JP2001029006A - 食肉加工品及びその製造方法 - Google Patents

食肉加工品及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 食肉加工品の原料肉にアルカリ製剤の溶
液を注入し、次いでこの原料肉を加熱加工することを特
徴とする食肉加工品の製造方法、及び該方法により得ら
れるアルカリ製剤を含んでなる食肉加工品。 【効果】 本発明により、スライスしたローストビーフ
はその退色または変色が抑えられ、その商品価値の顕著
に高めることがかできる。更に、その静菌効果も高め保
存性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変色防止効果及び
静菌効果を付与した食肉加工品(ローストビーフ、たた
き)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ローストビーフやたたきを販売の
ためスーパーマーケット等に置いた場合、店頭に置いて
いる間の3-5 時間程度でその色が変わってしまって商品
価値がなくなり店舗ではロスを生じる原因になってい
た。ローストビーフの製法としては、食品衛生法により
食肉原料の中心温度を56℃、30分以上加熱する( 流通は
10℃以下、またこの場合製造過程で原料肉に調味液等の
注射をすることが認められている) 製造法と中心温度を
56℃、64分以上もしくは同等以上の加熱を行う特定加熱
法(流通は4℃以下、原料肉に調味液等の注射は認めら
れていない。)による製造法の2つの方法がある。ロー
ストビーフにおいてその本来の色を出そうとすると後者
の特定加熱の製法で行う方が有利であり一般的に用いる
製法である。このローストビーフをスライスしてから店
頭に置くと退色が著しく商品価値を落とすこととなり問
題となっていた。そこで、この点を解決する方法の開発
が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決使用とする課題】そこで、本発明の課題は
ローストビーフ、たたきなどの食肉加工品を販売のため
に店頭に置いた場合も退色又は変色しない食肉加工品及
びその製法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、食肉加工品の
原料肉にアルカリ製剤の溶液を注入し、次いでこの原料
肉を加熱加工することを特徴とする食肉加工品の製造方
法である。そして、食肉加工品としてはローストビー
フ、たたきなどが挙げられ、また、アルカリ製剤として
はクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、乳
酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酒石酸水素カ
リ、フマル酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、水酸化
カルシウムまたは炭酸カルシウムの単独またはそれらの
混合物が挙げられる。さらに、本発明は上記方法により
得られたアルカリ製剤を含む食肉加工品である。
【0005】
【発明の実施の態様】本発明の食肉加工品、例えばロー
ストビーフは、予めカットした原料肉に、アルカリ製剤
を注射液として10%程度注射し真空をかけたタンブラー
でマッサージを4 ℃の温度で4-8 時間行う。この結果得
られる原料肉のpHは6 前後となる。この処理した原料肉
を従来の工程、すなわちオーブンを使用して焼き上げた
り、表面をオーブン加熱したのち真空調理をする等の方
法により加熱を行いローストビーフを製造した。このロ
ーストビーフを衛生的にスライス包装を行い店頭の販売
に供した。このスライス包装したローストビーフはその
退色又は変色が顕著に抑えられ、店頭での色持ちがよく
なりその商品価値を高めることができた。これを業務用
の場合には上記のスライスしたローストビーフを冷凍し
盛り付け時に解凍を施せば、綺麗な色の製品が出来上が
る。また、この方法によるローストビーフには静菌効果
が付与されることも判った。
【0006】上記アルカリ製剤としては、食品に使用で
きるアルカリ製剤であれば何れでもよいが、好ましくは
食品添加剤として認められているクエン酸ナトリウム、
アスコルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素
アンモニウム、酒石酸水素カリ、フマル酸ナトリウム、
リンゴ酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム等が挙げられる。そして、これらは、単独でも或いは
2種以上の混合物としても使用できる。なお、上記アル
カリ製剤のうちアスコルビン酸ナトリウムはアルカリ製
剤であると同時に抗酸化剤剤としての効果もある。
【0007】本発明において、アルカリ製剤は、例えば
10〜20%水溶液とし、その溶液の10〜20重量%の量(原
料肉に対して)を、注射器などで原料肉に加える。な
お、アルカリ製剤またはその水溶液の原料肉への添加方
法は特に限定はなく注射以外の何れの方法でも適用でき
る。このアルカリ製剤で処理した原料肉は、そのpHが
未処理の原料肉に比して明確にアルカリ側に移動してい
る。
【0008】
〔実施例1〕
1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)水 74 重量部、食塩 5重量部、アスコルビン酸ナト
リウム 1重量部、クエン酸ナトリウム 20 重量部の割合
で溶かした溶液を注射液として調整する。 3)2)の注射液を1)の原料肉に対して10%注射す
る。
【0009】4)3)の肉をタンブラーに入れて真空に
してから4℃で6時間程度タンブリングを行う。 5)肉の表面に原料肉に対して食塩 0.5重量%、胡椒0.
5 重量%をまんべんなくまぶす。 6)オーブンで庫内を250 ℃程度に保って、中心の温度
が63℃になってから30分以上経過したら、取り出して速
やかに冷却を行う。 7)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 8)このパックをAM 11:00からPM 7:00 まで照明付
きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0010】〔対照例1〕(未処理区) 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)肉の表面に原料肉に対して食塩 0.5重量%、胡椒0.
5 重量%をまんべんなくまぶす。 3)オーブンで庫内を250 ℃程度に保って、中心の温度
が63℃になってから30分以上経過したら、取り出して速
やかに冷却を行う。 4)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 5)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯した
照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】〔実施例2〕 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)水 85 重量部、食塩5重量部、クエン酸ナトリウム
10 重量部の割合で溶かした溶液を調整する。 3)1)の原料肉が浸るまで2)の溶液を入れて4℃の
冷蔵庫で静置して4日間程度置く。
【0014】4)肉の表面に原料肉にたいして胡椒 0.5
重量%をまんべんなくまぶす。 5)肉の表面を300 ℃に熱した鉄板上で、各面3分程度
焼いて表面に焦げ目をつけてからプラスチック製の袋で
真空パックを行う。これを 60 ℃の湯の中につけて中心
が56℃になってから64分経過してから、2 ℃の水に移し
て冷却を行う。 6)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 7)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯をし
た照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0015】〔対照例2〕(未処理区) 1)冷凍もしくはチルドの牛もも肉の筋をひいてから、
断面が9cm×9cm程度になるように短冊型にカットす
る。 2)肉の表面に原料肉に対して食塩0.5重量%及び胡椒
0.5重量%をまんべんなくまぶす。 3)肉の表面を300 ℃に熱した鉄板上で、各面3分程度
焼いて表面に焦げ目をつけてからプラスチック製の袋で
真空パックを行う。これを 60 ℃の湯の中につけて中心
が56℃になってから64分経過してから、2 ℃の水に移し
て冷却を行う。 4)この原木を衛生的な設備の中でスライスしトレーに
並べて包装する。 5)このパックをAM 11:00からPM 7:00 迄点灯をし
た照明付きの冷蔵ショーケースに入れる。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】本発明により、スライスしたローストビ
ーフはその退色または変色が抑えられ、その商品価値の
顕著に高めることがかできる。更に、その静菌効果も高
め保存性を向上させることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月2日(2000.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食肉加工品の原料肉にアルカリ製剤の溶
    液を注入し、次いでこの原料肉を加熱加工することを特
    徴とする食肉加工品の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ製剤がクエン酸ナトリウム、ア
    スコルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ア
    ンモニウム、酒石酸水素カリ、フマル酸ナトリウム、リ
    ンゴ酸ナトリウム、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシ
    ウムから選ぶ1種又は2種以上であることを特徴とする
    請求項1に記載する食肉加工品の製造方法の製造方法。
  3. 【請求項3】 食肉加工品がローストビーフ又はたたき
    である請求項1又は2記載の食肉加工品の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ製剤を含んでなる食肉加工品。
  5. 【請求項5】 アルカリ製剤がクエン酸ナトリウム、ア
    スコルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、炭酸水素ア
    ンモニウム、酒石酸水素カリ、フマル酸ナトリウム、リ
    ンゴ酸ナトリウム、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシ
    ウムから選ぶ1種又は2種以上であることを特徴とする
    請求項4記載の食肉加工品。
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