JP3109509B2 - 食器洗い機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は食器の洗浄を行う食
器洗い機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の食器洗い機は図８または
図９に示すように構成していた。すなわち、図８に示す
ものは、蓋体１を食器洗い機本体２の下部に開閉自在に
取りつけ、食器洗い機本体２の前面開口部を覆うように
した前開きタイプの食器洗い機であり、図９に示すもの
は、蓋体３を食器洗い機本体４の上部後方に開閉自在に
取りつけ、食器洗い機本体４の上面開口部を覆うように
した上開きタイプの食器洗い機である。これらは、いず
れも流し台の上に設置されて使用される。

【０００３】食器洗い機の基本的な動作は、一般によく
知られているので、簡単に述べると、使用者が蓋体１ま
たは３を開いて食器洗い機本体内の洗浄槽に設置された
食器かごに汚れた食器類をセットし、蓋体１または３を
閉めて運転を開始すると、洗浄槽の底部に配置された洗
浄ノズルから洗浄水がヒータによって加熱されながら食
器に向かって噴射され、食器の汚れを落とす洗浄行程を
行う。その後、蓋体１、３に設けた排気口５、６から洗
浄槽内の蒸気を、図８では前方に、図９では上方に排出
し、食器を乾かす乾燥行程を行って運転が終了する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の構成において、図８のような前開きタイプでは、蓋
体１が開いた状態で食器洗い機本体２の前方のスペース
を塞いでしまうため、流し台に横向きに設置することが
できず、また、前向きに設置した場合は、開いた蓋体１
が通行の邪魔になり、さらに、流し台の汚れた食器を食
器洗い機本体２にセットするときに距離が離れるので、
セットしにくく、床を汚し易いという問題を有してい
た。

【０００５】また、図９のような上開きタイプでは、流
し台に横向き、前向きとも設置が可能となるが、蓋体３
が上方向に開くため、食器洗い機本体４の上方のスペー
スが必要となり、吊り戸棚などが低い場合は設置でき
ず、乾燥中に排気口６から上方に排出される蒸気によっ
て吊り戸棚などを腐食させる恐れがあるという問題を有
していた。

【０００６】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、蓋体を開いた状態で余分に必要となる食器洗い機本
体以外の設置スペースを少なく抑え、流し台の限られた
設置空間を有効に活用し、設置形態の多様化を可能にす
ることを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、前方に開口部を有する洗浄槽を食器洗い機
本体に内包し、食器洗い機本体の開口部の上部に上端部
を軸支した蓋体により開口部を上開き可能に覆うよう構
成し、蓋体は、中折れ状態になるように相互間を回転自
在に連結した上蓋と下蓋とで構成したものである。

【０００８】これにより、蓋体を開いた状態で余分に必
要となる食器洗い機本体以外の設置スペースを少なく抑
えることができ、流し台の限られた設置空間を有効に活
用し、設置形態の多様化を可能にすることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、前方に開口部を有する洗浄槽と、この洗浄槽を内包
する食器洗い機本体と、この食器洗い機本体の開口部の
上部に上端部を軸支し前記開口部を上開き可能に覆う蓋
体とを備え、前記蓋体は、中折れ状態になるように相互
間を回転自在に連結した上蓋と下蓋とで構成したもので
あり、１枚で構成された蓋体を開閉するときに比べ、蓋
体の開閉時に余分に必要となる食器洗い機本体以外の設
置スペースを少なく抑えることができ、流し台に前向き
設置、横向き設置の両方が可能になり、限られた設置空
間を有効に活用することができ、設置形態の多様化を図
ることができる。

【００１０】請求項２に記載の発明は、上記請求項１に
記載の発明において、食器洗い機本体は、設置される流
し台の奥行に合わせた横幅寸法を有し、この設置形態で
流し台の側面側から蓋体を開閉可能としたものであり、
流し台横のスペースを全て食器洗い機本体の設置スペー
スとして活用でき、狭い場所でも充分な食器洗い機本体
容量を確保することができるとともに、流し台の汚れた
食器を食器洗い機にセットするときに距離が近いので、
セットが楽で床を汚すこともない。

【００１１】請求項３に記載の発明は、上記請求項１ま
たは２に記載の発明において、洗浄槽の開口部端面は、
少なくとも上方部において、後方へ後退する傾斜を有す
るものであり、蓋体が閉状態では見た目の圧迫感が少な
くなり、デザイン性を向上することができるとともに、
開状態では洗浄槽の開口部を広く取ることができ、容易
に食器の出し入れをすることができる。

【００１２】請求項４に記載の発明は、上記請求項３に
記載の発明において、蓋体は、開いたときの位置が自重
により開方向に付勢されるように蓋体の重心が開閉支点
の後方に位置するよう設定したものであり、開状態での
蓋体の安定性が増し、食器を出し入れするときの衝撃で
蓋体が閉まってしまうのを防止できるとともに、洗浄槽
の開口部を広く取ることができ、容易に食器の出し入れ
をすることができる。

【００１３】請求項５に記載の発明は、上記請求項１〜
４に記載の発明において、把手部を蓋体の中折れ部分近
傍に設けたものであり、蓋体の開閉操作時に必要な操作
力を低減でき、使い勝手を向上することができる。

【００１４】請求項６に記載の発明は、上記請求項１〜
５に記載の発明において、上蓋の下端部に、下方に伸び
る壁部を設け、蓋体を閉じた状態でこの壁部が下蓋の上
端部を前方から覆う構成としたものであり、使用者が蓋
体を閉めるときに、把手部以外を押さえた場合でも、中
折れ部で指や手のひらを挟みにくくすることができる。

【００１５】請求項７に記載の発明は、上記請求項１〜
６に記載の発明において、蓋体の閉成状態で、上蓋の下
端部と下蓋の上端部との間を、洗浄槽内方よりでシール
するシール材を設けたものであり、運転中の中折れ部か
らの水漏れを防止できる。

【００１６】請求項８に記載の発明は、上記請求項７に
記載の発明において、上蓋の下端部および下蓋の上端部
には、洗浄槽の内方側へ突出し、シール材を上下方向か
ら包囲する洗浄液遮蔽部を設けたものであり、運転中の
中折れ部のシール性をより向上できる。

【００１７】請求項９に記載の発明は、上記請求項１〜
３に記載の発明において、蓋体の下蓋に、後方へ伸びた
支持部材を設け、洗浄槽または食器洗い機本体の開口部
側面側には、前記支持部材の後方部を略上下に摺動案内
可能な案内部を設けたものであり、蓋体の開閉操作時に
下蓋の動きを規制することができ、動作が安定して使い
勝手を向上することができるとともに、蓋体の軸支部に
余計な負荷がかかるのを防止でき、強度的な向上が図れ
る。

【００１８】請求項１０に記載の発明は、上記請求項９
に記載の発明において、蓋体の下蓋下部の移動軌跡が、
鉛直方向において、洗浄槽の開口部内に存在するもので
あり、洗浄運転中に蓋体を開けるとき、蓋体の内面に付
着している洗浄水がつたって下蓋の下端から滴下しても
洗浄槽内に回収することができ、食器洗い機の周りを濡
らすのを防止することができる。

【００１９】請求項１１に記載の発明は、上記請求項９
または１０に記載の発明において、支持部材はその後方
端に低摩擦係数の摺動体を有するものであり、蓋体の開
閉操作時に必要な操作力を低減でき、使い勝手を向上で
きるとともに、開閉時の耐久強度も向上できる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。

【００２１】（実施例１） 図１に示すように、洗浄槽２１は、食器類２２を内部に
収納し、底部に洗浄水を溜めるとともに前方は開口部と
なっている。洗浄ノズル２３は洗浄槽２１内に回転自在
に支持し、洗浄ポンプ２４より送り込まれた洗浄水を食
器類２２に向けて噴出する。洗浄ポンプ２４はモータ２
５によって駆動される。ヒータ２６は洗浄槽２１の底部
に配設し、洗浄水を加熱する。

【００２２】食器洗い機本体２７は洗浄槽２１を内包
し、この食器洗い機本体２７の上部には、蓋体２８の上
端部２９を軸支し、洗浄槽２１の開口部を上開き可能に
覆っている。この蓋体２８は上蓋３０と下蓋３１とで構
成し、中折れ部３２にて中折れ状態になるように、相互
間を回転自在に連結し、蓋体２８の中折れ部３２の近傍
に把手部３３を設けている。また、洗浄槽２１の開口端
面３４は、図２に示すように、少なくとも上方部におい
て後方へ後退する傾斜を有している。

【００２３】上記構成において動作を説明する。利用者
が蓋体２８を上方に開け、食器類２２を食器かご３５に
配置して洗浄槽２１に収納し、洗剤を入れた後、運転を
開始すると、まず、洗浄槽２１の底部に所定量の水道水
が給水される。そして、モータ２５およびヒータ２６に
通電され、洗浄水は加熱されながら洗浄ポンプ２４によ
り食器類２２に向けて洗浄ノズル２３から噴出され、食
器２２の汚れを落とす洗浄行程を行う。その後、洗浄水
が排水され、すすぎ行程の後、洗浄槽２１内の蒸気が排
気口３４から前方に排出され食器を乾かす乾燥行程が行
われる。

【００２４】蓋体２８は上方に開けるとき、中折れ部３
２で中折れしながら開くために、食器洗い機本体２７の
前方の余分なスペースが不要であり、上方のスペースも
少なくて済む。したがって、図２に示すように、流し台
３６に横向きに設置しても流しを塞ぐことがない。ま
た、吊り戸棚３７が低くても設置できる場合が増え、乾
燥中の蒸気が排気口３８から前方に排出されるので、吊
り戸棚３７の底部を濡らして腐食させる恐れもなくな
る。

【００２５】なお、図示はしないが、流し台３６に前向
きに設置した場合でも、前方のスペースを有効に使うこ
とができ、開いた蓋体２８が通行の邪魔になることがな
くなる。

【００２６】つぎに、使用者が把手部３３を持って蓋体
２８を開けるとき、把手部３３が中折れ部３２から離れ
た位置、例えば下蓋３１の下部３９などに設けると、蓋
体２８が中折れせずに上蓋３０と下蓋３１が一体となっ
て１枚の蓋体のように開いてしまい、開けにくく大きい
操作力が必要となる。しかし、把手部３３を蓋体２８の
中折れ部３２の近傍に設けることにより、下蓋３１が自
然に中折れするような動きを持たすことができ、蓋体２
８の中折れ状態を保ちながら軽い力で開けることができ
る。

【００２７】蓋体２８を閉める時も同様に、把手部３３
を中折れ部３２から離れた下部３９などに設けると、下
蓋３１だけが手前に回転してしまい閉める動作が不自然
なものとなるが、把手部３３を蓋体２８の中折れ部３２
の近傍に設けることにより、蓋体２８は中折れ状態を保
ちながら自然に閉めることができる。

【００２８】したがって、把手部３３を蓋体２８の中折
れ部３２の近傍に設けることにより、蓋体２８の開閉操
作を自然なものにして操作力を低減でき、使い勝手を向
上することができる。

【００２９】また、洗浄槽２１の開口端面３４は、少な
くとも上方部において後方へ後退する傾斜を有するの
で、蓋体２８が閉じた状態では、食器洗い機本体２７の
前面が上方に行くにしたがって後退するので、見た目の
圧迫感が少なくなり、デザイン性を向上することがで
き、蓋体２８が開いた状態では、洗浄槽２１の開口部を
広くとることができ、洗浄槽２１の奥上部にある食器２
２の出し入れが容易になり、使い勝手を向上することが
できる。

【００３０】（実施例２） 図３に示すように、食器洗い機本体４０は、設置される
流し台４１の奥行寸法Ｄに合わせた横幅寸法Ｗを有し、
食器洗い機本体４０を流し台４１上に設置した状態で、
流し台４１の側面側から蓋体４２を開閉可能としてい
る。他の構成は上記実施例１と同じである。

【００３１】上記構成において、食器洗い機本体４０の
横幅寸法Ｗを設置される流し台４１の奥行寸法Ｄに合わ
せているので、流し台４１横のスペース４３をすべて食
器洗い機本体４０の設置スペースとして活用することが
でき、狭い場所でも充分な食器洗い機本体４０の容量が
確保できる。

【００３２】また、食器洗い機本体４０を流し台４１上
に設置した状態で、流し台４１の側面側から蓋体４２を
開閉可能としているので、流し台４１の汚れた食器を食
器洗い機にセットするとき、ほとんど体を移動させるこ
となくセットすることができ、食器のセット性が楽であ
るとともに、汚れた食器で床を汚すこともなくなる。

【００３３】（実施例３） 図４に示すように、蓋体４４は、開いたときの位置が自
重により蓋体４４を開く方向に付勢されるように設定し
ている。すなわち、蓋体４４を開いた状態で、蓋体４４
の重心Ｇが開閉支点４５より洗浄槽の開口端面４６に対
して後方に位置させている。他の構成は上記実施例１と
同じである。

【００３４】上記構成において、蓋体４４を開いたと
き、蓋体４４の自重により蓋体４４を開く方向に働き、
蓋体４４の安定性を増すことができ、食器４７の出し入
れするときの衝撃で、蓋体４４が閉まってしまうのを防
げるとともに、洗浄槽の開口部が蓋体４４の下部４８で
遮られるのを防ぐことができ、洗浄槽の奥上部にある食
器４７の出し入れが容易になり、食器４７のセット性を
向上することができる。

【００３５】（実施例４） 図５に示すように、蓋体４９は上蓋５０と下蓋５１とを
中折れ状態になるように相互間を回転自在に連結して構
成しており、上蓋５０の下端部５２に、下方に伸びる壁
部５３を設け、蓋体４９を閉じた状態で、この壁部５３
が下蓋５１の上端部５４を前方から覆う構成としてい
る。

【００３６】また、シール材５５は、蓋体４９の閉成状
態で、上蓋５０の下端部５２と下蓋５１の上端部５４と
の間を洗浄槽内方よりでシールするようにしている。ま
た、遮蔽部５６は上蓋５０の下端部５２に設け、遮蔽部
５７は下蓋５１の上端部５４に設け、これら遮蔽部５
６、５７は洗浄槽内方側へ突出し、シール材５５を上下
方向から包囲し、洗浄液を遮るようにしている。他の構
成は上記実施例１と同じである。

【００３７】上記構成において、使用者が蓋体４９を閉
めるとき、把手部５８を押して閉めるが、無意識に把手
部５８以外、例えば、上蓋５０の下端部５２を押した場
合は、中折れ部５９の上蓋５０と下蓋５１の隙間で指や
手のひらを挟み易くなる。したがって、壁部５３により
下蓋５１の上端部５４を前方から覆うことで、上蓋５０
と下蓋５１の隙間を上下方向から前後方向に変えて、中
折れ部５９で指や手のひらを挟みにくくすることができ
る。また、下蓋５１の上端部５４に断面円弧状部を設け
ることにより、たとえ挟んだとしても痛感を和らげるこ
とがデザイン性を損なうことなく可能となる。

【００３８】また、上蓋５０と下蓋５１は中折れ軸６０
で相互間を回転自在に連結されているため、隙間をシー
ルしなければ洗浄水が中折れ部５９から機外に漏れるこ
とになる。このため、蓋体４９の閉成状態で、上蓋５０
に取り付けたシール材５５のリップ６１が下蓋５１の洗
浄槽内方よりの上端部６２に密着し、蓋体４９を閉める
ときの操作力を増大させることなく、シールをすること
ができ、運転中の中折れ部５９からの水漏れを防止でき
る。

【００３９】また、洗浄運転中は、洗浄水が上蓋５０の
内面６３を伝って落ちてくるとともに、下蓋５１の内面
６４を上向きに吹き上げてくる。したがって、洗浄槽内
方側へ突出した遮蔽部５６および５７によりこれらの水
流がシール材５５に直接当たるのを防ぐことができ、運
転中の中折れ部５９のシール性をより向上することがで
きる。

【００４０】（実施例５） 図６に示すように、蓋体６５の下蓋６６に、後方へ伸び
た支持部材６７を設け、洗浄槽６８または食器洗い機本
体６９の開口部７０の側面側７１には、支持部材６７の
後方部７２を略上下に摺動案内可能な案内部７３を設け
ている。また、蓋体６５の下蓋６６の下端部７４の移動
軌跡が、鉛直方向において、洗浄槽６８の開口部７０内
に存在するようにしている。また、支持部材６７は、図
７に示すように、後方端７５に低摩擦係数の摺動体７６
を設け、この摺動体７６は洗浄槽６８の開口部７０の側
面側７１に設けた案内部７３によって、略上下に摺動案
内されている。他の構成は上記実施例１と同じである。

【００４１】上記構成において、下蓋６６は中折れ軸７
７で上蓋７８と回転自在に連結されているため、下蓋６
６の下部７９の軌跡をある程度規制しないと、使用者が
把手部８０を持って蓋体６５を開けるとき、開け方によ
っては蓋体６５が中折れせずに上蓋７８と下蓋６６が一
体となって１枚の蓋体のように動き、開けにくく大きい
操作力が必要となることがある。

【００４２】また、蓋体６５を閉めるときも同様に、下
蓋６６だけが手前に回転したり、下蓋６６の下部７９が
洗浄槽６８側に押し付けられて引っ掛かり、軸支部８１
に異常な負荷が作用したり、閉める動作が不自然になる
ことがある。

【００４３】したがって、案内部７３により下蓋６６の
下部７９の前後方向の動きを規制し、蓋体６５の開閉の
間で略上下方向の軌跡を与えることで、安定した蓋体６
５の開閉操作が可能となり、使い勝手を向上することが
できるとともに、蓋体６５の軸支部８１に余計な負荷が
かかるのを防止でき、強度的な向上が図れる。

【００４４】また、洗浄運転中に蓋体６５を開けると
き、蓋体６５の内面８２に付着している洗浄水がつたっ
て下蓋６６の下端部７４から滴下しても、下蓋６６の下
端部７４の移動軌跡が、鉛直方向において、洗浄槽６８
の開口部７０内に存在させることにより、洗浄槽６８内
に回収できるため、食器洗い機の周りを濡らすのを防止
することができる。

【００４５】また、支持部材６７は、後方端７５に低摩
擦係数の摺動体７６を設けており、支持部材６７は図７
に示すように、下蓋６６の洗浄槽６８側内面の下部８３
に取り付けられ、後方（洗浄槽側）へ伸びている。その
後方端７５に設けた摺動体７６が、洗浄槽６８の開口部
７０の側面側７１に設けた案内部７３によって、略上下
に摺動案内されている。

【００４６】蓋体６５の開閉時には摺動体７６と案内部
７３が絶えず接しながら摺動することになるが、摩擦を
低く抑えているため、蓋体６５の開閉操作時に必要な操
作力を低減でき、使い勝手を向上できるとともに、開閉
時の耐久強度も向上できる。

【００４７】

【発明の効果】以上のように本発明の請求項１に記載の
発明によれば、前方に開口部を有する洗浄槽と、この洗
浄槽を内包する食器洗い機本体と、この食器洗い機本体
の開口部の上部に上端部を軸支し前記開口部を上開き可
能に覆う蓋体とを備え、前記蓋体は、中折れ状態になる
ように相互間を回転自在に連結した上蓋と下蓋とで構成
したから、１枚で構成された蓋体を開閉するときに比
べ、蓋体の開閉時に余分に必要となる食器洗い機本体以
外の設置スペースを少なく抑えることができ、限られた
設置空間を有効に活用することができ、設置形態の多様
化を図ることができる。

【００４８】また、請求項２に記載の発明によれば、食
器洗い機本体は、設置される流し台の奥行に合わせた横
幅寸法を有し、この設置形態で流し台の側面側から蓋体
を開閉可能としたから、流し台横のスペースを全て食器
洗い機本体の設置スペースとして活用でき、狭い場所で
も充分な食器洗い機本体容量を確保することができると
ともに、流し台の汚れた食器を食器洗い機にセットする
ときに距離が近いので、セットが楽で床を汚すこともな
くなる。

【００４９】また、請求項３に記載の発明によれば、洗
浄槽の開口部端面は、少なくとも上方部において、後方
へ後退する傾斜を有するから、蓋体が閉状態では見た目
の圧迫感が少なくなり、デザイン性を向上することがで
きるとともに、開状態では洗浄槽の開口部を広く取るこ
とができ、容易に食器の出し入れをすることができる。

【００５０】また、請求項４に記載の発明によれば、蓋
体は、開いたときの位置が自重により開方向に付勢され
るように蓋体の重心が開閉支点の後方に位置するよう設
定したから、開状態での蓋体の安定性が増し、食器を出
し入れするときの衝撃で蓋体が閉まってしまうのを防止
できるとともに、洗浄槽の開口部を広く取ることがで
き、容易に食器の出し入れをすることができる。

【００５１】また、請求項５に記載の発明によれば、把
手部を蓋体の中折れ部分近傍に設けたから、蓋体の開閉
操作時に必要な操作力を低減でき、使い勝手を向上する
ことができる。

【００５２】また、請求項６に記載の発明によれば、上
蓋の下端部に、下方に伸びる壁部を設け、蓋体を閉じた
状態でこの壁部が下蓋の上端部を前方から覆う構成とし
たから、使用者が蓋体を閉めるときに、把手部以外を押
さえた場合でも、中折れ部で指や手のひらを挟みにくく
することができる。

【００５３】また、請求項７に記載の発明によれば、蓋
体の閉成状態で、上蓋の下端部と下蓋の上端部との間
を、洗浄槽内方よりでシールするシール材を設けたか
ら、運転中の中折れ部からの水漏れを防止できる。

【００５４】また、請求項８に記載の発明によれば、上
蓋の下端部および下蓋の上端部には、洗浄槽の内方側へ
突出し、シール材を上下方向から包囲する洗浄液遮蔽部
を設けたから、運転中の中折れ部のシール性をより向上
できる。

【００５５】また、請求項９に記載の発明によれば、蓋
体の下蓋に、後方へ伸びた支持部材を設け、洗浄槽また
は食器洗い機本体の開口部側面側には、前記支持部材の
後方部を略上下に摺動案内可能な案内部を設けたから、
蓋体の開閉操作時に下蓋の動きを規制することができ、
動作が安定して使い勝手を向上することができるととも
に、蓋体の軸支部に余計な負荷がかかるのを防止でき、
強度的な向上が図れる。

【００５６】また、請求項１０に記載の発明によれば、
蓋体の下蓋下部の移動軌跡が、鉛直方向において、洗浄
槽の開口部内に存在するから、洗浄運転中に蓋体を開け
るとき、蓋体の内面に付着している洗浄水がつたって下
蓋の下端から滴下しても洗浄槽内に回収することがで
き、食器洗い機の周りを濡らすのを防止することができ
る。

【００５７】また、請求項１１に記載の発明によれば、
支持部材はその後方端に低摩擦係数の摺動体を有するか
ら、蓋体の開閉操作時に必要な操作力を低減でき、使い
勝手を向上できるとともに、開閉時の耐久強度も向上で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の食器洗い機の縦断面図

【図２】同食器洗い機の設置状態を示す側面図

【図３】本発明の第２の実施例の食器洗い機の設置状態
を示す側面図

【図４】本発明の第３の実施例の食器洗い機の側面図

【図５】本発明の第４の実施例の食器洗い機の要部断面
図

【図６】本発明の第５の実施例の食器洗い機の縦断面図

【図７】同食器洗い機の要部拡大横断面図

【図８】従来の食器洗い機の一例の斜視図

【図９】従来の食器洗い機の他の例の斜視図

【符号の説明】

２１ 洗浄槽 ２７ 食器洗い機本体 ２８ 蓋体 ２９ 上端部 ３０ 上蓋 ３１ 下蓋 ３２ 中折れ部

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−63000（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−328112（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−28667（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−299685（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47L 15/42

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前方に開口部を有する洗浄槽と、この洗
   浄槽を内包する食器洗い機本体と、この食器洗い機本体
   の開口部の上部に上端部を軸支し前記開口部を上開き可
   能に覆う蓋体とを備え、前記蓋体は、中折れ状態になる
   ように相互間を回転自在に連結した上蓋と下蓋とで構成
   した食器洗い機。
2. 【請求項２】 食器洗い機本体は、設置される流し台の
   奥行に合わせた横幅寸法を有し、この設置形態で流し台
   の側面側から蓋体を開閉可能とした請求項１記載の食器
   洗い機。
3. 【請求項３】 洗浄槽の開口部端面は、少なくとも上方
   部において、後方へ後退する傾斜を有する請求項１また
   は２記載の食器洗い機。
4. 【請求項４】 蓋体は、開いたときの位置が、自重によ
   り開方向に付勢されるように蓋体の重心が開閉支点の後
   方に位置するよう設定した請求項３記載の食器洗い機。
5. 【請求項５】 把手部を蓋体の中折れ部分近傍に設けた
   請求項１〜４のいずれか１項に記載の食器洗い機。
6. 【請求項６】 上蓋の下端部に、下方に伸びる壁部を設
   け、蓋体を閉じた状態でこの壁部が下蓋の上端部を前方
   から覆う構成とした請求項１〜５のいずれか１項に記載
   の食器洗い機。
7. 【請求項７】 蓋体の閉成状態で、上蓋の下端部と下蓋
   の上端部との間を、洗浄槽内方よりでシールするシール
   材を設けた請求項１〜６のいずれか１項に記載の食器洗
   い機。
8. 【請求項８】 上蓋の下端部および下蓋の上端部には、
   洗浄槽の内方側へ突出し、シール材を上下方向から包囲
   する洗浄液遮蔽部を設けた請求項７記載の食器洗い機。
9. 【請求項９】 蓋体の下蓋に、後方へ伸びた支持部材を
   設け、洗浄槽または食器洗い機本体の開口部側面側に
   は、前記支持部材の後方部を略上下に摺動案内可能な案
   内部を設けた請求項１〜３のいずれか１項に記載の食器
   洗い機。
10. 【請求項１０】 蓋体の下蓋下部の移動軌跡が、鉛直方
    向において、洗浄槽の開口部内に存在する請求項９記載
    の食器洗い機。
11. 【請求項１１】 支持部材はその後方端に低摩擦係数の
    摺動体を有する請求項９または１０記載の食器洗い機。