設定することができる。そのため、機関の低速時には主
として直流コンバータ回路の出力電圧により点火エネル
ギ蓄積用コンデンサを充電し、機関の高速時には主とし
てエキサイタコイルの出力電圧により点火エネルギ蓄積
用コンデンサを充電して、機関の低速領域から高速領域
まで点火エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧を適正な
範囲に維持することができ、エキサイタコイルの負の半
サイクルの負荷を小さくした場合に、機関の高速時に点
火エネルギ蓄積用コンデンサの充電電圧が過大になるの
を防ぐことができる。従って、高速領域で点火エネルギ
蓄積用コンデンサの充電電圧を過大にすることなく、エ
キサイタコイルの負の半サイクルの出力を利用して基準
信号を発生させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した回路構成図である。
【図2】本発明の実施例においてマイクロコンピュータ
により実行されるメインルーチンのアルゴリズムを示す
フローチャートである。
【図3】本発明の実施例において基準信号が発生したと
きにマイクロコンピュータにより実行される割り込みル
ーチンのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例において基準信号が消滅したと
きにマイクロコンピュータにより実行される割り込みル
ーチンのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例において点火位置が計測された
ときに実行される割り込みルーチンのアルゴリズムを示
したフローチャートである。
【図6】エキサイタコイルに鎖交する磁束とエキサイタ
コイルの誘起電圧とを示した波形図である。
【図7】エキサイタコイルの正の半サイクルの立下りと
負の半サイクルの立上りとの境界位置を利用して基準位
置を定めるようにした場合、及びエキサイタコイルの負
の半サイクルの出力のピーク位置を利用して基準位置を
定めるようにした場合の基準位置の回転速度に対する変
化の特性を比較して示した線図である。
【図8】図1の実施例の各部の信号波形を示した波形図
である。
【図9】直流コンバータ回路の出力電圧のみによりコン
デンサを充電するようにした場合、エキサイタコイルの
出力電圧のみによりコンデンサを充電するようにした場
合及び直流コンバータ回路の出力電圧及びエキサイタコ
イルの出力電圧の双方によりコンデンサを充電するよう
にした場合のコンデンサの充電電圧と回転数との関係を
示した線図である。
【図10】本発明で用いることができる基準信号発生回
路の変形例を示した回路図である。
【符号の説明】
1 磁石発電機 104 エキサイタコイル 2 点火回路 3 マイクロコンピュータ 4 バッテリ 6 直流コンバータ回路 7 基準信号発生回路 9 点火信号出力回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−81758(JP,A) 特開 昭62−195458(JP,A) 特開 平6−147074(JP,A) 実開 平4−6571(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 3/08 301 - 302

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火コイルと、前記点火コイルの1次側
    に設けられた点火エネルギー蓄積用コンデンサと、前記
    コンデンサを一方の極性に充電するコンデンサ充電回路
    と、点火信号が与えられたときに導通して前記コンデン
    サの電荷を点火コイルの1次コイルに放電させる放電用
    スイッチと、内燃機関の点火位置の計測を開始する基準
    位置で基準信号を発生する基準信号発生回路と、内燃機
    関の各回転速度における点火位置を演算する点火位置演
    算手段と、前記基準信号が発生したときに点火位置演算
    手段により演算された点火位置の計測を開始して該点火
    位置の計測が完了したときに演算点火位置信号を発生す
    る演算点火位置信号発生手段とを備え、前記演算点火位
    置信号が発生したときに前記放電用スイッチに点火信号
    を与えるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置におい
    て、 固定子側に少なくともコンデンサ充電用のエキサイタコ
    イルを有して、内燃機関の回転に同期して前記エキサイ
    タコイルから交流電圧を出力する磁石発電機と、 バッテリと、 前記バッテリから一次電流が与えられる昇圧トランスと
    該昇圧トランスの一次電流をオンオフするスイッチ回路
    とを備えて前記バッテリの電圧よりも高い電圧を昇圧ト
    ランスの二次側から整流器を通して出力する直流コンバ
    ータ回路とを具備し、 前記コンデンサ充電回路は、前記エキサイタコイルの正
    の半サイクルの出力電圧と前記直流コンバータ回路の出
    力電圧との双方により前記点火エネルギ蓄積用コンデン
    サを充電するように構成され、 前記基準信号発生回路は、前記エキサイタコイルの負の
    半サイクルの出力電圧及び出力周波数の変化に伴ってレ
    ベルが変化する参照電圧を発生する参照電圧発生回路
    と、前記エキサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧
    のレベルがピークに向けて上昇していく過程で該負の半
    サイクルの出力電圧のレベルが前記参照電圧のレベルに
    一致したときに前記基準信号を発生させ、前記エキサイ
    タコイルの負の半サイクルの出力電圧のレベルがピーク
    を過ぎて下降していく過程で前記参照電圧のレベルに一
    致したときに前記基準信号を消滅させる基準信号出力回
    路とからなり、 前記エキサイタコイルの負の半サイクルの出力電圧のピ
    ーク値及び周波数の如何に係わりなく前記基準信号の発
    生位置を一定とするように、前記参照電圧のレベルの変
    化割合が調整されていることを特徴とするコンデンサ放
    電式内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記参照電圧発生回路は、前記エキサイ
    タコイルの負の半サイクルの出力電圧により充電される
    コンデンサと該コンデンサに対して並列に接続された放
    電用抵抗とを備えて該コンデンサの両端に前記参照電圧
    を発生する請求項1に記載のコンデンサ放電式内燃機関
    用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記基準信号が消滅する位置で固定点火
    位置信号を発生する固定点火位置信号発生手段と、 内燃機関の回転速度が設定値以下であるか否かを判定し
    て該回転速度が設定値以下のときに前記演算点火位置信
    号により前記放電用スイッチに点火信号が与えられるの
    を禁止して固定点火位置信号により該点火信号が与えら
    れるのを許可し、該回転速度が設定値を超えているとき
    には前記固定点火位置信号により前記放電用スイッチに
    点火信号が与えられるのを禁止して前記演算点火位置信
    号により該点火信号が与えられるのを許可する点火信号
    切替え制御手段とを更に具備したことを特徴とする請求
    項1または2に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火
    装置。
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