JP3666351B2 - 食器洗い機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器の洗浄を行う食器洗い機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の食器洗い機は図6に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図6に示すように、洗浄槽1は食器類2を内部に収容し、底部に洗浄水を溜めるよう構成し、前方は開口部となっている。洗浄ノズル3は洗浄槽1内に回転自在に支持し、洗浄ポンプ4により送り込まれた洗浄水を食器類2に向けて噴出する。洗浄ポンプ4はモータ5によって駆動される。ヒータ6は洗浄槽1の底部に配設し、洗浄水を加熱する。
【0004】
食器洗い機本体7は洗浄槽1を覆い、上部に蓋体8の上端部9を軸支し、洗浄槽1の開口部を上開き可能に覆っている。この蓋体8は上蓋10と下蓋11で構成し、中折れ部12にて中折れ状態になるように、相互間を回転自在に連結している。洗浄槽1の開口部の左右壁13には水封部材14を取り付けている。この水封部材14は、図7に示すように、水平方向の断面形状が中空形状をなし、蓋体8の閉成状態でシールリブ15により中空形状部が2点鎖線で描くように変形し、洗浄槽1と蓋体8を水封するよう構成している。
【0005】
上記構成において動作を説明する。使用者が蓋体8を上方に開け、食器類2を食器かご16に配置し、洗浄槽1に収容して洗剤を入れた後、運転を開始すると、まず、洗浄槽1の底部に所定量の水道水が給水される。そして、モータ5およびヒータ6に通電され、洗浄水は加熱されながら洗浄ポンプ4により食器類2に向けて洗浄ノズル3から噴出され、食器類2の汚れを落とす洗浄行程を行う。その後、洗浄水が排水され、数回のすすぎ行程を実行した後、洗浄槽1内の蒸気が排気口17から前方に排出され、食器類2を乾かす乾燥行程が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の構成では、蓋体8の閉成状態における水封性能はシールリブ15によって水封部材14の中空形状部を変形することで得られるため、強く押されれば水封性能は向上するが、その分水封部材14の反発力も強くなり、蓋体8を閉成状態にするのに大きな力が要ることになる。したがって、洗浄槽1の開口部が広がった場合、例えば、図7で左右壁13が左方向に変形した場合、シールリブ15の当たりが弱くなるので水封性能が低下することがある。
【0007】
また、洗浄槽1の開口部が狭くなるほうに変形した場合、シールリブ15が水封部材14に強く当たるため水封性能は向上するが、蓋体8を閉成状態にするのに大きな力が必要で、使い勝手が悪くなるという問題を有していた。
【0008】
さらに、水封部材14の水平方向の断面形状を中空形状としているため、水封状態まで変形させたときの反発力を低減させることが困難であり、使い勝手をよくする上で課題があった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、洗浄槽の開口部が変形しても安定した水封性能を確保すると同時に、水封部材の反発力を低く抑えることにより使い勝手を向上することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、内部に回転自在な洗浄ノズルを有する洗浄槽の前方の開口部を蓋体により開閉自在に覆い、開口部の左右壁の内側に水封部材を取り付け、蓋体の閉成状態で洗浄槽の開口部と蓋体を水封するよう構成し、水封部材は、左右壁への取り付け部から前方に向かって中腹部とリップ部を有し、かつ中腹部は外方へ突出した屈曲部を有して水平方向の断面形状が略リップ状となし、蓋体の閉成状態でリップ部がシールリブに当接して変形し、洗浄ノズルから噴射された洗浄水によってリップ部がシールリブに押し付けられるよう構成したものである。
【0011】
これにより、洗浄槽の開口部が変形しても安定した水封性能を確保できると同時に、水封部材の反発力を低く抑えることができ、使い勝手を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、内部に回転自在な洗浄ノズルを有し、前方に開口部を有する洗浄槽と、内面にシールリブを有し、前記開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記開口部の左右壁の内側に取り付け前記蓋体の閉成状態で前記洗浄槽の前記開口部と前記蓋体を水封する水封部材とを備え、前記水封部材は、前記左右壁への取り付け部から前方に向かって中腹部とリップ部を有し、かつ前記中腹部は外方へ突出した屈曲部を有して水平方向の断面形状が略リップ状となし、前記蓋体の閉成状態で前記リップ部が前記シールリブに当接して変形し、前記洗浄ノズルから噴射された洗浄水によって前記リップ部が前記シールリブに押し付けられるよう構成したものであり、洗浄槽の開口部が変形しても水封性能を低下させることなく、安定した水封性能を確保できると同時に、水封状態に変形したときの水封部材の反発力を低く抑えることができ、使用者が蓋体を閉成状態にするときに必要な操作力を低減でき、使い勝手を向上することができる。
【0013】
また、水封状態で洗浄水が水封部材に当たったとき、リップ部が蓋体に押し付けられる方向に変形するため、水封性能をより向上できる。また、洗浄槽の開口部が変形しても安定した水封性能が得られ、使用者が蓋体を閉成状態にするときに必要な操作力もほとんど影響を受けない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、水封部材は、蓋体を閉じて変形させると、その先端が洗浄槽の内方に向かうよう構成したので、蓋体を閉じた使用状態において水封性能をより向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、水封部材は、その下端部に開口部の奥行き方向で前方に延びた前方延出部を有し、前記前方延出部を閉成状態における蓋体下端部近傍に配することで、前記蓋体の閉成状態において、前記蓋体下端部と前記前方延出部とで水封する構成としたものであり、蓋体の下端部と洗浄槽との隙間を水封部材で塞ぐことができ、水封部材の下端部の水封性能を向上することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3に記載の発明において、水封部材は、その上端部に洗浄槽の天面に当接する上壁部をリップ部と一体に設けたものであり、水封部材の上壁部を洗浄槽の天面と面で密着させることができ、隙間ができにくく、水封部材の上端部の水封性能を向上することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜4に記載の発明において、水封部材は、その上端部に洗浄槽の内方に延びる延長部を一体に形成したものであり、洗浄槽の天面と密着する面積を広くとることができ、水封部材の上端部の水封性能をさらに向上することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜5に記載の発明において、水封部材の少なくとも上方部には、リップ部の根元近傍から洗浄槽の内方に向かう突起部を形成したものであり、洗浄中に噴射される洗浄水が水封部材のリップ部に直撃するのを少しでも防ぐことができ、水封性能を向上することができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、食器洗い機の基本的な構成、動作は従来例と同じであるので説明を省略する。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、洗浄槽21は、前方に開口部を有し、この開口部を蓋体22により開閉自在に覆っている。開口部の左右壁23(図1では左壁)には、水平方向の断面形状が略リップ状をなす水封部材24を取り付けている。この水封部材24の先端は、洗浄槽21の内方に向かうリップ部25を有し、かつ中腹部には洗浄槽21の外方側に突出した屈曲部26を有している。蓋体22の閉成状態では、シールリブ27によってリップ部25が2点鎖線で表したように変形し、洗浄槽21と蓋体22を水封するよう構成している。
【0021】
上記構成においてその作用を説明すると、水封部材24を変形させると反発力が生じるが、その水平方向の断面形状が略リップ状をなすため、例えば、従来例のような中空形状に比べて少ない反発力しか発生せず、使用者が蓋体22を閉成状態にするときに必要な操作力が少なくてすみ、使い勝手がよいものとなる。
【0022】
また、リップ部25が洗浄槽21の内方に向かうことで、洗浄運転中に洗浄ノズル3から噴射された洗浄水が水封部材24を直撃したとき、リップ部25がシールリブ27に強く押し付けられる方向に力を受けるため、水封性能をさらに向上することができる。
【0023】
同様のことが洗浄槽21の開口部が変形したときにもいえ、左右壁23が狭くなる方向に変形したとき(図1では右方向)、リップ部25とシールリブ27の当たりが弱くなるが、洗浄水が当たるとリップ部25がシールリブ27に押し付けられることになるので、水封性能が低下することはない。
【0024】
左右壁23が広がる方向に変形したとき(図1では左方向)、リップ部25がシールリブ27に強く当たるようになるので、水封性能についてはよくなる方向になる。しかし、反発力が増える方向となるが、屈曲部26を有するために反発力の増加をわずかに抑えることができる。したがって、洗浄槽21の開口部が変形しても安定した水封性能が得られるとともに、使用者が蓋体22を閉成状態にするときに必要な操作力もほとんど影響を受けない。
【0025】
(実施例2)
図2〜図4に示すように、水封部材28は、断面形状が略リップ状で、洗浄槽29の内方に向かうリップ部30を有し、かつ中腹部には洗浄槽29の外方側に突出した屈曲部31を有している。この水封部材28の下端部32に、洗浄槽29の開口部の奥行き方向で前方に延びた前方延出部33を設けている。
【0026】
この水封部材28のリップ部30は前方延出部33のリップ部34につながっており、蓋体35の閉成状態において、蓋体35の下端部36と前方延出部33のリップ部34とで水封する構成としている。また、水封部材28の上端部37に、図5に示すように、洗浄槽29の天面38に当接する上壁部39をリップ部30と一体に設けている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0027】
上記構成において作用を説明すると、蓋体35の閉成状態において、蓋体35の下端部36近傍には、洗浄槽29の開口部の奥行き方向で隙間ができるが、前方延出部33を設けることで、隙間を塞ぐことができるとともに、リップ部34で密閉できるため、使用者が蓋体35を閉成状態にするときに必要な操作力を増やすことなく、水封部材28の下端部32の水封性能を向上することができる。
【0028】
また、水封部材28の上端部37に、洗浄槽29の天面38に当接する上壁部39をリップ部30と一体に設けているので、水封部材28の上壁部39が洗浄槽29の天面38と面で密着させることができ、リップ部30が直接天面38に当たるときと比べて隙間ができ難く、水封部材28の上端部37の水封性能を向上することができる。
【0029】
さらに、水封部材28の上端部37に、洗浄槽29の内方に延びる延長部40を一体に形成することにより、洗浄槽29の天面38と密着する面積を広くとることができ、水封部材28の上端部37の水封性能をさらに向上することができる。
【0030】
また、水封部材28の上方部に、リップ部30の根元近傍から洗浄槽29の内方に向かう突起部41を形成することにより、洗浄中に噴射される洗浄水が水封部材28のリップ部30に直撃するのを少しでも防ぐことができ、水封性能を向上することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、内部に回転自在な洗浄ノズルを有し、前方に開口部を有する洗浄槽と、内面にシールリブを有し、前記開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記開口部の左右壁の内側に取り付け前記蓋体の閉成状態で前記洗浄槽の前記開口部と前記蓋体を水封する水封部材とを備え、前記水封部材は、前記左右壁への取り付け部から前方に向かって中腹部とリップ部を有し、かつ前記中腹部は外方へ突出した屈曲部を有して水平方向の断面形状が略リップ状となし、前記蓋体の閉成状態で前記リッ プ部が前記シールリブに当接して変形し、前記洗浄ノズルから噴射された洗浄水によって前記リップ部が前記シールリブに押し付けられるよう構成したから、水封性能を低下させることなく、安定した水封性能を確保できると同時に、水封状態に変形したときの水封部材の反発力を低く抑えることができ、使用者が蓋体を閉成状態にするときに必要な操作力を低減でき、使い勝手を向上することができる。
【0032】
また、水封状態で洗浄水が水封部材に当たったとき、リップ部が蓋体に押し付けられる方向に変形するため、水封性能をより向上できる。また、洗浄槽の開口部が変形しても安定した水封性能が得られ、使用者が蓋体を閉成状態にするときに必要な操作力もほとんど影響を受けない。
【0033】
また、請求項2に記載の発明によれば、水封部材は、蓋体を閉じて変形させると、その先端が洗浄槽の内方に向かうよう構成したから、蓋体を閉じた使用状態において水封性能をより向上させることができる。
【0034】
また、請求項3に記載の発明によれば、水封部材は、その下端部に開口部の奥行き方向で前方に延びた前方延出部を有し、前記前方延出部を閉成状態における蓋体下端部近傍に配することで、前記蓋体の閉成状態において、前記蓋体下端部と前記前方延出部とで水封する構成としたから、蓋体の下端部と洗浄槽との隙間を水封部材で塞ぐことができ、水封部材の下端部の水封性能を向上することができる。
【0035】
また、請求項4に記載の発明によれば、水封部材は、その上端部に洗浄槽の天面に当接する上壁部をリップ部と一体に設けたから、水封部材の上壁部を洗浄槽の天面と面で密着させることができ、隙間ができにくく、水封部材の上端部の水封性能を向上することができる。
【0036】
また、請求項5に記載の発明によれば、水封部材は、その上端部に洗浄槽の内方に延びる延長部を一体に形成したから、洗浄槽の天面と密着する面積を広くとることができ、水封部材の上端部の水封性能をさらに向上することができる。
【0037】
また、請求項6に記載の発明によれば、水封部材の少なくとも上方部には、リップ部の根元近傍から洗浄槽の内方に向かう突起部を形成したから、洗浄中に噴射される洗浄水が水封部材のリップ部に直撃するのを少しでも防ぐことができ、水封性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の食器洗い機の要部横断面図
【図2】 本発明の第2の実施例の食器洗い機の水封部材の一部切欠した斜視図
【図3】 同食器洗い機の要部縦断面図
【図4】 同食器洗い機の要部断面図
【図5】 同食器洗い機の要部縦断面図
【図6】 従来の食器洗い機の断面図
【図7】 従来の食器洗い機の要部横断面図
【符号の説明】
21 洗浄槽
22 蓋体
23 左右壁
24 水封部材

Claims (6)

  1. 内部に回転自在な洗浄ノズルを有し、前方に開口部を有する洗浄槽と、内面にシールリブを有し、前記開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記開口部の左右壁の内側に取り付け前記蓋体の閉成状態で前記洗浄槽の前記開口部と前記蓋体を水封する水封部材とを備え、前記水封部材は、前記左右壁への取り付け部から前方に向かって中腹部とリップ部を有し、かつ前記中腹部は外方へ突出した屈曲部を有して水平方向の断面形状が略リップ状となし、前記蓋体の閉成状態で前記リップ部が前記シールリブに当接して変形し、前記洗浄ノズルから噴射された洗浄水によって前記リップ部が前記シールリブに押し付けられるよう構成した食器洗い機。
  2. 水封部材は、蓋体を閉じて変形させると、その先端が洗浄槽の内方に向かうよう構成した請求項1記載の食器洗い機。
  3. 水封部材は、その下端部に開口部の奥行き方向で前方に延びた前方延出部を有し、前記前方延出部を閉成状態における蓋体下端部近傍に配することで、前記蓋体の閉成状態において、前記蓋体下端部と前記前方延出部とで水封する構成とした請求項1または2記載の食器洗い機。
  4. 水封部材は、その上端部に洗浄槽の天面に当接する上壁部をリップ部と一体に設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の食器洗い機。
  5. 水封部材は、その上端部に洗浄槽の内方に延びる延長部を一体に形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の食器洗い機。
  6. 水封部材の少なくとも上方部には、リップ部の根元近傍から洗浄槽の内方に向かう突起部を形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の食器洗い機。
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