JP3838058B2 - コンデンサ放電式内燃機関用点火装置 - Google Patents

コンデンサ放電式内燃機関用点火装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置は、点火コイルと、点火コイルの一次側に設けられて所定の電源の出力電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、点火信号が与えられた時に導通して点火用コンデンサの電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタと、内燃機関の点火位置(点火動作が行われる時のクランク軸の回転角度位置)で放電用サイリスタに点火信号を与える点火制御部とにより構成される。
【0003】
点火用コンデンサを充電する電源としては、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられて機関の回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイルが多く用いられている。
【0004】
点火装置に用いる磁石式交流発電機としては、図5に示すものが多く用いられている。この発電機は、内燃機関のクランク軸1に取り付けられたカップ状の回転体2と、該回転体の外周に設けられた凹部2a内に取り付けられて回転体の径方向に着磁された1つの永久磁石3とを有して、永久磁石3と該永久磁石に隣接する回転体2の外周部とにより3極の磁石界磁を構成した磁石回転子4と、磁石回転子4の磁石界磁に対向する磁極部5a,5bを有するU字形の鉄心5にエキサイタコイル6を巻装して構成した固定子7とからなっている。図示の例では磁石3の外側の磁極がN極となっているため、1つのN極とその両側の回転体の外周部にそれぞれ形成された2つのS極とにより3極の磁石界磁が構成されている。
【0005】
固定子7は、機関のケースやカバー等に設けられた固定子取付け部に固定されて、その鉄心5の磁極部5a,5bが磁石回転子4の磁石界磁にエアギャップを介して対向させられる。
【0006】
この発電機は、磁石回転子4がクランク軸とともに1回転する間に、図5(B)に示すように第1の負の半波の電圧Vn1と正の半波の電圧Vp と第2の負の半波の電圧Vn2とが順次現れる1サイクル半の交流電圧Veをエキサイタコイル6から出力する。
【0007】
図5に示す発電機を用いる場合には、エキサイタコイル6が出力する正の半波の電圧Vp が点火用コンデンサを充電するための電圧として用いられる。
【0008】
前述のように、コンデンサ放電式の点火装置では、内燃機関の点火位置で放電用サイリスタに点火信号を与える必要があり、そのため、機関のクランク軸の回転情報(クランク軸の回転角度情報及び回転速度情報)を含む信号を必要とする。内燃機関の回転情報を含む信号としては、内燃機関に取り付けられて、クランク軸の所定の回転角度位置でパルス信号を発生するパルサ(信号発電機)を用いることが多いが、内燃機関の構成を簡略にすることを重視する場合には、パルサを用いずに、エキサイタコイルの負の半波の電圧から機関の回転情報を得るようにしている。
【0009】
図14は、図5に示したような発電機が用いられる場合に、エキサイタコイル6が出力する負の半波の電圧から機関のクランク軸の回転角度情報を得て点火位置を決定するようにしたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置の従来の構成を示したものである。
【0010】
図14においてIGは点火コイル、Ci は点火コイルIGの一次側に設けられてエキサイタコイル6の正の半波の出力電圧Vp によりダイオードD1 と点火コイルの一次コイルとダイオードD2 とを通して図示の極性に充電される点火用コンデンサ、ThiはコンデンサCi の電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタである。この点火装置においては、エキサイタコイル6が正の半波の電圧Vp を出力してコンデンサCi が充電された後、該エキサイタコイルが負の半波の電圧Vn2を出力したときに、エキサイタコイル6からツェナーダイオードZDo とサイリスタThiのゲートカソード間とダイオードD3 とを通して電流が流れてサイリスタThiに点火信号が与えられる。
【0011】
放電用サイリスタThiに点火信号が与えられると、該サイリスタが導通して、点火用コンデンサCi の電荷を点火コイルIGの一次コイルを通して放電させる。サイリスタThiが導通すると、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧はダイオードD4 とサイリスタThiとダイオードD3 とを通して短絡されるため、サイリスタThiへの点火信号の供給が停止される。
【0012】
点火用コンデンサCi からサイリスタThiと点火コイルの一次コイルとを通して放電電流が流れると、点火コイルIGの一次コイルには、該放電電流が流れるのを妨げる方向の高い電圧が誘起する。この電圧が一次コイルと二次コイルとの巻数比により昇圧されて、点火コイルIGの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。この点火用の高電圧は、図示しない内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグPに印加されるため、該点火プラグで火花が生じて機関が点火される。
【0013】
この点火装置により機関を点火する際の点火位置θi は、ツェナーダイオードZDo のツェナー電圧と抵抗Rf の抵抗値とにより決まり、点火位置θi の回転速度N[r/min]に対する特性は、例えば図13の曲線aのようになる。
【0014】
図14に示した構成によれば、パルサを用いずに点火位置を決定できるため、パルサを省略して内燃機関の構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示した従来の点火装置では、内燃機関の点火特性が図13の曲線aのようになり、この特性は、発電機の出力特性によりほぼ決まってしまうため、点火特性の選択の自由度が低いという問題があった。
【0016】
特に最近では、機関の排気ガスの浄化や、燃費の節約等の要求に応えるために、内燃機関用点火装置に、例えば図13の曲線bのような複雑な点火特性を持たせることが要求されるが、図14に示した従来の構成では、このような複雑な点火特性を得ることができなかった。そのため、図13の曲線bのような複雑な点火特性を必要とする場合には、機関に磁石式交流発電機とは別個にパルサを取り付けて、該パルサから得た回転情報に基づいて点火位置を演算する必要があり、機関のコストが高くなるのを避けられなかった。
【0017】
本発明の目的は、パルサを用いることなく、点火位置の決定に用いる機関の回転情報を得て、該回転情報に基づいて機関の点火位置を演算することにより、種々の点火特性を得ることができるようにしたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関のクランク軸に取り付けられた回転体と該回転体の外周に取り付けられた1つの永久磁石とを有して永久磁石と該永久磁石に隣接する回転体の外周部とにより3極の磁石界磁が構成された磁石回転子と、磁石回転子の磁石界磁に対向する磁極部を有する鉄心と該鉄心に巻装されたエキサイタコイルとを有して磁石回転子が1回転する間に第1の負の半波の電圧と正の半波の電圧と第2の負の半波の電圧とが順に現れる1サイクル半の交流電圧をエキサイタコイルから出力する固定子とを備えた磁石式交流発電機と、点火コイルと、該点火コイルの一次側に設けられてエキサイタコイルが出力する正の半波の電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、点火用コンデンサが一方の極性に充電されている状態で点火信号が与えられたときに導通して点火用コンデンサの電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタと、放電用サイリスタに点火信号を与える点火制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を対象とする。
【0019】
本発明においては、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧を制御用の直流電圧に変換する制御用電源回路と、エキサイタコイルが出力する第1及び第2の負の半波の電圧をそれぞれ波形整形して矩形波状の第1及び第2のパルス信号に変換する波形整形回路とを設ける。
【0020】
上記のように波形整形回路によりエキサイタコイルの負の半波の出力電圧を第1及び第2のパルス信号に変換したときに、第2のパルス信号の立上りのエッジの位置または立下がりのエッジの位置が内燃機関の始動時の点火位置として適した位置に一致するように磁石式交流発電機を設けておく。
【0021】
また点火制御部は、制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として、第1及び第2のパルス信号のそれぞれの立上りのエッジまたは立下がりのエッジを検出したときに放電用サイリスタに点火信号を供給するハードウェア回路からなる極低速時点火制御部と、第1及び第2のパルス信号から内燃機関の回転情報を得て制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として動作するマイクロコンピュータにより内燃機関の各回転速度における点火位置の演算と演算した点火位置の検出とを行って、演算した点火位置を検出したときに放電用サイリスタに点火信号を与える定常時点火制御部とを備えた構成とする。
【0022】
3極の磁石界磁を備えた磁石式交流発電機では、エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧を発生してから第2の負の半波の電圧を発生するまでの時間と、第2の負の半波の電圧を発生してから第1の半波の電圧を発生するまでの時間が大幅に異なる。そのため、上記のように、第1の負の半波の電圧と第2の負の半波の電圧とをそれぞれ第1及び第2のパルス信号に変換すると、両パルス信号相互間の発生間隔を検出して比較することにより、第1のパルス信号及び第2のパルス信号がエキサイタコイルの正の半波の電圧に対して進み側の信号であるのか遅れ側の信号であるのかを検出することができる。第1のパルス信号及び第1のパルス信号がエキサイタコイルの正の半波の電圧に対して進み側の信号であるのか遅れ側の信号であるのかを判別することができれば、各パルス信号の立上りのエッジ位置及び立下がりのエッジ位置にそれぞれ対応する機関のクランク軸の位置を知ることができるため、第1及び第2のパルス信号の立上り位置及び立下がり位置から機関のクランク軸の回転角度位置の情報を検出することができ、いずれかのパルス信号の立上りのエッジ位置または立下がりのエッジ位置を基準位置として、該基準位置に対して点火位置を演算することにより、点火位置を特定することができる。
【0023】
また上記のように、第2のパルス信号の立上りのエッジ位置または立下がりのエッジ位置が機関の始動時及び極低速時の点火位置として適した位置になるように磁石発電機を設けておいて、各パルス信号の立上りのエッジ位置または立下がりのエッジ位置で放電用サイリスタに点火信号を与えるようにしておくと、機関の始動時及び極低速時においてマイクロコンピュータが動作できない状態にある場合でも点火動作を行わせることができる。
【0024】
上記のように構成した場合、エキサイタコイルが正の半波の出力電圧を発生する前(点火用コンデンサが充電される前)にも放電用サイリスタに点火信号が与えられるが、点火用コンデンサが未充電の状態で点火信号が与えられても該放電用サイリスタは導通せず、点火動作は行われないため、機関の点火には支障を来さない。
【0025】
またマイクロコンピュータの動作が可能になる機関の定常運転時には、エキサイタコイルの負の半波の電圧から検出した機関の回転情報を用いて点火位置を演算して、演算した点火位置で機関を点火することができるため、点火装置に図13の曲線bのような複雑な点火特性を持たせることを要求される場合にも、その要求に容易に応えることができる。
【0026】
そして、本発明によれば、磁石式交流発電機と別個にパルサを設けることを必要としないため、機関の構成を複雑にすることなく、多様な点火特性に対応し得る内燃機関用点火装置を得ることができる。
【0027】
本明細書では、ハードウェア回路からなる極低速時点火制御部から放電用サイリスタに与えられる点火信号を、ハードウェア回路から与えられる点火信号の意味で「ハード点火信号」と呼ぶ。またこのハード点火信号により行われる点火動作をハード点火と呼ぶ。
【0028】
これに対し、マイクロコンピュータに所定のソフトウェアを実行させることにより演算した点火位置で放電用サイリスタに与える点火信号をソフトウェア的に決定された点火位置で発生させる点火信号の意味で、「ソフト点火信号」と呼ぶ。またこのソフト点火信号により行われる点火動作をソフト点火と呼ぶ。
【0029】
本発明の好ましい態様では、上記点火制御部に更に、キャンセル指令が与えられているときに導通して極低速時点火制御部から放電用サイリスタに与えられる点火信号を該放電用サイリスタから側路する点火信号キャンセル用スイッチが設けられる。また定常時点火制御部のマイクロコンピュータは、第1及び第2のパルス信号の信号幅と第1及び第2のパルス信号の発生間隔とから第1のパルス信号及び第2のパルス信号を判別して、判別した一方のパルス信号の立上りまたは立下がりのエッジの位置を基準位置として検出する基準位置検出手段と、第1及び第2のパルス信号の少なくとも一方を用いて前記内燃機関の回転速度を検出するためのデータを求める回転速度検出手段と、検出された回転速度に対する内燃機関の点火位置を基準位置から該点火位置まで機関のクランク軸が回転するのに要する時間の形で演算する点火位置演算手段と、基準位置が検出されたときに点火位置の計測を開始して、該点火位置の計測が完了したときに放電用サイリスタに点火信号を与える点火位置検出手段と、内燃機関の回転速度が設定値を超えているときにキャンセル指令を発生するキャンセル指令発生手段とを構成するようにプログラムされる。
【0030】
上記のようにキャンセルスイッチを設けて、機関の回転速度が設定値を超えていて、マイクロコンピュータが動作する状態にあるときに、キャンセルスイッチを導通させて極低速時点火制御部から放電用サイリスタに与えられる点火信号を該放電用サイリスタから側路するようにしておくと、定常運転時に第1のパルス信号の立下がりまたは立上りで放電用サイリスタに与えられる点火信号により該放電用サイリスタが導通して点火用コンデンサが充電されなくなる状態が生じて機関が失火するおそれをなくすことができる。
【0031】
本発明の好ましい態様では、上記極低速時点火制御部が、制御用電源回路の出力電圧で電流制限素子と放電用サイリスタのゲートカソード間とを通して充電される点火信号供給用コンデンサと、パルス信号をベース信号として導通して点火信号供給用コンデンサの充電電流を該コンデンサから側路するように設けられたトランジスタと、該トランジスタが導通したときに点火信号供給用コンデンサの電荷をトランジスタを通して放電させるように点火信号供給用コンデンサとトランジスタとの間を結合するダイオードとを備えて、第1のパルス信号及び第2のパルス信号の立下がりのエッジで放電用サイリスタに点火信号を与えるように構成される。
【0032】
また上記回転速度検出手段は、第1のパルス信号の立上がりのエッジ位置または立下がりのエッジ位置が検出されてからクランク軸が1回転した後の同じ位置が検出されるまでの経過時間を内燃機関の平均回転速度を検出するためのデータとして求めるように構成することができる。
【0033】
また第1及び第2のパルス信号から機関の回転情報を得るためには、両信号をマイクロコンピュータに入力する必要があるが、この場合、第1及び第2のパルス信号は、マイクロコンピュータの一つのポートに順次入力するようにするのが好ましい。
【0034】
このように、第1及び第2のパルス信号をマイクロコンピュータの一つのポートに入力する構成をとる場合には、ポートに入力される信号の認識モードを、信号の立上りのエッジを認識する第1のモードと信号の立下がりのエッジを認識する第2のモードとに切り替える信号認識モード切替手段と、第1のパルス信号の立上りのエッジを認識したときに瞬時速度計測用の計時を開始して、ポートに入力される信号の認識モードを第2のモードに切り替える瞬時速度計測開始手段と、第1のパルス信号の立下がりのエッジを認識したときに瞬時速度計測用の計時を終了して信号認識モードを第1のモードに切り替える瞬時速度計測終了手段と、第1のパルス信号の立上りのエッジが認識された時の時刻から立下がりのエッジが認識された時の時刻までの間に計測された時間を内燃機関の瞬時回転速度を検出するためのデータとして求める瞬時速度検出手段とを設けることにより、機関の瞬時回転速度の情報を得ることができる。
【0035】
上記回転速度演算手段はまた、第1のパルス信号の立上りのエッジ及び立下がりのエッジの一方を認識してから第2のパルス信号の立上りのエッジ及び立下がりのエッジの一方を認識するまでの間の経過時間から内燃機関の回転速度を演算するように構成することもできる。
【0036】
このように回転速度演算手段を構成した場合には、第1のパルス信号が発生してから第2のパルス信号が発生するまでの間の平均回転速度を演算することができる。
【0037】
またキャンセル指令発生手段は、第1のパルス信号の立上りのエッジが認識されてから第2のパルス信号の立上りのエッジが認識されるまでの間キャンセル指令を発生するように構成するのが好ましい。
【0038】
機関の始動時に第1のパルス信号の立下がりで放電用サイリスタに点火信号を与えた場合に、該放電用サイリスタが導通することがないようにするため、各パルス信号は、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧が減衰してゼロになる位置よりも位相が進んだ位置で立ち下がるようにしておくのが好ましい。
【0039】
したがって、前記波形整形回路は、エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ第1のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせ、エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ第2のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせるように構成するのが好ましい。
【0040】
また前記波形整形回路は、エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧が一定のしきい値レベルを超えている間第1のパルス信号を発生し、エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧が一定のしきい値レベルを超えている間第2のパルス信号を発生するように構成してもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係わるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置のハードウェアの構成例を示したものである。同図において6は図5に示した磁石式交流発電機内に設けられたエキサイタコイル、IGは一次コイルW1 及び二次コイルW2 を有する点火コイルである。点火コイルIGの一次コイル及び二次コイルの一端は接地され、一次コイルW1 の他端及び二次コイルW2 の他端はそれぞれ、点火用コンデンサCi の一端、及び図示しない機関の気筒に取り付けられた点火プラグPの非接地側端子に接続されている。
【0042】
エキサイタコイル6は、図5(B)に示すように、磁石回転子4(図5A参照)がクランク軸1とともに1回転する間に第1の負の半波の電圧Vn1と正の半波の電圧Vp と第2の負の半波の電圧Vn2とが順に現れる1サイクル半の交流電圧Veを出力する。なお図5(B)の横軸のθはクランク軸の回転角度を示している。
【0043】
点火用コンデンサCi の他端は、カソードを接地した放電用サイリスタThiのアノードに接続されるとともに、カソードを該点火用コンデンサ側に向けたダイオードD1 を通してエキサイタコイル6の一端に接続されている。エキサイタコイル6の他端はアノードが接地されたダイオードD2 のカソードに接続され、エキサイタコイル6の一端と接地間には、アノードを接地側に向けたダイオードD3 が接続されている。以上の構成は、図14に示した従来の点火装置の構成と同様である。
【0044】
図示の例では、点火コイルIGと点火用コンデンサCi と放電用サイリスタThiとにより点火装置の主要部をなす点火回路が構成されている。またエキサイタコイル6とダイオードD1 ないしD3 とにより点火用コンデンサCi の充電電源部が構成されている。
【0045】
図示の点火回路においては、エキサイタコイル6の正の半波の出力電圧によりダイオードD1 を通して点火用コンデンサCi が図示の極性に充電される。コンデンサCi が図示の極性に充電されている状態(サイリスタThiのアノードカソード間に順方向電圧が印加されている状態)で後記する回路から放電用サイリスタThiに点火信号Vi が与えられると、該放電用サイリスタが導通するため、点火用コンデンサCi の電荷が放電用サイリスタThiと点火コイルIGの一次コイルW1 とを通して放電する。これにより点火コイルIGの二次コイルに点火用高電圧が誘起し、この高電圧が点火プラグPに印加されるため、該点火プラグで火花が生じて機関が点火される。
【0046】
なおサイリスタThiのゲートカソード間やアノードカソード間には保護用の抵抗やコンデンサが接続されるが、これらの図示は省略されている。
【0047】
本発明においては、エキサイタコイル6の他端にアノードを該エキサイタコイル側に向けたダイオードD10を通して抵抗R1 の一端が接続され、該抵抗R1 の他端と接地間に電源コンデンサC1 が接続されている。コンデンサC1 の両端には、アノードを接地側に向けたツェナーダイオードZD1 が接続され、該ツェナーダイオードによりコンデンサC1 の両端の電圧が一定値(ツェナー電圧)以下に保たれるようになっている。コンデンサC1 の両端の電圧は、入力電圧の変動に対して出力電圧を一定(この例では5[V])に保つように制御する機能を有する3端子レギュレータRegに入力されている。ダイオードD10と、抵抗R1 と、コンデンサC1 と、ツェナーダイオードZD1 と、3端子レギュレータRegとにより、エキサイタコイルが出力する第1及び第2の負の半波の電圧Vn1,Vn2を制御用の直流電圧に変換する制御用電源回路10が構成され、レギュレータRegの出力端子がこの電源回路10の出力端子10aとなっている。
【0048】
機関の始動操作が行われた後にエキサイタコイル6が出力する一連の電圧Veの波形及び制御用電源回路10の電源コンデンサC1 の両端の電圧Vc1の波形をそれぞれ図8(A)及び(B)に示した。図8(B)に示すように、電源コンデンサC1 の端子電圧Vc1は、機関の回転速度の上昇に伴って上昇していく。回転速度がある程度上昇して電圧Vc1がレギュレータRegの制御電圧である5[V]以上になると、図8(C)に示すようにレギュレータRegが一定(=5[V])の直流電圧Vdcを出力する。
【0049】
なお図8(B)においてVz は、ツェナーダイオードZD1 のツェナー電圧であり、コンデンサC1 の端子電圧はこのツェナー電圧Vz 以下に制限される。
【0050】
またエキサイタコイル6の正の半波の出力電圧Vp により充電される点火用コンデンサCi の両端の電圧Vciを図8(H)に示した。点火用コンデンサCi は、正の半波の電圧Vp が立上がった後ピークに達する間に充電されて、その端子電圧Vciが上昇する。
【0051】
図1において、11はエキサイタコイル6が出力する第1及び第2の負の半波の電圧Vn1及びVn2をそれぞれ波形整形して矩形波状の第1及び第2のパルス信号に変換する波形整形回路である。図示の波形整形回路11は、エキサイタコイル6の他端に一端が接続されたコンデンサC2 と、該コンデンサC2 に並列に接続された抵抗値が十分に大きい抵抗器R2 と、コンデンサC2 の他端にアノードが接続されたダイオードD5 と、ダイオードD5 のカソードに一端が接続された抵抗器R3 と、抵抗器R3 の他端にベースが接続され、エミッタが接地されたNPNトランジスタTR1 と、ベースがトランジスタTR1 のコレクタに接続され、エミッタが接地されたNPNトランジスタTR2 と、トランジスタTR1 及びTR2 のコレクタと電源回路10の出力端子10aとの間にそれぞれ接続された抵抗器R4 及びR5 とからなっている。
【0052】
この波形整形回路11においては、トランジスタTR1 のベースと抵抗R3 との接続点及びトランジスタTR2 のコレクタからそれぞれ第1及び第2の出力端子11a及び11bが導出されている。
【0053】
波形整形回路11は、以下に示すように、エキサイタコイル6の負の半波の電圧Vn1及びVn2のそれぞれの立ち上がり側の零点及びピーク点を検出して、図6(B)及び図8(D)に示すように各負の半波の電圧の立ち上がり側の零点で立ち上がり、ピーク点で立ち下がる矩形波状のパルス信号を発生する。第1の負の半波の電圧Vn1及び第2の負の半波の電圧Vn2をそれぞれ波形整形して得た矩形波状のパルス信号をそれぞれ第1及び第2のパルス信号Vq1(またはVq1´)及びVq2(またはVq2´)とする。
【0054】
すなわち、図6(A)及び図8(A)に示すように、エキサイタコイル6が負の半波の電圧Vn1またはVn2を発生すると、コンデンサC2 とダイオードD5 と抵抗器R3 とトランジスタTR1 のベースエミッタ間とを通して電流が流れる。これによりトランジスタTR1 が導通し、トランジスタTR2 が遮断状態になる。このときトランジスタTR1 のベースの電位及びトランジスタTR2 のコレクタの電位が上昇するため、出力端子11a及び11bの電位が高レベルの状態に立ち上がり、図6(B)及び図8(D)に示すように、パルス信号Vq1またはVq2が立ち上がる。負の半波の電圧Vn1またはVn2がピークに達すると、コンデンサC2 に充電電流が流れなくなるため、トランジスタTR1 が遮断状態になり、トランジスタTR2 が導通状態になる。これにより、出力端子11a及び11bの電位がほぼ零レベル(接地電位)に立ち下がる。
【0055】
したがって、波形整形回路11は、エキサイタコイル6が第1の負の半波の電圧Vn1を発生したときに、該電圧Vn1の立上り側のゼロ点及びピーク点にそれぞれ立上り側のエッジ及び立ち下がり側のエッジが一致する第1のパルス信号Vq1及びVq1´を出力端子11a及び11bから出力し、第2の負の半波の電圧Vn2が発生したときに、該電圧Vn2の立上り側のゼロ点及びピーク点にそれぞれ立上り側のエッジ及び立ち下がり側のエッジが一致する第2のパルス信号Vq2及びVq2´を出力端子11a及び11bからそれぞれ出力する。
【0056】
上記のように、機関のクランク軸に対して所定の位置関係をもって取り付けられた磁石式交流発電機の負の半波の電圧を波形整形することにより矩形波状の制御信号を発生させると、パルス信号Vq1(またはVq1´),Vq2(またはVq2´)の立上りのエッジ位置θ11,θ21、及び立下がりのエッジ位置θ12,θ22は、クランク軸の特定の回転角度位置に対応することになる。
【0057】
本発明においては、上記のようにエキサイタコイル6の負の半波の出力電圧を波形整形することにより得た第1のパルス信号Vq1,Vq1´及び第2のパルス信号Vq2,Vq2´の立上りのエッジまたは立下がりのエッジから内燃機関の回転情報(回転角度位置の情報及び回転速度情報)を得て、始動時及び極低速時の点火位置を定めるとともに、定常運転時の点火位置の演算と、演算した点火位置の検出とを行う。
【0058】
機関の始動時及び極低速時の点火位置を定めるため、いずれかのパルス信号の立上りまたは立下がりのエッジの位置を機関の始動時及び極低速時の点火位置として適した位置に設定しておく。機関の始動時及び極低速度の点火位置は、通常上死点位置(ピストンが上死点に達する時のクランク軸の回転角度位置)より僅かに進角した位置である。
【0059】
機関の始動時及び極低速時に点火動作を行わせるには、エキサイタコイル6の正の半波の電圧Vp により点火用コンデンサCi が充電された後に、放電用サイリスタThiに点火信号Vi を与える必要がある。したがって、上記パルス信号の内、第2のパルス信号Vq2の立上りのエッジ位置θ21または立下がりのエッジ位置θ22を機関の始動時及び極低速時の点火位置に一致させておく。
【0060】
図1に示した例では、パルス信号Vq2の立下がりのエッジ位置θ22(図6B参照)を始動時及び極低速時の点火位置に一致させるように、磁石回転子4及び固定子7を機関に取り付けてある。
【0061】
定常運転時の点火位置を演算するためには、機関の回転速度の情報を含むデータを必要とする。機関の回転速度の情報を含むデータとしては、各パルス信号の発生周期、各パルス信号の信号幅、または2つのパルス信号の発生間隔等、クランク軸が一定の角度回転するのに要する時間を用いることができる。点火位置を演算する際には、この時間データを速度に変換して用いてもよく、該時間データそのものを用いてもよい。
【0062】
また定常運転時に演算した点火位置で点火動作を行わせるためには、演算した点火位置を正確に検出できるようにしておく必要がある。そのため、クランク軸の基準となる回転角度位置を基準位置として定めておいて、演算された回転速度において基準位置から点火位置まで機関が回転するのに要する時間(点火タイマが計測する時間)Tigの形で点火位置を演算し、基準信号が発生したことが検出された時に点火タイマ(マイクロコンピュータに設けられているタイマ)をスタートさせて点火位置の計測を行う。本明細書では、上記点火位置を与える時間Tigを「点火タイマ時間」と呼ぶ。
【0063】
基準位置は、計測すべき点火位置よりも、点火位置の進角幅以上位相が進んだ位置であればよいが、点火位置の検出精度を高めるためには、点火位置にできるだけ近い位置で発生するパルス信号のエッジ位置を基準位置とするのが好ましい。
【0064】
ここでは、第1のパルス信号Vq1´の立下がりのエッジ位置(Vq1の立下がりエッジ位置と同じ)を基準位置として設定することにする。
【0065】
波形整形回路11の出力端子11aから得られるパルス信号Vq1及びVq2は、エミッタが接地されたNPNトランジスタTR3 のベースエミッタ間に印加されている。トランジスタTR3 のコレクタは抵抗R6 を通して電源回路10の非接地側の出力端子10aに接続されるとともに、点火信号供給用コンデンサC3 の一端に接続され、該コンデンサC3 の他端はアノードを該コンデンサC3 側に向けたダイオードD6 を通して放電用サイリスタThiのゲートに接続されている。またコンデンサC3 の他端と接地間にアノードが接地されたダイオードD7 が接続されている。
【0066】
この例では、トランジスタTR3 とコンデンサC3 と抵抗R6 とダイオードD7 とにより、極低速時点火制御部12が構成され、この点火制御部が出力する信号VihがダイオードD6 を通して放電用サイリスタThiのゲートに与えられている。
【0067】
図示の極低速時点火制御部12の動作は次の通りである。パルス信号Vq1またはVq2が立上がってトランジスタTR3 が導通すると、コンデンサC3 に蓄積されていた電荷がトランジスタTR3 のコレクタエミッタ間とダイオードD7 とを通して瞬時に放電する。パルス信号が高レベルの状態にあって、トランジスタTR3 が導通している状態では、コンデンサC3 の充電電流がトランジスタTR3 を通してコンデンサC3 から側路されるため、コンデンサC3 の充電が阻止される。この状態で与えられていたパルス信号Vq1またはVq2が立下がり、トランジスタTR3 が遮断状態になると、電源回路10の出力電圧により抵抗R6 とコンデンサC3 とダイオードD6 と放電用サイリスタThiのゲートカソード間とを通して電流が流れてコンデンサC3 が充電される。このコンデンサC3 の充電電流により放電用サイリスタThiに点火信号が与えられる。極低速時点火制御部12から放電用サイリスタに与えられる点火信号は、コンデンサC3 の充電が完了して充電電流が流れなくなったときに消滅する。
【0068】
図示の極低速時点火制御部12は、上記のようにして、パルス信号Vq1またはVq2の立下がりのエッジで放電用サイリスタThiに信号幅が制限された点火信号Vih1 またはVih2 を与える。これらの点火信号の波形の一例を図8(E)に示した。
【0069】
上記極低速時点火制御部12が、エキサイタコイルの正の半波の電圧Vp よりも位相が進んだ第1のパルス信号Vq1の立下がりのエッジで放電用サイリスタThiにハード点火信号Vih1 を与えた時には、未だ点火用コンデンサCi が充電されていないため、点火動作は行われない。エキサイタコイル6が正の半波の電圧Vp を発生して点火用コンデンサCi が充電された後、第2のパルス信号Vq2の立下がりのエッジで放電用サイリスタThiにハード点火信号Vih2 が与えられると、該放電用サイリスタThiが導通して点火用コンデンサCi の電荷を点火コイルIGの一次コイルW1 を通して放電させ、点火動作を行わせる。
【0070】
即ち、パルス信号Vq1の立下がりエッジで発生するハード点火信号Vih1 は無駄な信号となるが、点火動作には何等影響を与えない。
【0071】
定常運転時の回転速度の演算、点火位置の演算及び演算した点火位置の検出を行わせるため、CPUやROM,RAMあるいはタイマ等からなるマイクロコンピュータ13Aを備えた定常時点火制御部13が設けられ、波形整形回路11の出力端子11bから得られる第1及び第2のパルス信号Vq1´,Vq2´がマイクロコンピュータ13Aの一つのポートA1 に入力されている。マイクロコンピュータ13Aの電源端子13aは電源回路10の出力端子10aに接続されていて、電源回路10の出力電圧Vdcが確立したときにマイクロコンピュータ13Aが動作可能な状態になるようになっている。
【0072】
マイクロコンピュータ13Aは、後記するように、ポートA1 に入力される信号の認識モードを、立上りのエッジを認識する第1のモードと、立下がりのエッジを認識する第2のモードとに切り替えるようにプログラムされていて、順次入力されるパルス信号Vq1´及びVq2´の各エッジのうち、機関の回転情報を得るために必要なエッジを認識する。本実施形態では、パルス信号Vq1´の立上がり及び立下がりのエッジと、パルス信号Vq2´の立上がりのエッジとを認識するようにしている。
【0073】
マイクロコンピュータ13Aは、その電源電圧が確立して動作可能な状態になったときに、先ず波形整形回路11から与えられる一連のパルス信号のいずれが第1のパルス信号で、いずれが第2のパルス信号であるのかを判別するための処理を行う。第1のパルス信号Vq1及び第2のパルス信号Vq2の判別は、第1のパルス信号Vq1が発生してから第2のパルス信号Vq2が発生するまでの時間T2 と第2のパルス信号Vq2が発生してから次の第1のパルス信号Vq1が発生するまでの時間T1 との間にT1 >>T2 の関係があることを利用して行うことができる。例えば、パルスの立上がりのエッジ間の時間間隔を計測するパルス判別用タイマを設けて、図8(F)に示すように、パルス信号Vq1及びVq2の立上がりのエッジで、タイマの計測値を読込むことにより時間T1 ,T2 を計測して記憶させておき、時間T1 とT2 との間に(T1 /2)>T2 の関係が成立しているときに、時間T1 が計測されたときのエッジが第1のパルス信号の立上がりのエッジであると判別することができる。
【0074】
上記のように、一つのポートによりパルス信号の立上りのエッジと立下がりのエッジとを認識するようにしておくと、パルス信号Vq1´及びVq2´をそれぞれ別のポートから読み込んで認識する場合に比べて、必要とするポート数を少なくすることができるため、マイクロコンピュータとして安価なものを用いることができる。
【0075】
マイクロコンピュータ13Aの他のポートA2 は点火信号の出力ポートとなっていて、該ポートA2 から出力されるソフト点火信号Visがカソードを放電用サイリスタ側に向けたダイオードD8 を通して放電用サイリスタThiのゲートに点火信号Vi として供給されている。
【0076】
この例では、ダイオードD6 及びD8 により、極低速時点火制御部12の出力または定常時点火制御部13の出力を点火信号として放電用サイリスタThiのゲートに与えるオア回路14が構成されている。
【0077】
オア回路14を構成する一方のダイオードD6 のアノード(極低速時点火制御部12の非接地側出力端子)と接地間には、キャンセルスイッチ15が接続されている。図示のキャンセルスイッチ15は、エミッタが接地されコレクタがダイオードD4 のアノードに接続されたNPNトランジスタTR4 からなり、このトランジスタTR4 のベースには、マイクロコンピュータ13AのポートA3 からキャンセル指令信号Vk が入力されている。
【0078】
マイクロコンピュータ13Aは、機関の回転速度が設定速度を超えているときに、第1のパルス信号Vq1´の立上りのエッジが認識されてから第2のパルス信号Vq2´の立上りのエッジが認識されるまでの間キャンセル指令Vk を発生するキャンセル指令発生手段を構成するようにプログラムされていて、キャンセル指令が発生している間に極低速時点火制御部12が始動時及び極低速時用の点火信号Vioを出力した時には、トランジスタTR4 が導通して、該点火信号Vioを放電用サイリスタThiから側路するようになっている。
【0079】
本実施形態においてマイクロコンピュータ13Aが実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートの一例を図10ないし図12に示し、このプログラムを説明するためのタイミングチャートを図9に示した。
【0080】
図10はマイクロコンピュータ13Aが実行するプログラムのメインルーチンを示し、図11は第1のパルス信号Vq1´の立上がり及び立下がりのエッジが認識されたとき、並びに第2のパルス信号Vq2´の立上がりのエッジが認識されたときに実行されるパルス信号エッジ割込みルーチンを示している。また図12は、点火タイマがセットされた時間の計測を完了したときに実行される点火タイマ割込みルーチンを示している。
【0081】
マイクロコンピュータの電源が確立すると、先ず図10のメインルーチンが開始される。このメインルーチンでは、先ずステップ1で各部の初期化を行い、次いでステップ2において割込みを許可した後、ステップ3で機関の平均回転速度データを演算する。この平均回転速度データは、機関のクランク軸が1回転するのに要する時間(=T1 +T2 )そのものでもよく、この時間を用いて演算した回転速度でもよい。
【0082】
ステップ3で平均回転速度Nのデータを求めた後、ステップ4において図11に示すパルス信号エッジ割込みが3回以上行われたか否かを判定する。後記するように、本発明において、パルス信号Vq1,Vq2の判別を行うためには、マイクロコンピュータが動作可能になった後、図11に示した割込みルーチンを3回実行する必要がある。メインルーチンのステップ4においては、図11の割込みが行われる回数(エッジ割込み回数)が3回未満であるときに、未だパルス信号の判別が完了していないと判定してステップ5に進み、キャンセル信号Vk の出力を禁止する。
【0083】
ステップ4においてエッジ割込みが3回以上行われていると判定されたときには、ステップ6に進んで平均回転速度Nがソフト点火開始回転速度Ns以上になっているか否かを判定する。その結果N<Nsであると判定されたときにはステップ5に進んでキャンセル信号の出力を禁止する。
【0084】
ステップ6においてN≧Nsであると判定されたときには、ステップ7に進んでポートA3 からキャンセル信号Vk を出力させ、次いでステップ8において、平均回転速度Nを与えるデータ(時間または回転速度)と点火位置との間の関係を与える点火位置演算用マップを用いて、演算されている平均回転速度における点火位置を演算する。この点火位置は、例えば機関の上死点に相応するクランク角度位置を基準にして進角側に図った角度の形で演算される。
【0085】
マイクロコンピュータ13Aは、ポートA1 に入力される信号の認識モードを、パルス信号の立上りのエッジを認識する第1のモードと、立下がりのエッジを認識する第2のモードとに切り替えるようにプログラムされるが、マイクロコンピュータが動作可能になった後、各部の初期化が行われた状態では、ポートA1 に入力される信号の認識モードが第1のモードとなっている。そのため、マイクロコンピュータの各部の初期化が行われた後、パルス信号Vq1´またはVq2´の立上がりのエッジが生じると図11の割込みルーチンが実行される。
【0086】
この例では、図9に示すように、クランク角度θ1 の位置で図11の割込みルーチンが最初に実行されたとする。この割込みルーチンでは、先ずステップ1で今回の割込みが立上がりエッジによる割込みであるか否かを判定する。最初に行われるパルス信号エッジ割込みは立上がりエッジによる割込みであるため、ステップ1に続いてステップ2が実行される。ステップ2では、パルス判別用タイマ(マイクロコンピュータ内に設けられているタイマ)の計測値Txを読込んでメモリに記憶させる。次いでステップ3に進んで、パルス判別処理を行う。このパルス判別処理では、前回読み込んで記憶した計測値Tx-1 と今回読み込んだ計測値Txとを比較して、Tx>2×Tx-1 のときに今回立上がりのエッジが認識されたパルス信号は第1のパルス信号Vq1´であると判定し、Tx≦Tx-1 /2のときに、今回立上がりのエッジが認識されたパルス信号は第2のパルス信号Vq2´であると判定する。
【0087】
ステップ3でパルス判別処理を行った後、ステップ4に進んで、今回入力されたパルス信号がエキサイタコイルの正の半波の出力電圧Vp に対して進み側のパルス信号(第1のパルス信号)であるか否かを判定する。
【0088】
最初はパルス判別用タイマがセットされていないため、ステップ2で読込まれたタイマの計測値Txは0であり、今回立ち上がりのエッジが認識されたパルスが進み側のパルスであるのか否かの判定を行うことができない。したがって、ステップ4からステップ5に移行し、パルス判別用タイマをセットしてパルス判別用タイマ時間Txの計測を0から開始させた後、メインルーチンに戻る。
【0089】
次にクランク角度θ2 の位置でポートA1 にパルス信号の立上がりエッジが入力されると、再び図11の割込みルーチンのステップ1及び2が実行され、最初に計測されたパルス判別用タイマ時間Tx(図9に示した例ではT2 )が読み込まれ、記憶される。次いでステップ3でパルス判別処理が行われるが、この時点では未だパルス判別用タイマ時間Txが一つしか計測されていないため、いぜんとしてパルスの判別処理を行うことができない。そのため、ステップ4では今回のパルスの立上がりエッジが進み側のパルス信号(第1のパルス信号)の立上がりエッジであるとの判定を行うことができず、ステップ5が実行される。ステップ5で再度パルス判別用タイマがセットされて、パルス判別用タイマ時間Txの計測が再開される。
【0090】
次にクランク角θ3 の位置で3回目のパルス信号エッジ割込みが実行されると、ステップ2で計測されたパルス判別用タイマ時間Tx(図9に示した例ではT1 )と前回計測されたパルス判別用タイマ時間Tx-1 (図示の例ではT2 )とからパルス判別処理が可能になる。このパルス判別処理(ステップ3)では、今回計測された時間Txと前回計測された時間Tx-1 とを比較して、Tx>2×Tx-1 のときに今回立上がりのエッジが認識されたパルス信号は第1の(進み側の)パルス信号Vq1´であると判定し、Tx≦Tx-1 /2のときに、今回立上がりのエッジが認識されたパルス信号は第2の(遅れ側の)パルス信号Vq2´であると判定する。図示の例では、T1 >2×T2 であるので、今回立ち上がりのエッジが認識されたパルス信号が進み側の第1のパルス信号Vq1´であると判定される。
【0091】
このように、マイクロコンピュータが動作可能になった後、図11の割込みルーチンが3回実行されると、波形整形回路11が順次発生するパルス信号が第1及び第2のパルス信号のうちのいずれであるかを判別し得るようになる。
【0092】
ステップ4において、今回立上がりのエッジが入力されたパルス信号が進み側のパルス信号Vq1´であるとの判定がされたことが確認されると、続いてステップ6でパルス判別用タイマがセットされてパルス判別用タイマ時間Txの計測が再開され、ステップ7において瞬時速度計測用タイマ(マイクロコンピュータ内に設けられたタイマ)がセットされて瞬時速度のデータを得るための時間の計測が開始される。次いでステップ8においてCPUのポートA1 が入力信号の立下がりエッジを認識するようにポートA1 の信号の認識モードを反転させた後(信号の認識モードを第2のモードにした後)メインルーチンに戻る。
【0093】
上記のように、第1のパルス信号Vq1´の立上がりのエッジが認識されると、ポートA1 に入力される信号の認識モードが、信号の立下がりを認識するモードに切り替わるため、第1のパルス信号Vq1´の立下がりのエッジが入力されたときに図11の割込みルーチンが実行される。この時ステップ1において立下がりのエッジによる割込みであると判定されるため、次いでステップ9が実行されて前回の割込みにおいてステップ7でセットされた瞬時速度計測用タイマの計測時間Tnを読込む。次いでステップ10でこの計測時間Tnから瞬時回転速度を演算し、ステップ11でメインルーチンにおいて演算されている点火位置を点火タイマ時間Tigに換算する。この点火タイマ時間Tigは、クランク軸が基準位置(この例では、第1のパルス信号Vq1´の立下がり位置)からメインルーチンで演算された点火位置まで、ステップ10で演算された瞬時回転速度で回転するのに要する時間である。
【0094】
ステップ11で点火タイマ時間Tigを演算した後、ステップ12で点火タイマ(マイクロコンピュータ内のタイマ)に点火タイマ時間Tigをセットして点火位置の計測を開始させる。その後ステップ13で点火フラグを「1」にセットした後、ステップ14でCPUのボートAの信号認識モードを入力信号の立上がりを認識するモード(第1のモード)に反転させた後、メインルーチンに戻る。
【0095】
点火タイマが上記点火タイマ時間Tigの計測を完了する(点火位置の計測を完了する)と、図12に示した点火タイマ割込みが実行される。この割込みルーチンでは、先ずステップ1において点火フラグが「1」であるか否かを判定し、該点火フラグが「1」であるときには、ステップ2に進んでソフト点火信号の出力を開始させる。次いでステップ3において点火信号出力停止時刻検出用時間を点火タイマにセットして、その計測を開始させる。次いでステップ4で点火フラグを「0」とした後、メインルーチンに戻る。点火タイマが点火信号出力停止時刻検出用時間の計測を完了すると再び図12に示す点火タイマ割込みが実行される。このとき点火フラグは「0」になっているので、ステップ5が実行され、点火信号の出力を停止させる。
【0096】
上記の例では、機関の始動時、及び回転速度が設定値Ns(ソフト点火開始回転速度)未満の時に極低速時点火制御部12から放電用サイリスタに点火信号を与えることにより点火動作を行わせ、マイクロコンピュータ13Aが動作する状態になった後、機関の回転速度が設定値Nsを超えた時にマイクロコンピュータからキャンセル信号Vk を発生させてキャンセルスイッチを構成するトランジスタTR4 を導通させることにより、極低速時点火制御部12から放電用サイリスタThiに与えられるハード点火信号Vihを該放電用サイリスタから側路するようにしている。
【0097】
このように構成しておくと、定常運転時に第1のパルス信号の立下がりまたは立上りで放電用サイリスタにハード点火信号が与えられるのを防ぐことができるため、定常運転時にハード点火信号により放電用サイリスタが導通して点火用コンデンサCi が充電されなくなる状態が生じて機関が失火するおそれをなくすことができる。
【0098】
図10ないし図12に示したプログラムをマイクロコンピュータに実行させる場合、図11のステップ1ないし5により、第1及び第2のパルス信号の信号幅と第1及び第2のパルス信号の発生間隔とから第1のパルス信号及び第2のパルス信号を判別して判別した一方のパルス信号の立上りまたは立下がりのエッジの位置を基準位置として検出する基準位置検出手段が構成される。
【0099】
また図10のメインルーチンのステップ3により、第1のパルス信号の立上がりのエッジ位置または立下がりのエッジ位置(上記の実施形態では立上がりのエッジ位置)が検出されてからクランク軸が1回転した後の同じ位置が検出されるまでの経過時間を内燃機関の平均回転速度を検出するためのデータとして求める平均速度検出手段が構成される。
【0100】
更に、図11の割込みルーチンのステップ7及び8により、第1のパルス信号の立上りのエッジを認識したときに瞬時速度計測用の計時を開始して、ポートA1 に入力される信号の認識モードを第2のモードに切り替える瞬時速度計測開始手段が構成され、図11の割込みルーチンのステップ9及び10により、第1のパルス信号の立上りのエッジが認識された時の時刻から立下がりのエッジが認識された時の時刻までの間に計測された時間を内燃機関の瞬時回転速度を検出するためのデータとして求める瞬時速度検出手段が構成される。
【0101】
上記平均速度検出手段及び瞬時速度検出手段により、第1及び第2のパルス信号の少なくとも一方を用いて内燃機関の回転速度を検出するためのデータを求める回転速度検出手段が構成されている。
【0102】
また図10に示したメインルーチンのステップ8と図11の割込みルーチンのステップ11とにより、検出された回転速度に対する内燃機関の点火位置を基準位置から該点火位置まで機関のクランク軸が回転するのに要する時間の形で演算する点火位置演算手段が構成され、図11の割込みルーチンのステップ12及び13と図12の点火タイマ割込みルーチンとにより、基準位置が検出されたときに点火位置の計測を開始して、該点火位置の計測が完了したときに放電用サイリスタThiに点火信号を与える点火位置検出手段が構成される。更に図10のメインルーチンのステップ4ないし7により、内燃機関の回転速度が設定値を超えているときにキャンセル指令を発生するキャンセル指令発生手段が構成される。
【0103】
コンデンサ放電式の点火装置においては、エキサイタコイルの正の半波の電圧が立上がる前に放電用サイリスタを遮断状態にしておく必要がある。したがって、上記の例のように、エキサイタコイル6の負の半波の電圧Vn1及びVn2をそれぞれ波形整形して得た第1及び第2のパルス信号Vq1及びVq2の立下がりエッジでハード点火信号Vihを発生させる場合には、エキサイタコイルの正の半波の出力電圧が立上がる前に第1及び第2のパルス信号Vq1及びVq2を消滅させる必要がある。
【0104】
図1に示した例では、エキサイタコイル6が出力する第1の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ第1のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせ、エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ第2のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせるように波形整形回路11を構成したが、図7(A),(B)に示したように、エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧Vn1が一定のしきい値レベルVthを超えている間第1のパルス信号を発生させ、エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧が一定のしきい値レベルを超えている間第2のパルス信号を発生させるように波形整形回路11を構成することもできる。
【0105】
図7のように、エキサイタコイルの第1及び第2の負の半波の出力電圧Vn1及びVn2がしきい値レベルを超えている間第1及び第2のパルス信号Vq1及びVq2を発生させるには、例えば図2に示すように、エキサイタコイル6の他端を抵抗R2 ´とツェナーダイオードZD2 とを通してNPNトランジスタTR1 のベースに接続するようにすればよい。この場合しきい値Vthは、抵抗R2 ´の抵抗値とツェナーダイオードZD2 のツェナー電圧とにより適宜に調整できる。
【0106】
上記の例では、極低速時点火制御部12の電源電圧と定常運転時点火制御部13の電源電圧とを共通の電源回路10から得ているが、図8(B)及び(C)に示したように、図1及び図2に示した電源回路10から一定の直流電圧Vdcを出力するようになるまでには、始動操作を開始した後クランク軸が何回か回転するまで待たなければならない。そのため、上記のように構成した場合には、始動時にハード点火が行われるのが遅れ、機関の始動性が悪くなるおそれがある。
【0107】
このような問題を解決するためには、図3に示すように、制御用直流電源回路10を、エキサイタコイル6が出力する負の半波の電圧Vn1,Vn2を入力としてマイクロコンピュータ13Aの電源電圧として適した定電圧を出力する第1の電源回路10Aと、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧Vn1,Vn2を入力として極低速時点火制御部12の電源電圧として用いる直流電圧を発生する第2の電源回路10Bとにより構成するようにすればよい。
【0108】
図3に示した第1の電源回路10Aは、図1及び図2の例で用いた制御用電源回路10と同様に構成されている。第1の電源回路10AのコンデンサC1 を第1の電源コンデンサとする。
【0109】
また第2の電源回路10Bは、エキサイタコイル6の他端にアノードが接続されたダイオードD10´と、ダイオードD10´のカソードに抵抗R1 ´を通して一端が接続されるとともに他端が接地された第2の電源コンデンサC1 ´とにより構成されている。
【0110】
上記第2の電源回路10Bの出力は、図8(B)に示した電圧Vc1と同様である。極低速時点火制御部12からハード点火信号を発生させるために必要な電源電圧は、マイクロコンピュータ13Aを動作させるために必要な電圧(5[V])よりも低くてよいため、図3に示したように、極低速時点火制御部12のために別電源を設けると、放電用サイリスタへのハード点火信号の供給が開始される回転速度(始動回転速度)を低くして、機関の始動性を向上させることができる。
【0111】
第2の電源回路10Bは図3に示したものに限定されるものではなく、例えば図4に示すように構成することもできる。図4に示した第2の電源回路10Bは、エキサイタコイル6の他端にアノードが接続されたダイオードD10´と、該ダイオードのカソードに抵抗R1 ´を介してコレクタが接続されたNPNトランジスタTR5 と、トランジスタTR5 のコレクタベース間に接続された抵抗R11と、トランジスタTR5 のベースと接地間にアノードを接地側に向けた接続されたツェナーダイオードZD1 ´と、トランジスタTR5 のエミッタと接地間に接続されたコンデンサC1 ´とにより構成されている。
【0112】
この電源回路10Bにおいては、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧が設定値以下の時にトランジスタTR5 が導通して第2の電源用コンデンサC1 ´に充電電流を流す。エキサイタコイルの負の半波の出力電圧が設定値を超えると、ツェナーダイオードZD1 ´が導通してエキサイタコイルから抵抗R1 ´とR11とを通してトランジスタTR5 ´のベースに与えられる電流を該トランジスタから側路するため、トランジスタTR5 ´が遮断状態になってコンデンサC1 ´の充電を停止する。したがって、コンデンサC1 ´の端子電圧(第2の電源回路10Bの出力電圧)は設定値以下に制限され、第2の電源回路10Bから過大な直流電圧が出力されるのが防止される。
【0113】
この例では、ダイオードD10´と、抵抗R1 ´及びR11と、トランジスタTR5 とにより、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧が設定値以下の時に第2の電源用コンデンサC1 ´を充電し、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧が設定値を超えたときに第2の電源用コンデンサC1 ´の充電を停止する充電制御回路が構成されている。
【0114】
なお図3及び図4に示した例において、第1の電源回路10AのレギュレータRegより前段の部分の回路(ダイオードD10と抵抗R1 とコンデンサC1 とツェナーダイオードZD1 とからなる回路)を図4に示した第2の電源回路10Bと同様の構成を有する回路で置き換えることもできる。
【0115】
上記の説明では、単気筒の内燃機関を点火する場合を例にとったが、多気筒内燃機関を点火する場合にも本発明を適用できるのはもちろんである。多気筒内燃機関を点火する場合には、例えば、磁石式交流発電機に気筒数分の固定子を設けて、各気筒用の固定子に設けたエキサイタコイル毎に上記の説明で示したものと同様の構成を有する点火装置を構成するようにすればよい。
【0116】
この場合、マイクロコンピュータは、各気筒用の点火装置毎に設けてもよいが、すべての気筒に対して共通に1つのマイクロコンピュータを設けて、該1つのマイクロコンピュータに、各気筒用のエキサイタコイルの負の半波の出力を波形整形して得た一連のパルス信号を入力することにより、すべての気筒用の点火装置の点火位置を1つのマイクロコンピュータで制御するようにしてもよい。
【0117】
なお1つのマイクロコンピュータにより複数気筒の点火位置を制御する場合には、複数の気筒に対してそれぞれ設けられたエキサイタコイルの負の半波の出力を波形整形して得たパルス信号が順次マイクロコンピュータに入力されるため、各パルス信号がいずれの気筒用のパルス信号であるのかを判別できるようにしておく必要がある。そのためには、例えば、マイクロコンピュータの複数のポートをそれぞれ複数の気筒用のパルス信号入力ポートとして割り当てておいて、各気筒用のエキサイタコイルの負の半波の出力を波形整形して得たパルス信号を各気筒用のパルス信号入力ポートに入力するようにすればよい。また特定の気筒用のエキサイタコイルの負の半波のいずれかのエッジをマイクロコンピュータに気筒判別信号として認識させて、この気筒判別信号を基準にして一連のパルス信号がいずれの気筒に対応するパルス信号であるかを識別する方法をとることもできる。
【0118】
また場合によっては、点火コイルの二次コイルに2つの点火プラグを接続する周知の同時発火コイルの構成をとることにより、1つの点火装置で2つの気筒を点火するようにすることもできる。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、内燃機関の始動時及び極低速時にエキサイタコイルの負の半波の出力電圧から機関の回転角度位置を検出して機関の始動時及び極低速時の点火位置を定めることができ、またマイクロコンビュータの動作が可能になる機関の定常運転時には、エキサイタコイルの負の半波の電圧から検出した機関の回転情報を用いて点火位置を演算して、演算した点火位置で機関を点火することができるため、磁石式交流発電機と別個にパルサを設けなくても、複雑な点火特性に対応し得る内燃機関用点火装置を得ることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のハードウェアの構成を示した回路図である。
【図2】本発明の他の実施形態のハードウェアの構成を示した回路図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態のハードウェアの構成を示した回路図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態のハードウェアの構成を示した回路図である。
【図5】(A)は本発明に係わる点火装置で用いる磁石式交流発電機の構成を示した構成図、(B)は同発電機から得られる出力電圧の波形を示した波形図である。
【図6】本発明の一実施形態において用いる波形整形回路の動作を説明するための波形図である。
【図7】本発明の他の実施形態において用いる波形整形回路の動作を説明するための波形図である。
【図8】図1ないし図4に示した実施形態の各部の電圧波形を機関のクランク軸の回転角に対して示した波形図である。
【図9】本発明の実施形態の動作を説明するための波形図である。
【図10】本発明の実施形態において定常時点火制御部のマイクロコンピュータに実行させるプログラムのメインルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態において定常時点火制御部のマイクロコンピュータに実行させるプログラムのパルスエッジ割込みルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態において定常時点火制御部のマイクロコンピュータに実行させるプログラムの点火タイマ割込みルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図13】本発明に係わる点火装置で得られる点火特性の一例及び従来の点火装置による場合の点火特性を示した線図である。
【図14】従来の点火装置の構成を示した回路図である。
【符号の説明】
6…エキサイタコイル、10…制御用電源回路、11…波形整形回路、12…極低速時点火制御部、13…定常運転時点火制御部、14…オア回路、IG…点火コイル、Ci …点火用コンデンサ、Thi…放電用サイリスタ。

Claims (9)

  1. 内燃機関のクランク軸に取り付けられた回転体と該回転体の外周に取り付けられた1つの永久磁石とを有して前記永久磁石と該永久磁石に隣接する前記回転体の外周部とにより3極の磁石界磁が構成された磁石回転子と、前記磁石回転子の磁石界磁に対向する磁極部を有する鉄心と該鉄心に巻装されたエキサイタコイルとを有して前記磁石回転子が1回転する間に第1の負の半波の電圧と正の半波の電圧と第2の負の半波の電圧とが順に現れる1サイクル半の交流電圧を前記エキサイタコイルから出力する固定子とを備えた磁石式交流発電機と、点火コイルと、前記点火コイルの一次側に設けられて前記エキサイタコイルが出力する正の半波の電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、前記点火用コンデンサが一方の極性に充電されている状態で点火信号が与えられたときに導通して前記点火用コンデンサの電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタと、前記放電用サイリスタに前記点火信号を与える点火制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
    前記エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧を制御用の直流電圧に変換する制御用電源回路と、前記エキサイタコイルが出力する第1及び第2の負の半波の電圧をそれぞれ波形整形して矩形波状の第1及び第2のパルス信号に変換する波形整形回路とが設けられ、
    前記磁石式交流発電機は、前記第2のパルス信号の立上りのエッジの位置または立下がりのエッジの位置が前記内燃機関の始動時の点火位置として適した位置に一致するように設けられ、
    前記点火制御部は、
    前記制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として、前記第1及び第2のパルス信号のそれぞれの立上りのエッジまたは立下がりのエッジを検出したときに前記放電用サイリスタに前記点火信号を供給するハードウェア回路からなる極低速時点火制御部と、
    前記第1及び第2のパルス信号から前記内燃機関の回転情報を得て、前記制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として動作するマイクロコンピュータにより前記内燃機関の各回転速度における点火位置の演算と演算した点火位置の検出とを行って、演算した点火位置を検出したときに前記放電用サイリスタに前記点火信号を与える定常時点火制御部と、
    を備えているコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  2. 内燃機関のクランク軸に取り付けられた回転体と該回転体の外周に取り付けられた1つの永久磁石とを有して前記永久磁石と該永久磁石に隣接する前記回転体の外周部とにより3極の磁石界磁が構成された磁石回転子と、前記磁石回転子の磁石界磁に対向する磁極部を有する鉄心と該鉄心に巻装されたエキサイタコイルとを有して前記磁石回転子が1回転する間に第1の負の半波の電圧と正の半波の電圧と第2の負の半波の電圧とが順に現れる1サイクル半の交流電圧を前記エキサイタコイルから出力する固定子とを備えた磁石式交流発電機と、点火コイルと、前記点火コイルの一次側に設けられて前記エキサイタコイルが出力する正の半波の電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、前記点火用コンデンサが一方の極性に充電されている状態で点火信号が与えられたときに導通して前記点火用コンデンサの電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタと、前記放電用サイリスタに前記点火信号を与える点火制御部とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
    前記エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧を制御用の直流電圧に変換する制御用電源回路と、前記エキサイタコイルが出力する第1及び第2の負の半波の電圧をそれぞれ波形整形して矩形波状の第1及び第2のパルス信号に変換する波形整形回路とが設けられ、
    前記磁石式交流発電機は、前記第2のパルス信号の立上りのエッジの位置または立下がりのエッジの位置が前記内燃機関の始動時の点火位置として適した位置に一致するように設けられ、
    前記点火制御部は、前記制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として、前記第1及び第2のパルス信号のそれぞれの立上りのエッジまたは立下がりのエッジを検出したときに前記放電用サイリスタに前記点火信号を供給するハードウェア回路からなる極低速時点火制御部と、前記制御用電源回路から得られる直流電圧を電源電圧として動作するマイクロコンピュータを備えた定常時点火制御部と、キャンセル指令が与えられているときに導通して前記極低速時点火制御部から前記放電用サイリスタに与えられる点火信号を該放電用サイリスタから側路する点火信号キャンセル用スイッチとを備えてなり、
    前記定常時点火制御部のマイクロコンピュータは、前記第1及び第2のパルス信号の信号幅と第1及び第2のパルス信号の発生間隔とから前記第1のパルス信号及び第2のパルス信号を判別して判別した一方のパルス信号の立上りまたは立下がりのエッジの位置を基準位置として検出する基準位置検出手段と、前記第1及び第2のパルス信号の少なくとも一方を用いて前記内燃機関の回転速度を検出するためのデータを求める回転速度検出手段と、検出された回転速度に対する前記内燃機関の点火位置を前記基準位置から該点火位置まで機関のクランク軸が回転するのに要する時間の形で演算する点火位置演算手段と、前記基準位置が検出されたときに前記点火位置の計測を開始して、該点火位置の計測が完了したときに前記放電用サイリスタに点火信号を与える点火位置検出手段と、前記内燃機関の回転速度が設定値を超えているときに前記キャンセル指令を発生するキャンセル指令発生手段とを構成するようにプログラムされているコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  3. 前記第1のパルス信号の立下がりのエッジの位置を前記基準位置とする請求項2に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  4. 前記極低速時点火制御部は、前記制御用電源回路の出力電圧で電流制限素子と前記放電用サイリスタのゲートカソード間とを通して充電される点火信号供給用コンデンサと、前記パルス信号をベース信号として導通して前記点火信号供給用コンデンサの充電電流を該コンデンサから側路するように設けられたトランジスタと、該トランジスタが導通したときに前記点火信号供給用コンデンサの電荷を前記トランジスタを通して放電させるように前記点火信号供給用コンデンサと前記トランジスタとの間を結合するダイオードとを備えていて、前記第1のパルス信号及び第2のパルス信号の立下がりのエッジで前記放電用サイリスタに点火信号を与える請求項2または3に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  5. 前記回転速度検出手段は、前記第1のパルス信号の立上がりのエッジ位置または立下がりのエッジ位置が検出されてから前記クランク軸が1回転した後の同じ位置が検出されるまでの経過時間を前記内燃機関の平均回転速度を検出するためのデータとして求める平均速度検出手段を備えている請求項4に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  6. 前記第1及び第2のパルス信号は前記マイクロコンピュータの一つのポートに入力され、
    前記回転速度検出手段は、
    前記ポートに入力される信号の認識モードを、信号の立上りのエッジを認識する第1のモードと信号の立下がりのエッジを認識する第2のモードとに切り替える信号認識モード切替手段と、
    前記第1のパルス信号の立上りのエッジを認識したときに瞬時速度計測用の計時を開始して、前記ポートに入力される信号の認識モードを第2のモードに切り替える瞬時速度計測開始手段と、前記第1のパルス信号の立下がりのエッジを認識したときに前記瞬時速度計測用の計時を終了して前記信号認識モードを前記第1のモードに切り替える瞬時速度計測終了手段と、前記第1のパルス信号の立上りのエッジが認識された時の時刻から立下がりのエッジが認識された時の時刻までの間に計測された時間を前記内燃機関の瞬時回転速度を検出するためのデータとして求める瞬時速度検出手段と、
    を備えている請求項4に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  7. 前記キャンセル指令発生手段は、前記第1のパルス信号の立上りのエッジが認識されてから前記第2のパルス信号の立上りのエッジが認識されるまでの間前記キャンセル指令を発生するように構成されている請求項2ないし6のいずれか一つに記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  8. 前記波形整形回路は、前記エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ前記第1のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせ、前記エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧の立上がり側のゼロ点及びピーク点でそれぞれ前記第2のパルス信号の立上がり及び立下がりのエッジを生じさせるように構成されている請求項1ないし7のいずれか一つに記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
  9. 前記波形整形回路は、前記エキサイタコイルが出力する第1の負の半波の電圧が一定のしきい値レベルを超えている間前記第1のパルス信号を発生させ、前記エキサイタコイルが出力する第2の負の半波の電圧が一定のしきい値レベルを超えている間前記第2のパルス信号を発生させるように構成されている請求項1ないし7のいずれか一つに記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
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