JP3117917B2 - 旋回型チャイルドシート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に搭乗する
乳幼児を座席上に安全に拘束するために、車両等の座席
上に据え付ける旋回型チャイルドシートに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】車両等の座席は、通常、大人用に設計さ
れていて、そこに乳幼児が座る場合には、その座席に装
備されているシートベルトでは適切な拘束ができない。
そこで、大人用の座席の上に据え付けることで、乳幼児
を適切に拘束できる乳幼児用の座席を提供するチャイル
ドシートが種々開発されている。このチャイルドシート
は、大人用の座席に装備されているシートベルトで座席
に据え付ける構成で、着座した乳幼児の安全性や快適性
を向上させるため、また、取り扱い性を向上させるため
に、種々の工夫が凝らされる。

【０００３】図９及び図１０は、従来のチャイルドシー
トを示したものである。ここに示したチャイルドシート
１は、いわゆる、旋回型チャイルドシートと呼ばれてい
るもので、車両等の座席に装備されているシートベルト
を挿通するシートベルト挿通部２ａを有して前記シート
ベルトによって前記座席に固定される台座２と、乳幼児
が座る座部３ａとこの座部３ａに座った乳幼児を背側か
ら支える背部３ｂとを一体的に形成したシート本体３
と、このシート本体３に装備されて該シート本体３に座
った乳幼児を拘束する拘束ベルト４と、前記シート本体
３を前記台座２に旋回可能に連結するシート旋回機構５
と、前記シート本体３を前記台座２に傾倒可能に連結す
るリクライニング機構６とを備えた構成を成している。

【０００４】ここに、シート旋回機構５は、前記台座２
に旋回自在に取り付けられた回転盤７と、該回転盤７を
所定の回転位置で台座２に固定する旋回固定レバー８と
を備えた構成をなしている。また、前記リクライニング
機構６は、前記シート本体３の座部３ａの下面に前後方
向に伸びて装備されたレール９と、前記回転盤７に固定
装備されると共に前記レール９を前後方向に摺動自在に
支持したレール支持部材１０と、前記レール９を所定の
摺動位置でレール支持部材１０に固定する摺動固定部材
（図示略）とを備えた構成をなしている。前記レール９
は、略円弧形に湾曲していて、該レール９が摺動する
と、シート本体３がレール９の曲率中心を回転中心とし
て揺動して、シート本体３の傾きが変る。

【０００５】以上のチャイルドシート１では、乳幼児が
楽な姿勢で座っていられるようにシート本体３の傾きを
リクライニング機構６で調整することができ、また、シ
ート旋回機構５によってシート本体３を自動車ドア側へ
と横向きにすることで、乳幼児をシート本体３へ乗り降
りさせる作業が容易になる等の利便が得られる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述したチ
ャイルドシート１では、シート旋回機構５の上にリクラ
イニング機構６が重なり、さらにこのリクライニング機
構６の上にシート本体３が重なる構成で、座部３ａの位
置が高くなるという問題があった。この座部３ａの位置
が高くなると、その分、そこに座った乳幼児の重心位置
が高くなり、車両の加速時や制動時に着座している乳幼
児にかかるモーメントが大きくなるという危険を招く。
また、そのような大きなモーメントに耐え得るように、
使用している部品の肉厚を増強するなどの対処が必要に
なり、結果的に、重量の増大を招き、さらに、不利にな
る虞があった。

【０００７】また、シートベルトによる安全な拘束を実
現する上では、乗員に装着したシートベルトは、乗員の
腰骨の上を通った状態で係止させることが好ましい。そ
のため、シートベルトの端部を固定する固定用バックル
は、大人が適正に座席に座れば、理想位置でシートベル
トを係止できるように、高さ位置が設定されている。と
ころが、前述したチャイルドシート１では、シート旋回
機構５の構造等のために、シートベルト挿通部２ａの装
備位置がかなり低い位置になっており、シートベルトの
挿通高さが、固定用バックルの装備高さよりも低くなっ
て、台座２の座席への固定が不安定になるおそれがあっ
た。

【０００８】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、シート旋回機構とリクライニング機構と
を備えた旋回型チャイルドシートであって、シート本体
の座部の位置を低く抑えることができ、車両の加速時等
に乳幼児に作用するモーメントを軽減して安全性の向上
を図ることができ、また、シートベルトによって車両等
の座席に固定する台座においては、シートベルトの挿通
高さを、座席側に装備された固定用バックルの高さ位置
に合った高い位置に設定することができて、台座の座席
への固定が不安定になることを防止することができる旋
回型チャイルドシートを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の旋回型チャイル
ドシートは、車両等の座席上に載置されると共に前記座
席に装備されているシートベルトによって前記座席に固
定される台座と、乳幼児が座る座部とこの座部に座った
乳幼児を背側から支える背部とを一体的に形成したシー
ト本体と、このシート本体に装備されて該シート本体に
座った乳幼児を拘束する拘束ベルトと、前記シート本体
を前記台座に旋回可能に連結するシート旋回機構と、前
記シート本体を前記台座に傾倒可能に連結するリクライ
ニング機構とを備えて成る旋回型チャイルドシートであ
って、上記目的を達成するために、前記シート旋回機構
は、前記シート本体の座部の略球殻形の下面の中央部が
落込み可能な大径のリング形をなした旋回リングと、該
旋回リングを回転自在に前記台座に連結する連結手段
と、前記連結手段に対する旋回リングの回転を固定する
旋回固定手段とを備えた構成としている。

【００１０】また、台座上のシートベルト挿通高さ位置
を、前記座部の略球殻形の下面の中央部が前記旋回リン
グ内に落込んだ垂直方向の距離の値を超えない範囲内で
高くして、シートベルトによる台座の座席への固定をよ
り安定化している。さらに、前記リクライニング機構
を、前記シート本体の座部の略球殻形の下面に沿う円弧
形を呈すると共に前記座部の下面中央を前後方向に横断
する如く前記座部の下面に固定されたレールと、前記旋
回リングに取り付けられて前記レールを摺動可能に把持
するレールガイド手段と、シート本体を所定の傾斜角度
で固定するべく前記レールの摺動を止める角度固定手段
とを具備した構成としている。

【００１１】そして、別の実施例としての旋回型チャイ
ルドシートは、シート旋回機構の連結手段を、前記旋回
リングに装備された連結用鍔部が摺動可能に嵌合する溝
部を有した駒形のブッシュと、該ブッシュを台座に固定
するブッシュ固定金具とを備えた構成となし、前記旋回
リングの連結用鍔部の周方向に離間した複数箇所を前記
ブッシュを介して台座に連結することで、前記旋回リン
グを回転自在に台座に連結するようにしている。

【００１２】さらに、この旋回型チャイルドシートは、
リクライニング機構の角度固定手段を、前記シート本体
の座部の前縁寄りの中央部に装備され、かつ、レールの
摺動を止めた状態を解除するには、解除レバーの操作と
して、まず、座部に座った乳幼児から見て前方水平方向
にその乳幼児の座った位置からの力では動かせない程度
の力で引く第１の操作と、次に引いた状態で上方へ持ち
上げる第２の操作から成る２段階の操作が必要となる構
成としている。

【００１３】そして、以上のような構成としたことによ
り、シート本体の座部の略球殻形の下面の中央部や、該
座部の下面に取り付けられるリクライニング機構のレー
ルの一部が、シート旋回機構の旋回リングの中央の空間
に落込み、その落込み分だけ、シート本体の座部の位置
を低く抑えることができ、それによって、該シート本体
に座る乳幼児の高さ位置を下げることが可能になり、車
両の加速時等に乳幼児に作用するモーメントを軽減して
安全性の向上を図ることができる。

【００１４】そして、シート旋回機構が、リング形の旋
回リングと、該旋回リングを台座に連結する連結手段と
を備えた構成で、回転円盤を使用した従来のものと比較
すると、軽量化を図ることができる。また、シート旋回
機構の旋回リングは、大径化によって、シート本体の座
部の下面やリクライニング機構のレールの一部の落込み
量を増大させることができ、シート本体の座部の位置を
低く抑えつつ、シート旋回機構の設置高さを高くするこ
とができ、シート旋回機構の設置高さを高くすること
で、台座上のシートベルトの挿通高さを、座席側に装備
された固定用バックルの高さ位置に合った高い位置に設
定可能になり、シートベルトによる台座の座席への固定
が不安定になることを防止することができる。大径のリ
ング形を呈したシート旋回機構の旋回リングは、その周
上の複数箇所で台座に連結され、台座への連結箇所が大
径の円周状に分散するため、旋回リングの台座への連結
が堅固でかつ制動時等にガタの生じにくい安定した連結
となる。そして、大径のリング形を呈した旋回リングを
複数箇所で連結するため、各連結手段の取り付け位置の
調整等で、旋回リングに生じた寸法誤差等を吸収させる
ことができ、旋回リングに生じた寸法誤差等に拘らず円
滑な旋回性を確保することができる。

【００１５】また、シート本体の座部の前縁寄りの中央
部は、該シート本体に乳幼児が座っても、座った乳幼児
の両足の間に露出する部分で、隠れることがない。本発
明のようなシート本体の座部の前縁寄りの中央部にリク
ライニング機構の角度固定手段を装備した構成とすれ
ば、該角度固定手段は、視認し易い位置に露出すること
になり、操作し易い。しかも、該角度固定手段は、レー
ルの摺動を止めた状態を解除するために、解除レバーの
操作として、２段階の操作が必要となる構成としたた
め、座っている乳幼児が誤操作してしまうことも防止で
き、リクライニング機構の操作性と安全性とを両立させ
ることができる。とくに、その２段階の操作も、座部に
座った乳幼児にとって操作難度の高い（１）その乳幼児
の座った位置からの力では動かせない程度の力でしかも
（手前ではなくて）前方水平方向に引く第１の操作と、
（２）次に、引いた状態で（下方へではなくて）上方へ
持ち上げる第２の操作から成る、座った乳幼児にとって
は極めて不自然で不可能な操作から成る構成としたの
で、乳幼児が座った位置からするいたずらや偶発的な動
作では絶対に解除できないようにしてある。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、図示実施形態により、本発
明を説明する。図１乃至図８は本発明に係る旋回型チャ
イルドシートの一実施形態を示したもので、図１は本発
明の第１実施形態としての旋回型チャイルドシート１１
の車両等の座席に取り付けた状態を示す外観図、図２は
本発明の一実施形態の旋回型チャイルドシート１１の縦
断面図、図３は本発明の一実施形態の旋回型チャイルド
シート１１において、台座に取り付けられたシート旋回
機構を示す平面図、図４は 本発明の一実施形態の旋回
型チャイルドシート１１において、台座に取り付けられ
たリクライニング機構を示す平面図、図５は図２のＡ部
の拡大図、図６は図２におけるＢ−Ｂ線に沿う断面図、
図７は図３におけるＣーＣ線に沿う断面図、図８は図５
におけるＤ−Ｄ線に沿う断面図である。

【００１７】この一実施形態の旋回型チャイルドシート
１１は、車両等の座席１２上に載置されると共に前記座
席１２に装備されているシートベルト１３によって前記
座席１２に固定される台座１５と、乳幼児が座る座部１
７とこの座部１７に座った乳幼児を背側から支える背部
１８とを一体的に形成したシート本体１９と、このシー
ト本体１９に装備されて該シート本体１９に座った乳幼
児を拘束する拘束ベルト２１と、前記シート本体１９を
前記台座１５に旋回可能に連結するシート旋回機構２３
と、前記シート本体１９を前記台座１５に傾倒可能に連
結するリクライニング機構２５とを備えた構成をなして
いる。

【００１８】前記シート旋回機構２３は、図２及び図３
及び図５に示すように、前記シート本体１９の座部１７
の略球殻形の下面１７ａの中央部が落込み可能な大径の
リング形をなした旋回リング２７と、該旋回リング２７
を回転自在に前記台座１５に連結する連結手段２８と、
前記連結手段２８に対する旋回リング２７の回転を固定
する旋回固定手段２９とを備えた構成をなしている。

【００１９】そして、前記シート旋回機構２３の連結手
段２８は、前記旋回リング２７の下縁の全周に渡って装
備された連結用鍔部２７ａが摺動可能に嵌合する溝部３
０ａを有した駒形のブッシュ３０と、該ブッシュ３０を
台座１５に固定するブッシュ固定金具３２とを備えた構
成をなしている。前記台座１５上には、図３に示すよう
に、前記旋回リング２７の連結用鍔部２７ａに沿う円周
上の複数箇所（図では、６箇所）にブッシュ３０が装着
され、これらの複数個のブッシュ３０をブッシュ固定金
具３２を介して台座１５にねじ止めすることで、前記旋
回リング２７を回転自在に台座１５に連結している。

【００２０】前記ブッシュ３０は、金属製の旋回リング
２７の摺動が、滑らかに、かつ静かにできるように、滑
り抵抗が小さく、かつ適度な耐摩耗性と機械的強度を有
した樹脂材の成形品とされているが、金属等で形成する
こともできる。前記ブッシュ固定金具３２は、図５にも
示すように、ねじ部材３４により台座１５に固定される
ものである。また、このブッシュ固定金具３２は、ねじ
部材３４により台座１５にねじ止めされリング状の下部
フランジ部３２ａと、該下部フランジ部３２ａから突出
した複数個のブッシュ抑え部３２ｂとを備えた構成とさ
れている。なお、ブッシュ抑え部３２ｂは、リング状で
もよい。

【００２１】前記旋回固定手段２９は、図７に示すよう
に、前記旋回リング２７に貫通形成された係合孔２７ｃ
と、旋回リング２７の内側で該旋回リング２７の半径方
向に移動可能に台座１５に支持された係止片３５と、該
係止片３５の一端に連結され該係止片３５を半径方向に
移動操作させる操作部となる押し釦３６と、該押し釦３
６を半径方向外方に付勢する付勢手段（図示略）とを備
えた構成で、その付勢手段によって押し釦３６が最大に
押し出された状態では、前記係止片３５の先端部が前記
係合孔２７ｃに嵌入して旋回リング２７の回転を阻止す
る。従って、押し釦３６を、図７で矢印（イ）方向に押
圧して、係止片３５を矢印（ハ）で示す半径方向内方に
押し込めば、係止片３５の先端部が係合孔２７ｃから抜
け出し、旋回リング２７は旋回自在の状態になる。シー
ト本体１９が前向きの状態、又は横向きに旋回した状態
等で、固定できるように、前記係合孔２７ｃは旋回リン
グ２７の周方向の数箇所に装備される。また、この一実
施形態の場合、押し釦３６の装備位置は、大人が操作し
易いように、図１に示すように、台座１５の前面部のや
や左側面寄りの位置に設定されている。

【００２２】また、図７にも示すように、以上のシート
旋回機構２３において、旋回リング２７の上部には、外
径方向に斜めに張り出したフランジ部２７ｄが装備され
ている。このフランジ部２７ｄは、制動時にかかるモー
メント等によってシート本体１９が一定以上ガタついた
場合に、シート本体１９の座部１７の下面の外周縁に面
接触して、該シート本体１９を支えるように、延出角度
や、長さが設定されている。

【００２３】前記リクライニング機構２５は、図２に示
すように、前記シート本体１９の座部１７の略球殻形の
下面１７ａに沿う円弧形を呈すると共に前記座部１７の
下面中央を前後方向に横断する如く前記座部１７の下面
に固定されたレール３７と、前記旋回リング２７に取り
付けられて前記レール３７を摺動可能に把持するレール
ガイド手段３８と、シート本体１９を所定の傾斜角度で
固定するべく前記レール３７の摺動を止める角度固定手
段３９とを具備した構成をなしている。

【００２４】前記レール３７は、図２及び図４に示すよ
うに、シート本体１９の下面及び背面の構造を提供する
構造部材である樹脂製のシェル１９ａに、ねじ部材４
１，４２等によってねじ止めされている。このレール３
７は、両側縁が、前記レールガイド手段３８によって摺
動可能に保持されるフランジ部３７ａとなっている。ま
た、このレール３７の曲率は、前記シート旋回機構２３
によるシート本体１９の旋回中心軸Ｑ上に曲率中心Ｏが
位置するように、設定されている。

【００２５】そして、前記レールガイド手段３８は、図
６に示すように、前記フランジ部３７ａが摺動可能に嵌
合する溝部４４ａを有した所定長さのブッシュ４４と、
該ブッシュ４４を固定するブッシュ固定金具４５とを備
えた構成をなしている。前記ブッシュ４４の装備箇所
は、図２に示すように、シートの前端寄りで前記旋回リ
ング２７とレール３７とが交差する位置、及びシートの
後端寄りで前記旋回リング２７とレール３７とが交差す
る位置の２箇所である。前記ブッシュ固定金具４５は、
両側に前記ブッシュ４４を保持する略コ字状のブッシュ
保持部４５ａを装備したもので、前記レール３７に沿っ
て延在しており、両端部をねじ部材４７によって旋回リ
ング２７のフランジ部２７ｄに固定することで、旋回リ
ング２７に一体化されている。

【００２６】前記ブッシュ４４は、金属製のレール３７
の摺動が、滑らかに、かつ静かにできるように、滑り抵
抗が小さく、かつ適度な耐摩耗性と機械的強度を有した
樹脂材の成形品とされているが、金属等で形成すること
もできる。

【００２７】リクライニング機構２５の角度固定手段３
９は、前記シート本体１９の座部１７の前縁寄りの中央
部に装備されたもので、図５に示すように、レール３７
に固定された支持ブラケット４８と、この支持ブラケッ
ト４８に形成された前後方向に長い長孔４８ａに嵌合す
るピン部４９ａを有して前記長孔４８ａの延在方向に移
動可能に支持された解除レバー４９と、前記ピン部４９
ａが前記長孔４８ａの後端に当接するように解除レバー
４９を付勢するばね部材５０と、前記解除レバー４９が
前記ピン部４９ａを回動中心として上方に回動操作され
ると該解除レバー４９の先端部によって回動させられる
ロックレバー５１とを具備した構成とされている。

【００２８】前記支持ブラケット４８には、前記解除レ
バー４９の上方への回動を規制する押え部が形成されて
いる。この押え部による規制は、前記ピン部４９ａが長
孔４８ａの前端部に当接するまで、前記解除レバー４９
を前方に引き出すと、解除されるようになっている。従
って、前記解除レバー４９は、先端の屈曲部４９ｂに指
を引っ掛けて、前記ばね部材５０に抗して前方（図５の
矢印（ロ）方向）に所定量引き出すと、上方へ回動可能
になる。

【００２９】前記ロックレバー５１は、図２及び図８に
示すように、レール３７に回動自在に支持されるピン部
５１ａと、前記解除レバー４９の先端部の下面に当接さ
れるアーム部５１ｂと、前記ブッシュ固定金具４５に貫
通形成したロック孔４５ｃに嵌合するロック片５１ｃ
と、該ロック片５１ｃがロック孔４５ｃに嵌合した状態
に維持されるように前記ロックレバー５１を付勢するば
ね部材５４とを備えた構成である。

【００３０】以上の角度固定手段３９では、前記解除レ
バー４９を前方に所定量引き出した後に、該解除レバー
４９を上方へ回動させるという２段階の操作を行なう
と、該解除レバー４９の先端部によって前記アーム部５
１ｂが押下されて、該ロックレバー５１が図２で反時計
方向に回動して、ロック片５１ｃがロック孔４５ｃから
外れた状態になって、レール３７は摺動自在になる。そ
して、レール３７を任意量摺動させた状態で、前記解除
レバー４９から指を離せば、解除レバー４９やロックレ
バー５１はばね部材５０，５４により元の状態に復帰し
ようとし、レール３７をそのまま摺動させれば、ロック
片５１ｃとロック孔４５ｃとの位置が合致した時点で、
ロック片５１ｃがロック孔４５ｃに嵌合して、レール３
７がブッシュ固定金具４５に固定された状態になる。

【００３１】前記ロック孔４５ｃは、前後方向に適宜間
隔で３箇所装備されていて、これによって、この一実施
形態の角度固定手段３９では、シート本体１９の傾斜を
３段階に変えられる。

【００３２】また、この一実施形態の旋回型チャイルド
シート１１では、図２に示すように、シート旋回機構２
３によってシート本体１９が旋回する平面と車両等の座
席１２の座面とのなす挟角θが、約１５゜となるよう
に、シート旋回機構２３の旋回中心軸Ｑの傾き等を調整
している。車両等の座席１２の座面１２ａは、一般に水
平面に対して１５゜前後の傾きが付けられており、前述
のような挟角θを設定しておくと、座席１２に設置した
旋回型チャイルドシート１１では、シート旋回機構２３
によるシート本体１９の旋回が、略水平なり、乗降のた
めにシート本体１９を横向きに旋回させた場合等にも、
乗っている乳幼児が傾かず、乗降作業が容易になる。

【００３３】以上の一実施形態の旋回型チャイルドシー
ト１１では、シート本体１９の座部１７の略球殻形の下
面１７ａの中央部や、該座部１７の下面に取り付けられ
るリクライニング機構２５のレール３７の一部が、シー
ト旋回機構２３の旋回リング２７の中央の空間に落込
み、その落込み分だけ、シート本体１９の座部１７の位
置を低く抑えることができ、それによって、該シート本
体１９に座る乳幼児の高さ位置を下げることが可能にな
り、車両の加速時等に乳幼児に作用するモーメントを軽
減して安全性の向上を図ることができる。

【００３４】そして、シート旋回機構２３が、リング形
の旋回リング２７と、該旋回リング２７を台座１５に連
結する連結手段２８とを備えた構成で、回転円盤を使用
した従来のものと比較すると、軽量化を図ることができ
る。

【００３５】また、シート旋回機構２３の旋回リング２
７は、大径化によって、シート本体１９の座部１７の下
面やリクライニング機構２５のレール３７の一部の落込
み量を増大させることができ、シート本体１９の座部１
７の位置を低く抑えつつ、シート旋回機構２３の設置高
さを高くすることができ、シート旋回機構２３の設置高
さを高くすることで、図１に示したように、台座１５上
のシートベルト１３の挿通高さを、座席１２側に装備さ
れた固定用バックル６０の高さ位置に合った高い位置に
設定可能になり、シートベルト１３による台座１５の座
席１２への固定が不安定になることを防止することがで
きる。

【００３６】また、大径のリング形を呈したシート旋回
機構２３の旋回リング２７は、その周上の複数箇所で連
結手段２８を介して、台座１５に連結され、台座１５へ
の連結箇所が大径の円周状に分散するため、旋回リング
２７の台座１５への連結が堅固でかつ制動時等にガタの
生じにくい安定した連結となる。そして、大径のリング
形を呈した旋回リング２７を複数箇所で連結するため、
各連結箇所におけるブッシュ３０等で、旋回リング２７
に生じた寸法誤差等を吸収させることができ、旋回リン
グ２７に生じた寸法誤差等に拘らず円滑な旋回性を確保
することができる。

【００３７】また、この一実施形態では、シート旋回機
構２３で使用する大径の旋回リング２７の上部には、車
両の制動時に作用するモーメント等でシート本体１９が
一定以上に大きくガタ付く場合等に、シート本体１９の
下面に当接して、該シート本体１９を支えるフランジ部
２７ｄが装備されているため、シート本体１９に発生す
るガタつきや揺れを小さく抑えることができる。

【００３８】また、シート本体１９の座部１７の前縁寄
りの中央部は、該シート本体１９に乳幼児が座っても、
座った乳幼児の両足の間に露出する部分で、隠れること
がない。従って、一実施形態のように、シート本体１９
の座部１７の前縁寄りの中央部にリクライニング機構２
５の角度固定手段３９を装備した構成であれば、該角度
固定手段３９は、視認し易い位置に露出することにな
り、操作し易い。しかも、該角度固定手段３９は、レー
ル３７の摺動を止めた状態を解除するための解除レバー
の操作として、２段階の操作が必要となる構成としたた
め、座っている乳幼児が誤操作してしまうことも防止で
き、リクライニング機構２５の操作性と安全性とを両立
させることができる。

【００３９】

【発明の効果】以上のように、本発明の旋回型チャイル
ドシートは、シート本体の座部の略球殻形の下面の中央
部や、該座部の下面に取り付けられるリクライニング機
構のレールの一部が、シート旋回機構の旋回リングの中
央の空間に落込み、その落込み分だけ、シート本体の座
部の位置を低く抑えることができ、それによって、該シ
ート本体に座る乳幼児の高さ位置を下げることが可能に
なり、車両の加速時等に乳幼児に作用するモーメントを
軽減して安全性の向上を図ることができる。

【００４０】また、シート旋回機構が、リング形の旋回
リングと、該旋回リングを台座に連結する連結手段とを
備えた構成で、回転円盤を使用した従来のものと比較す
ると、軽量化を図ることができ、さらに、シート旋回機
構の旋回リングは、大径化によって、シート本体の座部
の下面やリクライニング機構のレールの一部の落込み量
を増大させることができ、シート本体の座部の位置を低
く抑えつつ、シート旋回機構の設置高さを高くすること
ができ、シート旋回機構の設置高さを高くすることで、
台座上のシートベルトの挿通高さを、座席側に装備され
た固定用バックルの高さ位置に合った高い位置に設定可
能になり、シートベルトによる台座の座席への固定が不
安定になることを防止することができる。

【００４１】そして、大径のリング形を呈したシート旋
回機構の旋回リングは、その周上の複数箇所で台座に連
結され、台座への連結箇所が大径の円周状に分散するた
め、旋回リングの台座への連結が堅固でかつ制動時等に
ガタの生じにくい安定した連結となる。そして、大径の
リング形を呈した旋回リングを複数箇所で連結するた
め、各連結箇所に装備するブッシュ等で旋回リングに生
じた寸法誤差等を吸収させることができ、旋回リングに
生じた寸法誤差等に拘らず円滑な旋回性を確保すること
ができる。

【００４２】また、シート本体の座部の前縁寄りの中央
部は、該シート本体に乳幼児が座っても、座った乳幼児
の両足の間に露出する部分で、隠れることがない。本発
明の旋回型チャイルドシートでは、リクライニング機構
の角度固定手段は、視認し易い位置に露出することにな
り、操作し易い。しかも、該角度固定手段は、レールの
摺動を止めた状態を解除するための解除レバーの操作と
して、請求項４に記載のような極めて高難度の操作が２
段階も必要となる構成としたため、座っている乳幼児が
誤操作してしまうことも防止でき、リクライニング機構
の操作性と安全性とを両立させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る旋回型チャイルドシートの第１実
施形態の車両等の座席に取り付けた状態を示す外観図で
ある。

【図２】本発明の第１実施形態の旋回型チャイルドシー
トの縦断面図である。

【図３】本発明の第１実施形態の旋回型チャイルドシー
トにおいて、台座に取り付けられたシート旋回機構を示
す平面図である。

【図４】本発明の第１実施形態の旋回型チャイルドシー
トにおいて、台座に取り付けられたリクライニング機構
を示す平面図である。

【図５】図２のＡ部の拡大図である。

【図６】図２におけるＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【図７】図３におけるＣーＣ線に沿う断面図である。

【図８】図５におけるＤ−Ｄ線に沿う断面図である。

【図９】従来の旋回型チャイルドシートの斜視図であ
る。

【図１０】図９に示した旋回型チャイルドシートの縦断
面図である。

【符号の説明】

１１ 旋回型チャイルドシート １２ 車両等の座席 １３ シートベルト １５ 台座 １７ 座部 １７ａ 下面 １８ 背部 １９ シート本体 １９ａ シェル ２１ 拘束ベルト ２３ シート旋回機構 ２５ リクライニング機構 ２７ 旋回リング ２７ａ 係合孔 ２７ｄ フランジ部 ２８ 連結手段 ２９ 旋回固定手段 ３０ ブッシュ ３２ ブッシュ固定金具 ３５ 係止片 ３６ 押し釦 ３７ レール ３８ レールガイド手段 ３９ 角度固定手段 ４４ ブッシュ ４５ ブッシュ固定金具 ４５ｃ ロック孔 ４８ 支持ブラケット ４９ 解除レバー ５１ ロックレバー ５１ｃ ロック片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/00 - 2/72

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両等の座席上に載置されると共に前記
   座席に装備されているシートベルトによって前記座席に
   固定される台座と、 乳幼児が座る座部とこの座部に座った乳幼児を背側から
   支える背部とを一体的に形成したシート本体と、 このシート本体に装備されて該シート本体に座った乳幼
   児を拘束する拘束ベルトと、 前記シート本体を前記台座に旋回可能に連結するシート
   旋回機構と、 前記シート本体を前記台座に傾倒可能に連結するリクラ
   イニング機構と、 を備えて成る旋回型チャイルドシートであって、 前記シート旋回機構は、 前記シート本体の座部の略球殻形の下面の中央部が落込
   み可能な大径のリング形をなした旋回リングと、 該旋回リングを回転自在に前記台座に連結する連結手段
   と、 前記連結手段に対する旋回リングの回転を固定する旋回
   固定手段と、 を備えたことを特徴とする旋回型チャイルドシート。
2. 【請求項２】 請求項１記載の旋回型チャイルドシート
   において、 前記リクライニング機構は、 前記シート本体の座部の略球殻形の下面に沿う円弧形を
   呈すると共に前記座部の下面中央を前後方向に横断する
   如く前記座部の下面に固定されたレールと、 前記旋回リングに取り付けられて前記レールを摺動可能
   に把持するレールガイド手段と、 シート本体を所定の傾斜角度で固定するべく前記レール
   の摺動を止める角度固定手段と、 を備えたことを特徴とする旋回型チャイルドシート。
3. 【請求項３】 請求項１又は２記載の旋回型チャイルド
   シートにおいて、 前記台座上のシートベルト挿通高さ位置を、前記座部の
   略球殻形の下面の中央部が前記旋回リング内に落込んだ
   垂直方向の距離の値を超えない範囲内で高くして、シー
   トベルトによる台座の座席への固定をより安定化たこ
   と、 を特徴とする旋回型チャイルドシート。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれか１項記載の旋回
   型チャイルドシートにおいて、 前記シート旋回機構の連結手段は、 前記旋回リングに装備された連結用鍔部が摺動可能に嵌
   合する溝部を有した駒形のブッシュと、 該ブッシュを台座に固定するブッシュ固定金具と、 を備えた構成をなし、 前記旋回リングの連結用鍔部の周方向に離間した複数箇
   所を前記ブッシュを介して台座に連結することで、前記
   旋回リングを回転自在に台座に連結していること、 を特徴とする旋回型チャイルドシート。
5. 【請求項５】 請求項２記載の旋回型チャイルドシート
   において、 リクライニング機構の角度固定手段は、前記シート本体
   の座部の前縁寄りの中央部に装備され、かつ、レールの
   摺動を止めた状態を解除するには、解除レバーの操作と
   して、まず、座部に座った乳幼児から見て前方水平方向
   にその乳幼児の座った位置からの力では動かせない程度
   の力で引く第１の操作と、 次に引いた状態で上方へ持ち上げる第２の操作と、 から成ることを特徴とする旋回型チャイルドシート。