JP3115288B1 - 食肉加工品及びその製造方法 - Google Patents

食肉加工品及びその製造方法

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Abstract

【要約】 【解決手段】 食肉加工品の原料肉にアルカリ製剤の溶
液を注入し、次いでこの原料肉を加熱加工することを特
徴とする食肉加工品の製造方法、及び該方法により得ら
れるアルカリ製剤を含んでなる食肉加工品。 【効果】 本発明により、スライスしたローストビーフ
はその退色または変色が抑えられ、その商品価値の顕著
に高めることがかできる。更に、その静菌効果も高め保
存性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変色防止効果及び
静菌効果を付与した食肉加工品(ローストビーフ、たた
き)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ローストビーフやたたきを販売の
ためスーパーマーケット等に置いた場合、店頭に置いて
いる間の3-5 時間程度でその色が変わってしまって商品
価値がなくなり店舗ではロスを生じる原因になってい
た。ローストビーフの製法としては、食品衛生法により
食肉原料の中心温度を56℃、30分以上加熱する( 流通は
10℃以下、またこの場合製造過程で原料肉に調味液等の
注射をすることが認められている) 製造法と中心温度を
56℃、64分以上もしくは同等以上の加熱を行う特定加熱
法(流通は4℃以下、原料肉に調味液等の注射は認めら
れていない。)による製造法の2つの方法がある。ロー
ストビーフにおいてその本来の色を出そうとすると後者
の特定加熱の製法で行う方が有利であり一般的に用いる
製法である。このローストビーフをスライスしてから店
頭に置くと退色が著しく商品価値を落とすこととなり問
題となっていた。そこで、この点を解決する方法の開発
が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決使用とする課題】そこで、本発明の課題は
ローストビーフ、たたきなどの食肉加工品を販売のため
に店頭に置いた場合も退色又は変色しない食肉加工品及
びその製法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、食肉加工品の
原料肉にアルカリ製剤の溶液を注入し、次いでこの原料
肉を加熱加工することを特徴とする食肉加工品の製造方
法である。そして、食肉加工品としてはローストビー
フ、たたきなどが挙げられ、また、アルカリ製剤として
はクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、乳
酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酒石酸水素カ
リ、フマル酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、水酸化
カルシウムまたは炭酸カルシウムの単独またはそれらの
混合物が挙げられる。さらに、本発明は上記方法により
得られたアルカリ製剤を含む食肉加工品である。
【0005】
【発明の実施の態様】本発明の食肉加工品、例えばロー
ストビーフは、予めカットした原料肉に、アルカリ製剤
を注射液として10%程度注射し真空をかけたタンブラー
でマッサージを4 ℃の温度で4-8 時間行う。この結果得
られる原料肉のpHは6 前後となる。この処理した原料肉
を従来の工程、すなわちオーブンを使用して焼き上げた
り、表面をオーブン加熱したのち真空調理をする等の方
法により加熱を行いローストビーフを製造した。このロ
ーストビーフを衛生的にスライス包装を行い店頭の販売
に供した。このスライス包装したローストビーフはその
退色又は変色が顕著に抑えられ、店頭での色持ちがよく
なりその商品価値を高めることができた。これを業務用
の場合には上記のスライスしたローストビーフを冷凍し
盛り付け時に解凍を施せば、綺麗な色の製品が出来上が
る。また、この方法によるローストビーフには静菌効果
が付与されることも判った。
【0006】上記アルカリ製剤としては、食品に使用で
きるアルカリ製剤であれば何れでもよいが、好ましくは
食品添加剤として認められているクエン酸ナトリウム、
アスコルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素
アンモニウム、酒石酸水素カリ、フマル酸ナトリウム、
リンゴ酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム等が挙げられる。そして、これらは、単独でも或いは
2種以上の混合物としても使用できる。なお、上記アル
カリ製剤のうちアスコルビン酸ナトリウムはアルカリ製
剤であると同時に抗酸化剤剤としての効果もある。
【0007】本発明において、アルカリ製剤は、例えば
10〜20%水溶液とし、その溶液の10〜20重量%の量(原
料肉に対して)を、注射器などで原料肉に加える。な
お、アルカリ製剤またはその水溶液の原料肉への添加方
法は特に限定はなく注射以外の何れの方法でも適用でき
る。このアルカリ製剤で処理した原料肉は、そのpHが
未処理の原料肉に比して明確にアルカリ側に移動してい
る。
【0008】
〔実施例1〕
1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)水 74 重量部、食塩 5重量部、アスコルビン酸ナト
リウム 1重量部、クエン酸ナトリウム 20 重量部の割合
で溶かした溶液を注射液として調整する。 3)2)の注射液を1)の原料肉に対して10%注射す
る。
【0009】4)3)の肉をタンブラーに入れて真空に
してから4℃で6時間程度タンブリングを行う。 5)肉の表面に原料肉に対して食塩 0.5重量%、胡椒0.
5 重量%をまんべんなくまぶす。 6)オーブンで庫内を250 ℃程度に保って、中心の温度
が63℃になってから30分以上経過したら、取り出して速
やかに冷却を行う。 7)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 8)このパックをAM 11:00からPM 7:00 まで照明付
きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0010】〔対照例1〕(未処理区) 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)肉の表面に原料肉に対して食塩 0.5重量%、胡椒0.
5 重量%をまんべんなくまぶす。 3)オーブンで庫内を250 ℃程度に保って、中心の温度
が63℃になってから30分以上経過したら、取り出して速
やかに冷却を行う。 4)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 5)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯した
照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】〔実施例2〕 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)水 85 重量部、食塩5重量部、クエン酸ナトリウム
10 重量部の割合で溶かした溶液を調整する。 3)1)の原料肉が浸るまで2)の溶液を入れて4℃の
冷蔵庫で静置して4日間程度置く。
【0014】4)肉の表面に原料肉にたいして胡椒 0.5
重量%をまんべんなくまぶす。 5)肉の表面を300 ℃に熱した鉄板上で、各面3分程度
焼いて表面に焦げ目をつけてからプラスチック製の袋で
真空パックを行う。これを 60 ℃の湯の中につけて中心
が56℃になってから64分経過してから、2 ℃の水に移し
て冷却を行う。 6)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 7)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯をし
た照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0015】〔対照例2〕(未処理区) 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)肉の表面に原料肉に対して食塩0.5重量%及び胡椒
0.5重量%をまんべんなくまぶす。 3)肉の表面を300 ℃に熱した鉄板上で、各面3分程度
焼いて表面に焦げ目をつけてからプラスチック製の袋で
真空パックを行う。これを 60 ℃の湯の中につけて中心
が56℃になってから64分経過してから、2 ℃の水に移し
て冷却を行う。 4)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 5)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯をし
た照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】本発明により、スライスしたローストビ
ーフはその退色または変色が抑えられ、その商品価値の
顕著に高めることがかできる。更に、その静菌効果も高
め保存性を向上させることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローストビーフの原料肉にアスコルビン
    酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウムの溶液を注入し、
    次いでこの原料肉を加熱加工することを特徴とするロー
    ストビーフの製造方法。
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