JP3116955B2 - 迅速処理可能なハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

迅速処理可能なハロゲン化銀写真感光材料

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JP3116955B2 JP02088786A JP8878690A JP3116955B2 JP 3116955 B2 JP3116955 B2 JP 3116955B2 JP 02088786 A JP02088786 A JP 02088786A JP 8878690 A JP8878690 A JP 8878690A JP 3116955 B2 JP3116955 B2 JP 3116955B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、迅速処理可能なハロゲン化銀写真感光材料
に関する。
〔発明の背景〕 ハロゲン化銀写真感光材料の分野では、迅速処理に対
する要請がますます大きくなっている。各々の分野に応
じ、一刻も早く画像を得たいという要求が強いからであ
る。かかる処理の迅速化の要請に対し、近年、迅速処理
化がかなり進んできたものの、まだまだ更に迅速化を求
める要望が強い。しかし、満足すべき迅速処理を実現す
るには、単に画像を迅速に得るというだけではなく、迅
速処理した場合でも感度が高く、粒状性の点でも良好な
画像が得られるものでなければならない。
よってこのような迅速化のためには、現像処理時間が
短くても感度や粒状性が良好なハロゲン化銀感光材料を
得ることが要請されるのであるが、従来までの技術で
は、このような要望に対して必ずしも充分に満足できる
ものではない。
上述のような要請を満足すべく、従来より種々の技術
により各種の感光材料が提案されている。例えば、増感
色素による色増感効率の向上等による感度の向上、感度
/粒状性の関係の改良、シャープネスの改良、またカバ
ーリングパワーの向上を意図して、平板粒子の製造法及
びその使用技術が提案されている(米国特許4,386,156
号、同4,504,570号、同4,478,929号、同4,414,304号、
同4,411,986号、同4,400,463号、同4,414,306号、同4,4
39,520号、同4,433,048号、同4,434,226号、同4,413,05
3号、同4,459,353号、同4,490,458号、及び同4,399,215
号)。
またこれら特異的な形状を有する平板粒子の感度の向
上技術として、米国特許4,435,501号、同4,459,353号
に、塩化銀ゲスト粒子をホスト平板粒子上の面積的に限
られた表面部位上に突起物としてエピタキシャルに沈着
させた平板粒子が開示されている。
一方、塩化銀ゲスト粒子をホスト粒子上にエピタキシ
ャルに沈着させることはベリー(Berry)及びスキルマ
ン(Skillman)によって「臭化銀微結晶における表面構
造とエピタキシャル成長」、ジャーナル・オブ・アプラ
イド・フィジックス、35巻、No.7、1964年7月、pp.216
5〜2169のなかで開示されている。
また、米国特許第3,804,629号は、ハロゲン化銀乳剤
の物理熟成及び脱塩工程後、化学熟成に先がけてハロゲ
ン化銀粒子上に塩化銀を沈着させることにより金属ダス
トに対するハロゲン化銀乳剤の安定性が改善されること
を開示している。この時、塩化銀はハロゲン化銀ホスト
粒子上に小突起を形成していることが示されている。
また、英国特許2,038,792Aには、臭化銀14面体粒子上
のコーナー部に選択的に塩化銀を沈着させる方法が開示
されている。
米国特許3,505,068号、同4,094,684号、同4,142,900
号には、沃化銀ホスト粒子上に塩化銀をエピタキシャル
に沈着させる技術が開示されている。
しかしながら上記のような塩化銀をホスト粒子上にエ
ピタキシャルに沈着させた粒子、即ち粒子の表面に突起
物を有する粒子は、熱力学的にきわめて不安定であり、
高い温度で、または長時間放置されることによって、粒
子形状が変化し、必然的に感度の低下及びかぶりの上昇
等をまねく。従ってハロゲン化銀乳剤の製造工程上、好
ましくない。
更に乳剤層を2層以上有する多層構成の感光材料にお
いては、自層は他層からの影響を受ける。例えば乳剤層
の塗布時に他層からのハロゲンイオン等の拡散によって
自層は影響を受けるために、粒子の表面に突起物を有す
る粒子は容易に粒子形状が変化し、単層に塗布していた
場合の性能を得るのは困難である。また、感光材料の保
存状態、即ち保存温度、保存湿度、保存時間等の影響に
よって、乳剤層間の色素、かぶり防止剤等が移動し、こ
れにより上記と同様な理由で保存安定性が問題となる。
更に塩化銀をエピタキシャルに沈着させたハロゲン化
銀粒子は、感度の向上と同時に、粒状性の悪化をしばし
ば伴う。即ちハロゲン化銀粒子の感度/粒状性の評価観
点からは、必ずしも十分な増感技術とは言えない。
一方、塩化銀でシェル付けした粒子は、ベリヒテ・デ
ア・ブンゼン・ゲゼルシャフト・フュア・フィジカリッ
シェ・ケミー67巻356頁(1963年)及び特公昭43−13162
号、特公昭56−18939号等に記載されている。
しかしながら、ベリヒテ・デア・ブンゼン・ゲゼルシ
ャフト・フュア・フィジカリッシェ・ケミー67巻356頁
(1963年)で示されているものは、立方体臭化銀のコア
粒子に、100Åの塩化銀のシェル付けをしたもので、ま
た特公昭43−13162号で示されている実施例は、一般的
なネガ型の現像液で処理されることが意図されていない
厚い塩化銀がシェル付けされているものである。厚い塩
化銀層を有する程度にまで塩化銀のシェルを被らせたこ
のような粒子は、いずれも、粒状性の悪化を伴うと同時
に、色素の吸着を通常悪化させる。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、きわめて迅速な処理が可能で、しか
もそのような迅速処理を行った場合でも良好な画像が得
られるハロゲン化銀写真感光材料を得ることにある。詳
しくは、現像処理時間を短くした時でも目的の感度、粒
状性を得ることができるハロゲン化銀写真感光材料を提
供することである。
〔発明の構成及び作用〕
上記目的を達成するため、本発明のハロゲン化銀写真
感光材料は、 少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲ
ン化銀感光材料において、 該ハロゲン化銀乳剤層の少なくともいずれか1層に、
粒子の内側のハロゲン化銀層が実質的に沃臭化銀から形
成され、粒子の表面のハロゲン化銀層が実質的に塩化銀
または塩臭化銀から形成されたハロゲン化銀粒子を含有
し、 かつ以下の工程による方法で測定した現像液中の膨潤
率が150〜250%であり、膨潤後の膜厚が25μm以下であ
り、 かつ50.0℃の水酸化ナトリウム1.5重量パーセントの
水溶液に無攪拌状態で浸漬した場合、ハロゲン化銀粒子
が支持体から離脱するまでの時間は10分間以上になるよ
うに硬膜剤の添加により硬膜したハロゲン化銀写真感光
材料であって、 現像時間9.2秒以下で処理する構成とする。
膨潤率の測定 イ.ハロゲン化銀写真感光材料における親水性コロイド
層の厚みを測定し、 ロ.該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分
間浸漬し、 ハ.工程イで測定した層の厚みと比較して、層の厚みの
変化の百分率を求める。
以下本発明について、更に詳述する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、少なくとも1
層のハロゲン化銀乳剤層を有するものである。ハロゲン
化銀乳剤層は、通常支持体上に塗設されて形成される
が、支持体の一方の面にのみ少なくとも1層のハロゲン
化銀乳剤層を有し、他方の面は例えば非感光性のバッキ
ング層となっているいわゆる片面感光材料であっても、
支持体の両側の面に各々少なくとも1層のハロゲン化銀
乳剤層を有するいわゆる両面感光材料であってもよい。
乳剤層は多層でもよいことは勿論であり、また、乳剤層
以外の層、例えば保護層、中間層、バッキング層等の非
感光層を有していてもよいことも勿論である。
本発明の感光材料を構成するハロゲン化銀乳剤層の少
なくともいずれか1層には、粒子の内側のハロゲン化銀
層が実質的に沃臭化銀から形成され、粒子の表面のハロ
ゲン化銀層が実質的に塩化銀または塩臭化銀から形成さ
れたハロゲン化銀粒子が含有される。以下このようなハ
ロゲン化銀粒子を適宜「本発明のハロゲン化銀粒子」と
称し、また、本発明のハロゲン化銀粒子を含有する乳剤
を適宜「本発明に係る乳剤」と称することもある。ま
た、実質的に沃臭化銀から形成された粒子の内側のハロ
ゲン化銀層を「内部沃臭化銀相」、実質的に塩化銀また
は塩臭化銀から形成された粒子の表面のハロゲン化銀層
を「塩化銀含有表面層」と称することもある。
本発明のハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀組成におい
て、上記「実質的に沃化銀から形成され」あるいは「実
質的に塩化銀または塩臭化銀から形成され」とは、本発
明の効果を阻害しない範囲で他のハロゲン化銀を含んで
いてもよいことを意味し、例えば内部沃臭化銀相には、
例えば1モル%以下程度の塩化銀を含有してもよいとい
うことである。
本発明のハロゲン化銀粒子は、塩化銀層含有表面が極
めて薄いことが好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子を製造する方法に特に制限
はないが、代表的な方法として、粒子表面に塩化銀含有
表面層を積層する際の成長途中のハロゲン化銀粒子表面
が高濃度の塩化銀となるようにハロゲン化銀を沈着させ
る方法があり、この方法により、容易に調製することが
できる。
例えば、塩化銀含有表面層を沈着により形成するに
は、該表面層を、内部沃臭化銀相となるハロゲン化銀粒
子の実質的な完成後、高温下にて表面に沈着させること
により形成することができる。塩化銀含有表面層の沈着
による形成は適宜の時期に行うことができ、ハロゲン化
銀粒子の沈澱が実質的に終了していれば、脱塩工程以前
でも以後でもいずれでもよい。化学熟成前、化学熟成
中、更には化学熟成の後においても、内部沃化銀相とな
るハロゲン化銀粒子上に沈着させることができる。沈着
させる塩化銀または塩臭化銀は、銀塩溶液と実質的に塩
化物溶液とをハロゲン化銀粒子上に添加して沈着させる
ようにすることもできるし、実質的に塩化銀または塩臭
化銀からなる乳剤を添加して熟成することにより沈着さ
せることもできる。ハロゲン化銀粒子上への塩化銀層の
沈着温度を高温とするか、もしくは沈着後高温の条件
(時間としては好ましくは5分〜60分)におくことが好
ましい。好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以
上、更に好ましくは40℃以上である。上限としては好ま
しくは80℃である。高温にて塩化銀含有表面層を沈着さ
せることにより、塩化銀含有表面層は熱力学的に不安定
なエピタキシャル沈着ではなく、粒子の表面に突起物の
ない安定な層としての沈着が達成できる。低温で塩化銀
含有表面層を沈着する場合には、適当なハロゲン化銀溶
剤を存在させてエピタキシャル沈着を回避することが可
能である。ハロゲン化銀溶剤としては例えばアンモニ
ア、ロダンカリ、または米国特許第3,271,157号、特開
昭51−12360号、特開昭53−82408号、特開昭53−144319
号、特開昭54−100717号もしくは特開昭54−155828号等
に記載のチオエーテル類及びチオン化合物が有用であ
る。
本発明のハロゲン化銀粒子の形状は、定常晶粒子が好
ましい。
ここで正常晶粒子とは、双晶面を有しない単結晶粒子
である。詳しくは「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグ
ラフィック・プロセス第4版」(The Theory of the Ph
otographic Process 4th ed)ティー・エイチ・ジェイ
ムス(T.H.James)編1977、マクミラン・パブリッシン
グ社(Macmillan Publishing Co.Inc.)などに記載があ
る。
具体的な形状としては、立方体、八面体、14面体、12
面体などが挙げられる。また特開昭62−123446、62−12
3447、62−124550、62−124551、62−124552号各公報に
示されるような、高次の面を持つ粒子でも双晶面を有し
ていなければ、本明細書でいう正常晶粒子である。
ハロゲン化銀粒子のサイズ分布は狭くても広くてもよ
いが、ハロゲン化銀粒子の変動係数は20%以下であるこ
とが好ましい。
次に、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、現像液
中の膨潤率が150〜250%であり、膨潤後の膜厚が25μm
以下であるものである。
膨潤率が250%を超えると、乾燥不良等の問題が生
じ、例えば自動現像機処理において、乾燥不良あるいは
通過不良を起こし易くなる。これらを解決するために、
例えば硬化剤を含有する定着液を用いることが考えられ
るが、この場合には硬化剤は通常の硬膜定着液に用いら
れる程度の量では解決できず、多量の硬化剤を用いない
と、乾燥性等は良好にできない。しかしこうすると、逆
に硬化剤が析出するなどの問題を生じ、処理後の感光材
料を汚染することになる。
また、膨潤率が150%未満であると、現像した際に現
像ムラが生じてしまい、好ましくない。
また、膨潤後の親水性コロイド層の膜厚が25μm以下
であることにより、上記規定した膨潤率による効果が顕
著になる。
本発明において、膨潤率とは、現像液中で膨潤する
層、通常ハロゲン化銀写真感光材料の親水性コロイド層
が液中で膨潤する度合いを言い、現像液中で膨潤した膨
潤後の膜厚と、膨潤前の膜厚との差を求め、これを膨潤
前の膜厚で割り、100倍したものである。
本発明における膨潤率は、以下の工程イ、ロ、ハによ
り決定する。
イ.ハロゲン化銀写真感光材料における親水性コロイド
層の厚みを測定し、 ロ.該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分
間浸漬し、 ハ.工程イで測定した層の厚みと比較して、層の厚みの
変化の百分率を求める。
従って本発明における膨潤率とは、支持体に対してハ
ロゲン化銀乳剤層がある側に存在するすべての親水性コ
ロイド層(例えばハロゲン化銀乳剤層、表面保護層、中
間層)の全膜厚が25℃の蒸留水に1分間浸漬されたこと
による膨潤した比率を百分率で表したものと言うことが
できる。
なお本発明の感光材料が親水性コロイド層からなるバ
ッキング層を有する場合は、該バッキング層の膨潤率も
150〜250%であることが好ましい。
本発明の感光材料において、乳剤層及び表面保護層及
びバッキング層の如き親水性コロイド層に用いられる親
水性コロイドバインダーとしては、ゼラチンを用いるの
が有利である。
本発明の感光材料においては、前記した本発明のハロ
ゲン化銀粒子は、乳剤層の少なくともいずれか1層に含
有されるが、このような乳剤層は、本発明のハロゲン化
銀粒子を含有する乳剤である本発明に係る乳剤により形
成することができる。但し、本発明に係る乳剤は、これ
を1種類用いるのでもよく、あるいは該乳剤を数種類混
合して使用することもできる。
本発明の感光材料に用いられる乳剤は、即ち本発明に
係る乳剤、及び必要により併用する本発明に係る乳剤以
外の乳剤は、金増感、硫黄増感、もしくは還元増感を施
すことが好ましく、またこれら増感を組み合わせて用い
ることも好ましい。
即ち、活性ゼラチン銀と反応し得る硫黄を含む化合物
(例えば、チオ硫黄塩、チオ尿素類、メルカプト化合物
類、ローダニン類)を用いる硫黄増感法;還元性物質
(例えば、第1すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、
ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を用いる
還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯塩のほか、P
t、Ir、Pdなどの周期律表VIII族の金属の錯塩)を用い
る貴金属増感法などを単独または組み合わせて用いるこ
とができる。
これらの具体例は、硫黄増感法については、米国特許
第1,574,944号、同第3,410,689号、同第2,278,947号、
同第2,728,668号、同第3,656,955号等、還元増感法につ
いては、米国特許第2,983,609号、同第2,419,974号、同
第4,054,458号等、貴金属増感法については、米国特許
第2,599,083号、同第2,448,060号、英国特許第618,061
号等の各明細書に記載されている。
本発明の実施の際、乳剤として特公昭41−2086号に記
載された内部潜像型ハロゲン化銀粒子と表面潜像型ハロ
ゲン化銀粒子とを組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る乳剤を用いる場合、あるいは必要に応じ
てそれ以外の乳剤を併用して乳剤層を形成する場合、乳
剤層は実質的に写真特性の異なる2種以上、例えば2〜
6種のハロゲン化銀乳剤を含有させて形成することがで
きる。ここで「実質的に写真特性の異なる」とは、感
度、階調性、感色性、呈色性、現像性、画像の鮮鋭性、
粒状性等を含む写真特性のうち、少なくとも感度及び階
調性を異にすることである。
上記写真特性の異なる乳剤を、各々別々の乳剤層に含
有させることもできる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、粒状性、乾燥
性の点から50.0℃の水酸化ナトリウム1.5重量パーセン
トの水溶液に無攪拌状態で浸漬した場合、ハロゲン化銀
粒子が支持体から離脱するまでの時間は10分間以上、更
に好ましくは15分間以上になるように硬膜剤の添加によ
り硬膜する。
本発明の写真感光材料には、写真乳剤層その他の親水
性コロイド層に寸度安定性の改良などの目的で、水不溶
または難溶性合成ポリマーの分散物を含むことができ
る。例えばアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ
アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル
(例えば酢酸ビニル)、アクリロニトリル、オレフィ
ン、スチレンなどの単独もしくは組み合わせ、またはこ
れらとアクリル酸、メタクリル酸、α、β−不飽和ジカ
ルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、
スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホ
ン酸等の組み合わせを単量体成分とするポリマーを用い
ることができる。なお上記(メタ)アクリレートの語
は、アクリレートとメタアクリレートとの双方を略して
記したものである。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、好ましくは
保護層が設けられるが、この保護層は親水性コロイドか
らなる層であり、使用される親水性コロイドとしては前
述したものが用いられる。また保護層は、単層であって
も重層となっていてもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層または保
護層中に、好ましくは、保護層中にはマット剤及び/ま
たは平滑剤などを添加してもよい。マット剤としては公
知のものを使用できるが、より好ましくはポリマーマッ
ト剤であり、その平均粒径は0.3μm〜12μmが好まし
く、特に3μm〜9μmの範囲のものが好ましい。
本発明の実施に際し、使用されるポリマーマット剤の
具体的な例としては、ポリメチルメタアクリレートのご
とき水分散性ビニル重合体、及びセルロースアセテート
プロピオネート、澱粉などが用いられる。特にメチルメ
タアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタアクリレートのごときアクリル酸エステルの単独重
合体、またはこれらアクリル酸エステル同士か他のビニ
ルモノマーとの共重合体のごとき水分散性ビニル重合体
のマット剤が好ましい。なかでもポリメチルメタアクリ
レートの平均粒径3μm〜9μmの球状マット剤が特に
好ましい。
マット剤の添加位置は、乳剤層の上の保護層や、例え
ば裏面側の保護層等に添加されるが、上記のポリマーマ
ット剤は、乳剤層側の保護層に添加するのがより好まし
く、例えばローラー搬送機型自動現像液で、ポリマーマ
ット剤を含む写真感光材料を処理する場合、該感光材料
がスリップすること等が無くなる。
平滑剤はマット剤と類似した接着故障防止に役立つ
他、特に映画用フィルムの投影時もしくは映写時のカメ
ラ適合性に関係する摩擦特性の改良に有効であり、具体
的な例としては流動パラフィン、高級脂肪酸のエステル
類などのごときワックス類、ポリフッ素化炭化水素類も
しくはその誘導体、ポリアルキルポリシロキサン、ポリ
アリールポリシロキサン、ポリアルキルアリールポリシ
ロキサン、もしくはそれらのアルキレンオキサイド付加
誘導体のごときシリコーン類などが好ましく用いられ
る。
本発明の感光材料には、塗布乾燥時のカブリ防止等や
低湿条件下での折り曲げ等によるカブリ、減感等の防止
のために、可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤とし
ては、例えば特開昭48−63715号、特公昭43−4939号、
同47−8745号、米国特許306,470号、同2,960,404号、同
3,412,159号、同3,791,857号等に記載のものを用いるこ
とができるが、好ましくは、融点40℃以上の少なくとも
2つの以上の水酸基を有する多価アルコール化合物を少
なくとも1種含有することである。このような化合物と
しては、水酸基を2〜12個有し、炭素原子が2〜20個で
あり、かつ、水酸基と水酸基とが共役鎖でもって共役し
ていない。即ち酸化した型が書けないアルコールが好ま
しい。更に融点としては50℃以上300℃以下のものが好
ましい。化合物例としては特開昭62−147449号に記載の
ものがある。
本発明の実施に際して、感光材料には各種の用途のた
め界面活性剤を用いることができる。
例えばサポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサ
イド誘導体(例えばポリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポ
リエチレングリコールアルキルエーテル類またはポリエ
チレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエ
チレングリコールエステル類、ポリエチレングリコール
ソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアル
キルアミンまたはアミド類、シリコーンのポリエチレン
オキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えばア
ルケニルコハク酸ポリグリセリド、アルキルフェノール
ポリグリセリド)、多価アルコールの脂肪酸エステル
類、糖のアルキルエステル類などの非イオン性界面活性
剤を用いることができる。また、アルキルカルボン酸
塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフ
ォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキ
ル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−ア
シル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステ
ル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エ
ステル類などのような、カルボキシ基、スルホ基、ホス
ホ基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を
含むアニオン界面活性剤等を用いることができる。更に
アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアル
キル硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン
類、アミンオキシド類などの両性界面活性剤を用いるこ
とができる。また、アルキルアミン塩類、脂肪族あるい
は芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミ
ダゾリウムなどの複素環第4級アンモニウム塩類、及び
脂肪族または複素環を含むホスホニウムまたはスルホニ
ウム塩類などのカチオン界面活性剤を用いることができ
る。更に含フッ素界面活性剤、ポリオキシエチレン基を
有する含フッ素界面活性剤等を用いることができる。
アルキレンオキシド系の界面活性剤としては、特公昭
51−9610、DT−2648746、特開昭53−129623、同54−896
24、同54−98235、同58−203435、同58−208743、同60
−80848、同60−94126等に記載のものを挙げることがで
きる。アルキレンオキシド系の界面活性剤と他の化合物
を併用した例としては、特開昭54−89626、同55−7083
7、同57−11341、同57−109947、同59−74554、同60−7
6741、同60−76742、同60−76743、同60−80839、同60
−80846、同60−80847、同50−131293、同53−29715等
に開示の技術を挙げることができる。
アニオン界面活性剤としては、特開昭53−21922、GB
−1503218、特公昭56−1617及び高級アルコールの硫酸
エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ア
シルメチルタウリド、N−アシルザルコシネート、脂肪
酸モノグリセライドサルフェート、α−スルホン酸等を
挙げることができる。
含フッ素界面活性剤としては、例えば特公昭47−930
3、同48−43130、同52−25087、同57−1230、特開昭49
−46733、同50−16525、同50−34233、同51−32322、同
54−14224、同54−111330、同55−557762、同56−1904
2、同56−41093、同56−34856、同57−11341、同57−29
691、同57−64228、同57−146248、同56−114944、同56
−114945、同58−196544、同58−200235、同60−10954
8、同57−136534、US−3589906、同−3775126、同−429
2402、RD−16630等で開示されている化合物、及び特開
昭60−164738中で、例示されている化合物等を挙げるこ
とができる。
本発明の写真感光材料には、その他必要に応じて種々
の添加剤を用いることができる。例えば、染料、現像促
進剤、蛍光増白剤、色カブリ防止剤、紫外線吸収剤、な
どである。具体的には、リサーチ・ディスクロージャー
(RESEARCH DISCLOSURE)176号、第22〜31頁(RD−1764
3、1978年)に記載されたものを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、他に、必要
に応じて、アンチハレーション層、中間層、フィルター
層、などを設けることができる。
本発明の写真感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層
その他の層は、写真感光材料に通常用いられている可撓
性支持体等の片面または両面に塗布されて具体化される
ことができる。可撓性支持体として有用なものは、硝酸
セルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネート等の半合成または合成高分子か
ら成るフィルム、バライタ層またはα−オレフィンポリ
マー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
/ブテン共重合体)等を塗布またはラミネートした紙等
である。支持体は染料や顔料を用いて着色されてもよ
い。遮光の目的で黒色にしてもよい。これらの支持体の
表面は、一般に写真乳剤層等との接着をよくするために
下塗処理される。下塗処理としては特願昭60−25704号
に記載の技術を使用することが好ましい。支持体表面は
下塗処理の前または後に、コロナ放射、紫外線照射、火
焔処理等を施してもよい。詳しくは、リサーチ・ディス
クロージャー、第176巻P.25の「Supports」の項に記載
のものが用いられる。
本発明の写真感光材料において、写真乳剤層その他の
親水性コロイド層は種々の塗布法により支持体上または
他の層上に塗布できる。塗布には、ディップ塗布法、ロ
ーラー塗布法、カーテン塗布法、押出し塗布法などを用
いることができる。詳しくは、リサーチ・ディスクロー
ジャー、第176巻P.27〜28の「Coating procedures」の
項に記載されている方法を用いうる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、具体的には、
X線感光材料、リス感光材料、黒白撮影感光材料、カラ
ーネガ感光材料、カラー反転感光材料、カラー印画紙な
どとして用いることができる。
写真像を得るための露光は、通常の方法を用いて行え
ばよい。即ち、自然光(日光)、タングステン電灯、蛍
光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセ
ノンフラッシュ灯、陰極線管フライングスポット、発光
ダイオード、レーザー光(例えばガスレーザー、YAGレ
ーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど)など紫外
光を含む多種の光源をいずれでも用いることができる。
また、電子線、X線、γ線、α線などによって励起され
た蛍光体から放出する光によって露光されてもよい。露
光時間は通常カメラで用いられる1/1000秒から1秒の露
光時間はもちろん、1/1000秒より短い露光、例えばキセ
ノン閃光灯や陰極管を用いた1/104〜1/106秒の露光を用
いることもできるし、1秒より長い露光を用いることも
できる。必要に応じて色フィルターで露光に用いられる
光の分光組成を調節することができる。
本発明の感光材料の写真処理には、例えばリサーチ・
ディスクロージャー(Research Disclosure)176号第25
〜30頁(RD−17,643)に記載されているような、種々の
方法及び種々の処理液のいずれをも適用することができ
る。この写真処理は、目的に応じて、録画像を形成する
写真処理(黒白写真処理)、あるいは色素像を形成する
写真処理(カラー写真処理)のいずれであってもよい。
処理温度は普通18℃から50℃の間に選ばれるが、18℃よ
り低い温度または50℃を超える温度としてもよい。
また、場合によっては、他の種々の現像方法を用いる
ことができる。
例えば、黒白写真処理する場合に用いる現像液は、知
られている現像主薬を含むことができる。現像主薬とし
ては、ジヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノ
ン)、3−ピラゾリドン類(例えば1−フェニル−3−
ピラゾリドン)、アミノフェノール類(例えばN−メチ
ル−p−アミノフェノール)などを、単独もしくは組み
合わせて用いることができる。現像液には一般にこの他
種々の保恒剤、アルカリ剤、pH緩衝剤、カブリ防止剤な
どを含み、更に必要に応じ溶解助剤、色調剤、現像促進
剤、界面活性剤、消泡剤、硬水軟化剤、硬膜剤、粘性付
与剤などを含んでもよい。
現像処理の特殊な形式として、現像主薬を感光材料
中、例えば乳剤層中に含み、感光材料をアルカリ水溶液
中で処理して現像を行わせる方法を用いてもよい。現像
主薬のうち疎水性のものは、リサーチ・ディスクロージ
ャー169号(RD−16928)米国特許第2,739,890号、英国
特許第813,253号または西独国特許第1,547,763号などに
記載の種々の方法で乳剤層中に含ませることができる。
このような現像処理は、チオシアン酸塩による銀塩安定
化処理と組み合わせてもよい。
定着液としては、一般に用いられる組成のものを用い
ることができる。定着剤としては、チオ硫酸塩、チオシ
アン酸塩のほか、定着剤としての効果が知られている有
機硫黄化合物を用いることができる。定着液には、硬膜
剤として水溶性アルミニウム塩を含んでもよい。
本発明の写真感光材料の写真乳剤層には色形成カプラ
ー、即ち発色現像処理において芳香族1級アミン現像主
薬(例えば、フェニレンジアミン誘導体や、アミノフェ
ノール誘導体など)との酸化カップリングによって発色
しうる化合物を含んでもよい。例えば、マゼンタカプラ
ーとして、5−ピラゾロンカプラー、ピラゾロベンツイ
ミダゾールカプラー、シアノアセチルタマロンカプラ
ー、開鎖アシルアセトニトリルカプラー等があり、イエ
ローカプラーとして、アシルアセトアミドカプラー(例
えばベンゾイルアセトアニリド類、ピバロイルアセトア
ニリド類)、等があり、シアンカプラーとして、ナフト
ールカプラー、及びフェノールカプラー、等がある。こ
れらのカプラーは、分子中にバラスト基とよばれる疎水
基を有する非拡散のものが望ましい。カプラーは銀イオ
ンに対し4当量性あるいは2当量性のうちどちらでもよ
い。また色補正の効果をもつカラードカプラー、あるい
は現像にともなって現像抑制剤を放出するカプラー(い
わゆるDIRカプラー)であってもよい。
またDIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成
物が無色であって、現像抑制剤を放出する無呈色DIRカ
ップリング化合物を含んでもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、色カブリ防止
剤として、ハイドロキノン誘導体、アミノフェノール誘
導体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導体などを含
有してもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、親水性コロ
イド層に紫外線吸収剤を含んでもよい。例えば、アリー
ル基で置換されたベンゾトリアゾール化合物(例えば米
国特許3,533,794号に記載のもの)、4−チアゾリドン
化合物(例えば米国特許3,314,794号、同3,352,651号に
記載のもの)、ベンゾフェノン化合物(例えば特開昭46
−2784号に記載のもの)、ケイヒ酸エステル化合物(例
えば米国特許3,705,805号、同3,707,375号に記載のも
の)、ブタジエン化合物(例えば米国特許4,045,229号
に記載のもの)、あるいは、ベンゾオキシドール化合物
(例えば米国特許3,700,455号に記載のもの)を用いる
ことができる。更に、米国特許3,499,762号、特開昭54
−48535号に記載のものも用いることができる。紫外線
吸収性のカプラー(例えばα−ナフトール系のシアン色
素形成カプラー)や、紫外線吸収性のポリマーなどを用
いてもよい。これらの紫外線吸収は、特定の層に媒染さ
れていてもよい。
本発明を実施するに際して、種々の退色防止剤を併用
することもでき、また任意の色像安定剤を単独または2
種以上併用することもできる。退色防止剤としては、ハ
イドロキノン誘導体、没食子酸誘導体、p−アルコキシ
フェノール類、p−オキシフェノール誘導体及びビスフ
ェノール類等がある。
カラー現像液は、一般に、発色現像主薬を含むアルカ
リ性水溶液からなる。発色現像主薬は種々の一級芳香族
アミン現像剤、例えばフェニレンジアミン類(例えば4
−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−
アミノ−N,N−ジエチルアニリン、4−アミノ−N−エ
チル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル
−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル
アニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−
β−メタンスルホアミドエチルアニリン、4−アミノ−
3−メチル−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニ
リンなど)を用いることができる。
この他L.F.A.Mason著、フォトグラフィック・プロセ
シング・ケミストリィ(Photographic Processing Chem
istry)、Focal Press刊、1966年のP.226〜229、米国特
許2,193,015号、同2,592,364号、特開昭48−64933号な
どに記載のものを用いてもよい。
カラー現像液はその他、アルカリ金属の亜硫酸塩、炭
酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩の如きpH緩衝剤、臭化
物、沃化物、及び有機カブリ防止剤の如き現像抑制剤な
いし、カブリ防止剤などを含むことができる。また必要
に応じて、硬水軟化剤、ヒドロキシルアミンの如き保恒
剤、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールの如き
有機溶剤、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム
塩、アミン類の如き現像促進剤、色素形成カプラー、競
争カプラー、ナトリウムボロンハイドライドの如きかぶ
らせ剤、1−フェニル−3−ピラゾリドンの如き補助現
像薬、粘性付与剤、ポリカルボン酸系キレート剤、酸化
防止剤などを含んでもよい。
発色現像後の写真乳剤層は、通常漂白処理される。漂
白処理は、定着処理と同時に行われてもよいし、個別に
行われてもよい。漂白剤としては、例えば鉄(III)、
コバルト(III)、クロム(VI)、銅(II)などの多価
金属の化合物、過酸類、キノン類、ニトロソ化合物等が
用いられる。
例えば、フェリシアン化合物、重クロム酸塩、鉄(II
I)またはコバルト(III)の有機錯塩、例えばエチレン
ジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,3−ジアミノ−
2−プロパノール四酢酸などのアミノポリカルボン酸類
あるいはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸の錯
塩、過硫酸塩;過マンガン酸塩;ニトロソフェノールな
どを用いることができる。これらのうちフェリシアン化
カリ、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)ナトリウム及
びエチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウムは特
に有用である。エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩
は独立の漂白液においても、一浴漂白定着液においても
有用である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を挙げて、詳細に説明する。な
お、当然のことではあるが、本発明は以下述べる実施例
に限定されるものではない。
実施例−1 比較乳剤の調製 以下に示す7種類の溶液を用いて、比較乳剤に該当す
る沃臭化銀コア/シェル乳剤を調製した。種乳剤には平
均粒径0.25μm、粒径分布の変動係数11%、沃化銀含有
率4モル%の沃臭化銀乳剤を用いた。
(溶液A−1) オセインゼラチン 18.9g 蒸留水 3700 ポリイソプロピレン・ポリエチレンオキシ・ジコハク
酸エステルナトリウム塩10%エタノール溶液 10ml 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン 400mg 28%アンモニア水 235ml 種乳剤 0.0552モル相当量 (溶液B−1) オセインゼラチン 4g KBr 138.8g KI 34.86g 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン 420mg 蒸留水で400mlに仕上げる。
(溶液B−2) オセインゼラチン 4g KBr 155.1g KI 11.62g 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン 420mg 蒸留水で400mlに仕上げる。
(溶液B−3) オセインゼラチン 6g KBr 244.2g KI 1.05g 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン 630mg 蒸留水で600mlに仕上げる。
(溶液C−1) AgNO3 590.5g 28%アンモニア水 481ml 蒸留水で993mlに仕上げる。
(溶液D−1) 50%KBr水溶液 pAg調整必要量 (溶液E−1) 56%酢酸水溶液 pH調整必要量 50℃において、特開昭57−92523号及び同57−92524号
に記載される混合攪拌機を用いて、(溶液A−1)に、
(溶液C−1)と(溶液B−1)とを同時混合法によっ
て途中小粒子発生のない最小時間を要して添加した。同
時混合中のpAgは9から10.2へ、pHは9から7.5へ連続的
に変化させた。
pAg及びpHの制御は、流量可変のローラーチューブポ
ンプにより(溶液D−1)、(溶液E−1)の流量を変
えながら行った。
ハロゲン化銀粒子の平均粒径(同体積の立方体の辺
長)が計算上0.65μmに達したところで、(溶液B−
1)を(溶液B−2)に切り換え、更に平均粒径が計算
上0.80μmに達したところで(溶液B−2)を(溶液B
−3)に切り換えた。(溶液B−1)、(B−2)、
(B−3)は、それぞれ沃化物イオン濃度が全ハロゲン
化物イオン濃度に対して15モル%、5モル%、0.3モル
%であるように調整してある。
この比較乳剤については、(溶液C−1)の添加終了
1分後に(溶液E−1)によってpHを6.0に調整した。
次の常法により脱塩水洗を行い、オセインゼラチン6
3.3gを含む水溶液に分散したのち、蒸留水で総量を1500
mlとし、更に(溶液D−1)、(溶液E−1)を用い
て、40℃においてpAg8.5、pH5.8に調整した。
これにより比較乳剤を得た。
電子顕微鏡観察の結果、この比較乳剤は平均粒径1.0
μmの単分散乳剤であり、粒径分布の変動係数が13%で
あることがわかった。この比較乳剤は、粒子内部に高沃
化銀含有量を有するコア/シェル型沃臭化銀乳剤であ
る。
なお、ここでいう粒径とは、粒子の体積を等しい立方
体に換算したときの辺長であって、以下の記載において
も同様である。
乳剤Em−1の調製 上記比較乳剤の調製において示した7種類の溶液の
内、(溶液B−3)のかわりに(溶液B−4)を用い、
該(溶液B−4)添加前に(溶液C−1)の添加を一時
止め、10%NaCl水溶液を攪拌溶液中のAgClが飽和濃度に
達するまで加えた後、(溶液C−1)及び(溶液B−
4)を加えることにより、乳剤Em−1を調製した。な
お、(溶液B−4)添加中のpAgの制御は、(溶液D−
1)のかわりに(溶液D−2)を用いることにより行っ
た。
(溶液B−4) オセインゼラチン 6g KBr 159.8g NaCl 1.7g 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデン 630mg 蒸留水で600mlに仕上げる。
(溶液D−1)50%NaCl水溶液pAg調整必要量 この乳剤Em−1は、平均粒径1.0μmの単分散乳剤で
あり、粒径分布の変動係数が12%であることがわかっ
た。乳剤Em−1は粒子内部に高沃化銀含有相を有し、最
外殻に約2モル%の塩化銀含有層を有するコア/シェル
型塩沃臭化銀乳剤である。
乳剤Em−2の調製 前述の7種類の溶液のうち、(溶液B−3)のかわり
に(溶液B−5)を用い、比較乳剤の調製と同様に(溶
液B−5)を添加した。(溶液B−5)を添加した後、
10%NaCl水溶液を攪拌溶液中のAgClが飽和濃度に達する
まで加えた後、(溶液B−6)を残りの(溶液C−1)
と、ダブルジェット法にて、pAgを6.1に保って添加し
た。その後、60℃のまま20分間保持した。このようにし
て調製した乳剤Em−2は、平均粒径1.0μmの単分散乳
剤であり、粒径分布の変動係数が10%であることがわか
った。この乳剤Em−2は、粒子表面(最殻層)に約2モ
ル%の塩化銀含有量を有するコア/シェル型塩沃臭化銀
乳剤である。
試料の作成 以上の乳剤を用いて表−1に示す試料を調製した。こ
の時、硬膜剤量を調節して、表−1に示す膨潤率に試料
を仕上げた。
即ち、得られた比較乳剤、乳剤Em−1、乳剤Em−2
に、最適に金−硫黄増感を施した。この化学増感終了直
前に下記の増感色素を色素A:色素B=20:1の比率で1000
mg/モルAg加え、4−ヒドロキシ−6−メチル1,3,3a,7
−テトラザインデン2.5g/モルAgを加えた。
更にそれぞれの乳剤に乳剤層添加剤として、ハロゲン
化銀1モル当たり t−ブチル−カテコール 400mg、 ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 1.0g、 スチレン・無水マレイン酸共重合体 2.5g、 トリメチロールプロパン 10g、 ジエチレングリコール 5g、 ニトロフェニル−トリフェニルフォスフォニウムクロ
ライド 50mg、 1,3−ジヒドロキシベンゼン−4−スルホン酸アンモ
ニウム 4g、 2−メルカプトベンツイミダゾール−5−スルホン酸
ソーダ 15mg、 2−メルカプトベンゾチアゾール 10mg、 1,1−ジメチロール−1−ブロム−1−ニトロメタン1
0mg、 等を加えた。
またゼラチンに保護層添加剤として下記の化合物を加
え、保護層形成用塗布液を調製した。即ちゼラチン1g当
たり、 C9F19−OCH2CH2O10CH2CH2OH 2mg、 C8F17SO3K 3mg、 平均粒径5μmのポリメチルメタクリレートから成る
マット剤7mg、平均粒径0.013μmのコロイダルシリカ70
mg等を加えた。
更に硬膜剤として、下記化合物をゼラチン1g当たり7m
gまたは3mg添加した。
CH2=CHSO2OCH2SO2CH=CH2 得られた乳剤及び保護膜溶液を青色に着色した180μ
mの下引き済ポリエチレンテレフタレートの両面に塗布
し、両面乳剤のシート状感光材料とした。この時片面当
たり銀量が1.9g/m2で、乳剤のゼラチンとして2g/m2、保
護膜のゼラチン1g/m2となるように塗布した。
得られた試料は下記のように処理するものとする。ま
た各試料について、感度、粒状性、乾燥性を下記に示す
評価方法にて評価した。
(処理工程) 得られた試料を下記現像液にて表−1に示す現像時間
で現像処理を行い、各試料の感度、粒状性、乾燥性を求
めた。
使用した現像液、定着液は、下記のとおりのものであ
る。
〈現像液〉 亜硫酸カリウム 70g ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸3ナトリウ
ム 8g 1,4−ジヒドロキシベンゼン 28g 硼酸 10g 5−メチルベンゾトリアゾール 0.04g 1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 0.01g メタ重亜硫酸ナトリウム 5g 酢酸(90%) 13g トリエチレングリコール 15g 1−フェニル−3−ピラゾリドン 1.2g 5−ニトロインダゾール 0.2g グルタールアルデヒド 4g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 2g 臭化カリウム 4g 5−ニトロベンゾイミダゾール 1g 1の水溶液にし、水酸化ナトリウムでpH10.50の液
とした。
〈定着液〉 チオ硫酸ナトリウム−5水塩 45g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 0.5g チオ硫酸アンモニウム 150g 無水亜硫酸ナトリウム 8g 酢酸カリウム 16g 硫酸アルミニウム10〜18水塩 27g 硫酸(50wt%) 6g クエン酸 1g 硼酸 7g 氷酢酸 5g 1の水溶液にして氷酢酸を添加しpH4.0の液とし
た。
(感度の評価方法) 感度の評価方法は、得られた試料をX線写真用増感紙
KO−250(コニカ株式会社製)で挟み、ペネトロメータ
B型(コニカメディカル株式会社製)を介してX線照射
後、前記処理液にて現像処理を行い、各試料について得
られた特性曲線からベース濃度+カブリ濃度+1.0にお
ける露光量を求め、試料−1の感度を100として相対感
度で評価した。
(粒状性の評価方法) 粒状性は次のように評価した。上記の処理条件でロー
ラー搬送型自動現像機を用いて処理された試料につい
て、その濃度が1.0における現像銀粒子の荒れの程度
を、目視評価した。1(劣)〜5(優)の5段階表示で
表した。3〜5では問題ないが1〜2では実用に耐えな
い。
(乾燥性) 乾燥性を以下のように評価した。即ち上記の9.2秒現
像処理を行い、乾燥部分を通過して来た試料に対して手
触り、他の試料とのクッツキの程度等を総合評価し、1
(劣)〜5(優)の5段階表示で表した。3〜5では問
題ないが、1〜2では実用に耐えない。
表−1から明らかなように、本発明に係る試料である
試料−2,3は、9.2秒処理というきわめて迅速な処理を行
っても、感度、粒状性、乾燥性がいずれも良好である。
これに対し、比較の試料である試料−1,4〜6は、いず
れかの点で劣っており、性能の劣るものであった。
〔発明の効果〕
上述の如く、本発明によれば、迅速な処理を行った場
合でも乾燥性が良く、かつ感度、粒状性にすぐれた画像
が得られるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/035 G03C 5/29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有
    するハロゲン化銀感光材料において、 該ハロゲン化銀乳剤層の少なくともいずれか1層に、粒
    子の内側のハロゲン化銀層が実質的に沃臭化銀から形成
    され、粒子の表面のハロゲン化銀層が実質的に塩化銀ま
    たは塩臭化銀から形成されたハロゲン化銀粒子を含有
    し、 かつ以下の工程による方法で測定した現像液中の膨潤率
    が150〜250%であり、膨潤後の膜厚が25μm以下であ
    り、 かつ50.0℃の水酸化ナトリウム1.5重量パーセントの水
    溶液に無攪拌状態で浸漬した場合、ハロゲン化銀粒子が
    支持体から離脱するまでの時間は10分間以上になるよう
    に硬膜剤の添加により硬膜したハロゲン化銀写真感光材
    料であって、 現像時間9.2秒以下で処理する ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 膨潤率の測定 イ.ハロゲン化銀写真感光材料における親水性コロイド
    層の厚みを測定し、 ロ.該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分
    間浸漬し、 ハ.工程イで測定した層の厚みと比較して、層の厚みの
    変化の百分率を求める。
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