JP3112508B2 - 廃液の処理方法 - Google Patents

廃液の処理方法

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JP3112508B2 JP03186435A JP18643591A JP3112508B2 JP 3112508 B2 JP3112508 B2 JP 3112508B2 JP 03186435 A JP03186435 A JP 03186435A JP 18643591 A JP18643591 A JP 18643591A JP 3112508 B2 JP3112508 B2 JP 3112508B2
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    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/007Energy recuperation; Heat pumps
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/02Treatment of water, waste water, or sewage by heating
    • C02F1/04Treatment of water, waste water, or sewage by heating by distillation or evaporation
    • C02F1/048Purification of waste water by evaporation

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  • Silver Salt Photography Or Processing Solution Therefor (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業廃棄物として発生
する廃液の処理方法に関するものであり、特に、ハロゲ
ン化銀写真感光材料処理液の使用済廃液の処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在まで、廃液の処理方法として提案さ
れているものには、例えば、活性汚泥法(特公昭51-129
43号および、特公昭51-7952 号等)、蒸発法(特開昭49
-89437号および同56-33996号等)、電解酸化法(特開昭
48-84462号、同49-119458 号、特公昭53-43478号、特開
昭49-119457 号等)、イオン交換法(特公昭51-37704
号、特開昭53-383号、特公昭53-43271号等)、逆浸透法
(特開昭50-22463号等)、化学的処理法(特開昭49-642
57号、特公昭57-37396号、特開昭53-12152号、同49-588
33号、同53-63763号、特公昭57-37395号等)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら技術は一部実用
化されているものもあるが、充分なものとはいえない。
例えば、活性汚泥法では大がかりな装置が必要になり、
管理も非常に煩雑なものであるため、設置スペースの確
保が難しかったり、うまく稼働させるには専門知識が必
要であるという不具合がある。電解酸化法では、廃液の
成分により、有毒ガスや可燃性のガスが発生する等の問
題がある。イオン交換法や逆浸透法は、廃液中の有害物
質の濃度が高い場合、非常に処理効率が低くなってしま
う。化学的処理法では、多量の添加剤が必要であり、こ
の方法のみでは充分な処理ができない。
【0004】蒸発法は、廃液から水分を蒸発させ、凝縮
して留出液を生じさせることより廃液を固形分と水分と
に分離する方法であり、蒸発・凝縮手段にヒートポンプ
回路を利用するなど装置に関しても研究がなされてい
る。しかしながら、写真処理廃液は多成分の有害物質を
含んでいるため、蒸発法により処理した場合、生じた留
出液の水質はそのまま下水道に排出できるほどのもので
はなかった。
【0005】本発明は、このような従来の方法の不具合
を解決することを課題とするものであり、特に、前記蒸
発法を写真処理廃液の処理に有効な方法として活用でき
るように改良した、廃液の処理方法を提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明の廃液
の処理方法は、廃液から水分を蒸発させ、凝縮して留出
液を生じさせることにより固形分と水分とに分離する蒸
発分離工程により酸性の廃液を処理し、生じた酸性の留
出液をアルカリ性にpH調節し、このpH調節された留
出液を前記蒸発分離工程により再び処理することを特徴
とする。前記酸性の留出液をアルカリ性にpH調節する
際に、アルカリ性の廃液を使用することが好ましい。
【0007】本発明の廃液の処理方法はまた、廃液から
水分を蒸発させ、凝縮して留出液を生じさせることによ
り固形分と水分とに分離する蒸発分離工程によりアルカ
リ性の廃液を処理し、生じたアルカリ性の留出液を酸性
にpH調節し、このpH調節された留出液を前記蒸発分
離工程により再び処理することを特徴とする。前記アル
カリ性の留出液を酸性にpH調節する際に、酸性の廃液
を使用することが好ましい。
【0008】前述の本発明が提供する各方法において、
廃液がアンモニアを含有するものである場合には、その
廃液から水分を蒸発させ、凝縮して生じた留出液に、周
期律表第II族の金属を添加することが好ましい。
【0009】
【作用】廃液のpHは、廃液中に含まれる成分の種類や
各成分の含有量によって決定される。そして、含まれて
いる各成分の分子の電離状態は廃液のpHに依存する。
すなわち、水中で酸性を呈する物質(酸性物質)は、p
Hが低い(水素イオン濃度が高い)酸性溶液中では、そ
の電離平衡が電離しない(水素イオンを減少させる)向
きに移動するため、ほとんど分子の状態で存在する。逆
にpHが高い(水素イオン濃度が低い)アルカリ性溶液
中では、その電離平衡が電離する(水素イオンを増加さ
せる)向きに移動するため、ほとんどイオンの状態で存
在する。ただし、このことは水中でほぼ完全に電離して
いる強酸には当てはまらない。
【0010】一方、水中でアルカリ性を呈する物質(塩
基性物質)は、pHが低い(水素イオン濃度が高い)酸
性溶液中では、その電離平衡が電離する(水素化物イオ
ンを増加させる)向きに移動するため、ほとんどイオン
の状態で存在する。逆にpHが高い(水素イオン濃度が
低い)アルカリ性溶液中では、その電離平衡が電離しな
い(水素化物イオンを減少させる)向きに移動するた
め、ほとんど分子の状態で存在する。ただし、このこと
は水中でほぼ完全に電離している強塩基には当てはまら
ない。
【0011】物質は分子状態で気化し、イオン状態では
気化しない。そのため、廃液中に分子状態の物質とイオ
ン状態の物質とを含む場合、その廃液から水分を蒸発さ
せて取り出した後に凝縮されて生じる留出液中には、廃
液中にイオンの状態で存在していた物質は存在しない。
本発明は、このような性質を利用するものである。
【0012】請求項1および2の方法では、酸性の廃液
を蒸発分離工程により処理すると、廃液中に分子状態で
存在していた酸性物質のみが留出液中に含まれ、廃液中
にイオン状態で存在していた塩基性物質は固形分中に残
留する。この留出液をアルカリ性にpH調節すれば、留
出液中に存在している酸性物質の電離平衡が移動し、こ
の酸性物質はほとんどイオンの状態で存在する。この状
態で、アルカリ性にpH調節された留出液を蒸発分離工
程により再び処理すれば、前記酸性物質は固形分中に残
留し、生じる留出液中には含まれない。
【0013】請求項3および4の方法では、アルカリ性
の廃液を蒸発分離工程により処理すると、廃液中に分子
状態で存在していた塩基性物質のみが留出液中に含ま
れ、廃液中にイオン状態で存在していた酸性物質は固形
分中に残留する。この留出液を酸性にpH調節すれば、
留出液中に存在している塩基性物質の電離平衡が移動
し、この塩基性物質はほとんどイオンの状態で存在す
る。この状態で、酸性にpH調節された留出液を蒸発分
離工程により再び処理すれば、前記塩基性物質は固形分
中に残留し、生じる留出液中には含まれない。
【0014】請求項5の方法では、アンモニアを含有す
る留出液に周期律表第II族の金属を添加すると、この
金属とアンモニアとが錯体を形成して沈澱するため、こ
の留出液からアンモニアを除去することができる。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例にて詳細に説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。本
発明の方法で、廃液から水分を蒸発させる手段として
は、加熱、減圧、加熱と減圧との併用が考えられるが、
有害ガスの発生、臭気の発生を抑えるためには、加熱の
みではなく、減圧のみか、加熱と減圧との併用が好まし
い。また、本発明の方法では、蒸気を凝縮させた時に発
生する熱を、廃液から水分を蒸発させるための熱として
利用すること(ヒートポンプによる熱交換)が、エネル
ギー効率の点から非常に好ましい。
【0016】そのため、本実施例においては、図1のよ
うな蒸発・凝縮装置を使用して、本発明の方法における
蒸発分離工程を行う。この蒸発・凝縮装置は、減圧によ
り各含有成分の沸点を下げて低温で廃液から水分を蒸発
させるものであり、ヒートポンプによる熱交換を利用し
ている。この蒸発・凝縮装置は、その内部で廃液の蒸発
・凝縮がなされる本体と、この本体内の熱交換を行うた
めのヒートポンプ回路を構成する外部機器とからなる。
【0017】本体の内部は、筒状の隔壁2aの内側が蒸
発釜2になっており、隔壁2aと外壁との間が凝縮釜3
になっている。蒸発釜2の内部には液面センサ2bと温
度センサ2cとが備えてある。蒸発釜2の内部には加熱
管4が、凝縮釜3内部には冷却管5が、それぞれ螺旋状
に配設されている。蒸発釜2内には、処理される廃液が
入っているストックタンク6から廃液が供給される。そ
して、蒸発釜2内の廃液の量が液面センサ2bに設定さ
れた液面以下となると、自動的に電磁弁7を一定時間開
放し、一定量の廃液を蒸発釜2内へ補充するような機構
になっている。このとき、補充される廃液が蒸発釜2内
の液表面に溜まるようし、廃液の液性が変化して本発明
の方法による分離性能が低下するのを防ぐことが好まし
い。
【0018】蒸発釜2において、蒸発した水分は上部空
間を通って凝縮釜3に進入し、ここで凝縮されて水滴と
なり、その底部3aに溜まる。そこからエジェクタ9を
経て、エジェクタポンプ9aで循環する水に引き込まれ
留出液を回収するタンク10へ至る。このエジェクタポ
ンプ9aは、同時に本体の蒸発釜2内の減圧にも利用さ
れる。タンク10からオーバーフローさせた留出液を、
例えばストックタンク10aに回収する。また、固形分
は本体内の底部15にスラリーとなって溜まる。これ
は、回転羽根17により掃き出され、把手19により開
閉される取り出し口からスラリー回収容器20へ回収さ
れる。
【0019】ヒートポンプ回路は、コンプレッサー1
1、空冷凝縮機12、加熱管4、キャピラリーチューブ
14、タンク10中の冷却管5a、冷却管5、コンプレ
ッサー11の順に配管されて構成され、冷媒がその中を
循環する。すなわち、冷媒はコンプレッサー11にて圧
縮されて高温となり、加熱管4に送り込まれる。このと
き、温度センサ2cにより蒸発釜2内の廃液の温度を検
知し、温度が高すぎる場合はファンモータ13aを稼働
させてプロペラファン13をまわし、加熱管4に送り込
まれる冷媒の温度を下げるようにしてある。
【0020】加熱管4で蒸発釜2内の廃液を加熱した冷
媒は、膨張弁の役目をなすキャピラリーチューブ14に
至る。キャピラリーチューブ14からは冷媒が少しずつ
しか抜けられないため、圧力が下がって冷媒の温度が低
下する。したがって、タンク10内の冷却管5aには低
温の冷媒が至り、凝縮水を冷却する。この冷却により凝
縮水の臭気は低減され、蒸発・凝縮装置1内の減圧効率
を上げることができる。ここから、冷媒は凝縮釜3内に
配設された冷却管5内に入り、加熱管4により温められ
て蒸発してきた気体を冷却して凝縮させた後、コンプレ
ッサー11に戻る。
【0021】コンプレッサー11でのガス圧の調整、空
冷凝縮機12での冷却、キャピラリーチューブ14での
ガス圧の変化等により、通常加熱管4の表面温度は35
〜40℃、冷却管5の表面温度は0〜10℃程度に保持
される。この蒸発・凝縮装置は、加熱管4の出口の温度
を検出することで廃液の熱吸収効率を検出し、蒸発釜2
内の廃液の含水率が十分下がったことを感知し、自動的
に運転を停止する機能を持たせたものであることが好ま
しい。
【0022】本発明の方法で使用できる蒸発・凝縮装置
は、上記の形態に限られるものではなく、上記の装置と
同様な機能を持つものであれば、どのような形態を持っ
ていても構わない。以下の各実施例では、本発明の方法
を、前述の蒸発・凝縮装置と処理する廃液が入った容器
と留出液を回収する容器とを図2のように構成して、実
施した。
【0023】図2で、1Aおよび1Bは、前述の蒸発・
凝縮装置である。6および16はストックタンクであ
り、ストックタンク6内には第1の廃液が、ストックタ
ンク16内には第2の廃液がそれぞれ入っている。スト
ックタンク6には、液面センサ6aが備えてある。8は
混合槽であり、液面センサ8aとプロペラファン8bと
を備えている。この混合槽8内には、蒸発・凝縮装置1
Aからの留出液(実質的にはオーバーフロー水)が回収
されるとともに、ストックタンク16からの廃液がポン
プ16aにより導入され、これをプロペラファン8bに
て混合する。26もまたストックタンクであり、混合槽
8からの液体を一時貯えた後、ここからポンプ8cによ
り蒸発・凝縮装置1Bへ送る。このストックタンク26
にも、液面センサ26aが備えてある。
【0024】本実施例では、このように構成された装置
および容器を、以下のように自動制御して使用する。ス
トックタンク6から蒸発・凝縮装置1Aへの第1の廃液
の供給は、液面センサ6aによる設定液面の検知にて開
始される。すなわち、液面センサ6aが設定液面を検知
すればその検知信号により蒸発・凝縮装置1Aが始動す
る。また、蒸発・凝縮装置1Aからの留出液は混合槽8
に回収されるが、液面センサ8aにより設定液面が検知
されれば留出液の回収を止め、ストックタンク16から
第2の廃液が導入される。第2の廃液が所定の量(各廃
液のpH値による決まる)だけ導入されたところでポン
プ16aが停止して、プロペラファン8bによる攪拌の
後、混合液をポンプ8cの始動によりストックタンク2
6内に導入する。ストックタンク26に設けた液面セン
サ26aが設定液面を検知すれば、蒸発・凝縮装置1B
が始動する。そして、蒸発・凝縮装置1Bから出てきた
留出液をストックタンク18にて回収する。
【0025】このストックタンク18を混合槽として、
第3の廃液が入ったストックタンク36ともう一台の図
示されない蒸発・凝縮装置を用意し、第3の廃液を混合
槽18内に供給して、上記と同様の工程を繰り返すよう
な構成としてもよい。上記の図2の構成で本発明の方法
を実施するには、少なくとも2台の蒸発・凝縮装置が必
要であるが、蒸発・凝縮装置による処理の後、蒸発釜2
底部に溜まった固形分を逐次排出すれば、蒸発・凝縮装
置は1台だけでも済む。その場合の構成は、例えば図3
のようにする。
【0026】本実施例では、本発明の方法により、黒白
ハロゲン化銀写真感光材料の処理により生じた廃液を処
理する。コニカ製自動現像機GR−27により、現像液
としてコニカ製黒白現像液CDM651K、定着液とし
てコニカ製黒白定着液CFL851、水洗水として水道
水を使用して写真処理を行った。それぞれの補充量を、
現像液は392ml/m2、定着液は524ml/m2、水洗水
は5リッター/hとして、大全フィルム1000枚を処理し
た。それに伴い排出される現像廃液と定着廃液とを、本
発明の方法により処理する実験を行った。各廃液のpH
は、現像廃液が10.31、定着廃液が4.96であっ
た。
【0027】(実施例1)酸性(pH4.96)の定着
廃液を第1の廃液とし、アルカリ性(pH10.31)
の現像廃液を第2の廃液とした。図2において、容量が
30リッターである蒸発・凝縮装置1Aおよび1Bを用い、
蒸発釜2内に入っている廃液の量が常に約5リッターとなる
ように、ストックタンク6から廃液を供給しながら(約
2分おきに、50〜300ml程度)蒸発釜2内をエジェ
クター・ポンプ9aにて10〜45torrになるように減
圧した。冷媒としてフロンR−22を用いた。そして、
蒸発釜2内の廃液の温度を約35〜45℃、凝縮釜3内
の温度を約0〜15℃、タンク10内の温度を0〜15
℃になるように、ファンモーター13aの制御およびフ
ロンのガス圧の調整を行った。
【0028】定着廃液を自動現像機から直接ストックタ
ンク6に受け、液面センサ6aの設定水位を5リッターの水
量に相当する位置とした。したがって、ストックタンク
6内の定着廃液の量が5リッターを越えた時点で蒸発・凝縮
装置1Aは始動し、約15時間かけて30リッターを処理し
た。蒸発・凝縮装置1Aより留出液が混合槽8へ2.3
8リッター流出した時点で、ストックタンク16より現像液
を2.62リッター導入して混合し、この混合液をストック
タンク26へ送った。混合液のpHは10.00であっ
た。そして、液面センサー26aの水位設定により、ス
トックタンク26内の混合液の量が5リッターになった時点
で蒸発・凝縮装置1Bを始動させることを繰り返した。
現像廃液は全部で22.5リッター使用した。
【0029】蒸発・凝縮装置1Bにより混合液を23.
8リッター処理した時点で、一度固形分を取り出し、その後
また混合液を23.8リッター処理した時点で停止した。蒸
発・凝縮装置1Bの稼働時間は約24時間であった。ま
た、蒸発・凝縮装置1Aが始動してから、蒸発・凝縮装
置1Bの停止までにかかった時間は、約30時間であっ
た。回収された固形分は蒸発・凝縮装置1Aより5リッタ
ー、蒸発・凝縮装置1Bより10リッターであり、ストック
タンク18に回収された留出液は37.5リッターであっ
た。 (実施例2)第1の廃液とした定着廃液(pH4.9
6)のpHを、ストックタンク6内にて2.5%硫酸水
溶液を添加して4.5に調節した。また、混合槽8内に
て、第1の廃液の留出液と第2の廃液である現像廃液の
混合液に、5%水酸化カリウム水溶液を添加してpHを
11.0に調節した。それ以外は、実施例1と同じ処理
を行った。
【0030】本発明の方法では、蒸発・凝縮装置により
処理される廃液または混合液を、事前にpH調節してか
ら処理してもよく、これはその一例である。このような
pH調節に使用する酸およびアルカリとしては、種々の
ものが利用できるが、値段、安全性の面から、酸として
は低濃度の硫酸水溶液、アルカリとしては低濃度の水酸
化カリウム水溶液が好ましい。 (実施例3)第1の廃液とした定着廃液(pH4.9
6)を蒸発・凝縮装置1Aにて処理して混合槽8に回収
した留出液に、10%塩化カルシウム水溶液を留出液1
リッターに対して2mlの割合で添加した。それ以外は、実施
例1と同様な処理を行った。
【0031】これは、アンモニアを含む廃液に、周期律
表第II族の金属であるCaをイオン状態で添加して処理
した例であるが、Mg、Baなどその他の周期律表第II族
の金属を用いてもよい。また、Caを用いる場合にも、Ca
Cl2 に限らず、Ca(OH)2 、CaCO3 、CaSO4 等を添加して
もよい。 (実施例4)アルカリ性(pH10.31)の現像廃液
を第1の廃液とし、酸性(pH4.96)の定着廃液を
第2の廃液として、実施例1と同様の条件で処理した。 (比較例)各実施例で用いたのと同じ現像廃液22.5
リッターと、定着廃液30.0リッターとを混合した。混合液の
pHは、5.8であった。この混合液を蒸発・凝縮装置
1Aで処理し、混合槽8に回収された留出液をpH調節
せずにそのまま再び蒸発・凝縮装置1Bで処理した。ス
トックタンク18内に回収された留出液は37.5リッタ
ー、固形物は蒸発・凝縮装置1Aより10リッター、蒸発・
凝縮装置1Bより5リッターであった。
【0032】以上の各実施例および比較例において、ス
トックタンク18に回収される留出液を、留出量が約1
0リッターの時および約30リッターの時に採取し、生物学的酸
素要求量(BOD)、沃素消費量、pH、およびアンモ
ニア量を測定した。その結果を、表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】日本国内において下水道に排出してもよい
水質の規制値は、いわゆる下水道法で、BODは300
ppm 以下、沃素消費量は220ppm以下、pHは6.5
〜8.5である。地域によっては、条例によりもう少し
厳しい規制がされているところもある。アンモニア量に
ついてはその臭気が問題となるが、ほとんど含まないこ
とが望ましい。
【0035】表1により、本発明の方法により黒白ハロ
ゲン化銀写真感光材料の処理廃液を処理して生じた留出
液の水質は、pHの項目を除けば上記の規制値をはるか
に下回っている。特に、BODと沃素消費量について、
本発明の方法の効果が大であることがわかる。すなわ
ち、特に還元性の有機物や硫黄化合物等の除去効果が高
い。pHに関しては、2.5%硫酸水溶液または2.5
%水酸化カリウム水溶液により、簡単に調整することが
できる。また、アンモニア臭はさほど気にならなかっ
た。塩化カルシウムを添加して処理した実施例3で生じ
た留出液は、pH調整の必要がなく、アンモニア臭気も
感じられなかった。なお、回収した固形分は非粘着性の
汚泥状のものであり、脱臭装置のある焼却炉で燃焼して
みたところ、43gの銀を含む無害な灰にする事ができ
た。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法では、酸性
またはアルカリ性の廃液に対して、従来の蒸発法に相当
する蒸発分離工程を、pH調節の工程を間に入れて2回
行うことにより、廃液中の酸性物質および塩基性物質を
固形分中に残留させて分離し、留出液の水質を良くする
ことができる。特に、酸性廃液(定着廃液)とアルカリ
性廃液(現像廃液)とが生じる写真処理廃液の処理にお
いては、一方の廃液がもう一方の廃液のpH調節液とな
るため、本発明の方法が好都合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において蒸発分離工程に使用され
る装置の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の方法を実施するために使用される装置
等の概略構成図である。
【図3】本発明の方法を実施するために使用される装置
等の概略構成図である。
【符号の説明】
1 蒸発・凝縮装置 1A 蒸発・凝縮装置 1B 蒸発・凝縮装置 2 蒸発釜 3 凝縮釜 6 ストックタンク 8 混合槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榑松 雅行 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (72)発明者 湯沢 聡 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (72)発明者 後山 弘之 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (72)発明者 川田 俊明 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 吉岡屋 悠紀夫 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−47581(JP,A) 特開 昭63−143991(JP,A) 特開 昭50−156263(JP,A) 特開 昭57−162690(JP,A) 特開 昭53−68679(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/04 B01D 5/00 C02F 1/58 C02F 1/66 G03C 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃液から水分を蒸発させ、凝縮して留出
    液を生じさせることにより固形分と水分とに分離する蒸
    発分離工程により酸性の廃液を処理し、生じた酸性の留
    出液をアルカリ性にpH調節し、このpH調節された留
    出液を前記蒸発分離工程により再び処理することを特徴
    とする廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記酸性の留出液をアルカリ性の廃液に
    よりpH調節することを特徴とする請求項1記載の廃液
    の処理方法。
  3. 【請求項3】 廃液から水分を蒸発させ、凝縮して留出
    液を生じさせることにより固形分と水分とに分離する蒸
    発分離工程によりアルカリ性の廃液を処理し、生じたア
    ルカリ性の留出液を酸性にpH調節し、このpH調節さ
    れた留出液を前記蒸発分離工程により再び処理すること
    を特徴とする廃液の処理方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ性の留出液を酸性の廃液に
    よりpH調節することを特徴とする請求項3記載の廃液
    の処理方法。
  5. 【請求項5】 前記廃液がアンモニアを含有するもので
    あり、前記生じた留出液に周期律表第II族の金属を添
    加することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つ
    に記載の廃液の処理方法。
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